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ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"はクリミア半島の地対艦ミサイル部隊と共に演習を行なった


『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア黒海地域情報供給部(セヴァストーポリ市)発表
2021年5月26日3時0分配信
【フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」乗組員は沿岸対艦複合体「バル」及び「ウチョス」との合同演習を実施した】

フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」乗組員は、沿岸対艦複合体「バル」及び「ウチョス」との合同演習実施中に高射ミサイル複合体「シチーリ」のミサイル射撃を成功裏に実施した。

演習は、黒海艦隊の戦闘訓練計画に沿って黒海エリアで行なわれた。

数段階で行なわれた戦闘射撃の最中、10回以上の艦上及び沿岸複合体からのミサイル発射が行なわれた。

演習計画の下、沿岸ミサイル複合体の戦闘班へ任務が与えられた:水上艦の捜索を行ない、探知後、海上目標へ数回のミサイル「プログレス」及び「ウラン」のミサイル射撃を行なう。

次に、フリゲートの乗組員は空中目標を探知し、そのコースを追尾し、艦にとっての安全な距離及び高度で高射ミサイル複合体「シチーリ」を使用し、それを成功裏に撃破した。

ミサイル射撃実施の結果、対艦ミサイル複合体「ウチョス」及び「バル」の飛翔軌道と、艦載高射ミサイル複合体による撃破は、黒海艦隊対空防衛・海上航空隊無人飛行装置により記録された。

ミサイル射撃が行なわれた海上射爆場と隣接海域は、船舶航行の為の為に閉鎖された。
海域閉鎖の任務は、黒海艦隊の約30隻の戦闘艦及び補助船により遂行された。



プロジェクト11356Rフリゲート1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」(494、2016年3月11日就役)は、2020年12月下旬にセヴァストーポリを出航、12月24日にボスポラス海峡を南下し、地中海東部へ向かいました。

[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は地中海東部(シリア沖)へ行く]

2021年1月11日に地中海東部で対空戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は地中海東部で対空戦闘訓練を行なった]

2021年1月下旬にはシリアタルトゥース港で乗組員の各種訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"と小型ロケット艦ヴイシニー・ヴォロチョークはシリアのタルトゥース港で乗組員の錬成訓練を行なった]

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その後、プロジェクト22160哨戒艦の2番艦「ドミトリー・ロガチョフ」(375、2019年6月11日就役)及びプロジェクト22870救助曳船SB-739(2017年3月7日就役)と合流した「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、パキスタン主催の多国籍海軍演習『AMAN-2021』へ参加する為、スエズ運河を通過して紅海、アデン湾、アラビア海を抜け、2月11日にはパキスタンカラチ港へ到着しました。

[パキスタン沖で実施される国際海軍演習『AMAN-2021』へ参加するロシア海軍黒海艦隊の艦船はカラチ港へ到着した]

2月12日、カラチ港多国籍海軍演習『AMAN-2021』の開会式が開催されました。

[ロシア海軍黒海艦隊が参加するパキスタン主催の多国籍海軍演習『AMAN-2021』が始まった]

2月13日、パキスタン海軍参謀総長フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」を視察しました。

[パキスタン海軍参謀総長はロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"を視察した]

2月15日、ロシア海軍を含め、演習へ参加する艦船はカラチ港から出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊が参加するパキスタン主催の多国籍海軍演習『AMAN-2021』の海上フェーズが始まった]

パキスタン沖(アラビア海)での洋上演習は2月16日に終了しました。

[ロシア海軍黒海艦隊が参加するパキスタン主催の多国籍海軍演習『AMAN-2021』は終了した]

2月28日、「アドミラル・グリゴロヴィチ」スーダンポートスーダン港を訪れました。
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[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"はスーダンを訪問した]


3月初頭には地中海東部へ入りました。
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3月下旬にはクレタ島付近でアメリカ海軍原子力空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」を中核とする機動部隊を追跡しました。
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[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は地中海のクレタ島沖でアメリカ海軍の原子力空母ドワイト・D・アイゼンハワーを追跡している]

その後も地中海東部に留まっていましたが、5月8日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入り、その後、セヴァストーポリへ帰投しました。
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5月18日、黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」(1983年1月30日就役)と共に黒海で対潜戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・グリゴロヴィチは黒海で対潜戦闘訓練を実施した]
「敵役」は、潜水艦「コルピノ」(2016年11月24日就役)が務めました。
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5月20日には、黒海艦隊航空隊多用途複座戦闘機Su-30SMが「敵役」を務める対空防衛戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・グリゴロヴィチは黒海で対空戦闘訓練を実施した]

演習終了後、5月22日にセヴァストーポリへ帰投しました。

[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・グリゴロヴィチは黒海での演習を終えてセヴァストーポリへ帰投した]

5月25日にはクリミア半島地対艦ミサイル「ウチョス」及び「バル」と合同演習を行ないました。

沿岸(地下)固定式ミサイル複合体「ウチョス」(秘匿名「オブィエクト-100」)は、東西冷戦時代にクリミア半島(セヴァストーポリ軍港周辺)防衛用として特別に建設された地下サイロ方式の地対艦ミサイルです。
ミサイル艦対艦ミサイルP-35「プログレス」(SS-N-3シャドック)が使用されました。
『赤旗黒海艦隊情報リソース』より
【沿岸固定ミサイル複合体「ウチョス」】

