fc2ブログ

警備艦スメトリーヴイはボスポラス海峡を通過した

12-0713b.jpg

12-0713c.jpg
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【黒海艦隊の警備艦「スメトリーヴイ」はボスポラス海峡を通過した】
2012年7月13日

セヴァストーポリ海軍基地を出港したロシア黒海艦隊警備艦「スメトリーヴイ」は、沿岸警備隊のカッターに付き添われてボスポラス海峡を通過した。
2012年7月11日、『トルコ国営放送(TRT)ロシア語版』は伝えた。

モントルー条約により、トルコには海峡の戦闘艦通過の許可権が提供されている。
2012年4月にも、ロシア戦闘艦ボスポラス海峡を通過して地中海へと去っている。

シリアタルトゥース港は、シリア国内で第2の港湾都市であり、ロシアの軍事拠点が置かれている事が想起される。


警備艦「スメトリーヴイ」(7月9日)
12-0711d.jpg

12-0713d.jpg

警備艦「スメトリーヴイ」は、プロジェクト61(カシン級)の1隻であり1969年に就役しました。
[最後のカシン型「スメトリーヴイ」]

「カシン」級は1962年から1973年に掛けて20隻がソ連海軍に就役しましたが、ソ連邦解体後は次々と除籍され、現在は「スメトリーヴイ」だけが現役に留まっています。

7月10日、ロシア北方艦隊大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、3隻の大型揚陸艦、2隻の支援船セヴェロモルスクを出港しました。
更には、バルト艦隊警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」と1隻の給油船も合流するとの事です。
[ロシア北方艦隊の艦船グループは北大西洋へ行く]

「スメトリーヴイ」は、地中海北方・バルト艦隊合同部隊と合流するようです。

「スメトリーヴイ」は、4月2日にもセヴァストーポリを出港して地中海東部(シリア沖)へ向かい、5月31日に帰港しています。
[最後のカシン級スメトリーヴイ、地中海へ]
[ロシア黒海艦隊警備艦スメトリーヴイはシリアへ行く]
[警備艦スメトリーヴイは地中海東部に滞在する]
[警備艦スメトリーヴイは地中海から戻ってきた]

デルタIV級戦略原潜ノヴォモスコフスクは近代化改装後の航海試験を終えた

12-0713a.jpg
ロシア北方艦隊所属のプロジェクト667BDRM戦略用途ロケット水中巡洋艦(デルタIV級)の最終艦「ノヴォモスコフスク」は、近代化改装を完了します。


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【「ズヴェズドーチカ」は戦略用途ロケット水中巡洋艦「ノヴォモスコフスク」の航海試験を完了した】
2012年7月12日

艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」でオーバーホール並びに近代化が行なわれた戦略用途ロケット水中巡洋艦K-407「ノヴォモスコフスク」は、工場航海試験を実施し、7月6日に同社の岸壁へ戻ってきた。

試験プログラムには、同艦乗組員と、同社の試験運行チームにより、完璧に実行された。

承認されたスケジュールに従い、受領航海試験の間に注意点が除去された。

今日(7月12日)、「ズヴェズドーチカ」は、巡洋艦の修理並びに近代化の作業を完了する。
戦略用途ロケット水中巡洋艦「ノヴォモスコフスク」の顧客への納入署名は、海軍記念日(7月29日)に予定されている。

戦略用途ロケット水中巡洋艦K-407「ノヴォモスコフスク」は、1987年6月に北方機械建造会社(現・株式会社「生産連合セヴマシュ」)の造船台で起工された。
艦は1990年2月28日に進水し、同年11月27日、ロケット艦は海軍旗を掲揚し、艦は海軍の編制へ加入した。


K-407「ノヴォモスコフスク」は、プロジェクト667BDRM戦略原潜(デルタIV級)の最終艦であり、上の記事の通り、1990年11月27日、当時のソ連邦海軍へ納入されました。

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【プロジェクト667BDRM「ノヴォモスコフスク」】

1993年初頭には、バレンツ海アメリカ海軍原子力潜水艦SSN-646「グレイリング」と衝突事故を起こしました。

1998年7月にはドイツの人工衛星を打ち上げました。

2008年11月にセヴェロドヴィンスク「ズヴェズドーチカ」へ回航され、修理及び近代化が開始されました。
[デルタIV型略原潜「ノヴォモスコフスク」は、2010年に再就役する]
[デルタIV型戦略原潜「ノヴォモスコフスク」は2011年に復帰する]
[デルタIV級戦略原潜ノヴォモスコフスクは、2010年11月に再進水する]
復帰予定は当初の2010年から2011年に延び、最終的には、今回の記事の通り、2012年にずれ込みました。

ロシア北方艦隊667BDRM戦略原潜6隻は、1990年代末以降より「ズヴェズドーチカ」で第1次近代化改装を行ない、寿命を延長しました。
K-51「ヴェルホトゥリエ」:1999年近代化完了
K-84「エカテリンブルク」:2003年近代化完了
K-114「トゥーラ」:2006年近代化完了
K-117「ブリャンスク」:2008年近代化完了
K-18「カレリア」:2010年近代化完了
K-407「ノヴォモスコフスク」:2012年近代化完了予定


最終艦「ノヴォモスコフスク」をもって第1次近代化改装は終了し、また一巡して「ヴェルホトゥリエ」から第2次近代化改装に着手されています。
[デルタIV級戦略原潜ヴェルホトゥリエは造船台を出た]

667BDRM戦略原潜6隻は、近代化改装により寿命を35年に延長し、2020年代前半まで現役に留まります。
[全てのデルタIV級戦略原潜は寿命を35年に延長する]

現在、667BDRM戦略原潜潜水艦発射弾道ミサイルR-29RMU2「シネーワ」を装備していますが、今後は改良型のR-29RMU2.1「ライネル」が装備されます。
[ロシア海軍のデルタIV及びデルタIII級原潜は「ライネル」を装備する]

ロシア海軍艦船、宗谷海峡通過(2012年7月7日~8日)

12-0711f.jpg

『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2011年7月10日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について(7月10日)】

7月7日から8日に掛け、計13隻のロシア海軍艦艇宗谷海峡を通過、西進しました。

通過したのは、この13隻です。

[7月7日午前7時頃に宗谷海峡を西進]
ロプチャーI級戦車揚陸艦055:大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスキー」(第100揚陸艦旅団)

[7月8日午後6時~8時頃に宗谷海峡を西進]
スラバ級ミサイル巡洋艦011:親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」(第36水上艦師団)
ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦715:駆逐艦「ブイストルイ」(第36水上艦師団)
ウダロイI級ミサイル駆逐艦543:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」(第36水上艦師団)
ウダロイI級ミサイル駆逐艦572:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」(第36水上艦師団)
グリシャV級小型フリゲート323:小型対潜艦「メチェーリ」(第19水上艦旅団・第11水域警備艦大隊)
グリシャV級小型フリゲート362:小型対潜艦「MPK-17」(第19水上艦旅団・第11水域警備艦大隊)
グリシャV級小型フリゲート390:小型対潜艦「コレーツ」(第19水上艦旅団・第11水域警備艦大隊)
アルタイ改級補給艦:中型海洋給油船「イリム」
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-84
モマ級測量艦:水路測量船「アンタルクチーダ」
ユグ級海洋観測艦:水路測量船「ヴィツェ-アドミラル・ヴォロンツォフ」
ゴーリン級航洋曳船:救助曳船SB-522



ここで想起されるのは、7月1日、計26隻のロシア太平洋艦隊所属艦艇が宗谷海峡を東進した事です。
[ロシア太平洋艦隊艦艇、宗谷海峡を東進(2012年7月1日)]


この26隻は、6月末から7月初頭に掛けて実施されたロシア太平洋艦隊(東方軍管区)指揮幕僚演習に参加した艦船です。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]
[ロシア海軍歩兵はサハリン南部で上陸演習を行なった]
[オホーツク海南部で地対艦ミサイル発射訓練が行なわれた]
[ロシア太平洋艦隊の大規模演習は成功裏に終わった]
[ロシア太平洋艦隊水上艦はオホーツク海で防空戦闘訓練を行なった]


