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ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33とMiG-29K/KUBは2016年11月~2017年1月にシリア領内のテロ組織を空爆した

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『タス通信』より
2017年8月25日17時8分配信
【「クズネツォフ」のSu-33はシリアへの航海において距離300km以上の戦闘飛行を行なった】
クビンカ/モスクワ州/8月25日/タス通信

航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機Su-33は、シリア沖への同艦の地中海航海の際、半径300km以上で使用された。
(ロシア)海軍総参謀長アンドレイ・ヴォロジンスキー中将は、国軍の動作経験の開示の円卓会議において、こう話した。

「戦闘任務遂行中、艦上戦闘機MiG-29K/KUB及びSu-33の試験運用が行なわれました。
ダマスカス及びデリゾール領域に在る半径300km以上の遠方目標への攻撃の為、航空機Su-33が使用されました」

彼は話した。
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「アドミラル・クズネツォフ」航空機MiG-29K/KUBは、指示された任務を遂行するに当たり、艦から半径300km以内のイドリブ、アレッポ、パルミラ地域の集落に在る地上目標攻撃の為に使用された。
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「クズネツォフ」の艦上航空隊は400回以上の戦闘飛行を行ない、ロシア連邦では非合法のテロリスト組織『イスラム国』の約1300の目標を破壊した。

「シリア・アラブ共和国における(ロシア)海軍の戦力及び手段の戦闘活動への使用は、第2次世界大戦終結後、このような規模(国内で実際に)で始めて行なわれました。
海軍の艦上航空隊は、戦闘動作の経験を得ました」
ヴォロジンスキー
は強調した。

また、海軍シリアにおいて海洋配置有翼ミサイル「カリブル」の使用へ取り組み、ロシアの国境外での揚陸艦及び支援船による車両及び物資の機動移送の経験を得た。
「対水中破壊工作戦力及び手段の実地行動のチェックは、現実の条件下での戦闘活動で保障されました。
シリアでの海軍戦力の使用は、作戦連合部隊の作成の決定の正しさと、タルトゥース港の物資-技術サービス供給所の更なる発展を示しました」

中将は総括した。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

ロシア海軍北方艦隊重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループ(空母機動部隊)は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]

「アドミラル・クズネツォフ」は、シリア遠征へ出発する前、半年以上に渡るオーバーホールが行なわれました。
[セヴェロドヴィンスク(とムルマンスク)の艦船修理工場は、ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフをシリア軍事作戦へ参加させる為の準備を行なった]

航空打撃艦グループは、10月17日にはノルウェートロンヘイム沖を航行していました。
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航空打撃艦グループは、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]

航空打撃艦グループブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]

10月21日、航空打撃艦グループラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]

10月24日にはポルトガル沖を航行していました。


10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。

その後、航空打撃艦グループ北アフリカスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]

更には、地中海中部マルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]

航空打撃艦グループは、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
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[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]

11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。
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[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]

その後、航空打撃艦グループ地中海を東へ進みました。


11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」航空打撃艦グループへ加わりました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]

航空打撃艦グループは、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島シリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]

11月9日、航空打撃艦グループ大型対潜艦「セヴェロモルスク」「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、接近するネーデルラント海軍潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
[地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した]

11月10日にはキプロス島南東海域へ進出し、シリア上空へ作戦の事前調査の為に艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRを飛ばしました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は作戦行動の事前調査の為にシリア上空を飛行する]

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航空打撃艦グループは11月12日までにシリア沖へ到着し、艦載機の飛行訓練を始めました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを中核とするロシア海軍空母機動部隊はシリア沖へ到着した]

11月13日には艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]

11月15日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(艦上戦闘機Su-33)は、初めてシリアへの空爆作戦へ参加しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]


同じ11月15日には、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」シリア有翼ミサイルを発射しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]

「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」Su-33は、2016年に地上爆撃用の特殊計算サブシステムSVP-24を装備しています。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は爆撃精度を向上させる為のシステムを装備している]

Su-33イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃し、3名の野戦司令官を含む30名以上の戦闘員が死亡しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]


11月17日、ロシア航空宇宙軍戦略爆撃機Tu-95MSシリア領内のテロ組織『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』の施設へ有翼ミサイルを発射した事に呼応して、再び「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機Su-33シリア領内を爆撃しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は再びシリアのテロ組織を空爆した]

11月20日頃、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(8機のSu-33と1機のMiG-29KR)は、初めてシリアフマイミーン航空基地(ラタキア郊外)へ着陸しました。
その後、艦載機は「アドミラル・クズネツォフ」へ戻りました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリアのフマイミーン基地へ着陸した]

12月5日、1機のSu-33「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦した際、着艦拘束装置のケーブルを切ってしまった為に停止できず、海中に落ちました。
パイロットは脱出に成功しました。
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は地中海東部(シリア沖)で空母への着艦に失敗して海中へ落ちた]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の海中落下事故(2016年12月5日)・続報]

航空打撃艦グループは、その後もシリアタルトゥース沖に留まりました。
[空母アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍空母群は完全に自立して行動している]

航空打撃艦グループは、2017年の新年を地中海で迎えました。
[ロシア海軍北方艦隊の空母アドミラル・クズネツォフは地中海で新年(2017年)を迎える]

シリアでは、ロシアトルコ主導による停戦が成立しました(2016年12月30日から発効)。

これを受け、航空打撃艦グループは、2017年1月6日以降にシリア沖を離れる事になりました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは2017年1月に地中海を去る]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフはシリア沖を去る]

航空打撃艦グループは、1月10日にはクレタ島西方海域へ到達しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは地中海東部を去る]

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1月11日にはリビア沖(おそらくはリビア東部沖)へ到達した「アドミラル・クズネツォフ」を、リビア国民軍司令官ハリーファ・ベルカシム・ハフタル元帥が訪れました。
[リビア国民軍司令官はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを訪れた]

1月17日の時点では地中海西部に居ました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは地中海西部に居る]

1月20日にジブラルタル海峡を通過して大西洋へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍航空打撃艦グループはジブラルタル海峡を通過して大西洋へ出た]

航空打撃艦グループポルトガル沿岸を北上し、1月23日には同国沿岸海域を離脱しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループはポルトガル沖を去った]

1月24日の午後にはラマンシュ海峡(英仏海峡)へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループはラマンシュ海峡(英仏海峡)へ入った]
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1月25日にはラマンシュ海峡(英仏海峡)から北海へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループは北海へ入った]

1月30日にはノルウェー沖を北上していました。
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[正規空母アドミラル・クズネツォフ率いるロシア海軍空母機動部隊はノルウェー沖を北上している]

航空打撃艦グループは1月31日~2月1日にルイバチー半島の東方海域で実弾射撃演習を行なったようです。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを伴うロシア海軍航空打撃艦グループは帰投前にバレンツ海で演習を行なう]

2月3日、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、セヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はセヴェロモルスク-3飛行場への移動を開始した]

2月8日、航空打撃艦グループセヴェロモルスク泊地へ帰港しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはシリア沖から北方艦隊基地セヴェロモルスクへ帰投した]

帰港から一夜明けた2月9日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦内(航空機格納庫)で航空打撃艦グループ将兵の歓迎式典が開催されました。
[シリア沖から帰投したロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフで歓迎式典が開催された]

