ロシアはインド海軍の空母ヴィクラマーディティヤの定期修理を援助する
- カテゴリ:空母ヴィクラマーディティヤ


『タス通信』より
2021年2月4日6時34分配信
【ロシアからの専門家は航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」の修理を援助する】
バンガロール、2月4日/タス通信
ロシアの専門家は、インド海軍の航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」のメンテナンスに関わる。
『タス通信』は、国際航空サロン『アエロ・インディア-2021』の最中に株式会社『ロソボロネクスポルト』(国営法人『ロステック』に加入)より伝えられた。
「ロシアの専門家は、インド側の依頼により、計画日常修理への参加を計画しております」
『ロソボロネクスポルト』は通知した。
航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」は、重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」を高度に近代化したものであり、作業はロシアの造船所『セヴマシュ』(『統合造船業営団』へ加入)で実施された。
艦はインド海軍へ2013年11月16日に引き渡された。
航空母艦の排水量は45000トン、その航空団の構成には、20機のMiG-29K/KUBと10機のヘリコプターが含まれる。
[空母ヴィクラマーディティヤ]


航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」は、元々はソヴィエト連邦海軍のプロジェクト11434(改キエフ型)重航空巡洋艦「バクー」としてウクライナの黒海造船工場で建造され、1978年12月26日に起工、1982年3月31日に進水、1987年12月11日にソヴィエト連邦海軍へ引き渡され、12月20日に海軍旗を初掲揚しました。

プロジェクト11434は当初から超音速垂直離着陸艦上戦闘機Yak-141の搭載・運用を前提に設計されておりましたが、肝心のYak-141が「バクー」就役に間に合わず、従来のYak-38が搭載されました。

1988年12月17日、北方艦隊基地セヴェロモルスクに到着しました。

1990年10月4日、「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」(ソヴィエト連邦海軍元帥ゴルシコフ)と改名されました。
「本命」の艦載機Yak-141の試験は「アドミラル・ゴルシコフ」艦上で何度か実施されましたが、1991年10月5日に試作機が墜落事故を起こし、その後、開発は中止されました。


[Yak-141墜落事故(1991年10月5日)]
[ファーンボローのYak-141]
[モニノ空軍博物館のYak-141]
ソ連邦解体後は洋上へ出る事も無くなり、ムルマンスクに係留されました。

1999年7月、セヴェロドヴィンスク市へ回航されてきました。

2004年1月20日にインドへ売却され、同年3月5日、ロシア海軍旗の降納式が行なわれました。
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その1]
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その2]
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その3]
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その4]
2005年11月30日、セヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所の屋外特設造船台に入渠しました。
[空母ヴィクラマーディティヤ、ドック入り(2005年11月30日)・その1]
[空母ヴィクラマーディティヤ、ドック入り(2005年11月30日)・その2]
[空母ヴィクラマーディティヤ、ドック入り(2005年11月30日)・その3]
そして大規模な改造工事(プロジェクト11430改造)が始まりました。
[プロジェクト11430(ヴィクラマーディティヤ)]

この工事により、「ヴィクラマーディティヤ」の寿命は30年延長されました。
当初は2008年末にインドへ引き渡す予定でしたが、セヴマシュが水上艦に不慣れだった事と資金面の問題により、2012年末に延期されました。
[ロシアは、航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」改装工事の新たな日程を示した]
[ロシア政府は、「アドミラル・ゴルシコフ」改装工事についての問題点を解決する(イタル・タス)]
「ヴィクラマーディティヤ」は2008年12月4日に再進水しました。

[インド空母「ヴィクラマーディティヤ」進水]
[インド空母「ヴィクラマーディティヤ」進水(2008年11月~12月4日)]
当初の契約価格は搭載機込みで15億ドルでしたが、ロシア側は作業量増大による増額を求め、最終的には23億ドルで合意されました。
[インド首相とロシア大統領は空母「ヴィクラマーディティヤ」問題について話し合う]
[インドは空母「ヴィクラマーディティヤ」の為に23億ドルを支払う]
2010年1月の時点で完成度70パーセントでした。
[空母「ヴィクラマーディティヤ」は70パーセント完成している]
2012年6月8日、「ヴィクラマーディティヤ」の航海試験が開始されました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤは航海試験の為に出航した]
[インド空母ヴィクラマーディティヤの最初の航海試験は成功裏に完了する]
[インド空母ヴィクラマーディティヤの第2段階航海試験が実施された]
搭載機の試験も実施されました。
[艦上戦闘機MiG-29KUBはインド空母ヴィクラマーディティヤへ初着艦した]
当初は順調に進んでいた航海試験でしたが、機関の全力運転を実施した矢先に3基のボイラーが損傷し、2012年12月にインド海軍へ引き渡す予定は延期される事になりました。
ボイラー損傷の原因は、耐熱材としてアスベストの代わりに使われた耐火レンガでした。
[空母ヴィクラマーディティヤ、引渡し延期?]
[空母ヴィクラマーディティヤに使われている外国製品に問題が生じた]
航海試験は中止され、セヴェロドヴィンスクへ戻って修理を受ける事になりました。
[空母ヴィクラマーディティヤは23ノットでセヴェロドヴィンスクへ向かっている]
[空母ヴィクラマーディティヤ、セヴェロドヴィンスク入港(2012年9月23日)]
ボイラー損傷の原因となった断熱材の耐火レンガは、全てアスベストに交換される事になりました。
[インドは空母ヴィクラマーディティヤのボイラーへのアスベスト使用に同意した]
修理完了後、2013年7月3日に再び白海へ出港し、7月5日より航海試験が始まりました。

