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ロシア黒海艦隊の揚陸艦はシリアではなくノヴォロシースクへ到着した

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6月21日にセヴァストーポリを出港したロシア黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」は、6月22日午後に黒海沿岸のノヴォロシースクに入港しました。
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはノヴォロシースクへの輸送任務に就いた]


『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【黒海艦隊揚陸艦はノヴォロシースクへ到着し、シリアへの寄港は無い】
セヴァストーポリ/ノヴォロシースク、6月22日-ロシア通信社ノーボスチ

前日に軍用装備を積んでセヴァストーポリを出港したロシア黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」は、金曜日午後、ノヴォロシースクへ到着した。
同艦隊の公式代理人ヴャチェスラフ・トルハチェフ1等海佐はロシア通信社ノーボスチに伝えた。

以前、複数の西側(欧米)及びロシアのメディアは、黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」及び「ニコライ・フィリチェンコフ」が、タルトゥース港のロシア基地の安全を保障する為、軍事貨物と海軍歩兵支隊を乗せてシリア沿岸への遠距離航海の準備を完了したと報じた。

「本日、大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはノヴォロシースクへ到着しました。
同艦は、計画定期整備作業を受けなければならない軍用機器を配達しました」

トルハチェフは述べた。

更に彼は、同艦は機器を降ろした後にセヴァストーポリへ戻ると述べた。
出港は6月24日に予定されている。

トルハチェフもまた、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」セヴァストーポリに居る事を強調した。

「黒海艦隊の全ての艦船は、司令部の計画により、黒海エリアで日常の戦闘訓練任務を遂行しております」
黒海艦隊の代理人は、黒海艦隊艦船のシリア沿岸への航海計画が有るのかというロシア通信社ノーボスチの質問に対し、こう答えた。
(2012年6月22日16時08分配信)


ロシア黒海艦隊所属の大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」を巡る「馬鹿騒ぎ」の発端は、このニュースでした。

【ロシア軍艦船がシリアへ出航、兵器や兵士積み 米国が追跡】

この記事によると、6月7日に黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアへ向けて出港したとの事です。

無論、これは全くのデタラメであり、ロシア側の複数の関係者から否定されました。
その中には、渦中の「ニコライ・フィリチェンコフ」乗員も含まれます。
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは出動態勢にない]
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはシリアへ向かっていない]
[ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する]

確かに、「ニコライ・フィリチェンコフ」は、軍用装備を積み込んで6月21日に出港しました。
しかしそれは、「外国」であるウクライナのセヴァストーポリ周辺に駐留するロシア海軍部隊(海軍歩兵部隊や海軍航空隊)の軍用装備を、ロシア本国でメンテナンスする為、ノヴォロシースクへ運んでいたのです。


『黒海艦隊公式サイト』より
【大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」】
最後に、こう書かれています。
「現在、大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは第197揚陸艦旅団に所属し、艦隊の戦闘訓練及び演習に活用されている」
「ニコライ・フィリチェンコフ」は、この10数年間は黒海から出ていません。
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大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはノヴォロシースクへの輸送任務に就いた

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『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【黒海艦隊の艦はシリアではなく、ノヴォロシースクへ行ったと艦隊は説明した】
セヴァストーポリ、6月21日-ロシア通信社ノーボスチ

木曜日にロシア黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」が軍用機器を積んでセヴァストーポリから出港したのは、地中海ではなくノヴォロシースクへ向かう為である。
黒海艦隊揚陸艦部隊の士官の一人はロシア通信社ノーボスチに伝えた。

以前、複数の西側(欧米)及びロシアのメディアは、黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」及び「ニコライ・フィリチェンコフ」が、タルトゥース港のロシア基地の安全を保障する為、軍事貨物と海軍歩兵支隊を乗せてシリア沿岸への遠距離航海の準備を完了したと報じた。

「本日、大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは、司令部の計画により、計画定期整備作業を受けなければならない軍用機器を積んでセヴァストーポリを出港し、ノヴォロシースクへ進路を取りました」
士官は述べた。

彼によると、同艦がセヴァストーポリへ戻るのは、6月25日になるだろう。

更に彼は、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」セヴァストーポリに居る事を強調した。
(2012年6月21日16時19分配信)


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ロシア黒海艦隊所属の大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」を巡る「馬鹿騒ぎ」の発端は、このニュースでした。

