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ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は全長280メートル以上になる?

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『Dzen』より
2023年6月24日配信
【ロシアの航空母艦は全速力で建造中!それは予想よりもさらに大きくなる】

これらは既に忘れ去られたのだろうか?
しかし無駄な事だ!
ケルチ英雄市の造船工場『ザリフ』では、ロシア海軍の為の汎用揚陸ヘリコプター母艦が建造されている!


Googleマップに表示された工場『ザリフ』の衛星画像には、プロジェクト23900汎用揚陸艦「イワン・ロゴフ」の船体が明確に示されている。
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モルスコイ氏は、公開された画像を詳細に分析した。
艦は工場乾ドックにある屋外船台で建造されている。
正確には、現在、起工された2隻の汎用揚陸艦の内の1隻の船体が形成されている。
2隻の船体を並べれば、ドックに収まらない!
将来の艦の艦首セクションは、キールの形で示されている。
艦尾部分は既に活発に形成されており、高い舷側は「成長」している。

特に興味深いのは艦の長さである。
測定ツールによると、形成される船体の全長は280メートルを超えるが、艦の当初の長さは220メートルになる計画だった。
これは、プロジェクト23900艦が世界最大の汎用揚陸艦となる事を意味する。
それは、アメリカ「アメリカ」型日本「いずも」よりも大きい。
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そして、フランス「ミストラル」は通常、側面で神経質に排煙する・・・そして、そこには如何なる驚くべきことも無い!
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結局、数年前にメディアが報じたように、「イワン・ロゴフ」型艦のプロジェクトは、排水量と技術的能力の増加に同意して修正された。
これは、汎用揚陸艦が新たなタイプの航空機を搭載し、軍部隊を指揮する任務を遂行できるように造られる。
ウラジーミル・プーチン自身も、これらの艦が「追加の能力」を得ると言った。
これらは全て、この艦が(既に発表されている)「オホートニク」型無人打撃航空機のみならず、垂直着陸・短距離離陸航空機も駐留する事を示唆している。
この事は、この艦は汎用揚陸艦のみならず、既に軽航空母艦である事を意味する。

更に喜ばしいのは、この衛星画像の日付が2022年6月に遡る事である。
即ち、ちょうど1年前の艦の様子が捉えられていたのである!
そしてこれは、今日においては、それが更に「成長」している事を意味する。
昨年に工場がどのような艦を建造したのかを考慮する事も出来る。

これからもロシア空母艦隊の建造を追って行く!



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルク『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシア造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。
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[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。
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ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』造船所で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する]

2023年1月中旬には、サンクトペテルブルクの企業(本社はチュヴァシ共和国チェボクサリに在る)が製造したプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤『ザリフ』造船所へ引き渡されました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の配電盤がケルチ造船所へ引き渡された]

2月10日にはサンクトペテルブルク『船舶動力複合体』が製造したサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれた]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には、対潜防衛用の無人艇も搭載されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は対潜防衛用の無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」の装備が予定されていますが、この他にAK-630M-2「ドゥエト」の追加装備も決定されました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は2連30mmガトリング砲AK-630M-2「ドゥエト」を装備する]

ザリフ造船所で建造中の「イワン・ロゴフ」型汎用揚陸艦
(おそらく艦首部分)
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これまでプロジェクト23900汎用揚陸艦の全長は220メートル程度と推察されていましたが、Googleマップのザリフ造船所の乾ドックの画像の23900の船体部分から推定すると、280メートル以上になるようです。
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ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は2連30mmガトリング砲AK-630M-2「ドゥエト」を装備する

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『タス通信』より
2023年6月24日9時8分配信
【プロジェクト23900揚陸艦の防衛は砲塔AK-630M-2「ドゥエト」で強化される】
クロンシュタット、6月24日/タス通信

ケルチ造船工場『ザリフ』で建造されているプロジェクト23900汎用ヘリコプター搭載揚陸艦「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の対ミサイル防衛は、艦載自動砲装置AK-630M-2「ドゥエト」で強化される。
『タス通信』は海軍関係の情報筋より伝えられた。

「ヘリコプター母艦のミサイル-機関砲複合体による対ミサイル防衛のは、以前には高射ミサイル-機関砲複合体パーンツィリ-Mの助力により提供される予定でしたが、今、更に速射砲装置AK-630M-2ドゥエトでの強化が計画されております。
これにより、対艦ミサイルや他の修理の誘導兵器を確実に破壊します」

対談者は国際海軍サロン(IMDS-2023)会場で話した。

彼は、「ドゥエト」は、敵の航空機、ヘリコプター、無人機を破壊し、そして更に海上の小さな水上目標を攻撃する任務を遂行できると付け加えた。

対談者は、AK-630M-2「ドゥエト」によるヘリコプター母艦の対ミサイル防衛強化の決定は、特殊軍事作戦中水上艦の運用経験により下された事を指摘した。

『タス通信』は、この件に関する公式情報を持っていない。


AK-630M-2は、プロジェクト11711大型揚陸艦「イワン・グレン」、「ピョートル・モルグノフ」、そして更にプロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦の兵装に含まれている。
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このようなクラスの最初の2隻の国産艦~「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、造船工場『ザリフ』で2020年7月20日に起工された。
ロシアヘリコプター母艦は、ゼレノドリスク設計局が開発したプロジェクト23900の下で建造される。

