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ロシア黒海・太平洋艦隊合同任務部隊は12月にソマリア沖で海賊対処任務に就く

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11月8日、ロシア連邦国防省は、太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船をソマリア沖へ派遣すると発表しました。
[ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く]
その続報。


『ロシア通信社ノーボスチ』より
【黒海艦隊及び太平洋艦隊の艦船はソマリア沖で海賊対処任務を開始する】
モスクワ、11月12日-ロシア通信社ノーボスチ

黒海艦隊及び太平洋艦隊の合同艦船グループは、12月にソマリア沖で海賊対処任務に参加するだろう。
月曜日、ロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部の代理人は記者団に伝えた。

「12月に、2つの艦隊の艦船はアデン湾とアフリカの角及びアデン湾エリアにおける海軍の存在任務を合同で実施します」
軍当局の代理人は話した。

彼によると、黒海艦隊戦闘艦戦術グループ(親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」及び大型揚陸艦「サラトフ」で構成される)は、黒海海峡ゾーンのボスポラス-ダータネルスを(11月6日及び11日に順番に)通過後、エーゲ海で任務遂行を開始する。

「艦船は合同連携機動、航行中の対空防衛当直任務を遂行し、更に、黒海艦隊独立海軍歩兵旅団の将兵は、艦上で対テロリスト訓練を行ないます」
ロシア連邦国防省の代理人は話した。

彼は、警備艦「スメトリーヴイ」海洋曳船MB-304が、イタリアタラント港で行われるロシア-イタリア海軍演習「イオネスク-2012」終了後にグループへ参加すると付け加えた。

地中海の活動エリアには、既に大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」が滞在しており、近い内に、グループには、今は黒海で任務を遂行している大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」が参加する。

太平洋艦隊戦闘艦船支隊(大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」、中型海洋給油船「イルクト」、救助曳船「アラタウ」で構成される)は、現在、アラビア海へ移動している。
艦は、12月初頭のアフリカの角への到着が予定されている。

「航路の途中、艦船支隊は、インド共和国海軍との共同演習の為、ムンバイへ寄港する予定です。
更に艦船は、タイ、南朝鮮、セイシェル諸島の港を訪問します」

軍当局の代理人は話した。

アデン湾及びアフリカの角エリアは、ソマリア海賊の活発な行動により危険である。
彼らは定期的に船舶を乗っ取り、身代金を要求している。

海賊攻撃の回数が多い特徴を有するエリアへのロシア海軍艦船の定期滞在は、海軍力を使用する2011年の計画により提供される。
(2012年11月12日14時17分配信)


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

記事中で触れられているように、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊は、既に出航しています。
[ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した]

これに加え、黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」を中核とする黒海艦隊の任務部隊がソマリア沖へ向かいます。
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最終的に、ソマリア沖に集結するロシア海軍合同海賊対処部隊の陣容は、以下のようになります。

[ロシア黒海・太平洋艦隊合同海賊対処任務部隊]
親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」(黒海艦隊)
大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」(太平洋艦隊)
警備艦「スメトリーヴイ」(黒海艦隊)
大型揚陸艦「サラトフ」(黒海艦隊)
大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」(黒海艦隊)
大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」(黒海艦隊)
中型海洋給油船「イルクト」(太平洋艦隊)
救助曳船「アラタウ」(太平洋艦隊)
海洋曳船MB-304(黒海艦隊)


これは、ロシア海軍が2008年10月にソマリア沖での海賊対処任務を開始して以来、最大規模の海賊対処任務部隊です。

これまでのロシア海軍海賊対処任務では、黒海艦隊は保障船(給油船及び海洋曳船)しか派遣しませんでしたが、今回、初めて水上戦闘艦をソマリア沖へ派遣します。


今回、初めてソマリア沖へ派遣される親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は、1982年12月に就役しました。
当初の艦名は「スラーヴァ」でした。
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1995年6月22日、先代の対潜巡洋艦から名前を受け継ぎ、「モスクワ」と改名されました。
1998年5月13日、除籍される親衛警備艦「クラースヌイ・カフカース」から親衛称号を受け継ぎました。

ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦国防省報道サービス・情報管理部発表
2012年11月8日16時06分配信
【太平洋艦隊及び黒海艦隊の戦闘艦船支隊は遠距離航海へ向かう】

ロシア海軍総司令部は、戦闘訓練任務、重要な海域における海軍の存在、アフリカの角及びソマリア沿岸における民間船航行の安全を保障する為に太平洋艦隊及び黒海艦隊の戦闘艦船支隊を遠海ゾーンへの遠距離航海へ向かわせる事を決定した。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」、中型海洋給油船「イルクト」、救助曳船「アラタウ」が含まれる太平洋艦隊戦闘艦船支隊は、11月2日に主要基地のウラジオストク市を去り、アラビア海へ進路を取った。

航路の途中、艦船支隊は、インド共和国海軍との共同演習の為、ムンバイへ寄港する予定である。
更に艦船は、タイ、南朝鮮、セイシェル諸島の港を訪問する。

同時に、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、警備艦「スメトリーヴイ」、大型揚陸艦「サラトフ」、「ノヴォチェルカッスク」、保障船で構成される黒海艦隊戦闘艦船支隊は、海洋へ出航し、訓練を完了する。

(黒海)艦隊の主要基地セヴァストーポリ市からの出航は、2段階に分けて行われ、最終的には地中海の指定海域で支隊が形成される。
スエズ運河への航路の途中、戦闘艦は地中海で一連の戦闘訓練施策を実施する。

11月末、黒海艦隊戦闘艦船支隊スエズ運河を通過し、12月初頭にはソマリア沿岸で任務を開始する。
この他、戦闘任務を実施する黒海艦隊将兵は、物資補充と乗組員の休養の為、幾つかの外国の港への業務寄港を予定している。

太平洋艦隊及び黒海艦隊の戦闘艦船支隊の遠距離大洋航海計画によると、ロシア海軍将兵は、海賊対処任務を解決し、アフリカの角及びアデン湾エリアにおける民間船航行の安全を保障しなければならない。

艦船支隊による海賊対処活動は、アデン湾において海賊対処の為の国際作戦を管理するNATO海軍部隊司令部との緊密な協力の元に実行される。


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

記事中にあるように、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊は、11月2日にウラジオストクを出港しました。
[ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した]
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今回のロシア国防省(正確にはロシア海軍総司令部)発表によると、これに加えて黒海艦隊の以下の艦船もソマリア沖へ向かうとの事です。

親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」
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警備艦「スメトリーヴイ」
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大型揚陸艦「サラトフ」
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大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」
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この内、警備艦「スメトリーヴイ」は、イタリア海軍との合同演習に参加する為、既に地中海へ出航しており、現在はイタリアに滞在しています。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2012年11月8日16時49分配信
【イオニア海においてロシア-イタリア演習「イオネクス-2012」の海洋段階が開始された】

「スメトリーヴイ」には、海洋曳船MB-304が随伴しています。

イタリア訪問を終えた後、「スメトリーヴイ」は、セヴァストーポリを出港する他の艦と地中海で合流し、ソマリア沖へ向かうという事でしょう。
海洋曳船MB-304も同行するかもしれません。


大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」も地中海へ出ており、10月末にギリシャを訪問しています。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2012年10月29日15時21分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」はギリシャのサロニカ港を去った】

「ノヴォチェルカッスク」は、ギリシャを去った後も地中海で引き続き遠距離航海任務を遂行するとの事ですから、同艦も「スメトリーヴイ」や後続の艦と地中海で合流し、ソマリア沖へ向かうのでしょう。


大型揚陸艦「サラトフ」は、プロジェクト1171(アリゲーター級)の1番艦です。
同艦は1966年8月18日に就役しており、今年(2012年)で艦齢46年になります。
[揚陸艦アリゲーター型1番艦「サラトフ」近況]


なお、黒海艦隊「モスクワ」と「スメトリーヴイ」は、2003年春にもインド洋への遠距離航海を実施しています。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その2・黒海艦隊ロケット巡洋艦モスクワ]
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その3・黒海艦隊の警備艦]