「アドミラル・クズネツォフ」は、翌2月10日に本来の「母港」であるムルマンスク北方の第35艦船修理工場の埠頭へ戻りました。
[シリア沖から凱旋したロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはムルマンスクの母港へ戻る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの艦長はシリア遠征について語った]


今回のシリア遠征において、「アドミラル・クズネツォフ」は、艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUB、救難ヘリコプターKa-27PS、対潜ヘリコプターKa-27PL、輸送戦闘ヘリコプターKa-29、早期警戒ヘリコプターKa-31、艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kを合計で約40機程度搭載しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは40機程度の搭載機を有する]

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月中旬から12月末頃までにシリアテロ組織(イスラム国アル=ヌスラ戦線)の施設1252を破壊しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊は1252のシリアのテロリスト施設を破壊した]

北方艦隊広報部発表によると、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行なったとの事です。
「420回の戦闘飛行」は、艦上戦闘機シリア上空を飛行した回数であり、これ以外にも艦載ヘリコプターが750回のフライトを行なっていたという事でしょう。

3隻の給油船と2隻の曳船航空打撃艦グループシリア沖での活動を支援しました。
[ロシア海軍北方艦隊の支援船は空母アドミラル・クズネツォフのシリア遠征をサポートした]


そして今回、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊のシリア空爆作戦において、航続距離の長い艦上戦闘機Su-33は主にダマスカスデリゾール周辺の目標を攻撃し、Su-33よりも航続距離が短い艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBは、主にイドリブ、アレッポ、パルミラの目標を攻撃していた事が明らかにされました。

ただ、以前の報道を見ると、Su-33イドリブなどへの空爆へ参加しているので、要するに「MiG-29K/KUBはダマスカスやデリゾールまで行ってない」という事でしょう。
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ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機事故(2016年12月)の原因は着艦拘束装置のケーブルとは関係が無い

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年5月11日19時10分配信
【『セヴェルスターリ』:「アドミラル・クズネツォフ」における非常事態は、ケーブルの品質とは関係が無い】
モスクワ、5月11日-ロシア通信社ノーボスチ

航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」における航空機Su-33の事故は、航空拘束装置のケーブルが不良品であったが故に発生したという説は確認されなかった。
木曜日に『セヴェルスターリ』社広報サービスは発表した。

昨年12月5日、シリアでの戦闘任務を遂行した後の戦闘機Su-33は、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」への着艦を行なった際、甲板を越えて飛び出した。
事故は、航空拘束装置のケーブルが切断された後に発生した。
戦闘機パイロットは脱出に成功し、彼は捜索救助サービスにより艦上へ送り届けられた。

「2016年12月5日に地中海エリアで重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの甲板への着艦を行なった際の軍用航空機Su-33の事故に関する原因の調査を行なっているロシア連邦国防省は、『セヴェルスターリ』指導部へ、次のような結論を通知しました:株式会社『レダエリーSSM』が製造した航空拘束装置のロープが不良品であった事が原因であるとの説は確認されなかった。
ロープの品質に関する請求は有りませんでした」

声明では、こう述べられた。

更に、それは以前にサンクトペテルブルク連邦単一企業『クルイロフ国立科学センター』の研究室で、必要条件に沿っているかどうかの見本品の試験が行われており、更には、ロープは必要条件に沿っていると確認されたことを強調した。



[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループは、2016年10月15日に地中海東部(シリア沖)へ向けて出航し、2017年2月8日に帰港しました。

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。


シリア作戦中、「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機2機が事故により失われています。

2016年11月13日には、艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
パイロットは脱出に成功しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]

2016年12月5日、艦上戦闘機Su-33(機体番号67)「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦した際、着艦拘束装置のケーブルを切ってしまった為に停止できず、海中に落ちました。
パイロットは脱出に成功しました。
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は地中海東部(シリア沖)で空母への着艦に失敗して海中へ落ちた]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の海中落下事故(2016年12月5日)・続報]

事故の原因については様々な憶測が流れていますが、その中の1つに着艦拘束装置ケーブルが不良品だったというのが有ります。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機事故(2016年11月13日/12月5日)・続報]

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「アドミラル・クズネツォフ」着艦拘束装置「スヴェトラーナ-2」は、サンクトペテルブルクプロレタリア工場で製造されたものです。
【公開株式会社「プロレタリア工場」公式サイト】

プロレタリア工場は、ロシア海軍向け以外に、インド海軍向けにも着艦拘束装置を製造しています。
[ロシアは着艦拘束装置の製造を再開した]

着艦拘束装置のケーブル自体は、ロシアの大手鉄鋼会社『セヴェルスターリ』の子会社『レダエリーSSM』が製造しています。
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【『セヴェルスターリ』公式サイト】

そして今回、『セヴェルスターリ』社は、着艦事故の原因を調査しているロシア国防省から、事故原因は子会社が製造したケーブルとは関係が無いと通知を受けました。


事故原因については、以前に『コメルサント』紙が、パイロットの操作ミス(着艦拘束装置ケーブルの真ん中付近では無く、そこから外れた位置に着艦フックを引っ掛けた為に多大な負荷が掛かって切れた)と報じた事もありましたが、即座にロシア国防省広報部から名指しで否定されています。

セヴェロドヴィンスク(とムルマンスク)の艦船修理工場は、ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフをシリア軍事作戦へ参加させる為の準備を行なった

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『タス通信』より
2017年3月31日9時53分配信
【ロゴージンはシリア航海の為に「アドミラル・クズネツォフ」を準備した造船業者へ感謝の意を表した】
セヴェロドヴィンスク、3月31日/タス通信

副首相ドミトリー・ロゴージンは、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」ロシア軍シリア作戦へ参加する為の準備を整えた艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』の従業員の功績を高く評価した。

「短期間で重航空巡洋艦アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフを復帰させた貴方達の作業のお蔭により、我が国は成功裏にシリア軍事作戦の一部を実行する事が出来ました」
彼は、同社の従業員の表彰式典において強調した。
「これは、間接的なものを含め、貴方達の努力によるものであり、『ズヴェズドーチカ』は、他の防衛産業企業と協力し、課題に対処しました」
ロゴージン
は話した。
副首相は、ただ単に同艦を運航及び戦闘への使用の為に短期間で復帰させただけでは無く、新たな艦上航空機MiG-29K航空団で使用する為に適応させた事を強調した。

ロゴージンは5人へ「海上活動における功績」勲章を授与し、更に、ロシア連邦政府海洋委員会を代表して感謝の意を伝えた。
「今日、戦闘任務に関するこの作業で貴方達を祝福する事は大いなる喜びであり、ロシア連邦政府海洋委員会に代わり、貴方達を表彰する事を嬉しく思います」
副首相は話した。
「貴社の労働者、設計者、エンジニアのお蔭で、貴社へ速やかに押し寄せた課題を解決する事が出来ました。
それは、今年末までに採択されなければならない新たな国家軍備プログラムの枠組みにおいても解決されるでしょう」


ロシア連邦大統領の指示により、2016年1月から10月まで、株式会社『艦船修理工場ズヴェズドーチカ』は、重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の修理と近代化の作業を実行した。
実行期間は短縮され、回復作業に求められる企業の生産能力と組織的リソースは大規模に動員された。
課題遂行の為、数千名の高度熟練労働者と専門技術者が参加し、組織的な3交代モードで作業が行なわれた。

