ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな高射ミサイル-機関砲複合体パーンツィリ-Mを装備する
『イズベスチヤ』より
2023年4月24日0時1分配信
【再武装と脅威:ロシア海軍の旗艦は火力を増強する】
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は艦上航空隊の為の新たな対空防衛システムと弾薬を得る

ロシアの航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘能力は向上する。

今や、同艦は統合対空防衛システムと組み合わせられた独自の高射ミサイル複合体「パーンツィリ-M」により、空中打撃から護られるとロシア連邦国防省の情報筋は『イズベスチヤ』へ伝えた。
更に、艦内には、最新の航空弾薬~誘導爆弾及び有翼ミサイルの使用の為の保管および準備場所が登場する。
これらは「クズネツォフ」航空団の戦闘機Su-33及びMiG-29で使用できる。
専門家によると、このような近代化により、ロシア海軍の旗艦の防護と戦闘能力は向上する。
[新しい防護]
航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、最新の高射ミサイル-砲複合体「パーンツィリ-M」で武装すると軍当局の情報筋は『イズベスチヤ』へ話した。
これに加え、艦には新たな統合対空防衛システムが導入される。
それは目標を自動的に認識し、それらを高射複合体へ配分し、破壊する。

新たな制御システムを備えた「パーンツィリ」は、航空機、ヘリコプター、対艦ミサイル、無人機といった全ての攻撃手段による艦への大規模打撃の撃退を可能にする。
更に対談者によると、艦内には既に特殊区画が建設され、そこには「クズネツォフ」航空団の為の高精度航空攻撃手段が保管、維持され、戦闘使用の為に準備される。
これは、空中発射有翼ミサイル、そして更に修正・誘導爆弾についての話である。
現在、「アドミラル・クズネツォフ」の対空防衛は、高射ミサイル複合体「キンジャール」の4基の発射装置から成っている。

それは、距離12キロメートル及び高度6キロメートルで4目標へ同時に射撃できる。
更に、艦の対空防衛は、8基の高射ミサイル-砲複合体「コールチク」が担う。

そのミサイルの射程は8キロメートルである。
近距離では、「コールチク」は2基の6銃身砲AO-18Kを使用する。
これに加え、発射速度毎分5000発の6銃身30mm速射砲AK-630Mが6基配置されている。

「パーンツィリ-M」は、古い「コールチク」と替えられる。
今、それは最新鋭の艦載対空防衛高射複合体である。
海上の「パーンツィリ」の弾薬庫には、8基のミサイルと2基の6銃身30mm速射自動機関砲が在る。

それは、高度1メートルから数十キロメートルの飛行目標への攻撃が可能である。
これは、特殊軍事作戦中に良好さを示した現代的な複合体であると軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは『イズベスチヤ』へ話した。

「これにより、アドミラル・クズネツォフは空中攻撃から護られます。
パーンツィリ-Mは、近距離ゾーンであらゆるタイプの目標を撃墜出来ます。
艦上対空防衛の為のシステムで、これ以上のものは今日においては有りません。
そして、航空団の為の新たな弾薬により、それは更に恐るべき艦となります。
総じて巡洋艦の近代化は、纏めると全てのシステムを撤去し、その代わりに最新のものを設置する事です」
今年も更に、超精密遠距離爆弾のラインの航空部隊への供給が始まっている。
それには、数十キロメートル離れた目標の攻撃が可能な幾つかのモデルが含まれる。
これらの重量、使用距離、調整・誘導システムは様々である。
爆弾は、地上目標や、装甲車を含む移動物体へ正確に命中させる事が可能である。
滑空弾の長所は、同程度の精度を持つ誘導ミサイルよりも遥かに安価な点にある。
加えて、ロケットエンジンと燃料を欠いているが故に、爆弾は、より大きな弾頭を搭載できる。

