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ロシア海軍の戦略非核戦力は多用途原潜と原子力巡洋艦から成る

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ロシア連邦海軍の非核戦力の基礎は原子力潜水艦と原子力巡洋艦で構成される】
モスクワ、12月19日-ロシア通信社ノーボスチ

2020年、(ロシア)海軍の戦略非核抑止戦力の基礎グループは、多用途原子力潜水艦プロジェクト885及びプロジェクト949原子力水上巡洋艦プロジェクト11442で構成されるだろう。
水曜日、ロシア連邦海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は記者団に伝えた。

潜水艦プロジェクト885のトップ「セヴェロドヴィンスク」は、2013年に軍備採用される。
多用途艦プロジェクト949~これは第3世代潜水艦であり、2000年に沈没した原子力潜水艦「クルスク」も、この潜水艦の1隻だった。

現在、(ロシア)海軍の戦闘編制には、プロジェクト11442巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」のみが在籍しており、同プロジェクトの他の艦「アドミラル・ナヒーモフ」の近代化の為の資金が割り当てられる。

「海軍の戦略非核抑止戦力の基礎グループは、長射程精密兵器を装備し、中長期的には、原子力水中巡洋艦プロジェクト885M、近代化される原子力水中巡洋艦プロジェクト949M及び重原子力ロケット巡洋艦プロジェクト11442で構成されます」
チルコフ氏は話した。

彼は、2012年から2020年までの期間に、海洋戦力を構成する艦の開発は戦略非核抑止戦力グループの創設に指向されるべきであると付け加えた。
それは、水中戦力の戦闘潜在力と水上戦力の戦闘能力を増大し、海洋戦力の効率的な即応性を作り上げる。
(2012年12月19日15時41分配信)


「戦略非核抑止力」というのは、要するに、非核弾頭の長距離対地ミサイルを装備する艦という事です。

非核弾頭の長距離対地ミサイルは、おそらくは有翼ミサイル「カリブル」対地型でしょう。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]


プロジェクト885Mは、新世代多用途原子力潜水艦「ヤーセン」級の2番艦以降の事です。
[改セヴェロドヴィンスク型原潜カザンは新型機器のみを装備した初の第4世代原潜となる]

「ヤーセン」級は、2020年までの国家軍備プログラムにより、7~8隻が調達される予定です。
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P885
[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

プロジェクト949Mは、プロジェクト949A(オスカーII級)原子力潜水艦の近代化タイプを指しています。

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【プロジェクト949A「アンテイ」(NATOコード名「オスカーII」)】

ロシア海軍には8隻(太平洋艦隊5隻、北方艦隊3隻)の949A原潜が在籍しています。
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949Aは、主要ミサイル兵装を新型有翼ミサイル(カリブル)に換装します。
[オスカーII級ミサイル原潜は「オーニクス」と「カリブル」を装備する]
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原子力巡洋艦プロジェクト11442というのは、キーロフ型の2番艦以降を指しています。

現在、稼働状態に在るのは最終艦(4番艦)「ピョートル・ヴェリキー」のみです。
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この他、3番艦「アドミラル・ナヒーモフ」を近代化するという話が以前からあります。
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[原子力巡洋艦アドミラル・ナヒーモフ近代化に50億ルーブルが拠出される]
こちらも、近代化により有翼ミサイル「カリブル」を装備する予定です。


つまり、有翼ミサイル「カリブル」を装備する原子力潜水艦及び原子力巡洋艦「戦略非核抑止力」の基礎となるという事でしょう。
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新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキー、12月30日に納入?

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『ロシア通信社ノーボスチ』より

【海軍は2012年に原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」を軍備採用できる】
モスクワ、12月19日-ロシア通信社ノーボスチ

最新の戦略原子力潜水艦プロジェクト955(整理名「ボレイ」)「ユーリードルゴルーキー」は、2012年にロシア海軍の戦闘編制へ加入できる。
水曜日、ロシア連邦海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は記者団に伝えた。

以前、彼は、原子力潜水艦が2013年に軍備採用されると表明した。

「原子力潜水艦ユーリー・ドルゴルーキーの海軍の編制への加入については、各々のシステムの点検の最終段階の完了を条件とし、受領証明書への署名は、12月30日までに可能となります」
総司令官は話した。

彼は、業界の代表者が合同作業に合意している事を指摘した。
(業界とは)互いに理解している事をチルコフ氏は強調した。

更に彼は、最新の多用途原子力潜水艦 「セヴェロドヴィンスク」は2013年に(ロシア海軍の)編制へ加入すると伝えた。

「現在、潜水艦は全力試験を行なっております。
潜水艦の艦内に数多くの新たな技術システム及び兵器システムが存在する事を考慮し、今、海軍と業界の共同作業は活動段階にある事は注目されます。
この作業計画で、潜水艦の海軍への引き渡し過程を引き延ばすという目標は設定されておりません」

チルコフ氏は話した。
(2012年12月19日15時21分配信)


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[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

戦略原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」は、セヴェロドヴィンスク市の「生産合同セヴマシュ」で1996年11月2日に起工され、2007年4月15日に進水しました。
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2008年11月21日、原子炉が起動されました。
[新型戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」、原子炉始動]

2009年6月18日、初めて海洋へ出航しました。
[新型戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」、工廠航海試験開始]

2011年には4回の弾道ミサイル「ブラヴァー」発射試験を実施し、全て成功しました。
[「全力全開」ブラヴァー発射試験(2010~2011年)]
特に、8月27日の試験では9300kmの飛翔距離を記録しました。

2011年12月23日には「ブラヴァー」2発の一斉発射に成功しました。
[潜水艦発射弾道ミサイル「ブラヴァー」は一斉発射試験に成功した]

2012年10月下旬、当時のロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフ氏は、「ユーリー・ドルゴルーキー」の軍備採用(ロシア海軍への引き渡し)は2013年に延期されると発言しました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]


しかし、その数日後、「ユーリー・ドルゴルーキー」を設計したルビーン海洋工学中央設計局のトップは、同艦の引き渡し準備は整っていると発言しました。
[新世代戦略原潜ボレイ級1、2番艦の引き渡し準備が整う]


ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ提督も、12月初頭に「ユーリー・ドルゴルーキー」の軍備採用は2013年に繰り延べされると発言しました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは就役前の「試験任務」を行なう]


今回のチルコフ提督の記者会見の数日前、「ユーリー・ドルゴルーキー」を建造したセヴェロドヴィンスク造船所(生産合同セヴマシュ)のトップであるミハイル・ブドニチェンコは、今年末までに「ユーリー・ドルゴルーキー」ロシア海軍へ引き渡す事が出来ると発言しています。

『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
2012年12月18日配信
【原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」は今年末までにロシア海軍へ引き渡せる-セヴマシュ】

彼が、チルコフ提督の言う「業界の代表者」という事になるようです。


この経緯から見て、「ユーリー・ドルゴルーキー」の軍備採用を2013年に延期する事を決定したのはセルジュコフ氏でしょう。

そのセルジュコフ氏が辞任した事により、「ユーリー・ドルゴルーキー」の2013年就役も「白紙撤回」されたのかもしれません。


なお、同日(12月19日)の記者会見において、チルコフ提督は、「ボレイ」級戦略原潜の3番艦「ウラジーミル・モノマーフ」が12月30日に進水すると述べています。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年12月19日15時20分配信
【原子力潜水艦「ウラジーミル・モノマーフ」は12月30日に「セヴマシュ」で進水する】

ロシア第5世代原子力潜水艦は2030年以降に建造される

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ロシア連邦第5世代原子力潜水艦シリーズの建造は2030年以降に開始される】
モスクワ、12月19日-ロシア通信社ノーボスチ

第5世代戦略原子力潜水艦シリーズの建造はロシアで2030年以降に開始される。
水曜日、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は記者団に伝えた。

「2021~2030年の間に、戦略用途ロケット潜水艦の交代計画を継続し、第4世代原子力潜水艦が配置に就いているこの期間に、第5世代戦略用途将来ロケット複合艦の作成作業を展開するべきです。
第5世代戦略用途ロケット潜水艦シリーズの建造は、2030年以降に展開します」

チルコフ氏は今年1年間を総括し、こう話した。

現在、海軍の戦闘編制には、第3世代戦略多用途原子力潜水艦が在籍しており、2020年以降には、第4世代戦略原子力潜水艦プロジェクト955「ボレイ」及びプロジェクト885「ヤーセン」と交代する。

したがって、中長期的には、将来弾道ミサイル搭載艦は、プロジェクト955A原子力潜水艦「ボレイ」になると総司令官は話した。

チルコフ氏は、潜水艦建造の為の海軍総司令部の必要条件は明確に示されたと指摘した。
即ちステルス性の増加、高速航行時の低騒音の増加、改善された通信及び管理設備、ロボット工学機器装置である。
これらの増強は、敵艦との直接的な接触を防ぐ。
(2012年12月19日15時20分配信)


今回、ロシア海軍総司令官自身から初めて明らかにされた第5世代原子力潜水艦ですが、構想自体は以前から有りました。

最初に第5世代原子力潜水艦の構想が出たのは1980年代末~1990年代初頭、まだソヴィエト連邦が存在していた時期の事でした。

第5世代原子力潜水艦の予備開発作業は、2004年からサンクトペテルブルク海洋工学設計局「マラヒート」により開始されています。
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ただ、「マラヒート」多用途原潜の設計を手掛けており、今回の記事に登場する戦略原潜に関しては、「ルビーン」設計局の方が豊富な開発経験を有しているので、「ルビーン」が設計する事になるでしょう。

多用途原潜ヤーセン級は距離1500kmの地上目標を攻撃できる

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【原子力潜水艦プロジェクト「ヤーセン」は距離1500kmの目標を撃破できる】
モスクワ、12月19日-ロシア通信社ノーボスチ

最新多用途原子力潜水艦プロジェクト885「ヤーセン」は、約1500kmの距離の沿岸の地上目標を撃破できる。
水曜日、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将は記者団に伝えた。

ロシア連邦海軍の既存のタイプの多用途原子力潜水艦は、約300kmの距離の沿岸の地上目標を撃破できる。

「11月28日、潜水艦セヴェロドヴィンスクは、初めて水中位置から、しかも最大射程-1400kmの沿岸目標へのミサイル複合体"カリブル"のミサイル発射試験を実施しました」
チルコフ氏は今年を総括し、こう話した。

彼によると、今年の海軍の活動の中で重要な位置を占める新たな艦、潜水艦及び兵器の試験が実施された。
それはロシア海軍の為のみならず、外国の顧客の為でもあった。
「今年は計240回の試験が実施されました。
それは、11月22日の沿岸ミサイル複合体バスチオンの兵器の最大射程-約400kmでの試射成功も含まれます」

チルコフ氏は話した。

長距離有翼ミサイル「カリブル」「オーニクス」、魚雷、ロケット魚雷、機雷は原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の主要兵器である。

原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は、プロジェクト885「ヤーセン」のトップ艦として「セヴマシュ」で1993年に起工された。
ロシア海軍の為に、8隻の最新潜水艦が建造される。
昨年9月、潜水艦は最初の工場航海試験の為、海洋へと去った。

以前、ロシア連邦国防省国家防衛発注・供給部長アンドレイ・ヴェルニゴラ氏は、「セヴェロドヴィンスク」の海軍への軍備採用は2013年になるとロシア通信社ノーボスチに伝えた。
(2012年12月19日13時30分配信)


1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水した多用途原潜K-329「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。

2012年11月には有翼ミサイル「カリブル」発射試験を3回実施しました。
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チルコフ提督が言及した有翼ミサイル「カリブル」発射試験は、これを指しているようです。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクは3回連続でカリブル有翼ミサイルの発射試験に成功した]

チルコフ提督によると、この時は距離1400kmの地上目標へ向けて水中から発射されたようです。

チルコフ提督は、この距離が「カリブル」の最大射程だと述べていますが、これまでのロシア側の報道を読む限り、対地攻撃型「カリブル」の最大射程は2500kmです。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

おそらくチルコフ提督は、この1400kmが最大射程であると勘違いしたのでしょう。


記事末尾で触れられている原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の2013年の軍備採用については11月30日に報じられています。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年にロシア海軍へ引き渡される]

なお、今回の記事によると、超音速地対艦ミサイル「バスチオン」(艦対艦ミサイル「オーニクス」の地上発射型)の最大射程は約400kmとの事です。
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これまで「バスチオン」(オーニクス)の最大射程は300kmだと公表されていましたが、これは輸出型の数値だったのでしょうか。

射程300kmを超えるミサイルは、「ミサイル技術管理レジーム」に引っ掛かり、外国へ輸出できなくなるので。
日本国外務省公式サイトより
【ミサイル技術管理レジーム】

むろん、外国への輸出を前提としないミサイルならば、この規制には抵触しません。

大型対潜艦セヴェロモルスクはソマリア沖へ向かった

『ロシア通信社ノーボスチ』より
【北方艦隊艦船は海賊からの保護を実行する為にアデン湾へ向かった】
モスクワ、12月18日-ロシア通信社ノーボスチ

北方艦隊艦船支隊は海洋へと去り、アデン湾エリアへ向かった。
民間船舶への安全保障を提供する為に。
火曜日、北方艦隊広報サービス部長ワジム・セルガ1等海佐は記者団に伝えた。

「本日、大型対潜艦セヴェロモルスク、救助曳船アルタイ、中型海洋給油船ドゥブナで構成される北方艦隊艦船支隊は北方艦隊主要基地セヴェロモルスク市を去り、バレンツ海へ出ました。
近い内に、支隊は大西洋を通過して地中海及びスエズ運河、そしてアデン湾エリアへの移動を完了します。
大型対潜艦セヴェロモルスク乗組員は、民間船舶の安全保障を提供する任務を遂行します」

彼は話した。

セルガによると、数ヶ月間に渡る航海中に、支隊は一連の外国の港への訪問や業務寄港を行なう。

「大型対潜艦セヴェロモルスク乗組員がアデン湾エリアで海賊対処任務を遂行するのは2度目になります。
以前、世界の大洋の同エリアでは、北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ、アドミラル・チャバネンコ、アドミラル・レフチェンコが船団の先導任務を成功裏に実施しました」

