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ロシア黒海・太平洋艦隊合同任務部隊は12月にソマリア沖で海賊対処任務に就く

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11月8日、ロシア連邦国防省は、太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船をソマリア沖へ派遣すると発表しました。
[ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く]
その続報。


『ロシア通信社ノーボスチ』より
【黒海艦隊及び太平洋艦隊の艦船はソマリア沖で海賊対処任務を開始する】
モスクワ、11月12日-ロシア通信社ノーボスチ

黒海艦隊及び太平洋艦隊の合同艦船グループは、12月にソマリア沖で海賊対処任務に参加するだろう。
月曜日、ロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部の代理人は記者団に伝えた。

「12月に、2つの艦隊の艦船はアデン湾とアフリカの角及びアデン湾エリアにおける海軍の存在任務を合同で実施します」
軍当局の代理人は話した。

彼によると、黒海艦隊戦闘艦戦術グループ(親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」及び大型揚陸艦「サラトフ」で構成される)は、黒海海峡ゾーンのボスポラス-ダータネルスを(11月6日及び11日に順番に)通過後、エーゲ海で任務遂行を開始する。

「艦船は合同連携機動、航行中の対空防衛当直任務を遂行し、更に、黒海艦隊独立海軍歩兵旅団の将兵は、艦上で対テロリスト訓練を行ないます」
ロシア連邦国防省の代理人は話した。

彼は、警備艦「スメトリーヴイ」海洋曳船MB-304が、イタリアタラント港で行われるロシア-イタリア海軍演習「イオネスク-2012」終了後にグループへ参加すると付け加えた。

地中海の活動エリアには、既に大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」が滞在しており、近い内に、グループには、今は黒海で任務を遂行している大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」が参加する。

太平洋艦隊戦闘艦船支隊(大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」、中型海洋給油船「イルクト」、救助曳船「アラタウ」で構成される)は、現在、アラビア海へ移動している。
艦は、12月初頭のアフリカの角への到着が予定されている。

「航路の途中、艦船支隊は、インド共和国海軍との共同演習の為、ムンバイへ寄港する予定です。
更に艦船は、タイ、南朝鮮、セイシェル諸島の港を訪問します」

軍当局の代理人は話した。

アデン湾及びアフリカの角エリアは、ソマリア海賊の活発な行動により危険である。
彼らは定期的に船舶を乗っ取り、身代金を要求している。

海賊攻撃の回数が多い特徴を有するエリアへのロシア海軍艦船の定期滞在は、海軍力を使用する2011年の計画により提供される。
(2012年11月12日14時17分配信)


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

記事中で触れられているように、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊は、既に出航しています。
[ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した]

これに加え、黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」を中核とする黒海艦隊の任務部隊がソマリア沖へ向かいます。
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最終的に、ソマリア沖に集結するロシア海軍合同海賊対処部隊の陣容は、以下のようになります。

[ロシア黒海・太平洋艦隊合同海賊対処任務部隊]
親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」(黒海艦隊)
大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」(太平洋艦隊)
警備艦「スメトリーヴイ」(黒海艦隊)
大型揚陸艦「サラトフ」(黒海艦隊)
大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」(黒海艦隊)
大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」(黒海艦隊)
中型海洋給油船「イルクト」(太平洋艦隊)
救助曳船「アラタウ」(太平洋艦隊)
海洋曳船MB-304(黒海艦隊)


これは、ロシア海軍が2008年10月にソマリア沖での海賊対処任務を開始して以来、最大規模の海賊対処任務部隊です。

これまでのロシア海軍海賊対処任務では、黒海艦隊は保障船(給油船及び海洋曳船)しか派遣しませんでしたが、今回、初めて水上戦闘艦をソマリア沖へ派遣します。


今回、初めてソマリア沖へ派遣される親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は、1982年12月に就役しました。
当初の艦名は「スラーヴァ」でした。
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1995年6月22日、先代の対潜巡洋艦から名前を受け継ぎ、「モスクワ」と改名されました。
1998年5月13日、除籍される親衛警備艦「クラースヌイ・カフカース」から親衛称号を受け継ぎました。

空母ヴィクラマーディティヤ、2013年6月に引き渡し?

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『イタル-タス通信』より
【航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」は2013年中期にインドへ引き渡される】
カリーニングラード、11月9日/イタル-タス通信 ウラジーミル・ヌヤクシェフ

航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」/元ロシア「アドミラル・ ゴルシコフ」は、2013年中期にインドへ引き渡される。
これは本日(11月9日)、カリーニングラードにおいて「統合造船業営団」副総裁セルゲイ・フォラフォノフが記者団に伝えた事である。
彼は、沿バルト造船工場「ヤンターリ」で建造されたインド海軍の次のフリゲート「タルカシュ」の引き渡し式典に出席していた。

「航空母艦ヴィクラマーディティヤに関するインド側との会談は、ほぼ完了しました。
ボイラーの断熱システムを交換した後、2013年には引き渡せるでしょう」

フォラフォノフ氏は話した。

「統合造船業営団」副総裁は、航空母艦のボイラーの断熱材はインド側の要望により作成されたが、海洋において同艦が航海試験を行なった際、負荷に耐えられなかった事を想起した。
「これは、プロジェクト上の過ちというわけではありませんが、インド側の要望に応じてボイラーに設置されたこれらの断熱材は、全ての振動特性が考慮されておらず、航行中にケースが歪んでしまいました」
フォラフォノフ氏は指摘した。
「その結果、このような結末となりました」
「統合造船業営団」副総裁は強調した。

フォラフォノフ氏によると
「ボイラーには別の被覆物が付けられる事になり、インドの同僚は新たな被覆物のデータの説明を受けてこれに同意し、署名しました。
作業は、以前に航空母艦の為のボイラーの製造に従事していたバルト造船工場で実施されます」


「来年、航空母艦ヴィクラマーディティヤは完全に復旧し、インド側へ引き渡されます」
フォラフォノフ氏は確認し、それは2013年6月であると付け加えた。
(2012年9月11日19時52分配信)


[空母ヴィクラマーディティヤ(旧ブログ)]
[空母ヴィクラマーディティヤ]

今年(2012年)12月に就役する筈だったインド空母「ヴィクラマーディティヤ」(旧ロシア海軍重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」)ですが、試験中にボイラーが損傷し、引き渡し時期が延期される事になりました。
[空母ヴィクラマーディティヤ、引渡し延期?]
[空母ヴィクラマーディティヤは23ノットでセヴェロドヴィンスクへ向かっている]
[空母ヴィクラマーディティヤに使われている外国製品に問題が生じた]
[中国はロシアへの耐火レンガ輸出を否定した]
[空母ヴィクラマーディティヤの修理には3ヶ月以上掛からない]
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年10-12月にインドへ引き渡される]

