ロシア海軍太平洋艦隊向けの新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトは韓国の釜山港へ寄港した

『タス通信』より
2023年7月1日12時52分配信
【釜山へ「エヴパチー・コロヴラト」が到着した】
タス通信、7月1日
最新砕氷船「エヴパチー・コロヴラト」は、サンクトペテルブルクから将来のカムチャツカの恒久駐留所への移動の枠組みで物資を補充し、乗組員の休養の為に南朝鮮(大韓民国)の釜山港へ到着した。
土曜日に太平洋艦隊広報サービスは発表した。
「太平洋艦隊の為に建造された最新砕氷船エヴパチー・コロヴラトは、物資と食料の在庫を補充し、更には乗組員の休養の為、釜山港(朝鮮共和国)の泊地へ到着しました。
砕氷船は、サンクトペテルブルクから将来の恒久駐留所~ペトロパヴロフスク・カムチャツキーへの移動を行なっています」
声明では、こう述べられた。
船の航行ルートでは、地中海、インド洋、東南アジア海域を通過した。
砕氷船は2023年7月にカムチャツカへ到着し、太平洋艦隊の艦船構成へ加わり、引き続きロシア北東軍集団の担当ゾーンで勤務に就く。
船は、近代化プロジェクト21180Mの下、サンクトペテルブルクの工場『アルマーズ』で建造された。
砕氷船は2018年に起工され、その海軍への受け入れは今年に予定されている。
船の排水量は4000トン以上、全長82メートル、幅19メートル。
それは厚さ1.5メートルまでの結氷を突破でき、船首部分にはヘリコプター発着場が有る。
必要に応じて、砕氷船へ高射砲装置を設置できる。
砕氷船「エヴパチー・コロヴラト」の任務は、遠隔地の守備隊へ貨物を届ける事に加え、結氷条件下での戦闘艦の先導、乗組員の輸送、水路作業である。
プロジェクト21180ディーゼルエレクトリック砕氷船「イリヤー・ムーロメツ」は、2017年11月30日にロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ配備されました。
[新型砕氷船イリヤー・ムーロメツ、ロシア海軍へ就役(2017年11月30日)]
[ロシア海軍の新型砕氷船イリヤー・ムーロメツは北方艦隊基地へ到着した]
海軍向けの砕氷船は、ソヴィエト連邦時代の1960年代(1960年~1970年)にプロジェクト97砕氷船が8隻建造されて以来、ほぼ50年ぶりとなります。
「イリヤー・ムーロメツ」の就役から1年以上経った2018年12月12日、プロジェクト21180M砕氷船の1番船「エヴパチー・コロヴラト」がサンクトペテルブルクの『アルマーズ』造船所で起工されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトは起工された]
プロジェクト21180Mは、プロジェクト21180を小型化した砕氷船であり、基本的な機能は同一です。
プロジェクト21180砕氷船(イリヤー・ムーロメツ)

プロジェクト21180M砕氷船

「エヴパチー・コロヴラト」は2020年11月20日に造船台を出た後、浮きドックへ移されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトは造船台を出た]
浮きドック上の「エヴパチー・コロヴラト」(2020年11月22日)


2020年12月末に浮きドックから進水しました。
2020年12月28日

進水後は『アルマーズ』造船所の岸壁で艤装工事が続けられました。
2021年4月4日

2021年7月21日

2021年9月16日

2021年12月8日

2022年4月19日

2022年6月2日

2022年7月18日

2022年8月7日

2022年8月中旬、「エヴパチー・コロヴラト」は『アルマーズ』造船所の岸壁を離れ、同じサンクトペテルブルク市内の『バルト工場』へ曳航されて行きました。

[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトは最終艤装を行なう]
「エヴパチー・コロヴラト」は、『バルト工場』で上部のマストなどを取り付ける最終艤装工事を行ないました。


2022年12月中旬にフィンランド湾へ出航し、洋上試験の最初の段階である工場航行試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊向けの新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトはバルト海で洋上試験を開始した]


『マリントラフィック』より
【砕氷船「エヴパチー・コロヴラト」】
工場航行試験は12月下旬に完了し、12月28日からは最終洋上試験となる国家試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊向けの新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトはバルト海で最終洋上試験(国家試験)を開始した]
2023年1月25日、「エヴパチー・コロヴラト」はサンクトペテルブルクから出航し、カムチャツカ半島のペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ向かいました。
[ロシア海軍太平洋艦隊向けの新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトはカムチャツカ半島へ行く]
「エヴパチー・コロヴラト」はバルト海を出た後に大西洋、地中海、紅海、アラビア海を通過し、5月11日にはスリランカ沖~ロシア太平洋艦隊の担当海域~へ到達しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊向けの新型砕氷船エヴパチー・コロヴラトはインド洋を通過する]
その後にコルベット「グロームキー」と合流し、同艦にエスコートされてマラッカ海峡とシンガポール海峡を通過しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊のコルベット「グロームキー」はマラッカ海峡とシンガポール海峡を通過する新造砕氷船エヴパチー・コロヴラトをエスコートした]
7月1日には韓国の釜山港へ入港しました。
今後、「エヴパチー・コロヴラト」はペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ向かいます。
ペトロパヴロフスク・カムチャツキー到着後にロシア海軍への就役式典が開催され、太平洋艦隊へ編入されます。
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