巡洋艦の航海の準備は、作業実行期間中に同艦が運用から外されなかった為、困難であった。
巡洋艦の乗組員の居住の保障及び戦闘訓練の活動の為、修理作業は非常に慎重な調整を必要とした。



[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループは、2016年10月15日に地中海東部(シリア沖)へ向けて出航し、2017年2月8日に帰港しました。

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。

この間、2016年11月13日と12月5日に艦上戦闘機MiG-29KRSu-33を事故で失いました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機事故(2016年11月13日/12月5日)・続報]


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重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、シリア遠征へ出発する前の2016年1月初頭から、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』の傘下に有るムルマンスク第35艦船修理工場でオーバーホール(技術的準備状態の回復)及び部分的な近代化改装作業の第1段階が行なわれました。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは就役25周年を祝った]

このオーバーホールの際、「アドミラル・クズネツォフ」には、艦上戦闘機MiG-29KR/MiG-29KUBRを運用する為の新たな慣性航法システムが設置されました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは艦上戦闘機MiG-29K/KUBを運用する為の新型システムを搭載する]

オーバーホールの第1段階を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、2016年6月15日に第35艦船修理工場の岸壁を離れ、コラ湾(セヴェロモルスク沖泊地)へ進出しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフはムルマンスク修理工場岸壁を離れ、コラ湾へ進出した]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは海上での訓練後にムルマンスク艦船修理工場へ戻る]

その後、バレンツ海へ進出し、7月1日から艦載機(艦上戦闘機Su-33)の飛行訓練が始まりました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機の飛行訓練が始まった]
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機の発着艦訓練が始まった]

2016年8月8日には第100独立艦上戦闘機航空連隊艦上戦闘機MiG-29KRが初めて「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフへ初めて艦上戦闘機MiG-29KRが着艦した]

「アドミラル・クズネツォフ」は8月12日にムルマンスク第35艦船修理工場へ戻り、9月26日までオーバーホール(技術的準備状態の回復)及び部分的な近代化改装作業の第2段階(MiG-29KR/MiG-29KUBRを運用できるようにする為の改修の仕上げなど)が実施されました。
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[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフのオーバーホールは2016年9月末に完了する]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦(空母)アドミラル・クズネツォフは2016年10月中旬にシリア沖へ向かう?]

「アドミラル・クズネツォフ」は2016年10月初頭までバレンツ海で新たな慣性航法システムなどの動作点検を行ないました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはシリア沖へ向かう前に新型艦載システムの試験を行なう]

その後、2016年10月初頭に第35艦船修理工場へ戻り、シリア遠征へ出発する為の各種物資の積み込みが行なわれました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近影(2016年10月8日)]


そして2017年3月31日、セヴェロドヴィンスクを訪れたロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージン氏は、艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』「アドミラル・クズネツォフ」のオーバーホールに関わった従業員の表彰式へ出席しました。
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「アドミラル・クズネツォフ」のオーバーホールを行なったのは、『ズヴェズドーチカ』傘下のムルマンスク第35艦船修理工場ですが、『ズヴェズドーチカ』本社からも技術者などが応援に派遣されていたようです。

第35艦船修理工場には、元「アドミラル・クズネツォフ」艦長で2007年12月~2008年2月の同艦の地中海遠征にも航海指揮官として参加したアレクサンドル・トゥリーリン少将が退役後に「再就職」しており、「アドミラル・クズネツォフ」のオーバーホール作業のチーフを務めました。
艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』公式ブログより
2016年6月30日9時52分配信
【「アドミラル・クズネツォフ」航海前夜】

ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機事故(2016年11月13日/12月5日)・続報


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年3月10日10時25分配信
【情報筋は「アドミラル・クズネツォフ」の2機の航空機の事故の原因について語った】
モスクワ、3月10日-ロシア通信社ノーボスチ

2016年のシリアへの航海中の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機MiG-29KSu-33の事故の原因は、航空拘束装置ケーブルの切断に在り、航空機は何ら非難される事は無い。
『ロシア通信社ノーボスチ』は金曜日に防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「MiG-29Kの喪失の場合は、航空機が甲板へ極限の角度で着艦した結果、ケーブルが引きちぎられた事によるものでした。
これに対しSu-33の着艦は正常に行なわれており、このケースでは、ケーブルが低品質だったと予め申し上げる事が出来ます。
ですが、双方のケースにおいて、航空機に対しては、如何なる非難も出来ません」

対談者は話した。

他の防衛産業企業体の情報提供者は、航空機の事故で悪いのは航空拘束装置ケーブルであるという意見には同意しなかった。
「事件の全ての状況の調査は継続中であり、専門家は、この見解を未だ認めておりません」
対談者は話した。
本当の原因は、陸上で航空拘束装置ケーブルを詳細に調査した後でのみ確立する事が出来ると彼は指摘した。

航空拘束装置は、航空機航空艦へ着艦する為の特殊装置である。
これは、ケーブル制動機構のシステムから構成されている。
着艦の際に戦闘機ケーブルへ特殊なフックを引っ掛ける。
強力な油圧制動により、航空機の滑走距離は(飛行)甲板の長さまで短縮される。

「アドミラル・クズネツォフ」に設置されている航空拘束発着艦複合体「スヴェトラーナ-2」は、サンクトペテルブルクプロレタリア工場で製造されている。



[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループは、2016年10月15日に地中海東部(シリア沖)へ向けて出航し、2017年2月8日に帰港しました。

2016年11月15日には初めてシリアへの空爆作戦へ参加し、イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃しました。


以後、2017年1月初頭までシリア領内のテロ組織(『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』)への空爆作戦へ参加しました。

無論、「アドミラル・クズネツォフ」にとっては、1991年1月20日の就役以来初の実戦参加となりました。

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内テロ組織の施設1252を破壊しました。


今回の記事で取り上げられているように、「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機2機は、シリア沖での作戦中、事故により失われています。

2016年11月13日には、艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
パイロットは脱出に成功しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]

2016年12月5日、艦上戦闘機Su-33「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦した際、着艦拘束装置のケーブルを切ってしまった為に停止できず、海中に落ちました。
パイロットは脱出に成功しました。
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は地中海東部(シリア沖)で空母への着艦に失敗して海中へ落ちた]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の海中落下事故(2016年12月5日)・続報]

事故の原因については様々な憶測が流れていますが、今回の記事に登場する「防衛産業企業体の(匿名希望の)情報提供者」の1人は、着艦拘束装置ケーブルに問題が有ったと見ています。
「ケーブルが低品質だった」と言うのは、要するに、切れたケーブルは製造不良だったという事でしょう。

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「アドミラル・クズネツォフ」着艦拘束装置「スヴェトラーナ-2」は、サンクトペテルブルクプロレタリア工場で製造されたものです。
【公開株式会社「プロレタリア工場」公式サイト】

プロレタリア工場は、ロシア海軍向け以外に、インド海軍向けにも着艦拘束装置を製造しています。
[ロシアは着艦拘束装置の製造を再開した]


これに対し、もう1人の「防衛産業企業体の(匿名希望の)情報提供者」は、ケーブルに問題が有ったという見方には否定的です。
要するに、現時点でケーブルに問題が有ったと決めつけるのは早計であると言う事です。