10月末、ロシア造船業の総元締めである「統合造船業営団」総裁(つまり、今回の記事に登場するセルゲイ・フォラフォノフ氏の上司)アンドレイ・ジャチコフ氏は、空母「ヴィクラマーディティヤ」は2013年末までに引き渡されると発言しました。
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年末にインドへ引き渡される]


今回の「統合造船業営団」副総裁の発言は、2013年末まで掛からずにボイラーの修理を終えてインドへ引き渡せるという事でしょう。
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ボイラーの修復作業は、このボイラーKVG-3Dを製造したサンクトペテルブルク市「バルト工場」が担当します。
『バルト工場』公式サイトより
2005年5月31日
【バルト工場は、「アドミラル・ゴルシコフ」の為の最初のボイラーを製造した】


なお、記事中にも有りますが、セルゲイ・フォラフォノフ氏は、2012年11月9日にカリーニングラード「ヤンターリ」造船所で開催されたプロジェクト11356フリゲート「タルカシュ」インド海軍引き渡し式典に出席しました。
今回の発言は、その引き渡し式典の会場で記者団に述べた事です。

『イタル-タス通信』より
2012年11月9日13時32分配信
【カリーニングラードでフリゲート「タルカシュ」はインドへ引き渡された】

ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦国防省報道サービス・情報管理部発表
2012年11月8日16時06分配信
【太平洋艦隊及び黒海艦隊の戦闘艦船支隊は遠距離航海へ向かう】

ロシア海軍総司令部は、戦闘訓練任務、重要な海域における海軍の存在、アフリカの角及びソマリア沿岸における民間船航行の安全を保障する為に太平洋艦隊及び黒海艦隊の戦闘艦船支隊を遠海ゾーンへの遠距離航海へ向かわせる事を決定した。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」、中型海洋給油船「イルクト」、救助曳船「アラタウ」が含まれる太平洋艦隊戦闘艦船支隊は、11月2日に主要基地のウラジオストク市を去り、アラビア海へ進路を取った。

航路の途中、艦船支隊は、インド共和国海軍との共同演習の為、ムンバイへ寄港する予定である。
更に艦船は、タイ、南朝鮮、セイシェル諸島の港を訪問する。

同時に、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、警備艦「スメトリーヴイ」、大型揚陸艦「サラトフ」、「ノヴォチェルカッスク」、保障船で構成される黒海艦隊戦闘艦船支隊は、海洋へ出航し、訓練を完了する。

(黒海)艦隊の主要基地セヴァストーポリ市からの出航は、2段階に分けて行われ、最終的には地中海の指定海域で支隊が形成される。
スエズ運河への航路の途中、戦闘艦は地中海で一連の戦闘訓練施策を実施する。

11月末、黒海艦隊戦闘艦船支隊スエズ運河を通過し、12月初頭にはソマリア沿岸で任務を開始する。
この他、戦闘任務を実施する黒海艦隊将兵は、物資補充と乗組員の休養の為、幾つかの外国の港への業務寄港を予定している。

太平洋艦隊及び黒海艦隊の戦闘艦船支隊の遠距離大洋航海計画によると、ロシア海軍将兵は、海賊対処任務を解決し、アフリカの角及びアデン湾エリアにおける民間船航行の安全を保障しなければならない。

艦船支隊による海賊対処活動は、アデン湾において海賊対処の為の国際作戦を管理するNATO海軍部隊司令部との緊密な協力の元に実行される。


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

記事中にあるように、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊は、11月2日にウラジオストクを出港しました。
[ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した]
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今回のロシア国防省(正確にはロシア海軍総司令部)発表によると、これに加えて黒海艦隊の以下の艦船もソマリア沖へ向かうとの事です。

親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」
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警備艦「スメトリーヴイ」
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大型揚陸艦「サラトフ」
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大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」
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この内、警備艦「スメトリーヴイ」は、イタリア海軍との合同演習に参加する為、既に地中海へ出航しており、現在はイタリアに滞在しています。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2012年11月8日16時49分配信
【イオニア海においてロシア-イタリア演習「イオネクス-2012」の海洋段階が開始された】

「スメトリーヴイ」には、海洋曳船MB-304が随伴しています。

イタリア訪問を終えた後、「スメトリーヴイ」は、セヴァストーポリを出港する他の艦と地中海で合流し、ソマリア沖へ向かうという事でしょう。
海洋曳船MB-304も同行するかもしれません。


大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」も地中海へ出ており、10月末にギリシャを訪問しています。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2012年10月29日15時21分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」はギリシャのサロニカ港を去った】

「ノヴォチェルカッスク」は、ギリシャを去った後も地中海で引き続き遠距離航海任務を遂行するとの事ですから、同艦も「スメトリーヴイ」や後続の艦と地中海で合流し、ソマリア沖へ向かうのでしょう。


大型揚陸艦「サラトフ」は、プロジェクト1171(アリゲーター級)の1番艦です。
同艦は1966年8月18日に就役しており、今年(2012年)で艦齢46年になります。
[揚陸艦アリゲーター型1番艦「サラトフ」近況]


なお、黒海艦隊「モスクワ」と「スメトリーヴイ」は、2003年春にもインド洋への遠距離航海を実施しています。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その2・黒海艦隊ロケット巡洋艦モスクワ]
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その3・黒海艦隊の警備艦]

この時、アデン湾(ソマリア沖)は、ただ単に通過しただけですが、今回は、アデン湾で任務を遂行します。

同時期、太平洋艦隊からも大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」などがインド洋に派遣され、黒海艦隊「モスクワ」や「スメトリーヴイ」等と行動を共にしました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その1・太平洋艦隊のウダロイ級駆逐艦]

それから9年の時を経て、「モスクワ」と「スメトリーヴイ」は、再び「マルシャル・シャーポシニコフ」と一緒に行動する事になりそうです。

デルタIII級戦略原潜「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は11月9日に帰港する

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は11月9日に基地へ戻る】
2012年11月7日

原子力水中ロケット巡洋艦K-433「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は、定期海洋出航における戦闘勤務を成功裏に完了し、現地時間11月9日11時に常駐基地ヴィリュチュンスクへ到着する。
『中央海軍ポータル』は、国防省の情報提供者より伝えられた。