[サロンについて]
『IMDS-2023』
は6月21日から25日までクロンシュタットで開催される。
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行事はロシア連邦産業・貿易省が主催する。
初めて、観光・レクリエーションクラスタ『フォルトフ島』の領域に在る『海軍栄光博物館』及び『会議・展示センター』が開催場所となった。
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造船所及び造船産業企業の展示会では、250を超えるロシア及び外国の参加者がプレゼンテーションを行なう。
『タス通信』は、『IMDS-2023』の戦略メディアパートナーである。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルク『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシア造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。
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[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。
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ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』造船所で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する]

2023年1月中旬には、サンクトペテルブルクの企業(本社はチュヴァシ共和国チェボクサリに在る)が製造したプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤『ザリフ』造船所へ引き渡されました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の配電盤がケルチ造船所へ引き渡された]

2月10日にはサンクトペテルブルク『船舶動力複合体』が製造したサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれた]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には、対潜防衛用の無人艇も搭載されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は対潜防衛用の無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」の装備が予定されていますが、この他にAK-630M-2「ドゥエト」の追加装備も決定されました。

ザリフ造船所で建造中の「イワン・ロゴフ」型汎用揚陸艦
(おそらく艦首部分)
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ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は対潜防衛用の無人艇を搭載する

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『タス通信』より
2023年6月22日14時2分配信
【情報筋:新たなヘリコプター母艦は自衛の為の無人艇を装備する】
クロンシュタット、6月22日/タス通信

ケルチ造船工場『ザリフ』で建造されているプロジェクト23900汎用ヘリコプター搭載揚陸艦「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、艦の対潜及び対機雷防衛の為の無人艇を艦内に搭載する。
『タス通信』は海軍関係の情報筋より伝えられた。

「プロジェクト23900汎用揚陸艦は、海上ヘリコプター群に加え、艦の対潜及び対機雷防衛の為に意図される無人艇を艦内に搭載し、制御します」
対談者は国際海軍サロン(IMDS-2023)の最中に話した。

彼は、これが異国の潜水艦を探知する為の無人機センサーを装備する「タイフーン」型無人自動偵察艇についての話である事を明らかにした。
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加えて、海洋機雷を捜索し、無力化する為に意図されている無人艇「スカンダ」汎用揚陸艦の艦内に駐留する。
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以前に『タス通信』は情報筋より、プロジェクト23900汎用揚陸艦は、海上ヘリコプター群の駐留に加え、一定の数のヘリコプター型打撃・偵察無人機を艦内へ搭載し、制御すると伝えられた。

『タス通信』は、この件に関する公式情報を持っていない。

2021年2月、『タス通信』は、造船工場『ザリフ』が2隻の汎用揚陸艦の船体の形成へ着手したと伝えた。
これらは様々な用途の重ヘリコプターグループの搭載、数百名から1000名の海軍歩兵の移送が可能である。
それは、揚陸部隊の上陸と装甲車両の移送を保障するの為のドックを装備する。
このようなクラスの最初の2隻の国産艦~「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、造船工場『ザリフ』で2020年7月20日に起工された。
ロシアヘリコプター母艦は、ゼレノドリスク設計局が開発したプロジェクト23900の下で建造される。

[サロンについて]
『IMDS-2023』
は6月21日から25日までクロンシュタットで開催される。
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行事はロシア連邦産業・貿易省が主催する。
初めて、観光・レクリエーションクラスタ『フォルトフ島』の領域に在る『海軍栄光博物館』及び『会議・展示センター』が開催場所となった。
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造船所及び造船産業企業の展示会では、250を超えるロシア及び外国の参加者がプレゼンテーションを行なう。
『タス通信』は、『IMDS-2023』の戦略メディアパートナーである。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルク『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシア造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。
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[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。
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ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』造船所で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する]

2023年1月中旬には、サンクトペテルブルクの企業(本社はチュヴァシ共和国チェボクサリに在る)が製造したプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤『ザリフ』造船所へ引き渡されました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の配電盤がケルチ造船所へ引き渡された]

2月10日にはサンクトペテルブルク『船舶動力複合体』が製造したサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれた]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には、対潜防衛用の無人艇も搭載されます。

ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれた

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『KORABEL.RU』より
2023年2月13日10時54分配信
【出力1メガワットのサイドスラスターの工場試験は成功裏に完了した】

試験はニジニ・タギルで2月10日に行なわれた。
サイドスラスターは、プロジェクト23900艦の為に『船舶動力複合体』が製造した。
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試験には発注主のブトマ記念ケルチ工場、運輸支局、海事登録局の代表が参加した。
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2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルク『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシア造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。
23900-20-0720a.jpg
[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。
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ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』造船所で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する]

2023年1月中旬には、サンクトペテルブルクの企業(本社はチュヴァシ共和国チェボクサリに在る)が製造したプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤『ザリフ』造船所へ引き渡されました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の配電盤がケルチ造船所へ引き渡された]

