ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは2023年末までに原子力水中無人機ポセイドンを搭載して実戦配備へ就く
- カテゴリ:ロシア海軍の特務原潜

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2023年6月22日3時22分配信
【「ポセイドン」を搭載する潜水艦「ベルゴロド」は2023年に海軍へ採用される】
クロンシュタット、6月22日-ロシア通信社ノーボスチ
水中原子力無人機「ポセイドン」を搭載する原子力潜水艦「ベルゴロド」は、2023年にロシア海軍へ軍備採用される。
『ロシア通信社ノーボスチ』は、クロンシュタットの国際海軍サロン(IMDS-2023)会場で海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将より伝えられた。
「大統領が仰ったように、今年に採用します」
エフメノフは話した。
多目的原子力潜水艦「ベルゴロド」は、無人機「ポセイドン」の為の実験潜水艦であり、2019年4月に『セヴマシュ』で進水した。
「ポセイドン」を標準搭載するのは、建造中の原子力潜水艦「ハバロフスク」となる。
これらの潜水艦の全ての特性は機密事項である。
「ポセイドン」の開発は、2018年の連邦教書演説でウラジーミル・プーチンが初めて公表した。
大統領によると、この無人機は、通常弾頭または核弾頭を装備でき、航空母艦グループ、沿岸防御施設及びインフラを含む広範囲の目標の撃破が可能である。

プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)原子力水中巡洋艦K-329「ベルゴロド」は、1992年7月24日にセヴェロドヴィンスク市の生産合同『北方機械製造事業』(セヴマシュ)で起工されましたが、2006年に完成度80パーセント程度で建造工事は凍結されました。
[オスカーII型原潜最終艦、建造中止?]
[未完のオスカーII型原潜ベルゴロド]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」の建造は停止される]
その後、「ベルゴロド」は特殊用途原子力潜水艦へ改造されることになりました。
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は特殊作戦母艦として完成する]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は完成する]

2012年12月20日、「ベルゴロド」は、原子力調査潜水艦プロジェクト09582として、『セヴマシュ』で改めて「起工」されました。
[調査原潜プロジェクト09852は起工された]

当初、「ベルゴロド」は、2018年末までにロシア海軍へ引き渡される予定でしたが、その後、引き渡しは延期され、2018年末までの進水予定も実現しませんでした。
[原子力科学調査潜水艦ベルゴロドは2018年にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍の為の原子力科学調査潜水艦ベルゴロドは2018年末までに進水する]
「ベルゴロド」は、無人潜水艇「クラヴェシン-2」などの有人或いは無人の各種潜水艇を搭載します。
[ロシア海軍の新型無人潜水艇クラヴェシン-2の試験はクリミア半島のフェオドシヤで行なわれている]
この他、現在開発中の大洋多目的システム「ポセイドン」(深海原子力無人機)の搭載母艦としての役割も果たします。
[大洋多目的システム「ポセイドン」]

更には「原子力深海ステーション」、即ち深海調査用の小型特務原子力潜水艦も搭載できます。
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは深海調査用小型原子力潜水艦を搭載する]
「ベルゴロド」は元のプロジェクト949Aよりも船体が30メートル延長され、全長は世界最大の潜水艦プロジェクト941(タイフーン級)よりも10メートル以上長い184メートルとなりました。
(941は172メートル)
プロジェクト941重戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦

2019年4月23日、「ベルゴロド」は『セヴマシュ』で進水しました。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは進水した]
「ベルゴロド」は、2020年にロシア海軍への引き渡しが予定されていました。
[特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは2020年6月に洋上試験を開始し、同年9月にロシア海軍へ引き渡される]
しかし、コロナウイルス流行による遅延(『セヴマシュ』でも感染者が出た)などの理由により、2020年中に洋上試験を開始する事すら実現できず、引き渡しは2021年に延期される事になりました
[セヴェロドヴィンスク造船所で建造されている特殊用途原子力潜水艦ベルゴロド、原子力水中巡洋艦カザンとノヴォシビルスク、戦略用途原子力水中巡洋艦クニャージ・オレグは2021年にロシア海軍へ就役する]