太平洋艦隊戦略用途原子力潜水艦グループの一員であるプロジェクト667BDR「カリマール」水中ロケット艦「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は、その「年齢」にも関わらず(原子力潜水艦は1980年に就役した)、完全に戦闘即応状態に在る。

10月、巡洋艦の乗組員は、オホーツク海からロシア北部の射爆場へ弾道ミサイルR-29Rを成功裏に発射した。

2011年9月、アバチャ湾エリアに居た潜水艦「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」へ、釣り漁船「ドネツ」が接近し、衝突した。
潜水艦は損傷を受けなかった。


「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は、デルタIII級戦略原潜の1隻です。

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【K-433「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」】
1978年8月24日に起工され、1980年6月20日に進水、1980年12月15日に就役しました。

1980年12月31日に赤旗北方艦隊に編入され、1983年11月3日付で赤旗太平洋艦隊へ転属しました。

1993年2月から2003年7月までボリショイ・カーメニ艦船修理工場「ズヴェズダー」でオーバーホールが行なわれました。
この間、1998年9月15日に「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」と命名されました。

2012年10月19日、「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は弾道ミサイルの発射を実施しました。
[ロシア太平洋艦隊の戦略原潜はオホーツク海から弾道ミサイルを発射した]

同艦は、その後もオホーツク海に居たようですが、11月9日に帰港するという事でしょう。

多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対艦ミサイルの発射試験に成功した

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『イタル-タス通信』より
【原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は国家試験の枠組み内で海洋目標へのミサイル発射を成功裏に完了した】
モスクワ、11月7日/イタル-タス

白海国家受領試験を受けている多用途原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は、海洋目標への最新有翼ミサイル発射を成功裏に完了した。
本日、イタル-タスは、ロシア防衛作業企業体の情報提供者より伝えられた。

「多用途原子力潜水艦のトップであるセヴェロドヴィンスクは、国家受領試験の枠組み内において、水中位置から白海エリアの目標への超音速有翼ミサイル発射を実施しました。
(ミサイルは)成功裏に目標へ命中しました」

対談者の代理人は話した。
「潜水艦から発射されたミサイルは、ミサイル複合体カリブルです」
情報提供者は説明した。
(2012年11月7日18時18分配信)


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[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水した多用途原潜K-329「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。

2012年10月19日、多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」は、4回目にして最後の工場航海試験を終了しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは工場航海試験を完了した]

「セヴェロドヴィンスク」は、10月30日に出港し、国家受領試験を開始しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクの最終試験が始まった]
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2012年9月初頭の時点で、「セヴェロドヴィンスク」は11月に国家受領試験を実施すると報じられているので、試験は予定通りに進んでいるようです。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは11月に国家受領試験を行なう]

「国家受領試験」というのは、国防省海軍の関係者から成る国家委員会の立会いの下で行なわれる航海試験です。

試験の結果、国家委員会が合格と認めれば、艦は海軍への引き渡しが可能となります。

そして今回の記事によると、「セヴェロドヴィンスク」の国家受領試験において有翼ミサイル「カリブル」の発射試験に成功しました。

有翼ミサイル「カリブル」は、輸出用の有翼ミサイル「クラブ」シリーズのロシア海軍向けヴァージョンであり、輸出型よりも射程距離が延長されています。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]

有翼ミサイル「カリブル」には、対地攻撃型、対艦攻撃型、対潜攻撃型の3タイプが在ります。
対地攻撃型は亜音速で射程距離2500km。
対艦攻撃型は射程距離375km、飛翔週末段階で弾頭が分離、超音速で目標へ突進します。

[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

今回の記事を読む限り、発射されたのは対艦攻撃型のようです。

シエラII級原潜、アメリカ東海岸沖で行動?

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【アメリカ合衆国海軍は、ロシア潜水艦がアメリカ沖で発見された事を確認した-テレビ局】
モスクワ、11月7日-ロシア通信社ノーボスチ

アメリカ合衆国海軍は、ロシア潜水艦アメリカ領海付近で発見した事を確認した。
水曜日、ローカルテレビ局「ABC」は報じた。

アメリカ合衆国国防総省の情報提供者がテレビ局に伝えた所によると、先月、アメリカ合衆国海軍は、アメリカ東海岸沖275マイルで原子力潜水艦「バラクーダ-2」級を発見した。
ABCの報道によれば、ロシア潜水艦が居たのはアメリカ領海では無い。

潜水艦が発見された後、アメリカ軍艦は同艦の追跡を開始し、ロシア潜水艦の乗員は進路をヨーロッパ方面に変更した。

対談者がABCに伝えた所によると、アメリカ合衆国海軍の代理人は、ロシア潜水艦アメリカ領土に近い場所へ来た目的を正確に知らないが、
おそらく乗組員は、仮想敵潜水艦に対する任務を仕上げていたのだろう。

潜水艦「バラクーダ-2」は、戦略ミサイル及び核兵器を装備していない。
それは、対艦魚雷及び空中目標を破壊するミサイルを装備している。

2012年8月、アメリカの新聞「The Washington Free Beacon」は、ロシア原子力潜水艦が約1ヶ月間に渡り、アメリカ合衆国海軍艦船に気付かれないままメキシコ湾海域に居たとの情報を流した。
この情報は、後にペンタゴン(アメリカ国防総省)に否定された。
(2012年11月7日13時38分配信)


「バラクーダ-2」級というのは、プロジェクト945A・NATOコード名「シエラII」級の事です。
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「シエラII」級は、1990年代初頭に2隻が建造されたロシア海軍最後のチタン製原子力潜水艦です。
ロシア海軍の分類は「大型原子力潜水艦」です。
(1992年6月3日以降)

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト945A「コンドル」(NATOコード名「シエラII」)】

【B-534「ニジニ・ノヴゴロド」】:1990年12月26日就役
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【B-336「プスコフ」】:1993年12月14日就役
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プロジェクト945Aは、1980年代に2隻が就役したプロジェクト945(「シエラI」級)の改良型です。
【プロジェクト945「バラクーダ」(NATOコード名「シエラI」)】

「シエラI」級は、現在も1隻(B-276「コストロマ」)がロシア海軍に在籍しています。
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更なる発展型として、プロジェクト945AB「マルス」が計画されました。
【プロジェクト945AB「マルス」】
「マルス」1番艦は1990年3月に起工されましたが、1993年11月に建造資金が停止され、そのまま解体されました。