この時、アデン湾(ソマリア沖)は、ただ単に通過しただけですが、今回は、アデン湾で任務を遂行します。

同時期、太平洋艦隊からも大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」などがインド洋に派遣され、黒海艦隊「モスクワ」や「スメトリーヴイ」等と行動を共にしました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その1・太平洋艦隊のウダロイ級駆逐艦]

それから9年の時を経て、「モスクワ」と「スメトリーヴイ」は、再び「マルシャル・シャーポシニコフ」と一緒に行動する事になりそうです。

ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した

本日(11月2日)、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊ウラジオストクを出港しました。
[大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは11月初頭にアデン湾へ向かう]
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区広報サービス発表
2012年11月2日10時41分配信
【大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」はアフリカの角へ進路を取った】

11月2日、ウラジーミル・ウドヴェンコ少将が指揮する太平洋艦隊艦船支隊は、祖国の港を去り、民間船航行の安全を保障する任務を遂行する為、アラビア海へ進路を取った。

支隊は、太平洋艦隊に所属する大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」中型海洋給油船「イルクト」救助曳船「アラタウ」で構成される。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦長アンドレイ・クズネツォフ1等海佐によると
「艦の乗組員は、与えられた任務を果たす準備が出来ています。
艦の機器及び兵器は、通常モードで動作しております」


アデン湾への航路の途中、ロシア海軍将兵は、インドの同僚が居るムンバイ港を訪問する。
寄港中に、インド共和国海軍艦船と「SAREX」のような合同演習の実施が計画されている。

戦闘勤務中に太平洋艦隊将兵は、タイ南朝鮮ジブチ及びセイシェル諸島を業務寄港の為に訪問する。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦上には、以前にロシアでの訓練と国際海賊対処の経験を経た2機のヘリコプターKa-27から成る航空隊と太平洋艦隊海軍歩兵部隊が載っている。

想い起して欲しい。
2010年5月、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、海賊からロシアタンカー「モスクワ大学」を解放するという前例の無い作戦を実施した事を。
この複雑な作戦は、イリダル・アフメロフ1等海佐の指揮下で行なわれた。


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより
2012年11月2日13時11分配信
【太平洋艦隊艦船支隊はウラジオストクを去り、アデン湾へ進路を取った】


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[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


これに続く14番目のロシア海軍海賊対処部隊は、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」が中核となります。

記事中でも触れられていますが、「マルシャル・シャーポシニコフ」は2010年5月にもアデン湾へ行っています。

この時には、ソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

この事件はロシアで映画化されます。
[アデン湾における大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフの活躍を描いた映画が撮影される]

アフメロフ氏は、その後、2011年12月に12番目の「アドミラル・トリブツ」部隊の指揮官としてアデン湾へ行き、帰港後、沿海地方異種戦力連合小艦隊司令官代理(副司令官)に昇格しました。

ロシアはIl-38のジブチ配備をフランスに求めた

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ロシア連邦は2機の航空機Il-38のジブチ基地への配置をフランスに依頼した】
パリ(フランス)、10月31日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア連邦は、同地域の海賊に対処する為、2機のロシアの偵察航空機Il-38ジブチ基地への配置をフランスに依頼した。
ロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは記者団に伝えた。

「私共は、海賊に対処する為、3機のフランス航空機に加えて、2機の偵察航空機のジブチ航空基地への配置をフランス側に依頼しました」
彼は話した。

このように、ロシアは、同地域における偵察航空機の配備数を5機に増やす事を望んでいる。
ロシア国防長官は説明した。

セルジュコフは、ロシアが海賊対処での協力を重要な側面と考えている事を強調した。
「私共の艦は、アデン湾における航行の安全を確保する為、緊密に協力しております」
セルジュコフは話した。

彼は強調した。
ロシア連邦国防省は、次の分野におけるパートナーシップの発展に関心を持っている事を。
それは、海賊活動ゾーンにおける水上環境の情報、アフリカの角エリアにおける合同海軍演習、艦における組織的な相互医療支援、民間船の共同護衛である。

