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ロシア海軍最新鋭戦略原潜ボレイ級7番艦インペラートル・アレクサンドルIII(皇帝アレクサンドル3世)は発注された

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『タス通信』より
2015年10月12日16時53分配信
【情報筋:「インペラートル・アレクサンドルIII」(皇帝アレクサンドル3世)の名前を受け取る第7の「ボレイ」は既に発注書へ署名されている】
モスクワ、10月12日/タス通信

インペラートル・アレクサンドルIII」(皇帝アレクサンドル3世)の名前を受け取る第7の「ボレイ」型戦略原子力潜水艦に対応する発注書へは既に署名されている。
10月12日、タス通信ロシア海軍総司令部の情報提供者より伝えられた。

「起工は、今年12月後半に予定されています」
対談者は想い起した。

「ボレイ」型潜水艦は、今後10年間のロシアの主要戦略核戦力となる使命を持つ。
既に報じられているように、2020年までに、この潜水艦の8隻の建造が計画されており、この内の3隻は既に海軍へ引き渡されている。
潜水艦は16基の大陸間弾道ミサイル「ブラヴァー」を搭載する。

現在は、改善プロジェクト-「ボレイ-A」のシリーズ建造が続けられている。
その最初の代表は、2012年に起工された潜水艦「クニャージ・ウラジーミル」だった。
2014年には、2隻の潜水艦-「クニャージ・オレグ」「ゲネラリーシムス・スヴォーロフ」が起工された。


[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]

プロジェクト955「ボレイ」原子力戦略用途水中ロケット巡洋艦は、これまでに6隻が起工され、このうち3隻が就役済みです。

1番艦K-535「ユーリー・ドルゴルーキー」は、1996年11月2日に起工、2007年4月15日に進水、2012年12月29日に竣工、2013年1月10日に就役し、北方艦隊第31潜水艦師団に編入されました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーはロシア海軍へ就役した]
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは北方艦隊第31潜水艦師団へ編入された]

2番艦K-550「アレクサンドル・ネフスキー」は、2004年3月19日に起工、2010年12月6日に進水、2013年12月23日にロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊第25潜水艦師団へ編入されました。
[ボレイ級戦略原潜2番艦アレクサンドル・ネフスキーはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された]

3番艦「ウラジーミル・モノマーフ」は、2006年3月19日に起工、2012年12月30日に進水、2014年12月10日に竣工、同年12月19日に就役しました。
[第3のボレイ級戦略原潜ウラジーミル・モノマーフはロシア海軍へ就役した]

4番艦「クニャージ・ウラジーミル」からは改良型のプロジェクト955A「ボレイ-A」となり、2012年7月30日に起工されました。
[改ボレイ級戦略原潜クニャージ・ウラジーミルは2017年にロシア海軍へ納入される]

5番艦(改「ボレイ」級としては2隻目)「クニャージ・オレグ」は、2014年7月27日に起工されました。
[ボレイ級戦略原潜5番艦クニャージ・オレグはロシア海軍の日に起工された]

6番艦「ゲネラリーシムス・スヴォーロフ」は2014年12月26日に起工されました。
[ロシア海軍の為の第6のボレイ級戦略原潜は起工された]

今年(2015年)には7番艦の起工が予定されています。
[ロシア海軍最新戦略原潜ボレイ級の建造予算が凍結される事など無い]

7番艦の名前は「インペラートル・アレクサンドルIII」(皇帝アレクサンドル3世)に確定しています。
[ロシア海軍最新戦略原潜ボレイ級7番艦はインペラートル・アレクサンドルIII(皇帝アレクサンドル3世)と命名される]

そして、今年12月後半起工予定の「インペラートル・アレクサンドルIII」は既に発注されているとの事です。

ロシア海軍の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチの国家受領試験が始まる

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公開株式会社『沿バルト造船工場ヤンターリ』公式サイトより
2015年10月14日配信
【警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は国家受領試験を開始する】

我々の工場で建造されたプロジェクト11356のトップ艦の国家受領試験は10月14日に開始される。

この決定は、警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」の艦上で業務を行なう国家受領委員会の委員長により下された。

現在、工場納入チームと艦の乗組員は、10月20日頃まで実施される最初の海洋への出航を準備している。
国家受領試験は、約3週間に渡り続けられる。

ロシア海軍への艦の引き渡しは、2015年11月に予定されている。


[ロシア海軍の為の新たなフリゲート~プロジェクト11356R(アドミラル・グリゴロヴィチ型)とプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)]
[アドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲート]

プロジェクト11356R警備艦の1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、2010年12月18日に起工され、2014年3月14日に進水しました。
[ロシア海軍の新型フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は進水した]

その後、2014年12月初頭から造船所の岸壁で係留試験が開始されました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月5日8時7分配信
【警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は係留試験を開始した】

12月21日にはガスタービンエンジンが初めて始動されました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月21日14時24分配信
【警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は初めてエンジンを始動した】

そして2015年2月17日、出航前の消磁作業の為、「ヤンターリ」浮きドックへ入りました。
[ロシア海軍の新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は消磁作業を開始した]

消磁作業は3月下旬に完了し、4月8日に「ヤンターリ」造船所の在るカリーニングラードからバルチースク海軍基地へ移動しました。

4月下旬に1回目の洋上試験が実施され、4月29日に完了しました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は2015年5月初頭から2回目の洋上試験を開始する]

そして5月5日に2回目の洋上試験が始まりました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は2回目の洋上試験を開始した]

2回目の試験は5月7日には終わり、バルチースク基地へ戻りました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は2回目の洋上試験を終えた]

5月16日から3回目の洋上試験が始まりました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は5月16日から洋上試験を再開する]

この3回目の洋上試験中、初めて「アドミラル・グリゴロヴィチ」の砲兵装~A-190-01「ウニヴェルサール」100mm単装砲と、AK-630M 30mmガトリング砲の発射試験が実施されました。
[ロシア海軍最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチは初めての砲撃試験を行なった]

5月28日、4回目の洋上試験へ出発しました。
[ロシア海軍最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは洋上試験を続ける]

7月26日の「ロシア海軍の日」には、バルチースクの観艦式へ参加しました。

[バルチースクの『海軍の日』記念観艦式にロシア海軍の最新鋭艦5隻が参加する]

8月27日、高射ミサイル複合体「シチーリ-1」の発射試験が初めて実行されました。
[ロシア海軍最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはバルト海で対空ミサイルを発射した]

10月初頭に工場航行試験は完了しました。

そして10月14日から国家受領試験が開始されました。
この試験が完了した後、「アドミラル・グリゴロヴィチ」ロシア海軍へ引き渡される事になります。

「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、当初は今年(2015年)8月にロシア海軍へ引き渡される予定でしたが、ガスタービンエンジン冷却器に不具合が発生した為、引き渡しは延期され、結局、今年11月になりました。
[プロジェクト11356R警備艦アドミラル・グリゴロヴィチは2015年9月以降にロシア海軍へ引き渡される]
[プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは2015年11月にロシア海軍へ引き渡される]


プロジェクト11356R警備艦は、現在までに5隻が起工され、この内の2隻が進水し、1番艦は洋上試験中です。
6隻の建造が計画されており、全て黒海艦隊へ配備されます。

[プロジェクト11356R警備艦]
沿バルト造船工場「ヤンターリ」(カリーニングラード)で建造

「アドミラル・グリゴロヴィチ」Адмирал Григорович:工場番号01357
2010年12月18日起工/2014年3月14日進水/2015年11月就役予定

「アドミラル・エッセン」Адмирал Эссен:工場番号01358
2011年7月8日起工/2014年11月7日進水/2015年12月就役予定

「アドミラル・マカロフ」Адмирал Макаров:工場番号01359
2012年2月29日起工/2015年9月2日進水/2016年就役予定

「アドミラル・ブタコフ」Адмирал Бутаков:工場番号01360
2013年7月12日起工/2018年以降に就役予定

「アドミラル・イストミン」Адмирал Истомин:工場番号01361
2013年11月15日起工/2018年以降に就役予定


4番艦以降の建造工事は今年春から凍結されていましたが、8月に再開されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のプロジェクト11356Rフリゲートの建造は再開された]

プロジェクト11356Rの4番艦以降には、ロシア国内で製造されるエンジンが載せられる事になります。
[ロシア海軍のアドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲートはウクライナ製ガスタービンエンジンを代替する]
[ロシア海軍の為のプロジェクト11356Rフリゲートはウクライナ製の代わりにロシア製ガスタービンを装備する]
[ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える]

ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは出航を準備する

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『タス通信』より
2015年10月13日12時23分配信
【航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は戦闘準備状態を回復し、週末までにムルマンスクを去る】
ムルマンスク、10月13日/タス通信特派員イリヤ・ヴィノグラードフ

ロシア唯一の航空母艦である重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」(ソ連邦海軍元帥クズネツォフ)は、完全な戦闘準備状態へのシステム及び機構の回復を完了した。
本日、タス通信特派員は北方艦隊広報サービスより伝えられた。
今週末までに同艦はムルマンスク港の埠頭を去る。

「航空母艦はコラ湾へ出て海洋への出航を準備しております」
広報サービスは話した。

海洋への出航後、航空母艦は、今夏にクリミアシミュレーター「ニートカ」で着艦の要素へ取り組んでいた甲板飛行士の訓練を継続する。

以前、航空母艦は3ヶ月間~5月から8月まで~に渡りムルマンスク州ロスリャコヴォ村第82艦船修理工場でドック修理を実施した。
アドミラル・クズネツォフ」のドックへの入渠中、船体の水中部分を含む大規模な作業が有り、海洋堆積物を清掃し、塗装された。
更に、艦の航行能力を担う様々なシステムの電子機構部分が修復された。
その後、ムルマンスクの常時停泊地で、完全な戦闘準備状態の回復が進められた。

重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は1982年9月1日に黒海造船工場で起工された。
1985年12月4日に進水した。
艦の航海時には、航空機Su-25UTGSu-33ヘリコプターKa-27Ka-29が駐留する。

最近の遠距離航海は2014年5月に完了した。
その大部分は地中海で過ごした。


[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]

「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡り、大西洋・地中海遠征を実施しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]

遠距離航海から戻った後は、ムルマンスク市郊外の第35艦船修理工場でメンテナンスが行なわれました。

7月18日にはムルマンスクからセヴェロモルスクへ移動しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近影(2014年7月18日)]

