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ロシア海軍、ベリエフA-42対潜水陸両用機を採用?

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【国防省は2012年に対潜航空機作成の為の入札を公布する】
ゲレンジク、9月7日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア連邦国防省は、(ロシア)海軍の兵器として使用されているIl-38を代替する対潜航空機作成の為の入札を今年末に公布する。
「ベリエフ記念タガンロク航空科学技術複合体」総取締役ヴィクトル・コブゼフは記者団に伝えた。

「私共が開発した航空機A-42になるでしょう。
国防省は、ようやく技術的目標を形成し、そして、遠距離航空対潜複合体を作成する開発者全てにそれを提示しました。
私共は、それに取り組んでおり、今年末の国防省の入札に参加する意向を有しております」

コブゼフは、ゲレンジクの展示会「ギドロアヴィアサロン-2012」において、こう述べた。
(2012年9月7日13時53分配信)


【株式会社「G.M.ベリエフ記念タガンロク航空科学技術複合体」公式サイト】

ベリエフが開発した水陸両用機A-42は、ソ連邦時代末期に開発されたA-40「アリバトロース」の改良型です。

A-40「アリバトロース」
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A-40「アリバトロース」は、ベリエフBe-12対潜飛行艇などの代替として1980年代に開発されましたが、ソ連邦解体後の財政難により、試作機が2機製造されただけに終わりました。


A-42は、元々A-40捜索救助型として開発されましたが、今回、対潜哨戒機型ロシア海軍へ採用される可能性が出てきました。
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今回の記事によると、今年末にロシア国防省による対潜航空機の入札が行なわれるとの事ですが、おそらく、ベリエフ以外に入札に参加できる企業は無いでしょう。

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現用のロシア海軍対潜哨戒機-イリューシンIl-38などは、水陸両用機A-42で代替される事になるようです。
[ロシア北方艦隊は近代化された対潜哨戒機Il-38Nを受領した]


この他、ロシア国防省は、水陸両用機ベリエフBe-200を購入する計画です。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年9月7日14時17分配信
【国防省は14億ルーブルで8機のBe-200の購入を計画する】

2014年から2016年に掛け、8機の水陸両用機ベリエフBe-200が導入されます。
この内2機はロシア非常事態省用の機体、4機はロシア海軍の捜索救助機、そして2機はロシア海軍「特殊任務機」です。

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なお、ロシアで「飛行艇」は「Летающая Лодка」と言いますが、ベリエフA-40、A-42、Be-200など(ロシア海軍現用機のBe-12も含む)は「水陸両用飛行機」Самолёт-Амфибияであり、「飛行艇」とは違います。

ポンプジェット潜水艦アルローサはスペインのセウタ港を出港した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍南方軍管区広報サービス発表
2012年9月6日17時16分配信
【潜水艦「アルローサ」及び救助曳船「シャフテル」はスペインのセウタ港を去った】

本日(9月6日)、潜水艦「アルローサ」及び救助曳船「シャフテル」は、スペインセウタ港停泊地を去り、黒海海峡へ進路を取った。
停泊中に水と食料は完全に補充され、乗組員は休養の機会を得た。

黒海艦隊艦船の移動はバルト海から開始され、バルト艦隊救助曳船SB-921は、クロンシュタットからスペインまで「アルローサ」に同行した。

地中海において潜水艦及び曳船は、合同で一連の特殊任務を果たす。

常駐基地であるセヴァストーポリへの彼らの到着は、9月20日以降の予定である。


[ポンプジェット潜水艦アルローサ(旧ブログ)]

潜水艦「アルローサ」は、2011年6月にスペインでの国際演習に参加した後、バルト海クロンシュタットへ回航され、オーバーホールが行なわれました。

そして8月下旬にクロンシュタットを出港し、母港セヴァストーポリへ向かいました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサは黒海へ戻る]
[ポンプジェット潜水艦アルローサは英仏海峡を通過した]

9月4日、ジブラルタル海峡を通過し、スペイン領セウタへ入港しました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサはスペインのセウタを訪問した]

クロンシュタットからセウタまで「アルローサ」にはバルト艦隊救助曳船SB-921が同行していましたが、セウタで黒海艦隊の救助曳船「シャフテル」と交代しました。

ロシア海軍向けミストラルの揚陸艇は検討されている

9月初頭、ロシア海軍向けのヘリコプター空母「ミストラル」型に搭載する揚陸艇は未だに決まっておらず、宙に浮いたままであると報じられました。
[ロシア海軍向けミストラルの搭載艇は決まっていない]

しかし、ロシア防衛産業企業体の関係者は、この報道を否定しました。


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【防衛産業企業体はミストラルの為の揚陸艇を見出している】
2012年9月6日

ロシア海軍の為にフランスで建造されるヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」には、戦車揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」及びプロジェクト21820「ジュゴン」を搭載できる。
ロシア防衛産業企業体の情報提供者は『インタファクス』に伝えた。
「(揚陸)艇に関する問題は、絶対にこじつけです」
以前のメディア報道によると、国防省「ミストラル」に適合した揚陸艇を見出していない。

代理人によると、揚陸艇「セルナ」及び「ジュゴン」の重量と寸法は、完全に「ミストラル」に適合している。

更に、防衛産業企業体の代理人は、何らかの原因により「ミストラル」の建造は遅延するかもしれないが、それは揚陸艇に関する問題によるものではないと説明した。

「ヘリコプター揚陸ドック艦の為の揚陸艇の種類の選択問題に関し、急ぐ必要はありません。
我々には、良い選択をする為の充分な時間が有ります」

彼は述べた。

彼によると、加えて、フランス製揚陸艇に関する提案が検討されている。
特に、ロシア兵器輸出公社及び国防省は、フランス造船会社DCNSと交渉を行なっている。

以前、『イズベスチヤ』紙は、防衛産業企業体の情報提供者の談話を引用し、ロシア軍当局は、ロシアヘリコプター空母へのフランス製三胴揚陸艇プロジェクト「L-CAT」の搭載を、理由を説明せずに拒否したと報じた。
しかし、当初「ミストラル」への搭載を予定していたロシアエアクッション揚陸艇プロジェクト12061「ムレナ」は、ヘリコプター空母のドックに収まらない事が判明した。

揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」の全長は25.8メートルに達し、排水量は61トンである。
艇は、1両の戦車或いは2両の装甲歩兵戦闘車(もしくは装甲車両)、または最大で92名の海軍歩兵を沿岸まで輸送できる。

「ミストラル」での揚陸艇「セルナ」使用については、以前に海軍軍備の専門家ウラジーミル・シチェルバコフ氏が『イズべスチア』紙で述べている。

戦車揚陸艇プロジェクト21820「ジュゴン」の全長は45メートルに達し、排水量は280トンである。
これは、3両の戦車もしくは5両の歩兵戦闘車/装甲車、或いは最大で140トンの貨物を輸送できる。

ロシア海軍の為の2隻のヘリコプター空母「ミストラル」は、2011年6月のロシア-フランス間の12億ユーロの契約の枠組で建造される。
最初の艦は2014年に完成し、2隻目は2015年である。
オプション契約により、他に2隻の艦がロシアの造船所で建造される。

各々の「ミストラル」の航空グループは、8機の襲撃ヘリコプターKa-52Kと8機の戦闘輸送ヘリコプターKa-29で構成される。


[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]

というわけで、今回の記事によると、ロシア海軍向けのヘリコプター空母「ミストラル」型には、プロジェクト11770「セルナ」及びプロジェクト21820「ジュゴン」の2種類のロシア製揚陸艇の搭載が考慮されているとの事です。

揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」は、1994~2010年までに、ニジニ・ノヴゴロド市「ヴォルガ造船工場」で7隻、ウラジオストク市「東方造船所」で1隻が建造され、カスピ小艦隊に4隻、黒海艦隊に1隻、バルト艦隊に1隻、太平洋艦隊に1隻が配備されています。
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今回の記事で新たに名前が出てきた揚陸艇プロジェクト21820「ジュゴン」は、2006~2012年に、ニジニ・ノヴゴロド市「ヴォルガ造船工場」で1隻、ヤロスラヴリ市「ヤロスラヴリ造船工場」で2隻、ウラジオストク市「東方造船所」で1隻が起工されており、この内「ヴォルガ造船工場」で建造されたD-105「アタマン・プラトフ」が2010年に就役し、カスピ小艦隊へ配備されています。

今年(2012年)には、「東方造船所」で建造中の「イワン・カルツォフ」(2010年起工)が就役する予定です。
更に、「ヤロスラヴリ造船工場」でも今年中にもう1隻が起工される予定です。
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[ロシア海軍は2012年に約10隻の水上艦艇を受け取る]


加えて今回の記事では、フランス海軍「ミストラル」型に搭載されているカタマラン(双胴型)揚陸艇L-CATの導入も検討され、ロシア-フランス間で交渉が進められている事が明らかにされました。
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ただ、今回の記事に登場する「防衛産業企業体の情報提供者」は、ロシア海軍向け「ミストラル」の搭載揚陸艇の選定について急ぐ必要は無いとも発言しています。


これまでの報道を読む限り、ロシア海軍「ミストラル」型ヘリコプター空母としての運用がメインになるようなので、揚陸艇ヘリコプターよりも優先順位が低いのでしょう。
[艦載ヘリコプターKa-52K試作機の製造が開始された]
[ロシア海軍は艦載ヘリコプターKa-27Mを発注する]

新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは11月に国家受領試験を行なう

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『アルムス-タス』より
【原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の国家試験は11月に実施される】
モスクワ、9月4日(アルムス-タス)

第4世代多用途原子力潜水艦プロジェクト885「ヤーセン」級のトップ艦「セヴェロドヴィンスク」は、今年11月に海洋で国家受領試験を行ない、その結果、国家委員会は12月にロシア海軍の編制への潜水艦の加入証書に署名しなければならない。
本日、ロシア連邦政府軍事産業委員会の情報提供者は、イタル-タスに伝えた。

「現在、セヴェロドヴィンスクは、海洋での工場航海試験の次の段階である魚雷発射管の計画試射を行なった後、セヴマシュに居ます。
9月中旬、同艦は、工場航海試験を継続する為、今年4回目となる海洋への出航を行ないます。
原子力潜水艦の国家受領試験は11月に予定されており、その結果、12月に国家委員会は同艦の海軍の編制加入証書に署名しなければなりません」

情報提供者は話した。

「これは、新たな加圧水型原子炉と1基のタービンを有する1軸原子力潜水艦です」
彼は説明した。

「セヴェロドヴィンスクの武装として、既に飛翔距離2500km以上の超音速有翼ミサイル"カリブル"の3つのシリーズが生産されています」
情報提供者は述べた。
「ミサイルは、核もしくは通常弾頭を装備し、軌道及び高度を変更しながら水上或いは沿岸の目標へのコースを進み、ミサイルから分離した後の弾頭の速度は、更に増加し、極超音速に近づきますが、到達する事はありません。
これは、主として航空母艦に対処する為に設計された高精度・超高速兵器であります」

彼は述べた。

情報提供者は、国防省及び統合造船業営団が署名した契約は、2020年までの国家軍備プログラムに従っている事を確認した。
総計して、近代化・改良されたプロジェクト885Mを含む7隻の「セヴェロドヴィンスク」型原子力潜水艦が建造される。
同プロジェクト(885M)最初のトップ艦「カザン」は、「セヴマシュ」で建造段階に在る。
「カザンの強化船体は、高い進捗度に在ります」
防衛産業企業体の情報提供者は、建造過程について説明した。
(2012年9月4日16時31分配信)