「進行中の特殊軍事作戦は、滑空爆弾と最新誘導ミサイルの必要性を明確に示しています」
ドミトリー・ボルテンコフは『イズベスチヤ』へ話した。
「そして最も重要なのは、航空機が敵の対空防衛動作ゾーンへ入らずに、それを使用できる事です。
従いまして、航空母艦は水上及び地上の目標を攻撃する課題を解決でき、艦上航空隊の行動距離は拡大します」
以前に『イズベスチヤ』は、近年に修理と近代化が行なわれている「アドミラル・クズネツォフ」の為に、乗組員の形成が始まったと報じた。
1000名以上の水兵、准士官、士官の募集が計画されている。
機関士、航海士、通信士などの純粋な海上の職務に加え、乗組員には、航空機及び機器の運用と保守の専門家が配置される。
募集完了後、乗組員は訓練と調整を行なう。
その後、2024年に艦隊の戦闘編制へ復帰しなければならない艦の全ての試験を行なう。
[海上への長い道程]
「アドミラル・クズネツォフ」には多難な歴史がある。
既に長年に渡り、ロシア海軍で唯一の重航空機巡洋艦である。
1985年に進水し、1991年に北方艦隊へ加わった。
この時、ウクライナ政府は同艦の所有権を宣言したが、艦は移転に成功した。
1995年に「クズネツォフ」は地中海で戦闘勤務に就いた。
2007年~2008年には艦船支隊を率いて大西洋と地中海への航海を行なった。
2016年~2017年には地中海作戦連合部隊の一員として、シリア沖で戦闘任務を遂行した。
航空グループの飛行士は400回以上の出撃を行ない、1200を超えるテロリストの施設を攻撃した。
航海から戻った後、艦は修理及び近代化へ向かった。
艦の修理中、幾つか重大な事件が発生した。
2018年10月、浮きドックPD-50が沈没した。
「クズネツォフ」はドッククレーンの落下により損傷したが、浮いたままだった。
同艦はムルマンスクの第35艦船修理工場の埠頭へ曳航され、そこで修理を行なった。
2019年12月、航空母艦で火災が発生した。
溶接作業中に火花が船倉へ入り、燃料が零れた。
その結果、2名が死亡し、14名が負傷した。
昨年末に艦の火災が報じられたが、それは解消され、死傷者は無かった。
今年2月、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、艦がドック場から出渠し、恒久修理場所へ入ったと述べた。
『統合造船業営団』トップによると、航空母艦は来年に艦隊の戦闘編制へ復帰しなければならない。
ロシア海軍唯一の「航空母艦」~ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月21日就役)は、シリア作戦(2016年11月~2017年1月)から帰投した翌年の2018年4月23日に近代化改装の契約が締結され、その直後にムルマンスクの『第35艦船修理工場』(セヴェロドヴィンスクの艦船修理工場『ズヴェズドーチカ』の傘下)で改装工事が始まりました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の契約は締結された]
近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システム、航空機管制複合体、火災探知システムなどは新型に変更される事になるようです。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
プロジェクト11435重航空巡洋艦(アドミラル・クズネツォフ)を設計した『ネフスキー計画設計局』により、「アドミラル・クズネツォフ」の新たな近代化改装案が作成されました。
[ネフスキー計画設計局はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の為の準備を進めている]
「アドミラル・クズネツォフ」には、新たな淡水化装置が設置されます。
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装により新型の高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」が装備されます。
[近代化改装されるウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな高射ミサイル砲複合体パーンツィリ-Mを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装の際に新たな航空機管制複合体を装備します。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな航空機管制複合体を装備する]
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな航空機管制複合体レジストル-Eを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の費用については、これまでに様々な数字が出ていましたが、結局、約600億ルーブルに落ち着いたようです。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の費用は約600億ルーブルになる]
「アドミラル・クズネツォフ」の機関(蒸気タービン)自体は変更されませんが、蒸気発生用のボイラーは8基全てが交換される事になり、2018年7月下旬からボイラーの撤去作業が始まりました。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフのボイラーの撤去作業が始まった]
蒸気タービン機関自体も大規模な修復が行なわれます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは蒸気タービンエンジンを修復する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、8基のボイラー(KVG-4)を、サンクトペテルブルクの『バルト工場』で新たに製造されたボイラーKVG-4と交換します。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年9月4日8時0分配信
【情報筋:「アドミラル・クズネツォフ」の新たなロシア製ボイラーは25年と見積もられている】
新たなボイラーKVG-4の寿命は25年になります。
「アドミラル・クズネツォフ」の火災探知システムは、予算の都合の為か、半分だけが新型に取り換えられることになるようです。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは火災探知システムの半分を新型に替える]
更には、電力供給体系(ケーブル線)の一部も更新されます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは電力供給体系を部分的に更新する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、2018年9月17日にムルマンスク北東のロスリャコヴォの第82艦船修理工場の大型浮きドックPD-50へ入渠しました。