北方艦隊の公式代理人は想起した。

彼は、北方艦隊の全ての艦は約40の国際船団の約150隻のロシア及び外国の船の先導を実施し、紅海及びインド洋エリアで海賊に襲撃された貨物船「オーシャン・ダイアモンド」タンカー「ユナイテッド・エンブレム」の乗っ取りを防いだ事を指摘した。

2012年、アデン湾及びアフリカの角での民間船舶航行を保護する任務は、大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」乗組員により、159日間に渡り実施された
北方艦隊将兵は29000海里を航行した。。
同エリアに滞在中、同艦はロシア連邦船籍の8隻を含む異なるクラスの27隻の民間船舶を護衛した。
2012年のアデン湾での任務実施中に、北方艦隊将兵は409名の民間人船員への安全を提供した。
(2012年12月18日12時04分配信)


北方艦隊大型対潜艦「セヴェロモルスク」ソマリア沖へ向かうと最初に報じられたのは12月初頭でした。
[北方艦隊の大型対潜艦セヴェロモルスク、ソマリア沖へ]


それから約10日後の12月18日、大型対潜艦「セヴェロモルスク」アデン湾へ向けて出港しました。

今回の北方艦隊海賊対処部隊は、この3隻で構成されています。

[北方艦隊アデン湾海賊対処部隊]
大型対潜艦「セヴェロモルスク」
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救助曳船「アルタイ」
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中型海洋給油船「ドゥブナ」

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現在、アデン湾には太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とする海賊対処部隊が向かっています。
[ロシア-インド海軍合同演習「インドラ-2012」は終了した]

北方艦隊海賊対処部隊も、これに加勢するようです。

今回の記事で触れられていますが、大型対潜艦「セヴェロモルスク」は、昨年(2011年)5月にもアデン湾へ派遣され、海賊対処任務を遂行しています。

2011年9月10日、「セヴェロモルスク」は、紅海で海賊に乗り込まれたギリシャタンカー「ユナイテッド・エンブレム」を解放しました。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【大型対潜艦「セヴェロモルスク」の海軍歩兵はギリシャのタンカーを海賊から解放した】
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バルト艦隊艦船は地中海へ向かった

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『イタル-タス通信』より
【バルト艦隊の戦闘艦は地中海への航海へと去った】
モスクワ、12月18日/イタル-タス

警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」、大型揚陸艦「カリーニングラード」、「アレクサンドル・シャバリン」、救助曳船SB-921、給油船「レナ」で構成されるバルト艦隊戦闘艦船支隊は、艦隊主要基地バルチースクを去り、地中海へ進路を取った。
本日(12月18日)、イタル-タスは、ロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部より伝えられた。

「戦闘訓練計画に従い、航海中に海軍将兵は、艦船支隊の対空、対艦、対潜防衛の一連の演習とトレーニングを行ない、組織的通信及び海上での指令に関する課題を仕上げます」
軍当局は通知した。

「地中海で、バルト艦隊の艦船支隊は黒海艦隊艦船と交代し、2012年12月から地中海東部での課題を解決します」
国防省は指摘した。

以前、イタル-タスロシア軍参謀本部の情報提供者から伝えられた所によれば、現在、地中海北東部には、黒海艦隊旗艦-親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、警備艦「スメトリーヴイ」、大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」、海洋曳船MB-304が滞在している。
(2012年12月18日11時30分配信)


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年12月18日11時53分配信
【バルト艦隊艦船は黒海艦隊と交代する為に地中海へ向かった】
内容は同じです。


バルト艦隊警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」は、今年7月にも地中海へ行っています。
この時は、同型艦「ネウストラシムイ」北方艦隊大型揚陸艦3隻と一緒でした。
[北方・バルト・黒海艦隊合同艦船グループの地中海遠征]

その前、2011年12月にも地中海へ行っています。
この時は、北方艦隊重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」に随伴しました。
[クズネツォフ地中海遠征2011(旧ブログ)]

そして今回、3度目の地中海遠征へ出発しました。

今回のバルト艦隊地中海遠征部隊は、この5隻で構成されています。

[バルト艦隊戦闘艦船支隊]
警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」
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大型揚陸艦「カリーニングラード」
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大型揚陸艦「アレクサンドル・シャバリン」
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救助曳船SB-921
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中型海洋給油船「レナ」

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バルト艦隊戦闘艦船支隊は、地中海北東部に滞在するようです。

地中海北東部というのは、シリア沖を指しています。
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バルト工場は水上原子力発電所の建造を再開する

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『イタル-タス通信』より
【バルト工場と「ロスエネルゴアトム」は最初の発電ブロックである浮揚原子力発電ステーション「アカデミック・ロモノソフ」を完成させる】
サンクト-ペテルブルク、12月10日/イタル-タス通信、レーフ・フローロフ

有限会社「バルト工場-造船」/サンクト-ペテルブルク「ロスエネルゴアトム」社は、浮揚発電ブロック/最初の浮揚原子力ステーション「アカデミック・ロモノソフ」の完成について合意した。
契約は、コンツェルン「ロスエネルゴアトム」総取締役代理セルゲイ・ザヴィヤロフ「バルト工場」総取締役アレクサンドル・ヴォズネセンスキーにより署名された。
イタル-タス通信は、造船所管理部より伝えられた。

契約に基づき、有限会社「バルト工場-造船」は、浮揚発電ブロックを引き渡し、曳航の準備を行ない、2016年9月9日に稼働させなければならない。
現在、施設の進捗度は60パーセントである。

アレクサンドル・ヴォズネセンスキーによると
「契約価格は、このプロジェクトの最小の採算性を保証しています。
浮揚発電ブロックの完成契約への署名により、私共は、ようやく仕事を立ち上げる事が出来ます、私共の工場で。
それは、非常に重要な特殊発電ユニットと、その完成を含みます。
残念な事に、2012年までには、何も出来ませんでした」


「バルト工場」は、2008年に浮揚発電ブロックの建造を開始した。
2011年、同社は破産し、2011年末には国家の管理下にある統合造船業営団により引き継がれた。
統合造船業営団「バルト工場-造船」社を設立し、バルト工場の全ての造船・機械製造能力を移転させた。
更に、3000名全ての労働者集団を移動させた。

むろん、2012年には、工場の陣容は刷新され、約50億ルーブルの受注書が書類入れに入った。
各契約条件を適時に実行する事により、工場は契約相手に良い評判を確立できる。
浮揚発電ブロック完成の為の契約は、企業の戦略的回復プログラムへ大いに貢献した。

浮揚原子力発電ステーション「アカデミック・ロモノソフ」は、一連の小出力移動式可搬型発電ブロックのプロジェクトのトップであり、I.I.アフリカントフ記念機械製造試験設計局により設計された。
浮揚原子力発電ステーションの発電装置は、70メガワットの最大発電出力を有する2基のKLT-40Sで構成されている。
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浮揚原子力発電ステーションの最初の2つの駐留場所は、チュクチの都市ペヴェクカムチャツカの都市ヴィリュチンスクが検討されている。

バルト工場は1856年に設立された。
それは、ロシアの主要な造船所の一つである。
労働者集団は、600隻以上の船舶を建造してきた。
中でも、原子力砕氷船原子力ロケット巡洋艦宇宙通信船特殊用途船が建造された。
(2012年12月10日20時23分配信)


【「I.I.アフリカントフ記念機械製造試験設計局」公式サイト】
船舶用原子炉や陸上の原子力発電所用の原子炉などを設計しています。

現在、カムチャツカ半島ヴィリュチンスクでは、新世代原子力潜水艦の為のインフラ整備が進められています。
[ボレイ級戦略原潜の為、カムチャツカ半島に新たな設備が建設される]
[ヴィリュチンスク原潜基地の近代化はスケジュール通りに進んでいる]
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その一環として、今回の記事に登場する浮揚原子力発電ステーション「アカデミック・ロモノソフ」ヴィリュチンスクに設置され、基地や原潜へ電力を供給します。
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今回の記事によると、浮揚原子力発電ステーション「アカデミック・ロモノソフ」の稼働開始は2016年9月が予定されています。

ヴィリュチンスクへの新世代原子力潜水艦(「ボレイ」級戦略原潜「アレクサンドル・ネフスキー」)の配備は2014年の予定です。
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[2014年にロシア太平洋艦隊へ新世代戦略原潜ボレイ級が配備される]
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]

「アカデミック・ロモノソフ」は、元々はセヴェロドヴィンスク市「セヴマシュ造船所」で2007年4月15日に起工されました。
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2008年には、サンクト-ペテルブルク市「バルト工場」へ工事が引き継がれました。
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「バルト工場」の方が原子力水上船舶に関する豊富な経験を有していた事と、「セヴマシュ」ロシア海軍向けの原子力潜水艦などの新規建造に専念させる為です。

2010年6月30日には「バルト工場」で進水しました。
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その後、記事中で触れられているように、「バルト工場」は2011年に破産してしまった為、工事は中断しました。
それで、今回、「バルト工場」の後継会社である「バルト工場-造船」と、改めて建造契約が締結されたという事です。

財団法人「高度情報科学技術研究機構」公式サイトより。
【世界の原子力発電開発の動向・CIS】
>原子力発電所の建設が困難な遠隔地向けには海上浮遊型原子力発電所(タグボートで曳航・繋留)で対応する予定で、
>1号機として原子力砕氷船用の舶用炉KLT-40S・2基・出力7万kWを搭載した海上プラントを、
>カムチャツカ半島のビルチンスクに設置する計画である。

無論、これは浮揚原子力発電ステーション「アカデミック・ロモノソフ」を指しています。

ロシア海軍はベリエフA-42対潜水陸両用機を採用しない

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『イズベスチヤ』より
2012年12月14日0時1分配信
【(ロシア)国防省は水陸両用機A-42を拒否した】

Be-200の軍用派生型は、(ロシア)海軍の最低の必要条件しか満たしていない。


ロシア海軍は、新たな遠距離活動用水陸両用航空機A-42を拒否した。
(ロシア)海軍総司令部が『イズベスチヤ』へ通知した所によると、(ロシア)軍当局は、ベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体への研究開発の為の資金拠出の停止を確認した。

事実上、これはロシアのジェット水陸両用航空隊の閉鎖を意味している。

「水陸両用機プロジェクトへの資金拠出は、2011年に停止されました。
問題は、ベリエフがもはや資金供給作業について報告しておらず、私共も、事前に結果を知っていない事です」

対談者は『イズベスチヤ』に対し指摘した。

A-42は、非常事態省の森林火災を消す航空機として知られているBe-200の軍用の同類機である。
水陸両用機の捜索救助バージョンの開発契約は、軍とベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体との間で1988年に締結された。
しかし、作業は4半世紀後にも完了しておらず、今となっては完了の見込みは無い。

しかし、ベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体の代理人は、匿名を条件に『イズベスチヤ』へ表明した。
プロジェクトを続行する準備は完全に整っている事を。

「私共の活動は、明確な必要条件が作られる事によってのみ可能です。
業界全てが条件に協力して取り組んでおり、これを行うことができます-業界全てで作り上げます」

彼は、こう話したが、開発のアイデアについては示さなかった。

2006年、ベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体は、最初の試作航空機を提示し、一連の研究開発について報告した。
当初、国防省は、これに満足し、242万ルーブルの研究開発契約を締結した。
しかし、2010年、軍当局は、このプロジェクトには将来性が無い事を考慮し、翌年からの資金拠出を停止した。

更に国防省は、ベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体への訴訟を準備している。
不満足な作業に費やされた21万ルーブルをきっちりと回収する必要の為に。
今年11月28日、裁判所は、この訴訟を考慮し、製造工場から10万ルーブルの徴収を決定した。

長期防衛発注計画には、2015年までに時代遅れのBe-12を置き換える為、5機のA-42が編制に参加すると記されている。
確かに、海洋飛行士は、A-42プロジェクトは、現在の水陸両用機戦力を失わせると考えている。

「私は軍用については存じ上げておりませんが、非常事態省のBe-200は失敗作です。
機体は、取り扱いが非常に難しいのです。
機器の保守整備は、耐水保護が施されているが故に、エンジン内部を見る事は非常に困難となっております。
着水速度は非常に高く、動揺による影響を受けないように常に機体を監視する必要が有ります。
また、離着陸時には、非常に大量の燃料消費が必要なのです」

パイロットの1人は言った。

彼は、Be-200は一点においては優れていると付け加えた-12立方メートルの水を輸送できる事が。
それは、カナダターボプロップ水陸両用機CL-315のほぼ2倍であるが、燃料消費量や保守整備コストは、それ以上である。
緊急事態省のスタッフは、昨年のギリシャの火災において両タイプの航空機が一緒に活動した事例から学んだ。

軍事史家で海軍関連著書を執筆しているマクシム・トカレフ氏は、『イズベスチヤ』に対し、日本と中国を除く全世界は、大型の水陸両用機を使用していない事を想起させた。
多くの技術的問題、技術特性の低さと燃料消費の高さ故に。
ロシアに気象や海象条件が近いアメリカカナダは、大型の捜索救助ヘリコプターを使用している。

「小川で遭難した船舶の乗組員の為、陸上配置の哨戒航空機には、集合的な救助手段として、ヘリコプターでの避難を待つ間の食糧と医薬品のセットを有する自己拡張筏が有ります。
これでは、水陸両用機は必要ないでしょう」

専門家は説明した。

ウラジーミル・ザハロフ予備役少将の見解は、トカレフ氏とは異なる。

「最初のソヴィエトの水陸両用機Be-12は、1960年代に製作されましたが、非常に優れている有用な機体であり、今も就役しています。
捜索救助任務級の水陸両用機は、掛け替えのない行動半径を持っており、ヘリコプターの行動半径を越えています」

提督は『イズベスチヤ』に話した。

元々の発注によると、A-42は、純粋な救助航空機だった。
2008年、ベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体国防省は、それを汎用機とする事を決定した-輸送機、救助機、対潜機として。

このプロジェクトの為、胴体内の装備は、特別な対潜機器及び救助機器、輸送コンテナに変更でき、貨物は投下する事が出来る。
任務に応じてコンテナは変更できる。
コンテナの無い輸送機ヴァージョンの機体が提案されている。


【株式会社「G.M.ベリエフ記念タガンロク航空科学技術複合体」公式サイト】

今年9月7日、ベリエフA-42水陸両用機の開発元のベリエフ記念タガンログ航空科学技術複合体は、同社のA-42ロシア国防省の新たな対潜航空機の入札に参加すると表明しました。
[ロシア海軍、ベリエフA-42対潜水陸両用機を採用?]