[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

8月13日、ロシアの一部メディア(インタファクスなど)で、新世代多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」の試験が失敗したと報じられました。
[新型多用途原潜セヴェロドヴィンスクの試験は失敗した]

しかし、ロシア造船業の総元締めである「統合造船業営団」は、公式にこの情報を否定しました。
[新型多用途原潜セヴェロドヴィンスクの試験失敗という報道は事実ではない]
[新型原潜セヴェロドヴィンスクの動力に問題は無い]
【2012/08/15 覚え書き(「原子力潜水艦セヴェロドヴィンスク」のインタファクス誤報の件)】


今回の記事によると、「セヴェロドヴィンスク」は9月中旬に今年4回目の工場航海試験を実施し、11月には、国家受領試験を行なうとの事です。

「国家受領試験」というのは、国防省海軍の関係者から成る国家委員会の立会いの下で行なわれる航海試験です。

試験の結果、国家委員会が合格と認めれば、艦は海軍への引き渡しが可能となります。

ちなみに、同じ新世代の戦略原潜である「ユーリー・ドルゴルーキー」は、既に国家委員会により合格と認められているようです。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2012年9月に就役する]


記事中で原潜「セヴェロドヴィンスク」の兵装として名前が挙げられている有翼ミサイル「カリブル」は、対地攻撃型、対艦攻撃型、対潜攻撃型の3タイプが在ります。
より正確には、対地攻撃型は亜音速で射程距離2500km。
対艦攻撃型は射程距離375km、飛翔週末段階で弾頭が分離、超音速で目標へ突進します。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

現在、ロシア連邦「2011-2020年までの国家軍備プログラム」に沿って新規の兵器調達を行なっていますが、この軍備プログラムにおいて、「セヴェロドヴィンスク」型原子力潜水艦は7隻調達されるようです。
[ロシア海軍は2021年までに多用途原潜ヤーセンを7隻保有する]


ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2020年までに16隻の多用途潜水艦ロシア海軍へ就役すると述べています。
[ロシア海軍は2020年までに51隻の新型水上艦と24隻の新型潜水艦を取得する]


「16隻の多用途潜水艦」は、原子力潜水艦非核動力潜水艦の両方を含みますが、この内の7隻が「セヴェロドヴィンスク」型になるようです。

ポンプジェット潜水艦アルローサはスペインのセウタを訪問した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍南方軍管区広報サービス発表
2012年9月4日13時21分配信
【黒海艦隊の潜水艦及び同行する補助船は、スペインのセウタ港へ来訪した】

計画修理を終えた後にクロンシュタットからセヴァストーポリへ向かう黒海艦隊ディーゼル潜水艦「アルローサ」と、同行するバルト艦隊救助曳船SB-921は、業務寄港の為、スペインセウタ港へ到着した。
ここで2艦隊の艦船支隊には、黒海艦隊救助曳船「シャフテル」が加わる。

潜水艦及び保障船の停泊期間中に、必要な物資を完全に補充し、乗組員の為の休養が用意される。
その後、艦船支隊は編成替えされ、「アルローサ」には救助曳船「シャフテル」が同行し、艦隊間移動の次の段階である地中海から黒海への移動が開始される。


[ポンプジェット潜水艦アルローサ(旧ブログ)]

潜水艦「アルローサ」は、2011年6月にスペインでの国際演習に参加した後、バルト海クロンシュタットへ回航され、オーバーホールが行なわれました。

そして8月下旬にクロンシュタットを出港し、母港セヴァストーポリへ向かいました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサは黒海へ戻る]
[ポンプジェット潜水艦アルローサは英仏海峡を通過した]
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これまで「アルローサ」にはバルト艦隊救助曳船SB-921が同行していましたが、セウタ黒海艦隊救助曳船「シャフテル」と交代します。

ロシア海軍向けミストラルの搭載艇は決まっていない

『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【メディア:「ミストラル」は揚陸艇が無いままである】
2012年9月3日

ロシア軍フランスDCNS社は、ヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」型を完成させる為の重要なセグメントの一つにおいて折り合いが付く可能性が無い。
状況に精通しているロシア防衛産業企業体の代理人は『イズベスチヤ』に伝えた。

ロシア国防省は、DCNS社からの「ミストラル」に搭載される揚陸艇の提供を断った。

「フランスは、ロシア海軍のヘリコプター空母へ揚陸艇L-CAT型(フランスのCNIM社が開発)を搭載する事を提案したのです。
しかしロシア軍首脳部は、理由を説明せず、この案を拒否しました」

情報提供者は話した。

海軍総司令部は、「ミストラル」のレイアウトについての最終決定は下されていないと説明した。
「全ては、日ごとに変更されております。
プロジェクトは、当初に承認された計画の枠組内で実行されます。
しかしながら、その内容については機密事項であります」

海軍の代理人は説明した。

L-CATは、最新のカタマラン(双胴型)「水中ゴム引布」型船(空中キャビテーション原理に基づいて動く)であり、2011年1月にフランス海軍の軍備として採用された。
「ミストラル」は、エアクッション揚陸艇LCAC型(アメリカベル·エアロスペース社が開発)を搭載できるが、フランスでは、このクラスの船は生産されていない。

ロシア防衛産業企業体の代理人によると、フランスの提案に対するロシアの代替案は存在しない。
彼によると、最初の2隻のヘリコプター空母の建造契約の締結直前、ロシア国防省は、プロジェクト12601エアクッション揚陸艇「ムレナ」(サンクトペテルブルク「アルマーズ」中央設計局が開発)を搭載できるように輸送ドック艦を再設計する事をフランスの造船所へ提案した。
しかし、「ムレナ」の幅と全高は、L-CAT及びLCACよりも大きく、ドックに収める事は出来ない。