[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは大型浮きドックPD-50へ入った]
2018年10月30日未明、大型浮きドックPD-50へ入渠していた「アドミラル・クズネツォフ」の出渠作業中、突然に電力供給が止まり、浮きドックは沈没しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを修理中の浮きドックPD-50で事故が発生した]
この事故により、浮きドックPD-50のクレーン1基が「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下し、甲板を損傷しました。
具体的には、飛行甲板に直径5メートル程の穴が開きました。
「アドミラル・クズネツォフ」は、事故後にロスリャコヴォからムルマンスクの第35艦船修理工場へ回航され、第24埠頭(「アドミラル・クズネツォフ」がいつも停泊している場所)へ係留されました。
「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下したクレーンは、12月下旬に撤去されました。
[浮きドックPD-50の沈没事故により航空母艦アドミラル・クズネツォフの飛行甲板へ落下したクレーンは完全に撤去されている]
2019年12月12日10時16分(モスクワ時間)、近代化改装工事中の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の第1発電機区画での溶接作業中に火災が発生しました。
[近代化改装工事中の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフで火災が発生した]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフ火災事故(2019年12月12日)続報]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフ火災事故(2019年12月12日)続報(その2)]
火災は24時間以内に鎮火されましたが、乗組員の士官2名が死亡し、他に14名が火災発生時の有毒ガスによる中毒で入院しました。
この火災により、「アドミラル・クズネツォフ」は第1発電機区画が全焼しましたが、致命的な損傷は受けておらず、修理及び近代化改装作業は続行されています。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、2019年12月12日の火災により致命的な損傷は受けておらず、修復及び近代化されて復帰する]
『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフ氏によると、「アドミラル・クズネツォフ」の火災による損害額は、3億ルーブル~3億5000万ルーブルになるとの事です。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの2019年12月12日の火災の損害額は3億5000万ルーブルと見積もられた]
従来の『第35艦船修理工場』の乾ドックのサイズでは、「アドミラル・クズネツォフ」は入渠できませんでしたが、これを、同艦が入渠できるサイズに拡張する計画は以前から有り、PD-50沈没事故を受け、これが実行に移される事になりました。


[ムルマンスクの第35艦船修理工場は再構築(ペレストロイカ)される]
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
元々の『第35艦船修理工場』の2つの乾ドックを結合し、「アドミラル・クズネツォフ」が入渠できるサイズへ拡大されました。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、ムルマンスク艦船修理工場の乾ドック拡張後にドック入りする]
なお、乾ドック拡張工事の最中、請負業者と発注者『第35艦船修理工場』との間で金銭トラブルが発生した為、2020年6月下旬に新たな請負業者として『オルゲネルゴストロイ』商会が選ばれ、工事が再開されました。


[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグはウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代改装を行なっているムルマンスク艦船修理工場を視察した]
新たな乾ドックへの注水は2022年3月下旬に完了し、「アドミラル・クズネツォフ」の入渠は2022年4月に予定されていましたが、気象条件などの理由により、5月20日にずれ込みました。

[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2022年4月に新たな乾ドックへ入渠する]