ベリエフが開発した水陸両用機A-42は、ソ連邦時代末期に開発されたA-40「アリバトロース」の改良型です。
[水陸両用航空機A-40「アリバトロース」]
全幅:42.50m
全長:45.70m
全高:11.07m
翼面積:200.0平方m
自重量:440000kg
通常離陸重量:86000kg
最大離陸重量:90000kg
内部燃料搭載量:35000kg
エンジン:PNPPアヴィアドヴィガテリD-30TKPVターボファンエンジン(メイン、推力117.68kN)×2
クリモフRD-40Kターボジェットエンジン(補助、推力24.52kN)×2
最大速度:800km/h
巡航速度:720km/h
航続距離:5500km
4000km(ペイロード搭載時)
実用上昇限度:13000m
哨戒時間:12時間
乗員:4名
最大兵装搭載量:6000kg

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A-40「アリバトロース」は、ベリエフBe-12対潜飛行艇などの代替として1980年代に開発されましたが、ソ連邦解体後の財政難により、試作機が2機製造されただけに終わりました。


その改良型A-42も、今回の記事によれば、ロシア海軍に採用される可能性は無さそうです。
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[水陸両用航空機A-42]
全幅:42.50m
全長:45.70m
全高:11.07m
翼面積:200.0平方m
自重量:440000kg
通常離陸重量:86000kg
最大離陸重量:90000kg
内部燃料搭載量:35000kg
エンジン:PNPPアヴィアドヴィガテリD-30TKPVターボファンエンジン(メイン、推力117.68kN)×2
クリモフRD-40Kターボジェットエンジン(補助、推力24.52kN)×2
最大速度:800km/h
巡航速度:720km/h
航続距離:5500km
4000km(ペイロード搭載時)
実用上昇限度:13000m
哨戒時間:12時間
乗員:4名

【「ギドアヴィアサロン-2008」のA-42】


ベリエフ以外では、ロシア海軍の為の新たな対潜航空機として、ツポレフ旅客機Tu-214の対潜型を提案しています。
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[旅客機Tu-214]
全幅:42.00m
全長:46.20m
全高:13.90m
翼面積:182.4平方m
自重量:59000kg
最大離陸重量:110750kg
内部燃料搭載量:32000kg
エンジン:PS-90Aターボファンエンジン(推力16140kg)×2
巡航速度:810-850km/h
航続距離:6500km
4340km(ペイロード搭載時)
実用上昇限度:12100m
乗員:3名
ペイロード:乗客250名あるいは貨物25200kg

大型揚陸艦ツェーザリ・クニコフはブルガリアで修理を行なう

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【「ツェーザリ・クニコフ」は来年に修理の為ブルガリアへ行く】
2012年12月12日

黒海艦隊大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」は、2013年3月にセヴァストーポリを去り、ブルガリアで修理を行なう。
『中央海軍ポータル』は、黒海艦隊の情報提供者より伝えられた。

大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」の修理は、ヴァルナ艦船修理工場「フロートスキー・アルセナル」で予定されている。
艦は工場で中規模修理と近代化を行ない、この作業には2年掛かるだろう。
修理は、ブルガリアの旧ソヴィエト社会主義共和国連邦に対する国家債務の勘定で行なわれる。

同時期、ヴァルナには、クロンシュタットから練習艦「ペレコプ」が修理の為に到着するだろう。
2012年10月、「フロートスキー・アルセナル」は、「ペレコプ」と同型の練習艦「スモーリヌイ」の中規模修理を完了し、現在はノヴォロシースク海軍基地に滞在している。

一部の報道によると、2013年に練習艦「スモーリヌイ」は、ロシアの発注によりサンナゼールで建造されている「ミストラル」型揚陸ドック艦「ウラジオストク」の乗組員のフランス海軍将兵による訓練の為、トゥーロンにおいて宿泊施設として提供される。

プロジェクト775/II大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」(1989年5月10日までBDK-64)は、1986年にポーランドグダニスク造船所で建造された。
セヴァストーポリに駐留する黒海艦隊の海洋揚陸部隊の編制へ加入した。

[大型揚陸艦プロジェクト775の簡単な戦術-技術特性]
満載排水量-4000トン以上
主要寸法:全長-約112メートル、幅-15メートル、吃水-4.4メートル
最大速力-18ノット、航行範囲-12ノットで約6000海里
自立行動期間-30日
乗組員-15名の士官を含め約100名
兵装-2基の57mm砲装置AK-725
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2基の反応火力一斉射撃システム「グラート-M」122mm発射装置MS-73
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揚陸部隊収容能力-10輌の戦車と約300名の兵員



記事中で触れられていますが、大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」の他に、既にバルト艦隊練習艦「スモーリヌイ」ヴァルナでの修理を完了してノヴォロシースクへ移動しており、来年にはバルト艦隊練習艦「ペレコプ」ブルガリアで修理されます。

練習艦「スモーリヌイ」
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練習艦「ペレコプ」
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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
2012年11月27日
【練習艦「ペレコプ」は2013年に修理の為ブルガリアへ出発する】

2012年12月5日
【修理された練習艦「スモーリヌイ」はノヴォロシースクへ移動した】


これらの艦の修理は、ブルガリアの旧ソ連に対する債務返済の一環として行なわれます。


大型揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」は、2008年8月の南オセチア紛争に参加しています。

8月9-10日には、アブハジアへの空挺部隊輸送途中にグルジア海軍の襲撃を受けています。
(直接には戦闘へ参加していませんが)
[アブハジア沖の海上戦闘(2008年8月9~10日)とセルゲイ・メニャイロ中将]

カムチャツカ半島に新たな北東軍集団司令官が着任した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区広報サービス発表
2012年12月13日11時20分配信
【ロシア北東軍集団の新たな司令官が紹介された】

12月12日、太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツ少将は、2012年10月14日のロシア連邦大統領令第1366号により任命された新たなロシア北東軍集団の司令官ヴィクトル・リーナ少将を紹介した。

着任式典は、ペトロパブロフスク-カムチャツキー北東軍集団司令部の会議室で行なわれた。
伝統に従い、前司令官コンスタンチン・マルコフ少将から軍旗が太平洋艦隊合同指揮官へ返納され、次に、ヴィクトル・リーナ少将へ手渡された。
その後、軍旗の引き渡しは公式記録へ記された。

ヴィクトル・リーナは、1968年6月19日にプスコフ州ペチョーラで生まれた。
彼は、レニンスキー・コムソモール記念海軍高等学校の水中航海部門を卒業した。

少将の階級は、2012年8月9日のロシア連邦大統領令により与えられた。
以前、ヴィクトル・リーナ少将は白海海軍基地司令官に任命されていた。


北東軍集団は、カムチャツカ半島に駐留するロシア海軍の各種部隊(原子力潜水艦戦隊、水上艦艇部隊、海軍歩兵連隊、海軍航空隊、沿岸ミサイル部隊など)を統合したものです。
更には、カムチャツカ半島に駐留するロシア陸軍ロシア空軍の各部隊も指揮下に置いています。

そのカムチャツカ方面のロシア軍の司令官に、44歳のヴィクトル・リーナ少将が就任しました。

太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツ少将(左)と北東軍集団司令官ヴィクトル・リーナ少将(右)
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太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツ少将
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前北東軍集団司令官コンスタンチン・マルコフ少将
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北東軍集団の士官たち
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記事中にも有りますが、ヴィクトル・リーナ少将は、以前は北方艦隊白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク)司令官を務めており、インド航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」が修理の為セヴェロドヴィンスクへ入港した際にも出迎えています。
[空母ヴィクラマーディティヤ、セヴェロドヴィンスク入港(2012年9月23日)]

ヴィクトル・リーナ氏が少将に昇進した同じ日、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ提督も昇進しています。
[ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフは大将に昇進した]

ヴィリュチンスク原潜基地の近代化はスケジュール通りに進んでいる

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ヴィリュチンスク原潜基地の更新はスケジュール通りであるとプーチンは確言した】
モスクワ、12月13日-ロシア通信社ノーボスチ

ヴィリュチンスク(カムチャッカ)における原子力潜水艦基地の更新は続けられている。
ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは表明した。

そこ(ヴィリュチンスク)には、太平洋艦隊の全ての原子力潜水艦の主要基地が所在する。
現在、ヴィリュチンスクで進行中の近代化は、原子力潜水艦「ボレイ」型及び「ヤーセン」型を駐留させるための作業である。
これら(の原子力潜水艦)は、来年に軍備採用されるだろう。

「ロシアは、我々の原子力潜水艦の為に、ちょうど2つの基地を必要としております~ヨーロッパ方面と極東で。
領域を確保し、我々の安全を保障する非常に協力でバランスのとれた国を作る事が必要です。
これらの遠く離れた2つのセンターは、軍事戦略的見地から非常に重要であります」

木曜日、プーチン氏は、立法議会の会議において話した。

彼は、原子力潜水艦隊が発展する事を強調し、国家防衛力強化プログラムの枠組み内において、陸軍と海軍の軍備は更新され、新たな原子力ロケット艦が受領される。

「ヴィリュチンスク基地を含む装備更新計画は、全てスケジュール通りに進んでおります」
プーチン氏は強調した。

更に、基地の海軍将兵の家庭の生活環境は改善されていると大統領は付け加えた。
(2012年12月13日17時06分配信)


カムチャツカ半島ペトロパブロフスク-カムチャツキー湾内にあるヴィリュチンスクには、ロシア太平洋艦隊原子力潜水艦が配備されています。
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現在は、3タイプで計13隻の原子力潜水艦が配備されています。
(ただし、修理の為、沿海地方へ回航されている艦も有ります)

・プロジェクト667BDR(デルタIII級)原子力戦略用途水中巡洋艦×3隻
K-223「ポドリスク」
K-433「シヴィャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツ」
K-44「リャザン」

・プロジェクト949A(オスカーII級)原子力水中巡洋艦×5隻
K-132「イルクーツク」
K-442「チェリャビンスク」
K-456「トヴェリ」
K-186「オムスク」
K-150「トムスク」

・プロジェクト971(アクラ級)原子力巡洋潜水艦×5隻
K-263「バルナウル」
K-322「カシャロート」
K-391「ブラーツク」
K-331「マガダン」
K-419「クズバス」


将来的には、新世代の原子力潜水艦「ボレイ」級及び「ヤーセン」級が配備されます。
[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

ヴィリュチンスクでは、新世代原潜を配備する為の然るべきインフラ整備が行なわれます。
[カムチャツカ半島の基地設備はボレイ級戦略原潜に適していない]
[ボレイ級戦略原潜の為、カムチャツカ半島に新たな設備が建設される]

2012年9月5日のヴィリュチンスク基地の画像を見ると、左端の原潜用桟橋に何かが増設されています。
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2010年4月17日の画像には見当たりませんから、この2年で増設されたようです。
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最初に太平洋艦隊へ配備される「ボレイ」級戦略原潜は、「アレクサンドル・ネフスキー」になります。
[2014年にロシア太平洋艦隊へ新世代戦略原潜ボレイ級が配備される]
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]

「ヤーセン」級多用途原潜は、現在のところ、太平洋艦隊配備の具体的な計画は有りません。
1番艦「セヴェロドヴィンスク」北方艦隊へ配属されます。

ただ、将来的には7、8隻以上の建造が予定されている「ヤーセン」級原潜の何隻かは太平洋艦隊へ配備されるでしょう。

『ロシースカヤ・ガゼータ』より。
2012年2月20日配信
ウラジーミル・プーチン寄稿論文
【強くあれ:ロシアの為の確実な国家安全保障】

この論文の中でプーチン氏は、「ボレイ」級戦略原潜と、同級のカムチャツカ半島への配備に言及しています。

「2002年当時の参謀総長は覚えている。むろん、良い印象ではなかったが。
彼は、カムチャツカに配備されている全ての戦略潜水艦の撤収を提案してきたのだ。
だが、それでは、我々は太平洋における海洋核戦力を失ってしまう。
私は、そのような決断を下さなかった」
「そして今、我々は、すぐにでも新世代潜水艦ボレイ型が戦闘当直を実施できる最新の基地をヴィリュチュンスクに有している」
(註:「最新の基地」はプーチン氏の勘違いであり、実際には、福利厚生の為の施設がヴィリュチュンスクに建設された)


更にプーチン氏は、今後10年で「8隻の戦略用途ロケット水中巡洋艦」「約20隻の多用途潜水艦」「約50隻の水上戦闘艦」を取得するとも述べています。


プーチン大統領は、今年7月末、2020年までに51隻の水上艦と24隻の潜水艦を取得すると発言しています。
[ロシア海軍は2020年までに51隻の新型水上艦と24隻の新型潜水艦を取得する]

新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスク、国家試験に不合格?