事故原因については、『コメルサント』紙が、パイロットの操作ミス(着艦拘束装置ケーブルの真ん中付近では無く、そこから外れた位置に着艦フックを引っ掛けた為に多大な負荷が掛かって切れた)と報じましたが、即座にロシア国防省広報部から名指しで否定されています。

シリア軍事作戦へ参加したロシア海軍北方艦隊の空母部隊の将兵はクレムリンで表彰を受けた

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2017年2月24日9時30分配信
【北方艦隊の40名以上の将兵はクレムリンで国家表彰を受けた】

北方艦隊司令官ニコライ・エフメノフ中将に率いられる北方艦隊航空艦グループの40名以上の遠距離航海の参加者は、『祖国防衛者の日』に捧げられたクレムリンでの受賞式典へ出席した。

招待者には、ロシア海軍最大の艦である重航空巡洋艦「ソ連邦海軍元帥クズネツォフ」の艦長セルゲイ・アルタモノフ1等海佐、更には地中海東部シリア沖で戦闘任務を果たした艦上飛行士達が含まれていた。
遠距離航海の結果、彼らには、クレムリンでの受賞式典の開催中に国家表彰が授与された。

[参照]
重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」
「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」で構成される北方艦隊航空艦グループの遠距離航海は、2016年から2017年に実施された。

2016年11月8日から2017年1月6日まで、艦船と艦上飛行士は、シリア・アラブ共和国領内のテロリスト施設への攻撃へ参加した。
420回の戦闘飛行中、1250以上の拠点、本部、人員及び装甲車両の集積所、更には弾薬と武器の倉庫、そして、これらを製造する工場が破壊された。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

ロシア海軍北方艦隊重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループ(空母機動部隊)は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]

10月17日にはノルウェートロンヘイム沖を航行していました。
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航空打撃艦グループは、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]

航空打撃艦グループブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]

10月21日、航空打撃艦グループラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]

10月24日にはポルトガル沖を航行していました。


10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。

その後、航空打撃艦グループ北アフリカスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]

更には、地中海中部マルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]

航空打撃艦グループは、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
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[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]

11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。
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[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]

その後、航空打撃艦グループ地中海を東へ進みました。


11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」航空打撃艦グループへ加わりました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]

航空打撃艦グループは、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島シリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]

11月9日、航空打撃艦グループ大型対潜艦「セヴェロモルスク」「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、接近するネーデルラント海軍潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
[地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した]

11月10日にはキプロス島南東海域へ進出し、シリア上空へ作戦の事前調査の為に艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRを飛ばしました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は作戦行動の事前調査の為にシリア上空を飛行する]

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航空打撃艦グループは11月12日までにシリア沖へ到着し、艦載機の飛行訓練を始めました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを中核とするロシア海軍空母機動部隊はシリア沖へ到着した]

11月13日には艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]

11月15日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(艦上戦闘機Su-33)は、初めてシリアへの空爆作戦へ参加しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]


同じ11月15日には、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」シリア有翼ミサイルを発射しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]

「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」Su-33は、2016年に地上爆撃用の特殊計算サブシステムSVP-24を装備しています。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は爆撃精度を向上させる為のシステムを装備している]

Su-33イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃し、3名の野戦司令官を含む30名以上の戦闘員が死亡しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]


11月17日、ロシア航空宇宙軍戦略爆撃機Tu-95MSシリア領内のテロ組織『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』の施設へ有翼ミサイルを発射した事に呼応して、再び「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機Su-33シリア領内を爆撃しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は再びシリアのテロ組織を空爆した]

11月20日頃、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(8機のSu-33と1機のMiG-29KR)は、初めてシリアフマイミーン航空基地(ラタキア郊外)へ着陸しました。
その後、艦載機は「アドミラル・クズネツォフ」へ戻りました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリアのフマイミーン基地へ着陸した]

12月5日、1機のSu-33「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦した際、着艦拘束装置のケーブルを切ってしまった為に停止できず、海中に落ちました。
パイロットは脱出に成功しました。
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は地中海東部(シリア沖)で空母への着艦に失敗して海中へ落ちた]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の海中落下事故(2016年12月5日)・続報]

航空打撃艦グループは、その後もシリアタルトゥース沖に留まりました。
[空母アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍空母群は完全に自立して行動している]

航空打撃艦グループは、2017年の新年を地中海で迎えました。
[ロシア海軍北方艦隊の空母アドミラル・クズネツォフは地中海で新年(2017年)を迎える]

シリアではロシアトルコ主導による停戦が成立し(2016年12月30日から発効)、国連安全保障理事会も、これを支持しています。

これを受け、航空打撃艦グループは、2017年1月6日以降にシリア沖を離れる事になりました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは2017年1月に地中海を去る]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフはシリア沖を去る]

航空打撃艦グループは、1月10日にはクレタ島西方海域へ到達しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは地中海東部を去る]

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1月11日にはリビア沖(おそらくはリビア東部沖)へ到達した「アドミラル・クズネツォフ」を、リビア国民軍司令官ハリーファ・ベルカシム・ハフタル元帥が訪れました。
[リビア国民軍司令官はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを訪れた]

1月17日の時点では地中海西部に居ました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは地中海西部に居る]

1月20日にジブラルタル海峡を通過して大西洋へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍航空打撃艦グループはジブラルタル海峡を通過して大西洋へ出た]

航空打撃艦グループポルトガル沿岸を北上し、1月23日には同国沿岸海域を離脱しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループはポルトガル沖を去った]

1月24日の午後にはラマンシュ海峡(英仏海峡)へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループはラマンシュ海峡(英仏海峡)へ入った]
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1月25日にはラマンシュ海峡(英仏海峡)から北海へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループは北海へ入った]

1月30日にはノルウェー沖を北上していました。
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[正規空母アドミラル・クズネツォフ率いるロシア海軍空母機動部隊はノルウェー沖を北上している]

航空打撃艦グループは1月31日~2月1日にルイバチー半島の東方海域で実弾射撃演習を行なったようです。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを伴うロシア海軍航空打撃艦グループは帰投前にバレンツ海で演習を行なう]

2月3日、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、セヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はセヴェロモルスク-3飛行場への移動を開始した]

2月8日、航空打撃艦グループセヴェロモルスク泊地へ帰港しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはシリア沖から北方艦隊基地セヴェロモルスクへ帰投した]

帰港から一夜明けた2月9日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦内(航空機格納庫)で航空打撃艦グループ将兵の歓迎式典が開催されました。
[シリア沖から帰投したロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフで歓迎式典が開催された]

「アドミラル・クズネツォフ」は、翌2月10日に本来の「母港」であるムルマンスク北方の第35艦船修理工場の埠頭へ戻りました。
[シリア沖から凱旋したロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはムルマンスクの母港へ戻る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの艦長はシリア遠征について語った]


今回のシリア遠征において、「アドミラル・クズネツォフ」は、艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUB、救難ヘリコプターKa-27PS、対潜ヘリコプターKa-27PL、輸送戦闘ヘリコプターKa-29、早期警戒ヘリコプターKa-31、艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kを合計で約40機程度搭載しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは40機程度の搭載機を有する]