今回、宗谷海峡を西進した艦船13隻の内、11隻が7月1日に同海峡を東進した艦船です。
7月1日の通過リストに入っていないのは、中型海洋給油船「イリム」救助曳船SB-522です。

これらの艦船は、演習を終えて母港(ウラジオストクあるいはフォーキノ)へ戻るのでしょう。

7月1日に宗谷海峡を通過した26隻の内、ナヌチカIII級ミサイル護衛哨戒艇2隻(小型ロケット艦「イネイ」、「ラズリーフ」)カムチャツカ半島ペトロパブロフスク・カムチャツキーに駐留しているので、同地へ帰ったのでしょう。

しかしそれでも、まだこれだけの艦が現時点でオホーツク海に居る事になります。

ウダロイI級ミサイル駆逐艦564:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」(第36水上艦師団)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇924:大型ロケット艇R-14(第19水上艦旅団・第2親衛ミサイル艇大隊)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇937:大型ロケット艇R-18(第19水上艦旅団・第2親衛ミサイル艇大隊)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇978:大型ロケット艇R-19(第19水上艦旅団・第2親衛ミサイル艇大隊)
ロプチャーI級戦車揚陸艦066:大型揚陸艦「オスリャブヤ」(第100揚陸艦旅団)
ロプチャーII級戦車揚陸艦077:大型揚陸艦「ペレスウェート」(第100揚陸艦旅団)
アリゲーターIV級戦車揚陸艦081:大型揚陸艦「ニコライ・ヴィルコフ」(第100揚陸艦旅団)
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-47
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-296
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-404
ビヤ級測量艦:小型水路測量船GS-200
カメンカ級測量艦:小型水路測量船GS-210
カシュタン級設標艦:サルベージ船KIL-168

ロシア北方艦隊の艦船グループは北大西洋へ行く

7月10日、ロシア北方艦隊大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」と3隻の揚陸艦セヴェロモルスクを出港しました。
12-0711e.jpg

[ロシア北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコ、シリア沖へ?]

その続報。


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦国防省報道サービス・情報管理部発表
2012年7月10日19時32分配信
【セヴェロモルスクを去った北方艦隊戦闘艦船支隊は、北大西洋へ進路を取った】

ロシア海軍戦闘艦の夏季訓練は、計画任務を遂行する為に続けられ、遠洋及び海洋ゾーンにおける異なるグループ及び異なる艦隊レベルでの連携行動に習熟する。

この目的の為、大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」、「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「コンドポガ」、更に支援船「ニコライ・チケル」及び「セルゲイ・オシポフ」で構成される戦闘艦船支隊は、北方艦隊主要基地セヴェロモルスクを去り、北大西洋へ進路を取った。

指定海域において、北方艦隊戦闘艦船支隊には、警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」及び給油船「レナ」で構成されるバルト艦隊艦船支隊が加わる。
共同指揮下の異艦隊グループの戦闘艦は、大洋ゾーンの指定航路を移動しながら一連の計画戦闘訓練施策を実施する。

北方艦隊及びバルト艦隊艦船グループは、大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「ツェーザリ・クニコフ」、警備艦「スメトリーヴイ」で構成される黒海艦隊戦闘艦グループと連携し、地中海及び黒海で戦闘訓練任務の実施が計画されている。

異なる艦隊間の連携行動の大洋及び海洋ゾーンにおける効率性は、以前のロシア海軍の艦船支隊の航海により実証されている。

そう、2011年12月から2012年2月に掛けて、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に率いられる北方艦隊艦船航空グループは、バルト艦隊及び黒海艦隊と大西洋及び地中海において連携行動を行ない、成功裏に任務を遂行した。

異なる気候帯及び世界の大洋においてアンドレイ旗を示し、演習を実施した事は、海軍の艦船の乗組員の専門知識レベル及び個人の技量の著しい向上を可能にし、更には、単一の司令部による相互作戦及び行動における高水準を維持した。


ロシアでは、例によって非政府系メディアにより、北方艦隊艦船グループシリアへ向かったと報じられています。

『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
2012年7月10日配信
【ロシア北方艦隊の艦はタルトゥースへ向かった】
『インタファクス』は、北方艦隊大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」と3隻の揚陸艦、バルト艦隊警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」シリアタルトゥースへ向かったと報じました。

2012年7月11日配信
【(ロシア)外務省の情報提供者は、シリアへ艦を派遣するという報道を「馬鹿げている」と語った】
『インタファクス』は、ロシア艦シリア行きを否定するロシア外務省の情報提供者の談話を報じました。

ロシア外務省の情報提供者は、こう述べました。
「私共は、この件における再度の誇張されたアプローチに困惑しております」
「私達は、何も隠し事はしておりません。ロシア連邦国防省の発表の通り、我が北方艦隊艦船グループはセヴェロモルスク基地を去り、北大西洋へ向かっております」
「これは、シリアでの出来事とは、全く関係が有りません」



今回のロシア連邦国防省報道サービス・情報管理部発表でも、北方艦隊及びバルト艦隊の艦船がシリアへ行くなどとは、一言も述べられておりません。
地中海及び黒海へ行くとは述べられていますが、当然の事ながら、地理的理由により、水上艦船は、地中海を通過しなければ黒海へ行く事は出来ません。

12-0711g.jpg


北方艦隊大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」バルト艦隊警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」は、2011年12月から2012年2月まで地中海遠征を行なっています。

この時は、北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」に随伴していました。
[空母アドミラル・クズネツォフ地中海遠征2011-2012]

そして今回の北方・バルト艦隊合同戦闘艦船支隊は、以下のような陣容になります。

大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」(北方艦隊)
大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」(北方艦隊)
12-0711a.jpg
大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」(北方艦隊)
12-0711b.jpg
大型揚陸艦「コンドポガ」(北方艦隊)
12-0711c.jpg
救助曳航船「ニコライ・チケル」(北方艦隊)
給油船「セルゲイ・オシポフ」(北方艦隊)
警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」(バルト艦隊)
給油船「レナ」(バルト艦隊)


3隻の大型揚陸艦以外は、先の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」地中海遠征にも参加した艦船です。


今回のロシア国防省公式発表によると、北方・バルト艦隊合同戦闘艦船支隊は、大西洋地中海、更には黒海へ行き、黒海艦隊大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「ツェーザリ・クニコフ」、警備艦「スメトリーヴイ」と行動を共にするようです。

警備艦「スメトリーヴイ」(7月9日)
12-0711d.jpg

大型揚陸艦「ニコライ・フィリチェンコフ」、「ツェーザリ・クニコフ」は、6月に何度もシリアへ行くと報じられた(もちろん誤報)艦です。
[ロシア海軍大型揚陸艦狂想曲]

北方艦隊大型揚陸艦3隻と共に、黒海沿岸あたりで上陸演習でも行うのでしょうか・・・・?

ロシア北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコ、シリア沖へ?

12-0710a.jpg

12-0710b.jpg
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【ロシア海軍の艦はシリアへ向かう】
2012年7月10日

大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」と3隻の揚陸艦は、今日7月10日、セヴェロモルスクを去った。
これは、『中央海軍ポータル』が、国防省の高位の情報提供者により知った事である。

揚陸艦には海軍歩兵部隊が乗っている。
航海には、バルチースクに駐留するバルト艦隊警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」及び支援船も参加する。
情報提供者は、艦が地中海シリア海域へ派遣されると表明した。

この情報は、部分的に『中央海軍ポータル』が、同艦の乗組員の一人から確認した。
彼は、大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」海軍歩兵を乗せた3隻の揚陸艦は、3ヶ月間に渡り海洋へ出る予定であると述べた。


これまでにも、ロシア海軍の艦がシリアへ向かうという誤報が度々流された事を考慮すると、現時点において、今回の報道が全て事実であると断定する事は出来ません。
[ロシア海軍大型揚陸艦狂想曲]


北方艦隊大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」バルト艦隊警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」は、2011年12月から2012年2月まで地中海遠征を行なっています。
この時は、北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」に随伴していました。
[空母アドミラル・クズネツォフ地中海遠征2011-2012]

あれから半年も経たない内に、再び地中海へ向かうのでしょうか・・・?