7月27日の「ロシア海軍の日」には、北方艦隊基地セヴェロモルスクで祝賀行事に参加しました。

その後、第35艦船修理工場へ戻ってメンテナンスを完全に終え、9月29日に点検の為、バレンツ海へ出航しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは整備後の点検の為に出航した]

9月30日、艦上航空隊の訓練が始まりました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフで艦上航空隊の訓練が始まった]

10月1日からは北方艦隊捜索救助部隊の演習へ参加し、「遭難艦」の役を演じました。
[ロシア海軍北方艦隊は空母アドミラル・クズネツォフの救助訓練を行なう]

2014年11月末、ムルマンスク市と後援協定を締結し、同市の後援を受ける事になりました。
[ムルマンスク市はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを後援する]

2015年5月13日、常時係留地であるムルマンスク郊外の第35艦船修理工場岸壁からロスリャコヴォ第82艦船修理工場へ移動しました。
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[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入る]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入渠した]

「アドミラル・クズネツォフ」は、ロスリャコヴォ大型浮きドックPD-50に入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。
[ロシア海軍重航空巡洋艦アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ近影(2015年5月31日)]

3ヶ月後の8月20日、大型浮きドックPD-50から出渠しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]

浮きドックを出た後、「アドミラル・クズネツォフ」第35艦船修理工場岸壁へ戻り、修理作業の残りの部分が実施されました。
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その修理作業も完了し、「アドミラル・クズネツォフ」は、今週末まで~10月17日頃まで~に海へ出るとの事です。
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2015年10月中旬に出航する]

「アドミラル・クズネツォフ」搭載機部隊は、今年7月中旬から9月初頭までクリミア半島サキ飛行場訓練複合体「ニートカ」で発着訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機航空連隊はクリミアのニートカでの訓練を終えた]

「アドミラル・クズネツォフ」が出航した際、艦上戦闘機部隊の新人パイロットは同艦で発着訓練を行なう事になるようです。


「アドミラル・クズネツォフ」は、2010年代末に近代化改装が予定されています。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は先延ばしされている]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2010年代後半に近代化改装を行なう]

ロシア海軍の新型揚陸艦イワン・グレンは係留試験を開始した

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『タス通信』より
2015年10月9日17時47分配信
【大型揚陸艦「イワン・グレン」はカリーニングラードで係留試験を開始した】
カリーニングラード、10月9日/タス通信特派員ウラジーミル・ヌヤクシェフ

ロシア海軍の発注により建造された大型揚陸艦「イワン・グレン」の係留試験は、10月9日にカリーニングラード沿バルト造船工場「ヤンターリ」で始まった。
タス通信は、同社の広報秘書官セルゲイ・ミハイロフより伝えられた。

「本日、沿バルト造船工場ヤンターリ総取締役は、大型揚陸艦イワン・グレンの係留試験開始指示書へ署名しました」
ミハイロフ
は話した。
彼は、艦の作業の一部は係留期間に遂行されると説明した。
「これは、係留試験を速やかに完了し、11月下旬に開始されるべき工場航行試験への移行を可能にします」
同社の代理人は説明した。

本日、艦の炊事用機器の試験が行われ、既に食品が準備されている。
「艦の炊事用機器は高い信頼性を示しており、同艦は艦内へ乗組員を受け入れる準備が整っております」
工場の代理人は話した。
来週、「イワン・グレン」には、バルト艦隊の建造・修理艦部隊からの船員が居住する。

ミハイロフによると、大型揚陸艦は、2015年末までに発注者へ引き渡される。

プロジェクト11711大型揚陸艦「イワン・グレン」サンクトペテルブルク「ネフスキー計画設計局」により開発され、2004年末に「ヤンターリ」で起工され、2012年5月に進水した。
同プロジェクト艦は、揚陸部隊の上陸、軍用車両及び機材の輸送の為に意図されている。

艦の排水量-5000トン、全長-120メートル、幅-16.5メートル。速力-18ノット、航行期間-30日。
大型揚陸艦「イワン・グレン」は、軍用砲科学者、レニングラード海軍防衛砲台指揮官イワン・グレン中将に因んで命名された。


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[新型揚陸艦イワン・グレン]

プロジェクト11771大型揚陸艦「イワン・グレン」は、カリーニングラード「ヤンターリ」造船所で2004年12月24日に起工されました。

それから約8年後の2012年5月18日に進水しました。
[新型揚陸艦イワン・グレンは進水する]


ロシア海軍総司令官チルコフ提督は、進水当日、「イワン・グレン」は単なる揚陸艦としてではなく、他の用途にも幅広く使えると述べています。
[新型揚陸艦イワン・グレンは大洋海域で使用できる]

「イワン・グレン」ロシア海軍への引き渡しは再三に渡り延期されており、現在は2015年末となっております。
[大型揚陸艦イワン・グレンは2015年にロシア海軍へ納入される]

そして、進水から3年以上経った2015年10月9日、「イワン・グレン」は、ようやく係留試験を開始しました。

航行試験は11月下旬から開始され、ロシア海軍への引き渡しは2015年末に予定されています。

プロジェクト11711大型揚陸艦の建造は2隻で終了します。
[ロシア海軍はプロジェクト11711大型揚陸艦(イワン・グレン型)の調達を2隻で打ち切る]

その後は、新型の汎用揚陸艦「プリボイ」級(14000トン)の建造へ移行します。
[ロシア海軍の為の新型汎用揚陸艦プリボイ級が建造される]

ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはバレンツ海で巡航ミサイル"カリブル"(対艦型)を発射した

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月9日19時00分配信
【北方艦隊の潜水艦はバレンツ海で「カリブル」発射を実施した】
モスクワ、10月9日-ロシア通信社ノーボスチ

潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」は、艦上兵装システムの試験において、バレンツ海の海上目標に対し高精度有翼ミサイル「カリブル」発射を成功裏に実施した。
北方艦隊広報サービス部長ワジム・セルガ1等海佐は表明した。

「有翼ミサイル発射は、バレンツ海の北方艦隊戦闘訓練射爆場の海上目標へ水中位置から実施されました。
海上目標は数百キロ離れた場所に在り、高い精度で命中しました」

彼は話した。

有翼ミサイル「カリブル」は、シリア過激派「イスラム国」の陣地を破壊する為、ロシアカスピ小艦隊の艦が使用している。

更に、ディーゼルエレクトリック潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」は、現在、北方艦隊において機器装置及び兵装の点検段階を経ている事が報告された。


[プロジェクト06363潜水艦]

ロシア海軍黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦の2番艦B-237「ロストフ・ナ・ドヌー」は、2011年11月21日にサンクトペテルブルク「アドミラルティ造船所」で起工されました。
[改キロ級潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」起工]

それから約3年後の2014年6月26日に進水しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の2番艦ロストフ・ナ・ドヌーは進水した]

8月下旬、係留試験が開始されました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の2番艦ロストフ・ナ・ドヌーは係留試験を開始した]

その後、10月21日から工場航行試験が始まりました。
『ruspodplav』より
2014年11月2日23時44分配信
【「ロストフ・ナ・ドヌー」はサンクトペテルブルクへ戻ってきた】

ロシア海軍広報部は、「ロストフ・ナ・ドヌー」が2014年末までにロシア海軍へ引き渡されると発表しました。
[最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは2014年末までにロシア海軍へ引き渡される]

12月23日には国家受領試験が終わりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月23日13時26分配信
【ディーゼルエレクトリック潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」は国家試験から戻った】

その後、12月27日に受領-引渡証書への署名が行なわれ、12月30日に海軍旗初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役し、黒海艦隊第4独立潜水艦旅団へ編入されました。
[潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはロシア海軍へ就役した]


就役した「ロストフ・ナ・ドヌー」は、まずバレンツ海へ移動して深海試験を行ない、その後に配備先の黒海艦隊基地-ノヴォロシースク海軍基地へ回航されます。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは深海試験を行なう為にバレンツ海へ移動する]

2015年4月17日、「ロストフ・ナ・ドヌー」クロンシュタットを抜錨しました。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはクロンシュタットを去り、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイへ向かった]

5月22日、深海試験を行なう為、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイへ到着しました。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは深海試験の為に北方艦隊基地ポリャールヌイへ到着した]

その後、バレンツ海で各種試験が行われました。

10月2日には有翼ミサイル「カリブル」対地攻撃型の発射試験を実施しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはバレンツ海から地上目標へ巡航ミサイルを発射した]

そして10月9日、今度は「カリブル」対艦型を海上目標へ発射しました。

「ロストフ・ナ・ドヌー」は、今年末までに黒海沿岸へ回航されます。


記事中で触れられていますが、有翼ミサイル「カリブル」(対地攻撃型)は、10月7日にカスピ小艦隊の艦艇からシリアISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点へ発射されています。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]
[ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長はロシア海軍によるシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点攻撃について語った]

ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦ノヴォロシースクはセヴァストーポリ工場でメンテナンスを行なう

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年8月10日15時13分配信
【セヴァストーポリの旧ポロシェンコ工場はロシア連邦海軍から最初の発注を受けた】
モスクワ、10月8日-ロシア通信社ノーボスチ

「セヴァストーポリ海洋工場」を基に形成されたセヴァストーポリ艦船修理企業「ズヴェズドーチカ」支所は、その最初の軍事発注を実行し、最新のプロジェクト636.3「ワルシャワンカ」ディーゼルエレクトリック潜水艦「ノヴォロシースク」の船体の仕上と塗装を行なう。
木曜日、「統合造船業営団」公式代理人ローマン・チェルニゴフツェフは発表した。

以前、「セヴァストーポリ海洋工場」ウクライナ大統領ペトロ・ポロシェンコが所有していたが、クリミアロシアの一員として加わった後、セヴェロドヴィンスク艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」の支所となった。

「本日・10月8日、セヴァストーポリ海洋工場を基にして操業するセヴァストーポリ市の艦船修理センター・ズヴェズドーチカ支所へ、プロジェクト636.3ディーゼル潜水艦ノヴォロシースクが入りました。
潜水艦は船体の最終仕上げと塗装を実施します」
チェルニゴフツェフ
は話した。

彼は更に、全ての作業は2015年11月末までの完了が計画されている事を指摘した。
船体の仕上げと塗装は、「セヴァストーポリ海洋工場」の労働者と、10月1日にセヴァストーポリへ到着した40名以上の建造工場「アドミラルティ造船所」の代表が合同で実施する。