アデン湾及びアフリカの角エリアは、ソマリア海賊の活発な行動により危険である。
彼らは定期的に船舶を乗っ取り、身代金を要求している。

ロシア海軍の艦船は、海賊攻撃の回数が多い特徴を有するエリアへ定期的に滞在し、海軍力を使用する計画を提供する。

2008年10月以降、ロシア連邦海軍アデン湾ソマリア沖においてロシアの海洋船舶航行を保護する為の任務を実施している。
1年間に、4~5回の航海が行なわれた。
海賊との戦いの全期間に渡り、ロシア戦闘艦は、民間船への損失を全く被らずに約700の船団を先導した。

2010年5月、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、海賊に乗っ取られたロシアタンカー「モスクワ大学」を解放するという前例の無い作戦を実施した。
この複雑な作戦は、イリダル・アフメロフ1等海佐の指揮下で行なわれた。

同船上には、23名のロシア人船員が乗っていた。
86000トンの石油を積んだタンカーは、紅海から中国へ向かっていた。
襲撃を受けた船及びロシア海軍将兵に負傷者は居なかった。10名の海賊が拘束され、あとの1名は死亡した。
(2012年10月31日18時20分配信)


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍航空隊アデン湾への進出に関しては、2009年12月、当時のロシア連邦NATO駐在代表(現在はロシア連邦副首相)ドミトリー・ロゴージンが述べています。
[ロシア海軍航空隊、ソマリア沖に進出?]

それから3年後、パリを訪問したロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは、フランス側との会談でロシア海軍航空隊アデン湾進出の件を持ち出してきました。

対潜哨戒機Il-38は、太平洋艦隊及び北方艦隊に合計15機程が配備されています。
[ロシア北方艦隊は近代化された対潜哨戒機Il-38Nを受領した]

太平洋艦隊所属のIl-38
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北方艦隊所属のIl-38
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近代化型Il-38N
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これらのIl-38が、2機ずつ交代でアデン湾(ジブチ基地)へ派遣され、ジブチに駐留するフランス海軍の哨戒機と合同でアデン湾のパトロールを実施するという事でしょう。


ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


記事中でも触れられていますが、太平洋艦隊の大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、2010年5月、アデン湾においてソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは11月初頭にアデン湾へ向かう

太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とする次のロシア海軍アデン湾海賊対処部隊は、11月初頭に出港するようです。
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区広報サービス発表
2012年10月26日10時22分配信
【次の太平洋艦隊艦船支隊は船舶航行の安全を保障する為にアデン湾へ行く】

船舶航行の安全を保障する任務を遂行する為にアフリカの角エリアへ出航する艦船支隊の最後の準備は太平洋艦隊主要基地ウラジオストクで行なわれている。

11月初頭、ウラジーミル・ウドヴェンコ少将が指揮する支隊は祖国の港を去り、アラビア海へ進路を取る。
既に8番目となる支隊は、太平洋艦隊に所属する大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」中型海洋給油船「イルクト」救助曳船「アラタウ」で構成される。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦長アンドレイ・クズネツォフ1等海佐は強調した。
「艦の乗組員は、海洋への出航を統制し、航行中の様々な緊急事態に対処する為の10以上の小規模演習を行ないました。
構成員は、与えられた任務を果たす準備が出来ています。
艦の機器及び兵器は、通常モードで動作しております」


想い起して欲しい。
2010年5月、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、海賊からロシアタンカー「モスクワ大学」を解放するという前例の無い作戦を実施した事を。
この複雑な作戦は、イリダル・アフメロフ1等海佐の指揮下で行なわれた。


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


これに続く14番目のロシア海軍海賊対処部隊は、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」が中核となります。

記事中でも触れられていますが、「マルシャル・シャーポシニコフ」は2010年5月にもアデン湾へ行っています。

この時には、ソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

この事件はロシアで映画化されます。
[アデン湾における大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフの活躍を描いた映画が撮影される]


アフメロフ氏は、その後、2011年12月に12番目の「アドミラル・トリブツ」部隊の指揮官としてアデン湾へ行き、帰港後、沿海地方異種戦力連合小艦隊司令官代理(副司令官)に昇格しました。