ソ連邦解体後は放棄されていましたが、2014年3月にクリミア半島ロシア連邦へ編入された後に修復が始まり、2016年11月までに復活しました。

将来的には、超音速対艦ミサイル「バスチオン」(オーニクス)へ換装されます。
[クリミア半島へロシア海軍の地対艦ミサイル"バスチオン"のサイロ発射型が配備される]

沿岸ミサイル複合体「バル」は、対艦ミサイル「ウラン」の地上発射ヴァージョンです。
黒海艦隊では、2014年3月からクリミア半島へ配備されています。
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ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"と地対艦ミサイル"ウチョス"は演習を行なった


『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2019年7月19日8時0分配信
【フリゲート「アドミラル・マカロフ」とミサイル複合体「ウチョス」の戦闘班はミサイル射撃を実施した】

黒海エリアで、艦船部隊とサイロ配置対艦ミサイル複合体「ウチョス」の計画合同演習が実施された。

演習のプロットにより、複合体「ウチョス」の要員には、海上の仮想敵艦船支隊を探知し、それに対してミサイル兵器を使用する任務が与えられた。

次に、フリゲート「アドミラル・マカロフ」乗組員は、探知手段によりミサイルの方位を測定し、高射ミサイル複合体「シチーリ」からの射撃を実施し、それをコース上で撃破する必要があった。

演習中に複合体「ウチョス」の戦闘班は、ミサイル標的「プログレス」ミサイル射撃を実施し、艦の戦闘班は、目標~発射された2基のミサイルを、指摘座標及び高度で目標を成功裏に撃破した。

ミサイル標的を追尾し、それを成功裏に撃破したミサイル射撃の実施は、視覚観測手段(無人飛行装置)により記録された。

ミサイル射撃実施の際の海上射爆場の安全を保障する目的で、そこは船舶航行の為に閉鎖された。
閉鎖射爆場での任務は、17隻の戦闘艦及び補助船、更には黒海艦隊海上航空隊航空機により遂行された。



プロジェクト11356Rフリゲート3番艦「アドミラル・マカロフ」は、2012年2月29日にカリーニングラード『ヤンターリ』造船所で起工され、2015年9月2日に進水し、2017年12月27日にロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入されました。
[プロジェクト11356Rフリゲート3番艦アドミラル・マカロフはロシア海軍へ就役し、黒海艦隊へ編入された]

就役後もバルト海に留まって慣熟訓練を行ない、2018年7月29日の『ロシア海軍の日』にはサンクトペテルブルク(ネヴァ川)観艦式(主要海軍パレード)へ参加しました。


観艦式が終わった後、北方艦隊及びバルト艦隊の参加艦と共にバルト海で合同演習を行ないました。
[北方艦隊の原子力水中巡洋艦オリョールはバルト海のロシア海軍演習へ参加する]

2018年8月18日、「アドミラル・マカロフ」黒海艦隊基地セヴァストーポリへの移動を開始しました。
[ロシア海軍の最新フリゲート"アドミラル・マカロフ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ向かった]

2018年8月末までに地中海東部へ到着し、同海域で9月1日から8日まで実施されたロシア海軍ロシア航空宙軍の大規模演習へ参加しました。

[ロシア海軍とロシア航空宇宙軍の地中海演習(2018年9月1日~8日)]

その後も地中海東部に留まっていましたが、10月4日にダーダネルス海峡へ入り、地中海を去りました。
[ロシア海軍の最新フリゲート"アドミラル・マカロフ"は地中海を去り、黒海へ向かった]

翌10月5日、黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着しました。

[ロシア海軍の最新フリゲート"アドミラル・マカロフ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]
セヴァストーポリ到着後、「アドミラル・マカロフ」の舷側番号は「499」に変更されました。
(就役時は「799」)


11月5日にセヴァストーポリを出航し、11月6日にボスポラス海峡及びダーダネルス海峡を通過して地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"は地中海へ入る]

11月16日、同型艦「アドミラル・エッセン」と共に艦載ヘリコプターの訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・エッセン"と"アドミラル・マカロフ"は地中海東部で艦載ヘリコプターの訓練を行なった]

11月20日には「アドミラル・エッセン」と共に対空防衛演習を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・エッセン"と"アドミラル・マカロフ"は地中海東部で対空防衛演習を行なった]

その後も「アドミラル・マカロフ」地中海東部に留まっており、12月28日にキプロスリマソール港へ入港しました。
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[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"はキプロスのリマソールを訪れた]

12月29日にリマソール港を去りました。

「アドミラル・マカロフ」は、2019年の新年を洋上(地中海東部)で迎えました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"は地中海東部で2019年の新年を迎える]

2019年1月中旬、「アドミラル・マカロフ」は、シリアタルトゥース港で乗組員の錬成訓練を開始しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"は地中海東部で乗組員の慣熟訓練を始めた]

2月1日には、対空防衛訓練を実施しました。
(おそらくはタルトゥース港に停泊した状態で)
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"は地中海東部で対空防衛訓練を行なった]

その後、「アドミラル・マカロフ」タルトゥースを出航し、2月11日に再びキプロスリマソール港へ寄港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"は再びキプロスのリマソール港へ寄港した]

2月13日にリマソール港を出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"はキプロスのリマソール港を去った]

「アドミラル・マカロフ」は、その後も地中海東部に滞在していましたが、3月4日にダーダネルス海峡へ入り、母港セヴァストーポリへ向かいました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"は地中海を去った]

翌3月5日にセヴァストーポリへ帰投しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート"アドミラル・マカロフ"はセヴァストーポリへ帰投した]