「ノヴォロシースク」は、サンクトペテルブルク市「アドミラルティ造船所」黒海艦隊の為に建造される6隻の近代化されたプロジェクト636.3「ワルシャワンカ」ディーゼル潜水艦の1隻目である。

プロジェクト636.3「ワルシャワンカ」潜水艦は第3世代に属しており、排水量3950トン、速力20ノット、潜航深度300メートル、乗員52名である。
兵装として533mm口径の魚雷(6門の発射管)、機雷、打撃ミサイル複合体「カリブル」が有る。
それは、敵に探知されるよりも3-4倍の距離で目標を発見する事が出来る。
その隠密性により、同プロジェクト潜水艦はNATOから「ブラックホール」の呼び名を貰った。


[プロジェクト06363潜水艦]


プロジェクト06363潜水艦の1番艦B-261「ノヴォロシースク」は2010年8月20日に起工され、2013年11月28日に進水しました。
[プロジェクト06363(改キロ級)潜水艦ノヴォロシースクは進水した]

2014年5月末に工場航海試験が開始されました。
[プロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクの航海試験が始まった]

6月22日、最初の航海試験は完了しました。
[プロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクは最初の航海試験を終えた]

7月下旬から再び航海試験が実施されました。

8月21日、サンクトペテルブルクにおいて受領-引渡証書への署名が行なわれました。
[プロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはロシア海軍へ納入された]

2014年8月22日、正式な就役式典となる聖アンドレイ旗初掲揚式典が開催され、名実ともにロシア海軍へ就役しました。
[黒海艦隊の為のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはロシア海軍へ就役した]

2014年9月17日、ロシア黒海艦隊へ編入されました。
[プロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはロシア黒海艦隊へ編入された]

「ノヴォロシースク」は、バレンツ海方面での深海試験が予定されていました。
[プロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクは北方海域で深海試験を行なう]

11月6日、その深海試験を行なう為、北方艦隊の基地ポリャールヌイへ到着しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクは深海試験の為に北方艦隊の基地へ到着した]

それから約9か月後の2015年8月初頭、「ノヴォロシースク」バレンツ海方面での各種試験を全て終えました。

その締め括りとして、「ノヴォロシースク」バレンツ海からチジャ射爆場有翼ミサイル「カリブル」を発射しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはバレンツ海から地上目標へ巡航ミサイルを発射した]

8月10日、「ノヴォロシースク」黒海へ向けて出航しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクは黒海へ向かった]

8月26日にジブラルタル海峡を通過して地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはジブラルタル海峡を通過して地中海へ入った]

翌8月27日、スぺインセウタ港へ寄港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはスペインの飛び地セウタを訪れた]

9月初頭にはアルジェリアオラン港へ寄港しました。

9月16日、「ノヴォロシースク」ダーダネルス海峡ボスポラス海峡を通過し、黒海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクは黒海へ入った]

9月21日、ノヴォロシースク海軍基地へ到着しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはノヴォロシースクへ到着した]

9月28日、点検整備の為、セヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはセヴァストーポリへ到着した]

そして10月8日、船体の仕上げ(清掃)と塗装の為、「セヴァストーポリ海洋工場」の岸壁へ回航されました。
[セヴァストーポリ海洋工場はセヴェロドヴィンスク艦船修理工場ズヴェズドーチカの傘下に入る]

作業は11月末までに完了するとの事です。


ロシア海軍向けのプロジェクト06363通常動力潜水艦は、これまでに6隻が起工され、この内の3隻が就役しています。
全てサンクトペテルブルク「アドミラルティ造船所」で建造されています。
現在の所、6隻が建造される計画です。

プロジェクト06363は、輸出用のプロジェクト636を更に改良したタイプであり、今後建造される第5世代通常動力潜水艦「カリーナ」級の開発設計作業の成果がフィードバックされています。

[プロジェクト06363]
・B-261「ノヴォロシースク」(Б-261 Новороссийск)
建造番号01670
2010年8月20日起工/2013年11月28日進水/2014年8月22日就役
黒海艦隊へ配備

・B-237「ロストフ・ナ・ドヌー」(Б-237 Ростов-на-Дону)
建造番号01671
2011年11月21日起工/2014年6月26日進水/2014年12月30日就役
黒海艦隊に配備予定

・B-262「スタールイ・オスコル」(Б-262 Старый Оскол)
建造番号01672
2012年8月17日起工/2014年8月28日進水/2015年7月3日就役
黒海艦隊に配備予定

・B-265「クラスノダール」(Б-265 Краснодар)
建造番号01673
2014年2月20日起工/2015年4月25日進水/2015年11月就役予定
黒海艦隊に配備予定

・B-268「ヴェリキー・ノヴゴロド」(Б-268 Великий Новгород)
建造番号01674
2014年10月30日起工/2016年11月就役予定
黒海艦隊に配備予定

・B-271「コルピノ」(Б-271 Колпино)
建造番号01675
2014年10月30日起工./2016年11月就役予定
黒海艦隊に配備予定


プロジェクト06363潜水艦には有翼ミサイル「カリブル」が装備されます。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長はロシア海軍によるシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点攻撃について語った

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年10月8日9時9分配信
【国防省は、シリアでの海軍のミサイル攻撃の詳細について話した】

この前の水曜日、軍艦「ダゲスタン」、「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」は、シリアの目標への有翼ミサイル発射を実施した。
発射は、他国との合意下で行なわれ、民間人の安全が確認されたとロシア連邦国防省は表明した。


ロシアはパートナーと事前合意の上で、カスピ海南西部から有翼ミサイル「カリブル」により、シリア領内の施設へ打撃を与えた。
10月8日・木曜日、ロシア連邦軍参謀本部作戦管理総局長アンドレイ・カルタポロフ大将は発表した。
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「10月5日と6日、私達の調査により、即時破壊の対象となっているシリア領内の過激派の重要施設の数が明確にされました」
アンドレイ・カルタポロフ
はこう話し、説明した。
「これらの撃破の為、長距離有翼ミサイルの使用が決定されました」
ロシア連邦国防省広報サービス
は、彼の談話を引用した。

「民間人の回廊飛行の安全保障の利益の為、人口希薄な場所で計画されました。
打撃を与えるのは、ラッカ県、イドリブ県、アレッポ県の弾薬及び爆発装置の製造工場、指揮所、弾薬及び燃料倉庫、更にはテロリストの訓練拠点です」
アンドレイ・カルタポロフ
は指摘した。

彼によると「これら施設への打撃により、我々は過激派の機動力を減らし、テロへの共鳴行動の機会を奪う事が出来ます」

「全ての施設を撃破する為、私共は徹底的な調査を行ない、宇宙及び電波電子偵察、無人飛行装置から撮影されたデータと、無線傍受により得られた情報が使用されました。
我々は更に、スパイ活動による情報源を含め、シリア、イラン、イラクの情報機関のデータも使用しました」
アンドレイ・カルタポロフ
は強調した。

彼は更に、打撃は検証された目標にのみ与えられ、各打撃に先行して長く入念な準備が行なわれたと説明した。
各施設を撃破する為の打撃に先立ち、特殊な型式が用意された。

「使用可能な全ての情報を分析した後、コンピュータモデルにより、来たる打撃の為のコンピュータシミュレーションが行なわれ、その後でのみ、それか、或いは他の目標を撃破するのかについての最終決定が下されました。
航空機の為の目標の特定に当たっては、このようなアルゴリズムが厳密に実行されました」
アンドレイ・カルタポロフ
は話した。

彼は、シリアにおいて最新鋭の高精度兵器が使用されている事を強調した。
ハイテクノロジーシステムと組み合わせた複合使用は、目標を撃破する為の高い精度を提供する。
「目標との誤差は、最大でも5メートルを超える事は有りません」
アンドレイ・カルタポロフ
は表明した。

彼は更に、ロシアは繰り返し過激派による計画攻撃を防いできたという事実に注意を払った。
「その唯一の理由は、テロリストが彼らの基地とキャンプを去り、人口密集地や宗教施設の付近へ隠れる傾向が有りますので」
「私は、人口密集地を目標物体として扱わない事について、我々に全ての責任がある事を表明いたします」

大将は強調した。

アンドレイ・カルタポロフによると「ロシアはパートナーと"イスラム国"施設の座標を共有する事を提案いたしましたが、この提案は未だ解決されずに残されたままです」
「これは、我々のパートナーが、これらの座標を有しておらず、或いは、私達が"イラクとレバントのイスラム国"へ打撃を与える事を何らかの理由で望んでいない事を意味します。
このような理由は、私達にとって不明瞭なまま残されています」
アンドレイ・カルタポロフ
は表明した。


[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
[ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した]

シリア内戦におけるロシア海軍の今後の行動の可能性

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年10月7日16時27分配信
【貨物輸送か打撃力か:シリア紛争における(ロシア)海軍の意志】

シリア紛争におけるロシア海軍の活動は、長期間に渡りタルトゥース港への物資や兵器の配達に限られていた。
ロシア人船員がイスラム主義者へ最初の打撃を与えたのは10月7日になってからだった。
『中央海軍ポータル』は、ミサイル「カリブル」以外にも水上から『イスラム国』を攻撃できる事を理解している。


[カスピ海から風よりも速く地中海へ]
ロシア海軍
による最初の打撃作戦は、水曜日・10月7日に実施された。
「イスラム国」の陣地(ロシア連邦領では非合法)は、カスピ海から発射された有翼ミサイル「カリブル」により撃破された。
地上目標を破壊できる3M14ミサイルの搭載艦は、ロケット艦「ダゲスタン」、小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」であった。

以前には、このミサイルの特性である飛翔距離は、人為的な制限を受ける事無く知られていた。
「カリブル」の輸出版-複合体「クラブ」として。

専門家が表明してるように、ロシア海軍は、3M14の2つのヴァージョンを持っている:水上艦から発射する為のものと、潜水艦魚雷発射管から発射するものと。
更には、2タイプの弾頭。それは「従来型」と呼ばれるものと、更には、特殊な戦術核弾頭である。

沿岸目標を攻撃する際の「カリブル」の飛翔距離は2600kmに達する事が可能であり、ロシア南部艦艇グループに配置され、実際には埠頭から離れることなく『イスラム国』へ打撃を与える事が出来る。

そのような決定が採択された場合、カスピ小艦隊の船員のみならず、全ての艦隊「吹き飛ばす」責任を有する事になる。
最近、ノヴォロシースクには、工場試験と国家試験を完了した同名のプロジェクト636.3ディーゼルエレクトリック潜水艦が到着した。
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サンクトペテルブルクで建造された「ノヴォロシースク」潜水艦シリーズのトップであり、優れた隠密特性に加え、沿岸目標を攻撃できる有翼ミサイル複合体「カリブル」を有している。