2月10日にはサンクトペテルブルク『船舶動力複合体』が製造したサイドスラスターの試験がニジニ・タギルで行なわれました。
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ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の配電盤がケルチ造船所へ引き渡された

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『KORABEL.RU』より
2023年1月19日14時43分配信
【サンクトペテルブルクからケルチへプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤が送られた】

引き渡しは、『VNIIR(全ロシア科学研究継電器製造研究所)プログレス』と株式会社『B.E.ブトマ記念造船工場』の間の合意の枠組みで行なわれた。

『全ロシア科学研究継電器製造研究所プログレス』サンクトペテルブルク支所は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の建造の為の主配電盤及び緊急用配電盤を引き渡した。
同社広報サービスは伝えた。
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『全ロシア科学研究継電器製造研究所プログレス』の代理人が指摘したように、全ての製品はロシア連邦国防省の軍の代表による品質管理に合格している。
引き渡しは、株式会社『B.E.ブトマ記念造船工場』との契約の枠組みで行なわれた。

「ロシア連邦海軍の為の最大容量かつ多機能の航空機搭載戦闘艦の建造は続けられており、これはロシア海軍の復活の期待される象徴です」
声明では、こう述べられた。

現在、ケルチ工場『ザリフ』では、2隻の汎用揚陸艦「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」が建造されている。
国内製ヘリコプター母艦の作業は、軍艦「ミストラル」型の建造で得られた経験を考慮して進められている。
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2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルク『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシア造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
23-0120e.jpg

2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。
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[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。
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ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』造船所で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する]

2023年1月中旬には、サンクトペテルブルクの企業(本社はチュヴァシ共和国チェボクサリに在る)が製造したプロジェクト23900汎用揚陸艦の為の配電盤『ザリフ』造船所へ引き渡されました。
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セヴェロドヴィンスクの造船所はロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為のベアリングを製造する

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『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2022年7月7日15時13分配信
【セヴェロドヴィンスクでプロジェクト23900ヘリコプター母艦の為のベアリングが開発された】

計画設計局『セヴマシュ』は、ケルチの工場『ザリフ』で建造されているプロジェクト23900汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)「イワン・ロゴフ」と「ミトロファン・モスカレンコ」の為のベアリングを開発した。
7月7日・木曜日、セヴェロドヴィンスク企業の広報サービスは発表した。


ベアリングは『セヴマシュ』で製造される。
受注品の製造は、第4機械作業所で開始された事を造船所の広報サービスは明らかにした。
最初のセットは2023年7月に、2番目のセットは2024年にクリミア造船所への引き渡しが計画されている。

設計の発注者としての役割は、艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』支所~科学生産合同『ヴィント』が果たした。
開発には3ヶ月掛かった。
これは通常の2分の1である事を『セヴマシュ』広報サービスは強調した。
セットには、4つのスタンチューブ軸受け、2つの主スラストベアリング、そして15のスラストベアリングが含まれる。
ケースの製造には、大量の溶接作業と機械加工が控えている。

『セヴマシュ』の代理人は、船舶用ベアリングの開発と製造は、1980年代から同社で発展している事を指摘した。
顧客の中には、造船分野の企業のみならず、石油及び冶金業界の代表も居る。
2022年~2025年に考慮されている合意プログラムによると、『セヴマシュ』は、サンクトペテルブルク、カリーニングラード、ゼレノドリスク、クロンシュタット、ケルチ、コムソモリスク・ナ・アムーレ造船所へベアリングを供給する。

ロシア国防省は、約100億ルーブルの費用の2隻の汎用揚陸艦の建造の契約を2020年5月に締結した事が想い起こされる。
2隻のプロジェクト23900艦の起工は、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンの隣席の下、2021年7月20日にケルチ工場『ザリフ』で行なわれた。

最新情報によると、各々の艦の排水量は最大で4,000トンになるだろう。
1隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦は1000名の海軍歩兵と16機のヘリコプターを輸送できる。
ドック室は4隻の揚陸艇が考慮されている。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦を建造する造船所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の船体後部を建造したサンクトペテルブルク『バルト工場』などが候補に挙がっていましたが、ロシア造船所で最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有するクリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)に決まりました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

2隻の汎用揚陸艦の建造契約は2020年5月下旬に締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2020年7月20日、2隻のプロジェクト23900汎用揚陸艦の起工式典が開催されました。

[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]
2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。

ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

プロジェクト23900汎用揚陸艦には無人機無人ヘリコプターが搭載されます。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する]


プロジェクト23900汎用揚陸艦の為のベアリングは、セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』で製造されます。
『セヴマシュ』は、ロシアの艦船用ベアリングの製造を独占しています。
[セヴマシュ造船所はプロジェクト11356フリゲートの為の軸受(ベアリング)を製造した]

ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は機雷掃海用無人艇を搭載する

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『タス通信』より
2021年12月17日9時14分配信
【情報筋:新たなロシアのヘリコプター母艦は無人艇で武装する】
モスクワ、12月17日/タス通信

株式会社『B.E.ブトマ記念造船工場』(ケルチ市)で建造されているプロジェクト23900汎用ヘリコプター搭載揚陸艦「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、ロシアが開発した対機雷無人艇を装備する。
『タス通信』造船分野の情報提供者より伝えられた。