その後は黒海で行動していました。


沿岸(地下)固定式ミサイル複合体「ウチョス」(秘匿名「オブィエクト-100」)は、東西冷戦時代にクリミア半島(セヴァストーポリ軍港周辺)防衛用として特別に建設された地下サイロ方式の地対艦ミサイルです。
ミサイル艦対艦ミサイルP-35「プログレス」(SS-N-3シャドック)が使用されました。
『赤旗黒海艦隊情報リソース』より
【沿岸固定ミサイル複合体「ウチョス」】

ソ連邦解体後は放棄されていましたが、2014年3月にクリミア半島ロシア連邦へ編入された後に修復が始まり、2016年11月までに復活しました。

将来的には、超音速対艦ミサイル「バスチオン」(オーニクス)へ換装されます。
[クリミア半島へロシア海軍の地対艦ミサイル"バスチオン"のサイロ発射型が配備される]

ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦B-435(元ウクライナ潜水艦ザポリージャ)は解体される

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『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2019年6月21日21時28分配信
【ロシア連邦国防省はウクライナ唯一の潜水艦「ザポリージャ」を解体する】
モスクワ、6月21日、インタファクス

6月19日、ロシア連邦国防省は数隻の艦の解体の為の入札を公開した。
その中には、以前にはウクライナが保有し、クリミアロシアへの編入後にロシア連邦海軍へ引き渡された潜水艦「ザポリージャ」も有る。

然るべき情報は、国家発注ポータルサイトに記載されている。
入札への参加は2019年6月25日までとなっている。
契約価格は知られていない。

入札文書のリストには、プロジェクト641潜水艦が出ている。
文書では、具体的には名指しされていない。

ロシア連邦海軍において、このタイプの潜水艦は、この「ザポリージャ」1隻のみである。
それは、2014年のクリミア編入後、黒海艦隊へ加入した。

ウクライナ潜水艦は、「ザポリージャ」1隻のみであった。
それは1970年に建造され、2014年に聖アンドレイ旗を掲揚したが、既に動力は老朽化していると見なされ、その年には修理中だった。

以前、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、ロシアウクライナクリミアの艦と軍用車両を引き渡す用意が有ると発言した。
2014年4月、ウクライナ中型揚陸艦「キロヴォフラート」、コルベット「ヴィーンヌィツャ」、海上基盤「ゾロトノシャ」を含む数隻の艦が戻された。



ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【B-435、U-01「ザポリージャ」(ウクライナ海軍)】

ウクライナ海軍唯一の潜水艦「ザポリージャ」は、元々はソ連海軍プロジェクト641潜水艦(フォックストロット級)B-435として1970年3月24日にレニングラードアドミラルティ造船所で起工され、同年5月29日に進水、同年11月6日にソ連海軍へ納入されました。

1970年11月24日、赤旗北方艦隊へ編入され、1971年1月、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイに到着しました。

1970年代~1980年代には北東大西洋地中海で戦闘勤務に就いていました。
この間、1972年にはムルマンスクで、1979年~1981年にはクロンシュタットでオーバーホールが行なわれました。

1990年夏には黒海へ回航され、同年8月27日、黒海艦隊へ転属しました。

翌1991年12月末のソヴィエト連邦解体後は海洋へ出る事も無くなり、セヴァストーポリに係留されたままになりました。

1997年7月11日、ウクライナ海軍へ譲渡され、同月21日にU-01「ザポリージャ」と改名されました。
1997年9月8日、ロシア連邦海軍から除籍されました。

しかしウクライナだけでは同艦を修復、復帰させる事は出来ず、ロシアの助力を得る事になりました。
ウクライナの造船所は、ソヴィエト連邦時代にはソ連海軍向けの大型水上艦を多数建造した経験は有りますが、潜水艦に関しては全く経験が無く、当然ながらノウハウも有りませんでした。
[ロシアは、ウクライナ潜水艦の修理に協力する]
「ザポリージャ」は、ロシア黒海艦隊第13艦船修理工場浮きドックで修復される事になりました。
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2012年から航海試験が開始され、潜航試験も実施されました。



2013年1月、ウクライナ海軍の戦闘編制へ加入しました。

そして2013年6月末、修理を完全に終えてロシア黒海艦隊浮きドックを出渠し、名実ともにウクライナ海軍へ再就役しました。
[ウクライナ潜水艦ザポリージャは完全に修復された]


2014年3月にクリミア半島ロシア連邦へ編入された際、同地に居たウクライナ海軍艦艇ロシアに接収されました。

しかし潜水艦「ザポリージャ」のみは、ロシア黒海艦隊潜水艦部隊の幹部(司令と参謀長)が出向き、自軍へ引き入れる為の説得工作が行なわれました。
ロシア側は、潜水艦そのものよりも、乗組員(サブマリナー)の方が欲しかったようです。
[ウクライナ潜水艦ザポリージャ、ロシア黒海艦隊へ編入?]