更に、警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」は、6月24日から7月2日までアメリカ・ロシア・フランス・イギリス4ヶ国海軍合同演習「フルークス-2012」に参加しており、7月5日にバルチースク基地へ帰港したばかりです。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。
【バルト艦隊の警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」はバルチースクへ戻った】


北方艦隊第121揚陸艦旅団には、5隻の大型揚陸艦が在籍し、この内4隻が稼働状態に在ります。

[第121揚陸艦旅団]
大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴリャーク」
大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」
大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」
大型揚陸艦「コンドポガ」
大型揚陸艦「ミトロファン・モスカレンコ」(保管中)


セヴェロモルスク(ワエンガ湾)
プロジェクト775大型揚陸艦(ロプーチャ級)4隻が停泊しています。
12-0710c.jpg

手前側の艦は大型揚陸艦「コンドポガ」です。
12-0710e.jpg

つまり、「オレネゴルスキー・ゴリャーク」、「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「アレクサンドル・オトラコフスキー」、「コンドポガ」の内の3隻が出港したという事になります。

むろん、これが事実であるのならば、ですが・・・

アデン湾における大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフの活躍を描いた映画が撮影される

2010年5月5日にアデン湾で発生したタンカー「モスクワ大学」乗っ取り事件において、同船解放に活躍したロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を描いた映画『22ミニッツ』が製作されます。

【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】
12-0709b.jpg


『ロシア通信社ノーボスチ・極東管区ニュース』より。
【ロシア太平洋艦隊の海賊との戦いを描く映画の撮影が沿海地方で始まった】
ウラジオストク、7月9日-ロシア通信社ノーボスチ

「モスフィルム」協会の一員である映画制作会社「シグル」は、太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員の為の長編映画「22ミニッツ」の撮影を開始した。
太平洋艦隊公式代理人ローマン・マルトフ1等海佐は、ロシア通信社ノーボスチに伝えた。

太平洋艦隊第4艦船支隊海軍歩兵大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、2010年5月6日、アデン湾ソマリア海賊に乗っ取られたリベリア船籍のタンカー「モスクワ大学」を解放した。
同船上には、23名のロシア人船員が乗っていた。
86000トンの石油を積んだタンカーは、紅海から中国へ向かっていた。
襲撃を受けた船及びロシア海軍将兵に負傷者は居なかった。10名の海賊が拘束され、あとの1名は死亡した。

「冒険映画の撮影は、沿海州では、日曜日に沿海地方でスタートしました。
現在、撮影グループは、ウラジオストク地域の典型的な美しい海の景色で知られているバサルギン灯台で撮影に取り組んでいます」

代理人は述べた。

彼によると、その後、アデン湾で海賊対処当直に参加した大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」艦内でも撮影が続けられる。

「撮影では、俳優達は、大型対潜艦の乗組員、海軍歩兵特殊分隊、艦載航空隊のヘリコプターKa-27と関わります。
6日間に渡る撮影で、航海時の戦闘艦の実際の生活の模様、"黒ベレー"の訓練や、海賊に乗っ取られた船へ突入する訓練の幾つかのエピソードがが再現されます」

マルトフは述べた。
(2012年7月9日17時43分配信)


2010年5月5日、リベリア船籍のロシアタンカー「モスクワ大学」がアデン湾ソマリア海賊に乗っ取られ、当時アデン湾に居たロシア海軍大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」により、翌6日に解放されました。

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

この時のロシア海軍海賊対処部隊指揮官は、第44対潜艦旅団司令官イリダル・アフメロフ1等海佐でした。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

上の記事によると、タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この「結末」まで忠実に劇中で再現されるのかどうかはさておき、この事件を題材にした映画が製作されます。
むろん、ロシア海軍側(大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」)視点で。


ただし、上の記事によると、艦内での撮影は、同型の大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」を使って行われるようです。
12-0709c.jpg

記事中に登場するバサルギン灯台は、ウラジオストクの南東端に位置しています。
12-0709d.jpg

12-0709a.jpg

ロシア海軍は2012年に約10隻の水上艦艇を受け取る

『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦国防省報道サービス・情報管理部発表
【海軍総司令部は2012年に水上艦艇を補充及び更新する】

2012年末までの海軍の為の軍事産業複合企業の作業により、約10隻の異なるクラスの水上艦艇及び異なる用途の支援船の建造の完了が計画される。

それは、「コルベット」級の艦小型砲艦シリーズ基地掃海艦特殊用途艇揚陸艇、最新の水路測量船及び水路測量艇、数隻の泊地曳船、そして海洋曳航船である。

7月には、プロジェクト11661Kロケット艦「ダゲスタン」が国家受領試験を終え、海軍へ引き渡される予定である。

更に続いて、約15隻の異なるクラスの水上艦及び潜水艦が建造される。
それは、原子力水中巡洋艦プロジェクト955シリーズの「ウラジーミル・モノマーフ」有翼ミサイル原子力水中巡洋艦プロジェクト885Mのトップである「カザン」、2隻の非核動力潜水艦「ノヴォロシースク」「ロストフ-ナ-ドヌー」、3隻のプロジェクト11356フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」「アドミラル・マカロフ」コルベットシリーズの「ソヴェルシェンヌイ」大型揚陸艦「イワン・グレン」プロジェクト21631小型ロケット艦のトップ「グラード・スヴィヤージスク」、2隻のプロジェクト21631小型ロケット艦シリーズ「ヴェリキー・ウスチョグ」と「ウグリーチ」、そして救助船「イーゴリ・ベロウソフ」である。

2012年2月には、2隻の戦闘艦:プロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」が起工された。


記事中で取り上げられている「コルベット」級の艦:プロジェクト20380「ボイキー」は、2012年に就役する予定です。
[ステレグーシチー型コルベット「ボイキー」は2012年に就役する]

プロジェクト11661Kロケット艦「ダゲスタン」は、近い内に就役する予定です。
[カスピ小艦隊に2隻の新型艦が補充される]

その他の今年(2012年)就役予定の各種艦艇及び支援船は、以下のタイプを指しているものと思われます。

・プロジェクト12700基地掃海艦(620t)
今年就役予定です。
12-0708f.jpg

・プロジェクト21820揚陸艇(280t)
既に1隻が就役しており、今年(2012年)には、ウラジオストクの造船所で建造中の同型艇が就役予定です。
12-0708g.jpg
12-0708l.jpg
12-0708k.jpg

・プロジェクト19910小型水路測量船(1,200t)
12-0708j.jpg
今年就役するのは、太平洋艦隊向けの「ヴィクトル・ファレーエフ」です。
【小型水路測量船「ヴィクトル・ファレーエフ」】

・プロジェクト19920大型水路測量艇(249.4t)
既に2隻が就役しており、今年に3隻目が就役します。
12-0708e.jpg

・プロジェクト90600泊地曳船(400t)
既に11隻が就役しており、今年は3隻が就役します。
12-0708i.jpg

・プロジェクト22030海洋救助曳航船(1,500t)
ロシア極東ハバロフスク造船所で建造中であり、今年就役予定です。
12-0708d.jpg


プロジェクト955原子力潜水艦「ウラジーミル・モノマーフ」は、2013年就役予定です。
[新世代戦略原潜ボレイ級3番艦ウラジーミル・モノマーフに電力が供給される]

プロジェクト885M原子力潜水艦「カザン」は、2009年7月24日に起工されました。
[改セヴェロドヴィンスク型原潜「カザン」起工]

プロジェクト06363非核動力潜水艦「ノヴォロシースク」「ロストフ-ナ-ドヌー」は、黒海艦隊向けに建造が進められています。
[プロジェクト06363(改キロ級)潜水艦]

3隻のプロジェクト11356フリゲートも、黒海艦隊向けです。
[プロジェクト11356M(改タルワー級)フリゲート]
[改タルワー級フリゲート「アドミラル・マカロフ」起工]

プロジェクト20380コルベット「ソヴェルシェンヌイ」は、2013年に太平洋艦隊へ配備される予定です。
12-0708n.jpg
[太平洋艦隊の為の新世代コルベットの部品が製造される]
[新世代コルベット「グロームキー」は起工された]

プロジェクト11711大型揚陸艦「イワン・グレン」は、2013年就役予定です。
[新型揚陸艦イワン・グレン]