「艇を再設計した場合、寸法を小さくすればドックに収容できますが、それは積載量を減らす事になります。
現在、この艇はT-72戦車を輸送できるのですが」

海軍軍備の専門家ウラジーミル・シチェルバコフは説明した。

中央設計局「アルマーズ」設計主任コンスタンチン・ゴルベフは、「ムレナ」設計変更の問題について話した。
「研究の必要性について解決する事は出来ません」
彼は、「ムレナ」の建造が終了している事を想起させた。
同型艇の最後の3隻は、2005年から2006年に大韓民国へ輸出されたと『イズべスチア』は記した。

シチェルバコフによると、代替案として、「水上滑走」型高速揚陸艇プロジェクト11770「セルナ」(ニジニ·ノヴゴロドアレクセーエフ記念中央設計局が開発)が使用されるかもしれない。
これは、「ミストラル」に少なくとも2隻を配置できる。

「ですが、ロシア製ヘリコプターKa-27が格納庫に収まらない事や、Ka-52がエレベータに載せられない事が判明した時のようなミストラルの航空グループの話を繰り返さないように、入念な試験が必要です」
専門家は述べた。

シチェルバコフは、加えて、艦を完成させる為に未解決の問題が複数存在し、それら全ての件は、2012年9月末のロシア連邦国防長官第1代理アレクサンドル・スホルコフフランス訪問中に討議される事になると述べた。

『ヴィズグリャード』紙が報じた所によると、2隻の「ミストラル」フランスで建造する為のモスクワ-パリ間の契約は、昨年6月に署名された。
契約額は、12億ユーロである。

ロシア海軍の為の最初のヘリコプター空母は、2月初頭に起工された。
同艦は、2014年にロシアへ引き渡される予定である。
ロシア海軍は、2隻目の「ミストラル」を、2015年に取得するだろう。

最初の「ミストラル」は、「ウラジオストク」及び「セヴァストーポリ」と命名される。
更に、全ての「ミストラル」は、超音速有翼ミサイルを含むロシア最新の打撃及び防衛兵器システムを設置する。

8月上旬、ロシアは「ミストラル」の為の艦載ヘリコプターKa-52Kの最初の試作機の製造を開始したと報じられた。

ロシア海軍ドック艦「ミストラル」型の乗員となる士官及び水兵は、2013年に選抜されて集められる。

5月、アメリカ合衆国議会の調査機関は、アメリカおよびNATOに加入するバルト諸国は、ロシアへの「ミストラル」供給契約の締結を懸念していると報告した。


[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]


フランス海軍「ミストラル」型に搭載される揚陸艇の寸法

[L-CAT]
全長:30m
幅:12.8m
吃水:0.6m

[LCAC-1級]
全長:26.4m
幅:14.3m



今回の記事に登場するロシア海軍揚陸艇の寸法

[プロジェクト12601エアクッション揚陸艇「ムレナ」]
全長:31.3m
幅:14.6m
吃水:0.8m
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[プロジェクト11770揚陸艇「セルナ」]
全長:25.8m
幅:5.8m
吃水:0.42m

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というわけで、確かに「ムレナ」は、L-CATLCAC-1よりも少し大きいです。

「ムレナ」の積載量は約50トンであり、(50tまでの)戦車1両、或いは2両の装甲車輌、或いは140名の海軍歩兵を積載できます。
『アルマーズ造船所』公式サイトより
【揚陸艇プロジェクト12061「ムレナ」】

「セルナ」の積載量は約45トンであり、(45tまでの)戦車1両或いは2両の装甲車輌、或いは92名の海軍歩兵を積載できます。


「ムレナ」は既にロシア海軍から退役しておりますが、「セルナ」は、カスピ小艦隊に4隻、黒海艦隊に1隻、バルト艦隊に1隻、太平洋艦隊に1隻が在籍しております。
太平洋艦隊に配備された1隻はウラジオストクで、それ以外の7隻はニジニ・ノヴゴロドで建造されました。

太平洋艦隊所属のD-107(2010年就役)
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ただ、ロシア海軍「ミストラル」太平洋艦隊北方艦隊に配備される計画ですから、仮に「セルナ」を搭載するとなると、カスピ小艦隊、黒海艦隊、バルト艦隊から掻き集めるか、或いは、ウラジオストク及びニジニ・ノヴゴロドの造船所で追加建造する必要が有ります。
「セルナ」「ミストラル」に2隻を搭載出来るとの事ですから、「ミストラル」を4隻導入するのならば、8隻が必要になります。

ただ、「セルナ」を搭載するというのは、あくまでもロシアの軍事専門家ウラジーミル・シチェルバコフ氏個人の意見であり、ロシア軍当局としては、「ミストラル」を設計変更してでも「ムレナ」の搭載を希望したが実現は不可能であり、フランス製揚陸艇L-CATを導入する気も無く、搭載艇に関しては、あまり重要視していないようです。


記事中の「全てのミストラルは超音速有翼ミサイルを含むロシア最新の打撃及び防衛兵器システムを設置する」というのは、この事です。
[ロシア海軍向け「ミストラル」型には巡航ミサイル、対空・対潜ミサイルなどが装備される]
[ロシア海軍向け「ミストラル」型はロシア製兵器を装備する]

空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海へ出航した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍西方軍管区広報サービス発表
2012年9月3日15時14分配信
【重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は艦上航空隊の飛行準備を行なう】

重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、艦上航空隊の飛行訓練の為、バレンツ海へ出航した。

戦闘機Su-33の飛行活動を保障する為の複合習熟任務として、艦の磁場測定、更には、全ての複合体の動作状況の点検を含む作業が行なわれる。

更には、生残性の為の計画艦内演習、通信、更には、船舶及び漁船が集中するエリアにおける機動訓練が予定される。

重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」乗組員の為の今回の海洋航海は、北方艦隊の水上艦部隊、潜水艦部隊、海洋航空隊及び沿岸軍が関わる今後の複合訓練活動の為の事前の準備段階である。


[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]

