クリル群島(千島列島)のマトゥア島(松輪島)のロシア海軍太平洋艦隊の超音速地対艦ミサイル「バスチオン」部隊は交替した
- カテゴリ:ロシア海軍沿岸部隊(海軍歩兵)

『インテルファクス軍事ニュース出張所』より
2023年5月26日配信
【ロシア軍はクリル諸島のマトゥア島の「バスチオン」要員のローテーションを実施した】
モスクワ、5月26日、インテルファクス-AVN
ロシア太平洋艦隊は、マトゥア島(クリル諸島)で当直に就いているミサイル複合体「バスチオン」要員のローテーションを実施した。
部隊及び装備の計画ローテーションは、大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」により支援されたと太平洋艦隊広報サービスは金曜日に発表した。

「島への当直交代員の輸送活動中、大型揚陸艦アドミラル・ネヴェリスコイは太平洋艦隊のミサイル連合部隊の軍用装備と要員を送り届け、その後、艦上へ戦闘当直を完了した軍用装備と将兵が乗船しました」
艦隊は声明で述べた。
太平洋艦隊によると、沿岸ミサイル複合体「バスチオン」大隊は、2021年12月1日にマトゥア島の隣接海域と海峡ゾーンを監視する24時間当直へ就き始めた。
「太平洋艦隊の沿岸ミサイル複合体バスチオンの要員は、何度も演習や艦隊の抜き打ち査察へ参加し、海上目標への実際のミサイル射撃を成功裏に実施しました」
声明では、こう指摘された。
(2022年)9月6日、マトゥアの「バスチオン」は、戦略演習『ヴォストーク-2022』の最中に有翼ミサイル「オーニクス」の発射を実行したとロシア連邦国防省は伝えた。
複合体「バスチオン」(科学生産合同『機械製造』、コーポレーション『戦術ミサイル兵器』)は、海岸を防護し、様々なクラス及びタイプの水上艦の撃破の為に意図されている。
この複合体はロシア海軍の全ての艦隊へ配備されている。
太平洋艦隊の公式新聞『戦闘当直』は、2016年秋にクリル諸島のイトゥルプ(択捉)島とクナシル(国後)島へ沿岸対艦ミサイル複合体「バスチオン」と「バル」が配置されたと報じた。
2020年12月1日、ロシア連邦国防省は、長距離対空防衛システムS-300V4(コンツェルン『アルマーズ-アンテイ』)がクリル諸島で戦闘当直へ入ったと発表した。
日本は、1855年の貿易及び国境に関する条約を根拠に、クリル諸島南方の4島、イトゥルプ島、クナシル島、シコタン島、ハボマイ島の領有権を主張している。
モスクワの立場は、南クリル諸島は第2次世界大戦後にソヴィエト社会主義共和国連邦へ加わり、国際的な法的枠組みを持つロシアの主権には疑いの余地が無いというものである。
沿岸ミサイル複合体「バスチオン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」(ヤーホント)の地上発射ヴァージョンです。
ロシア海軍では、2009年から黒海艦隊の第11独立沿岸ロケット-砲旅団への配備が始まり、現在は北方艦隊、太平洋艦隊、バルト艦隊にも配備されています。
[北方艦隊]
第536独立沿岸ロケット-砲旅団(スネシュノゴルスク、コテリヌイ島)
[太平洋艦隊]
第72独立沿岸ロケット旅団(沿海地方スモリャノヴォ)
第520独立沿岸ロケット-砲旅団(ペトロパヴロフスク・カムチャツキー、イトゥルプ島、マトゥア島、パラムシル島)
[黒海艦隊]
第15独立沿岸ロケット旅団(セヴァストーポリ)
第11独立沿岸ロケット-砲旅団(クラスノダール地方ウタシュ)
[バルト艦隊]
第25独立沿岸ロケット旅団(カリーニングラード州ドンスコエ)
第55独立沿岸ロケット大隊(クロンシュタット)
黒海艦隊の「バスチオン」部隊はシリアにも派遣されており、2016年11月15日にはシリア領内のテロリスト施設を攻撃しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
2022年2月下旬に始まったロシア連邦軍の『ウクライナ特殊軍事作戦』でも、何度か「バスチオン」がウクライナの地上目標へ使用されています。
[ロシア海軍黒海艦隊の沿岸ミサイル部隊はウクライナ軍の70の各施設を攻撃した]
太平洋艦隊への「バスチオン」配備は2016年から始まり、同年3月初頭、沿海地方のスモリャニノヴォに駐留する第72沿岸ロケット旅団へ配備されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ超音速地対艦ミサイル"バスチオン"が配備された]
[ロシア海軍太平洋艦隊沿岸部隊は超音速地対艦ミサイル"バスチオン"を初めて発射した]
2016年11月下旬には、クリル諸島南部のイトゥルプ島(択捉島)へ「バスチオン」が配備されました。
配備された部隊は、第520独立沿岸ロケット-砲旅団所属の第574独立沿岸ロケット砲大隊です。
[ロシア海軍太平洋艦隊は南クリル(千島)に新型地対艦ミサイルを配備した]
2017年2月、ロシア太平洋艦隊の原潜基地と、更には第520独立沿岸ロケット-砲旅団司令部が在るカムチャツカ半島にも「バスチオン」の配備が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はカムチャツカ半島へ超音速対艦ミサイル"バスチオン"を配備した]
2019年3月、新たな「バスチオン」がカムチャツカ半島へ到着しました。
[カムチャツカ半島へロシア海軍太平洋艦隊沿岸部隊の新たな超音速対艦ミサイル"バスチオン"が到着した]
[ロシア海軍太平洋艦隊は2019年初頭にカムチャツカ半島へ新型地対艦ミサイルを配備した]
2021年12月初頭、クリル諸島のマトゥア島にも「バスチオン」が配備されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)へ超音速地対艦ミサイル"バスチオン"を配備した]
マトゥア島の「バスチオン」は、2022年9月初頭に実施されたロシア連邦軍東方軍管区の戦略指揮参謀演習『ヴォストーク-2022』の最中の9月6日に初めて超音速対艦ミサイルを発射しました。
[クリル諸島(千島列島)のマトゥア島(松輪島)に駐留するロシア海軍太平洋艦隊の地対艦ミサイル「バスチオン」部隊は戦略演習『ヴォストーク-2022』で超音速対艦ミサイルを発射した]
2022年12月初頭にはクリル諸島北部のパラムシル島(幌筵島)へ「バスチオン」が配備されました。
[クリル群島(千島列島)のパラムシル島(幌筵島)へロシア海軍太平洋艦隊の超音速地対艦ミサイル「バスチオン」が配備された]
「バスチオン」(超音速対艦ミサイル「オーニクス」)の射程は300km以上であり、この配置でクリル群島は殆ど全て「バスチオン」の射程内に入りました。

2023年5月26日、マトゥア島の「バスチオン」部隊の将兵は交替しました。
ローテーションでカムチャツカ半島の「バスチオン」部隊の将兵がマトゥア島へ派遣されているようです。
スポンサーサイト