【ロシア軍艦船がシリアへ出航、兵器や兵士積み 米国が追跡】

この記事によると、6月7日に黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアへ向けて出港したとの事です。

無論、これは全くのデタラメであり、ロシア側の複数の関係者から否定されました。
その中には、渦中の「ニコライ・フィリチェンコフ」乗員も含まれます。
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは出動態勢にない]
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはシリアへ向かっていない]
[ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する]

この「馬鹿騒ぎ」の中、話題の大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」は、6月21日にセヴァストーポリから出港しました。

しかしそれはシリアへ向かう為ではなく、黒海沿岸のロシア領ノヴォロシースクへ機器を輸送する為です。
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要するに、「外国」であるウクライナのセヴァストーポリ周辺に駐留するロシア海軍部隊(海軍歩兵部隊や海軍航空隊)の装備機器を、ロシア本国でメンテナンスする為にノヴォロシースクまで運ぶという事でしょう。

『黒海艦隊公式サイト』より
【大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」】
最後に、こう書かれています。
「現在、大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは第197揚陸艦旅団に所属し、艦隊の戦闘訓練及び演習に活用されている」
「ニコライ・フィリチェンコフ」は、この10数年間は黒海から出ていません。

大型揚陸艦ツェーザリ・クニコフ及びカリーニングラードはシリアへ向かっていない

先週末から続いているロシア海軍大型揚陸艦を巡る「馬鹿騒ぎ」ですが、まだ収まりそうにありません。

[大型揚陸艦ツェーザリ・クニコフは地中海へ向かっていない]
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは出動態勢にない]
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはシリアへ向かっていない]
[ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する]

今度は、イランのメディアと、そしてドバイの放送局『アル-アラビーヤ』などが壮大な「茶番」ニュースを流し、更には、黒海艦隊のみならず、バルト艦隊の大型揚陸艦の名前まで出てくる有様です。


『ロシア通信社ノーボスチ』より。
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2012年6月20日11時18分配信
【ロシア連邦黒海艦隊の艦は基地へ戻り、シリアへの航海は計画されていない-士官】
セヴァストーポリ/モスクワ、6月20日-ロシア通信社ノーボスチ

水曜日、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」は、艦隊の戦闘訓練射爆場における戦闘訓練任務を終え、ロシア黒海艦隊の主要基地セヴァストーポリへ戻った。

「シリアへの遠距離航海計画は指示されていません」
黒海艦隊揚陸艦部隊の士官は、ロシア通信社ノーボスチに伝えた。

ロシア通信社ノーボスチの特派員は、「ツェーザリ・クニコフ」セヴァストーポリ中央岸壁に係留されている事を個人的に確認した。

以前、複数の西側(欧米)及びロシアのメディアは、黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」及び「ニコライ・フィリチェンコフ」が、タルトゥース港のロシア基地の安全を保障する為、軍事貨物と海軍歩兵支隊を乗せてシリア沿岸への遠距離航海の準備を完了したと報じた。
しかし、前夜に黒海艦隊揚陸艦部隊の士官の一人がロシア通信社ノーボスチに伝えた所によると、火曜日にロシア黒海艦隊の大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」セヴァストーポリから出港したのは、地中海ではなく、艦隊の戦闘訓練射爆場の一つへ進路を取った為である。

代理人によると、「ツェーザリ・クニコフ」は、フィールド測定後に基地へ戻り、「ニコライ・フィリチェンコフ」は6月20日にノヴォロシースクへ出航し、6月25日にセヴァストーポリへ帰港する予定である。
彼は、艦が燃料及び食糧を補充していない事を指摘した。

最近、黒海艦隊の情報提供者はロシア通信社ノーボスチのインタビューに対し、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」がシリアのタルトゥース港へ派遣されたというメディアの報道を否定した。
メディア(アメリカのテレビ局CNNを含む)は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の情報提供者の話を引用して伝えた。

シリアでは、一年以上前から反政府活動が続いており、国家治安機関との武力闘争へと拡大している。
新たな武力闘争事件及び犠牲者に関する報道は、国際連合特使コフィ・アナンの計画に従って同国の休戦が宣言され、国際連合オブザーバーが監視しているという事実にも関わらず、4月中旬から途絶える事は無い。

国際連合の統計によると、シリア紛争の犠牲者総数は12000名を超え、23万名の難民が出ており、約100万人が人道援助を必要としている。
シリア当局は、反政府武装勢力との衝突により、2500人以上の軍人とシリア治安機関職員が死亡し、武装勢力による民間人の死者は3200名を超えたと主張している。