更に、プロジェクト945シリーズの発展型として、第4世代原子力潜水艦プロジェクト957「ケドル」の設計が1980年3月26日から開始されました。

「ケドル」は実物大モックアップの製作まで行なわれましたが、1989年11月21日にプロジェクトは中止されました。
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現在、ロシア海軍に在籍する2隻の「シエラII」級原潜の内、「プスコフ」は、ムルマンスク地域艦船修理工場「ネルパ」でオーバーホール中です。
[2012年の艦船修理工場「ネルパ」への国家発注は大幅に増加する]

従って、作戦行動可能な「シエラII」級は、「ニジニ・ノヴゴロド」だけです。
この情報が本当ならば、アメリカ東海岸沖で発見されたのは「ニジニ・ノヴゴロド」という事になります。

「ニジニ・ノヴゴロド」は、2008年4月末にオーバーホールを終えて艦隊へ復帰しています。
[シエラII型原潜「ニジニ・ノヴゴロド」復帰]
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記事中でも触れられていますが、今年8月、アメリカ「The Washington Free Beacon」は、ロシア海軍「アクラ」級原潜(プロジェクト971)が1ヶ月間メキシコ湾に潜伏していたと報じ、アメリカ国防総省から即座に否定されました。
[アクラ級原潜、メキシコ湾に潜伏?]


2009年8月にも、ロシア原潜アメリカ東海岸沖で行動中と報じられた事が有りました。
[ロシア原潜、米東海岸沖で活動]

同月、カナダ沖でもロシア原潜が確認されています。
[ロシア原子力潜水艦、カナダ沖に出現]

ウラジーミル・カサトノフ少将はロシア太平洋艦隊参謀長に就任した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区広報サービス発表
2012年11月6日11時43分配信
【太平洋艦隊は新たな参謀長を紹介した】

本日、太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツ少将は、艦隊司令部要員に対し、新たな太平洋艦隊参謀長ウラジーミル・カサトノフ少将を紹介した。

着任式は太平洋艦隊の軍会館ホールで開催され、軍部隊の指揮官、管理部の首脳、太平洋艦隊の軍人が出席した。

ウラジーミル・リヴォヴィチ・カサトノフは、ソヴィエト及びロシア海軍の歴史において最も有名な王朝の一つの代表者である。
ナヒーモフ海軍学校を卒業し、その後、P.S.ナヒーモフ記念黒海高等海軍学校で金メダルを受けた(1984年)。

学校を卒業した後、北方艦隊重原子力ロケット巡洋艦「キーロフ」のロケット大隊管理グループのロケット砲戦闘班長に任命された。
1987年9月には、同艦の大隊長となり、1988年には同艦の艦長補佐官となった。

1991年7月、駆逐艦「グレミャーシチー」の艦長上級補佐官に任命され、1994年4月には駆逐艦「ラストロープヌイ」の艦長上級補佐官、1994年12月には同艦艦長となった。

1997年9月、N.G.クズネツォフ記念海軍アカデミー第1学部の聴講生となり、1999年6月、優秀な成績でアカデミーを卒業し、北方艦隊司令部の組織動員管理部の動員課長に任命された。

2000年3月から2005年7月まで重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」艦長を務め、2003年2月21日にはロシア連邦大統領により、海軍少将の階級を授与された。
2005~2006年には北方艦隊ロケット艦師団参謀長を務めた。

2006年9月、ロシア連邦軍参謀本部軍事アカデミーの聴講生となった。
アカデミーでの研究中に修士号論文を発表した。
2008年8月、北方艦隊ロケット艦師団司令官に任命された。
2008年10月、北方艦隊戦闘艦船支隊の指揮官として大西洋(ベネズエラへの航海)、インド洋、更には地中海で一連の任務を完遂した。

2010年4月、コラ異種戦力小艦隊司令官に任命された。
2012年、3艦隊-北方艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊-合同艦船支隊の指揮官として地中海で任務を遂行した。

「軍への奉仕」「海軍への奉仕」勲章を授与され、ソヴィエト連邦ロシア連邦、その他の国からメダルを授与された。

2012年9月14日のロシア連邦大統領令・第1290号により、太平洋艦隊司令官第1代理兼参謀長に任命された。


ウラジーミル・リヴォヴィチ・カサトノフ少将は、1962年6月17日生まれで現在50歳です。

2004年3月の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」核爆発騒動の際、同艦の艦長でした。
[ピョートル・ヴェリキー「核爆発」騒動]
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この時には、当時のロシア海軍総司令官から「艦長の責任を問う」などと公言されましたが、結局、カサトノフ艦長の責任とやらは不問にされたようです。

カサトノフ艦長の叔父であるイーゴリ・カサトノフ退役大将は、1990年代に黒海艦隊司令官やロシア海軍総司令官第一代理を務めており、退役後もロシア海軍には一定の影響力を持っていました。

ロシア連邦軍機関紙『クラースナヤ・ズヴェズダー』より
2012年6月30日02時35分配信
【艦隊の伝統は積み上げられる】

ウラジーミル・リヴォヴィチ・カサトノフ少将へのインタビュー記事です。

彼の祖父ウラジーミル・アファナシエヴィチ・カサトノフ海軍元帥、
叔父のイーゴリ・ウラジーミロヴィチ・カサトノフ大将もソ連/ロシア海軍の軍人でした。

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右がウラジーミル・リヴォヴィチ、左はイーゴリ・ウラジーミロヴィチ

ウラジーミル・リヴォヴィチが海軍軍人を志したのも、祖父と叔父の影響でした。

2008年9月から2009年3月には、原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」に座乗して大西洋・カリブ海・インド洋遠征の指揮を執りました。
[ロシア艦隊の大西洋・カリブ海遠征]


この間、2009年2月にはアデン湾でソマリア海賊10名を拘束しました。
[ロシア海軍原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、3隻の海賊船を拘留]

2010年、北方艦隊原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が極東まで遠征した際、同艦に乗って沿海地方へ来訪しました。
そして2010年5~6月に太平洋艦隊ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、海洋救助曳船「フォーチィ・クリロフ」、給油船「ボリス・ブートマ」の3隻がアメリカ訪問の為の遠距離航海を行なった際、ウラジーミル・リヴォヴィチが指揮官を務めました。

2012年7月から8月には、北方・バルト・黒海艦隊合同艦船グループ指揮官として地中海で行動しました。
[北方・バルト・黒海艦隊合同艦船グループの地中海遠征]


