『タス通信』より
2023年6月2日9時35分配信
【情報筋は原子力潜水艦「ドミトリー・ドンスコイ」の不沈性と生存性は保障されていると述べた】モスクワ、6月2日/タス通信重原子力水中ロケット巡洋艦「ドミトリー・ドンスコイ」の不沈性と生存性は、削減された技術要員により保障されている。
『タス通信』は
ロシア海軍に近い情報筋より伝えられた。
「巡洋艦は艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』に在ります。
その不沈性と生存性は、艦に乗っている削減された技術要員により保障されています」彼は話した。
彼によると、
巡洋艦では如何なる作業も行なわれておらず、活性領域(炉心)は取り出されていない。
『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。
以前に
『タス通信』の情報筋は、
「ドミトリー・ドンスコイ」の戦闘勤務の終了は、その
原子炉の活性領域(炉心)の劣化により引き起こされたと述べた。
『北方艦隊の日』(6月1日)の木曜日、
『ロシースカヤ・ガゼータ』編集部は、世界で最も強力な
プロジェクト941原子力潜水艦の戦闘勤務完了へ捧げるドキュメンタリー映画
『ドミトリー・ドンスコイ:夢をありがとう』の先行上映会を主催した。
[「ドミトリー・ドンスコイ」について]
「ドミトリー・ドンスコイ」は、
中央海洋工学設計局『ルビーン』が設計し、
造船所『セヴマシュ』(現在は
『統合造船業営団』へ加入)が建造した6隻の
重原子力水中ロケット巡洋艦(TAPRK)シリーズのトップである。
原子力艦は1980年9月29日に進水し、1981年12月29日に
海軍へ加入した。
当初、
巡洋艦の主要兵装は
大陸間弾道ミサイル複合体D-19だった。
2002年に
巡洋艦は
プロジェクト941UMの下での近代化が行なわれ、その後、
ミサイル複合体「ブラヴァー」の試験に関わった。
2017年夏、
巡洋艦は
バルト海への艦隊間移動を行ない、
主要海軍パレードへ参加した。
海軍の為の合計6隻の
プロジェクト941潜水艦が建造された。
全ての艦は、
北方艦隊で
ザーパドナヤ・リツァ(ニェールピチャ湾)に駐留していた。
現在までに、この内の3隻は
アメリカ合衆国の資金で解体された。
2隻~
「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」は海軍から除籍され、処分を待っている。


ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト
『ディープストーム』より
【プロジェクト941「アクラ」(NATOコード名「タイフーン」)】プロジェクト941重戦略用途原子力水中巡洋艦(タイフーン級)は、1981年~1989年に6隻が就役しましたが、既に3隻が解体されています。
プロジェクト941巡洋原子力潜水艦の1番艦
TK-208は、
セヴェロドヴィンスクの
セヴマシュ造船所で1976年6月30日に起工されました。





1980年9月27日に進水し、1981年6月から8月まで工場航行試験を行ない、1981年11月から12月末まで国家試験を行ないました。
1981年12月27日には、初めて
弾道ミサイルR-39の発射に成功しました。
1977年7月25日付で
プロジェクト941は
「重戦略用途ロケット水中巡洋艦」に類別変更されました。
1981年12月29日に受領証書へ署名されて
ソ連海軍へ納入されましたが、翌1982年10月までは
弾道ミサイルR-39(SS-N-20)の発射試験に従事し、総計で18回の発射に成功しました。
R-39の戦力化の目途が立った事を受け、1982年12月14日に
海軍旗初掲揚式典を開催し、正式に
ソ連海軍へ就役し、
北方艦隊の
第18潜水艦師団へ編入されました。
同年12月21日に母港となる
ザーパドナヤ・リツァの
ニェールピチャ基地へ到着しました。

その後は戦闘勤務(戦略核パトロール任務)や
弾道ミサイルR-39の発射試験に従事しました。
1988年9月20日に
セヴェロドヴィンスクの
『セヴマシュ』へ到着し、
新型弾道ミサイル「バルク」を搭載する
プロジェクト941U改装が行なわれる事になり、翌1989年1月20日には予備役に編入されました。
しかし、1991年12月の
ソ連邦解体により資金供給は止まり、
TK-208の工事はストップしました。
1992年6月3日付で
「重戦略用途原子力水中巡洋艦」に類別変更されました。
その後、
弾道ミサイル「バルク」の開発は中止され、新たに
モスクワ熱技術研究所が開発する
「ブラヴァー」を搭載する事になった為、今度は
プロジェクト941UM改装を受ける事になりました。