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2012年6月19日18時15分配信
【ロシア連邦国防省:シリアでの演習は計画されていない】
モスクワ、6月19日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア連邦国防省は、バルト艦隊大型揚陸艦「カリーニングラード」が地中海のシリアのタルトゥース港を訪問し、今後、シリア領土内で軍事演習を実施するという複数のメディアの報道を否定する。

「これらの報道の中で、本当に正確な箇所は、大型揚陸艦カリーニングラードがバルト艦隊所属であるという一点のみであります」
ロシア連邦国防省の公式代理人は、ロシア通信社ノーボスチに伝えた。

「現在、大型揚陸艦カリーニングラードは、キールウィークに参加し、その後、母基地へ戻ります。
遠距離航海への参加は計画されていません」

代理人は述べた。

「キールウィーク」は、毎年6月の最終週に開催されている。
そのメインイベントはボートレースであり、 毎年、約2000隻のボートと約3万人の観光客が

ロシアも参加し、シリア領土で大規模国際演習が計画されているというメディアの報道への指摘において、国防省の代理人は述べた。
「先週から、複数のメディアにより、様々な情報源及び衛星情報を参照したと称される偽情報の報道が増加し、シリア情勢は更に悪化の方向へ向かっていると言われていますが、それは現実に対応しておりません」

以前、イランのメディアと、更にアラブのテレビ放送局は、今後数週間以内に、シリア領内の海域において演習が実施されると報じた。
更に、エジプトはスエズ運河を12隻の中国艦船が通航する事を許可したとも報じられた。
シリア大統領の政治・情報顧問ブセイナ・シャッバンは、今後数週間以内にシリア領土においてロシア、中国、イラン、シリアが参加する軍事演習が計画されているという外国メディアの情報は事実ではない事を表明した。


記事中で触れられていますが、今度は、イランのメディアと、ドバイの国際ニュース衛星放送局『アル-アラビーヤ』などが、今後数週間以内にシリア領内の海域でロシア、中国、イラン、そしてシリアも参加する大規模な軍事演習が実施されるなどという壮大な「茶番」ニュースを流しました。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【メディア:ロシア、中国、イランはシリアで軍事演習を行なう】

この記事によると、演習参加兵力は以下の通りです。
・約90000名の陸上部隊が参加
・約400機の航空機が参加
・約1000両の戦車が参加
・ロシア海軍からは、潜水艦、駆逐艦、航空母艦が演習に参加

専門家は「馬鹿げた無意味な情報であり、分析する価値は無い」と一刀両断に切り捨てています。


日本では、毎日新聞が、この茶番ニュースに飛びつきました。
2012年06月20日20時05分
【シリア:イラン露中と領内で合同軍事演習か】

…毎日新聞は馬鹿なの?情弱なの?
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そもそも、ロシア海軍「航空母艦」アドミラル・クズネツォフは、インド空母ヴィクラマーディティヤの航海試験に乗員を参加させているので、作戦行動を取れる状態に有りません。
ましてや、シリアへ行くなど、夢のまた夢でしかありません。

というか、ここまで来ると、もはや誇大妄想以外の何物でもないでしょう。

大型揚陸艦ツェーザリ・クニコフは地中海へ向かっていない

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『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【黒海艦隊の艦は地中海ではなく、射爆場へ進路を取る-士官】
モスクワ、6月19日-ロシア通信社ノーボスチ

火曜日にロシア黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」セヴァストーポリから出港したのは、地中海ではなく、艦隊の戦闘訓練射爆場の一つへ進路を取った為である。
黒海艦隊揚陸艦部隊の士官の一人は、ロシア通信社ノーボスチに伝えた。

以前、複数の西側(欧米)及びロシアのメディアは、黒海艦隊の大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」及び「ニコライ・フィリチェンコフ」が、タルトゥース港のロシア基地の安全を保障する為、軍事貨物と海軍歩兵支隊を乗せてシリア沿岸への遠距離航海の準備を完了したと報じた。

「ツェーザリ・クニコフは、艦隊の戦闘訓練射爆場において、磁気及び音響フィールドの測定を行ないます」
代理人は述べた。

彼によると、同艦は、沿岸および海上の双方における定期整備が予定されている。
艦は、海上において機器の状態の検査を受け、乗組員の訓練を経る必要がある。

「ツェーザリ・クニコフは、フィールド測定後に基地へ戻ります。
ニコライ・フィリチェンコフは6月20日にノヴォロシースクへ出航し、6月25日にセヴァストーポリへ帰港する予定です」