そして今回、ロシア太平洋艦隊参謀長兼司令官第1代理に就任しました。

彼の直属上司である太平洋艦隊司令官は、セルゲイ・アヴャキャンツ少将です。
[セルゲイ・アヴァキャンツ少将はロシア太平洋艦隊司令官に任命された]

アヴァキャンツ少将も、カサトノフ少将と同じP.S.ナヒーモフ記念黒海海軍高等学校の卒業生であり、その後、同様に北方艦隊で勤務しています。

退役したクリヴァクII級フリゲート「ネウクローチムイ」は港内で沈没した

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【退役警備艦「ネウクローチムイ」は老朽化の為にバルチースクで沈没した】
カリーニングラード、11月6日-ロシア通信社ノーボスチユリア・パラモノワ

以前に退役した警備艦「ネウクローチムイ」は、老朽化の為、カリーニングラード地域の海軍港バルチースクで沈没した。
火曜日、ロシア通信社ノーボスチは、バルト艦隊の代理人より伝えられた。

「"軍事財産"カテゴリから外され、(スクラップとして)売りに出されていたネウクローチムイは、軍港の停泊所に居ました。
11月3日、同艦は沈没しました。
その原因は、船体に浸水した事によるものです-艦は非常に古かったので。
乗組員は艦上に居なかったが故に、犠牲者は皆無でした」

対談者の代理人は話した。

彼によると、同艦は軍港の底から引き揚げられる。
現在、この事故の全ての状況が明らかにされている。

警備艦「ネウクローチムイ」は、2009年にバルト艦隊の戦闘編制から除外された。

同艦は、カリーニングラード沿バルト造船工場「ヤンターリ」 においてプロジェクト1135Mのトップとして建造され、30年に渡り海軍に勤続した。

2008年12月、抹消準備が行なわれていた同艦で火災が発生した。
その結果、ニコライ・クズネツォフ上級中尉が死亡した。
(2012年11月6日13時23分配信)


プロジェクト1135M(クリヴァクII級)警備艦「ネウクローチムイ」は、カリーニングラード造船工場「ヤンターリ」で1976年1月22日に起工され、1977年9月7日に進水し、同年12月30日に就役しました。
1978年2月17日、赤旗2度授与バルト艦隊に編入されました。

2005年7月30日、ロシア海軍記念日観艦式のリハーサルの最中に機雷の爆発事故を起こし、艦後部に浸水しました。

2008年12月8日、火災事故を起こし、士官1名が死亡しました。
[クリヴァクII型フリゲート「ネウクローチムイ」で火災発生]

2009年6月末、ロシア海軍から除籍されました。
[クリヴァクII型フリゲート「ネウクローチムイ」、除籍]

その後も、バルチースク基地に係留されたまま放置されていました。


2012年4月22日の「ネウクローチムイ」
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新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクの最終試験が始まった

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『イズべスチヤ』より
2012年11月2日12時52分配信
【700億ルーブルの潜水艦は試験に合格する】

潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の最終試験が開始された。

(ロシア)海軍は、今年末までに最新原子力潜水艦プロジェクト855「ヤーセン」K-329「セヴェロドヴィンスク」を戦闘編制に含める兆候を見せている。
海軍将兵は、1993年に起工され、1998年、2000年、2005年に(ロシア)海軍の編制への加入が試みられた同艦を、高価な未完成艦と称している。
潜水艦には、既に国庫から約700億ルーブルの費用が費やされている。

(ロシア)海軍総司令部は『イズべスチヤ』に対し、10月30日に潜水艦はセヴェロドヴィンスク造船工場「セヴマシュ」を去り、国家受領試験の為にバレンツ海へ行ったと伝えた。
これは、潜水艦の全てのコンポーネントと機器を点検し、更に、有翼ミサイル「カリブル」が発射される。
全てに障害が無い場合、試験は11月25日に完了する。

「我々は、全てのコンポーネントと機器を工場の岸壁で点検しました。
海洋において、それはメインバラストタンク(潜航時には水をポンプで送る)と排水システム(浮上時に水を注ぎ出す)の動作状態を評価しなければなりません。
全てのモードにおける原子炉の動作と推進軸のスムーズな動作を点検し、ミサイル及び魚雷発射を行ないます。
ミサイルは3回発射されます-この内の2回は水中から、1回は水上から」

(ロシア)海軍総司令部の代理人は話した。

彼によると、発射後、工場周辺での潜航深度の制限は撤廃される。
これは何れの潜水艦においても主要な試験であり、最も深い深度における全ての艦内システムの動作、船体と原子炉の状態が示される。

「セヴェロドヴィンスクは、このようなテストを既に2年経ています。
この1年間で、約120日間が海洋での航海に費やされました。
そして、約2000箇所の問題点が明らかになりました。
加えて、エカテリンブルクの設計局ノワトールにより開発された複合体カリブルも。
ミサイルは、全ての時において評判を落としました」

海軍士官は続けて述べた。

今年、システム及び機器の問題点は排除される。
海軍将兵によると、それは水中艦にとって少し難事である。

「2~3週間に渡る試験の終了後、潜水艦はセヴェロドヴィンスクの工場で修理されます。
その後、原子力潜水艦の海軍の戦闘編制への加入式典が開催されます。
司令部の計画では、乗組員は2013年から戦闘訓練を開始します」

ロシア海軍総司令部の情報提供者は『イズベスチヤ』に伝えた。

更に彼は、戦闘編制への加入後、乗組員は、敵の回避、水中航行、緊急浮上及び潜航、更にはミサイル及び魚雷の発射を含む3つの特別な複合操作(試験任務と呼ばれる)を実行しなければならないと説明した。

「乗組員は、おそらくは2~3ヶ月で対処できるようになるでしょう。
例えば、ヴィリュチュンスク(原子力潜水艦プロジェクト949A「アンテイ」)は、8ヶ月で対応しました。
全ての試験任務が終わった後、潜水艦は戦列へ加わり、戦闘勤務の準備が完全に整います」

(ロシア)海軍総司令部の代理人は続けて述べた。

ウラジーミル・ザハロフ予備役少将によれば、「セヴェロドヴィンスク」ロシア海軍の戦闘編制への加入により、西側諸国との潜水艦建造の技術的格差は減少するだろう。

「アメリカにはシーウルフ級及びバージニア級原子力潜水艦、ブリテンにはアスチュートが有ります。
これらは第4世代潜水艦であり、我々よりも遥かに静粛です。
これらは、数千キロの距離で水上及び陸上の目標を破壊できる長距離有翼ミサイル "トマホーク"を有しています。
セヴェロドヴィンスクは、最初の第4世代国産潜水艦であり、西側の類似する潜水艦に劣っていません。
それは他のプロジェクトよりも静粛であり、長距離有翼ミサイルを装備しています」