[「オーニクス」の戦い]

「カリブル」のみならず、ロシアから離れた所で船員が戦う事も有り得るだろう。
鉱物の「オーニクス」に因んで命名されたミサイル複合体の射程距離は短いが、地上目標に対して使用出来る。
有翼ミサイル「オーニクス」は、特に、小型ロケット艦プロジェクト21631「ブヤン-M」、更には沿岸複合体「バスチオン」への装備が計画されている。

既知の通り、「オーニクス」は、機動海上目標に対し、距離300mで発射できる。
しかし地上に対しては、数倍以上になる。
この有翼ミサイル「カリブル」は、複雑な飛翔軌道により、対空防衛手段を恐れる事は無い:最初は弾道軌道に沿って移動し、その後、目標を捕捉、急激に地上へ降りる。それは最低高度で敵に接近し、障害物を回避し、敵軍の防衛手段を避ける。

軍事情報筋によると、このミサイルの命中精度の誤差は100では無く、メートル単位であると推定されている。
この事は、「有翼ミサイル」シリアロシア航空機が使用している自由落下爆弾による撃破手段とは大幅に違う事を意味している。

[海洋の翼]
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ムルマンスク州
で3ヶ月以上に渡る技術的準備状態の回復を行なっていたロシアで唯一の航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理は10月中旬までに終わる予定である。
海軍で最大の艦の地中海への遠距離航海は、特に目新しいものでは無い。
2014年、「クズネツォフ」は、ほぼ半年間を(海上で)過ごし2011-2012年には、それよりも短かった。

テロリスト集団『イスラム国』との戦いに巡洋艦を使用する事が決定された場合、既にラタキア空港に在る34機の航空機に加え、シリア沿岸には30機以上の甲板配置機が到着する事になる。

「アドミラル・クズネツォフ」航空団の構成には、特に、第4世代多目的戦闘機Su-33が含まれている。
彼らは、地上及び海上目標へ爆弾及びミサイルによる打撃を与えるのみならず、敵の航空機から前線爆撃機を援護し、無人機、更には有翼ミサイルを攻撃できる。
この航空機は17kmまでの高度で行動し、3000kmまで飛翔できる。

彼らの艦が修理されている間、甲板戦闘機飛行士は技量を失わなかった事には注目すべきである。
その訓練期間には、最近復活した複合体ニートカが在るクリミアへ移動した。
それは海洋航空隊の為に特別に作成されたものである。
(クリミア)半島への派遣中、パイロットは、夜間の10時間を含め、空中で150時間以上を過ごした。
飛行士が甲板から発着できる施設は、ロシアには非常に少ない。
2011年夏には、北方緯度の演習のデータによれば、計20だった。
驚くことではないが、航空グループの半分は練習機である。

そして、シリア紛争における航空艦グループの利点は明白である。
地上の空港とは異なり、海上航空基地は、テロリストの攻撃や砲撃の可能性から護られている。
パイロットは、彼の有翼機の発着艦に集中する事が出来るし、航空機が殆ど機動できない時間中、敵の対空防衛手段の脅威の可能性について考慮しなくても良い。

シリア紛争の枠組みにおける航空艦の使用が成功する可能性については、アメリカの経験により確認されている。
長期間に渡りアメリカ合衆国は、爆撃機F/A-18スーパーホーネットを含む約90機を艦上に搭載する航空母艦「セオドア・ルーズベルト」イスラム主義者との戦闘に使用している。

[疲れ知らずのエクスプレス]
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最近まで、紛争への海軍の参加は、ロシアの大型揚陸艦が関与するタルトゥース港への物資や兵器の配達に限られていた。
装甲輸送車両及び「トラック」を積載して頻繁に黒海海峡を通過する艦を、ジャーナリストたちは「シリア・エクスプレス」と呼んだ。

最も単純な計算によると、2012年以降、ロシア艦が輸送した車両は、装甲車両或いは運搬自動車で合計2000両に到達するだろう。

シリア当局への公式の援助問題で国防省が充分な立ち位置を公表しているのにも関わらず、ロシアは9月30日から正式に戦争へ加わった。
10月7日までの戦闘行動は航空機が主導し、自己誘導爆弾により地下20メートルの要塞が破壊された可能性がある。

団体『イスラム国』は、国際テロリスト組織と認識されており、イラク及びシリア領内で活動している。
ロシア連邦領内では非合法である。

ロシア海軍は巡航ミサイルでシリアのISIL(イラクとレバントのイスラム国)拠点を攻撃した


『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア連邦国防省広報サービス・情報管理部発表
2015年10月7日17時15分配信
【ロシア国防省はYouTubeチャンネルにシリア領内のISIL(イラクとレバントのイスラム国)のインフラ施設への高精度兵器による大規模打撃を公開した】

本日(10月7日)未明、カスピ海エリアの指定海域に居るロシア海軍打撃艦グループは、シリア領内のISIL(イラクとレバントのイスラム国)のインフラ施設へ、海洋配置有翼ミサイル「カリブル-NK」により大規模な打撃を与えた。

有翼ミサイルは、全ての指示目標へ成功裏に命中した。
遠距離目標への命中精度の誤差は、3メートルを超える事は無かった。

撃破した施設は、弾薬及び爆発装置の製造工場、指揮所、弾薬、兵器及び燃料・潤滑剤の倉庫、更にはテロリストの訓練キャンプだった。

打撃艦グループの旗艦機能は、排水量2000トン、全長約100メートルのロケット艦「ダゲスタン」(プロジェクト11661)が務めた。
同艦は、高度50メートル以下を地形に追従した軌道で飛翔する最新鋭の高精度ミサイル複合体「カリブル-NK」で武装している。

ロケット艦「ダゲスタン」は、駐留所から4000kmの距離で任務を遂行できる。

プロジェクト21631小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」は、約1000トンの排水量と70メートル以上の全長を有する。
同プロジェクト艦の主要打撃複合体は、困難な水文気象条件下であらゆる時間帯に目標を効果的に撃破できる高精度ミサイル兵器複合体「カリブル-NK」である。


既報の通り、10月7日、ロシア海軍カスピ小艦隊の水上艦は、有翼ミサイル「カリブル」により、シリア領内の「イラクとレバントのイスラム国」(ISIL)施設を攻撃しました。
[ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

今回のロシア海軍による初のシリア領内の「イラクとレバントのイスラム国」施設への攻撃は、カスピ小艦隊所属の「カリブル」搭載艦4隻を総動員して実行されました。

2012年11月28日に就役したプロジェクト11661Kロケット艦「ダゲスタン」は、ロシア海軍で初めて「カリブル」を搭載した艦です。
[ロケット艦ダゲスタンはロシア海軍へ引き渡された]

プロジェクト21631小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」、「ウグリーチ」、「ヴェリキー・ウスチュグ」は、昨年(2104年)に就役したばかりの最新鋭艦であり、こちらも「カリブル」を主兵装としています。
[新世代小型ロケット艦「ブヤン-M」]

有翼ミサイル「カリブル」は、輸出用ミサイル「クラブ」シリーズのロシア海軍向けヴァージョンであり、射程距離は大幅に延長されています。
ベースとなったのは、ソ連時代に開発・配備された原潜用の有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21サンプソン、「トマホークスキー」とも呼ばれた)です。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
ソ連邦解体後、先ず初めに、「グラナート」をベースにして輸出用の「クラブ」が開発され、それを改良してロシア海軍向けの「カリブル」が開発されました。

輸出用ミサイルの場合、ロシアも参加している「ミサイル技術管理レジーム」の制限により、射程300kmを超える事は許されていません。
この為、「クラブ」の最大射程は300kmに抑えられています。
【ミサイル技術管理レジーム】

しかし、輸出を想定していないロシア海軍向けヴァージョンには、そのような制限は無い為、「カリブル」地上攻撃型の最大射程は2500km程度にまで延長されています。
(対艦攻撃型は375km)

現在の所は、カスピ小艦隊の4隻を始めとして、ロシア海軍の一部の艦にしか搭載されていない「カリブル」ですが、将来的には、新世代艦へ搭載されるのみならず、既存の艦も近代化改装により搭載する事になります。

「カリブル」を搭載する新世代艦は、プロジェクト885原子力水中巡洋艦プロジェクト06363潜水艦プロジェクト22350大型警備艦プロジェクト11356R警備艦プロジェクト20385警備艦プロジェクト21631小型ロケット艦になります。

近代改装により「カリブル」を搭載する既存の艦は、プロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)、プロジェクト971原子力巡洋潜水艦(アクラ級)プロジェクト11442重原子力ロケット巡洋艦(キーロフ級)プロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)です。

特に黒海艦隊へは、将来的に「カリブル」搭載艦が計18隻配備されます。
(プロジェクト06363潜水艦6隻、プロジェクト11356R警備艦6隻、プロジェクト21631小型ロケット艦6隻)


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なお、カスピ海からシリア国内へ発射された「カリブル」は、イランおよびイラク上空を飛翔しましたが、この件に関し、ロシア連邦大統領広報秘書官ドミトリー・ペスコフ氏は、今回のミサイル発射はイラクイランの同意を取り付けたうえで実施されている事を明らかにしました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月7日20時34分配信
【ペスコフ:(ロシア)海軍によるイスラム国へのミサイル発射軌道はイラクとイランの同意を得ている】

ペスコフ氏は、ミサイルの飛翔経路がイラクイランを通過している件に関し、両国の同意を得ているのかという記者の質問に答え
「貴方の理解は完全に正しいですね」
と答えました。

ロシア海軍カスピ小艦隊の4隻の艦はシリアへ巡航ミサイル"カリブル"を発射した


『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月7日14時12分配信
【ショイグ:4隻のロシア艦はイスラム国に対し26回のミサイル発射を実施した】
モスクワ、10月7日-ロシア通信社ノーボスチ

カスピ小艦隊の4隻の艦は水曜日早朝、シリア「イスラム国」戦闘陣地へ26回の有翼ミサイル発射を実施した。
全ての目標は成功裏に破壊され、民間人の犠牲者は無かった。
ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグは、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンとの会合において報告した。

