近代化改装されたロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは黒海で魚雷発射訓練を実施した
- カテゴリ:プロジェクト877潜水艦(キロ級)

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2023年4月6日9時50分配信
【ディーゼルエレクトリック潜水艦「アルローサ」は黒海で魚雷射撃を実施した】
近代化されたディーゼルエレクトリック潜水艦「アルローサ」は、黒海エリアで魚雷射撃へ取り組んだ。
4月6日・木曜日、ロシア連邦国防省広報サービスは発表した。
軍当局は、ディーゼルエレクトリック潜水艦の乗組員が錬成任務L-3の要素へ取り組んでいると説明した。
これは、潜水艦が意図した任務を遂行する為の訓練プログラムの構成部分である。
「アルローサ」は既に深海潜航を実施している。
乗組員は潜水艦を制御し、様々な深度で兵器を使用する行動手順、そして更に浮上する方法へ取り組んだ。
錬成任務の要素への取り組み中、水中及び水上の目標への魚雷射撃が実行された。
国防省が明らかにしたように、訓練の次の段階で乗組員は機雷原を敷設し、そして更に対潜航空機の影響から逃れる為の行動へ取り組む。
「アルローサ」は修理及び近代化の後、2022年5月に黒海艦隊へ復帰した事は注目される。
今や潜水艦は有翼ミサイル「カリブル」を搭載している。
ディーゼルエレクトリック潜水艦「アルローサ」はニジニ・ノヴゴロド造船所『クラースノエ・ソルモヴォ』で建造され、1990年12月30日に就役した。
2014年夏、潜水艦は修理の為に第13艦船修理工場へ入った。
完了期日は何度も延期された。
「アルローサ」の水上排水量は2300トン、水中は3950トン。
船体長-76.2メートル、幅-9.9メートル、吃水-6.2メートル。
水上速力-10ノット、水中-17ノット。
作業潜航深度-240メートル、限界-300メートル。
自立航行期間-45日、乗組員-52名。
潜水艦は6門の533mm魚雷発射管を装備している。
弾数-魚雷18基或いは機雷24個。
「アルローサ」と他のプロジェクト877潜水艦との主な違いの1つは、従来のスクリューに代わるポンプジェット推進である。
プロジェクト877V潜水艦B-871は、ロシア内陸部のゴーリキー(現ニジニー・ノヴゴロド)のクラースノエ・ソルモヴォ造船所で1988年5月17日に起工され、1989年9月10日に進水し、1990年12月30日に就役し、黒海艦隊へ配備されました。
プロジェクト877Vは、試験的に艦尾にポンプジェットを装備した実験艦です。

1991年12月から1992年3月まで戦闘勤務を行ないましたが、1992年3月13日に乗組員の一部がウクライナへ忠誠を誓い、機関室を占拠して潜水艦の乗っ取りを試みました。
乗っ取りの試みは阻止されたものの、ソ連邦解体後のロシア・ウクライナ間の黒海艦隊分割・帰属問題も有り、更にはバッテリーの不調も有って1992年から1996年までは殆ど動きませんでした。
ただし、1996年2月10日公開のジャッキー・チェン主演の映画「First Strike」(ファイナル・プロジェクト)には、B-871が「出演」しています。
0:45から登場する潜水艦がB-871です。
1996年5月22日にバッテリーの交換を完了し、ようやく動けるようになりました。

2004年1月5日に「アルローサ」と命名されました。
「アルローサ」は、ロシアの宝石会社です。
【『アルローサ』公式サイト】
2011年6月にスペイン沖で実施された国際海軍演習『ボールド・モナーク-2011』に参加しました。
その後、2011年7月から2012年7月までバルト海沿岸のクロンシュタットで修理され、2012年9月にセヴァストーポリへ戻りました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサは黒海へ戻る]
[ポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリへ戻った]


2014年6月にセヴァストーポリの第13艦船修理工場(黒海艦隊直営)で修理及び近代化が始まりました。

[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサは近代化改装を行なっている]
「アルローサ」の近代化改装作業の完了時期は何度も延期され、2017年末の完了予定も実現しませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサの近代化改装は2017年に完了する]
2014年から2016年に掛け、黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦6隻が就役した為、黒海艦隊にとっては、「アルローサ」の復帰を急ぐ必要性は無くなりました。
そんな「アルローサ」ですが、今度はバルト艦隊へ転属させるという話が出てきました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはバルト艦隊へ転属する]
[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装後にバルト艦隊へ転属するかもしれない]
『第13艦船修理工場』の岸壁に係留されていた「アルローサ」でしたが、2019年5月末に同社の浮きドックへ入りました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリの浮きドックへ入った]

「アルローサ」の近代化改装作業の完了は2019年に予定されていましたが、またも延期されました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2019年に完了する]
「アルローサ」は、2021年6月26日に浮きドックを出渠し、『第13艦船修理工場』の岸壁へ移動しました。

「アルローサ」の近代化改装作業の完了は、2021年11月に予定されていました。
[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2021年に完了する]
しかし結局、「アルローサ」の近代化改装工事の完了は2022年6月になりました。
『タス通信』より
2022年5月6日20時4分配信
【セヴァストーポリで潜水艦「アルローサ」の修理が完了する】
『第13艦船修理工場』は、近代化改装により「アルローサ」は、近年に黒海艦隊へ配備されたプロジェクト06363潜水艦(877の最終改良型)に匹敵する新たな戦闘力を得ると公言していますが、これは巡航ミサイル「カリブル」の運用能力が付与された事を指すようです。
『タス通信』より
2022年5月6日9時5分配信
【情報筋:「カリブル」で武装する潜水艦「アルローサ」は黒海に留まる】
2022年6月28日、「アルローサ」は洋上試験を行なう為にセヴァストーポリから出航しました。
[近代化改装により巡航ミサイル「カリブル」を装備したロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは黒海で洋上試験を開始した]
洋上試験の第1段階を終えた「アルローサ」は、7月8日に一旦セヴァストーポリへ帰投しました。
[近代化改装されたロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは黒海で最初の洋上試験を終えてセヴァストーポリへ帰投した]
7月15日にセヴァストーポリから出航し、洋上試験の第2段階を開始しました。
[近代化改装されたロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは黒海で洋上試験の第2段階を開始した]
7月下旬にセヴァストーポリへ戻り、最終調整を行ないました。
[近代化改装されたロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは最終洋上試験の準備を進めている]
2022年9月22日の「アルローサ」(セヴァストーポリ艦船修理工場の岸壁)

その後、「アルローサ」は最終洋上試験を行ない、2023年1月初頭に黒海艦隊へ復帰しました。
2023年1月9日の「アルローサ」(セヴァストーポリの潜水艦用埠頭)

2023年1月9日の「アルローサ」

2023年4月6日に黒海で魚雷発射訓練を行ないました。
以前にはバルト艦隊への転属が予定されていた「アルローサ」ですが、結局、黒海艦隊の第4独立潜水艦旅団へ留まる事になるようです。
[近代化改装により巡航ミサイル「カリブル」を装備するポンプジェット潜水艦アルローサはロシア海軍黒海艦隊へ復帰する]
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