ザハロフ氏は『イズベスチヤ』に対し、こう指摘した。

彼によると、「ヤーセン」の有翼ミサイルは、大規模な戦争及び地域紛争に有用である。
アメリカ及びブリテンが大いに注目している「トマホーク」は、水中から正確に打撃を与えることが出来る。

戦略研究所の所長アレクサンドル・コノワーロフは、「ヤーセン」は戦略水中ロケット艦との相互連携の為に必要であると見ている。
それら(戦略水中ロケット艦)は、敵の原子力潜水艦に対し、基地の外では脆弱であり、アメリカとブリテンの潜水艦の艦尾に座るようなものである。
従って、「戦略家」プロジェクト955を保護する為に、多用途潜水艦は絶対に必要であるとコノワーロフは語った。


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[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【プロジェクト885「ヤーセン」】

最初に第4世代原子力潜水艦の構想が出たのは1977年の事でした。

当初は、「マラヒート」、「ルビーン」、「ラズリート」の各潜水艦設計局が別個に第4世代原潜を設計していました。

魚雷ロケット原潜プロジェクト958「アファリナ」
(サンクトペテルブルク海洋工学設計局「マラヒート」が設計)

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有翼ミサイル原潜プロジェクト881「メルクーリイ」
(海洋工学中央設計局「ルビーンが設計)

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魚雷ロケット原潜プロジェクト957「ケドル」(モックアップ)
(海洋工学設計局「ラズリート」が設計)

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しかし結局これらのプロジェクトは中止され、「マラヒート」が設計したプロジェクト885「ヤーセン」に統合されました。

プロジェクト885「ヤーセン」の正式な設計開始は、東西冷戦の最中だった1985年でした。
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「ヤーセン」の1番艦である原子力水中ロケット巡洋艦K-329「セヴェロドヴィンスク」は、最初に構想が出てから16年後、設計開始から8年後の1993年12月21日、艦名と同じセヴェロドヴィンスク市造船所「セヴマシュ」で起工されました。

進水に漕ぎ着けたのは、起工から17年後の2010年6月15日でした。
構想が出てから33年、設計開始から26年の歳月が流れていました。
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「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。
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2012年10月19日、多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」は、4回目にして最後の工場航海試験を終了しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは工場航海試験を完了した]

今回の記事によると、これに続き、最終試験である国家受領試験が開始されたとの事です。

以前、「セヴェロドヴィンスク」の国家受領試験は11月に実施されると報じられました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは11月に国家受領試験を行なう]

「国家受領試験」というのは、国防省海軍の関係者から成る国家委員会の立会いの下で行なわれる航海試験です。

試験の結果、国家委員会が合格と認めれば、艦は海軍への引き渡しが可能となります。

今回の記事を読む限り、ロシア海軍は、原潜「セヴェロドヴィンスク」の国家受領試験を11月末に完了させ、12月中に就役させたい意向のようです。

10月22日、ロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは、同じ第4世代に属するプロジェクト955「ボレイ」原子力水中ロケット巡洋艦の1番艦であるK-535「ユーリー・ドルゴルーキー」ロシア海軍への引き渡しは2013年になると発言しました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]
この時、セルジュコフ氏は「セヴェロドヴィンスク」の就役時期については明言を避けました。

ロシア連邦国防省ロシア連邦海軍としては、せめて「セヴェロドヴィンスク」だけでも今年(2012年)中に就役させたいのでしょう。


記事中に登場する有翼ミサイル「カリブル」は、対地攻撃型、対艦攻撃型、対潜攻撃型の3タイプが在ります。
対地攻撃型は亜音速で射程距離2500km。
対艦攻撃型は射程距離375km、飛翔週末段階で弾頭が分離、超音速で目標へ突進します。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]


更に、ロシアでは第5世代原子力潜水艦の構想も有ります。
最初に構想が出たのは1980年代末~1990年代初頭、まだソヴィエト連邦が存在していた時期の事でした。

第5世代原子力潜水艦の構想は、2004年からサンクトペテルブルク海洋工学設計局「マラヒート」で練られています。

原潜はモジュール構造となっており、基本形は攻撃原潜ですが、艦中央部にミサイル区画を挿入する事により、弾道ミサイル原潜に変身できます。
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カスピ小艦隊は新たなロケット艦を取得する

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年11月3日14時54分配信
【カスピ艦隊は2013年5月に新たなロケット艦を取得する】
モスクワ、11月3日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア海軍カスピ小艦隊は、2013年5月に新たなロケット艦プロジェクト21631を取得する。
土曜日、小艦隊司令官セルゲイ・アレクミンスキー少将は述べた。

「(来年)5月、カスピ小艦隊は、プロジェクト21360をベースとしてミサイル複合体カリブルを装備する新たな艦プロジェクト21631を取得します。
それは、1年に2隻が受け入れられます」

アレクミンスキーラジオ局「エコー・モスクワ」でこう話し、2016年に小艦隊は堂々たるロケット-砲グループを有する事になると指摘した。

以前、4隻のプロジェクト21631小型ロケット艦ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場(タタールスタン)で建造されると報じられた。
同艦シリーズのトップ「グラード・スヴィヤージスク」は2010年晩夏に起工され、更に2隻-「ウグリーチ」「ヴェリキー・ウスチュグ」が2011年夏に、4隻目の「ゼリョヌイ・ドル」は2012年晩夏に建造を開始した。

アレクミンスキーは、5隻目の艦がスターリングラード戦闘70周年を記念して「英雄都市ヴォルゴグラード」の名前を得る事を期待していると指摘した。
少将は、南方軍管区司令官及びロシア海軍総司令官とも話し合って適切な要望を出す意向である。

小型ロケット艦プロジェクト21631の排水量は949トン、速力は25ノット、航続距離は12ノットで2500海里、乗員は52名である。
これは、 「河川-海洋」級多用途艦であり、その主要任務は、国家の経済圏保護である。
小型砲艦プロジェクト21630と比較すると、それ(プロジェクト21631)の排水量は、ほぼ2倍であり、ミサイル兵器を有している。


『イタル-タス通信』より
2012年11月3日15時07分配信
【2016年、カスピ小艦隊は威風堂々たるロケット-砲グループを有すると司令官は語った】
モスクワ、11月3日/イタル-タス