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月中旬から12月末頃までにシリアテロ組織(イスラム国アル=ヌスラ戦線)の施設1252を破壊しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊は1252のシリアのテロリスト施設を破壊した]

北方艦隊広報部発表によると、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行なったとの事です。
「420回の戦闘飛行」は、艦上戦闘機シリア上空を飛行した回数であり、これ以外にも艦載ヘリコプターが750回のフライトを行なっていたという事でしょう。

3隻の給油船と2隻の曳船航空打撃艦グループシリア沖での活動を支援しました。
[ロシア海軍北方艦隊の支援船は空母アドミラル・クズネツォフのシリア遠征をサポートした]


帰港から約2週間後の2月23日は、ロシアの祝日「祖国防衛者の日」(1918年2月23日にドイツ軍へ対抗する為、労働者・農民から成る最初の「赤軍」が組織された事を記念する日)でしたが、この日、「アドミラル・クズネツォフ」艦長セルゲイ・アルタモノフ1佐を始めとする航空打撃艦グループの代表40名以上はモスクワクレムリン宮殿へ招待され、ウラジーミル・プーチン大統領と会いました。
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフはシリア軍事作戦で新たな艦載機の試験を行なった]

40名以上の北方艦隊将兵は、プーチン大統領から国家表彰を受けました。
今回の発表を見る限り、クレムリンで表彰を受けたのは、アルタモノフ艦長と、シリア領内への空爆作戦へ参加した艦上戦闘機(Su-33MiG-29K/KUB)のパイロットがメインだったようです。
この他、今回の発表では名前が出ていませんが、航空打撃艦グループ指揮官のヴィクトール・ソコロフ中将(北方艦隊副司令官)も居ました。

『ロシア大統領府』公式サイトより
2017年2月23日16時30分配信
【北方艦隊将兵との会合】
この動画で6:00辺りから登場する士官(キリール・エフゲニエヴィチ・レヴャキン大尉)は、MiG-29Kパイロット(第100独立艦上戦闘機航空連隊の飛行中隊長)です。

今回、クレムリンで表彰を受けた40名以上の将兵以外のシリア遠征参加者は、2月9日の航空打撃艦グループ乗員の歓迎式典の最中か、それ以後に表彰を受けています。


なお、プーチン大統領は、表彰式において、「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする「空母機動部隊」シリア派遣は、彼の個人的なイニシアチブにより発案・計画され、実行された事を初めて明らかにしました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフのシリア軍事作戦への参加はウラジーミル・プーチン大統領の個人的な発意により実行された]

ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフのシリア軍事作戦への参加はウラジーミル・プーチン大統領の個人的な発意により実行された

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年2月23日16時38分配信
【プーチンは個人的に「アドミラル・クズネツォフ」のシリア派遣を決定したと表明した】
モスクワ、2月23日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、シリアへの航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」船員の航海が、彼の個人的な発意であったと表明した。

「僕は、軍の展開を監視しなければなりません、将来も、今も。
(国防)相と参謀本部長は、貴方達の航海と、航海の準備が誰の発意であるのかを知っております。
これは、僕の個人的な発意です」
プーチン
ロシア軍との会合において話した。

プーチンは、この指示を昨年に受けた国防相、参謀本部のトップ、産業界の代表へ感謝の意を表した。
大統領は、彼等が、短い期間で設備、物資、人員を準備した事を指摘した。

「この時に僕は、複数の意見を基にして、国防相へ、この課題を纏めさせました。
1991年から巡洋艦は軍へ存在しており、より早く演習任務を遂行し、それ故に業界の前には、然るべき準備を行ない、航空団を作成する課題が置かれました。
ここにあるMiG-29は、最終ヴァージョンとして登場しました」
プーチン
は付け加えた。

「貴方達は、戦闘任務遂行中に対面した困難さについて話しました。
僕が思いますに、困難さを貴方達は乗り越え、そして貴方達は全てを行なう必要が有ります」
大統領
は付け加えた。

彼によると、任務は「困難かつ複雑でした」
「貴方達が、その全ての構成要素をやり遂げた事を非常に嬉しく思います。
そして、これは疑いなく全てのコンポーネントにおいてロシア海軍の発展の為の素晴らしい一歩です。
僕は、もう一度、貴方達の祭日を祝福し、貴方達の前に置かれた任務を見事に遂行したグループの要員全てに感謝したいと思います。
貴方達の成功を」
国家元首
は付け加えた。



[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフはシリア軍事作戦で新たな艦載機の試験を行なった

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『タス通信』より
2017年2月23日16時52分配信
【シリア作戦への参加は「アドミラル・クズネツォフ」の新たな航空機の試験を可能にした】
モスクワ、2月23日/タス通信

シリア沖での軍事行動は、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」乗組員の新たな航空機の試験を可能にした。
同艦の艦長セルゲイ・アルタモノフは、国家元首であるロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンと軍事船員の会合において述べた。

「この航海では、新たな航空機MiG-29(K)が、地上施設へ打撃を与える任務の下、初めて戦闘環境下で使用されました」
彼は話した。
「我々は更に、最新の艦上ヘリコプターKa-52(K)の試験を行ない、それが同様に信頼できるものであると認められました」
アルタモノフ
は指摘した。
「このヘリコプターの軍備採用が期待されます」
彼は付け加えた。

同時に艦長は、この航海における戦闘任務の遂行中、経験豊かな将兵のみならず、将来の航空隊を担う若い飛行士も働いた事を強調した。

「現在、巡洋艦はムルマンスクに係留され、全ての戦闘任務を遂行できます」
艦長は報告した。
「乗組員は完全に戻っており、次の任務を果たす準備を整えております」
彼は語った。



[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

ロシア海軍北方艦隊重航空巡洋艦(空母)「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする航空打撃艦グループ(空母機動部隊)は、2016年10月15日にセヴェロモルスクを出航し、地中海東部(シリア沖)へ向かいました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは地中海遠征へ出発した]

10月17日にはノルウェートロンヘイム沖を航行していました。
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航空打撃艦グループは、10月19日午前にノルウェー沖の公海上で艦載機の飛行訓練を開始しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はノルウェー沖で飛行訓練を始めた]

航空打撃艦グループブリテン本土付近へ接近する為、ブリテン海軍は、同部隊を監視する為の艦を派遣しました。
[ブリテン海軍は英本土付近を通過するロシア海軍空母機動部隊を監視する為の軍艦を差し向ける]
[ロシア海軍のアドミラル・クズネツォフ機動部隊は英本土へ接近する]
[ブリテン海軍はロシア海軍空母機動部隊を監視する為に駆逐艦2隻とフリゲート1隻を派遣する]

10月21日、航空打撃艦グループラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。

[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はラマンシュ海峡(英仏海峡)を通過した]

10月24日にはポルトガル沖を航行していました。


10月25日にジブラルタル海峡を通過しました。


その後、航空打撃艦グループ北アフリカスペイン領セウタへの寄港を予定していたようですが、スペイン側は、土壇場になって寄港許可を出し渋り、これに業を煮やしたロシアは、セウタへの寄港を諦めました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフ部隊はスペイン領セウタへの寄港を取りやめた]

更には、地中海中部マルタも、自国港内でのロシア艦船への燃料補給を認めない事を表明しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは遠洋航海中に外国港を訪れる必要は無い]