その結果、乗員の一部は潜水艦を去り、残りはロシア海軍へ加わる道を選び、潜水艦「ザポリージャ」は2019年3月22日にロシア海軍へ復帰し、元のB-435へ戻りました。
[旧ウクライナ潜水艦ザポリージャはロシア海軍旗を揚げた]

その後、「ザポリージャ」ウクライナへ返還する話も出てきましたが、結局、実現には至りませんでした。
[潜水艦B-435(旧ザポリージャ)はウクライナ海軍へ返還されるかもしれない]
[潜水艦ザポリージャはウクライナ側へ返還される]
[セヴァストーポリの企業は潜水艦ザポリージャ(現B-435)の差し押さえを求める]

「ザポリージャ」改めB-435は、書類上は黒海艦隊第4独立潜水艦旅団に所属し、セヴァストーポリに停泊していましたが、一度も外海へ出る事は有りませんでした。
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ロシア海軍へ復帰してから5年以上が経過した2019年6月下旬、遂にB-435は解体される事になり、業者の入札が始まりました。

なお、今回の入札においては、3隻のプロジェクト956駆逐艦、数隻のプロジェクト877潜水艦、そしてプロジェクト1134B大型対潜艦の解体も発表されています。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年6月20日9時52分配信
【プロジェクト956駆逐艦解体の入札が公表された】

クリミア半島へロシア海軍の地対艦ミサイル"バスチオン"のサイロ発射型が配備される

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『インタファクス』より
2016年11月18日17時0分配信
【クリミアでサイロ式沿岸ミサイル複合体「ウチョス」の戦闘準備が復活した】
モスクワ、11月18日、インタファクス-ロシア

サイロ式沿岸ミサイル複合体「ウチョス」大隊はクリミアで復活した。
金曜日に『インタファクス』は消息筋より伝えられた。

「復活した複合体は、その生存性を証明する為、数回のミサイル発射の実施が意図されています。
将来的には、この基地にはミサイル複合体バスチオンのサイロ配置型の展開が意図されております」

対談者は話した。

[複合体「バスチオン」]
以前、情報筋は、2020年までにクリミアへ最初の沿岸ミサイル複合体「バスチオン」サイロ配置型を展開できると伝えた。

「現用の対艦ミサイル"ヤーホント"と現在開発中の将来のヴァージョンは、黒海エリアに存在するあらゆる目標の破壊が可能です」
対談者は話した。

彼の見立てによると、サイロ展開方式の「バスチオン」は、複合体の戦闘安定性を大幅に向上させる。

「固定配置型は、黒海のロシア領海内へ侵入する如何なる艦に対しても反撃されずに攻撃する事が出来ます」
対談者は強調した。

彼は、固定式「バスチオン」は、無人機水中音響複合体(ソナー)を使用できるようになる事を指摘した。
サイロは、20kg/平方メートルまでの衝撃波の圧力に十分耐えられる。

統一超音速誘導対艦ミサイル3M55「ヤーホント」移動型沿岸ミサイル複合体「バスチオン」は、科学生産合同『機械製造』(コンツェルン『戦術ロケット兵器』へ含まれる)で開発、製造されている。

複合体「バスチオン」は600km以上に渡って延びた沿岸を防護し、強力な火力及び電波電子妨害という条件下で、様々なクラス及びタイプの水上艦、揚陸連合部隊、護送船団、航空艦打撃グループ、更には単独艦や地上電波照射目標を攻撃する為に意図されている。

1つの複合体の弾薬には、36基までのミサイル「ヤーホント」を含める事が出来る。
ミサイルは超水平線射程距離を有する。
それは「ファイア・アンド・フォゲット」の原則を実現している。

「ヤーホント」は距離300kmの目標を破壊し、200kg以上の弾頭を搭載できる。
ミサイルは、完全な自律戦闘使用、全ての飛行条件下での高空超音速、様々な軌道を選択(低高度及び組み合わせ)出来、更には、一連の広範囲の海上、航空、地上運搬手段の為に完全に統一されている。



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沿岸(地下)固定式ミサイル複合体「ウチョス」(秘匿名「オブィエクト-100」)は、東西冷戦時代にクリミア半島(セヴァストーポリ軍港周辺)防衛用として特別に建設された地下サイロ方式の地対艦ミサイルです。
ミサイル艦対艦ミサイルP-35「プログレス」(SS-N-3シャドック)が使用されました。
『黒海艦隊サイト』より
【沿岸固定ミサイル複合体「ウチョス」】

ソ連邦解体後、「ウチョス」ウクライナ海軍へ移管されましたが、運用される事無く放棄されました。
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2014年3月にクリミア半島ロシア連邦へ編入された後、放棄された「ウチョス」の修復が始まり、2016年11月までに復活しました。

「ウチョス」には、将来的には超音速地対艦ミサイル「バスチオン」が配備される事になります。
『黒海艦隊サイト』より
【K300P「バスチオン-P」】

既に「バスチオン」の地下発射型の開発も始まっています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2016年1月29日15時25分配信
【ロシアはミサイル複合体「バスチオン」のサイロ(発射)ヴァージョンを開発する】
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元ウクライナ海軍大型揚陸艦コンスタンチン・オリシャンスキーはロシア海軍黒海艦隊の一員として活動するかもしれない

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2016年2月9日17時37分配信
【ウクライナ参謀本部は黒海艦隊による軍艦「コンスタンチン・オリシャンスキー」の修理を非難した】

ウクライナ参謀本部は、ロシア黒海艦隊が、クリミア領域に残された大型揚陸艦「コンスタンチン・オリシャンスキー」のアンドレイ旗の下での海洋への出航を準備していると考えている。
ウクライナの新聞議会』は報じた。


同紙によると、元ウクライナ艦は2015年に船体作業を実施し、現在、「コンスタンチン・オリシャンスキー」の双方のディーゼルエンジンは修理中である。

ウクライナ参謀本部の匿名の情報提供者は更に、同艦がシリアへの貨物輸送の為に関わる事も有り得ると『議会』紙へ示唆した。

2014年3月、大型揚陸艦「コンスタンチン・オリシャンスキー」は、クリミアドヌズラフ湾へ閉じ込められた。
乗組員は沿岸へ上陸する前に、主動力装置の1つを故障させた。