ロシア海軍は2013年にアデン湾海賊対処任務を再開する

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『イタル-タス通信』より
【2013年、ロシア海軍艦船はアデン湾エリアへの航海を少なくとも3回実施する】
モスクワ、10月16日/イタル-タス

(ロシア)海軍総司令部は、海賊との戦いを継続する為、2013年のロシア艦船のアデン湾及びアフリアの角エリアにおける常時滞在計画の研究を終える。

「現在は審議中であり、10月末には、海賊活動によって影響を受ける同海域の民間船の安全保障に(ロシア)海軍の全ての艦隊の艦船が参加する提案が総司令部に承認されるでしょう」
本日(10月16日)、イタル·タスは、(ロシア)海軍の公式代理人より伝えられた。

「2013年に、海軍艦船は、海賊攻撃阻止任務の為、アデン湾及びアフリカの角エリアへ少なくとも3度の航海を実施するでしょう。
艦は、全ての艦隊から交互に同エリアへ派遣されます。
主な活動は、危険海域を通過する民間船コンボイの先導です。
航路は、アデン湾回廊からアラビア海へ抜け、そこから引き返します。
この間、西部及び東部のポイントで、民間船コンボイが形成されます」

彼は述べた。

アデン湾における海軍力使用の実務経験は、海賊対処任務を解決する為には
「遠方及び大洋ゾーンでの行動を意図し、ヘリコプター複合体を装備する艦が最も適している事が示されました」
代理人は付け加えた。

民間船を保護するロシア海軍の活動は、2009年11月30日の国際連合安全保障理事会決議1897号及び2003年9月3日のロシア連邦大統領令・第1847号に沿って行なわれている。

2008年10月以降、(ロシア)海軍アデン湾ソマリア沖においてロシアの海洋船舶航行を保護する為の任務を実施している。
1年間に、4.5回の航海が行なわれた。
海賊との戦いの全期間に渡り、ロシア戦闘艦は、民間船への損失を全く被らずに約700の船団を先導した。
(2012年10月16日16時43分配信)


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


アデン湾で行動中の大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
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アデン湾に派遣された水上戦闘艦は、大型対潜艦「ウダロイ」型(プロジェクト1155/11551)警備艦「ネウストラシムイ」型(プロジェクト11540)です。

「ウダロイ」型は、改型の「アドミラル・チャバネンコ」も含め、太平洋艦隊及び北方艦隊に所属する稼働状態に在る艦全てが派遣されました。
太平洋艦隊「ウダロイ」型は、「マルシャル・シャーポシニコフ」を除いて2回アデン湾へ派遣されています。

バルト艦隊「ネウストラシムイ」型は、1番艦が2回派遣されていますが、2009年に就役した2番艦「ヤロスラフ・ムードルイ」は未だ派遣されていません。

戦闘艦はバルト艦隊、太平洋艦隊、北方艦隊から派遣されていますが、この他に黒海艦隊から支援船(給油船及び救助曳船)が派遣されています。

今回の記事から推察すると、ロシア海軍部内で、今後もアデン湾海賊対処任務を続けるか否かの検討が行なわれ、結局、今後も継続する事が決定されたのでしょう。

ロシアには、ヨーロッパ方面から極東方面、或いはその逆を行き来する船舶が多数存在しており、これらの船舶はアデン湾を通過します。
ロシア海軍関連では、つい最近、新世代コルベットの上部構造物がサンクトペテルブルクからアデン湾経由で極東へ海路輸送されています。
[新型コルベット「ソヴェルシェンヌイ」の上部構造物はコムソモリスク-ナ-アムーレに到着した]

これらの船舶を保護する為、即ち航路保護の為、ロシア海軍アデン湾海賊対処任務を続行しなければならないのです。
・・・・ソマリア海賊が居なくなるまでは。

2013年に派遣される水上戦闘艦も、「ウダロイ」型「ネウストラシムイ」型になるでしょう。


今回の記事によると、アデン湾海賊対処任務に適しているのは「遠方及び大洋ゾーンでの行動を意図し、ヘリコプター複合体を装備する艦」という事ですが、2014年及び2015年、ロシア海軍には、この条件に最も適している艦が就役する予定です。

