Il-38の後継となるロシア海軍の新たな4発対潜哨戒機の開発が始まった
- カテゴリ:ロシアの対潜哨戒機

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2023年3月4日3時39分配信
【情報筋:ロシアはIl-38に変わる対潜航空機を開発する】
モスクワ、3月4日-ロシア通信社ノーボスチ
専門家はソヴィエト時代のIl-38に代わる基本的な対潜・偵察・哨戒航空機を作成する試験-設計作業へ着手した。
『ロシア通信社ノーボスチ』は情報筋より伝えられた。
「新たな機体は、このクラスの航空機の為の標準である4発エンジン形式を保持し、TV7-117ターボプロップエンジンの装備が計画されています」
彼は話した。

対談者は将来の機体の数値は明らかにしなかったが、その飛行特性は「ターボプロップ対潜航空機とっては典型的なものになる」事を指摘した。
これに加え新たな航空機は、機上デジタルコンピュータ機器、多機能捜索-目標指示複合体、そして更に水中音響ブイを含む最新の機上機器を得ると情報筋は付け加えた。
兵器のリストも拡大する~Il-38と比較して搭載兵装の範囲は大きくなる。
機体は、ほぼ完全に国産の電子要素及びコンポーネントで構成される予定であると対談者は締め括った。
Il-38は中距離対潜・海上哨戒航空機であり、Il-18旅客機をベースに作成され、1967年~1972年に製造された。
合計で60機がソヴィエト社会主義共和国連邦で製造され、最新の派生型はIl-38Nである。
航空機の基本バージョンは、敵潜水艦を捜索する為の水中音響ブイと、様々な対潜兵器~爆雷、魚雷、機雷を装備する。
近代化ヴァージョンIl-38Nは、距離320キロメートル以上の水上艦を発見できる多機能捜索-目標指示複合体「ノヴェッラ」を装備する。
このシステムは、数十の水中、水上、電波放射目標の同時追尾が可能である。
Il-38/Il-38Nの戦闘行動半径は2500キロメートルに達し、最高速度は時速650キロメートル、上昇限度は10000メートルである。
現在、ロシアには約25機のIl-38及びIl-38Nが有るが、これらの内の何機が稼働しているのかについての正確な情報は無い。
有名な刊行物『ミリタリーバランス』の2022年版では、ロシア海軍航空隊のIl-38/Il-38Nの1個連隊と2個飛行隊が記載されており、このクラスの航空機にとっては24機分に相当する。
これに加え、Il-38はインド海軍の軍備として存在する。


旅客機Il-18をベースに開発された対潜哨戒機Il-38は、1961年9月27日に初飛行し、1967年から1972年までに65機が生産されました。

現在は、北方艦隊と太平洋艦隊に計25機程度が配備されています。
現用のIl-38は、2012年以降、Il-38N仕様への近代化改修が行なわれています。
[ロシア海軍航空隊は2025年までに30機の近代化改修された対潜哨戒機Il-38Nを受け取る]
Nは「ノヴェッラ」Новелла(短編小説、新規追加条項)の略です。
Il-38の上部に追加されたのが「ノヴェッラ-P-38」複合体です。

更に、Il-38の後継となる新世代対潜哨戒機の開発も進められています。
以前には、新世代対潜哨戒機は既存の航空機をベースに開発される計画となっており、2機種が提案されていました。
[ロシア海軍の新たな対潜哨戒機は既存の航空機をベースに開発される]
Il-38を開発した『イリューシン』は、双発ターボプロップ旅客機Il-114-300をベースにした対潜哨戒機を提案していました。
[イリューシンはロシア海軍の対潜哨戒機Il-38の後継機を開発している]
一方、遠距離対潜哨戒機Tu-142(戦略爆撃機Tu-95の対潜型)を開発した『ツポレフ』は、双発ジェット旅客機Tu-214をベースにした対潜哨戒機を提案しました。
つまり、Il-114かTu-214のどちらかがロシア海軍の新世代対潜哨戒機のベースに選ばれる事になっていました。
しかし、両機種ともロシア海軍が満足しなかった為か、Il-38と同様の4発ターボプロップの対潜哨戒機を新規開発する事になりました。
今回の記事では、何処が開発するのかは明らかにされていませんが、おそらくはIl-38と同じイリューシンでしょう。
エンジンは、Il-114旅客機やIl-112V軍用輸送機が装備するクリモフTV7-117(おそらくは最新型のTV7-117ST)が予定されているようです。
Il-112V
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