2000年10月7日に
「ドミトリー・ドンスコイ」と命名されました。
2002年6月26日に再進水し、6月30日から係留試験を開始し、翌2003年に洋上試験を行ないました。

洋上試験は2004年12月初頭に完了し、
ロシア海軍へ再就役しました。

2005年から2010年まで
潜水艦弾道ミサイル「ブラヴァー」の発射試験に従事しました。

2010年10月29日の発射試験を最後に
「ブラヴァー」発射試験艦としての任務を解かれました。
[「全力全開」ブラヴァー発射試験(2010~2011年)]その後は洋上試験を行なう
新型潜水艦のサポート(試験のモニタリング)を行なう事になりました。
[タイフーン級原潜「ドミトリー・ドンスコイ」は試験艦として現役に留まる]
2013年には
新造原子力潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」と
「セヴェロドヴィンスク」の洋上試験をサポートしました。
[タイフーン級原潜はロシア新世代原潜の海洋試験をサポートする]2014年にも、
新造原子力潜水艦の洋上試験の支援任務の為に何度か出航しています。
[タイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイは出航した][タイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイは帰港した][ロシア海軍最新鋭原潜セヴェロドヴィンスクはタイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイと共に出航した]2015年6月26日から7月16日まで
白海へ出航しました。
[ロシア海軍のタイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイは白海へ出航した][ロシア海軍最後のタイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイは3週間の航海を終えて帰港した]2015年9月3日から10日まで、再び
白海へ出航しました。
[ロシア海軍最後のタイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイは白海へ出た][ロシア海軍の重原子力戦略用途ロケット水中巡洋艦ドミトリー・ドンスコイはセヴェロドヴィンスクへ帰港した]
その後、暫く動向が報じられなかった
「ドミトリー·ドンスコイ」ですが、2017年5月27日に
セヴェロモルスクへ到着しました。
[ロシア海軍最後のタイフーン級原潜ドミトリー・ドンスコイは北方艦隊基地セヴェロモルスクへ移動した]2017年7月中旬、
「ドミトリー・ドンスコイ」は、
クロンシュタットの
『ロシア海軍の日』観艦式へ参加する為、
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と共に
バルト海へ向かいました。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーと重戦略用途原子力水中巡洋艦ドミトリー・ドンスコイはバルト海へ向かった]「ドミトリー・ドンスコイ」と
「ピョートル・ヴェリキー」は、2017年7月25日に
クロンシュタットへ到着しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーと重戦略用途原子力水中巡洋艦ドミトリー・ドンスコイはクロンシュタットへ到着する]2017年7月30日の
『ロシア海軍の日』、
サンクトペテルブルクと
クロンシュタットで観艦式(主要海軍パレード)が行なわれました。
[2017年7月30日にクロンシュタットとサンクトペテルブルクで挙行される『ロシア海軍の日』観艦式には約40隻の艦船が参加する]北方艦隊からは、
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、重戦略用途原子力水中巡洋艦「ドミトリー・ドンスコイ」、ロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」の他に、
潜水艦「ウラジカフカス」も
クロンシュタットの観艦式へ参加しました。
「ドミトリー・ドンスコイ」と
「ピョートル・ヴェリキー」は、
主要海軍パレード終了後の翌7月31日に
クロンシュタットを出航しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーと重戦略用途原子力水中巡洋艦ドミトリー・ドンスコイはクロンシュタットを去った]北方艦隊艦船部隊は、8月7日までに
北海へ入りました。
[クロンシュタットの『ロシア海軍の日』観艦式へ参加した北方艦隊の艦船は北海へ入った]その後、
北方艦隊艦船部隊は
バレンツ海で演習を行なった後、8月11日に
セヴェロモルスクへ帰投しました。
[クロンシュタットの『ロシア海軍の日』観艦式へ参加した北方艦隊の艦船はセヴェロモルスクへ帰投した]「ドミトリー·ドンスコイ」は、暫くの間
セヴェロモルスクに留まっていましたが、9月初頭に出航し、9月4日に母港
セヴェロドヴィンスク(白海海軍基地)へ帰港しました。
[重戦略用途原子力水中巡洋艦ドミトリー・ドンスコイはセヴェロドヴィンスクへ帰港した]2017年9月には
北方艦隊の演習へ参加しました。
[タイフーン級戦略原潜ドミトリー・ドンスコイはロシア海軍北方艦隊の演習へ参加する]2017年12月15日には就役35周年記念式典が開催されました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表2017年12月15日10時4分配信
【世界最大の潜水艦は35周年を迎えた】2018年~2019年にはオーバーホールを行ない(2018年初頭から6月まで
ロスリャコヴォの
大型浮きドックPD-50へ入渠)、2019年6月20日から
白海で航行試験を行ない、深度200メートルまで潜航しました。