航空打撃艦グループは、10月27日から29日に掛けてアルジェリア沖で支援船(給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ドゥブナ」、「カーマ」)から洋上補給を行ないました。
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[ロシア国防相セルゲイ・ショイグはロシア海軍空母部隊の地中海遠征について語った]

11月3日にはアルジェリア東海岸沖で演習を行ないました。
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[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフはアルジェリア沖に居る]

その後、航空打撃艦グループ地中海を東へ進みました。


11月3日にセヴァストーポリを出航し、11月4日にボスポラス海峡を通過した黒海艦隊警備艦(フリゲート)「アドミラル・グリゴロヴィチ」航空打撃艦グループへ加わりました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア沖へ向かった]

航空打撃艦グループは、11月9日にはロードス島の南東海域で訓練飛行を実施しました。
11月10日~15日、11月17日~22日の期間には、キプロス島シリアの間の海域で訓練飛行とミサイル発射を実施します。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊はシリアのアレッポ空爆を準備する]

11月9日、航空打撃艦グループ大型対潜艦「セヴェロモルスク」「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、接近するネーデルラント海軍潜水艦(ワルラス級)を発見しました。
[地中海東部のロシア海軍空母部隊の大型対潜艦は接近するオランダの潜水艦を発見した]

11月10日にはキプロス島南東海域へ進出し、シリア上空へ作戦の事前調査の為に艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29KR/KUBRを飛ばしました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は作戦行動の事前調査の為にシリア上空を飛行する]

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航空打撃艦グループは11月12日までにシリア沖へ到着し、艦載機の飛行訓練を始めました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーを中核とするロシア海軍空母機動部隊はシリア沖へ到着した]

11月13日には艦上戦闘機MiG-29Kが墜落しました。
[地中海東部のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機MiG-29Kの墜落事故が発生した]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機MiG-29KRの墜落事故(2016年11月13日)・続報]

11月15日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(艦上戦闘機Su-33)は、初めてシリアへの空爆作戦へ参加しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリア領内のテロ組織への攻撃へ参加した]


同じ11月15日には、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」シリア有翼ミサイルを発射しています。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]

「スモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊」Su-33は、2016年に地上爆撃用の特殊計算サブシステムSVP-24を装備しています。
[ロシア海軍航空隊の艦上戦闘機Su-33は地上攻撃の為の新たなシステムを装備する]
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は爆撃精度を向上させる為のシステムを装備している]

Su-33イドリブ県『アル=ヌスラ戦線』の施設を爆撃し、3名の野戦司令官を含む30名以上の戦闘員が死亡しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の空爆によりアル=ヌスラ戦線の戦闘員30名以上が死亡した]


11月17日、ロシア航空宇宙軍戦略爆撃機Tu-95MSシリア領内のテロ組織『イスラム国』『アル=ヌスラ戦線』の施設へ有翼ミサイルを発射した事に呼応して、再び「アドミラル・クズネツォフ」艦上戦闘機Su-33シリア領内を爆撃しました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機は再びシリアのテロ組織を空爆した]

11月20日頃、「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機(8機のSu-33と1機のMiG-29KR)は、初めてシリアフマイミーン航空基地(ラタキア郊外)へ着陸しました。
その後、艦載機は「アドミラル・クズネツォフ」へ戻りました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦載機は初めてシリアのフマイミーン基地へ着陸した]

12月5日、1機のSu-33「アドミラル・クズネツォフ」へ着艦した際、着艦拘束装置のケーブルを切ってしまった為に停止できず、海中に落ちました。
パイロットは脱出に成功しました。
[ロシア海軍の艦上戦闘機Su-33は地中海東部(シリア沖)で空母への着艦に失敗して海中へ落ちた]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33の海中落下事故(2016年12月5日)・続報]

航空打撃艦グループは、その後もシリアタルトゥース沖に留まりました。
[空母アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍空母群は完全に自立して行動している]

航空打撃艦グループは、2017年の新年を地中海で迎えました。
[ロシア海軍北方艦隊の空母アドミラル・クズネツォフは地中海で新年(2017年)を迎える]

シリアではロシアトルコ主導による停戦が成立し(2016年12月30日から発効)、国連安全保障理事会も、これを支持しています。

これを受け、航空打撃艦グループは、2017年1月6日以降にシリア沖を離れる事になりました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは2017年1月に地中海を去る]
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフはシリア沖を去る]

航空打撃艦グループは、1月10日にはクレタ島西方海域へ到達しました。
[ロシア海軍北方艦隊の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは地中海東部を去る]

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1月11日にはリビア沖(おそらくはリビア東部沖)へ到達した「アドミラル・クズネツォフ」を、リビア国民軍司令官ハリーファ・ベルカシム・ハフタル元帥が訪れました。
[リビア国民軍司令官はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを訪れた]

1月17日の時点では地中海西部に居ました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは地中海西部に居る]

1月20日にジブラルタル海峡を通過して大西洋へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを中核とするロシア海軍航空打撃艦グループはジブラルタル海峡を通過して大西洋へ出た]

航空打撃艦グループポルトガル沿岸を北上し、1月23日には同国沿岸海域を離脱しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループはポルトガル沖を去った]

1月24日の午後にはラマンシュ海峡(英仏海峡)へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループはラマンシュ海峡(英仏海峡)へ入った]
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1月25日にはラマンシュ海峡(英仏海峡)から北海へ入りました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを含むロシア海軍航空打撃艦グループは北海へ入った]

1月30日にはノルウェー沖を北上していました。
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[正規空母アドミラル・クズネツォフ率いるロシア海軍空母機動部隊はノルウェー沖を北上している]

航空打撃艦グループは1月31日~2月1日にルイバチー半島の東方海域で実弾射撃演習を行なったようです。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを伴うロシア海軍航空打撃艦グループは帰投前にバレンツ海で演習を行なう]

2月3日、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、セヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフの艦載機はセヴェロモルスク-3飛行場への移動を開始した]

2月8日、航空打撃艦グループセヴェロモルスク泊地へ帰港しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフと重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはシリア沖から北方艦隊基地セヴェロモルスクへ帰投した]

帰港から一夜明けた2月9日、「アドミラル・クズネツォフ」の艦内(航空機格納庫)で航空打撃艦グループ将兵の歓迎式典が開催されました。
[シリア沖から帰投したロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフで歓迎式典が開催された]

「アドミラル・クズネツォフ」は、翌2月10日に本来の「母港」であるムルマンスク北方の第35艦船修理工場の埠頭へ戻りました。
[シリア沖から凱旋したロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフはムルマンスクの母港へ戻る]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの艦長はシリア遠征について語った]


今回のシリア遠征において、「アドミラル・クズネツォフ」は、艦上戦闘機Su-33、艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUB、救難ヘリコプターKa-27PS、対潜ヘリコプターKa-27PL、輸送戦闘ヘリコプターKa-29、早期警戒ヘリコプターKa-31、艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kを合計で約40機程度搭載しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは40機程度の搭載機を有する]

「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月中旬から12月末頃までにシリアテロ組織(イスラム国アル=ヌスラ戦線)の施設1252を破壊しました。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ航空隊は1252のシリアのテロリスト施設を破壊した]