以前、ロシア側は、大型揚陸艦「コンスタンチン・オリシャンスキー」を含め、クリミアに残された艦をウクライナへ戻す用意があると表明した。
その為の条件は、『ロスビジネスコンサルティング』が報じたように、ドンバスでの平和の確立であると言われている。


プロジェクト775大型揚陸艦BDK-56ポーランドグダニスク造船所で建造され、1985年にソ連海軍へ就役しました。

ソ連邦解体後、1997年にウクライナへ譲渡され、「コンスタンチン・オリシャンスキー」としてウクライナ海軍へ就役しました。
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2014年3月、ロシアクリミア半島を接収し、クリミアに居たウクライナ海軍艦艇もロシアに接収されました。
[ウクライナ海軍には10隻の艦艇が残った]
[ウクライナ海軍艦艇の一部はドヌズラフ湾内に閉じ込められた]

「コンスタンチン・オリシャンスキー」も3月24日にはロシア側の手に落ちました。


その後、ロシアは接収したウクライナ海軍艦艇のウクライナへの返還を始めましたが、ウクライナ東部での内戦の激化により中断しました。

「コンスタンチン・オリシャンスキー」も2014年10月にはセヴァストーポリへ回航され、黒海艦隊基地に係留されました。

その後、ロシア側により同艦の修理が実施されています。

ロシア海軍大型揚陸艦シリアへの輸送任務(シリア・エクスプレス)に就いており、黒海艦隊以外の艦隊からも大型揚陸艦が派遣され、更には、民間から買い上げた貨物船まで投入されています。

このような状況下でロシア海軍「コンスタンチン・オリシャンスキー」を放置しておく筈が無く、近い内に「シリア・エクスプレス」へ加わる事になるようです。

ロシア海軍退役中将セルゲイ・メニャイロはセヴァストーポリ知事に選出された

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年10月9日16時40分配信
【元黒海艦隊司令官代理セルゲイ・メニャイロはセヴァストーポリ知事となった】

本日・10月9日に開会されたセヴァストーポリ立法議会は、セルゲイ・メニャイロをセヴァストーポリ知事に選出した。
彼の立候補は、24の投票の内の21の議員に選ばれた。
3票は無効票と認められた。


これに先立ち、ロシア大統領は、同市の知事選挙の為の3名の候補者を発表した。
候補者は、セヴァストーポリ知事代行セルゲイ・メニャイロロシア連邦共産党セヴァストーポリ地域支部第1書記官ワシーリー・パルホメンコセヴァストーポリ知事顧問オレグ・ロスリャコフであった。

セルゲイ・イワノヴィチ・メニャイロは、北オセチアで生まれた。
彼は北方艦隊コラ小艦隊沿岸掃海艇の航海・戦闘班長からスタートし、(最終的には)黒海艦隊司令官代理となった。
2011年12月、軍務から退役した。

2010年4月、メニャイロは、ロシア大統領により提案された政党「統一ロシア」の3名の北オセチア共和国大統領候補の1人であった。

セヴァストーポリ立法議会の選挙においてメニャイロ政党「統一ロシア」の党員リストにナンバー2として名を連ねていた。
その後、「統一ロシア」が同市の議会で絶対的多数を占め、彼は全権代表を辞任した。

2014年4月14日、ロシア連邦大統領令により、メニャイロセヴァストーポリ知事代行となった。


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ロシア海軍退役中将セルゲイ・イワノヴィチ・メニャイロ氏は、2014年4月14日、セヴァストーポリ連邦市の知事代行に任命されました。
[ロシア海軍退役中将セルゲイ・メニャイロはセヴァストーポリ知事代行に任命された]

それから約半年後の10月9日、セヴァストーポリ市議会の選挙により、正式にセヴァストーポリ連邦市知事に選出されました。

元ウクライナ海軍潜水艦ザポリージャ艦長はロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の艦長に任命されるかもしれない

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年9月8日18時39分配信
【ウクライナ潜水艦の艦長は新たな「ワルシャワンカ」を率いるかもしれない】

以前はウクライナ海軍の編制に含まれていたディーゼル潜水艦「ザポリージャ」の艦長は、最新潜水艦プロジェクト636.3の内の1隻の乗組員を率いる事になるかもしれない。
ロベルト・シャゲーエフ1等海佐は、既にサンクトペテルブルクにおいて再訓練を開始している。


『中央海軍ポータル』が独自の黒海艦隊の情報提供者より伝えられた所によると、元ウクライナ軍人ロベルト・シャゲーエフ1等海佐は、サンクトペテルブルクで建造されるプロジェクト636.3潜水艦の何れか1隻の艦長ポストの候補者として検討されている。
それは、2014年10月に起工される2隻の潜水艦「コルピノ」及び「ヴェリキー・ノヴゴロド」と命名された~の何れか1隻について話している事は明白である。

(ロベルト・シャゲーエフ)1等海佐は、1997年にウクライナ海軍の編制へ加入し、2014年3月22日にロシア黒海艦隊へ移管された潜水艦「ザポリージャ」で勤務していた事が想い起される。
現在、乗組員は、計画戦闘訓練と修理の支援に忙しい。
2ヶ月以内に、「アルローサ」が修理に置かれる時、艦隊の編制にはディーゼルエレクトリック潜水艦「ノヴォロシースク」が受け入れられる。
元ウクライナ海軍潜水艦は、ロシア連邦黒海艦隊の唯一の潜水艦である。
しかし、ロシア連邦海軍司令部が再三に渡り表明しているように、ディーゼルエレクトリック潜水艦「ザポリージャ」の騒音と戦闘能力という特性は、既に現代の海洋戦闘における必要条件を満たしていない。