[インド空母ヴィクラマーディティヤは航海試験へ出発する]
[インド空母ヴィクラマーディティヤは白海で航海試験を始めた]
[インド空母ヴィクラマーディティヤは白海で各種機器を点検する]
7月28日夜、機関の全力運転試験(最大速力試験)を実施しました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤは29ノット以上を出した]
2012年の航海試験では最大速力を出そうとした矢先にボイラーの耐熱材が崩れ落ち、ボイラーが損傷しましたが、2013年の試験では、そのようなトラブルも無く、航海試験は成功裏に終わりました。
8月5日夜、バレンツ海で航空機関連の試験が始まりました。
[空母ヴィクラマーディティヤから艦上戦闘機Su-33とMiG-29KUB/MiG-29Kのフライトが実施される]
8月24日、艦載機の夜間着艦に成功しました。
[空母ヴィクラマーディティヤの夜間着艦試験は成功した]
「ヴィクラマーディティヤ」の海洋試験は順調に進行しました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤの海洋試験はスケジュール通りに進んでいる]
全ての海洋試験を完了した「ヴィクラマーディティヤ」は、9月21日にセヴェロドヴィンスクへ戻りました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤは全ての海上試験を成功裏に終えてセヴェロドヴィンスクへ戻った]
紆余曲折は有ったものの、「ヴィクラマーディティヤ」の経験は、ロシア造船業界が航空母艦を建造する能力を得る事に貢献しました。
[空母ヴィクラマーディティヤはロシア造船業の空母建造経験の回復に役立った]
2013年11月16日、「ヴィクラマーディティヤ」はインド海軍へ引き渡されました。
[重航空巡洋艦アドミラル・ゴルシコフ改め航空母艦ヴィクラマーディティヤはインド海軍へ引き渡された]
その10日後の11月26日、移動準備を完了したR33「ヴィクラマーディティヤ」はインドへ向かう為にセヴェロドヴィンスクを出港しました。
[空母ヴィクラマーディティヤはセヴマシュとセヴェロドヴィンスクに別れを告げた]
セヴェロドヴィンスクを出た後、「ヴィクラマーディティヤ」は白海に投錨し、燃料補給と通関手続きを終えた後、12月2日に抜錨、ムルマンスクへ向かいました。
[空母ヴィクラマーディティヤは白海を抜錨し、ムルマンスクへ向かった]
12月5日、コラ湾内(ムルマンスク沖)に投錨しました。
[空母ヴィクラマーディティヤはムルマンスク沖に投錨した]
12月7日夜、コラ湾を抜錨し、新たな祖国インドへ向かいました。
[空母ヴィクラマーディティヤはコラ湾を抜錨し、新たな祖国へと向かった]
12月16日にはポルトガルのリスボンに滞在していました。
[空母ヴィクラマーディティヤはリスボンに居る]
「ヴィクラマーディティヤ」は、2013年12月20日にジブラルタル海峡を通過して地中海入りし、12月27日早朝にはスエズ運河を通過しています。

2014年1月4日にはアラビア海に到着し、インド海軍のベテラン空母「ヴィラート」に出迎えられました。
[空母ヴィクラマーディティヤ、アラビア海に到着]
2014年1月7日、駐留基地となるカルワル海軍基地へ到着しました。
[空母ヴィクラマーディティヤ(旧アドミラル・ゴルシコフ)は新たなる祖国インドへ到着した]

インドへ到着した後も、ロシア側は「ヴィクラマーディティヤ」を稼働状態に維持する為の各種アフターサービスを提供しています。
[インド空母ヴィクラマーディティヤの為の予備パーツがロシアから届けられる]
[ロシアの造船所の技術者はインド空母ヴィクラマーディティヤの舵を修理した]
[ロシアはインド海軍の空母ヴィクラマーディティヤの輸出後のアフターサービスの提供を続けている]
[セヴェロドヴィンスク造船所はインド海軍の空母ヴィクラマーディティヤのメンテナンス契約を締結した]
契約によりロシア側は「ヴィクラマーディティヤ」が就役している間はアフターサービスを提供する義務が有り、それは最長で40年になるかもしれません。
[セヴェロドヴィンスク造船所は40年間に渡りインド海軍空母ヴィクラマーディティヤの保守整備を行なう]
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