改ヤーセン級多用途原潜カザンは2017年にロシア海軍へ引き渡される

『イタル-タス通信サンクト-ペテルブルク支局』より
2013年7月30日15時50分54秒配信
【多用途原子力潜水艦「カザン」は2017年に海軍へ引き渡される-セヴマシュのトップ】
モスクワ、7月30日/イタルタス
プロジェクト885M多用途原子力潜水艦「カザン」は2017年に海軍へ引き渡される。
造船工場「セヴマシュ」総取締役ミハイル・ブドニチェンコは記者団に伝えた。
「2017年に納入するスケジュールが承認されました」
工場総取締役は説明し、同艦が2016年に納入されるという最近の一部メディアの報道を覆した。
プロジェクト885「ヤーセン」水中巡洋艦シリーズのトップ「セヴェロドヴィンスク」は、現在、海洋で国家受領試験を受けている。
2009年に起工された原子力潜水艦「カザン」は、「セヴマシュ」の主船台で作業が行なわれている。
「カザン」と「ノヴォシビルスク」は近代化されたプロジェクト885M/整理名「ヤーセン-M」により建造されている。
変更点は専ら電子電波兵装複合体の基礎的要素であり、近代化された機器及び資材がロシアの製造者からのみ供給される。
2020年までの国家軍備プログラムによると、「セヴマシュ」は「ヤーセン」及び「ヤーセン-M」クラスの7隻の原子力潜水艦を建造しなければならない。
ロシア連邦の海軍ドクトリンによると、このプロジェクトの将来潜水艦は多数建造され、我が国の多用途原子力潜水艦の主力となる。
[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]
第4世代多用途原子力潜水艦「カザン」は、2009年7月24日に「セヴマシュ」で起工されました。
[改セヴェロドヴィンスク型原潜「カザン」起工]
[改セヴェロドヴィンスク型原潜カザンは新型機器のみを装備した初の第4世代原潜となる]
[改ヤーセン級多用途原潜カザンの操舵装置の製造が始まった]
以前には2015年にロシア海軍へ引き渡される予定となっておりました。
[多用途原潜ヤーセン級2番艦カザンは2015年に就役する]
7月29日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン主催による今後のロシア海軍の見通しと2011-2020年の国家軍備プログラムの実行状況に関する会議が開催されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
【ロシア連邦海軍の発展問題に関する会議】
この会議においてプーチン大統領は、ロシア海軍の為の新造艦の建造工事が遅延している現状を批判しましたが、同時に、2020年までに調達予定となっている新造艦の引き渡し時期を2025年まで延期する事も有り得ると発言しました。
この会議には、「セヴマシュ」総取締役ミハイル・ブドニチェンコも出席しました。
その会議の後に、ブドニチェンコ氏が原子力潜水艦「カザン」のロシア海軍の納入が2017年になったと公言している事から、調達が先延ばしされた新造艦は、「ヤーセン」級多用途原子力潜水艦である可能性が高いでしょう。
(「ヤーセン」級の2番艦「カザン」が2017年にロシア海軍へ引き渡された後、残りの3-7番艦が全て2020年までに引き渡されるなどとは考えにくい)
プロジェクト885「ヤーセン」級は、もともと1980年代に東西冷戦時代の構想に基づいて計画、設計された原子力潜水艦です。
そしてロシアは、既に「ヤーセン」級の次の原子力潜水艦の設計作業を進めています。
[ロシア海軍次世代(第5世代)攻撃原潜「潜水戦闘機」計画]
この「原子力潜水戦闘機」は、早ければ2020年前後には1番艦の建造が開始される予定です。
そのような状況下で、30年前の構想に基づく多用途原子力潜水艦を最優先で建造する意味は無いとプーチン大統領が考えても不思議ではありません。
これまでのプーチン大統領の言動を見る限り、新世代戦略原子力潜水艦「ボレイ」級には多大な思い入れが有るようですが、「ヤーセン」級に関しては殆ど関心を有していないようです。
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