「プロジェクト23900ヘリコプター母艦は、国内で開発された無人艇及び水中ドローンで構成される対機雷複合体での武装が計画されています。
艦上には、一度に2隻の無人艇が配置されます」

対談者は話した。

彼によると、艦内の水中音響ステーションと磁力計の助力を得た無人艇は、自身で海上機雷を探知し、識別する。
これらは、遠隔操作水中装置により破壊される。

「対機雷兵器複合体の所有は、艦隊の対機雷豚の支援無しで汎用揚陸艦が自身で遠海ゾーンでの戦闘任務を果たす事を可能にします」
対談者は強調した。

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現在、プロジェクト12700対機雷防衛艦(コード名「アレクサンドリト」)は、高速艇BL-680を基にした無人艇「スカンダ」と、更には機雷を破壊する為に意図されている無人水中装置を装備している。
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『タス通信』は、この情報について公式に確認していない。

[プロジェクト23900汎用揚陸艦]
以前、プロジェクト23900汎用揚陸艦打撃・偵察無人飛行装置の駐留の為に順応すると報じられた。
ドローンは、海上揚陸部隊への火力支援を効果的に保障し、その上陸地帯の戦術状況を明らかにし、特殊作戦実施の際、目立たない浮遊物を探知し、必要ならば排除する事を可能にする。

汎用揚陸艦は、様々な用途の重ヘリコプターグループの搭載、数百名から1000名の海軍歩兵の移送が可能である。
それは、揚陸部隊の上陸と装甲車両の移送を保障するの為のドックを装備する。
このようなクラスの最初の2隻の国産艦~「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、造船工場『ザリフ』で2020年7月20日に起工された。
ロシアヘリコプター母艦は、ゼレノドリスク設計局が開発したプロジェクト23900の下で建造される。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦上輸送戦闘ヘリコプターKa-29は飛行訓練を行なった]

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦の建造場所としては、以前にはサンクトペテルブルク『北方造船所』などが有力視されていましたが、2019年になって、クリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)で建造する案が浮上してきました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島ケルチ市のザリフ造船所で起工される]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島で起工される?]
[ロシア海軍の為の新たな汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年にケルチ(ザリフ造船所)で起工され、2025年と2026年に就役する]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月上旬(5月9日まで)にクリミア半島で起工される]

造船工場『ザリフ』も、ロシア海軍新世代汎用揚陸艦を建造する用意がある事を認めました。
[クリミア半島ケルチのザリフ造船所はロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)を建造する準備を整えている]

2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

当初、2隻の汎用揚陸艦の起工は、2020年5月9日の大祖国戦争勝利75周年記念日に予定されており、起工に先立つ建造契約の締結は、2020年4月末までに行なわれる予定でした。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は大祖国戦争勝利75周年記念日の2020年5月9日に起工される]
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約は2020年4月末までに締結される]

しかし、最近の新型コロナウイルス流行の影響により艦の起工は延期され、これに伴い建造契約の締結も先送りされ、5月22日までに締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2隻の汎用揚陸艦の起工は6月29日に予定されていましたが、またも延期となりました。
[ロシア海軍のプロジェクト23900(セヴァストーポリ型)汎用揚陸艦の起工は延期された]

その後、起工日は7月16日に決まりましたが、これも延期され、2020年7月20日に起工式典が開催されました。
[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。

ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト1174大型揚陸艦「イワン・ロゴフ」(1978年6月15日就役、1995年8月4日除籍)
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プロジェクト1174大型揚陸艦「ミトロファン・モスカレンコ」(1990年9月23日就役、2006年12月18日除籍)
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

上述のように、プロジェクト23900汎用揚陸艦へ無人機を搭載するという話は以前から出ていましたが、それは無人ヘリコプターになるようです。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する]

更に、プロジェクト12700対機雷防衛艦が搭載している無人小型掃海艇水中無人装置プロジェクト23900汎用揚陸艦へ搭載され、掃海艦としての機能も付与されます。

ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は無人攻撃/偵察ヘリコプターを搭載する

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『タス通信』より
2021年12月14日9時6分配信
【情報筋:ケルチで建造されているヘリコプター母艦には艦上無人機が配置される】
モスクワ、12月14日/タス通信

ケルチ造船工場『ザリフ』で建造されているプロジェクト23900汎用ヘリコプター搭載揚陸艦「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、打撃・偵察無人飛行装置の駐留の為に順応する。
『タス通信』造船分野の情報提供者より伝えられた。

「プロジェクト23900汎用揚陸艦は、海上ヘリコプターグループの駐留に加え、一定の数のヘリコプター型打撃・偵察無人機を艦内へ搭載します」
対談者は話した。

彼の評価によると、プロジェクト23900艦への無人システムの駐留は、ヘリコプター母艦の戦闘能力を大幅に増加させる。
「ドローンは、海上揚陸部隊への火力支援を効果的に保障し、その上陸地帯の戦術状況を明らかにし、特殊作戦実施の際、目立たない浮遊物を探知し、必要ならば排除する事を可能にします」
彼は付け加えた。

