遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプは北極海へ向かった

『タス通信』より
2018年8月23日4時14分配信
【「ペレコプ」は北海航路へ行く最初の練習艦となる】
タス通信、8月23日
バルト艦隊の練習艦「ペレコプ」は、木曜日にカムチャツカを去り、セヴェロモルスクへ進路を取った。
海軍の航海士練習航海の歴史上初めて北海航路の移動が計画されている。
太平洋艦隊の公式代理人ニコライ・ヴォスクレセンスキー2等海佐は発表した。
「本日、ペレコプは、8月19日に到着したカムチャツカへの滞在を完了し、セヴェロモルスクまでの遠距離航海を継続します。
北方艦隊主要基地への移動は、ロシア海軍の航海士練習航海の歴史上初めて北海航路で行なう事が計画されています。
艦内には、およそ150名のマカロフ提督記念太平洋艦隊海軍兵学校生徒が乗っています。
航海指揮官は、マカロフ記念太平洋艦隊海軍兵学校の校長オレグ・ジュラヴリェフ少将です」
ヴォスクレセンスキーは伝えた。
前日、ヴィリュチンスク市を出たナヒーモフ海軍学校ウラジオストク分校の生徒と全連邦軍事スポーツ少年団員は、様々な世代の死亡した潜水艦船員を追悼する会合へ参加した。
1分間の黙祷の後、1942年の太平洋艦隊から北方艦隊へのグループ移動時に沈没した潜水艦L-16乗組員の慰霊碑への献花式が開催された。

練習艦「ペレコプ」は、以前にセヴァストーポリからウラジオストクへの移動を行なった。
艦は2つの大洋と15の海を通過し、53日の航海で14300海里を走破した。
移動中に艦はインドネシア、スリランカ、そして初めてパプアニューギニアを訪れた。
艦は6月3日にウラジオストクへ到着し、8月9日に北方艦隊へと向かった。

プロジェクト877練習艦の2番艦「ペレコプ」は、ポーランドのグダニスク造船所で1976年4月24日に起工され、1976年12月11日に進水し、1977年9月30日にソ連海軍へ就役しました。
現在はバルト艦隊に所属し、クロンシュタット港に駐留しています。
「ペレコプ」(310)は、2013年8月から2016年11月までブルガリアのヴァルナの艦船修理工場で大規模なオーバーホールを行ないました。
(ソヴィエト連邦時代のブルガリアの債務返還の一環として)
復帰後、2017年には地中海、黒海(セヴァストーポリ)までの遠洋実習航海を行ない、同年8月にギリシャのピレウス、9月にはポルトガルのリスボンを訪れました。
今年の「ペレコプ」の遠洋実習航海は、これまでの地中海や黒海(セヴァストーポリ)だけではなく、極東方面(ウラジオストク)、更には北極海まで行く事になります。
[ロシア海軍の練習艦ペレコプは北極海及び極東への遠洋実習航海を準備する]

2018年3月1日、「ペレコプ」はサンクトペテルブルク海軍兵学校の生徒を乗せてクロンシュタット港を抜錨し、遠洋実習航海へと出発しました。
[ロシア海軍の練習艦ペレコプは士官候補生の遠洋実習航海へ出発した]
3月5日には北海へ入りました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプは北海へ入った]
「ペレコプ」はヨーロッパ大陸沿いに南下し、3月9日にはラ・マンシュ海峡(英仏海峡)を通過しました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプは英仏海峡を通過した]
その後、更にヨーロッパ大陸に沿って南下し、3月12日にはジブラルタル海峡を通過して地中海へ入りました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプは地中海へ入った]

