東南アジア遠征を終えたロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はウラジオストクへ帰投した
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2019年1月24日6時13分配信
【太平洋艦隊艦船支隊はアジア太平洋地域諸国への航海の後にウラジオストクへ戻ってきた】
ウラジオストク、1月24日-ロシア通信社ノーボスチ
太平洋艦隊戦闘艦支隊は、アジア-太平洋地域諸国への遠距離航海の後、木曜日にウラジオストクへ戻ってきた。
太平洋艦隊広報サービスは発表した。
「本日、ウラジオストクでは、遠距離航海から戻ってきた戦闘艦支隊の歓迎式典が開催されました。
ウラジオストクで戦闘艦支隊は、太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツに出迎えられました。
伝統に従い、与えられた任務を成功裏に遂行した艦の乗組員へ子豚の丸焼きが贈られました」
声明では、こう述べられた。
太平洋艦隊主要埠頭の観兵式場では、太平洋艦隊水上艦師団の将兵の隊列形成及び会合が行なわれた。
歓迎式典は、連合部隊将兵全員の行進で終了した。
ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、大型海洋給油船「ボリス・ブトマ」で構成され、太平洋艦隊潜水艦部隊参謀長エドゥアルト・ミハイロフ少将指揮下の艦船支隊は、2018年10月1日に遠距離航海へ出発した。
艦船は9ヶ国を訪れた。
船員は、函館(日本)、済州(大韓民国)、青島(中国)、タンジュンプリオク(インドネシア)、ムアラ(ブルネイ)、チャンギ(シンガポール)、ヴィシャーカパトナム(インド)、コロンボ(スリランカ)、マニラ(フィリピン)へ寄港した。
2018年10月1日、ロシア太平洋艦隊のナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」(1990年1月7日就役)と大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」(1991年12月15日就役)は、大型海洋給油船「ボリス・ブトマ」(1978年10月30日就役)を伴い、3ヶ月以上に渡るアジア太平洋地域への遠距離航海へ出発しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はアジア太平洋地域への遠距離航海へ出発した]

10月4日、太平洋艦隊艦船支隊は日本の函館へ入港しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグと大型対潜艦アドミラル・パンテレーエフと大型海洋給油船ボリス・ブトマは日本の函館港を訪れた]
今年(2018年)は、函館にロシア領事館が開設されてから160周年に当たるので、これに関連する訪問でした。
(1858年に最初のロシア領事ゴシケーヴィチ一行が着任した)
『函館日ロ交流史研究会』公式サイトより
【函館・ロシア略年表】
10月5日にはロシア領事館開設160周年記念式典が開催されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊将兵は函館のロシア領事館開設160周年記念式典へ参加した]
10月6日、ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」は函館港の港町埠頭A岸壁で一般公開されました。


太平洋艦隊艦船支隊は10月7日に函館を去りました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は日本の函館港を去った]
10月10日、太平洋艦隊艦船支隊は大韓民国の済州島へ到着しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は大韓民国の済州島へ到着した]


太平洋艦隊艦船支隊は、10月11日に済州島沖で行なわれた「2018大韓民国海軍国際観艦式」へ参加しました。
『中央日報』(日本語版)より
2018年10月11日8時57分配信
【済州国際観艦式、米空母など国内外艦艇41隻が参加…日中は代表団のみ派遣】
10月15日に済州島を去りました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は大韓民国の済州島を去った]
その後、艦船支隊は東シナ海へ入り、10月17日には潜水艦を捜索する演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は東シナ海で潜水艦の捜索演習を行なった]
10月21日、太平洋艦隊艦船支隊は中国の青島港へ到着しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は中国の青島港を訪れた]


10月23日には太平洋艦隊の艦船が一般公開されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦船は中国の青島港で一般公開された]
10月25日、太平洋艦隊艦船支隊は青島港を出航し、黄海で中国海軍の軍艦と合同演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は中国の青島港を去った]
11月6日には東シナ海で対空防衛などの演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は東シナ海で対空防衛演習を実施した]

その後、支隊は、2018年11月7日~10日にインドネシアのジャカルタで開催された軍事・安全保障展示会『INDO DEFENCE 2018』へ参加しました。
【INDO DEFENCE 2018】
11月18日にはブルネイのムアラ港へ到着しました。

[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はブルネイを訪れた]
11月23日にムアラ港を出航し、ブルネイ海軍と合同演習を実施しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はブルネイを出航した]
11月27日、シンガポールのチャンギ海軍基地へ入港しました。


[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はシンガポールのチャンギ海軍基地を訪れた]
12月2日、チャンギ海軍基地を出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はシンガポールを去った]