『タス通信』は、この情報について公式に確認していない。

2021年2月、『タス通信』は、造船工場『ザリフ』が2隻の汎用揚陸艦の船体の形成へ着手したと伝えた。
10月、ヘリコプター母艦「ミトロファン・モスカレンコ」は建造完了後に黒海艦隊旗艦となり、その駐留の為のインフラがセヴァストーポリに用意される事が知られるようになった。

汎用揚陸艦は、様々な用途の重ヘリコプターグループの搭載、数百名から1000名の海軍歩兵の移送が可能である。
それは、揚陸部隊の上陸と装甲車両の移送を保障するの為のドックを装備する。
このようなクラスの最初の2隻の国産艦~「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、造船工場『ザリフ』で2020年7月20日に起工された。
ロシアヘリコプター母艦は、ゼレノドリスク設計局が開発したプロジェクト23900の下で建造される。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]


搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦上輸送戦闘ヘリコプターKa-29は飛行訓練を行なった]

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦の建造場所としては、以前にはサンクトペテルブルク『北方造船所』などが有力視されていましたが、2019年になって、クリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)で建造する案が浮上してきました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島ケルチ市のザリフ造船所で起工される]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島で起工される?]
[ロシア海軍の為の新たな汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年にケルチ(ザリフ造船所)で起工され、2025年と2026年に就役する]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月上旬(5月9日まで)にクリミア半島で起工される]

造船工場『ザリフ』も、ロシア海軍新世代汎用揚陸艦を建造する用意がある事を認めました。
[クリミア半島ケルチのザリフ造船所はロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)を建造する準備を整えている]

2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

当初、2隻の汎用揚陸艦の起工は、2020年5月9日の大祖国戦争勝利75周年記念日に予定されており、起工に先立つ建造契約の締結は、2020年4月末までに行なわれる予定でした。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は大祖国戦争勝利75周年記念日の2020年5月9日に起工される]
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約は2020年4月末までに締結される]

しかし、最近の新型コロナウイルス流行の影響により艦の起工は延期され、これに伴い建造契約の締結も先送りされ、5月22日までに締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2隻の汎用揚陸艦の起工は6月29日に予定されていましたが、またも延期となりました。
[ロシア海軍のプロジェクト23900(セヴァストーポリ型)汎用揚陸艦の起工は延期された]

その後、起工日は7月16日に決まりましたが、これも延期され、2020年7月20日に起工式典が開催されました。

[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。

ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト1174大型揚陸艦「イワン・ロゴフ」(1978年6月15日就役、1995年8月4日除籍)
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プロジェクト1174大型揚陸艦「ミトロファン・モスカレンコ」(1990年9月23日就役、2006年12月18日除籍)
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる]

上述のように、プロジェクト23900汎用揚陸艦へ無人機を搭載するという話は以前から出ていましたが、今回の「造船業界の匿名希望の情報提供者」によると、それは無人ヘリコプターとの事です。
[ロシア海軍の為の艦上無人攻撃/偵察機と艦上無人ヘリコプターの開発が進められている]

新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコはロシア海軍黒海艦隊旗艦となる

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『タス通信』より
2021年10月8日9時7分配信
【ヘリコプター母艦「ミトロファン・モスカレンコ」は黒海艦隊旗艦となる】
セヴァストーポリ、10月8日/タス通信

最新のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦「ミトロファン・モスカレンコ」は、ケルチ造船工場『ザリフ』での建造完了後に黒海艦隊旗艦となり、その駐留の為のインフラがセヴァストーポリに用意される。
『タス通信』は海軍分野の情報提供者より伝えられた。

「造船工場『ザリフ』で建造されているヘリコプター母艦ミトロファン・モスカレンコの為、然るべきインフラがセヴァストーポリに用意されます。
このプロセスはスケジュールに沿って進行中です。
その埠頭が在るセヴァストーポリ湾水域で作業が行われています。
艦が到着するまでに駐留場所は全ての準備を整えなければなりません」

彼はセヴァストーポリで開催された『第9回国際ビジネスフォーラム』の控室で話した。

彼によると、セヴァストーポリ到着後に「汎用揚陸艦「ミトロファン・モスカレンコは黒海艦隊旗艦となります」
対談者は、艦が第2の「ミストラル」級ヘリコプター母艦「セヴァストーポリ」の為に意図されていた場所を占めると指摘した。

『タス通信』は、この件についての公式な情報を有していない。

汎用揚陸艦は、様々な用途の重ヘリコプターグループの搭載、数百名から1000名の海軍歩兵の移送が可能である。
それは、揚陸部隊の上陸と装甲車両の移送を保障するの為のドックを装備する。
このようなクラスの最初の2隻の国産艦~「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」は、造船工場『ザリフ』で2020年7月20日に起工された。
ロシアヘリコプター母艦は、ゼレノドリスク設計局が開発したプロジェクト23900の下で建造される。