黒海艦隊は既に潜水艦旅団のスタッフと管理部を形成している事が想い起される。
この作業は、2014年末までに完了予定である。
ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフが述べたように、近代化されたプロジェクト636最新潜水艦は、ノヴォロシースクに駐留する。
2016年までに黒海艦隊は、このような潜水艦を6隻受領しなければならない。

「ザポリージャ」の艦長が(プロジェクト636.3潜水艦の艦長に)任命されるという可能性は、元ウクライナ軍人ロシア海軍において高位のポストを占める最初の事例では無い。
2014年7月、ウクライナ海軍司令官第1代理セルゲイ・エリセーエフは、バルト艦隊司令官(代理)のポストを受け取った。
4月、ウラジーミル・プーチンは、元ウクライナ海軍総司令官デニス・ベレゾフスキーを、アレクサンドル・ヴィトコ-ロシア連邦黒海艦隊司令官-の副司令官に任命した。


2014年3月、クリミア共和国ロシア連邦へ編入された事に伴い、クリミア半島に居たウクライナ海軍艦艇ロシアへ接収されました。
[ウクライナ海軍には10隻の艦艇が残った]

ウクライナ海軍唯一の潜水艦「ザポリージャ」に関しては、ロシア黒海艦隊潜水艦部隊(第247独立潜水艦大隊)の司令と参謀長が出向いて説得工作を行ない、その結果、艦長と一部の乗員は艦を離れましたが、残りの乗員は潜水艦と共にロシア海軍へ加わる道を選びました。
[ウクライナ潜水艦ザポリージャ、ロシア黒海艦隊へ編入?]
[旧ウクライナ潜水艦ザポリージャはロシア海軍旗を揚げた]

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ロシア海軍への編入を拒み、「ザポリージャ」を離れた筈の艦長ロベルト・シャゲーエフ氏(1977年2月21日生まれ)ですが、それは、サンクトペテルブルク新造潜水艦の艦長候補としての研修を受ける為でした。
つまり、ロベルト・シャゲーエフ氏はウクライナ海軍へは戻らず、ロシア海軍の士官となったという事です。
おそらくは、同氏と共に「ザポリージャ」を離れた他の乗員の一部もサンクトペテルブルクへ行っているかもしれません。

ロベルト・シャゲーエフ氏が艦長に任命される可能性が有るのは、今年10月起工予定のプロジェクト06363潜水艦「コルピノ」「ヴェリキー・ノヴゴロド」になります。
[プロジェクト06363潜水艦]


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なお、ロシア黒海艦隊へ加わった旧「ザポリージャ」(B-435)ですが、その後、ウクライナへ返還するという話が出てきました。
[潜水艦B-435(旧ザポリージャ)はウクライナ海軍へ返還されるかもしれない]
[潜水艦ザポリージャはウクライナ側へ返還される]

しかし、以前に同艦を修理した際の代金が未払いである事が明らかにされ、ウクライナへの返還は未だに実現していません。
(「ザポリージャ」の修理はロシア側の手により実施された)
[ロシアは、ウクライナ潜水艦の修理に協力する]
[ウクライナ潜水艦ザポリージャは完全に修復された]

ロシア側としては、未払いの修理代金を支払わなければ「ザポリージャ」ウクライナへ引き渡さないつもりのようですが、ウクライナ側は、金を支払ってまで「ザポリージャ」を取り戻す気はさらさら無いようです。
[セヴァストーポリの企業は潜水艦ザポリージャ(現B-435)の差し押さえを求める]

セヴァストーポリの企業は潜水艦ザポリージャ(現B-435)の差し押さえを求める

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『イタルタス』より
2014年6月9日16時30分配信
【セヴァストーポリの企業は、ウクライナの潜水艦「ザポリージャ」の権利を主張する】
セヴァストーポリ、6月9日/イタルタス特派員ヤニーナ・ワシコフスカヤ

セヴァストーポリ国営企業「中央設計局チェルノモーレッツ」は、裁判所の判断に基づき、ウクライナ海軍唯一の潜水艦「ザポリージャ」を差し押さえ、売却する権利が有る。
セヴァストーポリ軍事産業合同体の企業首脳の円卓会議中に「中央設計局チェルノモーレッツ」局長アレクサンドル・ポロジンは述べた。

同局は総請負業者として潜水艦を修理したが、受注実行の為の代金は受け取っていない。
ウクライナ軍に対する債務額は300万ドルもしくは1000万ルーブルである。

中央設計局「チェルノモーレッツ」は、セヴァストーポリの経済裁判所へ補償の為に提訴し、ウクライナの法律に基づいた判決を受けた。
5月、この判決は、ロシアの裁判所により確認された。
しかし、ボロジンによると、ウクラ​​イナ軍は、キエフにおいて再び告訴しようとしている。

セヴァストーポリ企業への債務支払い問題は、ウクライナ国防省及びロシア国防省の船舶設備の引き渡し交渉中に出てきた。
交渉に参加した「チェルノモーレッツ」局長によると、「ザポリージャ」引き渡しの為の主な条件として、潜水艦修理の債務支払いが提示された。