「アドミラル・クズネツォフ」は、2011年12月6日に大西洋地中海への遠距離航海へ出航し、2012年2月16日に帰港しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ地中海遠征2011-2012]

この間、2012年1月8日にはシリアタルトゥースへ入港しています。
[ロシア空母「アドミラル・クズネツォフ」、シリアに入港]

帰港後はムルマンスクの艦船修理工場でオーバーホールを行ない、2012年8月23日に艦隊へ復帰しました。
[空母アドミラル・クズネツォフはオーバーホールを終えた]

以前、ロシア北方艦隊広報部は、「アドミラル・クズネツォフ」と、その他の北方艦隊の水上艦や潜水艦などが参加する大規模演習を行なうと発表しました。
[8月に空母アドミラル・クズネツォフと原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーが参加する大規模演習が行なわれる]

この時には、8月中に実施すると言われましたが、予定よりも1ヶ月ほど遅れて実施されるようです。

ロシア海軍リムパック参加部隊は帰港した

本日(9月3日)、環太平洋演習「リムパック-2012」に参加したロシア海軍部隊ウラジオストクへ帰港しました。

ウラジオストク港内へ接岸する大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍・東方軍管区広報サービス部発表
2012年9月3日11時06分配信
【太平洋艦隊艦船は遠距離航海から戻った】

本日(9月3日)午前、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、海洋救助船「フォーチィ・クリロフ」、給油船「ボリス・ブートマ」で構成され、セルゲイ・ソボカリ1等海佐が指揮する太平洋艦隊艦船支隊は遠距離航海を完了した。

ウラジオストクにおいて、艦船支隊は、軍楽隊の演奏と共に沿海地方異種戦力連合小艦隊司令官ヴィクトル・ソコロフ少将、太平洋艦隊司令部の代表、(ロシア正教会の)ウラジオストク管区、親類及び海軍将兵の僚友に出迎えられた。

第44係留所に停泊した後、祝賀会が開かれ、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」艦長ピョートル・ポドコパイロ1等海佐、給油船及び救助曳船の船長は、伝統的な子豚の丸焼きを受け取った。
遠距離航海及び国際演習の功績ある参加者は、連合部隊司令官より賞品と賞状を受け取った。

支隊は艦隊主要基地を6月13日に去り、6月29日から9月3日までの航海中にロシア海軍将兵は、ハワイ諸島エリアにおける国際演習「リムパック-2012」へ初めて参加した事が想起される。

演習における最も華々しいエピソードは、僚友であるアメリカの対テロリストグループと共に小型の高速目標に対する砲射撃を行ない、アメリカ空母「ニミッツ」の甲板にロシアのヘリコプターが着艦し、更には、「リムパック」に参加した全ての共同指示下のスタッフを写真撮影した事である。

祖国の海岸への航路において、支隊の艦船は日本舞鶴港を業務訪問した。

長い航海の全てにおいて、支隊の艦船は3ヶ月間の殆どは海上に在り、10000海里以上を航行した。


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより
2012年9月3日09時12分配信
【太平洋艦隊の戦闘艦船は演習「リムパック-2012」の後に祖国の基地へ戻った】


大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、海洋救助船「フォーチィ・クリロフ」、給油船「ボリス・ブートマ」の3隻は、ハワイ沖で実施された環太平洋演習「リムパック-2012」に参加しました。
[ロシア太平洋艦隊は環太平洋演習リムパック-2012に参加する]
[ロシア太平洋艦隊は環太平洋演習リムパック-2012参加準備を終えた]
[ロシア太平洋艦隊艦艇部隊は環太平洋演習リムパック-2012へ参加する為にハワイへ向かった]
[ロシア太平洋艦隊艦船部隊は真珠湾に到着した]

その帰路に、日本の舞鶴港を訪問しました。
[ロシア海軍艦船は日本の舞鶴を訪問する]
[ロシア海軍艦船は舞鶴へ入港した]

9月1日に舞鶴を出港した艦船支隊は、9月3日にウラジオストクへ帰港しました。


左は沿海地方異種戦力連合小艦隊司令官ヴィクトル・ソコロフ少将、
中央が艦船支隊指揮官セルゲイ・ソボカリ1等海佐、
右は大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」艦長
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沿海地方異種戦力連合小艦隊司令官ヴィクトル・ソコロフ少将(右)から賞状を受け取る乗組員
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遠距離航海を無事に終えた証である「子豚の丸焼き」を受け取る艦長達
右が大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」艦長、左は給油船「ボリス・ブートマ」船長)
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コルベット「ソーブラジテルヌイ」で火災が発生した

2012年9月2日、バルト海を航行中のコルベット「ソーブラジテルヌイ」で火災が発生しました。
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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より。

2012年9月2日配信
【バルト海の緊急事態:「ソーブラジテルヌイ」は火災の結果、航行せずに残留した】

コルベット「ソーブラジテルヌイ」は、機関室で火災が生じた為、バルト海西部へ航行せずに残留した。

『中央海軍ポータル』が得た情報によると、乗員は火災に対処し、各個の機器を消火する為の措置の結果として、水浸しになり、速力を失った。
死亡或いは負傷した人員は居ない。

未確認情報によると、火災の原因は、配電線の短絡に対する乗組員の誤った行動である。
火災は、排煙路で発生した。

乗員は、火災の排除に1時間以上を要した。
『vesti.ru』が報じた所によると、演習指揮官でデンマークの作業グループ指揮官のエーゲ・ビュー・ジェンセン大佐は、「ソーブラジテルヌイ」は、火災の為、9月3日・月曜日から始まる国際海軍演習「ダネックス-2012」に参加できないと表明した。