北方艦隊広報部発表によると、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行なったとの事です。
「420回の戦闘飛行」は、艦上戦闘機シリア上空を飛行した回数であり、これ以外にも艦載ヘリコプターが750回のフライトを行なっていたという事でしょう。

3隻の給油船と2隻の曳船航空打撃艦グループシリア沖での活動を支援しました。
[ロシア海軍北方艦隊の支援船は空母アドミラル・クズネツォフのシリア遠征をサポートした]


帰港から約2週間後の2月23日は、ロシアの祝日「祖国防衛者の日」(1918年2月23日にドイツ軍へ対抗する為、労働者・農民から成る最初の「赤軍」が組織された事を記念する日)でしたが、この日、「アドミラル・クズネツォフ」艦長セルゲイ・アルタモノフ1佐を始めとする航空打撃艦グループの代表はモスクワへ招待され、ウラジーミル・プーチン大統領と会いました。

会合の席上でセルゲイ・アルタモノフ1佐は、シリア作戦における新型艦載機の運用についてプーチン大統領へ報告しました。

今回の遠征において「アドミラル・クズネツォフ」には、新型の艦上戦闘機MiG-29K/KUBと、試作中の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kが搭載されました。
[ロシア海軍の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kの試験はシリアで行なわれた]

アルタモノフ艦長によると、艦上戦闘機MiG-29K/KUBも、シリア領内テロ組織への空爆作戦に参加したようです。
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ロシア海軍北方艦隊の支援船は空母アドミラル・クズネツォフのシリア遠征をサポートした

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2017年2月19日20時29分配信
【(ロシア)海軍はシリア沖で補助艦隊の船が遂行した戦闘任務について説明した】
モスクワ、2月19日-ロシア通信社ノーボスチ

補助艦隊の船は、北方艦隊航空艦グループシリア沖での戦闘へ使用された航海の全てに渡り、その自立性を確保した。
ロシア海軍総司令官ウラジーミル・コロリョーフ大将は述べた。

航空艦グループの一員として行動していたのは、給油船セルゲイ・オシポフ、カーマ、救助曳船ニコライ・チケル、アルタイ、中型海洋給油船ドゥブナです。
これら補助艦隊の船の助力により、航空艦グループは航海の全てに渡り、完全な自律性を提供する事が可能となりました」
コロリョーフ
は、『ロシア新聞』サイト版で日曜日に公開されたインタビューで、こう話した。

彼が通知した所によると、2隻の支援船「アルタイ」「ドゥブナ」は、現在、遠海ゾーンにおける海軍の存在(プレゼンス)任務の遂行を続けている。

「地中海での戦闘任務が成功裏に遂行された事により、ロシア海軍は、世界の大洋のあらゆる海域においても、自己完結グループを構成して効果的に活動できる事が確認されました」
ロシア海軍
総司令官は指摘した。

以前、北方艦隊艦船グループの一員であるロシア航空母艦は、戦闘勤務からセヴェロモルスクへ戻ってきた。
2月9日、海軍総司令官は、航空艦グループの艦船乗組員の歓迎式典中に「アドミラル・クズネツォフ」艦上で、遠距離航海で功績があった船員を表彰した。

2016年10月15日重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に率いられ、重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」支援船で構成される北方艦隊航空艦グループは、北東大西洋及び地中海エリアへと出航した。
11月8日以降、北方艦隊航空艦グループは、シリア・アラブ共和国領内のテロリストとの戦闘任務を遂行した。

ロシア航空母艦の艦上には、40機以上の航空機ヘリコプターが在った。
11月15日、ロシアの歴史上初めて艦上戦闘機Su-33の戦闘への使用が実現した。
2ヶ月間の戦闘勤務で「アドミラル・クズネツォフ」航空団の海洋飛行士は、420回の戦闘飛行(この内の117回は夜間)を行ない、シリア・アラブ共和国領内の国際テロリストの1200以上の施設を破壊した。
航空母艦の艦上から700回以上のフライトが行なわれた。
北方艦隊航空艦グループの艦は、シリアの指定目標へ有翼ミサイルで打撃を与えた。



[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの艦長はシリア遠征について語った

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『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2017年2月14日9時26分配信
【「アドミラル・クズネツォフ」艦長:煙が無いのは原子力推進装置を有する艦のみである】
モスクワ、2月14日、インタファクス-AVN

ロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」シリア沖への航海の際の「煙」は、技術的不調が故では無い。
巡洋艦の艦長セルゲイ・アルタモノフは述べた。

「これは、如何なる不調の兆候でもありません。
煙自体は、NATO諸国の艦も同様に排出しております。
たぶん、その煙は、天上まで伸びる我々のように高くは無いのでしょう。
ですが、アドミラル・クズネツォフは、我々の全ての艦隊で最も高い煙突ですから!」
セルゲイ・アルタモノフ
『論拠と事実』のインタビューで、こう話した。

艦長によると、まったく「煙が無い」のは原子力推進装置を有する艦のみであり、そして「アドミラル・クズネツォフ」は、それを搭載していない。

セルゲイ・アルタモノフは、(ロシア)海軍空母グループ地中海への航海中、NATO諸国の60隻の艦が追跡していたと語った。

「特定の場所、例えばノルウェー海から地中海東部まで、我々のグループには、同時に10-11隻(の艦)が同行していました」
セルゲイ・アルタモノフ
は述べた。

彼によると、「アドミラル・クズネツォフ」艦上航空隊は、シリア作戦の枠組みにおいて420回の戦闘飛行を行ない、この内の117回は夜間だった。

「当然、航空機とヘリコプターは、地上からの攻撃の可能性を排除するように使用しなけばなりませんでした。
我々の飛行士は出来るだけテロリストの対空防衛力の攻撃可能ゾーンへ入る事無く打撃を与えることを目指しました」
「アドミラル・クズネツォフ」
艦長は話した。

セルゲイ・アルタモノフは、艦上戦闘機に加え、「アドミラル・クズネツォフ」には様々なタイプの10機以上のヘリコプターが在ったと述べた。

彼によると、遠距離航海において、巡洋艦の乗組員は、初めて完全に契約兵で揃えられた。

先週、ロシア連邦海軍打撃艦グループは、遠距離航海からロシア連邦北方艦隊主要基地セヴェロモルスクへ戻った。

先週木曜日(2月9日)、セヴェロモルスクでは、シリア沖で戦闘任務を遂行した重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」乗組員の歓迎式典が開催された。

艦船グループは2016年10月15日にセヴェロモルスクを去った。

2016年11月15日、ロシア軍首脳は、「アドミラル・クズネツォフ」航空隊が歴史上初めて戦闘へ使用されたと発表した~艦上戦闘機は、シリア領内の軍事作戦へ関与した。

インタファクス-AVNが報じたように、「アドミラル・クズネツォフ」航空団の構成には、艦上戦闘機MiG-29Su-33、多目的ヘリコプターKa-27、電波位置特定巡視ヘリコプターKa-31が在る。
また、「アドミラル・クズネツォフ」の為に、新世代艦上配置偵察-攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」(Ka-52「アリガートル」の艦載ヴァージョン)が用意された。

「アドミラル・クズネツォフ」は、地中海で2機の戦闘機MiG-29Su-33を失った。
事故は着艦の為に進入していた際に発生し、飛行士は射出により脱出した。



[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]