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『イズべスチヤ』より
2012年12月12日14時01分配信
【「セヴェロドヴィンスク」は2年間引き留められる】

(ロシア)海軍総司令部及び潜水艦部隊司令部へ、北方艦隊の最新潜水艦の国家試験の評価が届けられた。


最新多用途潜水艦プロジェクト855「セヴェロドヴィンスク」は 10月末の国家受領試験の第2段階を通過していないと国家受領委員会のメンバーは表明した。
その1人である現用潜水艦の士官が『イズベスチヤ』に伝えた所によれば、数多くの問題点が発見された。

「最初は、2011年10月でした。
その後、私共は、数百に渡る注意点及び問題点を発見し、製造工場セヴマシュは、それを可能な限り速やかに除去すると約束しました。
今回の問題点は、前回よりも多かったのです」

彼は話した。

海軍将兵の主な苦情は、潜水艦の主要打撃力である有翼ミサイル「カリブル」に対するものである。

試験計画によると、「セヴェロドヴィンスク」は、水中位置からのものと移動海上目標に対するものを含め3回の発射訓練を実施する。
水中からの試射の1回は不成功であった。

「(ロシア)海軍総司令部と統合造船業営団は、現在、決断を下しています。
潜水艦の仕上げと再度の国家試験を全て行ない、操作中に欠陥を取り除いてから海軍へ引き渡す事を。
プロジェクト855潜水艦は13年間に渡り建造されており、もはや受領を決定すべき時です」

海軍士官は話した。

彼は、(国家受領)委員会は、最も目立つ問題点を除去し、近い内に潜水艦隊へ引き渡す選択肢へ傾倒していると付け加えた。
そして、「セヴェロドヴィンスク」は、来年の前半期には(ロシア海軍の)編制へ加入するだろう。
或いは、新たな年に第3の国家受領試験を行なった場合には、来年の後半期になるだろう。
最良の場合には。


しかし、(ロシア)海軍総司令部は、潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の問題を比較的冷静に評価しており、受領スケジュールの失敗を否定する。
(ロシア海軍)総司令部の情報提供者は『イズベスチヤ』に対し、10月に実施されたのは国家受領試験では無く、標準装備兵器の中間発射試験であったと表明した。

「(カリブルの)試射には、海軍及び造船所だけではなく、"カリブル"ミサイルの開発者であるノワトール設計局の指導部も参加しています。
最も注目を支払うべきは、水上目標を破壊した事です」

彼は話した。

彼によると、発見された全ての問題点は除去された。
エンジン、排水システム、メインバラスト、原子炉及び潜水艦の他の重要な箇所は正常に動作している。
これは、昨年、国家受領試験に先行して行なわれた係留試験や工場航海試験において確認されている。

(ロシア海軍)総司令部の士官はプロジェクト855について説明した。
非常に複雑な技術および機器は、まず第1に、新世代の潜水艦ミサイル戦闘情報管理システムと「提携させる」必要が有る。
「セヴェロドヴィンスク」の戦闘情報管理システムに加え、文字通り、他にも、潜水艦の乗組員の特別な訓練作業の為の「電子の頭脳」が詰まっている。

「例えば、通常の潜航ハンドルの代わりに航空機の電子ジョイスティック型が設置されています。
改訂後の"カリブル"ミサイルは、潜水艦の新たな国家試験に合格しています」

彼は、『イズベスチヤ』に対し付け加えた。

しかし、試験に参加した潜水艦士官が『イズベスチヤ』に説明した所によれば、これら(の試験)は全て国家がやった事であり、(ロシア)海軍総司令部が確言した中間(試験)では無い。

「10月の試験には、すべての潜水艦機器の設計主任或いは(主任)第一代理が参加しました。
通常の試射は行なわれていません」

彼は強調した。

統合造船業営団の公式代理人アレクセイ・クラフチェンコは、コメントを拒否した。
同社の他の代理人によると、試験に関する文書は非公開である。
(ロシア)国防省の公式代理人からのコメントは得られていない。


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[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水した多用途原潜K-329「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。

2012年10月19日、多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」は、4回目の工場航海試験を終了しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは工場航海試験を完了した]

10月30日、「セヴェロドヴィンスク」は海洋試験の為に再び出航しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクの最終試験が始まった]

11月7日、「セヴェロドヴィンスク」は、潜航状態で有翼ミサイル「カリブル」対艦攻撃型の発射試験に成功しました。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対艦ミサイルの発射試験に成功した]

11月26日、「セヴェロドヴィンスク」は、浮上状態で有翼ミサイル「カリブル」地上攻撃型の発射試験に成功しました。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対地ミサイルの発射試験に成功した]

11月28日、「セヴェロドヴィンスク」は、潜航状態で有翼ミサイル「カリブル」対地攻撃型の発射試験に成功しました。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクは3回連続でカリブル有翼ミサイルの発射試験に成功した]

しかし11月30日、ロシア連邦国防省の国家防衛発注・供給部長は、「セヴェロドヴィンスク」の引き渡しが2013年になると発表しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年にロシア海軍へ引き渡される]


今回の記事前半に登場する「国家受領委員会のメンバー(潜水艦乗り組みの士官)」によると、3回実施された有翼ミサイル「カリブル」発射試験の内1回は失敗していたとの事です。
失敗したのは水中からの発射との事ですから、11月7日に実施された対艦型の試射か11月28日に実施された対地型の試射という事になります。

ただし、記事後半に登場する「ロシア海軍総司令部の情報提供者」は、カリブルの発射試験は全て成功したと言っています。
特に、対艦型の試験(11月7日に実施)は。

記事末尾で、「統合造船業営団」がコメントを拒否したと書かれていますが、以前の経緯を見る限り、「統合造船業営団」『イズベスチヤ』に対し非好意的です。

今年10月初頭、『イズべスチア』は、新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」が11月末にバレンツ海で航海試験を開始すると報じ、「統合造船業営団」に否定されています。
[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は11月末に航海試験を行なう]
[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は11月末に航海試験を実施しない]

11月下旬、『イズベスチヤ』紙は、ロシア海軍将来航空母艦及び新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」に関し、否定的な記事を配信しました。
[ロシア海軍総司令部は原子力空母設計案を拒否した]
[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」の建造は長期化する]

「統合造船業営団」は、これにも反論しています。
[空母とフリゲートに対するロシア海軍の不満には根拠が無い]


『イズベスチヤ』は、ロシア国防省からもコメントを得られなかったとの事ですが、こちらも『イズベスチヤ』を信用していないのでしょうか。

ロシア海軍はソマリア沖海賊対処任務を続ける

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ロシア連邦軍機関紙『クラースナヤ・ズヴェズダー』より
2012年12月11日17時44分配信
【海賊活動エリアで】

ロシア海軍は、2013年もアデン湾及びアフリカの角エリアにおける常時滞在を止める事は無い。
ロシア連邦国防省海軍の広報サービス・情報管理部代表が発表した所によれば、この不安定なエリアへ、少なくとも3回の戦闘艦船の航海が計画されている。

彼は、2008年から2012年までに、我が戦闘艦が、海賊活動が活発なエリアへ13回の航海を行ない、733隻のロシア及び外国船舶を先導した事を想起した。
12月下旬、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」、給油船「イルクト」、救助曳船「アラタウ」で構成される太平洋艦隊艦船支隊は、民間商船への海賊攻撃の警戒を始める。

黒海艦隊大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」「サラトフ」地中海航海の後、ノヴォロシースクへ戻った。
これは、南方軍管区広報サービスの発表である。
大型揚陸艦は、1ヶ月間に渡り黒海艦隊グループの一員として遠海ゾーンにおける任務を遂行した。


記事中で触れられていますが、ロシア海軍は、2008年10月の警備艦「ネウストラシムイ」以降、今年5月の大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」まで13回に渡りアデン湾へ海賊対処部隊を派遣しています。

1:警備艦「ネウストラシムイ」
2:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
3:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
4:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
5:大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」
6:警備艦「ネウストラシムイ」
7:大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
8:大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
9:大型対潜艦「アドミラル・ヴィノグラドフ」
10:大型対潜艦「セヴェロモルスク」
11:大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
12:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」
13:大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」


現在、アデン湾には、太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とする海賊対処部隊が向かっています。
[ロシア-インド海軍合同演習「インドラ-2012」は終了した]

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
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左がロシア太平洋艦隊海賊対処部隊指揮官ウラジーミル・ウドヴェンコ少将
中央は大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦長アンドレイ・クズネツォフ1等海佐。

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更に、北方艦隊大型対潜艦「セヴェロモルスク」ソマリア沖へ派遣される事が明らかにされています。
[北方艦隊の大型対潜艦セヴェロモルスク、ソマリア沖へ]

大型対潜艦「セヴェロモルスク」
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当初は、黒海艦隊の艦船グループ(親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、警備艦「スメトリーヴイ」、大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」、「サラトフ」、海洋曳船MB-304、大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」)がソマリア沖へ派遣される予定でしたが、ガザ地区の情勢悪化により中止され、地中海東部に留まりました。
[ロシア黒海艦隊戦闘艦船支隊、ガザ地区沖へ派遣?]
[ロシア黒海艦隊艦船支隊はガザ地区からのロシア人避難を準備する]

この内の大型揚陸艦2隻は、12月11日にノヴォロシースクへ入港しました。
[黒海艦隊の大型揚陸艦はノヴォロシースクへ到着した]


間もなくアデン湾へ到着する太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、以前にもアデン湾へ派遣されており、2010年5月にはソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

ソマリア海賊にとっては最も嫌な相手でしょう。

黒海艦隊の大型揚陸艦はノヴォロシースクへ到着した

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【黒海艦隊の大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」と「サラトフ」は地中海での任務遂行を完了した】
2012年12月11日

黒海艦隊大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」「サラトフ」地中海航海の後、ノヴォロシースクへ到着した。
艦は1ヶ月間に渡り黒海艦隊グループの一員として遠海ゾーンにおける任務を遂行した。

基地への寄港後、艦の乗組員は物資を補充し、艦隊の戦闘訓練計画に従い、日常業務活動を始める。


大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」
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大型揚陸艦「サラトフ」
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大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」「サラトフ」を含むロシア黒海艦隊の艦船がソマリア沖へ派遣されると最初に発表されたのは11月8日です。
[ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く]
当初の計画では、太平洋艦隊から派遣される艦船支隊と合同でアデン湾海賊対処任務を遂行する筈でした。

11月22日には地中海東部へ集結しました。
[ロシア黒海艦隊ソマリア派遣部隊は地中海東部に集結した]

しかし11月23日、ガザ地区の情勢悪化の為、そのまま地中海東部へ留まる事になりました。
[ロシア黒海艦隊戦闘艦船支隊、ガザ地区沖へ派遣?]
[ロシア黒海艦隊艦船支隊はガザ地区からのロシア人避難を準備する]

結局、黒海艦隊艦船部隊ソマリア行きは中止されました。
[黒海艦隊艦船のソマリア行きは取り止めとなる]

そして大型揚陸艦2隻は基地へ戻る事になりました。
[黒海艦隊の大型揚陸艦はセヴァストーポリへ戻る]

黒海艦隊の大型揚陸艦はセヴァストーポリへ戻る

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『イタル-タス』より
2012年12月7日18時17分配信
【参謀本部の特別な指示により黒海艦隊艦船は地中海航海を中止して帰港する】
モスクワ、12月7日/イタル-タス

ロシア連邦黒海艦隊戦闘艦船支隊地中海航海を中止して帰港するのは「参謀本部の特別な指示」によるものである。
本日(12月7日)、イタル-タスは、ロシア軍参謀本部の情報提供者より伝えられた。

「この地域の作戦状況が変化した為、今後、支隊は海峡ゾーンの手前のエーゲ海に留まるようにとの参謀本部からの特別な指示を受けました」
情報提供者は話した。

「艦船支隊を黒海海峡の手前に留まらせる決定は、地中海における不安定な作戦状況に関連するものです。
間もなく、ロシア艦船は新たな指示を受けるでしょう。
特別な指示として、彼らはエーゲ海に留まります。
彼らが、以前に戦闘勤務を行なっていたエリアへ戻る可能性は除外されません」

対談者は話した。


2012年12月8日14時00分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦は地中海航海から母国へ戻る】
モスクワ、12月8日/イタル-タス

ロシア連邦黒海艦隊大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」「サラトフ」地中海航海から常時駐留場所への帰還に関し、ロシア海軍総参謀部は、このクラスの艦を、現在、地中海東部で行動している黒海艦隊グループの構成へ指向させる事が必要な時期についての問題を検討した。
本日(12月8日)、イタル-タスは、ロシア国防省広報サービス・情報管理部より伝えられた。

「黒海艦隊艦船支隊の一員として地中海東部で任務を遂行していた親衛ロケット巡洋艦モスクワ、大型揚陸艦ノヴォチェルカッスクとサラトフは、常時駐留場所へ戻ります」
国防省は通報した。

黒海艦隊戦闘艦船支隊は、以前、ソマリア沿岸エリアへ向かっており、そこで太平洋艦隊の艦船が加わる筈だった事が想い起される。
2つの艦隊の合同グループが構成され、アフリカの角エリアで海賊対処任務を遂行する計画だった。

「しかし、その後、パレスチナ-イスラエル紛争ゾーンでの情勢悪化を受け、黒海艦隊の戦闘艦はパレスチナ自治政府領からのロシア市民の避難準備の為、ガザ地区沖合に留まるように命ぜられました」
軍当局は指摘した。

それ故に、国防省が述べたように、黒海艦隊艦船支隊スエズ運河通過は「 後日に延期されました」

「これに関連して」
国防省は指摘した。
「海軍総司令部は、艦上に居る徴集兵を退職させる為、艦を常駐場所へ戻す決定を下しました」

黒海艦隊戦闘艦船支隊を構成する他の艦船は、地中海東部での任務遂行を継続している。


ロシア黒海艦隊の艦船がソマリア沖へ派遣されると最初に発表されたのは11月8日です。
[ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く]
当初の計画では、太平洋艦隊から派遣される艦船支隊と合同でアデン湾海賊対処任務を遂行する筈でした。
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11月22日には地中海東部へ集結しました。
[ロシア黒海艦隊ソマリア派遣部隊は地中海東部に集結した]

しかし11月23日、ガザ地区の情勢悪化の為、そのまま地中海東部へ留まる事になりました。
[ロシア黒海艦隊戦闘艦船支隊、ガザ地区沖へ派遣?]
[ロシア黒海艦隊艦船支隊はガザ地区からのロシア人避難を準備する]
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結局、黒海艦隊艦船部隊ソマリア行きは中止されました。
[黒海艦隊艦船のソマリア行きは取り止めとなる]

更に今回の記事によると、帰還の理由として、艦船部隊に乗っている徴集兵の任期満了による退職時期も関係しているとの事です。
このまま海上に留まれば、任期が満了しても退職できないという事でしょう。
因みに、ロシア連邦軍の新年度は12月1日から始まります。