士官は述べた。
彼は、艦が燃料及び食糧を補充していないと付け加えた。

最近、黒海艦隊の情報提供者はロシア通信社ノーボスチのインタビューに対し、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアタルトゥース港へ派遣されたというメディアの報道を否定した。
メディア(アメリカのテレビ局CNNを含む)は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の情報提供者の話を引用して伝えた。

シリアでは、一年以上前から反政府活動が続いており、国家治安機関との武力闘争へと拡大している。
新たな武力闘争事件及び犠牲者に関する報道は、国際連合特使コフィ・アナンの計画に従って同国の休戦が宣言され、国際連合オブザーバーが監視しているという事実にも関わらず、4月中旬から途絶える事は無い。

国際連合の統計によると、シリア紛争の犠牲者総数は12000名を超え、23万名の難民が出ており、約100万人が人道援助を必要としている。
シリア当局は、反政府武装勢力との衝突により、2500人以上の軍人とシリア治安機関職員が死亡し、武装勢力による民間人の死者は3200名を超えたと主張している。
(2012年6月19日11時22分配信)


ここ数日間の黒海艦隊の揚陸艦を巡る「馬鹿騒ぎ」の発端は、このニュースでした。
『CNN』より。
2012年6月16日配信
【ロシア軍艦船がシリアへ出航、兵器や兵士積み 米国が追跡】
「NBC放送が最初に報じた」と書かれています。

この記事によると、6月7日に黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアへ向けて出港したとの事です。

CNNなどのアメリカの報道を引用し、ロシアでも報じられました。

『イタルタス通信』より。
2012年6月15日21時44分配信
【アメリカ合衆国は、ロシアがタルトゥース港を保護する為、シリアへ軍を派遣したという情報を有する】

『InoTV』より。
2012年6月16日配信
【「ニコライ・フィリチェンコフ」はアメリカに懸念を生じさせた】

このニュースは、複数のロシア軍関係者により否定されました。
[ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する]
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはシリアへ向かっていない]

すると今度は、ロシアの非政府系メディア『インタファクス』が、黒海艦隊大型揚陸艦シリア行きが計画されていると報じました。
2012年6月18日11時42分配信
【ロシアはシリア沿岸への戦闘艦派遣を計画する】

2012年6月18日12時24分配信
【ロシア艦はシリアの海軍駐留拠点の安全を保障する】

『インタファクス』は、「ロシア海軍総司令部の情報提供者」の話を引用し、ロシア黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「ツェーザリ・クニコフ」、救助曳船SB-15が、シリアタルトゥースへ行く準備を整えていると報じました。

これを受け、ロシア通信社ノーボスチは、渦中の大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」乗組員へのインタビューを行ないました。
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは出動態勢にない]

6月17日のセヴァストーポリ
左が大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」(152)、右は大型揚陸艦「オルスク」(148)

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『インタファクス』の報道内容が否定されたにも関わらず、今度は、ロイター通信などが飛びつきました。
2012年6月19日配信
【ロシア揚陸艦がシリアに出航準備、有事の国民保護などで=報道】

>ロシア海軍と国防当局からのコメントは得られていない。

得られていますが・・・
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そこで今回、ロシア通信社ノーボスチは、黒海艦隊揚陸艦部隊(第197揚陸艦旅団)の関係者に話を聞いたというわけです。
その結果は、上の記事の通りです。


今回の記事によると、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」は、近い内にオーバーホールを行なうようです。
同艦は数日前に地中海(イタリアシチリア島)から戻ってきたばかりだし、その前にも黒海沿岸諸国の合同演習に参加しているし、黒海艦隊の大型揚陸艦7隻の中で最も活発に動いている艦ですから、そろそろオーバーホール時期を迎えるのでしょう。

6月18日のセヴァストーポリ
左から大型揚陸艦「ヤーマル」(156)、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」(158)、警備艦「スメトリーヴイ」(810)

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それにしても、この数日間、他社の報道記事が配信される度、その当事者に話を聞きに行き、他社の記事内容を真っ向から否定する記事を配信する『ロシア通信社ノーボスチ』って・・・
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大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは出動態勢にない