「ソーブラジテルヌイ」は、株式会社「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」で建造された。
サンクトペテルブルク市の同工廠造船台で2003年5月20日に起工され、2010年3月31日に進水した。
艦長アレクサンドル・テレポフ2等海佐に率いられる「ソーブラジテルヌイ」乗組員は、2011年初頭に艦へ乗り込んだ。
国家受領試験は2011年7月29日から始まった。海軍への納入は2011年10月14日に行なわれた。
同日、艦への海軍旗初掲揚を祝う式典が開催され、海軍総司令官の指示により、バルチースクに駐留するバルト艦隊水上艦部隊の編制へ加入した。

2012年7月29日の海軍記念日、コルベット「ソーブラジテルヌイ」は、親衛称号を授与され、乗組員は、新たな戦闘旗-親衛海軍旗を手渡された。

「ソーブラジテルヌイ」は、プロジェクト20380・2等多用途近海ゾーン艦の2番艦である。
戦闘編制には、この他にコルベット「ステレグーシチー」が在る。
続く生産艦は、「ボイキー」「ストイーキー」「グレミャーシチー」と名付けられている。

[プロジェクト20380コルベットの簡単な戦術-技術特性]
満載排水量-2100トン
主要寸法:全長-104.6メートル、幅-13メートル、吃水-3.7メートル
最大速力-27ノット
航続距離-速力14ノットで4000海里
自立行動期間-15日
動力装置-ディーゼルエンジンユニットDDA12000(11660馬力)2基、ディーゼル発電機(630kW)4基
兵装:「ウラン」対艦ミサイル発射装置2基-ミサイル8発
高射ミサイル複合体「リドゥート」-ミサイル32発
携帯高射ミサイル複合体「イグラ」-ミサイル8発
A-190 100mm砲装置1基
AK-630M 30mm砲装置2基
対潜防御発射装置「パケート-NK」2基-弾数8発
対水中工作員用擲弾DP-64
対潜ヘリコプターKa-27搭載
このクラスの艦の兵器と接続された固有の電子電波機器、水中音響機器が設置されている。
乗員:98名(士官14名を含む)



2012年9月3日配信
【「ソーブラジテルヌイ」は、まだバルチースクへ戻っていない】

国際海軍演習へ向かう途中に機関室の火災が原因で速力を失ったコルベット「ソーブラジテルヌイ」は、まだバルチースクへ戻っていない。
バルト艦隊の情報提供者は『中央海軍ポータル』に伝えた。

『中央海軍ポータル』の対談者によると、コルベットバルト艦隊主要基地へ戻ってくるだろうが、それは明日(9月4日)より前にはならない。

9月2日、国際演習「ダネックス-2012」へ向かう途中だったコルベットの機関室で火災が発生した。
乗員は火災に対処し、各個の機器を消火する為の措置の結果として、水浸しになり、速力を失った。
死亡或いは負傷した人員は居ない。

未確認情報によると、火災の原因は、配電線の短絡に対する乗組員の誤った行動である。
火災は、排煙路で発生した。

乗員は、火災の排除に1時間以上を要した。


コルベット「ソーブラジテルヌイ」は、昨年(2011年)10月に就役したロシア海軍の最新鋭艦です。
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[ロシア海軍の新型コルベット「ソーブラジテルヌイ」]
[ロシア海軍最新鋭コルベット「ソーブラジテルヌイ」]

記事中に在りますが、2012年7月29日に親衛称号を授与され、親衛コルベット「ソーブラジテルヌイ」となりました。
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「ソーブラジテルヌイ」も参加する筈だった国際演習「ダネックス-2012」は、ロシア、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、アメリカ、カナダなど20ヶ国から艦艇約40隻と航空機及びヘリコプター24機、更には民間商船10隻が参加し、9月3日から12日までバルト海で実施されます。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年9月3日01時13分配信
【国際演習「ダネックス-2012」はバルト海で開始される】

『中央海軍ポータル』(フロートコム)は、ロシア及び他国の海軍に関する各メディア報道記事や軍の公式発表を紹介していますが、今回のように、独自取材した記事を掲載する事も有ります。
ちなみに、この「ソーブラジテルヌイ」の火災に関しては、『ロシア通信社ノーボスチ』などは一切報じていません。

要するに、乗員のミスにより「ソーブラジテルヌイ」の機関室(排煙路)で火災が発生し、それを消火する為に放水したので機関室が水浸しになり、航行できなくなったという事でしょう。

就役して日が浅いので、乗員が艦に完全に慣れていなかったのかもしれません。
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ロシア第5世代戦闘機T-50(PAK FA)の海軍版が開発される?

数日前から紹介していますが、『ロシア通信社ノーボスチ』は、ロシア造船業の総元締である株式会社「統合造船業営団」の国家防衛発注部長アナトーリー・シレモフ氏へ独占インタビューを行ないました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年8月31日10時00分配信
【アナトーリー・シレモフ氏へのインタビュー】

この中でシレモフ氏は、第5世代戦闘機PAK FAロシア海軍への導入の可能性についても述べています。


インタビュアー:海軍航空隊の為のPAK FAは作られるのでしょうか?

シレモフ:この航空機の目的は、空軍の為であり、海軍の為ではありません。
しかしながら、この航空機の作成の全ての成果は、将来の海軍航空隊の航空機の為の有望な教訓となるでしょう。

海軍は、このような航空機を発注しておらず、従いまして、全ての国家努力はPAK FAへ集中されております。
この航空機が作成され、軍備として採用されたのならば、海軍の為に適応させる事は容易でしょう。
そのような特別な用語として「海に慣れる」(海の男になる)というものがあります。

海軍は、艦上航空隊の航空機集団の補充の為、艦載機MiG-29Kを購入します。



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現在、ロシア空軍の為に第5世代重戦闘機スホーイT-50 PAK FAの開発が進められています。

T-50試作1号機T-50-1(51)は2010年1月29日に初飛行し、その後、2号機T-50-2(52)と3号機T-50-3(053)が2011年に初飛行し、各種試験が行なわれています。
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今年には、試作4号機T-50-4以降が初飛行する計画です。