「ペレコプ」は地中海を東進して3月17日にはボスポラス海峡を北上し、黒海へ入り、その後、セヴァストーポリへ入港しました。
ここでクロンシュタット港から乗っていた生徒は艦を降り、新たにサンクトペテルブルク海軍兵学校から200名以上の生徒が3月26日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍兵学校の生徒はセヴァストーポリからウラジオストクまでの遠洋実習航海へ参加する]
4月1日、「ペレコプ」はセヴァストーポリを抜錨し、ウラジオストクへ向かいました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはセヴァストーポリを抜錨し、ウラジオストクへ向かった]
翌4月2日にはボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過してエーゲ海へ入りました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過してエーゲ海へ入る]

4月7日にスエズ運河を通過して紅海へ入りました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはスエズ運河を通過して紅海へ入った]

4月11日には海賊出没海域であるアデン湾へ入りました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはアデン湾へ入った]
4月12日にはアデン湾を抜けてアラビア海へ入りました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはアラビア海へ入った]
「ペレコプ」は、2018年4月18日から22日までスリランカのコロンボ港を訪問しました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはスリランカのコロンボを訪れる]
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはスリランカのコロンボへ入港した]
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはスリランカのコロンボを去り、インドネシアのジャカルタへ向かった]
4月29日から5月1日までインドネシアのタンジュンプリオク港(ジャカルタ)を訪問しました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはインドネシアのタンジュンプリオク港へ到着した]
その後、5月4日から9日までインドネシア近海で実施された多国籍海軍演習『KOMODO-2018』へ参加しました。
【多国籍海軍演習『KOMODO-2018』公式サイト】

演習が終わった後、「ペレコプ」はパプアニューギニアの首都ポートモレスビーへ向かいました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはパプアニューギニアの首都ポートモレスビーへ行く]
5月16日、「ペレコプ」はポートモレスビーへ入港しました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはパプアニューギニアの首都ポートモレスビーを訪れた]
5月19日にポートモレスビーを出航した後の動向は公表されていませんが、おそらくは中部太平洋を北上してウラジオストクへ向かったようです。

6月3日、「ペレコプ」はウラジオストクへ入港しました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはウラジオストクへ入港した]
無論、「ペレコプ」にとっては、就役後初のウラジオストク寄港となります。
その後も「ペレコプ」はウラジオストクへ滞在し、7月29日の『ロシア海軍の日』にウラジオストクで行なわれた太平洋艦隊の観艦式へ参加しました。
[練習艦ペレコプは7月29日の『ロシア海軍の日』にウラジオストクの観艦式へ参加する]
8月9日、「ペレコプ」はウラジオストクを出航しました。
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはウラジオストクを抜錨して北極海へ向かった]
8月12日から14日までサハリン南部のコルサコフへ寄港した後、8月17日にカムチャツカ半島のペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ到着しました。
(つまり、8月11日頃に宗谷海峡を通過)
[遠洋実習航海中のロシア海軍の練習艦ペレコプはペトロパヴロフスク・カムチャツキーを訪れた]
そして8月23日、「ペレコプ」はペトロパヴロフスク・カムチャツキーを出航し、北極海へ向かいました。

記事中に登場するソ連海軍の潜水艦L-16は、元々はニコラエフ造船工場(第198工場)で1935年11月5日に起工されたのですが、その後、船体はウラジオストクの第202工場(ダーリザヴォード)へ転送され、1936年7月9日に進水し、1938年12月9日に就役し、太平洋艦隊へ配備されました。
大祖国戦争中の1942年、同型艦のL-15と共に太平洋(パナマ運河)経由で北方艦隊基地ポリャールヌイへ回航される事になり、1942年9月25日にペトロパブロフスク・カムチャツキーを出航しました。
1942年10月1日にアメリカのダッチハーバー海軍基地へ寄港し、10月5日に出航、10月11日にアメリカ本土西方沖を航行中、魚雷攻撃を受けて沈没しました。
L-16を撃沈したのは、日本海軍の潜水艦「伊号第二十五」でした。
伊二十五潜水艦は、搭載する零式小型水上偵察機によるアメリカ本土オレゴン州空爆の帰りにL-16を発見し、アメリカの潜水艦と判断して魚雷を発射し、撃沈しました。