2011年にロシアフランスと2隻の「ミストラル」型汎用揚陸艦の契約を締結し、「セヴァストーポリ」及び「ウラジオストク」と命名された艦の建造は2012年及び2013年に始まった。
特に「ウラジオストク」ロシア船員を含めて艦上に乗せ、航行試験の枠組みで数回海上への出航を実施した。
ウクライナでの出来事とロシアに対する制裁が故に、取り引きは2015年夏に終了した。
艦はフランス側からエジプトへ売却され、アラブ共和国大統領の名前を受け取った。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦上輸送戦闘ヘリコプターKa-29は飛行訓練を行なった]

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦の建造場所としては、以前にはサンクトペテルブルク『北方造船所』などが有力視されていましたが、2019年になって、クリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)で建造する案が浮上してきました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
19-0222b.jpg
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島ケルチ市のザリフ造船所で起工される]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島で起工される?]
[ロシア海軍の為の新たな汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年にケルチ(ザリフ造船所)で起工され、2025年と2026年に就役する]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月上旬(5月9日まで)にクリミア半島で起工される]

造船工場『ザリフ』も、ロシア海軍新世代汎用揚陸艦を建造する用意がある事を認めました。
[クリミア半島ケルチのザリフ造船所はロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)を建造する準備を整えている]

2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

当初、2隻の汎用揚陸艦の起工は、2020年5月9日の大祖国戦争勝利75周年記念日に予定されており、起工に先立つ建造契約の締結は、2020年4月末までに行なわれる予定でした。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は大祖国戦争勝利75周年記念日の2020年5月9日に起工される]
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約は2020年4月末までに締結される]

しかし、最近の新型コロナウイルス流行の影響により艦の起工は延期され、これに伴い建造契約の締結も先送りされ、5月22日までに締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2隻の汎用揚陸艦の起工は6月29日に予定されていましたが、またも延期となりました。
[ロシア海軍のプロジェクト23900(セヴァストーポリ型)汎用揚陸艦の起工は延期された]

その後、起工日は7月16日に決まりましたが、これも延期され、2020年7月20日に起工式典が開催されました。

[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]

プロジェクト23900汎用揚陸艦の設計案は、以前からソ連/ロシアの一連の揚陸艦の設計を手掛けていた『ネヴァ川計画設計局』ではなく、造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局の案が採用されました。

ゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級をタイプシップとしているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト1174大型揚陸艦「イワン・ロゴフ」(1978年6月15日就役、1995年8月4日除籍)
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プロジェクト1174大型揚陸艦「ミトロファン・モスカレンコ」(1990年9月23日就役、2006年12月18日除籍)
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]
[ロシア海軍航空隊は対潜任務に無人機を使用する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。
[新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する]
配備先は太平洋艦隊になるようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ新世代汎用揚陸艦(新イワン・ロゴフ型)が配備される]

一方、2番艦「ミトロファン・モスカレンコ」黒海艦隊へ配備されて同艦隊旗艦となり、セヴァストーポリ港に駐留する事になるようです。

新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフは2028年にロシア海軍へ就役する

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『イズベスチヤ』より
2021年4月13日20時13分配信
【汎用揚陸:ロシアのヘリコプター母艦は2028年に海軍へ増強される】

最新艦には、更に様々なクラスの無人機が駐留する。

プロジェクト23900の1隻目の汎用揚陸艦「イワン・ロゴフ」の建造は2028年に完了する。
同プロジェクトが他の同様のクラスと異なるのは、無人機管制所の統合である。
これは、ロシアヘリコプター母艦が、沿岸或いは他の艦から射出されたドローンを管制できる事を意味する。
更に、超遠距離通信システム、自動管理システム、他の標準兵装を装備する。

[主要コース]
計画では、プロジェクト23900のトップ艦「イワン・ロゴフ」の作業は2028年に完了しなければならない。
軍当局の情報提供者によると、この時期には更に航空グループの形成も規定されている。
その構成には、戦闘ヘリコプター及び輸送ヘリコプター、更には、水上及び水中ドローンを含む個々の無人機ラインが加わる。

プロジェクト23900汎用揚陸艦と他の同クラスの艦の差異は、無人飛行装置管制所の統合である。
これは、ヘリコプター母艦が、沿岸或いは他の艦から射出された無人機を管制できる事を意味する。

汎用揚陸艦シリーズのトップ「イワン・ロゴフ」は、昨年7月20日に起工された。
起工板はウラジーミル・プーチン大統領により設置された。
この時に国家元首は、最新艦は先進的な兵装システム、管理システム、遠距離通信システムを装備する事を指摘した。
彼は、このような汎用揚陸艦は、ロシア海軍の戦闘ポテンシャルを著しく強化し、その戦略的能力を高める事を強調した。

「プロジェクト23900艦は、大きくて多機能です。
排水量約4万トン、本質的に、これは軽航空母艦です」

軍事歴史家ドミトリー・ボルテンコフ『イズベスチヤ』へ話した。
「これは、新たなレベルの能力を引き出す艦隊の有力な更新です。
ヘリコプター母艦は、世界のあらゆる地域において戦力投射及び揚陸作戦や、平和維持任務の遂行を可能にします。
艦は艇とヘリコプターで海軍歩兵を上陸させ、野営地を建設し、ヘリコプターの支援を受ける事が出来ます。
これは、我々にとって、かなり重要なプロジェクトです」