乾ドックは未だ正式の水密性扉が設置されておらず(セヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で建設中、2022年末までに完成予定)、暫定的な防水扉でドックの入り口を塞いで水を抜く作業は7月27日までに完了しました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装工事を行なうムルマンスクの乾ドックの排水作業は完了した]
その後、ドックでしか出来ない吃水線より下の部分の作業が始まりました。

2022年12月中旬までにドックでの作業は完了しました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは乾ドックでの工事を完了し、進水を準備する]
12月20日に「アドミラル・クズネツォフ」を乾ドックから進水させる作業が始まりました。
ただ、乾ドックには未だ正式の水密性扉が設置されておらず、入り口は暫定的に塞がれているだけなので、それを少しずつ開けてドック内へ注水する必要が有ります。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは乾ドックからの出渠作業を開始した]
2022年12月22日11時頃(モスクワ時間)、乾ドックに居た「アドミラル・クズネツォフ」で小規模な火災が発生しました。
火災は左舷側の船室で発生し、6平方メートルが燃えましたが、11時30分頃に鎮火されました。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフで小規模な火災が発生し、鎮火された]
2023年2月21日夕方にドックから進水しました。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは乾ドックから進水した]
乾ドックから出た後、「アドミラル・クズネツォフ」は『第35艦船修理工場』の岸壁で残りの工事を行ないます。

そして近代化改装中には大幅に減らされていた「アドミラル・クズネツォフ」の乗組員の再編成が始まりました。
以前には「アドミラル・クズネツォフ」の乗組員は1900名以上でしたが、近代化改装による自動化と省力化により、1500名程度に削減されます。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの乗組員の再編成が始まった]
以前には、「アドミラル・クズネツォフ」は2023年末までに近代化改装を終えて復帰する予定でしたが、2024年初頭に延期される事になりました。
[ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2024年に近代化改装を終えてロシア海軍へ復帰する]
近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも25年間の就航が可能となります。
つまり、2049年頃までは現役に留まるという事です。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは少なくとも2049年まで現役に留まる]
2023年4月24日0時1分配信
【再武装と脅威:ロシア海軍の旗艦は火力を増強する】
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は艦上航空隊の為の新たな対空防衛システムと弾薬を得る

ロシアの航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の戦闘能力は向上する。

今や、同艦は統合対空防衛システムと組み合わせられた独自の高射ミサイル複合体「パーンツィリ-M」により、空中打撃から護られるとロシア連邦国防省の情報筋は『イズベスチヤ』へ伝えた。
更に、艦内には、最新の航空弾薬~誘導爆弾及び有翼ミサイルの使用の為の保管および準備場所が登場する。
これらは「クズネツォフ」航空団の戦闘機Su-33及びMiG-29で使用できる。
専門家によると、このような近代化により、ロシア海軍の旗艦の防護と戦闘能力は向上する。
[新しい防護]
航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、最新の高射ミサイル-砲複合体「パーンツィリ-M」で武装すると軍当局の情報筋は『イズベスチヤ』へ話した。
これに加え、艦には新たな統合対空防衛システムが導入される。
それは目標を自動的に認識し、それらを高射複合体へ配分し、破壊する。

新たな制御システムを備えた「パーンツィリ」は、航空機、ヘリコプター、対艦ミサイル、無人機といった全ての攻撃手段による艦への大規模打撃の撃退を可能にする。
更に対談者によると、艦内には既に特殊区画が建設され、そこには「クズネツォフ」航空団の為の高精度航空攻撃手段が保管、維持され、戦闘使用の為に準備される。
これは、空中発射有翼ミサイル、そして更に修正・誘導爆弾についての話である。
現在、「アドミラル・クズネツォフ」の対空防衛は、高射ミサイル複合体「キンジャール」の4基の発射装置から成っている。