現在のところ、T-50は2015年からロシア空軍への本格的な配備が開始される計画です。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年8月10日11時20分配信
【ゼーリン:T-50量産機は2015年に軍備として採用される】

2012年8月10日17時05分配信
【PAK FA量産機は第5世代の新型エンジンと共に空軍へ受領される】


その後で、シレモフ氏が言う所の「海軍の為に適応した」「海に慣れた」(海の男になった)T-50が開発されるかもしれません。
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ロシア海軍は新たな航空母艦の建造を計画していますが、実際に建造に着手されるのは2020年代になります。
[ロシアは新たな駆逐艦及び巡洋艦及び空母の建造計画を続行する]

ラーダ級潜水艦の建造は2013年に再開される

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【潜水艦「ラーダ」型の建造は2013年に再開される】
モスクワ、8月31日-ロシア通信社ノーボスチセルゲイ・サフロノフ

ロシア連邦国防省海軍総司令部、そして統合造船業営団は、2013年に潜水艦プロジェクト677(整理名「ラーダ」)シリーズの建造を再開する事で合意に達した。
「統合造船業営団」国家防衛発注部長アナトーリー・シレモフ氏は、ロシア通信社ノーボスチのインタビューで、こう述べた。

「アドミラルティ造船所」における「ラーダ」プロジェクトの2隻の潜水艦-「セヴァストーポリ」「クロンシュタット」の建造は、前海軍総司令官ウラジーミル・ヴィソツキー大将が、同シリーズのトップ艦「サンクトペテルブルク」が、同プロジェクトの特性を示していないと表明した為に凍結されていた。
現総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は、以前の所見を撤回し、同タイプの潜水艦の建造を今後に再開するとロシア通信社ノーボスチに伝えた。

「私共は、これが2013年の国家防衛発注に記載される決定が下されるのを待っております。
更新された同プロジェクト潜水艦の建造開始は、来年の然るべき時期に実現します」

シレモフ氏は述べた。
(2012年8月31日10時22分配信)


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年8月31日10時00分配信
【アナトーリー・シレモフ氏へのインタビュー】


[新世代潜水艦ラーダ(アムール)級(旧ブログ)]
[新世代潜水艦ラーダ(アムール)級]

ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ提督は、7月末に「ラーダ」級潜水艦の建造再開を表明しています。
[ロシア海軍はラーダ級潜水艦の建造を再開する]

そして「統合造船業営団」総裁(つまり、アナトーリー・シレモフ氏の上司)アンドレイ・ジャチコフ氏も、8月中旬に「ラーダ」級潜水艦の建造再開を表明しています。
[ラーダ級潜水艦は近い将来にロシア海軍へ就役する]

今回のシレモフ氏へのインタビューでは、建造再開の時期に初めて言及されました。


現在、サンクトペテルブルク市「アドミラルティ造船所」では、6隻の通常動力潜水艦が建造されています。

[プロジェクト06363]ロシア海軍用
B-261「ノヴォロシースク」:2010年8月20日起工
B-237「ロストフ・ナ・ドヌー」:2011年11月21日起工
B-262「スタールイ・オスコル」:2012年8月17日起工

[プロジェクト6361]ベトナム海軍用
1番艦:2010年8月23日起工/2012年8月28日進水/2012年末就役予定

[プロジェクト667「ラーダ」級]ロシア海軍用
B-586「クロンシュタット」:2005年7月28日起工
B-587「セヴァストーポリ」:2006年11月10日起工



今のところは、プロジェクト6361及び06363の工事が優先されており、特に、6361の1番艦は今年末までにベトナムへ引き渡す予定なので、これらの作業が一段落した後に2隻の「ラーダ」級の建造工事を再開するという事でしょう。

ウラジオストク金角湾の水上艦係留所は再建される

ロシア太平洋艦隊主要基地ウラジオストク金角湾の水上艦係留所が再建されます。
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区広報サービス発表
2012年8月31日16時18分配信
【ウラジオストクの有名な係留地に戦闘艦が復活する】

ウラジオストクの係留区域及び第36水上艦師団の軍事都市の沿岸基地インフラストラクチュアの大規模な修理作業が完了する。

同地域は事実上市街中心部に位置しており、第31-34係留所の水工施設は実質的に再建設され、正面の建物は修理され、新たな通信路が敷設された。

ウラジオストクのこの場所での重要な作業には、国防省の発注により、複数の他所の組織が従事した。
係留所の再建設は、第432市街管理支所の連邦単一企業・第4地方特殊製造総管理「ロシア特殊製造」により実施され、冬期の市街用ボイラー設置と試運転は、有限会社「防衛エネルギー」沿海地方支所が、正面建物の修理と屋根の交換には、株式会社「スラヴィヤンカ」支所が従事した。
契約業者管理部によると、10月初頭には全ての作業が完了する。

更新された係留所には、太平洋艦隊旗艦の親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」を含む様々なクラスの艦を10隻まで収容できる。
ここには、金角湾の名物となっている大型対潜艦が恒久配備される。

これらの係留所には、近い将来に太平洋艦隊へ配備される新たなプロジェクト艦の配置が計画されている。


金角湾西端部のロシア太平洋艦隊水上艦係留所には、ロケット巡洋艦「ワリャーグ」大型対潜艦「ウダロイ」型などが停泊しています。
この係留所の設備が一新されるという事です。
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「近い将来に太平洋艦隊へ配備される新たなプロジェクト艦」というのは、プロジェクト22350フリゲートプロジェクト20380コルベットを指しています。

プロジェクト22350フリゲート
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プロジェクト20380コルベット
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太平洋艦隊へ配備される「ウラジオストク」型ヘリコプター空母(ミストラル型)は、金角湾では無く、ウラジオストク南端のウリス湾へ配備されます。
[ヘリ空母ミストラルのウラジオストク(ウリス湾)配備には2-3億ルーブルを要する]
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ロシア海軍は各種の新世代水上艦の建造を進めていますが、この新世代艦を配置する為のインフラ整備も着々と進められています。