ソマリア沖へ派遣される予定だった黒海艦隊艦船の内、この3隻はセヴァストーポリへ帰港します。

親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」
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大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」
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大型揚陸艦「サラトフ」
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ただし、今回の記事によると、こちらの3隻は引き続き地中海東部に留まります。
警備艦「スメトリーヴイ」
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大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」
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海洋曳船MB-304
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更には、黒海艦隊艦船のスエズ運河「後日に延期」されたとの事であり、完全に中止となったわけでは無いようです。


既に、北方艦隊大型対潜艦「セヴェロモルスク」ソマリア沖へ派遣される事が明らかにされています。
[北方艦隊の大型対潜艦セヴェロモルスク、ソマリア沖へ]

地中海東部に引き続き留まる3隻が「セヴェロモルスク」と共にスエズ運河を通過し、ソマリア沖へ行く可能性も有ります。

空母ヴィクラマーディティヤは2013年初夏に航海試験を再開する

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『イタル-タス』より
2012年12月8日17時24分配信
【航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」は2013年初夏に再び海洋で試験を行なう】
アルハンゲリスク、12月8日/イタル·タス通信ウラジーミル・アヌフリエフ

2013年初夏、セヴェロドヴィンスク防衛造船所「セヴマシュ」で近代化されたインド海軍航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」/旧ロシア巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」は、再び海洋で試験を行なう。
今日(12月8日)、イタルタス通信は、工場の報道秘書官エカテリーナ・ピリキナより、アルハンゲリスク地方知事イーゴリ・オルロフと同艦のインド人乗組員の指揮官スラジート・ベリー大佐とセヴマシュの軍事技術協力製品生産部長セルゲイ・ノヴォセロフの会談の結果を伝えられた。

9月23日、「ヴィクラマーディティヤ」は、海洋での全速試験の際に発覚した問題点を除去する為、セヴマシュの停泊所へ戻ってきた。

「セヴマシュ以外の他の企業に、艦の修理及び近代化のような大いなる課題を解決する事は出来ません。これは非常に高レベルの課題です」
ベリーは話した。

3ヶ月に渡る海洋試験で航空母艦は良好な操縦特性を示し、27.9ノット/時速52kmの速力を発揮し、その機動性は、起工時の数値よりも遥かに優れていた。
ロシア航空機製造組合「ミグ」の専門技術者は、指定された軌道で航空機を成功裏に発艦させる事が出来る幾何学的なトランポリン台を高く評価した。
艦の試験中に12000海里を航行し、甲板からは517回に渡り、異なるタイプの航空機およびヘリコプターの飛行が行なわれた。

現在、「ヴィクラマーディティヤ」は、「セヴマシュ」の岸壁に配置され、艦の試験中に発覚した問題の箇所に関する作業が行なわれている。
「セヴマシュは、問題点の除去に積極的に関与しており、現在は火力に関する作業が進行中です。
艦上での活動スケジュールは、ロシア航空機製造組合ミグ、株式会社カモフ、ロシア海軍を含む多くの契約参加者及び試験参加者の同意を得ました。
スケジュールによると、2013年初夏には再びヴィクラマーディティヤの試験を実施できるでしょう」

ノヴォセロフは指摘した。

航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」インド海軍への引き渡しは今年12月4日の予定だった。
しかし、船舶用ボイラーを含む問題が発覚した故に、航空母艦の引き渡し時期は2013年末に延期された。

2004年1月にニューデリーで署名された政府間の一括合意により、ロシア航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」の船体は、「セヴマシュ」での近代化と、ロシア製の艤装品と航空機を付けるという条件で、インドへ無償譲渡された。
更にロシアは、航空母艦インド人乗員約1,500名の教育を実施する。

当初の契約総額は15億ドルであり、同艦を航空母艦へ再艤装する為の全ての作業は2008年に完了する計画だった。
しかし、契約履行時期は遅れた。

ロシア側は、作業量の過少評価と、艦の近代化への追加支払の必要を表明した。

2010年3月12日、ウラジーミル・プーチンインド訪問中に、航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」(全能の神)の修理及び近代化に関する改訂された費用の追加契約が締結された。
インド側によると、ロシアからの航空母艦の購入の為に23億3000万ドルの費用が掛かる。
同艦の就役期間は30年と見られている。


株式会社「生産合同セヴマシュ」公式サイトより
2012年12月8日配信
【航空母艦は夏に再び海へ】


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[空母ヴィクラマーディティヤ(旧ブログ)]
[空母ヴィクラマーディティヤ]

今年(2012年)12月に就役する筈だったインド空母「ヴィクラマーディティヤ」(旧ロシア海軍重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」)ですが、航海試験中にボイラーが損傷し、引き渡し時期が延期される事になりました。
[空母ヴィクラマーディティヤ、引渡し延期?]

「ヴィクラマーディティヤ」は、残り5基のボイラーで23ノットまで出すことは可能であり、自力でセヴェロドヴィンスクへ向かいました。
[空母ヴィクラマーディティヤは23ノットでセヴェロドヴィンスクへ向かっている]

そして、「ヴィクラマーディティヤ」に使われた耐火レンガなどに問題が在る事が明らかにされました。
[空母ヴィクラマーディティヤに使われている外国製品に問題が生じた]
[中国はロシアへの耐火レンガ輸出を否定した]

結局、「ヴィクラマーディティヤ」の引き渡しは2013年末になるようです。
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年10-12月にインドへ引き渡される]
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年末にインドへ引き渡される]

問題の耐火レンガは、結局アスベストに変更される事になりました。
[インドは空母ヴィクラマーディティヤのボイラーへのアスベスト使用に同意した]

今年11月下旬、「ヴィクラマーディティヤ」の海洋試験は2013年7月3日から開始されると報じられました。
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年7月3日から再び航海試験を開始する]


今回の記事では、「2013年初夏」としか書かれていませんが、だいたいこの時期に行うという事でしょう。

北方艦隊の大型対潜艦セヴェロモルスク、ソマリア沖へ

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【大型対潜艦「セヴェロモルスク」は2週間後に遠距離航海へ出発する】
2012年12月7日

北方艦隊大型対潜艦「セヴェロモルスク」は12月20日に戦闘勤務に就き、2013年5月に航海を完了する。
これは、『中央海軍ポータル』北方艦隊の情報提供者より伝えられた事である。

遠距離航海へ出発する前、艦は到来する軍の新訓練年度の北方艦隊の最初の戦闘訓練プログラムにより射爆場へ出航し、遠距離航海の前の組織的な実弾射撃を実施した。

「海洋に居る間、艦の乗組員は夜間の極地という条件下において船舶航行には厳しい複雑な気象条件を有するエリアでの演習任務を果たしました」
北方艦隊の公式代理人は発表した。
「セヴェロモルスク」は、海洋における艦の被害極限を含む数十回の艦内訓練を行なった。

12月20日の新たな航海の目的は、予備情報によれば、アフリカの角及びソマリア沿岸エリアにおける航行の安全保障である。

2011年5月8日から10月23日、艦はアデン湾における常時戦闘勤務の課題の遂行で優秀さを示した。
海賊攻撃の脅威から商船を保護する「セヴェロモルスク」は、11の船団の41隻の船舶を先導し、紅海に面したイエメンフダイダ港南西45海里で海賊の襲撃を受けたギリシャタンカー「ユナイテッド・エンブレム」が乗っ取られるのを防いだ。


プロジェクト1155「フレガート」級大型対潜艦「セヴェロモルスク」は、1984年6月12日にカリーニングラードヤンターリ造船所で起工されました。
当初の艦名は「マルシャル・ブジョーンヌイ」でした。
1985年12月24日に進水し、1987年12月30日にソ連海軍へ引き渡されました。
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1988年1月24日、赤旗北方艦隊へ編入されました。

1990年、「シンフェローポリ」と改名されました。

1991年7月16日~20日にはロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」と共にアメリカメイポートを訪問しました。
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1996年1月21日、「セヴェロモルスク」と改名されました。

2008年1月には就役20周年を迎えました。
[ウダロイ級駆逐艦「セヴェロモルスク」就役20周年]


2009年にはフランス、イギリス、アメリカ、ロシア4ヶ国合同海軍演習「フルークス」に参加しました。
[ロシア海軍は、国際海軍演習「FRUKUS-2009」に参加する]
[ロシア海軍艦艇、フランスのブレストを訪問]
[ロシア海軍艦艇、アイルランド訪問]
[ロシア軍艦はダブリンを去った]


今回の記事で触れられていますが、大型対潜艦「セヴェロモルスク」は、昨年(2011年)5月にもアデン湾へ派遣され、海賊対処任務を遂行しています。

2011年9月10日、「セヴェロモルスク」は、紅海で海賊に乗り込まれたギリシャタンカー「ユナイテッド・エンブレム」を解放しました。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【大型対潜艦「セヴェロモルスク」の海軍歩兵はギリシャのタンカーを海賊から解放した】
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大型対潜艦「セヴェロモルスク」は、今年12月初頭にバレンツ海へ出航して戦闘訓練を実施しました。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍西方軍管区広報サービス発表
2012年12月5日17時40分配信
【大型対潜艦「セヴェロモルスク」はバレンツ海で複合戦闘訓練任務を遂行した】


そして今回の記事によると、「セヴェロモルスク」は、12月20日に出航してアデン湾へ向かい、再び海賊対処任務に就くようです。

現在、アデン湾には太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とする海賊対処部隊が向かっています。
[ロシア-インド海軍合同演習「インドラ-2012」は終了した]

これに北方艦隊「セヴェロモルスク」も加わるようです。
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『イタルタス』より
2012年12月8日14時29分配信
【インド洋の太平洋艦隊の海賊対処支隊は、2013年1月に北方艦隊艦船が補充される】

ロシア海軍参謀部の情報提供者によると、「セヴェロモルスク」は2013年1月にアデン湾へ到着し、太平洋艦隊「マルシャル・シャーポシニコフ」と合同で海賊対処任務を遂行するとの事です。


以前には、黒海艦隊の艦船部隊がアデン湾へ行くと発表されましたが、ガザ地区の情勢悪化の為に地中海東部に留まる事になり、アデン湾行きは中止されました。
[黒海艦隊艦船のソマリア行きは取り止めとなる]

その代わりに北方艦隊「セヴェロモルスク」アデン湾へ行くようです。

新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは就役前の「試験任務」を行なう

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」は大深度で任務を果たす】
サンクト-ペテルブルク、12月6日-ロシア通信社ノーボスチ

最新戦略原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」(プロジェクト955、整理名「ボレイ」)は、2013年の軍備採用以前に大深度を含む海洋で一連の試験任務を果たす。
木曜日、ロシア通信社ノーボスチは、サンクト-ペテルブルクの地域間公共組織「極地協会」の会議中にロシア連邦海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将より伝えられた。

先だって彼は、最新戦略原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」、「アレクサンドル・ネフスキー」及び多用途原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」(プロジェクト885、整理名「ヤーセン」)の軍備採用が2013年に繰り延べされたと述べた。
しかし、繰り延べの理由についてチルコフ氏は説明しなかった。

「僕達の為の主な基準~それは品質であり、それは造船所も理解しております。
現在は、潜水艦の個々の艦載居住保障システムの点検段階が予定されています。
その後に、大深度を含む海洋で一連の試験任務が実施されます」

チルコフ氏は話した。

原子力潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」からの海洋弾道ミサイル「ブラヴァー」の発射時期についての質問に対する総司令官の答えは短いものだった。
「全ては計画通りです」

「ユーリー・ドルゴルーキー」は、海洋工学中央設計局「ルビーン」(サンクトペテルブルク)が設計した第4世代水中ロケット艦シリーズの1番目である。
1996年11月2日に「セヴマシュプレドプリャーチェ」で起工され、同時に「ユーリー・ドルゴルーキー」と命名された。
全長170メートル、幅13.5メートル、総排水量2万4千トンの巡洋艦の武装は、モスクワ熱技術研究所が開発した16基の「ブラヴァー-30」ミサイルである。

このタイプのミサイルは、個別に誘導され、防空手段を克服する改善された特性を有する10基の核ブロックを搭載できる。
「ブラヴァー」の射程範囲は8000キロメートルである。
弾道ミサイルに加え、潜水艦には魚雷発射管が装備されている。
核動力装置で駆動する1軸のスクリューにより、浮上時に15ノット、水中で29ノットの速力に達する事が出来る。

ロシア海軍司令部の計画によると、プロジェクト955戦略潜水艦は、現在、戦闘勤務に在る潜水艦プロジェクト941(「アクラ」、NATO分類「タイフーン」)、プロジェクト667BDR(カリマール、NATO分類デルタIII)プロジェクト667BDRM(デルフィン、NATO分類デルタIV)が艦隊の戦闘編制から除かれる2018年以降、ロシア海洋戦略核戦力の中核とならなければならない。
(2012年12月6日16時20分配信)


[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]
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ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ提督によると、新世代戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」、「アレクサンドル・ネフスキー」、新世代多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」の3隻は、2013年に軍備採用(ロシア海軍へ引き渡し)されるとの事です。

今年10月22日、当時のロシア連邦国防長官アナトーリー・セルジュコフ氏は、「ユーリー・ドルゴルーキー」の軍備採用が2013年になると発言しています。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]

この時、同型艦「アレクサンドル・ネフスキー」に関しては、「2014年にはここ(太平洋艦隊)に居る」としか発言していなかったのですが、これを「2014年の軍備採用」と誤解する人は少なくありませんでした。

しかし、今回のチルコフ提督の発言により、「アレクサンドル・ネフスキー」も2013年に軍備採用の予定である事が明らかにされました。

「アレクサンドル・ネフスキー」からの弾道ミサイル「ブラヴァー」発射試験の正確な日程は、現在のところは未定のようです。
[ボレイ級戦略原潜アレクサンドル・ネフスキーからのブラヴァー発射の日時は決定されていない]