それは、距離12キロメートル及び高度6キロメートルで4目標へ同時に射撃できる。
更に、艦の対空防衛は、8基の高射ミサイル-砲複合体「コールチク」が担う。

そのミサイルの射程は8キロメートルである。
近距離では、「コールチク」は2基の6銃身砲AO-18Kを使用する。
これに加え、発射速度毎分5000発の6銃身30mm速射砲AK-630Mが6基配置されている。

「パーンツィリ-M」は、古い「コールチク」と替えられる。
今、それは最新鋭の艦載対空防衛高射複合体である。
海上の「パーンツィリ」の弾薬庫には、8基のミサイルと2基の6銃身30mm速射自動機関砲が在る。

それは、高度1メートルから数十キロメートルの飛行目標への攻撃が可能である。
これは、特殊軍事作戦中に良好さを示した現代的な複合体であると軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは『イズベスチヤ』へ話した。

「これにより、アドミラル・クズネツォフは空中攻撃から護られます。
パーンツィリ-Mは、近距離ゾーンであらゆるタイプの目標を撃墜出来ます。
艦上対空防衛の為のシステムで、これ以上のものは今日においては有りません。
そして、航空団の為の新たな弾薬により、それは更に恐るべき艦となります。
総じて巡洋艦の近代化は、纏めると全てのシステムを撤去し、その代わりに最新のものを設置する事です」
今年も更に、超精密遠距離爆弾のラインの航空部隊への供給が始まっている。
それには、数十キロメートル離れた目標の攻撃が可能な幾つかのモデルが含まれる。
これらの重量、使用距離、調整・誘導システムは様々である。
爆弾は、地上目標や、装甲車を含む移動物体へ正確に命中させる事が可能である。
滑空弾の長所は、同程度の精度を持つ誘導ミサイルよりも遥かに安価な点にある。
加えて、ロケットエンジンと燃料を欠いているが故に、爆弾は、より大きな弾頭を搭載できる。