「ですが、国防省とウクライナ海軍は、この潜水艦の引き渡しには乗り気ではありませんでした。
間違いなく、彼等は、それ(ザポリージャ)を必要としていないのでしょう。
従いまして、私共は司法の執行官へ連絡し、それを差し押さえ、更には、レストランとして売却するか、或いは、解体の為にトルコへ送らなければならないでしょう」
ボロジン
は話した。

[潜水艦「ザポリージャ」]
潜水艦「ザポリージャ」は1970年に建造され、当初は北方艦隊の編制へ含まれていた。
1990年、潜水艦黒海へ移動した。
1997年にはウクライナ海軍の編制へ加入した。

ディーゼルエレクトリック潜水艦「ザポリージャ」の騒音と戦闘能力という特性は、既に1980年代初頭から現代の海洋戦闘における必要条件を満たしていない。
その理由は、居住保障システム、兵装、潜水艦のダメージコントロール手段が旧式化しており、乗組員にとっては安全ではない為である。


2014年3月、クリミア共和国ロシア連邦へ編入された事に伴い、クリミア半島に居たウクライナ海軍艦艇ロシアへ接収されました。
[ウクライナ海軍には10隻の艦艇が残った]

ウクライナ海軍唯一の潜水艦「ザポリージャ」に関しては、ロシア黒海艦隊潜水艦部隊(第247独立潜水艦大隊)の司令と参謀長が出向いて説得工作を行ない、その結果、艦長と一部の乗員は艦を離れましたが、残りの乗員は潜水艦と共にロシア海軍へ加わる道を選びました。
[ウクライナ潜水艦ザポリージャ、ロシア黒海艦隊へ編入?]
[旧ウクライナ潜水艦ザポリージャはロシア海軍旗を揚げた]

ロシア黒海艦隊第247独立潜水艦大隊へ加わった旧「ザポリージャ」(B-435)ですが、その後、ウクライナへ返還される事になりました。
[潜水艦B-435(旧ザポリージャ)はウクライナ海軍へ返還されるかもしれない]
[潜水艦ザポリージャはウクライナ側へ返還される]

既にロシアは、クリミア半島において接収したウクライナ海軍艦艇の内の3分の2をウクライナ側へ引き渡しています。
『イタルタス』より
2014年6月9日16時36分配信
【ロシアはクリミアにある艦艇の内の3分の2をウクライナへ引き渡した】

しかし、統制艦「スラヴティチ」、潜水艦「ザポリージャ」、コルベット数隻などは未だセヴァストーポリに残されています。
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この内、「ザポリージャ」が未だに返還されていない理由の1つとして、以前に同艦を修理した際の代金が未払いである事が明らかにされました。
(「ザポリージャ」の修理はロシア側の手により実施された)
[ロシアは、ウクライナ潜水艦の修理に協力する]
[ウクライナ潜水艦ザポリージャは完全に修復された]

ロシア側としては、未払いの修理代金を支払わなければ「ザポリージャ」ウクライナへ引き渡さないつもりのようですが、ウクライナ側は、金を支払ってまで「ザポリージャ」を取り戻す気はさらさら無いようです。

ロシア空軍の爆撃機Tu-22M3はロシア海軍と共に黒海で対艦ミサイル攻撃訓練を実施した

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『インタファクス』より
2014年6月9日15時17分配信
【爆撃機Tu-22M3は黒海においてミサイル打撃を与える訓練を行なった】
モスクワ、6月9日、インタファクス.RU

ロシア遠距離航空隊の2機の爆撃機Tu-22M3から成る航空打撃グループは、黒海艦隊部隊と共に黒海に在る模擬標的へミサイル打撃を与える事に取り組んだ。
月曜日、『インタファクス』は、地域の軍組織から伝えられた。

「2機の遠距離爆撃機Tu-22M3はエンゲルス飛行場(サラトフ州)からフライトを行ない、黒海エリアにおいて仮想敵の艦船支隊へミサイル打撃を与える事に取り組みました」
対談者は話した。

彼によると「戦闘訓練演習中、戦闘機Su-27が随伴した遠距離電波位置特定検出航空機A-50を用いて空中及び海上の状況の監視が行なわれました」

「遠距離航空隊の航空機と同時に、海軍航空隊の爆撃機Su-24、更には、黒海艦隊の2隻のロケット艦と沿岸ミサイル複合体バスチオンの艦艇打撃グループにより、仮想水上目標へミサイル打撃を与える事に取り組みました」
彼は指摘した。


今回の黒海における対艦攻撃演習の参加戦力は以下の通りです。

[ロシア空軍]
爆撃機Tu-22M3
戦闘機Su-27
遠距離電波位置特定検出航空機A-50

[ロシア海軍]
ロケット艦2隻
前線爆撃機Su-24
沿岸対艦ミサイル複合体「バスチオン」

ロシア空軍遠距離航空隊爆撃機Tu-22M3は、エンゲルス飛行場から発進したとの事ですから、第6950航空基地所属の機体でしょう。
この他、戦闘機Su-27クリムスク飛行場第6972航空基地(第4航空・防空軍司令部)遠距離電波位置特定検出航空機A-50軍事輸送航空隊(イワノヴォ・セヴェルヌイ飛行場に駐留)所属機でしょう。

この他、ロシア海軍黒海艦隊の各部隊も参加したとの事です。

前線爆撃機Su-24は、クリミア半島グヴァルジェイスコエ飛行場に駐留する機体です。
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「ロケット艦」は、黒海艦隊所属の小型ロケット艦2隻(シチーリ、ミラーシュ)及びエアクッションロケット艦2隻(ボラ、サムーム)の何れか2隻という事になります。