「ユーリー・ドルゴルーキー」は、ロシア海軍へ引き渡された後、北方艦隊へ配備されます。
[ボレイ級戦略原潜1番艦ユーリー・ドルゴルーキーは2012年に北方艦隊へ配備される]
[新世代戦略原潜ボレイ級1番艦は北方艦隊へ、2番艦は太平洋艦隊へ配備される]
[ガジェーヴォ基地に新世代原潜が配備される]
ただ、引き渡しが2013年に延びたので、北方艦隊への配備も2013年に延びます。

「ユーリー・ドルゴルーキー」に関しては、いったん北方艦隊へ配備された後、太平洋艦隊へ転属するという情報も出ていましたが、今年10月22日、セルジュコフ国防長官(当時、現在はセルゲイ・ショイグ)は「2014年にアレクサンドル・ネフスキーはここ(太平洋艦隊)に居る」としか言っていません。
もしも「ユーリー・ドルゴルーキー」太平洋艦隊へ配備するのならば、セルジュコフ氏は「2014年にユーリー・ドルゴルーキーとアレクサンドル・ネフスキーはここ(太平洋艦隊)に居る」と言っている筈です。

多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」の軍備採用が2013年に延期される件については、今年11月末にロシア連邦国防省国家防衛発注・供給部長アンドレイ・ヴェルニゴラ氏が明らかにしています。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年にロシア海軍へ引き渡される]


今回の記事で言及された「ユーリー・ドルゴルーキー」の軍備採用前の「試験任務」контрольных задачですが、具体的には「敵からの回避、水中航行、緊急浮上及び潜航、更にはミサイル及び魚雷の発射を含む複合操作」の事です。

無論、この「試験任務」「アレクサンドル・ネフスキー」「セヴェロドヴィンスク」でも実施します。

太平洋艦隊はヘリ空母ミストラルの為の基地建設を準備する

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
【太平洋艦隊と「ロシア特殊製造」はミストラルの受け取りを準備する】
モスクワ、12月7日-ロシア通信社ノーボスチ

太平洋艦隊工学サービスと「ロシア特殊製造」社は、合同でウラジオストク港に「ミストラル」型軍艦の基地を提供する為の水工施設の設計及び建設を準備する。
東方軍管区・太平洋艦隊の広報サービス・情報供給課長ローマン・マルトフ1等海佐は金曜日に発表した。

以前、国防省は、フランスに発注したヘリコプター空母「ミストラル」型の基地として、2つの案~ウラジオストク沿海地方フォーキノ~を検討していると報じられた。

「現在、ロシア特殊製造は太平洋艦隊海洋工学サービスと合同で、ウラジオストク港にミストラル型軍艦の基地を提供する水工施設の設計及び建設の為の工学調査作業を行なっています」
マルトフは話した。

彼は、ウラジオストク中央に在る係留所が沿岸設備強化のために大規模な近代化を行なった事を指摘した。
「最新の複合係留設備は、太平洋艦隊の全ての既存のタイプの艦だけではなく、2020年までに軍備採用される艦も受け入れる事が出来ます」
士官は説明した。

彼によると、再建中に「ロシア特殊製造」の支社の専門技術者は、実際に新たな「係留フロント」を作成し、全ての通信設備を置き換え、駐留所を提供し、現代の必要条件に従い、停泊中の排水システムを作成した。
「近代化が行なわれた結果、艦は気象条件に依存しない駐留所での安全が提供されました」
マルトフは総括した。
(2012年12月7日9時38分配信)


『ロシア連邦国防省公式サイト』より。
ロシア連邦軍東方軍管区広報サービス発表
2012年12月7日12時42分配信
【太平洋艦隊主要基地の9係留所は近代化された】
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[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]

記事中で述べられていますが、ウラジオストク中央(つまり金角湾)の水上艦係留所は大規模な近代化が行なわれました。
[ウラジオストク金角湾の水上艦係留所は再建される]
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これに続き、今度は、太平洋艦隊に配属されるヘリコプター空母「ミストラル」型の為の基地設備の建設が準備されるという事です。
[ヘリ空母ミストラル型はウラジオストク市へ配置される]
[ヘリ空母ミストラルのウラジオストク(ウリス湾)配備には2-3億ルーブルを要する]

基地の建設には、フランスも協力を申し出ています。
[フランスはヘリ空母ミストラルの為の極東の基地建設に協力する]

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ロシア海軍向け「ミストラル」型1番艦「ウラジオストク」は、今年2月1日にフランスのサン-ナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けヘリ空母「ミストラル」型1番艦は起工される]

ただし、船体後部はロシアのサンクト-ペテルブルク市の「バルト工場」で建造されます。
[バルト工場はヘリ空母ウラジオストクの船体を起工した]

1番艦「ウラジオストク」は、2013年9月進水予定です。
[ヘリ空母ウラジオストクは2013年9月に進水する]

ロシア海軍への引き渡しは2014年を予定しています。

インドは空母ヴィクラマーディティヤのボイラーへのアスベスト使用に同意した

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【インドは「ヴィクラマーディティヤ」へのアスベスト使用に合意した】
2012年12月7日

インド航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」(旧「アドミラル・ゴルシコフ」)の為の動力装置の必要条件を改訂し、断熱材の耐火レンガを、プロジェクトにより提供されるアスベスト含有材料に交換する事に同意した。
これは、『独立軍事評論』が独自の情報源を引用して報じた。
以前、インドは、同艦の乗組員の健康を損なうと考えてアスベストの使用を拒否した。

「ヴィクラマーディティヤ」の航海試験は、2012年7月から10月に掛けてロシアで実施された。
試験中、艦上戦闘航空機の発艦と着艦、点検システムの点検が実行された。
航空母艦が全速力を出そうとした時、8基の蒸気ボイラーKVG-3Dの内7基が故障により停止した。
(註:実際には、8基のうちの3基が故障した)
これは、アスベストを含まない材料として使用された断熱材の耐火レンガの部分的崩壊によるものである。

ロシアで修理及び近代化が行なわれた航空母艦は、2012年12月4日にインドへ引き渡される予定だったが、ボイラーの断熱材の交換と修理が必要な為、2013年前半に延期された。

2012年11月末、インド国防相アラカパランビル・クリアン・アントニーは、当局は2013年末より長くは待てないと発表した。

現在、特別委員会は艦での作業を完了しており、艦の蒸気ボイラー及び動力装置の状態を判断する課題を果たした。
この委員会の作業により、今後の「ヴィクラマーディティヤ」の動力装置の修理に関する最終決定が下される。

2004年、ロシアインド「ヴィクラマーディティヤ」供給契約に署名した。
契約額は15億ドルに達した。
この金額で、インド側は、艦自体は無償で提供され、修理及び近代化、更には艦上戦闘機MiG-29K/KUB及びヘリコプターKa-27Ka-31の供給の為に金を支払った。
2009年、契約条件が改訂され、その結果、契約額は23億ドルに増加した。


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[空母ヴィクラマーディティヤ(旧ブログ)]
[空母ヴィクラマーディティヤ]

今年(2012年)12月に就役する筈だったインド空母「ヴィクラマーディティヤ」(旧ロシア海軍重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」)ですが、航海試験中にボイラーが損傷し、引き渡し時期が延期される事になりました。
[空母ヴィクラマーディティヤ、引渡し延期?]

今回の記事では、8基のボイラーの内7基が故障したと書かれていますが、正確には3基です

「ヴィクラマーディティヤ」は、残り5基のボイラーで23ノットまで出すことは可能であり、自力でセヴェロドヴィンスクへ向かいました。
[空母ヴィクラマーディティヤは23ノットでセヴェロドヴィンスクへ向かっている]

そして、「ヴィクラマーディティヤ」に使われた耐火レンガなどに問題が在る事が明らかにされました。
[空母ヴィクラマーディティヤに使われている外国製品に問題が生じた]
[中国はロシアへの耐火レンガ輸出を否定した]

結局、「ヴィクラマーディティヤ」の引き渡しは2013年末になるようです。
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年10-12月にインドへ引き渡される]
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年末にインドへ引き渡される]

重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」改め航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」は近代化に当たり、蒸気タービン機関ボイラーを新開発のKVG-3Dに換装しました。
『バルト工場』公式サイトより
2005年5月31日
【バルト工場は、「アドミラル・ゴルシコフ」の為の最初のボイラーを製造した】

KVG-3Dは、燃料として軽油を使用し(それまでのロシア海軍のボイラーは重油専焼)、更には、インド側の強い要望により、断熱材としてアスベスト以外の材料が使われることになりました。

しかし、これまでに報じられている通り、それは完全に裏目に出ました。

それで結局、インドは、ボイラーKVG-3Dの断熱材としてアスベストを使用する事に同意したようです。

ボレイ級戦略原潜アレクサンドル・ネフスキーからのブラヴァー発射の日時は決定されていない

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『イタル-タス』より
2012年5月12日11時04分配信
【最初のシリーズ潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」からの1回目の「ブラヴァー」発射は2013年7月に延期された】
モスクワ、12月5日/イタル-タス

プロジェクト955・整理名「ボレイ」水中ロケット艦の最初のシリーズ艦「アレクサンドル・ネフスキー」からの1回目の海洋弾道ミサイル「ブラヴァー」発射は2013年7月に延期された。
これは、今日、イタル-タスロシア防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた事である。

「試験中のアレクサンドル・ネフスキーは、7月上旬に水中位置から最初のブラヴァー発射を実施します」
対談者は話した。
「ミサイル発射時期の延期は、最新の海洋戦略核部隊の自動戦闘管理システムの開発に当たり、改訂されたソフトウェアの確保が必要となった事によるものです」


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年12月5日12時23分配信
【原子力潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」からの「ブラヴァー」発射の日時は決定されていない】
モスクワ、12月5日-ロシア通信社ノーボスチ

戦略原子力潜水艦「アレクサンドル・ネフスキー」からの海洋弾道ミサイル「ブラヴァー」発射の日時が来年春になるという決定は下されておらず、それは白海の結氷状況及び潜水艦の準備状態により決定される。
水曜日、ロシア通信社ノーボスチは、原子力潜水艦を建造している「セヴマシュ」工場の高位の代理人より伝えられた。

彼は、ミサイル発射が2013年7月初頭に行なわれるというメディアの報道についてコメントした。

「原子力潜水艦アレクサンドル・ネフスキーの試験の枠組みにおけるブラヴァー発射の日時の決定は、白海の結氷状態及び潜水艦の準備状態により下されます」
対談相手の代理人は話した。

彼は、(ミサイルの)発射は、その時期より前にも後にも出来る事を強調した。
「全ては、氷が溶ける時期に依ります。通常、白海の氷は5月には溶けます」
セヴマシュの代理人は話した。

同時に彼は、原子力潜水艦 「アレクサンドル・ネフスキー」は、現在、目下の試験の準備は、ほぼ完了している事を強調した。

海洋配置大陸間弾道ミサイルR-30 3M30「ブラヴァー-30」(国際条約呼称RSM-56、NATO分類SS-NX-30)は、潜水艦に配備されるロシアで最新の3段固体ロケットである。
第1段・第2段は固体燃料ロケット推進であり、第3段目は、多弾頭ブロックの突入段階の機動に必要な速度を確保する為、液体燃料である。

ミサイルは、飛翔高度と進路を変更できる10個の極超音速機動個別誘導操縦核ブロック(100~150キロトン)を搭載できる。(核ブロックは)低高度飛行特性を有する。

モスクワ熱工学研究所によって開発されたミサイルは、最大飛翔距離8000キロ、発射重量36.8トン、3段の管理システム、慣性誘導、弾頭重量(ペイロード)1,150kg、発射コンテナの長さは12.1m、弾頭なしで11.5メートルである。

ミサイル「ブラヴァー-30」搭載艦として、近代化された戦略ミサイル潜水艦プロジェクト941UM「アクラ」(NATO名「タイフーン」)「ドミトーリー・ドンスコイ」と、プロジェクト955「ボレイ」原子力潜水艦~「ユーリー・ドルゴルーキー」「アレクサンドル・ネフスキー」「ウラジーミル・モノマーフ」および他の同型艦~が計画された。
2020年までに、この型(ボレイ級)の原子力潜水艦を合計8隻建造する計画である。


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[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

第4世代戦略原子力潜水艦「ボレイ」級2番艦「アレクサンドル・ネフスキー」は2004年3月19日に起工され、2010年12月6日に進水しました。
この間、2007年には太平洋艦隊から乗組員が集められました。

2011年10月22日、最初の海洋航海試験が開始されました。
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2012年10月下旬、当時のロシア国防長官アナトーリー・セルジュコフは、「アレクサンドル・ネフスキー」は2014年には太平洋艦隊に居ると発言しました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2013年に就役する]

2014年にボレイ級戦略原潜太平洋艦隊へ配備する件については、今年5月末にロシア海軍公式筋から発表されています。
[2014年にロシア太平洋艦隊へ新世代戦略原潜ボレイ級が配備される]

カムチャツカ半島の原潜基地ルイバチーでは、「ボレイ」級を配備する為の然るべきインフラ整備が行なわれます。
[カムチャツカ半島の基地設備はボレイ級戦略原潜に適していない]
[ボレイ級戦略原潜の為、カムチャツカ半島に新たな設備が建設される]
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今回、イタル-タスは、「アレクサンドル・ネフスキー」からの弾道ミサイル「ブラヴァー」の最初の試射は来年7月に実施されると報じ、ロシア通信社ノーボスチは、これを否定しています。
おそらくは、ロシア通信社ノーボスチが報じた通り、正確な発射予定日は、まだ決まっていないのでしょう。

昨年(2011年)を例にとると、12月23日に「ボレイ」級1番艦「ユーリー・ドルゴルーキー」白海から「ブラヴァー」発射試験を実施しています。
[潜水艦発射弾道ミサイル「ブラヴァー」は一斉発射試験に成功した]


「ボレイ」級に搭載される弾道ミサイル「ブラヴァー」は、昨年末までに18回の発射試験が実施され、11回が成功しました。

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年2月9日配信
【海洋弾道ミサイル「ブラヴァー」試射の年表】