「進行中の特殊軍事作戦は、滑空爆弾と最新誘導ミサイルの必要性を明確に示しています」
ドミトリー・ボルテンコフは『イズベスチヤ』へ話した。
「そして最も重要なのは、航空機が敵の対空防衛動作ゾーンへ入らずに、それを使用できる事です。
従いまして、航空母艦は水上及び地上の目標を攻撃する課題を解決でき、艦上航空隊の行動距離は拡大します」
以前に『イズベスチヤ』は、近年に修理と近代化が行なわれている「アドミラル・クズネツォフ」の為に、乗組員の形成が始まったと報じた。
1000名以上の水兵、准士官、士官の募集が計画されている。
機関士、航海士、通信士などの純粋な海上の職務に加え、乗組員には、航空機及び機器の運用と保守の専門家が配置される。
募集完了後、乗組員は訓練と調整を行なう。
その後、2024年に艦隊の戦闘編制へ復帰しなければならない艦の全ての試験を行なう。
[海上への長い道程]
「アドミラル・クズネツォフ」には多難な歴史がある。
既に長年に渡り、ロシア海軍で唯一の重航空機巡洋艦である。
1985年に進水し、1991年に北方艦隊へ加わった。
この時、ウクライナ政府は同艦の所有権を宣言したが、艦は移転に成功した。
1995年に「クズネツォフ」は地中海で戦闘勤務に就いた。
2007年~2008年には艦船支隊を率いて大西洋と地中海への航海を行なった。
2016年~2017年には地中海作戦連合部隊の一員として、シリア沖で戦闘任務を遂行した。
航空グループの飛行士は400回以上の出撃を行ない、1200を超えるテロリストの施設を攻撃した。
航海から戻った後、艦は修理及び近代化へ向かった。
艦の修理中、幾つか重大な事件が発生した。
2018年10月、浮きドックPD-50が沈没した。
「クズネツォフ」はドッククレーンの落下により損傷したが、浮いたままだった。
同艦はムルマンスクの第35艦船修理工場の埠頭へ曳航され、そこで修理を行なった。
2019年12月、航空母艦で火災が発生した。
溶接作業中に火花が船倉へ入り、燃料が零れた。
その結果、2名が死亡し、14名が負傷した。
昨年末に艦の火災が報じられたが、それは解消され、死傷者は無かった。
今年2月、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、艦がドック場から出渠し、恒久修理場所へ入ったと述べた。
『統合造船業営団』トップによると、航空母艦は来年に艦隊の戦闘編制へ復帰しなければならない。
ロシア海軍唯一の「航空母艦」~ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月21日就役)は、シリア作戦(2016年11月~2017年1月)から帰投した翌年の2018年4月23日に近代化改装の契約が締結され、その直後にムルマンスクの『第35艦船修理工場』(セヴェロドヴィンスクの艦船修理工場『ズヴェズドーチカ』の傘下)で改装工事が始まりました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の契約は締結された]
近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システム、航空機管制複合体、火災探知システムなどは新型に変更される事になるようです。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
プロジェクト11435重航空巡洋艦(アドミラル・クズネツォフ)を設計した『ネフスキー計画設計局』により、「アドミラル・クズネツォフ」の新たな近代化改装案が作成されました。
[ネフスキー計画設計局はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の為の準備を進めている]
「アドミラル・クズネツォフ」には、新たな淡水化装置が設置されます。
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装により新型の高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」が装備されます。
[近代化改装されるウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな高射ミサイル砲複合体パーンツィリ-Mを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装の際に新たな航空機管制複合体を装備します。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな航空機管制複合体を装備する]
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな航空機管制複合体レジストル-Eを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の費用については、これまでに様々な数字が出ていましたが、結局、約600億ルーブルに落ち着いたようです。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の費用は約600億ルーブルになる]
「アドミラル・クズネツォフ」の機関(蒸気タービン)自体は変更されませんが、蒸気発生用のボイラーは8基全てが交換される事になり、2018年7月下旬からボイラーの撤去作業が始まりました。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフのボイラーの撤去作業が始まった]
蒸気タービン機関自体も大規模な修復が行なわれます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは蒸気タービンエンジンを修復する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、8基のボイラー(KVG-4)を、サンクトペテルブルクの『バルト工場』で新たに製造されたボイラーKVG-4と交換します。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年9月4日8時0分配信
【情報筋:「アドミラル・クズネツォフ」の新たなロシア製ボイラーは25年と見積もられている】
新たなボイラーKVG-4の寿命は25年になります。
「アドミラル・クズネツォフ」の火災探知システムは、予算の都合の為か、半分だけが新型に取り換えられることになるようです。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは火災探知システムの半分を新型に替える]
更には、電力供給体系(ケーブル線)の一部も更新されます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは電力供給体系を部分的に更新する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、2018年9月17日にムルマンスク北東のロスリャコヴォの第82艦船修理工場の大型浮きドックPD-50へ入渠しました。


[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは大型浮きドックPD-50へ入った]
2018年10月30日未明、大型浮きドックPD-50へ入渠していた「アドミラル・クズネツォフ」の出渠作業中、突然に電力供給が止まり、浮きドックは沈没しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを修理中の浮きドックPD-50で事故が発生した]
この事故により、浮きドックPD-50のクレーン1基が「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下し、甲板を損傷しました。
具体的には、飛行甲板に直径5メートル程の穴が開きました。
「アドミラル・クズネツォフ」は、事故後にロスリャコヴォからムルマンスクの第35艦船修理工場へ回航され、第24埠頭(「アドミラル・クズネツォフ」がいつも停泊している場所)へ係留されました。
「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下したクレーンは、12月下旬に撤去されました。
[浮きドックPD-50の沈没事故により航空母艦アドミラル・クズネツォフの飛行甲板へ落下したクレーンは完全に撤去されている]
2019年12月12日10時16分(モスクワ時間)、近代化改装工事中の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の第1発電機区画での溶接作業中に火災が発生しました。
[近代化改装工事中の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフで火災が発生した]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフ火災事故(2019年12月12日)続報]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフ火災事故(2019年12月12日)続報(その2)]
火災は24時間以内に鎮火されましたが、乗組員の士官2名が死亡し、他に14名が火災発生時の有毒ガスによる中毒で入院しました。
この火災により、「アドミラル・クズネツォフ」は第1発電機区画が全焼しましたが、致命的な損傷は受けておらず、修理及び近代化改装作業は続行されています。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、2019年12月12日の火災により致命的な損傷は受けておらず、修復及び近代化されて復帰する]
『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフ氏によると、「アドミラル・クズネツォフ」の火災による損害額は、3億ルーブル~3億5000万ルーブルになるとの事です。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの2019年12月12日の火災の損害額は3億5000万ルーブルと見積もられた]
従来の『第35艦船修理工場』の乾ドックのサイズでは、「アドミラル・クズネツォフ」は入渠できませんでしたが、これを、同艦が入渠できるサイズに拡張する計画は以前から有り、PD-50沈没事故を受け、これが実行に移される事になりました。