現在、アメリカ合衆国は、ロボット化の方向へ艦隊を開発しており、ロシアも同じコースを進んでいると軍事専門家ワジム・コジュリン『イズベスチヤ』へ伝えた。

「アメリカ人は、将来的には艦隊の全てがロボット技術に結ばれると予測しており、それは、打撃、偵察、水中及び空中の脅威の探知に初めて使用されました」
彼は説明した。
「既に、マイクロソフトにより作られた軍事クラウドストレージが存在し、多くの実験が行なわれています。
ですが、新たなシステムがどう見えるのかは未だ完全な確信が有りません。
経験は、彼らが正しい道を進んでいる事を示しています。
同様の道をロシアも進んでおります。
ロボット化システムは、対機雷、対潜防護、偵察、電波電子戦闘を保障しなければなりません。
将来的には、プロジェクト23900艦の建造は新たな技術の出現となり、その中で近代化が準備されます」


以前に『イズベスチヤ』は、プロジェクト23900艦の能力はヘリコプター及び海軍歩兵の輸送に限定されないと伝えた。
これらは、海上、地上、航空グループの戦闘指揮の為に必要な全ての機器が設置される。
ヘリコプター母艦は、超遠距離通信システム、自動指揮システムと他の司令部用の設備を備える。
汎用揚陸艦の艦内には、コンピュータ端末と作業場を有する特殊司令室が据え付けられる。

[ヘリコプターは単一ではない]
このようなサイズの汎用揚陸艦は、有人機及び無人機から成る多様な航空グループを搭載できる。
それは15~20機の海上ヘリコプターが中核となる予定である。

このような艦の為、火力支援ヘリコプターKa-52K「カトラン」が特別に開発された。
陸上ヴァージョンと比べ、それは胴体とエンジンの腐食防止処理が改善されている。
ローターとブレードは、内部格納庫への収納を保障する為に折り畳み型で作られている。
ローリング条件での甲板への着艦に耐える為、シャーシは補強された。

複座の戦闘機材は、無誘導兵器及び射程10kmの対戦車ミサイル「ヴィーフリ-1」の大量の弾数を使用できる。
将来的には、既に陸上で試験されているより強力な誘導弾を装備する。

2017年にKa-52Kエジプトへ供給された。
同国は2隻の「ミストラル」型汎用揚陸艦の複合航空グループの為、46機の「カトラン」を発注した。

海軍歩兵を沿岸へ移動させる為、航空グループの一員として輸送戦闘ヘリコプターKa-29が使用される。
各々は、完全装備の16名の将兵を輸送できる。

新たな汎用揚陸艦には更に、遠距離電波位置測定探知ヘリコプターKa-31Rも駐留できる。
それは艦から数百キロメートル離れた空中及び地上目標を探知し、遅滞なくその接近を警告できる。

既にロシア海軍フリゲートは、小型偵察無人機「オルラン-10」を艦上から射出し、その後に帰還させる実験を成功裏に行なっている。
その助力により、艦は偵察を行なうのみならず、地上目標への砲撃を修正する。
同様の装置は、新たな汎用揚陸艦でも使用できる。
甲板での発艦と着艦が可能なヘリコプター型小型艦上無人飛行装置は既に軍備採用されている。

この数十年間、ロシアには汎用揚陸艦が1隻も無かった。
ヘリコプター母艦自体は、ソヴィエト社会主義共和国連邦時代にプロジェクト1123「コンドル」対潜巡洋艦「モスクワ」「レニングラード」が軍備として在ったが、1990年代に除籍され、インドで解体された。
ヘリコプターは、プロジェクト1143重航空巡洋艦「ミンスク」、「キエフ」、「ノヴォロシースク」、「バクー」、そして更には「アドミラル・クズネツォフ」へ配置できた。
しかし、最後を除くすべてはソヴィエト連邦崩壊後に海軍から除籍された。

ポスト・ソヴィエト時代には、ヘリコプター母艦の建造問題さえ提起されなかった。
それは、当時の軍事ドクトリンでは想定されていなかった遠く離れた沿岸での行動の為に必要であると考えられていた。
その後、世界の様々な地域での軍事紛争の経験は、海軍歩兵、車両、ヘリコプターを艦内に受け入れる事が出来る艦が無くては、現代世界ではやって行けない事を示した。

ヘリコプター母艦海軍へ受け入れる試みは、この10年間で初めて行なわれた。
2011年、国防省フランスへ4隻の「ミストラル」型艦を発注した。
パリ-モスクワ間の合意条件下で、フランスが2隻のヘリコプター母艦の製造を約束した。
更なる2隻の艦がロシアの工場で建造されなければならなかった。
このタイプの最初の2隻の汎用揚陸艦の為の乗組員の募集は2013年秋に始まった。
チームが揃った後、彼らはサンクトペテルブルクで最初の訓練を行ない、その後、ヘリコプター母艦の設備の知識を得る為にフランスへ向かった。