それはヘリコプター空母「ウラジオストク」型(ロシア海軍向けの「ミストラル」級)です。

因みに、フランス海軍「ミストラル」型は、アデン湾海賊対処任務に参加した事が有ります。

この他、黒海艦隊向けにフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」型(プロジェクト11356M)が建造中であり、1番艦は2014年就役予定です。

プロジェクト11356Mは、アデン湾海賊対処任務などに使用する事が想定されています。

給油船イワン・ブブノフはセヴァストーポリへ帰港した

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」は母港セヴァストーポリへ戻った】
2012年9月10日

2012年9月7日、黒海艦隊大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」は、約5ヶ月に渡る遠距離航海を終え、母港セヴァストーポリへ戻った。

航海中、給油船は、地中海及び紅海で任務を遂行した。

給油船「イワン・ブブノフ」は、アフリカの角海域で民間船の安全保障任務を遂行する北方艦隊大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」への物資補充を行なった。
その後、大型対潜艦は、紅海で第5の商船団の先導を開始した。

既に地中海「イワン・ブブノフ」は、他の北方艦隊艦船へ燃料と水を補充している。

1000海里以上を航行した給油船が母港へ戻った時、伝統であるパンと塩で迎えられた。

大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」は、4月15日、海賊対処任務に従事するロシア海軍の活動を保障する任務を遂行する為、セヴァストーポリ港を出航した。

プロジェクト1599V大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」は、レニングラード市バルト造船工場で1974年4月20日に進水した。
1975年7月19日、同船は海軍の編制へ加入し、旗が掲揚された。

[主要目]
排水量:22450トン
全長:162.3メートル
幅:21.4メートル
吃水:9.0メートル
最大速力:17ノット
動力装置:ディーゼル、1基の「スルザー」ディーゼル、1軸、9600馬力
航続距離:速力16ノットで10000海里
容量:燃料8250トン、ディーゼル燃料2050トン、航空燃料1000トン、潤滑油250トン、水450トン、飲料水450トン、食料220トン
乗員:93名



[ロシア海軍補給艦ボリス・チリキン級]
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ロシア黒海艦隊所属の大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」は、4月中旬にアデン湾へ向かいました。
[黒海艦隊の給油船イワン・ブブノフはアデン湾へ行く]
[ロシア海軍海賊対処部隊は地中海で合流した]

アデン湾における海賊対処任務を終えた後、地中海へ戻り、今度はセヴェロモルスクから地中海へ遠征する大型揚陸艦3隻などで構成される艦隊合同グループと合流しました。
[ロシア海軍合同艦船グループは地中海東部で元アデン湾海賊対処部隊と合流する]
[ロシア海軍合同艦船グループは地中海東部で洋上補給を行なう]

その後は、地中海で行動するバルト艦隊警備艦2隻に随伴しました。
[ロシア海軍艦船グループは北大西洋と地中海で任務を遂行する]

そしてバルト艦隊警備艦2隻とも別れ、母港セヴァストーポリへ帰ってきました。
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大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフはアデン湾海賊対処任務を終えた

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北方艦隊所属の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、アデン湾(ソマリア沖)海賊対処任務を終え、帰路に就きました。


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
2012年7月19日
【軍艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は地中海へと去った】

大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、アデン湾並びにアフリカの角海域において14隻の民間船の航行の安全を保障しました。
それは、マーシャル諸島、マルタ、パナマ、トルコ、リベリア、香港、サウジアラビア、シンガポール船籍などの船が含まれます。

既に「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」スエズ運河を通過して地中海入りしています。


2012年7月19日
【黒海艦隊の保障船は、アデン湾における任務を完了した】

大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」に随伴していた黒海艦隊給油船「イワン・ブブノフ」海洋曳船MB-304スエズ運河を通過して地中海入りしています。


北方艦隊所属の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、4月6日にセヴェロモルスクを出港しました。
[北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはアデン湾へ向かった]