プロジェクト21631小型ロケット艦は、カスピ小艦隊向けに建造が進められています。
[小型ロケット艦プロジェクト21631「ブヤン-M」]

プロジェクト21300S潜水艦救助船「イーゴリ・ベロウソフ」は、2014年就役予定です。
[新型救助船「イーゴリ・ベロウソフ」は2014年に就役する]
12-0708h.jpg

2月1日、プロジェクト22350フリゲート3番艦「アドミラル・ゴロフコ」と、プロジェクト20385コルベット(改ステレグーシチー型)「グレミャーシチー」が起工されました。
[サンクトペテルブルクでフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」及びコルベット「グレミャーシチー」が起工された]

ロシア太平洋艦隊水上艦はオホーツク海で防空戦闘訓練を行なった

2012年6月28日から始まったロシア太平洋艦隊(東方軍管区)大規模演習は、無事に終了しました。
[ロシア太平洋艦隊の大規模演習は成功裏に終わった]

その後、演習に参加した水上艦隊は、オホーツク海で防空戦闘訓練を行ないました。
12-0708a.jpg

12-0708c.jpg


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区発表
2012年7月7日13時09分配信
【太平洋艦隊の年次戦闘訓練には仮想敵の航空攻撃を撃退する次のエピソードが有った】

太平洋艦隊年次戦闘訓練はクライマックスを迎えた。
次のエピソードは、航空攻撃の撃退である。

伝えられる所によれば、艦船は、駐留場所へ移動する途中、仮想敵航空機の攻撃を受けた。
空中からの破壊者の役割を担ったのは、軍艦「モローズ」「コレーツ」から撃ち出されたロケット標的であった。

艦船打撃グループの防衛任務は、遠距離航空隊の航空機が通過エリアに進入し、積極的に干渉した事により複雑化した。

親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」「アドミラル・トリブツ」の電子機器の専門家は、混乱することなく、境界線上より出現し、ゾーン内に干渉してくる目標を短時間で探知、分類した。
大規模な航空打撃には、全ての乗組員の最大限の精力が必要条件である。

艦への航空攻撃の際には、自艦防衛の為、電波電子並びに熱線探知が積極的に使用された。

親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」「アドミラル・トリブツ」は、数分間の戦闘で、砲を含む全ての常備の対空防衛装置を使用し、仮想敵航空機は、規定時間内に破壊された。


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより

2012年7月6日13時44分配信
【軍の夏-2012】
今回のロシア東方軍管区・太平洋艦隊の指揮幕僚演習の纏めです。

2012年7月7日18時21分配信
【太平洋艦隊の艦は仮想敵の航空攻撃を撃退するエピソードを仕上げた】

1:56から登場する士官は、沿海地方異種兵力小艦隊司令官代理(副司令官)イリダル・アフメロフ1等海佐です。
今回の演習参加艦船部隊の指揮官もアフメロフ氏のようです。

イリダル・アフメロフは、これまでに3度に渡りアデン湾海賊対処部隊の指揮官を務めています。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

3度目のアデン湾行きは、昨年12月でした。
[「アドミラル・トリブツ」はソマリア沖へ向け出港した]

そして、今年5月3日に帰港しました。
[ロシア太平洋艦隊第7次海賊対処部隊はウラジオストクへ戻った]

ウラジオストクへ戻った後、アフメロフ氏は沿海地方異種兵力小艦隊司令官代理に就任したようです。

ちなみに、沿海地方異種兵力小艦隊司令官ヴィクトル・ソコロフ少将は、太平洋艦隊から派遣された初のアデン湾海賊対処部隊指揮官を務めています。

司令官ソコロフ少将、副司令官アフメロフ1等海佐の両名とも、アデン湾ではソマリア海賊を拘留する成果を挙げています。


上の記事中に登場する「モローズ」プロジェクト1234小型ロケット艦(ナヌチュカIII級)
「コレーツ」プロジェクト1124M小型対潜艦(グリシャV級)です。

「コレーツ」は7月1日に宗谷海峡を東進していますが、「モローズ」は、この時のロシア艦艇26隻には含まれていません。
[ロシア太平洋艦隊艦艇、宗谷海峡を東進(2012年7月1日)]

「モローズ」を含むロシア太平洋艦隊プロジェクト1234(ナヌチュカIII級)4隻は、全てペトロパブロフスク・カムチャツキーに駐留しています。
P1234-TOF.jpg

右側の「409」「モローズ」、左側の「450」「ラズリーフ」です。
12-0708b.jpg

ロシア太平洋艦隊の大規模演習は成功裏に終わった

2012年6月28日から始まったロシア太平洋艦隊(東方軍管区)の大規模演習は、無事に終了しました。
12-0707a.jpg


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区発表
2012年7月6日11時43分配信
【太平洋艦隊は、有翼ミサイルの海上目標への発射後、指揮幕僚演習を成功裏に完了した】

指揮幕僚演習は、ピョートル大帝湾エリア、タタール海峡、オホーツク海南部で実施された。
その主要目的は、艦隊の各部隊の準備状況及び異種グループ間の行動状況を点検し、ロシア連邦の極東における国家の安全を保障する事にある。
演習中の行動は、艦船及び航空機に対する国家組織の指示を受けないテロリスト、密輸、その他の違法行為を想定したものである。

太平洋艦隊からは、沿海地方、ソヴィエツカヤ・ガヴァニ、カムチャツカ地方の艦船が演習に関与した。
海洋航空隊並びに艦隊沿岸軍も積極的に使用された。
全ての演習には、太平洋艦隊所属の約40隻の艦及び艇、20隻の支援船、40機の航空機およびヘリコプター、7000名の軍人及び民間の専門家が参加した。

最初のステージは沿海地方南部であり、今年9月にウラジオストクで開催される国家間サミット「アジア太平洋経済協力会議」(APEC)の安全を保障する為、幾つかのエピソードを仕上げた。

その後、太平洋艦隊の艦船は、民間船航行の安全を保障する為の複合措置を行なった。
太平洋艦隊将兵は、水上目標に対するミサイル及び砲の発射を行ない、潜水艦を捜索し、仮想敵の空中攻撃を撃退した。

最終段階の重点は、サハリンの石油施設の安全保障であった。その一つは、アニヴァ湾エリアである。
サハリンでは、太平洋艦隊の指揮幕僚演習の次の実地段階が実施され、海軍歩兵は無防備の海岸へ上陸した。
沿海地方からサハリンへの海軍歩兵の海路移動完了後、沿岸の仮想敵の拠点を奪回する任務を指示された。

この揚陸の特性は、他に、未知の場所への上陸と、沿海地方及びカムチャツカ海軍歩兵が共同で参加した事にある。
演習の全てで、約50両の軍用車両と約500名の海軍歩兵隊員が参加した。
揚陸作戦支援は、約10隻の戦闘艦により行なわれた。

上陸時には、人工及び自然の事故の影響の排除と、人道支援に関する一連の措置が取られた。

7月の最初の10日間までに、艦隊の艦船は基地へ戻る。


ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)の指揮幕僚演習は、2012年6月28日に始まりました。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]

まず第一段階として、沿海地方(ピョートル大帝湾沖)海軍歩兵の上陸演習などが行なわれました。
[今週のロシア太平洋艦隊]

7月1日、演習参加部隊は宗谷海峡を通過しました。
[ロシア太平洋艦隊艦艇、宗谷海峡を東進(2012年7月1日)]

翌7月2日、サハリン南部アニヴァ湾で上陸演習が行われました。
[ロシア太平洋艦隊海軍歩兵はサハリン沿岸で上陸演習を行なう]
[ロシア海軍歩兵はサハリン南部で上陸演習を行なった]

7月5日には、オホーツク海で艦船機動演習が行なわれました。
[ロシア太平洋艦隊はオホーツク海で艦船機動演習を実施した]

そして7月6日、サハリン南東端に展開した地対艦ミサイル発射機から、オホーツク海南方海域へ向けてミサイル発射訓練が実施されました。
[オホーツク海南部で地対艦ミサイル発射訓練が行なわれた]