セヴェロドヴィンスクへ帰投する
「ドミトリー・ドンスコイ」(2019年7月23日)

2021年6月20日、
白海で
セヴェロドヴィンスク(白海海軍基地)に駐留する
小型対潜艦の対潜戦闘訓練の相手役を務めました。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は白海で対潜戦闘訓練へ参加した]7月15日にも
白海海軍基地の
小型対潜艦2隻の対潜戦闘訓練の相手役を務めました。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は白海で小型対潜艦の訓練の敵役を務めた]
2021年8月23日に起工された
プロジェクト955A(ボレイ-A)戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦2隻の内の1隻は、
「ドミトリー・ドンスコイ」と命名されました。
[ロシア海軍の為のボレイ-A戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦2隻、プロジェクト20380コルベット1隻、、プロジェクト20385コルベット1隻、プロジェクト06363潜水艦2隻はプーチン大統領の号令下で一斉に起工された]これに伴い、今の
「ドミトリー・ドンスコイ」は、「名無し」の
TK-208として現役に留まる事になりました。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は2020年代半ばまで現役に留まる](2022年7月下旬に一部メディアで同艦が退役すると報じられたが、8月中旬に
ロシア海軍総司令官
ニコライ・エフメノフ提督が否定した)
TK-208は2022年6月末~7月初頭頃に出航し、約1ヶ月間の海上行動を終えて7月26日に
白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク)へ帰投しました。
TK-208は、
新造潜水艦2隻~
「クラスノヤルスク」と
「ゲネラリーシムス・スヴォーロフ」の
白海での洋上試験の支援任務に就いていたようです。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は約1ヶ月間の洋上行動を終えてセヴェロドヴィンスクへ帰投した]8月1日、
TK-208は
白海海軍基地から出航しました。
目的は「戦闘演習任務」としか言われていませんが、おそらくは
新造原子力潜水艦の洋上試験の支援でしょう。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は白海へ出航した]9月中旬も
「クラスノヤルスク」と
「ゲネラリーシムス・スヴォーロフ」は
バレンツ海で洋上試験を続けており、
TK-208は
アメリカの
原子力潜水艦がこの2隻に近付かないように監視していたようです。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)はバレンツ海で新造原子力潜水艦クラスノヤルスクとゲネラリーシムス・スヴォーロフの洋上試験の支援任務に就いている]ロシア連邦軍の新年度は12月1日から始まりますが、その2022年12月上旬、
『全ロシア海軍支援運動』会長
ウラジーミル・マリツェフ氏は、
TK-208は乗組員を削減し、退役を準備していると述べました。
2022年12月14日には就役40周年を迎えました。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は就役40周年を迎えた]TK-208は2023年2月初頭に
ロシア海軍の戦闘編制から除外され、退役しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は退役した]その直接の原因は、
原子炉の
炉心、つまり
核燃料の寿命が尽きて交換時期に差し掛かったが、その交換はコスト的に割に合わないと判断された事でした。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)は原子炉の炉心の寿命の為に退役した]退役後、
TK-208は
セヴェロドヴィンスクの
艦船修理工場『ズヴェズドーチカ』で保管され、残された保守要員が艦を維持します。
この10年間ほど
TK-208は、
新造原子力潜水艦の洋上試験の各種支援任務に従事していましたが、その任務は
北方艦隊の
プロジェクト671RTMK原子力潜水艦(
「オブニンスク」と
「タンボフ」が現役)へ引き継がれます。
[ロシア海軍北方艦隊の原子力大型潜水艦タンボフは近代化改装後の洋上試験を開始した]ただし、
TK-208の処分・解体の時期は未だ決まっていません。
[ロシア海軍北方艦隊の重戦略用途原子力水中巡洋艦TK-208(ドミトリー・ドンスコイ)の処分・解体の時期は決まっていない]解体される場合、
『ロスアトム』社が公開入札を行ない、それを落札した企業と契約を締結し、実行に移される事になりますが、そのような具体的な動きは今の所全く有りません。