2016年、カスピ小艦隊は威風堂々たるロケット-砲グループを有する事になるだろう。
ロシア海軍カスピ小艦隊司令官セルゲイ・アレクミンスキー少将は、こう述べた。

「(来年)5月に、ミサイル兵装として複合体カリブルを有する新たな艦が取得され、それは1年間に2隻が受け入れられます」
彼はラジオ局「エコー・モスクワ」でこう話した。
彼によると、新たな艦は海洋及び河川を航行する事が出来、62名の乗組員が居る。

この他のカスピ小艦隊の更新として、アレクミンスキーは、軍艦「ヴォルゴドンスク」は既に常時準備状態となっており、軍艦「マハチカラ」は今年末か来年初頭に配属されると指摘した。

更に司令官は、今年、最新のミサイル複合体「カリブル」を装備した新たなロケット艦「ダゲスタン」が受領された事を付け加えた。
「このお蔭により、ダゲスタンは、2000キロメートル以上の沿岸目標と350キロメートルの水上目標を射撃する事が出来ます」
アレクミンスキーは述べた。


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プロジェクト21631小型ロケット艦「ブヤン-M」は、現在までに4隻が起工されています。
全てゴーリキー記念ゼレノドリスク工場で建造されています。
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建造番号631「グラード・スヴィヤージスク」Град Свияжск
2010年8月27日起工

建造番号632「ウグリーチ」Углич
2011年7月22日起工

建造番号633「ヴェリキー・ウスチュグ」Великий Устюг
2011年8月27日起工

建造番号634「ゼリョヌイ・ドル」Зелёный Дол
2012年8月29日起工

プロジェクト21631小型ロケット艦は10隻程度建造される予定であり、最初の5隻はカスピ小艦隊へ配備されるようです。

21631のベースとなったプロジェクト21630小型砲艦は、既に2隻がカスピ小艦隊へ配備されており、3隻目(「マハチカラ」)はバルト海で試験中です。
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今回のセルゲイ・アレクミンスキー少将の発言は、この両タイプ合わせて6隻程度が2016年までにカスピ小艦隊に勢揃いするという事です。

これからカスピ小艦隊へ配備される21631小型ロケット艦と、今年夏にカスピ小艦隊へ配備された警備艦「ダゲスタン」(プロジェクト11661K)は、巡航ミサイル「カリブル」を装備します。
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「カリブル」は、輸出用の巡航ミサイル「クラブ」ロシア海軍向けヴァージョンであり、輸出型よりも射程距離が延長されています。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

[ゲパルト級警備艦ダゲスタンはカリブルの発射試験を行なった]
[カスピ小艦隊に2隻の新型艦が補充される]

カスピ小艦隊司令官セルゲイ・ガヴリロヴィチ・アレクミンスキー少将は、1961年9月26日生まれで現在51歳です。
【カスピ小艦隊司令官】

1983年に太平洋艦隊海軍高等学校を卒業した後に北方艦隊小型対潜艦で勤務しました。
1996年に海軍大学校を卒業後、太平洋艦隊へ転属しました。

その後、太平洋艦隊北東軍兵力集団参謀長兼司令官第一代理に任命され、2009年にはソマリア海賊対処部隊指揮官としてアデン湾へ行きました。
[ロシア海軍第4次ソマリア遠征]

アレクミンスキー少将率いる部隊は、アデン湾で海賊と交戦した事は一度も無かったようですが、翌2010年9月5日にカスピ小艦隊司令官へと栄転しました。

ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した

本日(11月2日)、ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊ウラジオストクを出港しました。
[大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは11月初頭にアデン湾へ向かう]
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区広報サービス発表
2012年11月2日10時41分配信
【大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」はアフリカの角へ進路を取った】

11月2日、ウラジーミル・ウドヴェンコ少将が指揮する太平洋艦隊艦船支隊は、祖国の港を去り、民間船航行の安全を保障する任務を遂行する為、アラビア海へ進路を取った。

支隊は、太平洋艦隊に所属する大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」中型海洋給油船「イルクト」救助曳船「アラタウ」で構成される。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦長アンドレイ・クズネツォフ1等海佐によると
「艦の乗組員は、与えられた任務を果たす準備が出来ています。
艦の機器及び兵器は、通常モードで動作しております」


アデン湾への航路の途中、ロシア海軍将兵は、インドの同僚が居るムンバイ港を訪問する。
寄港中に、インド共和国海軍艦船と「SAREX」のような合同演習の実施が計画されている。

戦闘勤務中に太平洋艦隊将兵は、タイ南朝鮮ジブチ及びセイシェル諸島を業務寄港の為に訪問する。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦上には、以前にロシアでの訓練と国際海賊対処の経験を経た2機のヘリコプターKa-27から成る航空隊と太平洋艦隊海軍歩兵部隊が載っている。

想い起して欲しい。
2010年5月、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、海賊からロシアタンカー「モスクワ大学」を解放するという前例の無い作戦を実施した事を。
この複雑な作戦は、イリダル・アフメロフ1等海佐の指揮下で行なわれた。


テレビ局『ズヴェズダー』動画ニュースより
2012年11月2日13時11分配信
【太平洋艦隊艦船支隊はウラジオストクを去り、アデン湾へ進路を取った】


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[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


これに続く14番目のロシア海軍海賊対処部隊は、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」が中核となります。

記事中でも触れられていますが、「マルシャル・シャーポシニコフ」は2010年5月にもアデン湾へ行っています。

この時には、ソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

この事件はロシアで映画化されます。
[アデン湾における大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフの活躍を描いた映画が撮影される]

アフメロフ氏は、その後、2011年12月に12番目の「アドミラル・トリブツ」部隊の指揮官としてアデン湾へ行き、帰港後、沿海地方異種戦力連合小艦隊司令官代理(副司令官)に昇格しました。

ロシアはIl-38のジブチ配備をフランスに求めた

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ロシア連邦は2機の航空機Il-38のジブチ基地への配置をフランスに依頼した】
パリ(フランス)、10月31日-ロシア通信社ノーボスチ

ロシア連邦は、同地域の海賊に対処する為、2機のロシアの偵察航空機Il-38ジブチ基地への配置をフランスに依頼した。
ロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは記者団に伝えた。

「私共は、海賊に対処する為、3機のフランス航空機に加えて、2機の偵察航空機のジブチ航空基地への配置をフランス側に依頼しました」
彼は話した。

このように、ロシアは、同地域における偵察航空機の配備数を5機に増やす事を望んでいる。
ロシア国防長官は説明した。

セルジュコフは、ロシアが海賊対処での協力を重要な側面と考えている事を強調した。
「私共の艦は、アデン湾における航行の安全を確保する為、緊密に協力しております」
セルジュコフは話した。