「戦闘隊員の撃破の為、航空機の他に、本日早朝、カスピ小艦隊の艦が使用されました。
4隻のロケット艦は、11目標に対し26回の海洋配置有翼ミサイル"カリブル"発射を実行しました」
ショイグ
テレビ局『ロシア-1』の生放送で話した。

彼は、客観的な観測データにより、全ての目標は破壊され、民間人に犠牲者は居ないと付け加えた。
「打撃の結果、長距離でのミサイルの高い有効性が確認されました-ほぼ1500kmで」
国防相は指摘した。

9月30日以降、ロシアバッシャール・アサド大統領の要請に応じ、襲撃機Su-25、前線爆撃機Su-24M、Su-34を使用し、戦闘機Su-30SMの空中援護の下でシリア「イスラム国」の施設に対するピンポイント空爆を開始した。
国防省によると、ロシア航空機は、管理システム、戦闘員への物資装備供給所へ大幅な損害を与え、更には、自爆テロリストの訓練インフラストラクチュアへ損害を与えた。


ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将は、今回、シリア「イスラム国」施設を攻撃したカスピ小艦隊の艦の名前は出しておらず、「4隻のロケット艦」としか言っておりませんが、同小艦隊で「カリブル」有翼ミサイルを搭載する艦は、この「4隻」しか居ません。

ロケット艦「ダゲスタン」(693)2012年11月28日就役
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小型ロケット艦「グラード・スヴィヤージスク」(021)2014年7月27日就役
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小型ロケット艦「ウグリーチ」(022)2014年7月27日就役
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小型ロケット艦「ヴェリキー・ウスチュグ」(023)2014年11月19日就役

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この4隻は、「カリブル」有翼ミサイルを8基ずつ搭載しています。
つまり4隻で合計32発搭載可能であり、今回、この内の26発がシリア「イスラム国」施設へ向けて発射されました。
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無論、これは「カリブル」有翼ミサイルの初の実戦使用となります。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

ロシア海軍向けだったミストラル級ヘリコプター空母から戦闘情報管理システムが取り外され、ロシアへ発送された

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『タス通信』より
10月6日13時37分配信
【情報筋:「ミストラル」のロシア製機器の一部は既にロシア連邦へ発送された】
モスクワ/10月6日/タス通信

ロシア製機器の第1バッチは既に「ミストラル」型ヘリコプター空母から撤去され、ロシアへ発送された。
タス通信軍事外交筋より伝えられた。

「我々の機器は成功裏に取り外され、既にコンテナで(ロシアへ)発送されています」
対談者は話した。

彼は、それが戦闘情報管理システム、ミサイル・砲兵装管制システムである事を明らかにした。
既に報じられているように、「ミストラル」ロシア製機器の取り外しは9月末に始まった。
艦の建造に従事したDCNS社は、このプロセスが年末までに完了すると発表した。
その後、軍事技術協力組織の情報提供者は、フランスは11月末までに7億ルーブル以上の価格になる「ミストラル」型ヘリコプター空母ロシア製機器ロシア連邦へ発送するとタス通信へ伝えた。

[エジプトの「ミストラル」購入]
以前、エジプトは、元々はロシアの為に建造されたヘリコプター空母「ミストラル」を両方とも取得する事が知られるようになった。
「フランス大統領フランソワ・オランドは、本日、エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーと電話で会談しました。
両国の指導者は、2隻のヘリコプター空母ミストラルの購入条件に関する基本合意に達しました」
エリゼ宮
の声明では、こう述べられた。

[どのようにフランスはロシアの為に「ミストラル」を建造したのか]
ロシア連邦海軍
の為に2隻の「ミストラル」型ヘリコプター空母を建造する為の11億2000万ユーロの契約は2011年6月に署名された。
「ウラジオストク」と命名された1番艦は2013年10月に進水し、2014年11月にロシア海軍へ引き渡されなければならなかった。
2番艦「セヴァストーポリ」は、元々は2015年後半にロシアへの引き渡しが計画されていたが、1番艦と同様に引き渡しの凍結が決定された。
土壇場になってバリウクライナ情勢を口実にしてヘリコプター空母の引き渡しを無期限に停止した。

長い待ち時間の後、8月に当事者は、取引の最終的な終了を発表した。
達せられた合意によると、ロシアへは計9億4900万ユーロが返金され、更には、艦へ設置されたロシア製機器も返却される。
その後、フランスは独自の裁量で、建造された艦を処分できるようになる。

9月17日、共和国国民議会(下院議会)は、契約終了法案を承認した。

ロシア連邦国防相代理ユーリー・ボリソフは、エジプトは「ミストラル」ロシア製機器を受け取る事が出来ると表明した。
軍事技術協力組織の情報提供者は、カイロは未だこれらの機器に興味を持っていないとタス通信へ伝えた。
その後、「統合器具製造営団」は、外国の発注者の為に「ミストラル」の機器を適応させる用意があると発表した。


[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシアフランスから「ミストラル」級指揮・戦力投射艦を購入するかもしれないと最初に報じられたのは、2009年8月初頭でした。
[ロシア海軍、フランス艦を購入?]

それから間もなく、ロシア連邦軍参謀本部総長、ロシア連邦海軍総司令官、ロシア連邦国防相代理が相次いで「ミストラル」級購入の為の交渉が進行中である事を公式に認めました。
[ロシアは、今年末までに「ミストラル」級購入で合意できる]
[ロシアは、競争によりヘリ揚陸艦を購入する]
[ロシア国防省は、「ミストラル」型揚陸艦購入交渉が行なわれている事を認める]

ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約が締結されたのは、最初に話が出て来てから約2年後の2011年6月になりました。
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】

ロシア海軍向け「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国フランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]

2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、2015年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]

オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げていました。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]

このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]

4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]

4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]

そして4月24日、アルメニアエレバンプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]

この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。

4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]

その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級ロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]

7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す]

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

契約終了によりフランスロシアへ支払う事になる補償金額は、フランス国防相ジャン・イヴ・ル・ドリアン氏によると、「12億ユーロよりは少ない」との事です。
一方、ロシア政府側は、フランスから受け取る金額については明言を避けました。

その後、フランス議会から正確な金額~9億4975万4849ユーロが公表されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]

「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦そのものは取得できませんでしたが、ロシアは支払い済みの代金(プラスアルファ)を回収し、「ミストラル」級に設置されたロシア製機器も回収し、更には、「ミストラル」級の契約(後ろ半分はロシアで建造した)により建造技術を取得しました。
[ロシアはフランスのミストラル級ヘリ空母購入契約を通じて大規模ブロック組立技術を取得した]

9月20日、「ミストラル」級へ設置済みのロシア製機器を取り外す為、ロシア人専門家グループフランスへ向かいました。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器を取り外す為のロシア人専門家グループはフランスへ向かった]

「ミストラル」級ロシア製機器は今年11月までに取り外しが完了し、鉄道あるいは海路(船)でロシアへ送られます。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器は2015年11月末までに取り外され、ロシアへ発送される]

その第1陣として、「戦闘情報管理システム」「ミサイル・砲兵装管制システム」が既に取り外され、ロシアへ発送されているとの事です。

「戦闘情報管理システム」「シグマ-E」を指しています。
【戦闘情報管理システム「シグマ-E」】
[ロシア海軍向けミストラル級2番艦セヴァストーポリにはフランス製戦闘管理システムSENIT-9は搭載されない]


既に報じられているように、ロシア海軍向けだった2隻の「ミストラル」級は、エジプトへ売却される事になりました。

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月23日15時15分配信
【ロシアのミストラルはエジプトが購入する】
エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーフランス大統領フランソワ・オランドは、ロシア海軍向けだった「ミストラル」級2隻の購入で合意しました。

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月24日8時48分配信
【フランスはミストラルの為にロシアへ支払ったものと同じ金額を受け取る】
2隻の「ミストラル」級の購入価格は9億5000万ユーロになるとの事です。

エジプトロシア海軍向けだった「ミストラル」級ヘリ空母を買って何に使うのかという疑問を持っている方が多いようですが、以前の報道によると、この話の背後にはサウジアラビアが居り、同国が資金援助してエジプト「ミストラル」級ヘリ空母を購入・保有させ、いざという時(例えばイエメンのような事態)には、アラブ諸国連合の軍事介入や軍事作戦の後方支援などに使いたいという事のようです。


なお、「ウラジオストク」「セヴァストーポリ」の名前は、将来に建造される大型ヘリコプター揚陸艦(ロシア版「ミストラル」)へ与えられる事になります。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]

プロジェクト11356R警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは2015年11月にロシア海軍へ引き渡される

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月6日10時12分配信
【「アドミラル・グリゴロヴィチ」はバルト海での工場試験を完了した】
カリーニングラード、10月6日-ロシア通信社ノーボスチ

カリーニングラード沿バルト造船工場「ヤンターリ」(株式会社「統合造船業営団」へ加入)でロシア海軍の為に建造されている警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、バルト海での工場航行試験プログラムを成功裏に実行した。
工場の広報秘書官セルゲイ・ミハイロフは記者団へ伝えた。

「プロジェクト11356のトップ艦の工場航行試験は2015年4月8日に始まりました。
試験プログラムの枠組みにおいて、10回以上のバルト海への出航が行なわれました。
バルト艦隊海洋射爆場において、艦の全てのシステム及び機構が行なわれ、通常モードで正常な動作を示しました」
ミハイロフ
は話した。

彼は、現在、警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、10月中旬に始まり、約3週間に渡って続けられる国家受領試験の実施を準備している事を指摘した。
試験は、工場の納入チームと艦の乗組員が国家受領委員会の在席の下で実施する。
艦は2015年11月にロシア海軍へ引き渡される。

警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」工場「ヤンターリ」造船台で2010年12月に起工され、2014年3月14日に進水した。
ロシア連邦国防省と署名した2つの契約により、工場「ヤンターリ」は、公開株式会社「北方計画設計局」が開発したプロジェクト11356警備艦シリーズ6隻を建造する。
2015年末までに、発注者へは更に艦のシリーズの2隻目となる「アドミラル・エッセン」が引き渡される。

プロジェクト11356警備艦は、単独或いは連合部隊の一員としての水上艦及び潜水艦に対する戦闘行動、空中攻撃手段からの攻撃の撃退の為に意図されている。
これらは、汎用ミサイル砲兵装と、対潜及び対空防衛の為の現代的な電波技術装置を有している。
このシリーズの艦の排水量は約4000トン、全長125メートル、速力30ノット、乗員180名である。