この地対艦ミサイル発射訓練が、太平洋艦隊(東方軍管区)指揮幕僚演習のフィナーレでした。


今回の指揮幕僚演習においては、ロシア太平洋艦隊第100揚陸艦旅団所属の稼働状態に在る大型揚陸艦4隻が全て出動しました。
100DKB.jpg

大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」(プロジェクト775)
12-0707b.jpg

大型揚陸艦「オスリャブヤ」(プロジェクト775)
12-0707c.jpg

大型揚陸艦「ペレスウェート」(プロジェクト775M)
12-0707d.jpg

大型揚陸艦「ニコライ・ヴィルコフ」(プロジェクト1171)
12-0707e.jpg

今回、この4隻は、海軍歩兵の輸送・揚陸のみならず、地対艦ミサイル発射機の輸送・揚陸にも従事しました。


今回の演習に参加したロシア太平洋艦隊の艦船(7月1日に宗谷海峡を東へ抜けた艦船)は、再び宗谷海峡を通過し、沿海地方へ戻る事になるでしょう。

その時には、日本国防衛省統合幕僚監部公式サイトで発表されるでしょう。

オホーツク海南部で地対艦ミサイル発射訓練が行なわれた

本日(7月6日)、オホーツク海南方海域においてロシア太平洋艦隊地対艦ミサイル部隊の発射訓練が行なわれました。
12-0706b.jpg


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区発表
2012年7月6日09時58分配信
【サハリン沿岸で対艦ミサイルの唯一無地の活動が行なわれた】

7月6日、セルゲイ・プーシキン少将が指揮する太平洋艦隊沿岸軍の年次戦闘訓練の枠内において、サハリン南東沿岸の沿岸対艦ミサイル複合体「リドゥート」並びに「ルベージ」のグループが、オホーツク海南部の異なる水上目標に向けて発射された。

標的に関する情報を航空機から受け取り、最初に数秒間隔で遠距離ミサイル複合体「リドゥート」が発射された。
それは地平線の向こう側の標的を発見し、沿岸から200㎞離れた浮上兵舎(宿泊船)を廃棄処分する役割を果たした。

「ルベージ」の電波位置特定ステーションの算定による短時間のデータ処理後、ミサイルは、約100km離れた実在目標である仮想艦へ発射された。

濃霧並びに荒れた海のエリアにおいて、ミサイルによる目標打撃の為の複雑な作業が費やされた。
気まぐれな天候にも関わらず、任務の遂行は、優れた結果を出した。

電波機器装置・対潜航空機Tu-142M3は、同エリアにおける発射管制を実施し、全ての目標の破壊を確認した。

太平洋艦隊沿岸軍の同類の部隊及び軍隊区分は、昨年のカムチャツカ沿岸における2国間指揮幕僚演習において発射を行なっている。

(ミサイル)発射を指揮したアレクサンドル・シェフチェンコ大佐によれば、短時間で沿海地方及びカムチャツカ地方から大型揚陸艦で運ばれてサハリン沿岸に展開し、作戦を行なった何基かの発射装置による今年の活動は、唯一無地であると結論できる。


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより

2012年7月6日13時32分配信
【サハリン沿岸からのミサイル複合体の発射は成功裏に終わった】
サハリン沿岸からの地対艦ミサイル「リドゥート」及び「ルベージ」発射訓練の模様です。


【沿岸対艦作戦戦術ミサイル複合体「リドゥート」】

太平洋艦隊大型揚陸艦(動画で確認できるのは「アドミラル・ネヴェリスキー」)で地対艦ミサイル「リドゥート」発射機が運ばれ、沿岸に揚陸、展開してミサイルが発射されています。


2012年6月28日から、ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)の大規模演習が行なわれています。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]

まず第一段階として、沿海地方(ピョートル大帝湾沖)海軍歩兵の上陸演習などが行なわれました。
[今週のロシア太平洋艦隊]

7月1日、演習参加部隊は宗谷海峡を通過しました。
[ロシア太平洋艦隊艦艇、宗谷海峡を東進(2012年7月1日)]

翌7月2日、サハリン南部アニヴァ湾で上陸演習が行われました。
[ロシア太平洋艦隊海軍歩兵はサハリン沿岸で上陸演習を行なう]
[ロシア海軍歩兵はサハリン南部で上陸演習を行なった]

7月5日には、オホーツク海で艦船機動演習が行なわれました。
[ロシア太平洋艦隊はオホーツク海で艦船機動演習を実施した]

そして今回、サハリン南東端に展開した地対艦ミサイル発射機から、オホーツク海南方海域へ向けてミサイル発射訓練が実施されました。
上の東方軍管区発表を読む限り、地対艦ミサイル発射機を大型揚陸艦サハリン南東沿岸まで運んで陸揚げし、そこからミサイルを発射したようです。


ロシア太平洋艦隊沿岸軍には、サハリン島及びクリール諸島に配備されている地対艦ミサイル部隊が在ります。

・第520独立沿岸ロケット-砲旅団(司令部:ペトロパブロフスク-カムチャツキー)
[サハリン]
第1036独立沿岸ロケット-砲大隊:地対艦ミサイル「リドゥート」発射機×8
第830独立沿岸ロケット-砲大隊:地対艦ミサイル「ルベージ」発射機×4
第412独立沿岸砲大隊:SM-4-1 130mm牽引砲×12

[シムシル島]
第789独立沿岸ロケット-砲大隊:地対艦ミサイル「リドゥート」発射機×4

[イトゥルプ島]
第574独立沿岸ロケット-砲大隊:地対艦ミサイル「リドゥート」発射機×4
第97独立沿岸中口径砲大隊:KCM-65 100mm砲×4


地対艦ミサイル「リドゥート」は、艦対艦ミサイル「プログレス」(SS-N-3シャドック)の地上発射タイプです。
最大射程は270kmです。
12-0706a.jpg

上の記事を読む限り、ミサイルの管制は対潜哨戒機Tu-142M3により行なわれたようです。
12-0706e.jpg


地対艦ミサイル「ルベージ」は、艦対艦ミサイル「テルミート」(SS-N-2スティックス)の地上発射タイプです。
最大射程は80kmです。
12-0706c.jpg

両タイプとも現在では旧式化しているので、太平洋艦隊の地対艦ミサイル部隊は、新型の超音速地対艦ミサイル「バスチオン」の導入が計画されています。
12-0706d.jpg
「バスチオン」は、超音速艦対艦ミサイル「オーニクス」(ヤーホント)の地上発射タイプであり、黒海艦隊の沿岸軍には既に配備されています。

ロシア太平洋艦隊はオホーツク海で艦船機動演習を実施した

12-0705a.jpg


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより
2012年7月5日13時31分配信
【太平洋艦隊艦船グループは、東方軍管区演習の枠内で機動演習任務を遂行する】

現在、太平洋艦隊艦船グループは、東方軍管区指揮幕僚演習の枠内において機動演習任務を遂行している。
これは、乗組員の為の重要な試験である。
彼らは、数か月前から、この為に勤務していた。
この任務を含め、乗組員の技量は進化する。
更に、乗員たちは、艦が煙幕を張って仮想敵から身を隠す場面で、技量を示さなければならない。
艦の対空活動は、海軍航空隊により提供される。
このように、艦隊の各部隊と、他種及び他所属の軍部隊との協調を高める事は、大規模演習の主な目標である。


2012年6月28日から、ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)の大規模演習が行なわれています。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]

まず第一段階として、沿海地方(ピョートル大帝湾沖)海軍歩兵の上陸演習などが行なわれました。
[今週のロシア太平洋艦隊]

7月1日、演習参加部隊は宗谷海峡を通過しました。
[ロシア太平洋艦隊艦艇、宗谷海峡を東進(2012年7月1日)]

翌7月2日、サハリン南部アニヴァ湾で上陸演習が行われました。
[ロシア太平洋艦隊海軍歩兵はサハリン沿岸で上陸演習を行なう]
[ロシア海軍歩兵はサハリン南部で上陸演習を行なった]

【サハリンの海軍歩兵】
アニヴァ湾上陸演習の写真です。

このサイトによると、7月2日のサハリン南部上陸演習において上陸支援を行なったのは、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦、小型対潜艦、掃海艦、駆逐艦から成る部隊との事です。
東方軍管区発表によれば、この時、「約10隻の戦闘艦」が上陸支援(艦砲射撃など)を実施しています。
つまり、ウダロイ型大型対潜艦、アリバトロース級小型対潜艦(グリシャ級)、掃海艦、駆逐艦「ブイストルイ」の合計約10隻が上陸支援を行なったという事でしょう。