1回目:2004年6月24日-失敗
2回目:2004年9月23日-成功
3回目:2005年9月27日-成功
4回目:2005年12月21日-成功
5回目:2006年9月7日-失敗
6回目:2006年10月25日-失敗
7回目:2006年12月24日-失敗
8回目:2007年6月29日-成功
9回目:2008年11月28日-成功
10回目:2008年12月23日-失敗
11回目:2009年7月15日-失敗
12回目:2009年12月9日-失敗
13回目:2010年10月7日-成功
14回目:2010年10月29日-成功
15回目:2011年6月28日-成功
16回目:2011年8月27日-成功
17回目:2011年10月28日-成功
18回目:2011年12月23日-成功

特に、2010年以降に実施された6回の発射試験は連続で成功しました。

[「全力全開」ブラヴァー発射試験(2010~2011年)]

黒海艦隊艦船のソマリア行きは取り止めとなる

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『イタル-タス』より
【タルトゥースへの寄港を終えた黒海艦隊艦船はアデン湾で海賊と戦う事は無い】
モスクワ、12月5日/イタル-タス

ロシア黒海艦隊艦船支隊太平洋艦隊艦船と共同で海賊と戦う為、スエズ運河を通過してインド洋エリアへ移動する予定は取り止めになった。
黒海艦隊艦船は物資を補充する為のシリアタルトゥース寄港を完了し、12月下旬に常駐場所へと戻る。
本日、イタル-タスロシア軍参謀本部の情報提供者より伝えられた。

「それ(黒海艦隊艦船支隊)は、地中海東部に留まって行動する事が求められ、ガザ地区からのロシア市民の避難の保障を実施するという指示は受けていません」
対談相手の代理人は話した。

「黒海艦隊の旗艦-ロケット巡洋艦モスクワは、セヴァストーポリへ進路を取っており、来週には到着する予定です。
警備艦スメトリーヴイは、クレタ島エリアで指示された任務を実行しています。
大型揚陸艦ノヴォチェルカッスクとサラトフ、2隻の保障船は、ボスポラス/ダータネルス海峡への移動を準備しています。
今年末には常駐場所へ戻るでしょう」

情報提供者は通知した。
「黒海艦隊艦船の海峡ゾーン通過の要請は、既にロシア側からトルコ当局へ出されています」

今年12月と2013年1月に黒海艦隊艦船支隊ソマリア沿岸で海賊対処任務を遂行する計画は変更され、太平洋艦隊艦船は独力で任務を遂行する事になった。
同隊は、来週に指定海域へ到着するだろう。

更に情報提供者は、地中海東部に位置して黒海艦隊艦船支隊を構成していた大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」「サラトフ」が11月にシリアタルトゥース港の海軍補給物資供給所へ寄港していたと伝えた。

「11月末、大型揚陸艦ノヴォチェルカッスクとサラトフは、数時間に渡りシリアのタルトゥース港に位置するロシア海軍物資・技術供給所へ寄港しました。
彼らは特に、水と燃料を補充し、軽修理を実施しました。
乗組員の沿岸での休養は提供されませんでした」

参謀本部の情報提供者は話した。

11月22日にロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部は、黒海艦隊艦船支隊地中海で遠距離航海の第1段階を完了し、インド洋へ移動するとイタル-タスへ伝えてきた。
「インド洋へ向かう黒海艦隊艦船支隊の訓練は11月24日に完了します」
軍当局は説明した。

更に同省は、アフリカの角で海賊対処任務遂行の為、12月上旬に黒海艦隊戦術艦船グループ太平洋艦隊戦術艦船グループが参加する事を確認していた。
しかし11月23日、ロシア連邦海軍総司令部の代理人は、黒海艦隊艦船が新たな指示~イスラエル-パレスチナ間の紛争が激化した場合、ロシア市民をガザ地区から避難させられるように地中海東部へ到達する~を受けたと伝えてきた。
だが参謀本部の情報によると、現在までに、黒海艦隊艦船の乗組員は、そのような指示を受けていない。

しかしながら11月22日、国防省は、ロシア戦闘艦タルトゥースへ寄港する可能性を否定しなかった。
「現在、艦船は技術的サービス活動を行なっており、必要ならば、タルトゥース港の浮揚工場PM-56の専門技術者が参加して軽修理を受ける事が出来ます」
軍当局広報サービス・情報管理部は発表した。
(2012年5月12日10時44分配信)


『インタファクス』より
2012年12月5日11時37分配信
【対海賊当直は実行されない】

こちらも「ロシア軍参謀本部の情報提供者」からの情報を伝えています。
記述の順番が違うだけで、内容は全く同一です。


記事中で述べられている11月22日のロシア国防省広報サービス・情報管理部の発表は、これを指しています。
[ロシア黒海艦隊ソマリア派遣部隊は地中海東部に集結した]


ロシア黒海艦隊の艦船がソマリア沖へ派遣されると最初に発表されたのは11月8日です。
[ロシア太平洋艦隊及び黒海艦隊の艦船はソマリア沖へ行く]


ソマリア沖へ派遣される予定だった黒海艦隊艦船は、この6隻です。

親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」
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警備艦「スメトリーヴイ」
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大型揚陸艦「サラトフ」
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大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」
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大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」
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海洋曳船MB-304
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その後、黒海艦隊艦船部隊は11月22日までに地中海東部へ集結し、スエズ運河を11月27日に通過する筈でした。

しかし11月23日に情勢は急変し、そのまま地中海東部へ留まる事になりました。
[ロシア黒海艦隊戦闘艦船支隊、ガザ地区沖へ派遣?]
[ロシア黒海艦隊艦船支隊はガザ地区からのロシア人避難を準備する]

結局、黒海艦隊艦船部隊ソマリア沖へ行く事無くセヴァストーポリへ戻る事になるようです。


なお、黒海艦隊艦船部隊と合同でソマリア沖海賊対処任務を実施する予定の太平洋艦隊アデン湾派遣部隊インド訪問を終え、こちらは当初の予定通りアデン湾へ向かっています。
[ロシア-インド海軍合同演習「インドラ-2012」は終了した]

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」
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ロシア-インド海軍合同演習「インドラ-2012」は終了した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区広報サービス発表
2012年12月4日10時59分配信
【アラビア海でロシア-インド演習が完了した】

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」、海洋給油船「イルクト」、救助曳船「アラタウ」で構成されるロシア艦船支隊ムンバイ港訪問は、インド海軍ロケット駆逐艦「タバール」及び「マイソール」と共に参加したアラビア海エリアの国際演習を以て完了する。

ロシア及びインド海軍将兵は、海賊活動エリアにおける非常に重要な行動である通信及び機動の連携行動を仕上げた。

演習には海洋航空隊も参加した。
大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」艦上のヘリコプターKa-27は、駆逐艦「マイソール」の甲板で発着艦を行なった。
更に、海洋目標に対する異なる種類の砲装置による合同射撃が行なわれた。

演習の終盤、駆逐艦「マイソール」艦上で、その結果が評価された。
ロシア支隊指揮官ウラジーミル・ウドヴェンコ少将によれば、それは、ロシア海軍インド海軍の間の友好関係の発展、強化へ貢献した。

大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」インドを訪問したのは今回で5度目となる事は注目される。
更に、駆逐艦「マイソール」は、以前に太平洋艦隊主要基地ウラジオストクへ停泊し、ロシア-インド合同演習「インドラ-2007」に参加した。

ロシア支隊の旗艦である大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を訪れる為、インドの臨時ロシア大使アレクサンドル・カダキンは、特別にムンバイを訪問し、太平洋艦隊将兵と会った。


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ロシア太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」を中核とするアデン湾海賊対処部隊は、11月2日にウラジオストクを出港しました。
[ロシア海軍第14次アデン湾海賊対処部隊はウラジオストクを出港した]

11月28日にインドムンバイへ入港し、インド海軍との合同演習「インドラ-2012」に参加しました。

『ロシア通信社ノーボスチ・極東管区ニュース』より
2012年11月28日16時14分配信
【アフリカへ向かう太平洋艦隊艦船支隊はインドのムンバイへ入った】

今回の記事中にあるように、「インドラ-2012」には、インド海軍側からミサイル駆逐艦「マイソール」フリゲート「タバール」が参加しました。

フリゲート「タバール」は、ロシアで建造されました。
[「タルワー」級(プロジェクト1135.6) ]

2008年11月18日にはアデン湾で海賊船を撃沈しています。
[インド海軍のロシア製フリゲート、ソマリア海賊船を撃沈 ]

駆逐艦「マイソール」も、2008年12月13日にアデン湾で海賊23名を拘留しています。


一方、ロシア海軍「マルシャル・シャーポシニコフ」も、2010年5月にアデン湾へ行っています。

この時には、ソマリア海賊に乗っ取られたロシアのタンカー「モスクワ大学」の解放作戦を実施しました。
【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】

『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
しかし、拘束された10名も、ゴムボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。

この作戦の指揮官は、当時、太平洋艦隊第44対潜艦旅団司令だったイリダル・アフメロフです。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]


なお、今回のロシア海軍アデン湾海賊対処任務は、太平洋艦隊黒海艦隊が合同で行う予定だったのですが、黒海艦隊から派遣された部隊は、ガザ地区の情勢急変を受けて地中海東部に留まると報じられ、以後、同部隊の動向に関する報道は有りません。
[ロシア黒海艦隊戦闘艦船支隊、ガザ地区沖へ派遣?]
[ロシア黒海艦隊艦船支隊はガザ地区からのロシア人避難を準備する]

ロケット艦ダゲスタンはロシア海軍へ引き渡された

2012年11月28日、プロジェクト11661Kロケット艦(ゲパルト級)2番艦「ダゲスタン」ロシア海軍へ引き渡されました。
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株式会社『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場』公式サイトより
2012年11月28日
【ロケット艦「ダゲスタン」海軍旗掲揚式典が行なわれた】

2012年11月28日、マハチカラ商業港において、カスピ小艦隊最新ロケット艦「ダゲスタン」が引き渡された。

同艦は、株式会社「A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場」(現在は株式会社ホールディングカンパニー「アク-バルス」のグループ会社)で建造された。

こうして、プロジェクト11661Kの2番艦はロシア海軍の編制へ加入した。
「ダゲスタン」は、1番艦「タタールスタン」カスピ小艦隊旗艦~に比べて、全体的に改善されている。

「ダゲスタン」海軍旗掲揚式典には、ダゲスタン共和国大統領マゴメドサラム・マゴメドフカスピ小艦隊司令官セルゲイ・アレクミンスキー少将、株式会社ホールディングカンパニー「アク-バルス」総取締役イワン・エゴーロフ株式会社「A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場」総取締役レナート・ミスタホフが出席した。



プロジェクト11661Kロケット艦の2番艦「ダゲスタン」は、1990年5月5日に起工されました。
元々はインド海軍向けとして建造されていたのですが、1995年にインドが発注をキャンセルした為、工事は中断されました。

その後、ロシア海軍が引き取る事になり、工事は再開され、2011年4月4日に進水しました。
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[「ゲパルト」級2番艦「ダゲスタン」近況]

その後、黒海へ回航されて工場航海試験を行なっている最中、ノヴォロシースクで嵐の為に損傷し、2011年末の就役は延期される事になりました。
[「ゲパルト」級2番艦「ダゲスタン」修理費負担問題]

修理後、引き続き黒海で就役前の国家試験を実施しており、今年7月初頭にカスピ海へ移動しました。
[ゲパルト級警備艦ダゲスタンは今年7-8月に就役する]
[ゲパルト級警備艦ダゲスタンは2012年夏に就役できる]
[ゲパルト級警備艦ダゲスタンはカリブルの発射試験を行なった]
[カスピ小艦隊に2隻の新型艦が補充される]

その後、カスピ海「カリブル」有翼ミサイルの試射に成功しました。
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7月29日のロシア海軍記念日観艦式には、姉妹艦「タタールスタン」と共に参加しました。

「ダゲスタン」
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「タタールスタン」
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「タタールスタン」(左)と「ダゲスタン」(右)
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そして2012年11月28日、ロシア連邦海軍へ引き渡され、カスピ小艦隊へ編入されました。

「ダゲスタン」は、1番艦「タタールスタン」と兵装が異なっています。

「タタールスタン」対艦ミサイル複合体「ウラン」を装備していましたが、
「ダゲスタン」有翼ミサイル複合体「カリブル」に換装されています。

3S14E「カリブル-NK」垂直発射機
3S14E1

3S14E2
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

この他、1番艦で装備されていた高射ミサイル複合体「オーサ-MA2」は廃止されています。

更に、近接防御用として新型の高射ミサイル砲複合体「パラシ」を装備しています。
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ゲパルト級ロケット艦ベトナム海軍向けにも2隻が建造されており、2隻とも2011年にベトナムへ引き渡されています。
こちらは、輸出用のプロジェクト11661E「ゲパルト3.9」です。

ゼレノドリスク工場で建造中の2隻
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1番艦「ディン・ティエン・ホアン」
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2番艦「ル・タイ・トー」
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深海潜水艇(バチスカーフ)AS-12

ソ連/ロシア海軍プロジェクト1839救助深海装置(バチスカーフ)AS-12
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[ロシア/ソ連のバチスカーフ(深海潜水艇)と幻(妄想)の海底戦車]

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト1839・AS-12】

1977年2月、ゴーリキー(現ニジニ・ノヴゴロド)造船工場「クラースノエ・ソルモヴォ」で起工。
1979年1月30日に進水、1979年6月29日にソヴィエト連邦海軍へ引き渡されました。

1980年12月10日に赤旗太平洋艦隊の編制へ加入し、救助船「ゲオルギー・コジミン」を母船としてウラジオストク南端のウリス湾に配備されました。

救助船「ゲオルギー・コジミン」
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1983年には大韓航空機撃墜事件で撃墜され、海底200メートルに沈んだ大韓航空ボーイング747旅客機の探索に参加しました。

2004年、ロシア海軍の編制から除籍されました。


そして、2009年以降はウリス湾の岸壁で放置されています。
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AS-12が置かれているのは、ウリス湾のこの場所(画面の真ん中)です。
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ウリス湾には、ディーゼル潜水艦などが駐留しています。
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[ウリス湾(ウラジオストク)近影]