6月17日の大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」(セヴァストーポリ)
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『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【黒海艦隊の船の戦闘準備体制は高レベルへ移行していないと艦隊は発表した】
モスクワ、6月18日-ロシア通信社ノーボスチ

黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」乗組員は、毎日通常のスケジュールに従い勤務しており、艦隊司令部から戦闘準備態勢を高レベルへ移行させる指示は下されていない。
月曜日、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」の士官はロシア通信社ノーボスチに伝えた。

彼は、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」及び「ツェーザリ・クニコフ」シリアへの航海準備を完了したという一部メディアの報道に対しコメントした。

「毎日、乗組員の30パーセントは沿岸へ行っており、我が艦は戦闘準備態勢の高レベルへの移行ケースから除外されています」
士官は述べた。

彼は、黒海艦隊の戦闘艦全ては、常に12時間ごとに航海準備を行なう事を指摘した。
戦闘任務の指示を受けた時、艦の戦闘準備は「通常」から「高レベル」へ移行する。

「戦闘準備態勢が高レベルの場合、乗組員が沿岸へ行く事は禁止されます。
ですがフィリチェンコフ乗組員は、毎日市内へ出かけており、士官と家族は、契約により朝まで家に居ます」

士官は述べた。

彼によると、この状況は、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」を含め、全ての部隊所属の揚陸艦においても同様である。

前日、黒海艦隊の情報提供者はロシア通信社ノーボスチのインタビューに対し、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」タルトゥースロシア連邦国防省の施設保護の為、海軍歩兵支隊を乗せてシリアタルトゥース港へ派遣されたというメディアの報道を否定した。
メディア(アメリカのテレビ局CNNを含む)は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の情報提供者の話を引用して伝えた。


シリアでは、一年以上前から反政府活動が続いており、国家治安機関との武力闘争へと拡大している。
新たな武力闘争事件及び犠牲者に関する報道は、国際連合特使コフィ・アナンの計画に従って同国の休戦が宣言され、国際連合オブザーバーが監視しているという事実にも関わらず、4月中旬から途絶える事は無い。

国際連合の統計によると、シリア紛争の犠牲者総数は12000名を超え、23万名の難民が出ており、約100万人が人道援助を必要としている。
シリア当局は、反政府武装勢力との衝突により、2500人以上の軍人とシリア治安機関職員が死亡し、武装勢力による民間人の死者は3200名を超えたと主張している。
(2012年6月18日13時47分)


『インタファクス』より。
2012年6月18日11時42分配信
【ロシアはシリア沿岸への戦闘艦派遣を計画する】

2012年6月18日12時24分配信
【ロシア艦はシリアの海軍駐留拠点の安全を保障する】

『インタファクス』は、「ロシア海軍総司令部の情報提供者」の話を引用し、ロシア黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「ツェーザリ・クニコフ」、救助曳船SB-15が、シリアタルトゥースへ行く準備を整えていると報じました。

そこで今回、ロシア通信社ノーボスチは、渦中の「ニコライ・フィリチェンコフ」の乗組員(士官)に直接話を聞いたというわけです。

そして「ニコライ・フィリチェンコフ」の士官は、上記の『インタファクス』などの報道を完全に否定したという事です。

大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリア行きの情報は、これまでにも何度も否定されています。
[大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはシリアへ向かっていない]
[ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する]


ちなみに、『インタファクス』の記事でシリアへ行くと報じられた救助曳船SB-15について。

『黒海艦隊公式サイト』より
【救助曳船SB-15】

1966年に就役した同船は、1997年にウクライナ海軍へ譲渡されており、もはやロシア海軍には在籍していません。

大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフはシリアへ向かっていない

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『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【黒海艦隊はシリアへ艦艇が派遣されたという情報を否定する】
モスクワ、6月17日-ロシア通信社ノーボスチ

大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」タルトゥースロシア連邦国防省の施設保護の為、海軍歩兵支隊を乗せてシリアタルトゥース港へ派遣されたというメディアの報道は、現実に対応しておらず、同艦はセヴァストーポリに居る。
ロシア連邦黒海艦隊の情報提供者は、ロシア通信社ノーボスチに伝えた。