2021年6月25日、「ベルゴロド」は白海へ出航し、最初の洋上試験(工場航行試験)を開始しました。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは洋上試験の準備を進めている]
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは洋上試験を開始した]
「ベルゴロド」は7月24日にセヴェロドヴィンスクへ帰投しました。

[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは最初の洋上試験を終えてセヴェロドヴィンスクへ帰投した]
「ベルゴロド」のロシア海軍への引き渡しは2021年末に予定されていましたが、同年中に洋上試験を完了させる事が出来なかった為、2022年に延期されました。
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドの洋上試験は2021年9月に完了する]
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは2022年に洋上試験を完了する]
2022年6月下旬、「ベルゴロド」は最終洋上試験となる国家試験を開始しました。
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドはバレンツ海で最終洋上試験を行なっている]
国家試験を終えた後にセヴェロドヴィンスクへ戻り、2022年7月8日に就役式典が開催され、BS-329「ベルゴロド」はロシア海軍へ引き渡されました。



[プロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドはロシア海軍へ就役した]
「ベルゴロド」は先ず北方艦隊で試験運用を行ない、その後、太平洋艦隊へ配備されます。
[ロシア海軍の最新特殊用途原子力潜水艦(小型原潜母艦)ベルゴロド]
就役後の「ベルゴロド」の動向は公表されていませんが、2022年10月2日にイタリアの『ラ・レプッブリカ』紙(註:有料記事)は、同艦が原子力水中無人機「ポセイドン」の試験を白海で行なう可能性が有ると報じました。
[ロシア海軍の最新特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは原子力水中無人機ポセイドンの試験を実施する?]
しかし実際に行なわれたのは、「ポセイドン」のモックアップ(実物大模型)の投射試験だったようです。
[ロシア海軍の最新特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは原子力水中無人機ポセイドンのモックアップの投射試験を完了した]
2023年1月中旬には「ポセイドン」の実弾の第1号の製造が完了し、「ベルゴロド」へ搭載されます。
[大洋多目的システム(原子力水中無人機)ポセイドンの製造が始まった]
今回、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ提督は、「ポセイドン」を搭載する「ベルゴロド」は2023年中にロシア海軍へ採用されると言っていますが、既に「ベルゴロド」は就役しているので、おそらくは「ポセイドン」を搭載して実戦配備へ就くという意味でしょう。
「ベルゴロド」に次いで「ポセイドン」システムを搭載可能なプロジェクト09851特殊用途原子力潜水艦「ハバロフスク」(2014年7月27日起工)が『セヴマシュ』で建造されていますが、工事は後回しにされているらしく(『セヴマシュ』は戦略原子力潜水艦と多目的原子力潜水艦も建造している)、進水も予定より大幅に遅れています。
[ロシア海軍の原子力水中無人機ポセイドン搭載特殊用途原子力潜水艦ハバロフスクは2021年秋に進水する]
将来的には、既に就役している「ベルゴロド」と、今後就役する「ハバロフスク」は太平洋艦隊へ配備され、カムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地に駐留する事になります。
[ロシア海軍太平洋艦隊に原子力水中無人機ポセイドン搭載原子力潜水艦の新たな師団が編成される]
「ポセイドン」搭載原子力潜水艦駐留の為のヴィリュチンスク基地のインフラは2024年の完成が予定されており、その後、2024年12月~2025年前半には「ポセイドン」搭載原子力潜水艦の新たな潜水艦師団が編成されます。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中無人機ポセイドン搭載原子力潜水艦駐留の為のカムチャツカ半島のインフラは2024年に完成する]
[2025年にロシア海軍太平洋艦隊へ原子力水中無人機ポセイドン搭載原子力潜水艦の新たな潜水艦師団が編成される]
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