400名から成る乗組員グループは、練習艦「スモールヌイ」に乗って2014年6月にサンナゼールへ到着した。
同年9月と10月には、建造されたヘリコプター母艦の1隻がロシア人チームを乗せて10日間海上へ出た。
しかし2015年、我々の乗組員は海上で「ミストラル」をマスターしていた時、フランス大統領フランソワ・オランドは、ロシアへ科された制裁を動機に艦の引き渡しを拒否した。
2016年にパリエジプトヘリコプター母艦を売却し、現在は「アンワル・アッ=サーダート」「ガマール・アブドゥル=ナーセル」の名で勤務に就いている。
その後にエジプト政府は、「ミストラル」の為のロシア製兵器と機器の購入、更にはヘリコプターKa-52Kの一団の供給に関するモスクワとの交渉を発議した。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]

この概念設計案「ラヴィーナ」をベースにして、実際にロシア海軍向けとして建造される汎用ヘリコプター揚陸艦が設計されました。
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
[ロシア海軍の為の新たなヘリコプター揚陸艦の設計は進められている]
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の設計作業は進められている]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]

搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。

[艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランはロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の艦載機となる]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦上輸送戦闘ヘリコプターKa-29は飛行訓練を行なった]

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]


新世代汎用揚陸艦の建造場所としては、以前にはサンクトペテルブルク『北方造船所』などが有力視されていましたが、2019年になって、クリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』(造船コーポレーション『アク・バルス』傘下)で建造する案が浮上してきました。
【造船工場『ザリフ』公式サイト】
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[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島ケルチ市のザリフ造船所で起工される]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島で起工される?]
[ロシア海軍の為の新たな汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年にケルチ(ザリフ造船所)で起工され、2025年と2026年に就役する]
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月上旬(5月9日まで)にクリミア半島で起工される]

造船工場『ザリフ』も、ロシア海軍新世代汎用揚陸艦を建造する用意がある事を認めました。
[クリミア半島ケルチのザリフ造船所はロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)を建造する準備を整えている]

2隻の汎用揚陸艦の建造費は、ほぼ1000億ルーブルになるようです。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造費は1000億ルーブルになる]
因みに1000億ルーブルは、プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)フリゲート4隻分に相当します。

当初、2隻の汎用揚陸艦の起工は、2020年5月9日の大祖国戦争勝利75周年記念日に予定されており、起工に先立つ建造契約の締結は、2020年4月末までに行なわれる予定でした。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は大祖国戦争勝利75周年記念日の2020年5月9日に起工される]
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約は2020年4月末までに締結される]

しかし、最近の新型コロナウイルス流行の影響により艦の起工は延期され、これに伴い建造契約の締結も先送りされ、5月22日までに締結されました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造契約が締結された]
[クリミア半島のザリフ造船所はロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸艦の建造準備を進めている]

2隻の汎用揚陸艦の起工は6月29日に予定されていましたが、またも延期となりました。
[ロシア海軍のプロジェクト23900(セヴァストーポリ型)汎用揚陸艦の起工は延期された]

その後、起工日は7月16日に決まりましたが、これも延期され、2020年7月20日に起工式典が開催されました。

[ロシア海軍のプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフとミトロファン・モスカレンコはクリミア半島のザリフ造船所で起工された]

造船コーポレーション『アク・バルス』傘下のゼレノドリスク設計局が設計したプロジェクト23900汎用揚陸艦は、フランス「ミストラル」級の影響を大きく受けているようです。
[プロジェクト23900汎用揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の開発・建造元『アク・バルス』のトップは語る]
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2隻の汎用揚陸艦の艦名は、以前には「セヴァストーポリ」「ウラジオストク」が有力視されていましたが、結局、旧ソ連時代のプロジェクト1174大型揚陸艦の1番艦と3番艦の名前を受け継いだ「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」となりました。

プロジェクト1174大型揚陸艦「イワン・ロゴフ」(1978年6月15日就役、1995年8月4日除籍)
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プロジェクト1174大型揚陸艦「ミトロファン・モスカレンコ」(1990年9月23日就役、2006年12月18日除籍)
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プロジェクト23900汎用揚陸艦は、指揮艦としての能力も付与されます。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は指揮艦として使用される]
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の為の指揮システムが開発される]
この場合は、例えば、地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の旗艦としての使用などが考慮されているようです。

以前には、プロジェクト23900汎用揚陸艦は満載排水量25000トン、ヘリコプター20機搭載、海軍歩兵900名を積載すると言われ、その後、設計変更されて満載排水量は30000トンに拡大し、ヘリコプター16機搭載、海軍歩兵1000名積載、そして艦上無人攻撃機も搭載する事になりました。
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[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は艦上無人攻撃機を搭載する]
[ロシア海軍航空隊は対潜任務に無人機を使用する]

しかし2020年12月末、ロシア連邦国防次官(防衛産業担当)アレクセイ・クリヴォルチコ氏は、プロジェクト23900汎用揚陸艦の(満載)排水量は40000トンになると述べました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型は40000トンになる]

2020年7月の起工から7ヶ月後の2021年2月、「イワン・ロゴフ」「ミトロファン・モスカレンコ」の船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍の新世代汎用揚陸ヘリコプター母艦イワン・ロゴフ型の船体の形成が始まった]

1番艦「イワン・ロゴフ」ロシア海軍への引き渡しは2028年に予定されています。