4月16日、「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」ジブラルタル海峡を通過し、その後、スペインセウタに寄港しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはジブラルタル海峡を通過した]

4月下旬にはギリシャクレタ島北西部スーダ港を訪れました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはクレタ島を訪問した]

4月29日、地中海東部で黒海艦隊給油船「イワン・ブブノフ」及び海洋曳船MB-304と合流しました。
[ロシア海軍海賊対処部隊は地中海で合流した]

5月初頭、サウジアラビアジェッダを訪問しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ、サウジアラビア訪問]

5月15日、「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」アデン湾における海賊対処任務を開始しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフはアデン湾で海賊対処任務に就いた]

「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、合計で5つの民間商船キャラバンを護送しました。


これで、ロシア海軍に在籍するプロジェクト1155/11551大型対潜艦9隻の内、予備役に編入されている「アドミラル・ハルラモフ」以外の8隻全てがアデン湾海賊対処任務に参加しました。

大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラーコフは4度目の船団護衛を開始する

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『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【大型対潜艦は、アデン湾を通過するロシア人船員の乗る船を送り届ける】
モスクワ、6月20日-ロシア通信社ノーボスチ

北方艦隊大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」は、アデン湾を通過する最初のロシア人船員の乗る船舶コンボイの先導を開始した。
水曜日、ロシア北方艦隊広報サービス部長代行エフゲニー・キリーロフ2等海佐は発表した。

「大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラーコフは、アデン湾において4番目の船団の先導を開始しました。
この船団は、ソマリア海賊の活動が活発な海域における戦闘当直において、初めてロシア人船員の乗る2隻の石油タンカー"トランスシブ-ブリージ"及び"タウリチェスキー-ブリージ"(両方ともリベリア船籍)、そしてシンガポール船籍の商船で構成されています」

彼は述べた。

ロシア連邦北方艦隊の代理人によると、大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」乗組員は、アラビア海及びアデン湾を通過し、長さ1000海里以上の紅海東部の指定ポイントまで外国船舶に随伴する。
今年6月23日、「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」は、5番目の船団の支援を開始する予定である。

大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」は、5月からアデン湾及びアフリカの角における民間船舶航行を保護する任務に就いた。
以前、世界の大洋の同海域において、北方艦隊の他の艦艇は、商船団の先導を成功裏に実施した。
それは、重原子力ミサイル巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、「アドミラル・チャバネンコ」、「アドミラル・レフチェンコ」が含まれる。
北方艦隊将兵は、合計で30以上の国際船団を先導し、100隻以上のロシアおよび外国船を護衛し、紅海及びインド洋海域で海賊に襲撃された貨物船「オーシャン·ダイヤモンド」およびタンカー「ユナイテッドエンブレム」の乗っ取りを防いだ。

ロシア海軍は、2008年以来、海賊と戦う為にアデン湾海域及びソマリア沖においてパトロールを行なう国際部隊へ参加している。

海賊の活動は減少している。
4月、AP通信は国際海事局による報告書を引用し、2012年第1クオーター(1~3月)は、前年の同じ時期と比較してアフリカ沖での海賊攻撃数が減少したと報じた。
同局によると、その理由は、アデン湾において効果的な活動を行なっている国際部隊にある。
(2012年6月20日10時11分配信)


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北方艦隊所属の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」は、4月6日にセヴェロモルスクを出港しました。
[北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはアデン湾へ向かった]

4月16日、「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」ジブラルタル海峡を通過し、その後、スペインセウタに寄港しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはジブラルタル海峡を通過した]

4月下旬にはギリシャクレタ島北西部スーダ港を訪れました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはクレタ島を訪問した]

4月29日、地中海東部で黒海艦隊給油船「イワン・ブブノフ」及び海洋曳船MB-304と合流しました。
[ロシア海軍海賊対処部隊は地中海で合流した]

5月初頭、サウジアラビアジェッダを訪問しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ、サウジアラビア訪問]
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今回のロシア海軍海賊対処部隊は、この3隻で構成されています。

大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」(北方艦隊)
大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」(黒海艦隊)
海洋曳船MB-304(黒海艦隊)