駆逐艦「ブイストルイ」
12-0705b.jpg


そして今回の動画ニュースによると、太平洋艦隊の水上艦部隊はオホーツク海で機動演習を実施したとの事です。
動画を見る限り、少なくとも大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」「マルシャル・シャーポシニコフ」が確認できます。

おそらくは、7月1日に宗谷海峡を通過した艦艇の大半が参加しているのでしょう。

カスピ小艦隊に2隻の新型艦が補充される

12-0704b.jpg
『アルムス-タス』より。
【カスピ小艦隊は、2隻の将来戦闘艦を補充する】
モスクワ、7月4日(アルムス-タス)

近い内に、カスピ小艦隊の艦の編制には、ロケット艦「ダゲスタン」と、既にカスピ海へ向かった小型砲艦「ヴォルゴドンスク」が補充される。
南方軍管区広報サービスは、イタル-タス通信へ伝えた。

小型砲艦「ヴォルゴドンスク」は、本日、サンクト-ペテルブルクを去った。
ロケット艦「ダゲスタン」は、既に黒海からカスピ海への移動を実行している。

艦は、2000海里以上の海洋及び内陸水路を航行しなければならない。
「カスピ海への艦の到着は、7月後半になるでしょう」
南方軍管区は付け加えた。

広報サービスが述べたように、「ダゲスタン」へ到着したカスピ小艦隊乗組員は、国家受領試験の第3段階を行なっている。
「ヴォルゴドンスク」は既に国家試験を完了し、2011年末にロシア海軍の編制へ加入した。

プロジェクト11661ロケット艦「ダゲスタン」は、ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場で建造された。
同艦は、最大300kmまでの水上のみならず沿岸目標に対して複数のタイプの高精度ミサイルを使用できる汎用ミサイル複合体「カリブル-NK」を装備したロシア海軍で最初の艦である。

プロジェクト21630小型砲艦「ヴォルゴドンスク」(整理名「ブヤン」)の主な利点は、低い乾舷と高い操縦性により、カスピ海沿岸ゾーンのみならず、川や河口においても広範囲の任務を遂行できる事にある。

双方の艦は、「ステルス」技術を用いて建造されている。
(2012年7月4日13時16分配信)



小型砲艦「ヴォルゴドンスク」は、2011年12月20日にロシア海軍へ引き渡されました。
[アストラハン型砲艦「ヴォルゴドンスク」就役]

その後、今年6月29日にサンクト-ペテルブルク市ロシア海軍旗を授与されました。
12-0704e.jpg
そして上の記事にある通り、今日(7月4日)、サンクト-ペテルブルクからカスピ海への移動を開始しました。

ロケット艦「ダゲスタン」は、昨年から黒海で就役前の国家試験を実施していました。
[ゲパルト級警備艦ダゲスタンは今年7-8月に就役する]
[ゲパルト級警備艦ダゲスタンは2012年夏に就役できる]
[ゲパルト級警備艦ダゲスタンはカリブルの発射試験を行なった]

そして今年6月30日、黒海沿岸ノヴォロシースクからカスピ海への移動を開始しました。
12-0704c.jpg

12-0704g.jpg

ロシア黒海艦隊は2013年末までに新たな潜水艦及び警備艦を受領する?

12-0704a.jpg
『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【黒海艦隊は2013年に3隻のディーゼル潜水艦及び3隻の警備艦を受領する】
モスクワ、7月3日-ロシア通信社ノーボスチ

黒海艦隊は、2013年末までに3隻のディーゼル潜水艦及び3隻の新世代警備艦を受領する。
黒海艦隊司令官アレクサンドル・フェドテンコフ少将は火曜日に述べた。

黒海艦隊の要求に沿った水上戦闘艦は、カリーニングラード造船工場「ヤンターリ」で建造されている。
サンクト-ペテルブルクアドミラルティ連合「アドミラルティ造船所」では、黒海艦隊の為の一連の潜水艦が建造されている。

「来年末までに、ロシア黒海艦隊は、最初の新造艦を受領できるでしょう。
最初の3隻のディーゼル潜水艦と、3隻の新世代警備艦は、2013年に制式採用されるでしょう」

フェドテンコフはこう述べ、黒海艦隊情報供給課は、彼の言葉を保証した。

フェドテンコフは、彼が個人的に黒海艦隊の為の艦を建造する過程を監視しており、艦隊の為の各発注の投資に関する全ての情報を持っていると述べた。

「艦隊の更新-これは言葉だけではありません。実際に起工された艦は、(工事の)進捗率が高いです。
司令部は、6隻の潜水艦の内の3隻、そして3隻の新世代警備艦の起工に関わっております。
近い内に、私達は、これらの作業の実際の成果を見る事になるでしょう」

彼は述べた。
(2012年7月3日18時16分配信)


以前(今年5月)、黒海艦隊司令官フェドテンコフ少将は、同艦隊が2014年に新造の潜水艦及び警備艦を受領できるだろうと述べています。
[ロシア黒海艦隊は2014年に新造艦を受領する]

それが、今回の発言では、2013年末までにディーゼル潜水艦3隻+警備艦3隻を受領できるだろうという事になりました。

「カリーニングラードの造船工場ヤンターリ」では、黒海艦隊向けのプロジェクト11356M警備艦が建造中です。
現在までに3隻が起工され、更に3隻が起工される予定です。
[プロジェクト11356M(改タルワー級)フリゲート]
[改タルワー級フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィッチ」は2014年に就役する]
[改タルワー級フリゲート「アドミラル・マカロフ」起工]

警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」起工板
11356-01357.jpg


「アドミラルティ造船所」では、黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦が建造されています。
現在までに2隻が起工され、更に4隻が起工される予定です。
[プロジェクト06363(改キロ級)潜水艦]
[改キロ級潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」起工]

B-261「ノヴォロシースク」起工板
06363-261.jpg
大型ディーゼル電気推進魚雷ロケット潜水艦B-261「ノヴォロシースク」プロジェクト06363と書かれています。

B-237「ロストフ-ナ-ドヌー」起工板
06363-237.jpg
大型ディーゼル電気推進魚雷ロケット潜水艦B-237「ロストフ-ナ-ドヌー」プロジェクト06363と書かれています。

しかし、黒海艦隊向けの3隻目のプロジェクト06363潜水艦は、まだ起工されていません。
今年中にはアドミラルティ造船所で起工される予定になっていますが。


今回の記事によると、フェドテンコフ少将は、彼の艦隊の為の新造艦の建造過程を「個人的に」監視しているとの事です。

或いは、こういう発言を公にする事により、造船所に対して新造艦の早期引き渡しを促す意図が有るのかもしれません。

ロシア太平洋艦隊艦艇、宗谷海峡を東進(2012年7月1日)

『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2011年7月2日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について(7月2日)】