日曜日、複数のウクライナのメディアは、CNNを含むアメリカの放送局の報道を引用し、ロシア戦闘艦「ニコライ・フィリチェンコフ」が軍事貨物と海軍歩兵支隊を乗せてシリアへ派遣されたと報じた。
(アメリカの)放送局は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の情報提供者の話を引用して伝えた。
更にアメリカのメディアは、アメリカ合衆国軍の情報部がシリアへ向かう同艦の動向を追跡していると主張した。

ロシア通信社ノーボスチの特派員は、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」セヴァストーポリの北方桟橋の一つに停泊している事を個人的に確認した。
同艦は係留されており、動いていない事が分かる。
士官の一人は、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」が2012年6月8日には停泊していたと説明した。

「同艦は、いつでも出港できる準備を整えており、艦隊の全ての戦闘艦も同様です。
海軍歩兵は乗せられておらず、シリアへ向けて航海するという指示は下っておりません。
乗組員は、日常の業務に従事しています」

情報提供者は述べた。
(2012年6月17日12時11分配信)


記事中で取り上げられている「CNNを含むアメリカの放送局の報道」は、これです。
2012年6月16日配信
【ロシア軍艦船がシリアへ出航、兵器や兵士積み 米国が追跡】

この記事によると、6月7日に黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアへ向けて出港したとの事です。

この報道は、ロシア連邦軍参謀本部の関係者により否定されました。
[ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する]

そして今回、ロシア黒海艦隊の関係者、そして、ロシア通信社ノーボスチ特派員により、完全に否定されました。

大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」は、セヴァストーポリに居ます。

ロシア黒海艦隊艦艇はシリアへの航海を準備する

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『イタル-タス通信』より。
【ロシア黒海艦隊の戦闘艦はシリア沿岸への出発を準備する】
モスクワ、6月15日/イタル-タス通信

ロシア黒海艦隊の戦闘艦数隻は、シリアへの遠距離航海を準備している。
ロシア連邦軍参謀本部の情報提供者は、イタル-タス通信に伝えた。

「地中海は、我が黒海艦隊の担当であるという事実に関連し、ロシア海軍物資・技術供給所としてロシアがシリアからリースしているタルトゥースの安全を保障する任務を遂行する為に必要な場合、戦闘艦はそこへ向かいます」
対談者はイタル-タス通信に説明した。

「黒海艦隊の数隻の戦闘艦チームは、遠距離航海の為の準備を完全に整えています。それは海軍歩兵部隊を乗せた大型揚陸艦も含まれます」
連邦軍参謀本部の情報提供者は述べた。

対談者はイタル-タス通信に対し、黒海艦隊の戦闘艦1隻が既にタルトゥースへ向かっているというアメリカの一部メディアの報道を断固として否定した。
「我々の艦は、全てセヴァストーポリに居ます。大型揚陸艦ツェーザリ・クニコフを除いては。
同艦はイタリアのメッシナ港に滞在した後、土曜日にセヴァストーポリへ到着します。
黒海から地中海へ、ではなく、地中海から黒海へ、です」

連邦軍参謀本部の情報提供者は述べた。

「或いは、アメリカ人は探索作業が不十分なのか、もしくは、学校で地理を学んでいなかったんでしょうね」
ロシア軍人は示唆した。

イタル-タス通信ワシントン特派員イワン・ レベデフは、ロシアシリアタルトゥース港防衛の為、小規模の軍人グループを派遣したとアメリカが報じた事を伝えてきた。
情報テレビ局NBCがアメリカ公式筋を引用して報じた所によると、ロシア軍タルトゥース「1隻のロシア連邦海軍艦艇」を送った。

アメリカ合衆国大統領外交政策顧問ベン·ローズは、ホワイトハウスにおいて、NBCの「精通した」報道に関して、原則として、情報筋から得られた情報に基づくコメントはしないと述べた。
次に、国務省の公式代理人ヴィクトリア・ニューランドは、NBCテレビの報道について知っているが、この情報を確認する事は出来ないと述べた。

今年1月、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に率いられたロシア海軍艦艇航空グループタルトゥースを訪れた。
シリアの港への航海は、物資を補充し、艦の機器の定期的整備を実施する必要により行なわれた。

タルトゥースは、ソヴィエト連邦後のロシア軍の唯一の海外拠点である。
物資・技術供給所は、我が国の戦闘艦が駐留し、地中海における任務遂行を保障する事が出来る。
タルトゥースに滞在する拠点は、シリア政府との正式合意により、1971年に設立された。
(2012年6月15日22時13分配信)