新世代戦略原潜ボレイ級1番艦は北方艦隊へ、2番艦は太平洋艦隊へ配備される

『ロシア通信社ノーボスチ』より
【原子力潜水艦「ボレイ」型の最初の艦は北方艦隊で、2隻目は太平洋艦隊で軍務に就く】
モスクワ、8月31日-ロシア通信社ノーボスチセルゲイ・サフロノフ

原子力潜水艦プロジェクト955「ボレイ」シリーズのトップ艦「ユーリー・ドルゴルーキー」ロシア北方艦隊で、2隻目の潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」太平洋艦隊で軍務に就く。
「統合造船業営団」国家防衛発注部長アナトーリー・シレモフ氏は、ロシア通信社ノーボスチのインタビューで、こう述べた。

「2隻目の潜水艦-アレクサンドル・ネフスキーは、太平洋艦隊へ充当され、トップ艦-ユーリー・ドルゴルーキーは、北方艦隊の編制へ加入します」
シレモフ氏は述べた。

彼によると、同プロジェクト潜水艦を、2つの艦隊-北方艦隊及び太平洋艦隊へ配置する為の資金を拠出する決定が下された。
潜水艦乗員は、太平洋艦隊における任務の為の訓練を開始し、その後、「アレクサンドル・ネフスキー」乗組員は北海へ移動し、今後の太平洋艦隊での軍務の為の準備を行なう。
「原則として、それは1年は掛かるでしょう」
シレモフ氏は説明した。

以前、ロシア連邦国防省は、原子力潜水艦「ボレイ」プロジェクトの最初の2隻は、必要なインフラストラクチュアの準備が整い次第、太平洋艦隊へ移転すると発表した。

プロジェクト955戦略原子力潜水艦は、2020年以降、ロシア海洋戦略核戦力の中核となるだろう。
これらの艦は、現在、就役している戦略原子力潜水艦プロジェクト667(整理名「デリフィン」及び「カリマール」NATO分類「デルタIV」及び「デルタIII」)を代替する。
同プロジェクト潜水艦は、8隻建造される。

原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」(プロジェクト955「ボレイ」)の排水量は14700/24000トンである。
寸法-170×13.5×9メートル、最大潜航深度-450メートル、速力-15/29ノット、乗組員-55目の士官を含む107名。

全てのプロジェクト955「ボレイ」潜水艦には、新たなミサイル複合体「ブラヴァー」 が装備される。
各原子力艦は、個別誘導可能な10個の弾頭を有する16基の固体燃料大陸間弾道ミサイル「ブラヴァー-M」を搭載する。

「ブラヴァー」 は、モスクワ熱技術研究所で作成された。
この複合体は、ロシア防衛産業複合企業体により完全に開発及び製造されており、戦略用途地上発射ミサイル複合体「トーポリ-M」と出来る限り共通化されている。

弾道ミサイルに加え、潜水艦には魚雷発射管が装備される。
核動力装置で1基のプロペラシャフトを駆動させる事により、水上で15ノット、水中で29ノットまでの速力に達する。

同プロジェクト潜水艦には、乗組員全員の為の浮上救助室が装備される。
「ボレイ」の建造に当たっては、最新の成果により作られた艦載電波電子装置が使用され、騒音レベルは低減される。
(2012年8月31日10時27分配信)


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年8月31日10時00分配信
【アナトーリー・シレモフ氏へのインタビュー】


[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

「ボレイ」級1番艦(トップ艦)「ユーリー・ドルゴルーキー」
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「ボレイ」級2番艦「アレクサンドル・ネフスキー」
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以前、ロシア連邦国防長官第一代理アレクサンドル・スホルコフは、「ボレイ」級の1、2番艦は、就役当初は北方艦隊へ配備され、インフラ整備が出来次第、太平洋艦隊へ配置換えされると発言しました。
[新世代戦略原潜ボレイ級1、2番艦は最終的に太平洋艦隊へ配置換えされる]

しかし、今回のシレモフ氏の発言では、「ユーリー・ドルゴルーキー」北方艦隊「アレクサンドル・ネフスキー」太平洋艦隊へ配備されるとの事です。

「ユーリー・ドルゴルーキー」北方艦隊へ配備については、以前にロシア西方軍管区(北方艦隊)広報部より公式発表されています。
[ボレイ級戦略原潜1番艦ユーリー・ドルゴルーキーは2012年に北方艦隊へ配備される]

ロシア海軍の計画では、太平洋艦隊への「ボレイ」級の配備は、2014年以降になります。
[2014年にロシア太平洋艦隊へ新世代戦略原潜ボレイ級が配備される]

ただし現時点では、カムチャツカ半島の原潜基地に「ボレイ」級を配備する用意が整っていないので、然るべきインフラ整備が行なわれます。
[カムチャツカ半島の基地設備はボレイ級戦略原潜に適していない]
[ボレイ級戦略原潜の為、カムチャツカ半島に新たな設備が建設される]


今回の記事を読む限り、2番艦「アレクサンドル・ネフスキー」(早ければ今年末に就役)は、就役後、北方艦隊の基地に「仮住まい」しながら訓練を続け、太平洋艦隊の原潜基地ルイバチーのインフラ準備が整ってから、同基地へ移動するという事のようです。


ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【K-550「アレクサンドル・ネフスキー」】

2007年、太平洋艦隊将兵により「アレクサンドル・ネフスキー」乗員団が編成されました。

「ユーリー・ドルゴルーキー」乗員団は、2003年に北方艦隊将兵で編成されています。


ロシア海軍では、新造艦は乗員を集めた艦隊へ配備されるのが慣例ですから、この点からも、1番艦が北方艦隊、2番艦が太平洋艦隊というのは妥当な所でしょう。

北方艦隊原潜基地ガジェーヴォ
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太平洋艦隊原潜基地ルイバチー
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