その後、太平洋艦隊艦船支隊はマラッカ海峡を通過してベンガル湾へ入り、12月9日にはインド東部のヴィシャーカパトナム港へ入港しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はインド東部のヴィシャーカパトナムへ到着した]

12月11日、ロシア海軍とインド海軍の合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』の沿岸フェーズが始まりました。
具体的には、12月13日以降に実施されるベンガル湾での海上演習の為の打ち合わせ、そして沿岸でのダメージコントロール訓練などです。
[ロシア海軍とインド海軍は合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』の準備を行なう]
12月13日、ベンガル湾で合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』の海上フェーズが始まりました。
[ロシア海軍とインド海軍の合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』はベンガル湾で始まった]
12月14日には不審船の臨検訓練などが行なわれました。
[ロシア海軍とインド海軍の合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』はベンガル湾で続いている]
12月15日には対空、対水上砲撃訓練、対潜戦闘訓練が行なわれました。
[ロシア海軍とインド海軍の合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』において対空・対水上・対潜戦闘訓練が行なわれた]
演習最終日の12月16日には演習の総括が行なわれ、その後、海上で太平洋艦隊艦船支隊の送別式典が開催されました。
[ロシア海軍とインド海軍の合同演習『インドラ・ネイヴィー-2018』は完了した]

インドを去った太平洋艦隊艦船支隊は、12月20日にスリランカのコロンボ港へ入港しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はスリランカのコロンボへ到着した]

12月21日には太平洋艦隊将兵がコロンボ市内を見物し、太平洋艦隊及びスリランカ海軍のスポーツ競技会が開催されました。
12月22日には、スリランカ海軍の将兵がロシア海軍の艦船を見学しました。
[スリランカ海軍将兵はロシア海軍太平洋艦隊の軍艦を訪れた]
12月24日にコロンボを出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はスリランカのコロンボを去った]
12月27日、太平洋艦隊艦船支隊は洋上でダメージコントロール訓練を実施しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は洋上でダメージコントロール訓練を行なった]
太平洋艦隊艦船支隊は、南シナ海~で2019年の元旦を迎えました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は洋上で新年(2019年)を迎えた]
2019年1月6日、フィリピンのマニラ港へ到着しました。

[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はフィリピンのマニラを訪れた]
そして1月11日にマニラを出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊はフィリピン訪問を終えた]
マニラ滞在中、フィリピン国防相及び同国軍参謀本部長はナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」を視察しました。
[フィリピン国防相はロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊のフィリピン訪問中にナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグを視察した]
太平洋艦隊艦船支隊は、1月16日に対馬海峡を通過して日本海へ入りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2019年1月17日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について】
ウラジオストクでの太平洋艦隊艦船支隊の歓迎式典は、2019年1月19日に開催される予定でした。
[東南アジア遠征を終えたロシア海軍太平洋艦隊艦船支隊は2019年1月19日にウラジオストクへ帰投する]
しかし太平洋艦隊艦船支隊は、予定よりも5日遅れて1月24日にウラジオストクへ帰投しました。



帰投が予定よりも遅れた理由を太平洋艦隊広報部は説明していませんが(そもそも、予定より遅れた事にすら触れていない)、おそらくは、1月18日にタタール海峡で発生した多機能戦闘爆撃機Su-34の空中衝突・墜落事故の為でしょう。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
【極東でのSu-34事故】
1月18日、フルバ飛行場に駐留する第207赤旗爆撃機航空連隊所属の2機のSu-34は、悪天候のタタール海峡上空での訓練中に空中で衝突して墜落し、乗員4名は脱出しました。




脱出してタタール海峡に降下した乗員の捜索には、民間船5隻と太平洋艦隊所属艦船6隻が参加したと発表されていますが、おそらく、この内の3隻はウラジオストクへ戻る直前の艦船支隊でしょう。
1月18日と言えば、艦船支隊がウラジオストクへ帰港する直前ですから、おそらくは、入港する前に、タタール海峡への捜索へ向かうように命じられたのでしょう。
この事故では、1名の乗員だけは救助されましたが、2名は死亡し、1名は行方不明となっています。
残る1名の捜索は続いていますが、インドまで遠征した太平洋艦隊艦船支隊は、ひとまず捜索任務を解かれ、ウラジオストクへ帰投したようです。
なお、2009年11月6日には、今回の事故発生場所に近い海域で、ロシア太平洋艦隊航空隊の対潜哨戒機Tu-142M3が墜落し、乗員11名が死亡しています。
[Tu-142墜落事故]

タタール海峡は、ロシア軍の航空機にとっては「魔の海域」なのかもしれません・・・
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