上の記事中で取り上げられている「アメリカの一部メディアの報道」は、これです。
2012年6月16日配信
【ロシア軍艦船がシリアへ出航、兵器や兵士積み 米国が追跡】

「NBC放送が最初に報じた」と書かれています。

この記事によると、6月7日に黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」シリアへ向けて出港したとの事です。
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ロシアでも報じられました。

『イタルタス通信』より。
2012年6月15日21時44分配信
【アメリカ合衆国は、ロシアがタルトゥース港を保護する為、シリアへ軍を派遣したという情報を有する】

『InoTV』より。
2012年6月16日配信
【「ニコライ・フィリチェンコフ」はアメリカに懸念を生じさせた】

「ロシア連邦軍参謀本部の情報提供者」は、この報道について否定しているわけです。

ただ、「ロシア連邦軍参謀本部の情報提供者」は、今後に黒海艦隊大型揚陸艦などがシリアへ向けて出港する可能性までは否定していません。
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事実上の内戦状態にあるシリアの今後の情勢次第によっては、いつでも出港できる体制を整えているという事です。

ロシア連邦空軍も、出動態勢を整えています。

『ロシア通信社ノーボスチ』より。
2012年6月16日14時05分配信
【空軍にはシリアのロシア連邦市民の為に派遣される海軍艦艇を援護する用意がある】

ロシア連邦空軍総司令官代理ウラジーミル・グラジュソフ少将は
「シリア在住のロシア人の保護及び避難の為にロシア海軍艦艇が派遣された場合、ロシア空軍は、それを援護するのか?」
という記者の質問に答え
「空軍は、いかなる任務も遂行する用意を整えています」
と述べています。


『黒海艦隊公式サイト』より
【大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」】
最後に、こう書かれています。
「現在、大型揚陸艦ニコライ・フィリチェンコフは第197揚陸艦旅団に所属し、艦隊の戦闘訓練及び演習に活用されている」
「ニコライ・フィリチェンコフ」は、この10数年間は黒海から出ていません。


ロシア黒海艦隊には、上記の「ニコライ・フィリチェンコフ」(プロジェクト1171)を含む7隻の大型揚陸艦が在籍し、全て第197揚陸艦旅団に所属しています。

プロジェクト775大型揚陸艦(ロプーチャI級)
【BDK-46「ノヴォチェルカススク」】
【BDK-67「ヤーマル」】
【「ツェーザリ・クニコフ」】

プロジェクト775M大型揚陸艦(ロプーチャII級)
【BDK-54「アゾフ」】

プロジェクト1171大型揚陸艦(アリゲーター級)
【BDK-65「サラトフ」】
【BDK-69「オルスク」】
【「ニコライ・フィリチェンコフ」】

この内、ロプーチャ級地中海にも進出していますが、アリゲーター級は、この10数年間は黒海から出ていません。

2008年8月の南オセチア紛争には、黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」、「ヤーマル」、「サラトフ」の3隻が参加しました。

「ツェーザリ・クニコフ」「サラトフ」は、アブハジアへの空挺部隊輸送途中にグルジア海軍の襲撃を受けています。
(直接には戦闘へ参加していませんが)
[アブハジア沖の海上戦闘(2008年8月9~10日)とセルゲイ・メニャイロ中将]

グルジアポチ港突入作戦には、「ヤーマル」「サラトフ」が参加しました。
[グルジア海軍艦艇は、ロシア海軍スペツナズにより破壊された]


黒海艦隊ロプーチャ級3隻-大型揚陸艦「アゾフ」「ヤーマル」「ノヴォチェルカススク」は、2009年8~9月にバルト海まで遠征し、実地戦略演習「ザーパド(西方)-2009」に参加しています。
[ロシア黒海艦隊の揚陸艦、バルト海へ]
[ロシア海軍の8隻の揚陸艦は、バルト海の演習に参加する]


今回のイタルタス通信の記事で触れられている大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」は、イタリアメッシナ港を訪問し、1908年のメッシナ地震の慰霊祭に参加した後、セヴァストーポリへの帰路に就きました。
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
2012年6月16日配信
【大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」乗組員は地中海における任務遂行を完了した】

何故ロシア海軍メッシナ地震の慰霊祭に参加するのかというと、この地震が発生した時、たまたま地中海に居たロシア艦隊が住民救助の為にメッシナへ行ったからです。
[巡洋艦「モスクワ」は、シチリア島を訪問する]