7月1日の午前6時から午後6時に掛けて、宗谷海峡ロシア太平洋艦隊所属の計26隻の各種艦艇が東へ通過したとの事です。

12-0703a.jpg


通過したのは、この26隻です。

スラバ級ミサイル巡洋艦011:親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」(第36水上艦師団)
ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦715:駆逐艦「ブイストルイ」(第36水上艦師団)
ウダロイI級ミサイル駆逐艦543:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」(第36水上艦師団)
ウダロイI級ミサイル駆逐艦564:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」(第36水上艦師団)
ウダロイI級ミサイル駆逐艦572:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」(第36水上艦師団)
グリシャV級小型フリゲート323:小型対潜艦「メチェーリ」(第19水上艦旅団・第11水域警備艦大隊)
グリシャV級小型フリゲート362:小型対潜艦「MPK-17」(第19水上艦旅団・第11水域警備艦大隊)
グリシャV級小型フリゲート390:小型対潜艦「コレーツ」(第19水上艦旅団・第11水域警備艦大隊)
ナヌチカIII級ミサイル護衛哨戒艇418:小型ロケット艦「イネイ」(第66小型ロケット艦大隊)
ナヌチカIII級ミサイル護衛哨戒艇450:小型ロケット艦「ラズリーフ」(第66小型ロケット艦大隊)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇924:大型ロケット艇R-14(第19水上艦旅団・第2親衛ミサイル艇大隊)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇937:大型ロケット艇R-18(第19水上艦旅団・第2親衛ミサイル艇大隊)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇978:大型ロケット艇R-19(第19水上艦旅団・第2親衛ミサイル艇大隊)
ロプチャーI級戦車揚陸艦055:大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」(第100揚陸艦旅団)
ロプチャーI級戦車揚陸艦066:大型揚陸艦「オスリャブヤ」(第100揚陸艦旅団)
ロプチャーII級戦車揚陸艦077:大型揚陸艦「ペレスウェート」(第100揚陸艦旅団)
アリゲーターIV級戦車揚陸艦081:大型揚陸艦「ニコライ・ヴィルコフ」(第100揚陸艦旅団)
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-47
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-84
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-296
フィニク級測量艦:小型水路測量船GS-404
ビヤ級測量艦:小型水路測量船GS-200
カメンカ級測量艦:小型水路測量船GS-210
モマ級測量艦:水路測量船「アンタルクチーダ」
ユグ級海洋観測艦:水路測量船「ヴィツェ-アドミラル・ヴォロンツォフ」
カシュタン級設標艦:サルベージ船KIL-168


午前6時から午後6時に掛けて通過したという事ですから、26隻が一斉に通過したわけではなく、幾つかのグループに分かれて通航したようです。

現在、ロシア太平洋艦隊の大規模演習が行なわれています。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]

この演習には、「約40隻の艦及び艇、約20隻の支援船」が参加するとの事ですから、今回、宗谷海峡を通過した「17隻の艦及び艇、9隻の支援船」は、同演習に参加しているようです。

更に、今回の大規模演習は、ピョートル大帝湾エリア、タタール海峡、オホーツク海南部の3つのステージでの実施が予定されています。
宗谷海峡を通過した26隻は、3つのステージの内の「オホーツク海南部」での演習に参加するのでしょう。


今回通過した26隻の内、ロケット巡洋艦1隻、駆逐艦1隻、大型対潜艦3隻は、第36水上艦師団の稼働状態に在る艦(ロケット巡洋艦1隻、大型対潜艦4隻、駆逐艦1隻)のほぼ全てになります。
足りないのは、ハワイへ行っている大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」のみです。
[ロシア太平洋艦隊艦船部隊は真珠湾に到着した]

第36水上艦師団には、これ以外にも重原子力ロケット巡洋艦1隻、駆逐艦3隻が所属していますが、予備役保管中或いは修理中であり、行動可能状態に在りません。
[キーロフ型原子力巡洋艦アドミラル・ラーザレフ(2011年7月)]
[駆逐艦ボエヴォイ(2011年7~12月)]
[ソブレメンヌイ型駆逐艦「ブールヌイ」近影]

今年4月下旬に実施されたロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2012」では、ロケット巡洋艦1隻、大型対潜艦3隻を出していますが、駆逐艦は出しませんでした。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2012」]


そして、大型揚陸艦4隻は、第100揚陸艦旅団の稼働状態に在る艦の全てです。
同旅団には、この4隻以外にも、大型揚陸艦「アレクサンドル・ニコラエフ」(イワン・ロゴフ型2番艦)が所属していますが、同艦は1990年代末以降予備役保管状態に置かれており、もはや行動不能です。
[イワン・ロゴフ型揚陸艦アレクサンドル・ニコラエフ(2011年7月)]
100DKB.jpg
第100揚陸艦旅団所属の4隻が一緒に海洋で行動するのは、極めて珍しい例です。


この26隻の内の何隻かは、7月2日のサハリン南部(アニヴァ、タラナイ)上陸演習に参加したようです。
少なくとも、大型揚陸艦4隻は、確実に参加しているでしょう。
この他、東方軍管区発表によれば、「約10隻の戦闘艦」が上陸支援(艦砲射撃など)を実施しています。
[ロシア太平洋艦隊海軍歩兵はサハリン沿岸で上陸演習を行なう]
[ロシア海軍歩兵はサハリン南部で上陸演習を行なった]


いずれにせよ、決して戦力が充実しているとは言い難い現在のロシア太平洋艦隊(特に沿海地方駐留の水上艦部隊)にとって、今回の行動は、ほぼ「全力全開」という事になります。


なお、上記26隻の内、小型ロケット艦「イネイ」「ラズリーフ」の2隻は、カムチャツカに駐留しています。
その2隻が宗谷海峡を東へ抜けたという事は、以前に、カムチャツカ方面から日本海へ移動していたという事になります。

ロシア海軍歩兵はサハリン南部で上陸演習を行なった

本日(7月2日)、ロシア太平洋艦隊所属の海軍歩兵部隊は、サハリン南部で上陸演習を行ないました。
[ロシア太平洋艦隊海軍歩兵はサハリン沿岸で上陸演習を行なう]
12-0702d.jpg
12-0702f.jpg
12-0702e.jpg


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区発表
2012年7月2日13時45分配信
【太平洋艦隊海軍歩兵はサハリンに上陸した】

7月2日、サハリンアニヴァ湾において、太平洋艦隊の指揮幕僚演習の次の実地段階が実施され、海軍歩兵は無防備の海岸へ上陸した。

沿海地方からサハリンへの海軍歩兵の海路移動完了後、沿岸の仮想敵の拠点を奪回する任務を指示された。
この揚陸の特性は、他に、未知の場所への上陸と、沿海地方及びカムチャツカの海軍歩兵が共同で参加した事にある。
演習の全てで、約50両の軍用車両と約500名の海軍歩兵隊員が参加した。
揚陸作戦支援は、約10隻の戦闘艦により行なわれた。

典型的な方法として、艦船打撃グループによる沿岸の敵に対する拠点確保のための鎮圧砲撃が行なわれた。
その後、空挺部隊が降下した。
同時に、グループの障害物を除去する為、戦闘ヘリコプター及び高速艇に乗った特殊偵察部隊が突入した。
上陸戦の最終段階では、主力打撃部隊である空中強襲中隊の戦闘車両が加わった。
複数の海軍歩兵中隊は、水中装甲車両で数百メートルを進み、陸地へ姿を現し、敵である東方軍管区の独立自動車化旅団との戦闘に加わった。

1時間を超え、沿岸で開始された戦闘はタラナイ村エリアの軍事射爆場へ移動し、歩兵および海軍歩兵は、全ての兵器を使用して一連の戦闘を行なった。


12-0702g.jpg
12-0702h.jpg
12-0702i.jpg

ロシア太平洋艦隊は、2012年6月28日から大規模演習を実施しています。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]

東方軍管区(太平洋艦隊)広報部発表によると、この大規模演習は、ピョートル大帝湾エリア、タタール海峡、オホーツク海南部の3つのステージでの実施が予定されています。

今回のサハリン南部での上陸演習は、実施場所から見てオホーツク海南部のステージに該当するようです。


記事中で、「沿海地方及びカムチャツカの海軍歩兵」と記されていますが、ロシア太平洋艦隊には1個旅団及び1個連隊の海軍歩兵部隊が所属しています。
現在のロシア太平洋艦隊所属の海軍歩兵は総計で2500名です。

[沿海地方]
・第155独立海軍歩兵旅団(ウラジオストク)
 第165海軍歩兵連隊
 第59独立海軍歩兵大隊
 第84独立戦車大隊
 第1484連絡海軍歩兵大隊


[カムチャツカ方面]
・クラスノダール-ハルビン赤旗2度受賞第3独立海軍歩兵連隊(ペトロパブロフスク)
 空挺強襲大隊
 海軍歩兵大隊
 砲兵大隊
 第186工兵大隊
 



上の記事を読む限り、サハリンに駐留しているロシア陸軍自動車化旅団を「仮想敵」として上陸戦闘訓練を行なったようです。

ロシア太平洋艦隊海軍歩兵はサハリン沿岸で上陸演習を行なう

2012年6月28日、ロシア太平洋艦隊の大規模演習が開始されました。
[ロシア太平洋艦隊(東方軍管区)は大規模演習を行なう]