大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」は1982年に就役しましたが、1991年以降は活動を停止し、クロンシュタットに係留されたまま放置状態でした。
[ウダロイ級2番艦ヴィツェ・アドミラル・クラコフ]
[大型対潜艦「クラコフ海軍中将」就役28周年]

しかし、2002年以降にサンクトペテルブルクで修理が開始され、2010年に現役復帰しました。

「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」乗員は、ロシア海軍で初めて契約軍人(志願兵)のみで構成されています。
[北方艦隊の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコフ」乗員は、契約軍人だけで構成される]

なお、記事中において原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」の名前が出てきますが、正確には、同艦は海賊対処任務の為にアデン湾へ派遣されたわけではなく、2008年秋からの半年に渡る遠距離航海の一環として2009年初頭にインド西岸を訪問し、その帰りにアデン湾を通過する途中、ソコトラ島沖でソマリア海賊と遭遇し、これを拘留したものです。
[ロシア海軍原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、3隻の海賊船を拘留]

[ロシア艦隊の大西洋・カリブ海遠征]

大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフは2度目の船団護衛を開始する

現在、アデン湾で海賊対処任務に就いているロシア北方艦隊大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、2度目の商船団護衛に取り掛かります。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフはアデン湾で海賊対処任務に就いた]
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『アルムス-タス』より。
【大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、アデン湾における2番目の民間船団の編成を完了する】
ムルマンスク、5月24日(アルムス-タス)

本日(5月24日)、北方艦隊大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、海賊対処当直の枠内において、アデン湾を経由した民間船団の編成を完了する。
船団には、マルタ及びリベリア船籍の商船が含まれる。
北方艦隊公式代理人ワジム・セルガ1等海佐は「イタル-タス」に伝えた。

「明日、大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフの乗組員は、給油船イワン・ブブノフから物資を補充します。
その後、紅海の指定海域で新たな船団を形成し、アデン湾海域を経由する反対方向の"安全保障回廊"へ向かいます」

セルガは述べた。

大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、 4月6日に北方艦隊主要基地セヴェロモルスクを出発した。
これまでに、同艦は約9000海里を航行した。
4月、大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、スーダ港(ギリシャ)への業務寄港を終えた。
同艦の士官及び海軍歩兵グループは、国際海賊対処行動の為の海洋特殊操作訓練センターを訪問するユニークな機会を得た。
北方艦隊将兵は、外国の同僚と海賊対処行動に関する経験を交換し、実地訓練を行なった。

5月14日、ロシア戦闘艦は、アデン湾において民間船を保護する任務に就いた。
(2012年5月24日14時50分配信)


北方艦隊所属の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は、4月6日にセヴェロモルスクを出港しました。
[北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはアデン湾へ向かった]

4月16日、「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」ジブラルタル海峡を通過し、その後、スペインセウタに寄港しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはジブラルタル海峡を通過した]

4月下旬にはギリシャクレタ島北西部スーダ港を訪れました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコフはクレタ島を訪問した]

4月29日、地中海東部で黒海艦隊給油船「イワン・ブブノフ」及び海洋曳船MB-304と合流しました。
[ロシア海軍海賊対処部隊は地中海で合流した]

5月初頭、サウジアラビアジェッダを訪問しました。
[大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ、サウジアラビア訪問]


大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」は1982年に就役しましたが、1991年以降は活動を停止し、クロンシュタットに係留されたまま放置状態でした。
[ウダロイ級2番艦ヴィツェ・アドミラル・クラコフ]
[大型対潜艦「クラコフ海軍中将」就役28周年]

しかし、2002年以降にサンクトペテルブルク造船工場「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」で修理及び近代化改装が開始され、2010年に現役復帰しました。
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2011年8月には攻撃ヘリコプターKa-52の発着試験を行ないました。
[攻撃ヘリKa-52、大型対潜艦「海軍中将クラコフ」で発着試験(2011年8月31日)]

「ヴィツェ-アドミラル・クラコーフ」乗員は、ロシア海軍で初めて契約軍人(志願兵)のみで構成されています。
[北方艦隊の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラコフ」乗員は、契約軍人だけで構成される]