沿岸ミサイル複合体「バスチオン」は、クラスノダール地方ウタシュ村に駐留するロシア黒海艦隊第11独立沿岸ロケット砲兵旅団・第25独立ロケット大隊へ配備されています。
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今回、黒海において対艦ミサイル攻撃訓練を実施した目的ですが、想い起されるのは、現在、黒海にはアメリカ海軍フランス海軍の戦闘艦が展開しているという事実です。
[ロシア海軍は黒海へ入ったフランス海軍のフリゲートを監視する]


なお、ロシア国防省内では、クリミア半島グヴァルジェイスコエ飛行場へ2016年以降に爆撃機Tu-22M3を配置する話が出ているようです。

『インタファクス』より
2014年3月26日10時36分配信
【クリミアへロシア海洋ロケット航空隊が戻ってくる】

ロシア海軍は黒海へ入ったフランス海軍のフリゲートを監視する

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2014年6月6日11時45分配信
【ロシア連邦黒海艦隊はフランス海軍の軍艦を追跡する:同艦からの脅威は示されていない】
モスクワ、6月6日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア黒海艦隊は、現在、アメリカ合衆国海軍巡洋艦「ヴェラ・ガルフ」と共に黒海へ滞在しているフランスの軍艦「シュルクーフ」を追跡している。
金曜日、ロシア国防省の情報提供者はロシア通信社ノーボスチへ伝えた。

以前、「シュルクーフ」黒海へ入ったと報じられた。
恐らくは、ロシア海軍グループに対する偵察を実施する為に。
予定では、6月15日、NATO加盟国の第3の艦-イタリア海軍偵察艦「エレットラ」黒海へ入る。

「(シュルクーフの)追跡の為には、1隻の偵察艦で充分です。
シュルクーフは重大な軍事的脅威とは見なされておりませんし、それを監視するには黒海艦隊の1隻で充分です」

対談者は指摘した。

彼によると、同艦へ特別な注意を払わなければならないのは「同艦がロシアの領海へを企てた場合のみです」
しかし状況から判断するにフランス「挑発は行っておらず、その代わりにオデッサへ向かっており、シュルクーフはルーマニア側への移動を始めています」

更に情報提供者によれば、「黒海におけるNATO軍艦の挑発行動の可能性を防ぐ」為に、海軍航空隊を用いる可能性は排除されない。

モントルー条約によると、非黒海沿岸諸国の軍艦は、21日間を越えて黒海に滞在する事は出来ない。
黒海における非黒海沿岸諸国の軍艦は、総トン数30000トンを超えてはならない。
今年、アメリカフリゲート「テイラー」は、条約に違反し、黒海における滞在期限を11日間超過している。

ロシアの専門家は、NATO艦黒海への滞在を「神経遊戯」と呼んでいる。
全ロシア海軍支援協会の会長ミハイル・ネナシェフは、ロシア通信社ノーボスチのインタビューに対し、黒海におけるNATO諸国の艦の存在は、ロシアへの積極的な圧力の継続であるとの見方を示した。


フランス海軍フリゲート「シュルクーフ」(タイプ・ラファイエット・フリゲート)は、5月28日に黒海へ入りました。
『黒海ニュース』より
2014年5月30日配信
【フランスの見えないフリゲート「シュルクーフ」(F711)は黒海へ】

黒海へ入った後、「シュルクーフ」黒海北部を遊弋し、クリミア半島ロシア黒海艦隊沿岸施設から50-60kmまで接近し、更にはノヴォロシースク沖を横断したとの事です。
『イタルタス』より
2014年6月4日9時15分配信
【フランスのフリゲート・シュルクーフはクリミアのロシア軍施設を偵察している】

当然ながら、ロシア海軍側も「シュルクーフ」の動向を監視しています。
具体的な艦名は挙げられていませんが、今回の記事によると、偵察艦が監視任務に就いている事が示唆されています。

フランス海軍は、以前には情報収集艦「デュピュイ・ド・ローム」黒海へ派遣しています。
(1度目は2014年4月10日から4月30日まで、2度目は5月14日から5月29日まで黒海に滞在)
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『黒海ニュース』より
2014年5月15日配信
【フランス海軍の大型偵察艦「デュピュイ・ド・ローム」は再び黒海へ】

この他、記事中でも触れられているように、アメリカ海軍ミサイル巡洋艦「ヴェラ・ガルフ」は、5月23日から黒海に滞在しています。
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『黒海ニュース』より
2014年5月24日配信
【ロケット巡洋艦USSヴェラ・ガルフは黒海へ】

記事中で触れられていますが、今後はイタリア海軍多用途支援艦(情報収集艦)「エレットラ」黒海へ入ります。
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何れも、今年2月下旬から表面化したウクライナ危機と、3月のクリミア共和国及びセヴァストーポリ特別市ロシア連邦編入に対応した動きです。

無論言うまでも無く、これらの艦は、ウクライナへの支持とロシアへの牽制の為に黒海で行動しています。

フランスは、ウクライナ危機など無かった2011年6月に締結したロシアへのヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」級の売却契約を、他のNATO諸国の反対にも関わらず、現在でも忠実に履行していますが、その一方で、黒海におけるロシアへの牽制活動にも積極的に参加しています。

日本では、ロシアへのミストラル級売却の方は報じられますが、フランス軍艦ロシアに対抗して黒海で活動している事は殆ど報じられていません。