ロシア海軍の将来航空母艦は原子力推進となる
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦

『KORABEL.RU』より
2023年2月27日8時23分配信
【新たな原子力航空母艦の2つのコンセプトを組み合わせなければならない-アレクセイ・ラフマノフ】
『統合造船業営団』とロシア連邦海軍の将来航空母艦のコンセプトを組み合わせる必要が有る。
艦は原子力でなければならず、コンセプトはこの点では統一されている。
『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューで『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは話した。
「私達は、初めに航空母艦のコンセプトを承認し、次に、何処で、何時、どの程度の費用で建造するのかを決める必要が有ります。
コンセプトは『統合造船業営団』にも海軍にも存在し、今、それらを組み合わせる必要が有ります。
我々は、将来航空母艦はどうあるべきかを明確に理解しております。
それは明らかに原子力でなければなりません。
艦の排水量に関しては、未だ論争が有ります」
アレクセイ・ラフマノフは話した。
ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの予備設計開発作業は2007年に始まりました。
将来航空母艦の設計を担当するのは『ネヴァ川計画設計局』になりますが、その叩き台となる概念設計案は、ロシア海軍向けなどの艦船の形状を研究する『クルイロフ国立科学センター』により作成されます。
『クルイロフ国立科学センター』は、2015年に多目的重航空母艦プロジェクト23000E「シトルム」を作成しました。
これは満載排水量9万~10万トンの通常動力の大型空母です。
[ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」]
『クルイロフ』は、2018年8月下旬に軽航空母艦「シトルム-KM」の概念設計案を公表しました。
これは満載排水量44000トンの比較的小型の空母です。
[クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する]
2019年6月末には76000トンの中型原子力空母の概念設計案の存在を公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の中型原子力空母の概念設計案を提示した]
一方、実際にロシア海軍向けとして建造される空母を設計する『ネヴァ川計画設計局』は、2019年7月上旬に将来空母設計案プロジェクト11430E「ラマンチーン」を公表しました。
これは満載排水量8万~9万トンの原子力空母です。
[原子力空母プロジェクト11430Eラマンチーンはサンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2019)で公開された]
その後、『ネヴァ川計画設計局』は通常動力の軽航空母艦「ヴァラーン」を公表しました。
[国際軍事技術フォーラム『アルミヤ-2022』で軽航空母艦ヴァラーンが発表された]
将来航空母艦の具体的な内容は未だ定まっていませんが、ロシア海軍は排水量65000トン~70000トン程度の艦を求めています。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の将来航空母艦は65000-70000トンになる]
つまり、上記の「シトルム」や「ラマンチーン」よりは小さな艦になります。
(「シトルム-KM」よりは大きいですが)
現用の航空母艦で最も近いサイズの艦は、グレートブリテン海軍の新鋭空母「クイーン・エリザベス」級になります。

ロシア造船業界も、以前から重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(約6万トン)よりも大きな航空母艦を建造できると表明しています。
[ロシア造船業界はアドミラル・クズネツォフよりも大型の新世代航空母艦を建造できる]
現在は将来航空母艦の先行開発設計(アドバンスドデザイン)が進められています。
[ロシア造船業界はロシア海軍の将来航空母艦の先行開発設計(アドバンスドデザイン)を行なっている]
機関は原子力になる事だけは確定していますが、それ以外の部分(艦のサイズなど)に関しては、ロシア造船業界とロシア海軍で未だ意見の相違があるようです。
将来原子力航空母艦の設計には、ソ連時代に起工されたものの未完成に終わったプロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」の設計も参考にされます。

[ロシア海軍の新世代原子力空母の開発には未完成の重原子力空母ウリヤノフスクの設計図が参考にされる]
ただしこれは、「ウリヤノフスク」のような艦を再び造るという事では無く、原子力機関の構造などを参考にするという事でしょう。
(将来航空母艦も「ウリヤノフスク」も原子力機関)
現在の所、将来航空母艦の建造開始の具体的な時期は未だ決まっていません。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の新たな航空母艦の建造を準備する]
[ロシア海軍の将来原子力航空母艦は『2024~2033年の国家軍備プログラム』へ含まれるかもしれない]
[ロシア海軍の将来原子力航空母艦の開発作業は進められている]
将来航空母艦の為の搭載機として、新たな艦上戦闘機の開発は既に始まっています。
[ミグは第5世代艦上戦闘機プラス艦上無人機を開発する]
この他、将来航空母艦の搭載機として、艦上早期警戒機と艦上無人機も新たに開発されます。
[ロシア海軍航空隊司令官は語る]
将来航空母艦の為の電磁カタパルトの開発作業は2014年春頃から始まっています。
[ロシアは将来空母用の電磁カタパルトの開発を始めている]
[ロシア海軍将来正規空母の為の電磁カタパルトの開発は進められている]
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の為の電磁カタパルトが開発される]
航空母艦へ装備する前に、先ず陸上の飛行場で試験を行なう為の電磁カタパルトの試作モデルが製造されます。
[ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの地上試験場が建設される]
[ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの試験場の建設場所が決定される]
これは、ソヴィエト連邦時代の蒸気カタパルト「マヤーク」(クリミア半島のサキ飛行場に試験モデルを設置)と同様のパターンです。

将来航空母艦を建造する造船所は、以前にインド海軍向けの航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」の改造(実質的に新造)を担当したセヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』が最有力候補となっております。

[ロシア海軍の為の将来原子力航空母艦はセヴェロドヴィンスク造船所(セヴマシュ)で建造される]
この他、将来航空母艦建造への協力企業(航空母艦の船体の一部を建造)として、現在は原子力砕氷船を建造している『バルト工場』と、現在、大型艦建造用の乾ドックを建設中の『北方造船所』が候補に挙がっています。
(両社ともサンクトペテルブルク市)
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の開発と建造には15年掛かる]
『バルト工場』

『北方造船所』

[サンクトペテルブルクの北方造船所の新たな乾ドックは2024年春に完成する]
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