もしもフランスがミストラル級の引き渡しを拒否したとしても、ロシアは同クラスの艦を建造できる

『アルムス-タス』より
2014年7月30日17時49分配信
【もしもフランスが「ミストラル」供給を拒んだ場合、ロシアは独自に航空艦を建造するとロゴージンは表明した】
ノボオガリョボ、7月30日(アルムス-タス)
もしもフランスが汎用揚陸艦「ミストラル」の供給を拒んだ場合、ロシアは独自に航空艦を建造する事が出来る。
ドミトリー・ロゴージン副首相はイタルタスの質問に答え、国産艦は更に良くなると述べた。
「何故ならば、それは寒冷緯度で動作する為の砕氷船クラスとなるからです」
「僕は、フランス大統領が、そう(「ミストラル」の供給の拒否)言ったとは考えておりません。
それは、各々の造船所に巨大な危機を巻き起こします。
契約を全て破れば違約金を支払う事になりますからね」
ロゴージンは、こう考える。
この件に関し、彼は強調した。
「僕達が、この艦を発注した時、我々は大規模な組み立て技術を有しておりませんでした。
ですが、今、僕達は、それを有しています」
彼によると、昨年(2013年)、インドへ航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」(旧「アドミラル・ゴルシコフ」)が納入された。
「僕達は、このような艦の実現が可能である事を実証し、更には、このようなクラスの艦の建造が可能な乾ドックを有するクリミア領内の新たな造船所を利用できます」
ロシアは、更に海外へ航空母艦を発注するのかという質問に答え、副首相は指摘した。
「決して無いとは言えません」
「ですが、その為には、フランスが、信頼できるパートナーとの契約下において、信頼できる供給者であるという重大な覚悟を完全に示さなければなりません」
彼は条件を付けた。
ロゴージンは強調した。
「もしも、彼ら(フランス)が、そのような信頼性を示さなければ、我々自身が、それを(艦)実現できるでしょう」
副首相は、「ミストラル」の後部はサンクトペテルブルクのバルト工場で製造されたと説明した。
「従って、僕達は、自分自身で艦の組み立てを行なえます」
「兵装やエレクトロニクスにつきましては、全てロシア製です」
彼は付け加えた。
ロゴージンによると「艦は、それ自体が大いなる集合体であり、我々は、既にそれを積極的に開発し、習得しております」
「それどころか、我々が将来的に、この方向へ向かう事になる場合、大方は艦の集合組み立て(分割建造方式)になるでしょう。
それは、温暖緯度の為に意図されているミストラルとは違って砕氷船クラスとなります」
副首相は指摘した。
2011年6月、ロシアとフランスは2隻の汎用揚陸艦「ミストラル」級の建造契約に署名した。
プロジェクトの費用は、イタルタスによると12億ユーロである。
1番艦のロシア海軍への引き渡しは今年10月末に予定されており、2番目は2015年後半である。
同時に、「ミストラル」というテーマは、最近のウクライナ情勢に関するロシア連邦と西側諸国との意見の相違により、定期的に持ち上がっている。
特に、アメリカ合衆国は、ロシアへの艦の供給を断念するようにフランスへ圧力を掛けている。
今週、ヨーロッパ連合は、ロシアに対する新たな制裁パッケージを発表した。
それは、兵器の輸出禁止及びロシア連邦への2重用途の技術供与の禁止が含まれている。
禁止は、フランスとの新規の契約及び取り引きにのみ適用されるものであり、「ミストラル」は、自動的に、この禁止要件には抵触しない。
しかし、以前にフランス大統領フランソワ・オランドは、同国が「ミストラル」型の1番艦の建造の為の義務を履行し、期日通りに引き渡すが、2隻目のヘリコプター母艦に関する作業は、ウクライナ危機に関するモスクワの立ち位置に依ると表明した。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
1番艦「ウラジオストク」は、前半部分が2012年2月1日にフランスのSTXフランス造船所(サンナゼール)で起工され、後半部分はロシアのバルト工場(サンクトペテルブルク)で2012年10月1日に起工、その後、サンナゼールで前部と後部が結合されて2013年10月15日に進水、2014年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦(強襲揚陸艦)ウラジオストクは就役から1年間は集中運用される]
2番艦「セヴァストーポリ」は、前半部分が2013年6月18日にフランスで起工され、後半部分は2013年7月4日にロシアで起工されています。
2014年4月30日には後半部分が進水し、7月15日には、前部と接合する為にサンナゼールへ到着しました。
7月21日には、STXフランス造船所で「セヴァストーポリ」の前部と後部の接合作業が開始されました。
[ロシア海軍のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦セヴァストーポリの船体接合が始まった]
接合完了後、今年10月に改めてサンナゼールで進水します。
これまでにフランスは再三に渡り、ロシアへの「ミストラル」引き渡しは断念しないと表明しています。
[アメリカの対ロシア制裁はミストラル級の引き渡しを妨げない]

今回、ロシア副首相ドミトリー・ロゴージン氏は、フランスを信じている事を表明する一方(ただし無条件では無い)、もしもフランスが「ミストラル」級の引き渡しを拒むのならば、ロシアが独自に同クラスの艦を建造する可能性を示唆しました。
以前にも同様の話は有りましたが、この時は匿名筋からの情報でした。
[もしもフランスがミストラル級の売却を取り止めたのならば、ロシアは独自にミストラル級と同型の艦を建造するかもしれない]
なお、ロゴージン氏は、今回、フランスからの「ミストラル」級導入の理由について、建造技術を導入する為であると述べています。
ロゴージン氏が言っている「組み立て技術」というのは、要するに分割建造方式の事です。


これまでにロシアの造船所では、複数の造船所で艦の各部分を分割建造し、それを1か所に集めて結合するという方式は経験が無かったので、「ミストラル」級の建造-前部はフランスで建造、後部はロシアで建造-により、この方法を学んだという事です。
ロシアが将来(2021年以降)に建造する新世代航空母艦も、この方式で建造される事になるようです。
(つまり、その為の「リハーサル」という意味合いも有った)
ロシアがフランスから「ミストラル」級を購入するかもしれないという話は2009年8月初頭から出てきましたが、同年9月下旬、当時のロシア国防次官ウラジーミル・ポポフキン氏は、それが事実である事を公式に認めました。
[ロシア国防省は、「ミストラル」型揚陸艦購入交渉が行なわれている事を認める]
この時、ポポフキン氏は、フランスからのヘリコプター母艦購入は、将来の航空母艦建造の為の手順を学ぶ為であると明言しています。
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