[ロシア海軍の為の新たなフリゲート~プロジェクト11356R(アドミラル・グリゴロヴィチ型)とプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)]
[アドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲート]

プロジェクト11356R警備艦の1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、2010年12月18日に起工され、2014年3月14日に進水しました。
[ロシア海軍の新型フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は進水した]

その後、2014年12月初頭から造船所の岸壁で係留試験が開始されました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月5日8時7分配信
【警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は係留試験を開始した】

12月21日にはガスタービンエンジンが初めて始動されました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月21日14時24分配信
【警備艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」は初めてエンジンを始動した】

そして2015年2月17日、出航前の消磁作業の為、「ヤンターリ」浮きドックへ入りました。
[ロシア海軍の新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は消磁作業を開始した]

消磁作業は3月下旬に完了し、4月8日に「ヤンターリ」造船所の在るカリーニングラードからバルチースク海軍基地へ移動しました。

4月下旬に1回目の洋上試験が実施され、4月29日に完了しました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は2015年5月初頭から2回目の洋上試験を開始する]

そして5月5日に2回目の洋上試験が始まりました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は2回目の洋上試験を開始した]

2回目の試験は5月7日には終わり、バルチースク基地へ戻りました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は2回目の洋上試験を終えた]

5月16日から3回目の洋上試験が始まりました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は5月16日から洋上試験を再開する]

この3回目の洋上試験中、初めて「アドミラル・グリゴロヴィチ」の砲兵装~A-190-01「ウニヴェルサール」100mm単装砲と、AK-630M 30mmガトリング砲の発射試験が実施されました。
[ロシア海軍最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチは初めての砲撃試験を行なった]

5月28日、4回目の洋上試験へ出発しました。
[ロシア海軍最新警備艦(フリゲート)アドミラル・グリゴロヴィチは洋上試験を続ける]

7月26日の「ロシア海軍の日」には、バルチースクの観艦式へ参加しました。

[バルチースクの『海軍の日』記念観艦式にロシア海軍の最新鋭艦5隻が参加する]

8月27日、高射ミサイル複合体「シチーリ-1」の発射試験が初めて実行されました。
[ロシア海軍最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはバルト海で対空ミサイルを発射した]

そして10月初頭に工場航行試験は完了しました。

今後、近い内に国家受領試験が開始され、この試験が完了した後、ロシア海軍へ引き渡される事になります。

「アドミラル・グリゴロヴィチ」は、当初は今年(2015年)8月にロシア海軍へ引き渡される予定でしたが、ガスタービンエンジン冷却器に不具合が発生した為、引き渡しは延期されました。
[プロジェクト11356R警備艦アドミラル・グリゴロヴィチは2015年9月以降にロシア海軍へ引き渡される]

そして結局、引き渡しは今年11月になりました。


プロジェクト11356R警備艦は、現在までに5隻が起工され、この内の2隻が進水し、1番艦は洋上試験中です。

[プロジェクト11356R警備艦]
沿バルト造船工場「ヤンターリ」(カリーニングラード)で建造

「アドミラル・グリゴロヴィチ」Адмирал Григорович:工場番号01357
2010年12月18日起工/2014年3月14日進水/2015年11月就役予定

「アドミラル・エッセン」Адмирал Эссен:工場番号01358
2011年7月8日起工/2014年11月7日進水/2015年12月就役予定

「アドミラル・マカロフ」Адмирал Макаров:工場番号01359
2012年2月29日起工/2015年9月2日進水/2016年就役予定

「アドミラル・ブタコフ」Адмирал Бутаков:工場番号01360
2013年7月12日起工/2018年以降に就役予定

「アドミラル・イストミン」Адмирал Истомин:工場番号01361
2013年11月15日起工/2018年以降に就役予定


4番艦以降の建造工事は今年春から凍結されていましたが、8月に再開されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為のプロジェクト11356Rフリゲートの建造は再開された]

プロジェクト11356Rの4番艦以降には、ロシア国内で製造されるエンジンが載せられる事になります。
[ロシア海軍のアドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲートはウクライナ製ガスタービンエンジンを代替する]
[ロシア海軍の為のプロジェクト11356Rフリゲートはウクライナ製の代わりにロシア製ガスタービンを装備する]
[ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える]

ロシア海軍は地中海で演習を実施した


『タス通信』より
2015年10月5日14時48分配信
【黒海艦隊の艦は地中海での演習でミサイル発射を実行した】
モスクワ/10月5日/タス通信

黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、警備艦「ラードヌイ」、「プイトリーヴイ」、「スメトリーヴイ」は、地中海中央部の演習の枠組みにおいて、艦砲及び高射ミサイル複合体を使用した海上及び空中目標への射撃を実行した。
黒海艦隊情報供給部長ヴャチェスラフ・トルハチェフは発表した。

「更には、艦に設置された妨害発信複合体と反応深海爆雷が使用されました
前日には演習の枠組みにおいて海上部隊は、海上護送作戦の組織的実施に取り組み、地中海のロシア海軍常設連合部隊から黒海艦隊、北方艦隊、バルト艦隊の7隻の戦闘艦が来ました」

彼は話した。

艦隊の代理人によると、演習の枠組みにおいて、艦は更に、海洋航空隊ヘリコプターKa-27の力添えを得て「敵」潜水艦の探索作戦を実施した。
また、乗組員は、組織的対空防衛に取り組み、海上目標へミサイルによる打撃を与え、遭難船を援助し、更には、大型海洋給油船「イワン・ブブノフ」から給油を受けた。


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ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」(1983年1月30日就役)は9月24日にセヴァストーポリを抜錨、翌25日に地中海へ入りました。
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[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは地中海へ入った]

警備艦「ラードヌイ」(1981年2月25日就役)は9月23日にセヴァストーポリを出航し、地中海へ向かいました。
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警備艦「プイトリーヴイ」(1982年2月9日就役)は5月下旬にセヴァストーポリを出航し、6月下旬には大西洋へ行き、アンゴラ赤道ギニアを訪問した後、8月に地中海へ戻り、そのまま地中海東部に滞在しています。
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警備艦「スメトリーヴイ」(1969年10月21日就役)は、9月18日にセヴァストーポリを出航し、ギリシャを訪問しています。
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[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはギリシャのケルキラ(コルフ島)を訪問した]

これらの艦は地中海東部の演習に参加します。
[ロシア海軍黒海艦隊の4隻の水上戦闘艦は地中海東部で演習を行なう]
[ロシア海軍は9月-10月に地中海東部で演習を行なう]

先ず初めに、シリア国内で空爆作戦を実施中のロシア航空宇宙軍の航空群が駐留するラタキア空港を防衛する為の演習が実施されました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはシリアのラタキア沖に居る]

その後、10月4日には船団護衛訓練が行なわれ、10月5日には砲撃、ミサイル発射、潜水艦探索、遭難船救助、洋上給油の訓練が実施されました。

演習には黒海艦隊の他、北方艦隊バルト艦隊の艦も参加したとの事ですが、おそらくは大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」「コロリョーフ」の事でしょう。

ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器は2015年11月末までに取り外され、ロシアへ発送される

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『タス通信』より
2015年9月29日10時8分配信
【フランスは11月末までにロシア連邦へ7億ルーブルの「ミストラル」の機器を発送する】
モスクワ、9月29日/タス通信

フランスは11月末までに7億ルーブル以上の価格になる「ミストラル」型ヘリコプター空母ロシア製機器ロシア連邦へ発送する。
火曜日、タス通信軍事技術協力組織の情報提供者より伝えられた。

「私共は、11月末までに彼らは我々の監督下で2隻のミストラルのロシア製機器を取り外し、設置されていたもの全てをロシアへ発送する事でフランスと合意しております」
対談者は話した。

彼によると、これらの装置の価格は「7億ルーブル以上になります」
「それは、戦闘管理システム、通信システム、戦闘情報管理システム、ヘリコプター制御モジュールになります」

情報提供者は説明した。

対談者は、機器は、鉄道あるいは海路によってロシアへ発送され、全ての輸送費用フランスが支払う事になると話した。
装置は製造企業へ戻されると彼は付け加えた。

ロシアは2011年夏にフランス「ミストラル」を発注した。
2014年秋にロシア海軍は1隻目のヘリコプター空母「ウラジオストク」を受領する事になっていたが、バリウクライナ情勢に関連して艦の引き渡しを中止した。
(2015年)8月初頭、当事者は契約の終了で合意し、それから間もなくして、フランスは、ロシア連邦の為に建造した双方の「ミストラル」エジプトへ売却する事が知られるようになった。

契約破棄に対する補償は、約9億5000万ルーブル(この額には、約9億ルーブルに達するロシア側の前払い金が含まれる)になり、それは「ロシアが負担した全ての費用を完全にカバーします」と対談者は語った。


[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシアフランスから「ミストラル」級指揮・戦力投射艦を購入するかもしれないと最初に報じられたのは、2009年8月初頭でした。
[ロシア海軍、フランス艦を購入?]

