ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は全長280メートル以上になる?

『Dzen』より
2023年6月24日配信
【ロシアの航空母艦は全速力で建造中!それは予想よりもさらに大きくなる】
これらは既に忘れ去られたのだろうか?
しかし無駄な事だ!
ケルチ英雄市の造船工場『ザリフ』では、ロシア海軍の為の汎用揚陸ヘリコプター母艦が建造されている!
Googleマップに表示された工場『ザリフ』の衛星画像には、プロジェクト23900汎用揚陸艦「イワン・ロゴフ」の船体が明確に示されている。

モルスコイ氏は、公開された画像を詳細に分析した。
艦は工場の乾ドックにある屋外船台で建造されている。
正確には、現在、起工された2隻の汎用揚陸艦の内の1隻の船体が形成されている。
2隻の船体を並べれば、ドックに収まらない!
将来の艦の艦首セクションは、キールの形で示されている。
艦尾部分は既に活発に形成されており、高い舷側は「成長」している。
特に興味深いのは艦の長さである。
測定ツールによると、形成される船体の全長は280メートルを超えるが、艦の当初の長さは220メートルになる計画だった。
これは、プロジェクト23900艦が世界最大の汎用揚陸艦となる事を意味する。
それは、アメリカの「アメリカ」型や日本の「いずも」よりも大きい。


そして、フランスの「ミストラル」は通常、側面で神経質に排煙する・・・そして、そこには如何なる驚くべきことも無い!

結局、数年前にメディアが報じたように、「イワン・ロゴフ」型艦のプロジェクトは、排水量と技術的能力の増加に同意して修正された。
これは、汎用揚陸艦が新たなタイプの航空機を搭載し、軍部隊を指揮する任務を遂行できるように造られる。
ウラジーミル・プーチン自身も、これらの艦が「追加の能力」を得ると言った。
これらは全て、この艦が(既に発表されている)「オホートニク」型無人打撃航空機のみならず、垂直着陸・短距離離陸航空機も駐留する事を示唆している。
この事は、この艦は汎用揚陸艦のみならず、既に軽航空母艦である事を意味する。
更に喜ばしいのは、この衛星画像の日付が2022年6月に遡る事である。
即ち、ちょうど1年前の艦の様子が捉えられていたのである!
そしてこれは、今日においては、それが更に「成長」している事を意味する。
昨年に工場がどのような艦を建造したのかを考慮する事も出来る。
これからもロシア空母艦隊の建造を追って行く!
2011年6月にロシアはフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスはウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。
2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]
フランスはロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]
その後、2隻の「ミストラル」級はエジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)
「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。

「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。

一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]
搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]
この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。
汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルクの『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシアの造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市の造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】

2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。
2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]
2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。

[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」と「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」と「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。
プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。







ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランスの「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]


プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海のロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。
以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]
しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]
2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」と「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]
1番艦「イワン・ロゴフ」のロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]
一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」は黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]
プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機や無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]
更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇と水中無人装置もプロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]
プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』造船所で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する]
2023年1月中旬には、サンクトペテルブルクの企業(本社はチュヴァシ共和国のチェボクサリに在る)が製造したプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤が『ザリフ』造船所へ引き渡されました。

[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の配電盤がケルチ造船所へ引き渡された]
2月10日にはサンクトペテルブルクの『船舶動力複合体』が製造したサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれました。

[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれた]
プロジェクト23900汎用揚陸艦には、対潜防衛用の無人艇も搭載されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は対潜防衛用の無人艇を搭載する]
プロジェクト23900汎用揚陸艦は高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」の装備が予定されていますが、この他にAK-630M-2「ドゥエト」の追加装備も決定されました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は2連30mmガトリング砲AK-630M-2「ドゥエト」を装備する]
ザリフ造船所で建造中の「イワン・ロゴフ」型汎用揚陸艦
(おそらく艦首部分)


これまでプロジェクト23900汎用揚陸艦の全長は220メートル程度と推察されていましたが、Googleマップのザリフ造船所の乾ドックの画像の23900の船体部分から推定すると、280メートル以上になるようです。
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