[ムルマンスクの第35艦船修理工場は再構築(ペレストロイカ)される]
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
元々の『第35艦船修理工場』の2つの乾ドックを結合し、「アドミラル・クズネツォフ」が入渠できるサイズへ拡大されました。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、ムルマンスク艦船修理工場の乾ドック拡張後にドック入りする]
なお、乾ドック拡張工事の最中、請負業者と発注者『第35艦船修理工場』との間で金銭トラブルが発生した為、2020年6月下旬に新たな請負業者として『オルゲネルゴストロイ』商会が選ばれ、工事が再開されました。


[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグはウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代改装を行なっているムルマンスク艦船修理工場を視察した]
新たな乾ドックへの注水は2022年3月下旬に完了し、「アドミラル・クズネツォフ」の入渠は2022年4月に予定されていましたが、気象条件などの理由により、5月20日にずれ込みました。

[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2022年4月に新たな乾ドックへ入渠する]

乾ドックは未だ正式の水密性扉が設置されておらず(セヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で建設中、2022年末までに完成予定)、暫定的な防水扉でドックの入り口を塞いで水を抜く作業は7月27日までに完了しました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装工事を行なうムルマンスクの乾ドックの排水作業は完了した]
その後、ドックでしか出来ない吃水線より下の部分の作業が始まりました。

2022年12月中旬までにドックでの作業は完了しました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは乾ドックでの工事を完了し、進水を準備する]
12月20日に「アドミラル・クズネツォフ」を乾ドックから進水させる作業が始まりました。
ただ、乾ドックには未だ正式の水密性扉が設置されておらず、入り口は暫定的に塞がれているだけなので、それを少しずつ開けてドック内へ注水する必要が有ります。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは乾ドックからの出渠作業を開始した]
2022年12月22日11時頃(モスクワ時間)、乾ドックに居た「アドミラル・クズネツォフ」で小規模な火災が発生しました。
火災は左舷側の船室で発生し、6平方メートルが燃えましたが、11時30分頃に鎮火されました。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフで小規模な火災が発生し、鎮火された]
2023年2月21日夕方にドックから進水しました。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは乾ドックから進水した]
乾ドックから出た後、「アドミラル・クズネツォフ」は『第35艦船修理工場』の岸壁で残りの工事を行ないます。

そして近代化改装中には大幅に減らされていた「アドミラル・クズネツォフ」の乗組員の再編成が始まりました。
以前には「アドミラル・クズネツォフ」の乗組員は1900名以上でしたが、近代化改装による自動化と省力化により、1500名程度に削減されます。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの乗組員の再編成が始まった]
以前には、「アドミラル・クズネツォフ」は2023年末までに近代化改装を終えて復帰する予定でしたが、2024年初頭に延期される事になりました。
[ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2024年に近代化改装を終えてロシア海軍へ復帰する]
近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも25年間の就航が可能となります。
つまり、2049年頃までは現役に留まるという事です。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは少なくとも2049年まで現役に留まる]
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