彼は強調した。
ロシア連邦国防省は、次の分野におけるパートナーシップの発展に関心を持っている事を。
それは、海賊活動ゾーンにおける水上環境の情報、アフリカの角エリアにおける合同海軍演習、艦における組織的な相互医療支援、民間船の共同護衛である。

アデン湾及びアフリカの角エリアは、ソマリア海賊の活発な行動により危険である。
彼らは定期的に船舶を乗っ取り、身代金を要求している。

ロシア海軍の艦船は、海賊攻撃の回数が多い特徴を有するエリアへ定期的に滞在し、海軍力を使用する計画を提供する。

2008年10月以降、ロシア連邦海軍アデン湾ソマリア沖においてロシアの海洋船舶航行を保護する為の任務を実施している。
1年間に、4~5回の航海が行なわれた。
海賊との戦いの全期間に渡り、ロシア戦闘艦は、民間船への損失を全く被らずに約700の船団を先導した。

2010年5月、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」乗組員は、海賊に乗っ取られたロシアタンカー「モスクワ大学」を解放するという前例の無い作戦を実施した。
この複雑な作戦は、イリダル・アフメロフ1等海佐の指揮下で行なわれた。

同船上には、23名のロシア人船員が乗っていた。
86000トンの石油を積んだタンカーは、紅海から中国へ向かっていた。
襲撃を受けた船及びロシア海軍将兵に負傷者は居なかった。10名の海賊が拘束され、あとの1名は死亡した。
(2012年10月31日18時20分配信)


[ロシア海軍のアデン湾(ソマリア沖)海賊対処活動]
[ロシア海軍のソマリア海賊対策(旧ブログ)]

ロシア海軍航空隊アデン湾への進出に関しては、2009年12月、当時のロシア連邦NATO駐在代表(現在はロシア連邦副首相)ドミトリー・ロゴージンが述べています。
[ロシア海軍航空隊、ソマリア沖に進出?]

それから3年後、パリを訪問したロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフは、フランス側との会談でロシア海軍航空隊アデン湾進出の件を持ち出してきました。

対潜哨戒機Il-38は、太平洋艦隊及び北方艦隊に合計15機程が配備されています。
[ロシア北方艦隊は近代化された対潜哨戒機Il-38Nを受領した]

太平洋艦隊所属のIl-38
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北方艦隊所属のIl-38
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近代化型Il-38N
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これらのIl-38が、2機ずつ交代でアデン湾(ジブチ基地)へ派遣され、ジブチに駐留するフランス海軍の哨戒機と合同でアデン湾のパトロールを実施するという事でしょう。


ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


記事中でも触れられていますが、太平洋艦隊の大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、2010年5月、アデン湾においてソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

オホーツク海で対艦ミサイル発射訓練が行なわれた

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
2012年11月1日10時03分配信
【太平洋艦隊将兵はミサイル発射に成功した】

荒天条件下にあるエリアでの戦闘訓練は、太平洋艦隊司令官セルゲイ・アバキャンツ少将の指揮下で行なわれ、水上艦及び潜水艦による合同ミサイル発射が実施された。

海洋に出航中の原子力潜水艦「トヴェリ」は、オホーツク海において有翼ミサイルを水上目標へ発射した。
ほぼ同時に、小型ロケット艦「イネイ」と「ラズリーフ」の主要ミサイル複合体も打撃を与えた。

10キロメートル以上離れた距離に位置していた目標は破壊された。

この事実は、同エリアに存在していた海軍航空隊の飛行士により確認され、戦闘訓練の実施を見守っていた複合測量艦「マルシャル・クルイロフ」乗組員が遠隔測定により記録したミサイルの発射情報は、その全ての指数が成功と認識された。

つい最近、戦略核戦力指揮幕僚訓練の枠組みにおいて、原子力潜水艦「シヴィャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツ」は、チジャ射爆場へのミサイル発射を実施した。

太平洋艦隊潜水艦部隊司令官ニコライ・エフメノフ少将によると、来年、彼の指揮下に在る2隻の水中ロケット艦の同時ミサイル発射実施を立案準備する。


関連記事
2012年10月31日11時22分配信
【太平洋艦隊の複合測量艦「マルシャル・クルイロフ」は海洋での任務を成功裏に実行した】

複合測量艦「マルシャル・クルイロフ」は、ロシア北東部海域においてミサイル発射訓練の支援任務を実施し、ペトロパブロフスク-カムチャツキーへ戻りました。


原子力潜水艦K-456「トヴェリ」は、プロジェクト949A(オスカーII級)の1隻で1992年8月29日に就役しました。
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就役当初は「カサートカ」という名前でしたが、1996年3月20日に「ヴィリュチュンスク」と改名され、2011年1月28日に「トヴェリ」と改名されました。

「トヴェリ」から発射されたミサイルは「グラニート」です。
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「グラニート」の射程距離は、細かく分けると以下のようになります。
700km:沿岸(地上)目標へ発射した場合
625km:核弾頭搭載型・高高度飛翔
550km:通常弾頭搭載型・高高度飛翔
200km:核弾頭搭載型・低高度飛翔
145km:通常弾頭搭載型・低高度飛翔


但し、現在のロシア海軍は、戦略原潜以外に核弾頭を積載しておらず、従って、上記の核弾頭搭載型の数値は考慮する必要が有りません。


小型ロケット艦「イネイ」「ラズリーフ」は、プロジェクト1234(ナヌチュカIII級)です。
太平洋艦隊には4隻のナヌチュカIII級が配備されており、ペトロパブロフスク-カムチャツキーに駐留しています。
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「イネイ」「ラズリーフ」から発射されたミサイルは、最大射程150kmの「マラヒート」です。
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「マラヒート」は、2008年8月の南オセチア紛争において実戦使用され、グルジア海軍艇を撃沈しています。
[アブハジア沖海戦(仮)続報・その3]


記事中でも触れられていますが、太平洋艦隊戦略原潜「シヴィャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツ」は、10月19日に弾道ミサイルを発射しました。
[ロシア太平洋艦隊の戦略原潜はオホーツク海から弾道ミサイルを発射した]

来年には、太平洋艦隊の2隻の戦略原潜が同時に弾道ミサイルを発射する計画です。
[2013年、ロシア太平洋艦隊の2隻の戦略原潜は同時に弾道ミサイルを発射する]