[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]

[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]

ロシア海軍の正規空母アドミラル・クズネツォフのシリア遠征の経験は同艦の近代化改装と新たな空母の建造へ生かされる


『タス通信』より
2017年年2月8日20時23分配信
【シリアでの「クズネツォフ」の経験は新たな航空母艦の必要条件の基礎となる】
モスクワ、2月8日/タス通信

ロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」地中海への航海から母国へ戻ってきた。
その航空機シリアテロリストへ打撃を与えた。

この戦闘の経験は、同艦の近代化と、(ロシア)海軍の為に建造される新たな航空母艦の必要条件の開発の際、考慮に入れられるだろう。
雑誌『祖国の兵器庫』編集主任で軍事専門家のヴィクトール・ムラホフスキータス通信へ話した。
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空母グループを率いる「アドミラル・クズネツォフ」重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」は、ほぼ4ヶ月間に渡る航海の後、2月8日にセヴェロモルスク泊地へ入り、(停泊用)樽を降ろした。
ロシア連邦国防省が報道陣へ伝えたように「艦の乗組員は、2月9日に予定される航空艦グループの歓迎式典の準備を行なっています」

[航海の結果についての長所と短所」
海軍
空母グループは昨年10月末に地中海へ入り、11月8日にはシリア沖に在った。
11月10日に艦上戦闘機MiG-29KSu-33シリア上空の飛行を開始した。
戦闘の後、東アレッポは完全にテロリストから解放された。

「クズネツォフ」戦闘機は、戦闘員の本部と指揮所、人員と戦闘車両の詰所、火砲陣地と拠点へ打撃を与えた。
2ヶ月間に海洋飛行士は420回の戦闘飛行(この内117回は夜間)を実行し、1000以上のテロリストの施設を破壊した。

「クズネツォフ」が初めて戦闘へ用いられた事により、同プロジェクト艦(1143.5)の長所と短所が明らかにされたとムラホフスキーは考える。

「同艦の能力に触れる際に確認されたのは、空母グループを介して高精度精密打撃兵器により地上目標を破壊する任務を遂行し、更には打撃艦グループの一員として対空防衛任務を果たす事が可能であるという点です」
雑誌『祖国の兵器庫』編集主任ヴィクトール・ムラホフスキー


更に、「クズネツォフ」は、シリアに形成された軍種間戦闘管理システムとの適合性が極めて良好である事が確認された。

ムラホフスキーは、航海期間中、戦闘行動と関係の無い事故で2機の艦上戦闘機MiG-29KSu-33が失われた事を想い起した。

「これは、航空母艦のシステムと管理システムに、幾つかの技術的状態における問題点がある事を語っています。
私が考えますに、これは、艦の戦闘使用の問題において、かなり経験が不足している事を示しております。
当然、これらの不具合と問題点全ては、大規模修理と近代化の際に考慮されるべきでしょう」
雑誌『祖国の兵器庫』編集主任ヴィクトール・ムラホフスキー


[近代化と新たな必要条件の方向性]
「アドミラル・クズネツォフ」
は、2017年第1クオーター(1-3月)に修理へ入り、その後、兵装を交換する近代化作業の開始が計画されている。
それは約2年間を要するであろうが、その期間と作業量は調整されるかもしれない。

今、「クズネツォフ」は、対艦ミサイル「グラニート」と強力な対空防衛システムを装備している。
艦は、30機までの戦闘機MiG-29K/KUBSu-33に加え、攻撃ヘリコプターKa-52K対潜ヘリコプターKa-27Ka-29(輸送ヴァージョン及びヘリコプター目標指示ヴァージョン)を艦上に搭載できる。

シリア航海において、同艦には10機の戦闘機Su-33、3機の戦闘機MiG-29KR、1機のMiG-29KUBR、18機の様々なタイプのヘリコプターが在った。
(註:実際には合計で約40機の搭載機を擁しており、特にMiG-29KRは少なくとも4機、MiG-29KUBRは3機が確認されている)

ムラホフスキーによると、「クズネツォフ」の戦闘使用は、近代化プロジェクトに使用される事が確実な広大な情報を与えた。

「ソヴィエト社会主義共和国時代に形成された航空グループは、主として、艦船グループの一員として加わり、対空防衛任務を果たす為に意図されていました。
同時に、それは、遠距離対艦ミサイルにより敵の水上目標へ打撃を与えなければなりませんでした。
今日、クズネツォフの航空グループは、打撃任務の分野においては、例えば、アメリカ合衆国の艦よりも弱いように見えます。

私の見解では、この艦は、ミサイル複合体による任務遂行を削減し、航空艦としての機能向上へ集中する必要が有ります。
更には、電波電子戦闘システムと、既に今使用されている現代的な部隊及び兵器自動管理システムの統合の分野において、その能力を抜本的に向上させるべきでしょう」
雑誌『祖国の兵器庫』編集主任ヴィクトール・ムラホフスキー


「クズネツォフ」シリアでの経験は、海軍の歴史上初めての国産航空母艦の戦闘使用経験であり、それは
「疑い無く、このクラスの新たな艦を国防省へ提示する為の必要条件の基礎となるでしょう」
専門家は指摘した。

同時に彼は、シリアへの航海を考慮に入れたロシアの新たな航空母艦の最終設計は、以前の展示会でロシア造船所が出展し、更には設計局が開発しているものに近くなるだろうと考えている。
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[NATOとメディアの注目]
ロシア海軍
航空艦グループ「地中海」への航海は、NATO軍西側メディアから多大な注目を集めた。

例えば、ノルウェー海軍は10月18日に北東大西洋「クズネツォフ」戦闘機Su-33の訓練飛行を監視した。
間を置かずに偵察機オライオン艦船グループを追尾する動画が登場した。
ノルウェー海においてロシア艦船にはノルウェーフリゲート「フリチョフ・ナンセン」ブリテン駆逐艦「リッチモンド」が随行していた。

航空母艦シリア沖に居た昨年11月9日、「ワルラス」と見られるネーデルラントディーゼルエレクトリック潜水艦艦船グループの追尾を試みた。
軍艦「セヴェロモルスク」「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は、距離20kmで水中音響複合体ヘリコプターKa-27PLの助力を得て潜水艦を追い払い、その後、同艦は海域外へ離脱した。

11月6日からの母国への帰路で、ロシア海軍空母グループの動きは、ラマンシュ海峡でのグレートブリテン海軍の活発な行動を引き起こした。
「クズネツォフ」には、王立海軍フリゲート1隻が付き添い、ブリテン戦闘機「タイフーン」艦上航空機が上空を飛行した。

西側メディアにとって重要な「部分」の1つは、航海の初期段階において、ロシア航空母艦の煙突からの濃い煙が艦尾に残された事であった。
このテーマでは、複数の西側の専門家が積極的に誇張した嘲笑を表明した。
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しかし、「クズネツォフ」の「黒い帽子」は、シリア沖での航空母艦の活動が始まった時に姿を消した。
造船業界の情報提供者がタス通信へ説明したように、排煙の増加は、同艦の動力装置の調整作業に関連するものであった。
そこには如何なる政治的な真相も存在せず、技術的障害の結果では無かった。




[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]


『アンドレイ旗』:重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘航海(第1部)


『アンドレイ旗』:重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘航海(第2部)