それから間もなく、ロシア連邦軍参謀本部総長、ロシア連邦海軍総司令官、ロシア連邦国防相代理が相次いで「ミストラル」級購入の為の交渉が進行中である事を公式に認めました。
[ロシアは、今年末までに「ミストラル」級購入で合意できる]
[ロシアは、競争によりヘリ揚陸艦を購入する]
[ロシア国防省は、「ミストラル」型揚陸艦購入交渉が行なわれている事を認める]

ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約が締結されたのは、最初に話が出て来てから約2年後の2011年6月になりました。
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】

ロシア海軍向け「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国フランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]

2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、2015年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]

オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げていました。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]

このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]

4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]

4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]

そして4月24日、アルメニアエレバンプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]

この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。

4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]

その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級ロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]

7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す]

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

契約終了によりフランスロシアへ支払う事になる補償金額は、フランス国防相ジャン・イヴ・ル・ドリアン氏によると、「12億ユーロよりは少ない」との事です。
一方、ロシア政府側は、フランスから受け取る金額については明言を避けました。

その後、フランス議会から正確な金額~9億4975万4849ユーロが公表されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]

「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦そのものは取得できませんでしたが、ロシアは支払い済みの代金(プラスアルファ)を回収し、「ミストラル」級に設置されたロシア製機器も回収し、更には、「ミストラル」級の契約(後ろ半分はロシアで建造した)により建造技術を取得しました。
[ロシアはフランスのミストラル級ヘリ空母購入契約を通じて大規模ブロック組立技術を取得した]

9月20日、「ミストラル」級へ設置済みのロシア製機器を取り外す為、ロシア人専門家グループフランスへ向かいました。
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦のロシア製機器を取り外す為のロシア人専門家グループはフランスへ向かった]

今回の記事によると、ロシア製機器は今年11月までに取り外しが完了し、鉄道あるいは海路(船)でロシアへ送られるとの事です。


なお、既に報じられているように、ロシア海軍向けだった2隻の「ミストラル」級は、エジプトへ売却されます。

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月23日15時15分配信
【ロシアのミストラルはエジプトが購入する】
エジプト大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシーフランス大統領フランソワ・オランドは、ロシア海軍向けだった「ミストラル」級2隻の購入で合意しました。

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年9月24日8時48分配信
【フランスはミストラルの為にロシアへ支払ったものと同じ金額を受け取る】
2隻の「ミストラル」級の購入価格は9億5000万ユーロになるとの事です。

エジプトロシア海軍向けだった「ミストラル」級ヘリ空母を買って何に使うのかという疑問を持っている方が多いようですが、以前の報道によると、この話の背後にはサウジアラビアが居り、同国が資金援助してエジプト「ミストラル」級ヘリ空母を購入・保有させ、いざという時(例えばイエメンのような事態)には、アラブ諸国連合の軍事介入や軍事作戦の後方支援などに使いたいという事のようです。


なお、「ウラジオストク」「セヴァストーポリ」の名前は、将来に建造される大型ヘリコプター揚陸艦(ロシア版「ミストラル」)へ与えられる事になります。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]

ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは2015年10月中旬に出航する

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『軍事産業メッセンジャー』より
2015年10月2日配信
【ロシア連邦唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は10月中旬に海へ出る】

10月中旬、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は修理後に初めて海へ出る。

本日(10月2日)、タス通信ロシア連邦国防省の情報提供者より伝えられた。
「現在、航空母艦はムルマンスクの常時停泊地に在り、完全な戦闘準備体制への復帰は完了します」
対談者は説明した。
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彼によると、海上で「クズネツォフ」は、今夏にクリミアシミュレーター「ニートカ」で訓練を受けた海洋飛行士の訓練を続ける。
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唯一のロシア空母は3ヶ月間に渡りムルマンスク州ロスリャコヴォ村第82艦船修理工場でドック修理を実施した。
船体の水中部分を含む大規模な作業が有り、海洋堆積物を清掃し、塗装された。
更に、艦の航行能力を担う様々なシステムの電子機構部分が修復された。
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「アドミラル・クズネツォフ」の最後の遠距離航海は2014年5月に完了し、その大部分の期間は地中海で過ごした。


[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]

「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、2013年12月17日から2014年5月18日までの5ヶ月間に渡り、大西洋・地中海遠征を実施しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]

遠距離航海から戻った後は、ムルマンスク市郊外の第35艦船修理工場でメンテナンスが行なわれました。

7月18日にはムルマンスクからセヴェロモルスクへ移動しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近影(2014年7月18日)]

7月27日の「ロシア海軍の日」には、北方艦隊基地セヴェロモルスクで祝賀行事に参加しました。

その後、第35艦船修理工場へ戻ってメンテナンスを完全に終え、9月29日に点検の為、バレンツ海へ出航しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは整備後の点検の為に出航した]

9月30日、艦上航空隊の訓練が始まりました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフで艦上航空隊の訓練が始まった]

10月1日からは北方艦隊捜索救助部隊の演習へ参加し、「遭難艦」の役を演じました。
[ロシア海軍北方艦隊は空母アドミラル・クズネツォフの救助訓練を行なう]

2014年11月末、ムルマンスク市と後援協定を締結し、同市の後援を受ける事になりました。
[ムルマンスク市はロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフを後援する]

2015年5月13日、常時係留地であるムルマンスク郊外の第35艦船修理工場岸壁からロスリャコヴォ第82艦船修理工場へ移動しました。
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[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入る]
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックへ入渠した]

「アドミラル・クズネツォフ」は、ロスリャコヴォ大型浮きドックPD-50に入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。
[ロシア海軍重航空巡洋艦アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ近影(2015年5月31日)]
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3ヶ月後の8月20日、大型浮きドックPD-50から出渠しました。
[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]

浮きドックを出た後、「アドミラル・クズネツォフ」第35艦船修理工場岸壁へ戻り、修理作業の残りの部分が実施されました。
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その修理作業も完了し、「アドミラル・クズネツォフ」は10月中旬に海へ出るとの事です。

「アドミラル・クズネツォフ」搭載機部隊は、今年7月中旬から9月初頭までクリミア半島サキ飛行場訓練複合体「ニートカ」で発着訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機航空連隊はクリミアのニートカでの訓練を終えた]

10月中旬に「アドミラル・クズネツォフ」が出航した際、艦上戦闘機部隊の新人パイロットは同艦で発着訓練を行なう事になるようです。


なお、「アドミラル・クズネツォフ」が入渠していた大型浮きドックPD-50では、現在、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」の修理作業が行なわれています。
(2015年12月初頭に修理完了予定)
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは浮きドックへ入った]
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北方艦隊の主力水上艦2隻を相次いで浮きドックに入れて徹底的な修理作業を行なうのは、遠距離航海~例えば地中海東部とか~へ向かわせる意図があっての事でしょうか・・・?


「アドミラル・クズネツォフ」は、2010年代末に近代化改装が予定されています。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化は先延ばしされている]
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2010年代後半に近代化改装を行なう]

改ヤーセン級多用途原潜カザンのロシア海軍への引き渡しは2017年に予定されている

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月2日11時00分配信
【統合造船業営団は最新兵装を有する原子力潜水艦「カザン」の2017年納入を計画している】
モスクワ、10月2日-ロシア通信社ノーボスチ

「統合造船業営団」は、最新鋭兵装を受け取る原子力潜水艦「カザン」海軍への引き渡し期日遵守の為、全ての措置を取っている。
金曜日、ロシア通信社ノーボスチは、「統合造船業営団」総裁アレクセイ・ラフマノフより伝えられた。

以前、近代化プロジェクト「ヤーセン-M」原子力潜水艦「カザン」の引き渡し時期が2017年から2018年に延期されたという報道がメディアに登場した。
その後、ロシア通信社ノーボスチ海軍総司令部の情報提供者より、作業は計画通りに進んでおり、納入は2017年に実行されなければならないと伝えられた。

「統合造船業営団の企業は、国家契約により定められた原子力潜水艦カザンの納入期日~2017年~を無条件で遵守する為、全ての措置を取っております。
私共は、原子力潜水艦カザンの建造の為の協同体の全ての参加者が、契約を適時に履行する為、全力全開で事に当たると信じております」
ラフマノフ
は話した。

彼は、潜水艦海軍への引き渡しの為の準備の重要な局面は、プロジェクト「ヤーセン-M」のトップ潜水艦に設置される最新兵装の試験段階になる事を強調した。

「企業供給者とロシア連邦海軍により実施される合同作業が最適化され、試験プログラムは調和されます」
ラフマノフ
は指摘したが、詳細は明らかにしなかった。

「カザン」は近代化されたプロジェクト「ヤーセン-M」原子力潜水艦のトップである。
潜水艦セヴェロドヴィンスク工場「セヴマシュ」で2009年7月に起工された。

以前、近代化されたプロジェクト「ヤーセン-M」は、改善された静粛性及び最適化された船体形状が前任者と異なると報じられた。
改良された兵装についての話は、その後も出ていない。


[新世代多用途原潜ヤーセン級]
[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]

プロジェクト885M「ヤーセン-M」多用途原子力潜水艦「カザン」は、2009年7月24日に「セヴマシュ」で起工されました。
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[改セヴェロドヴィンスク型原潜「カザン」起工]
[改セヴェロドヴィンスク型原潜カザンは新型機器のみを装備した初の第4世代原潜となる]
[改ヤーセン級多用途原潜カザンの操舵装置の製造が始まった]

当初は2015年にロシア海軍へ引き渡される予定となっておりました。
[多用途原潜ヤーセン級2番艦カザンは2015年に就役する]

2013年7月末、建造元の「セヴマシュ」造船所のトップは、「カザン」の引き渡しは2017年になると述べました。
[改ヤーセン級多用途原潜カザンは2017年にロシア海軍へ引き渡される]


そして2015年9月末、「カザン」の引き渡しは2018年に延期されるという情報が出てきました。

『タス通信』より
2015年9月29日13時28分配信
【「防衛産業」の情報筋:ロシア海軍は第2の「ヤーセン」を2018年にならなければ受領できない】
防衛産業企業体の情報提供者は、「ヤーセン-M」原潜「カザン」ロシア海軍への引き渡しは、当初予定の2017年には無理であり、2018年になると『タス通信』へ伝えました。

一方、ロシア海軍総司令部の情報提供者は、原潜「カザン」ロシア海軍への引き渡しは、当初の予定通り2017年であると『ロシア通信社ノーボスチ』へ伝えました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
【情報筋:原子力潜水艦「カザン」は2017年に納入される】
2015年10月2日10時23分配信

そこで、『ロシア通信社ノーボスチ』ロシア造船業界の総元締である「統合造船業営団」の総裁アレクセイ・ラフマノフ氏へ直接問い合わせた所、原潜「カザン」の引き渡しは2017年に予定されている(延期はされていない)との回答を得ました。


原子力水中巡洋艦(多目的原子力潜水艦)プロジェクト885「ヤーセン」シリーズ(2番艦「カザン」以降はプロジェクト885M「ヤーセン-M」)は、現在までに5隻が起工され、1隻がロシア海軍へ就役しています。

K-560「セヴェロドヴィンスク」К-560 «Северодвинск»
1993年12月21日起工/2010年6月15日進水/2013年12月30日納入/2014年6月17日就役

K-561「カザン」К-561 «Казань»
2009年7月24日起工/2016年進水予定/2017年就役予定

K-573「ノヴォシビルスク」К-573 «Новосибирск»
2013年7月26日起工/2016年進水予定/2018年納入予定

K-571「クラスノヤルスク」К-571 «Красноярск»
2014年7月27日起工/2017年進水予定/2018-2019年就役予定

K-564「アルハンゲリスク」К-564 «Архангельск»
2015年3月19日起工/2018年進水予定/2019-2020年就役予定

ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはシリアのラタキア沖に居る

『時事ドットコム』より
2015年10月3日
【ロシア海軍がシリア沖演習=空爆後方支援、欧米の懸念も】
「インタファクス通信」の記事を紹介していますが、その元記事は↓こちらになります。
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『インタファクス』より
2015年10月2日13時00分配信
【ロシア艦はラタキアの空軍基地をカバーする準備が出来ている】
モスクワ、10月2日、インタファクス・ロシア