その続報。
12-0702a.jpg


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより
2012年7月2日09時24分配信
【太平洋艦隊の大規模演習には約40隻の艦船、そして航空機が参加する】

数百名の海軍歩兵は、サハリン沿岸への上陸準備を行なう。
東方軍管区の大規模演習は、太平洋艦隊の活動段階にある。
その戦力は印象的である:演習には、約40隻の艦船、数十機の航空機およびヘリコプターが参加する。
演習の主な目的は、極東における国家安全保障の為、戦術連携行動に習熟する事にある。


この動画ニュースでは、太平洋艦隊所属の大型揚陸艦「オスリャブヤ」が登場していますから、同艦が海軍歩兵部隊をサハリン沿岸へ上陸させるのでしょう。

12-0702b.jpg


以前の東方軍管区(太平洋艦隊)広報部発表によると、この大規模演習は、ピョートル大帝湾エリアタタール海峡オホーツク海南部3つのステージでの実施が予定されています。

今回の動画ニュースで紹介されている「サハリン沿岸への上陸」は、3つのステージの内の「タタール海峡」(間宮海峡)で実施される演習を指しているようです。

6月28日には、沿海地方海軍歩兵の上陸演習が実施されています。
[今週のロシア太平洋艦隊]
これは、3つのステージの内の「ピョートル大帝湾エリア」の演習に該当するようです。

3つのステージの残る一つである「オホーツク海南部」では、どのような演習が行われるのかが注目されます。
むろん、それが公表されれば、ですが。
12-0702c.jpg

セヴェロモルスクのインド空母ヴィクラマーディティヤ(2012年6月30日)

6月8日に最初の海洋試験の為、セヴェロドヴィンスクを出港したインド空母「ヴィクラマーディティヤ」(旧ロシア海軍重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」)は、最初の試験を無事に終えました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤは航海試験の為に出航した]
[インド空母ヴィクラマーディティヤの最初の航海試験は成功裏に完了する]

6月26日、「ヴィクラマーディティヤ」は、ロシア北方艦隊の主要基地セヴェロモルスクへ到着しました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤ、セヴェロモルスク入港(2012年6月26日)]

6月30日の「ヴィクラマーディティヤ」
セヴェロモルスク基地の沖合に投錨しています。
12-0701b.jpg

12-0701c.jpg

12-0701d.jpg

12-0701e.jpg

12-0701f.jpg

飛行甲板後部には、ロシア海軍所属のKa-27ヘリコプターが駐機しています。
12-0701g.jpg

12-0701h.jpg

1991年8月の重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」(改装前の「ヴィクラマーディティヤ」)
12-0701-sev2.jpg
上の「ヴィクラマーディティヤ」と、ほぼ同じ場所に停泊しています。

「ヴィクラマーディティヤ」が停泊しているセヴェロモルスクの西方(ムルマンスク市郊外)には、ロシア海軍重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」が駐留しています。
12-0701sev.jpg

「ヴィクラマーディティヤ」の航海試験には、「アドミラル・クズネツォフ」乗員(350名程度)も参加しています。
[空母ヴィクラマーディティヤは消磁作業を行なう]
[インド空母「ヴィクラマーディティヤ」の最初の海上公試は2012年5月25日に予定されている]


「ヴィクラマーディティヤ」は、近日中に第2次航海試験へと出発し、今度は、搭載機である艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUB等の発着試験を実施します。

ただ、インド海軍MiG-29K/MiG-29KUB部隊である第303飛行隊「ブラックパンサーズ」(INAS 303 "Black Panthers")は、インド本国ハンザ航空基地に駐留しており、ここからロシア北西部まで移動する必要があります。
[インド海軍航空隊のMiG-29K飛行隊INAS 303 "Black Panthers"]
[インド海軍ハンザ航空基地INS Hansa]

つまり、「ブラックパンサーズ」の到着を待ってから第2次航海試験を実施するという事でしょう。
その為、「ヴィクラマーディティヤ」は、ロシア北方艦隊海軍航空隊の飛行場が有るセヴェロモルスクで待機しているのでしょう。

新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは7月29日以降に就役する?

12-0701a.jpg
『イタルタス通信』より。
【ロケット母艦「ユーリー・ドルゴルーキー」及び複合体「ブラヴァー」は、海軍記念日の後に制式採用される】
モスクワ、6月29日/ イタル-タス

ミサイル複合体「ブラヴァー」並びに正規の搭載艦である戦略用途ロケット水中巡洋艦プロジェクト955「ユーリー・ドルゴルーキー」は、近い内に海軍へ同時に制式採用される。
しかし、それは7月29日の海軍記念日までには実行されない。
ロシア連邦軍参謀本部総長ニコライ・マカロフ上級大将は、記者団に伝えた。

「私共は、ユーリー・ドルゴルーキーを海軍の戦闘編制へ加入させる予定ではありますが、それは、正確には海軍記念日の7月29日ではありません。
それは祝日であり、その後、同艦の海軍の編制への加入時期が明確になるでしょう」

マカロフは述べた。
と同時に、彼は保証した。
「如何なる場合でも、それは、近い内の同艦の国家受領航海試験の終了後に実行されます」

このように参謀本部総長は、以前の月曜日に海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ中将がサンクト-ペテルブルクで述べた「ユーリー・ドルゴルーキー」が7月29日までに海軍の編制へ加入するという声明を否定した。

参謀本部総長は、プロジェクト955原子力艦の最初のシリーズ艦である「アレクサンドル・ネフスキー」が今年に海軍の編制へ加入する事をを確認した。

「国家試験及び1度のブラヴァー発射が成功裏に行なわれたのなら、同艦は海軍の編制へ加入します」
マカロフは述べた。
(2012年6月29日09時35分配信)


そして同日(6月29日)、株式会社「統合造船業営団」社長ローマン・トロチェンコは、戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」が海軍記念日(7月29日)に引き渡されると表明しました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年6月29日11時12分配信
【統合造船業営団は海軍記念日に原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」を海軍へ引き渡す予定である】

こちらは、マカロフ将軍の発言を否定する内容です。

記事の配信時間を見れば分かりますが、上記のマカロフ将軍の発言がイタルタス通信などで報じられた直後に、トロチェンコ社長は「ユーリー・ドルゴルーキー」の海軍記念日(7月29日)引き渡しを表明しています。
(記事の配信時間はモスクワ時間)



[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

「ボレイ」級戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」の7月29日(海軍記念日)までの就役については、これまでに造船業界関係者、ロシア海軍総司令官が明言しています。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは7月末までにロシア海軍へ就役する]
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは7月29日までにロシア海軍へ就役する]


そして上記の通り、ロシア連邦の造船業界のトップである「統合造船業営団」社長ローマン・トロチェンコも、マカロフ将軍と同じ日(マカロフ将軍の記者会見から数時間後)、「ユーリー・ドルゴルーキー」は7月29日(海軍記念日)までに就役すると発言しました。


「ボレイ」級のトップ艦「ユーリー・ドルゴルーキー」と最初のシリーズ艦「アレクサンドル・ネフスキー」は、7月に海洋試験を実施します。

『イタルタス通信』より。
2012年6月26日15時39分配信
【2隻の「ボレイ」級潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」及び「アレクサンドル・ネフスキー」は、双方とも7月に海洋試験を実施する】

「ユーリー・ドルゴルーキー」は、海軍へ引き渡す前の最終点検を、「アレクサンドル・ネフスキー」は、2度目の工場航海試験(1度目は昨年11月に実施)を実施します。


6月28日、ロシア連邦第1国防次官アレクサンドル・スホルコフは、戦略原潜「アレクサンドル・ネフスキー」が今年末までに就役すると述べています。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年6月28日12時13分配信
【原子力潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」は今年末までの制式採用が計画されている】

「アレクサンドル・ネフスキー」は6月21日から航海試験に出発しており、8月1日、国家試験委員会が同艦の必要な試験プログラムは全て完了したか否かを判断します。


弾道ミサイル「ブラヴァー」発射試験の為に白海へ出航したK-535「ユーリー・ドルゴルーキー」(2011年10月26日)
12-0701-535.jpg

K-550「アレクサンドル・ネフスキー」の第1次工場航海試験(2011年11月5日)
12-0701-550.jpg