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ムルマンスクの第35艦船修理工場は再構築(ペレストロイカ)される

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『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【第35艦船修理工場は近代化実施の為に50億ルーブルを受け取る】
2012年11月30日

ムルマンスク第35艦船修理工場(株式会社「艦船修理センター・ズヴェズドーチカ」の子会社)は、生産設備の近代化の為に約50億ルーブルを取得しなければならない。
テレビ・ラジオ放送局『ムルマン』は報じた。
この金額は、同社の年間予算の約3倍の規模である。

計画では、新たな加工機器及び運搬機器の購入のみならず、全てのインフラストラクチュアの抜本的な再構築(ペレストロイカ)が実行される。

再建計画によると、第35艦船修理工場の大小の造船台の乾ドックは統合、拡張される。
今、同社では、大型対潜艦しか修理できないが、2年後には、ここで北方艦隊重航空巡洋艦原子力ロケット巡洋艦、更には大規模なタンカーの修理も行えるようになるだろう。

第35艦船修理工場社長アレクセイ・マリツェフ氏によると、工場は
「異なる海洋設計局による石油・ガス産業の為の小型及び大型の海洋モジュールの建造を考える必要が有ります。
もちろん、小型及び中型艦も。
しかし、造船は、非常に遠い見通しですが、かなり現実的でも有ります。
北極圏の産地で業務を行なう複合基地の建設は。
石油-ガス生産会社が北方への関心を無くす事は有りません」


株式会社「艦船修理センター・ズヴェズドーチカ」支所の第35艦船修理工場副社長デニス・ソボレフ氏は造船の見通しについて話した。
「それは、第35工場の専門分野ではありませんが、艦船修理よりも多くの収入をもたらす事でしょうし、並行して開発されるでしょう」


今回の記事では、旧ソヴィエト連邦ゴルバチョフ政権時代に盛んに使われた「ペレストロイカ」перестройкаという言葉が使われています。

第35艦船修理工場「ペレストロイカ」され、乾ドックも拡張されるとの事です。

記事中では「重航空巡洋艦」「原子力ロケット巡洋艦」にも触れられていますが、現在の第35艦船修理工場の乾ドックでは、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」は入渠出来ません。

第35艦船修理工場の乾ドック
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重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」
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重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」
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大型浮きドックPD-50
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重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、普段は第35艦船修理工場の岸壁に停泊していますが、大規模な修理を行なう際には、ロスリャコヴォ第82艦船修理工場まで回航し、大型浮きドックPD-50へ入渠する必要が有ります。
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[空母「アドミラル・クズネツォフ」は遠距離航海の準備を終えた]
[空母アドミラル・クズネツォフ近代化計画]
[浮きドック上のロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ(2006年)]


重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」も、何度か第82艦船修理工場の大型浮きドックを利用しています。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキー、浮きドックから出渠(2012年6月23日)]
[浮きドック上のピョートル・ヴェリキー(2004年)]

第35艦船修理工場の乾ドックが拡張されて重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」も入渠可能になれば、いちいちロスリャコヴォ第82艦船修理工場まで回航する必要が無くなり、全ての修理作業が第35艦船修理工場で行なえるようになるわけです。

第35艦船修理工場
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第82艦船修理工場
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空母とフリゲートに対するロシア海軍の不満には根拠が無い

11月下旬、『イズベスチヤ』紙は、ロシア海軍将来航空母艦及び新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」に関し、否定的な記事を配信しました。

[ロシア海軍総司令部は原子力空母設計案を拒否した]

[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」の建造は長期化する]

これに対し、ロシア造船業の総元締めである「統合造船業営団」の職員が反論しました。


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【航空母艦及びフリゲートに対する海軍の苦情には根拠が存在しない-統合造船業営団】
2012年11月30日

メディアで公開された文章に書かれた海軍の匿名の情報提供者の海軍プロジェクト将来航空母艦への不満と、フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」の不充分な居住条件というのは、馬鹿馬鹿しい内部暴露である。
この表明は、『中央海軍ポータル』特派員に統合造船業営団職員からもたらされた情報に基づくものである。

メディアで公表された談話は、2つの材料から成り、どちらとも海軍総司令部の高位の情報提供者の意見が反映されている。

最初の材料は、将来航空母艦への批判の表明である。

海軍が「ソ連邦解体により建造されなかった古いソヴィエトの航空母艦ウリヤノフスクを提案された」とメディアが記した事に関し、統合造船業営団の代理人によれば、2011年に行なわれた将来航空母艦、より正確には海洋航空複合体の開発コンセプトの入札での勝者として国防省は、航空艦の豊富な経験を有する専門計画組織~ネヴァ川計画設計局、総合科学機関~クルイロフアカデミー中央科学研究所、現在はクルイロフ国立科学センター~を選択しなかった。

「それ故に、全て負の結果がもたらされました」
対談者は『中央海軍ポータル』へ示唆した。
「クルイロフではないだけに、航空母艦そのものには全般的に進歩は無く、彼らは、ネヴァ川計画設計局の助言を受ける事を余儀なくされました。
クルイロフ中央科学研究所がソヴィエト連邦時代に完成させたプロジェクトをベースとして、それに最新の機器と兵装を追加して"改作"したのです。
海軍の要望が艦の為の必要条件を形成するという事は覚えておく必要が有ります。
柔らかい言い方をすれば、それは具体性を欠いておりました」



「私は、更に、海軍のもう一つの苦情についてお答えしたいと思います-フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"に関する事に」
対談者は『中央海軍ポータル』に表明した。
「フリゲートの建造は、サンクトペテルブルクのセーヴェルナヤ・ヴェルフィで続行されています。
ここでは、イズベスチヤ紙から引用させて頂きます。
"海軍将兵は更に、艦のレイアウトと人員の配置に問題があると言う。
水兵室はあまりにも小さく、通路と他の空間は機器に溢れていると彼らは話している"」


「私は叫びたい気持ちです。
あなた方(海軍)は、以前に何をしたのですか?
誰が、業界に技術的な条件を与えたのですか?
このプロジェクトを承認したのは?
海軍では無いとでも言うのですか?
工場は、海軍の統制及び監視なくして海軍が発注した艦を建造する事など出来ません。
こんな苦情を言うのは、彼ら自身にのみ出来る事であり、我が海軍の総司令部が心理的に動揺していると断定できます。
数年前、何らかの理由により、幾つかの要望が出されました。
友人(海軍)よ、貴方が望むように決定して良いのでしょうか?
沢山の武装を持ち、ステルス要素を有する伝統的な大型の弾薬艦か、海軍旗の為の巡航定期船に?」


「砲に関する造船業への苦情にも、根拠は有りません」
統合造船業営団の代理人は確認した。
「長期間に渡り資金割り当てが無い場合の、当然の結果ですよ、時間が掛かるのは。
国防省は、それ(苦情)が甘っちょろい事を承知しているでしょう。
ゴルシコフは発注のトップであり、兵器や機器のサンプルで経験を蓄積する為の技術的な練習台なのです。
それは海軍総司令部だって知っておりますよ。
前海軍総司令部は、全てを海軍へ委任し、全ての解決策を受け入れ、国防省の管轄へ送りました。
私共は、現在の総司令部が、ビジネス上の問題を解決してくれる事を期待します。
誰も、噂で世論を乱す筆頭になる事など望んではいないでしょう。
デマ新聞は、それを全て示す事が出来る筈ですがね」

対談者は、『中央海軍ポータル』に対し、こう総括した。


以前の報道によると、ロシア海軍総司令部は、「将来航空母艦」として、ソ連邦時代のプロジェクト11437「ウリヤノフスク」と実質的に変わらない艦を提示されたとの事です。

今回の記事によると、それは、ロシア国防省が、空母の経験が無い機関(記事中では具体名は出ていない)に概念設計を依頼した為であるとの事です。

おそらく、これを決めたのは前国防長官アナトーリー・セルジュコフでしょう。

あえて「ソ連邦時代からの専門家(ネヴァ川計画設計局)」にやらせず、「航空艦」の設計経験を持たない設計局に将来航空母艦を設計させたという事です。

ネヴァ川計画設計局ソヴィエト連邦時代から一連の「航空巡洋艦」の設計を手掛けていましたが、それだけに、以前の癖が残って保守的な航空母艦しか設計できないだろうと見たのでしょう。

セルジュコフ氏は、「素人」ならではの大胆な発想で斬新な「将来航空母艦」が設計される事でも期待していたのでしょうが、出てきた案は、旧ソ連邦時代の「航空巡洋艦」の焼き直しに過ぎませんでした。
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「統合造船業営団」職員は、フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」に対するロシア海軍の不満に対しても反論しています。
同艦のレイアウトに問題があり、水兵室が狭いという不満に対し、「統合造船業営団」職員は、
「それは海軍が承認した事だろう。なのに、今さら文句を言うのか?」
と反論しています。

ロシア海軍が望む「沢山の武装を持つ大型の弾薬艦」とするのならば、水兵室が狭くなるのは当然だろうという事です。
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『イズべスチヤ』は、以前にも新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」が11月末にバレンツ海で航海試験を開始すると報じ、「統合造船業営団」職員に否定されています。
[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は11月末に航海試験を行なう]

[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は11月末に航海試験を実施しない]

おそらく、この時の「統合造船業営団」職員は、今回の記事と同一人物でしょう。

この時、「統合造船業営団」職員は
「イズべスチヤ紙の記者は、これまでにも、海軍の情報提供者とやらに何度も振り回されてきました」
と述べましたが、今回の件も同様という事でしょう。

新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年にロシア海軍へ引き渡される

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年11月30日14時00分配信
【原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の軍備採用は2013年に延期される】
モスクワ、11月30日-ロシア通信社ノーボスチ

原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の軍備採用は、以前に計画された2013年ではなく、2013年になる。
金曜日、ロシア通信社ノーボスチは、ロシア連邦国防省国家防衛発注・供給部長アンドレイ・ヴェルニゴラ氏より伝えられた。

8月、造船工場「セヴマシュ」は、2012年末までに海軍へ多用途原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」(プロジェクト855「ヤーセン」)を納入する計画であると発表した。

「現在、潜水艦は工場試験段階を経て、今日は海洋に居ます。
私が思うに、同艦は今年には軍備採用される事は無く、それは2013年になるでしょう。
白海における国家受領試験及び国家試験段階が提起されるのは、まだまだ先の話です」

ヴェルニゴラ氏は話した。

彼は、同艦の建造方式と非常に複雑な技術的特性の為、全ての工場試験及び国家試験プログラムは長期間に及ぶと見積もられた事を指摘した。

「加えて、契約者の主要製造実行者の作業の遅延が有ります。
それは全ての時期に影響を及ぼしてしまい、今、時間は無くなってしまいました」

彼は、潜水艦の軍備採用が何故遅れたのかという質問に応え、こう話した。

潜水艦は全範囲の試験を完了させなければならないとヴェルニゴラ氏は付け加えた。

原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は、プロジェクト885「ヤーセン」のトップ艦として「セヴマシュ」で1993年に起工された。
ロシア海軍の為に、8隻の最新潜水艦が建造される。
昨年9月、潜水艦は最初の工場航海試験の為、海洋へと去った。

「セヴェロドヴィンスク」は排水量8600/13800t、寸法119×13.5×9.4m、速力16/31ノット、潜航深度600mである。
潜水艦の乗組員は、32名の士官を含む90名で構成される。
主な兵装は、長距離有翼ミサイル「カリブル」及び「オーニクス」、魚雷、ロケット魚雷、そして機雷である。


2012年11月30日16時57分配信
【潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の国家試験は2013年夏に行なわれる】
モスクワ、11月30日-ロシア通信社ノーボスチ

原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」国家試験は2013年初夏に実施される。
金曜日、ロシア通信社ノーボスチは、統合造船業営団の公式代理人より伝えられた。

先だってロシア通信社ノーボスチは、ロシア連邦国防省国家防衛発注・供給部長アンドレイ・ヴェルニゴラ氏より、原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の軍備採用が2013年に延期されたと伝えられた。

「国家試験は、5月末より以前に実施される事は無く、おそらくは夏になるでしょうね。
何しろ、白海では6月まで氷が溶ける事は有りませんから」

彼は話した。

彼は、今日までに潜水艦が、標準装備のミサイル複合体の一連の発射実施が成功であると認められる為の工場試験を成功裏に完了させた事を付け加えた。

原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は、プロジェクト885「ヤーセン」のトップ艦として「セヴマシュ」で1993年に起工された。
ロシア海軍の為に、8隻の最新潜水艦が建造される。
昨年9月、潜水艦は最初の工場航海試験の為、海洋へと去った。


P885

[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]

1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水した多用途原潜K-329「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。

2012年10月19日、多用途原潜「セヴェロドヴィンスク」は、4回目の工場航海試験を終了しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは工場航海試験を完了した]

10月30日、「セヴェロドヴィンスク」は海洋試験の為に再び出航しました。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクの最終試験が始まった]

11月7日、「セヴェロドヴィンスク」は、潜航状態で有翼ミサイル「カリブル」対艦攻撃型の発射試験に成功しました。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対艦ミサイルの発射試験に成功した]

11月26日、「セヴェロドヴィンスク」は、浮上状態で有翼ミサイル「カリブル」地上攻撃型の発射試験に成功しました。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対地ミサイルの発射試験に成功した]

11月28日、「セヴェロドヴィンスク」は、潜航状態で有翼ミサイル「カリブル」対地攻撃型の発射試験に成功しました。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクは3回連続でカリブル有翼ミサイルの発射試験に成功した]

以前の報道では、11月初頭から国家受領試験を開始すると言われていましたが、11月に実施された一連の試験は、国家受領試験ではなく、追加の工場航海試験だったようです。
有翼ミサイル「カリブル」発射試験の為の。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]


結局、「セヴェロドヴィンスク」の本当の最終試験となる国家受領試験は、来年(2013年)6月以降にずれ込む事になりました。

これに伴い、「セヴェロドヴィンスク」ロシア海軍への引き渡しも来年(2013年)に延期されます。