地中海ロシア海軍常設作戦連合部隊の艦は、シリアラタキア市内の航空基地の沿岸方向からの対空防衛対策の為の取り組みへ着手した。
『インタファクス』は軍の情報提供者より伝えられた。

「地中海東部に居るロケット巡洋艦モスクワ率いる海軍作戦連合部隊の艦は、ロシア航空グループが展開するラタキアの航空基地の対空防衛任務への取り組みを始めました」
対談者は話した。

彼によると、連合部隊の艦は、空中目標への単一砲射撃を実行した。
「近日中には艦船グループの合同演習が実施され、その間に主なエピソード~陸上対空防衛手段と共に空中目標への高射ミサイル複合体のグループ射撃~が実行されます。
演習の目的は、空中打撃からラタキア航空基地をカバーするシステムの有効性を確認する事にあります」

対談者は話した。


ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」(1983年1月30日就役)は9月24日にセヴァストーポリを抜錨、翌25日にボスポラス海峡ダータネルス海峡を通過し、地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは地中海へ入った]

そして10月2日、他のロシア艦と共にシリアラタキア沖にへ展開し、演習を開始しました。
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周知の通り、ロシア航空宇宙軍は9月30日からシリア国内で空爆を開始しています。
【ロシア シリアのIS拠点の空爆を開始】

ロシア「イスラム国」の拠点を空爆したと発表しており、確かに、「イスラム国」の拠点も攻撃してはおりますが、それ以外のシリア反政府勢力(アサド政権と敵対する勢力)も攻撃しています。

シリアへ派遣されているのは、多機能戦闘爆撃機Su-34、前線爆撃機Su-24M、襲撃機Su-25、多用途戦闘機Su-30SMヘリコプターMi-24、Mi-8など合計約50機になります。
『インタファクス』より
【シリアのロシア連邦航空グループの構成】

これらのロシア航空群シリアラタキア空港に展開しています。
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記事中に在る「ラタキア航空基地の対空防衛」というのは、具体的には、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」遠距離高射ミサイル複合体「フォルト」(射程90km)でラタキア空港をカバーするという話です。
[広域防空システムS-300F「フォルト」/S-300FM「フォルト-M」]

ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはバレンツ海から地上目標へ巡航ミサイルを発射した

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年10月2日12時30分配信
【潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」はバレンツ海で成功裏に射撃を実行した】
モスクワ、10月2日-ロシア通信社ノーボスチ

潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」バレンツ海からアルハンゲリスク州の射爆場への有翼ミサイル発射を成功裏に実行した。
金曜日、北方艦隊広報サービス部長ワジム・セルガ1等海佐は発表した。

「プロジェクト636.3ディーゼルエレクトリック潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは、水中位置からアルハンゲリスク州のチジャ射爆場に位置する沿岸標的への有翼ミサイル"カリブル"発射を実行しました」
セルガ
は伝えた。

彼は、客観的な監視データにより、発射は成功と認められた事を指摘した。


[プロジェクト06363潜水艦]

ロシア海軍黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦の2番艦B-237「ロストフ・ナ・ドヌー」は、2011年11月21日にサンクトペテルブルク「アドミラルティ造船所」で起工されました。
[改キロ級潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」起工]

それから約3年後の2014年6月26日に進水しました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の2番艦ロストフ・ナ・ドヌーは進水した]

8月下旬、係留試験が開始されました。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の2番艦ロストフ・ナ・ドヌーは係留試験を開始した]

その後、10月21日から工場航行試験が始まりました。
『ruspodplav』より
2014年11月2日23時44分配信
【「ロストフ・ナ・ドヌー」はサンクトペテルブルクへ戻ってきた】

ロシア海軍広報部は、「ロストフ・ナ・ドヌー」が2014年末までにロシア海軍へ引き渡されると発表しました。
[最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは2014年末までにロシア海軍へ引き渡される]

12月23日には国家受領試験が終わりました。
『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2014年12月23日13時26分配信
【ディーゼルエレクトリック潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌー」は国家試験から戻った】

その後、12月27日に受領-引渡証書への署名が行なわれ、12月30日に海軍旗初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役し、黒海艦隊第4独立潜水艦旅団へ編入されました。
[潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはロシア海軍へ就役した]


就役した「ロストフ・ナ・ドヌー」は、まずバレンツ海へ移動して深海試験を行ない、その後に配備先の黒海艦隊基地-ノヴォロシースク海軍基地へ回航されます。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは深海試験を行なう為にバレンツ海へ移動する]

2015年4月17日、「ロストフ・ナ・ドヌー」クロンシュタットを抜錨しました。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーはクロンシュタットを去り、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイへ向かった]

5月22日、深海試験を行なう為、北方艦隊潜水艦基地ポリャールヌイへ到着しました。
[ロシア海軍最新潜水艦ロストフ・ナ・ドヌーは深海試験の為に北方艦隊基地ポリャールヌイへ到着した]

その後、バレンツ海で各種試験が行われました。

そして10月2日、バレンツ海からチジャ射爆場有翼ミサイル「カリブル」を発射しました。
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[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

今年8月には、同型艦の「ノヴォロシースク」が同様にバレンツ海からチジャ射爆場有翼ミサイル「カリブル」を発射しています。
[ロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦ノヴォロシースクはバレンツ海から地上目標へ巡航ミサイルを発射した]

「ロストフ・ナ・ドヌー」は、今年末までに黒海沿岸へ回航されます。

ロシア海軍北方艦隊のロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフは新型ミサイル兵装を受け取り、2016年に復帰する

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『タス通信』より
2015年9月29日18時25分配信
【巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」は新たなミサイル複合体を受け取り、2016年に復帰する】
アルハンゲリスク、9月29日/タス通信特派員ウラジーミル・アヌフリエフ

防衛造船所「艦船修理センター・ズヴェズドーチカ」で修理と近代化が行なわれている北方艦隊巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」は新たなミサイル複合体で武装し、2016年に復帰する。
9月29日、タス通信は同社の総取締役ニコライ・カリストラトフより伝えられた。

「同艦には新たな複合体(ミサイル兵装)の供給が決定されていますが、未だ実行されていません。
同艦のロシア海軍への引き渡しは、契約で提示されているように2016年になります」

彼は話した。

「マルシャル・ウスチーノフ」は計画修理の為、2011年6月に「ズヴェズドーチカ」の埠頭へ到着した。
2012年11月には水上から揚げられ、固定船台基盤へ置かれた。
ドックでは、艦の排水システム、ビルジポンプ、消防システム、推進軸、スクリュー、スタビライザー、他のシステム及び機構の作業が実施され、船体とタンクが塗装された。
2013年6月、巡洋艦は進水し、近代化作業は水上で継続された。
以前、巡洋艦は近代化の後、2015年に海軍へ引き渡されると報じられていた。

ロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」は1978年にニコラエフ造船工場で起工された。
1986年9月に北方艦隊の戦闘編制へ受け入れられた。
1994~1997年にはサンクトペテルブルク株式会社「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」で近代化が実施された。

「マルシャル・ウスチーノフ」プロジェクト1164「アトラント」ロケット巡洋艦 である。
排水量-11380トン、全長-186メートル、幅-20.8メートル、速力-34ノット(時速約63km)、航続距離-約8000海里、乗員-510名。
主要兵装-16基の超音速対艦有翼ミサイルP-500「バザーリト」(核弾頭を搭載できる)発射装置。

ロシア海軍の構成には、同型の3隻のロケット巡洋艦が在る。
「モスクワ」-黒海艦隊、「ワリャーグ」-太平洋艦隊、「マルシャル・ウスチーノフ」-北方艦隊。


「スラヴァ」級ロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」は、2011年6月、オーバーホールの為にセヴェロドヴィンスク市「ズヴェズドーチカ」工場へ到着しました。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
2011年6月30日14時25分配信
【北方艦隊のロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」は修理と近代化の為にセヴェロドヴィンスクへ到着した】

2012年10月末、ドックへ入渠しました。
[スラヴァ型ロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフはドック入りした]


2013年6月20日、進水式典が行なわれました。
[ロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフは進水する]


その後、レーダーなどを換装する近代化改装工事が始まりました。
[ロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフは近代化改装される]

既に「マルシャル・ウスチーノフ」には、MR-600「ヴォスホード」に代わり、大型3次元レーダーMR-650「ポドベレゾヴィク」が装備されています。
[大型3次元レーダー「ポドベレゾヴィク」]

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年3月18日16時51分配信
【「マルシャル・ウスチーノフ」は近代化されたレーダーを受け取った 】
「ポドベレゾヴィク」の他に、艦橋頭頂部のレーダー「フレガート-M2M」に換装されます。

「マルシャル・ウスチーノフ」は、2015年末までにロシア海軍へ復帰する予定でした。
[ロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフは2015年末にロシア海軍へ復帰する]
[ロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフは2015年末までにロシア海軍北方艦隊へ復帰する]

しかし、今回の記事の通り、2016年に延ばされました。

これまでの情報では、「マルシャル・ウスチーノフ」レーダーなどの電子機器を換装すると言われておりましたが、それに加え、新型のミサイルを装備する事になりました。
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近代化改装前の「マルシャル・ウスチーノフ」ミサイル兵装は、この3タイプです。
・打撃有翼ミサイル複合体「バザーリト」
・高射ミサイル複合体「フォルト」
・高射ミサイル複合体「オサー-MA」


この3タイプ全てでは無いにせよ、少なくとも打撃有翼ミサイル高射ミサイルの何れかが新型のものに換装される事になるようです。

当然ながら、新型に換装される古いミサイル兵装一式は撤去する事になるので、その分の手間が掛かります。

「マルシャル・ウスチーノフ」海軍への復帰が1年延びたのは、この為でしょう。

「マルシャル・ウスチーノフ」と同時期に建造され、同様に近代化改装されるプロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)新型有翼ミサイル(オーニクスとカリブル)の装備が計画されていますが、「マルシャル・ウスチーノフ」にも「新型有翼ミサイル」が装備されるかもしれません。
[ロシア海軍のプロジェクト1155大型対潜艦(ウダロイ級)は近代化改装により新型有翼ミサイルを搭載する]