空母ヴィクラマーディティヤはインド海軍で30-40年就役するかもしれない
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2013年8月8日19時32分配信
【インド側は「ヴィクラマーディティヤ」が海軍で30-40年間に渡り勤続する事を期待する】
ニューデリー、8月8日-ロシア通信社ノーボスチ
現在、バレンツ海で試験を受けている航空母艦(旧「アドミラル・ゴルシコフ」)の軍事機器装備の水準は、インド海軍の一員として30年後、或いは40年後までの勤続を可能にする。
同国南部のコーチン港軍事造船所のトップであるS.マドゥスダナン中将は、ヒンドゥー紙のインタビューに対し、こう語った。

「ヴィクラマーディティヤの組織への加入はパラダイムシフトを意味しており、インド海軍の航空母艦運用の新たな時代の幕開けになります。
再建造され、最新のシステム及び機器が装備された同艦は、海軍の編制に30-40年留まる事を可能にします」
視察旅行の為に「セヴマシュ」を訪れたインド海軍将校団を率いるマドゥスダナンは表明した。
8月、インドのメディアは、今年は正式にインドへ引き渡されなければならない同艦は、その最初の時期においては対空防衛手段が無いと報じた。
情報筋が幾つかのローカルメディアへ伝えた所によると、インドでのライセンス生産が始まったばかりの6銃身艦載自動砲装置AK-630は、インドにおける最初の近代化の最中に設置される。
メディアによると、イスラエル-インド共同プロジェクトの遠距離高射ミサイルシステム「バラク-8」の作成は遅延しており、同艦に設置されるのは2016年よりも前にはならない。
軍事技術協力分野における最大の輸出契約である近代化された重航空巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」のインド海軍への売却は、ロシアにより2004年に調印された。
ロシア連邦は、7億5000ドルで同艦の近代化を行ない、同じ額でインド海軍へ航空隊を引き渡す事になっていた。
当初は2008年に発注者へ艦を納入する計画だったが、作業量の増加に起因して何度も延期された。
現在、インド海軍の編制には、1950年代に建造され、1987年にインドへ引き渡された旧ブリテン航空母艦「ヴィラート」が在る。

更にインドは、コーチで独自の航空母艦「ヴィクラント」を建造している。
同艦は、今年中に進水しなければならない。

[空母ヴィクラマーディティヤ(旧ブログ)]
[空母ヴィクラマーディティヤ]

航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」は、元々はソヴィエト連邦海軍のプロジェクト11434(改キエフ型)重航空巡洋艦「バクー」としてウクライナの黒海造船工場で建造され、1978年12月26日に起工、1982年3月31日に進水、1987年12月30日に就役しました。
1988年12月17日、北方艦隊基地セヴェロモルスクに到着しました。


1990年10月4日、「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・ゴルシコフ」と改名されました。
ソ連邦解体後は洋上へ出る事も無くなり、ムルマンスクに係留されました。


1999年7月、セヴェロドヴィンスク市へ回航されてきました。

2004年1月20日にインドへ売却され、同年3月5日、ロシア海軍旗の降納式が行なわれました。
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その1]
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その2]
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その3]
[「アドミラル・ゴルシコフ」海軍旗返納・その4]
2005年11月30日、セヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所の屋外特設造船台に入渠しました。
[空母ヴィクラマーディティヤ、ドック入り(2005年11月30日)・その1]
[空母ヴィクラマーディティヤ、ドック入り(2005年11月30日)・その2]
[空母ヴィクラマーディティヤ、ドック入り(2005年11月30日)・その3]
そして大規模な改造工事(プロジェクト11430改造)が始まりました。

この工事により、「ヴィクラマーディティヤ」の寿命は30年延長されました。
当初は2008年末にインドへ引き渡す予定でしたが、セヴマシュが水上艦に不慣れだった事と資金面の問題により、2012年末に延期されました。
「ヴィクラマーディティヤ」は2008年12月4日に再進水しました。

[インド空母「ヴィクラマーディティヤ」進水]
当初の契約価格は搭載機込みで15億ドルでしたが、ロシア側は作業量増大による増額を求め、最終的には23億ドルで合意されました。
[インド首相とロシア大統領は空母「ヴィクラマーディティヤ」問題について話し合う]
[インドは空母「ヴィクラマーディティヤ」の為に23億ドルを支払う]
2012年6月8日、「ヴィクラマーディティヤ」の航海試験が開始されました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤは航海試験の為に出航した]
[インド空母ヴィクラマーディティヤの最初の航海試験は成功裏に完了する]
[インド空母ヴィクラマーディティヤの第2段階航海試験が実施された]
搭載機の試験も実施されました。
[艦上戦闘機MiG-29KUBはインド空母ヴィクラマーディティヤへ初着艦した]
当初は順調に進んでいた航海試験でしたが、機関の全力運転を実施した矢先に3基のボイラーが損傷し、2012年12月にインド海軍へ引き渡す予定は延期される事になりました。
ボイラー損傷の原因は、耐熱材としてアスベストの代わりに使われた耐火レンガでした。
[空母ヴィクラマーディティヤ、引渡し延期?]
[空母ヴィクラマーディティヤに使われている外国製品に問題が生じた]
航海試験は中止され、セヴェロドヴィンスクへ戻って修理を受ける事になりました。
[空母ヴィクラマーディティヤは23ノットでセヴェロドヴィンスクへ向かっている]
[空母ヴィクラマーディティヤ、セヴェロドヴィンスク入港(2012年9月23日)]
ボイラー損傷の原因となった断熱材の耐火レンガは、全てアスベストに交換される事になりました。
[インドは空母ヴィクラマーディティヤのボイラーへのアスベスト使用に同意した]
2013年7月3日に再び白海へ出港し、7月5日より航海試験が始まりました。

[インド空母ヴィクラマーディティヤは航海試験へ出発する]
[インド空母ヴィクラマーディティヤは白海で航海試験を始めた]
[インド空母ヴィクラマーディティヤは白海で各種機器を点検する]
7月28日夜、機関の全力運転試験(最大速力試験)を実施しました。
[インド空母ヴィクラマーディティヤは29ノット以上を出した]
2012年の航海試験では最大速力を出そうとした矢先にボイラーの耐熱材が崩れ落ち、ボイラーが損傷しましたが、2013年の試験では、そのようなトラブルも無く、航海試験は成功裏に終わりました。
8月5日夜、バレンツ海で航空機関連の試験が始まりました。
[空母ヴィクラマーディティヤから艦上戦闘機Su-33とMiG-29KUB/MiG-29Kのフライトが実施される]
「ヴィクラマーディティヤ」は、9月末に航海試験を完了し、11月15日にインドへ引き渡される予定です。
[空母ヴィクラマーディティヤは2013年9月30日に航海試験を完了し11月15日にインドへ引き渡される]
ただし、再就役から数年間は対空兵装が装備されない事になるようです。
[空母ヴィクラマーディティヤは就役後3年間は対空ミサイルを装備しない]
その「ヴィクラマーディティヤ」ですが、今回の記事によると、インド海軍に引き渡された後、30-40年に渡り現役に留まるかもしれないとの事です。
つまり、だいたい2040年~2050年代頃まで使用されるかもしれないという事です。
旧ソ連海軍の「バクー」(1987年就役)時代も含めれば、最大で60年以上の長寿艦になります。

現在、インド海軍が運用する唯一の航空母艦「ヴィラート」はブリテンから購入した艦ですが(1987年再就役)、ブリテン海軍の「ハーミス」(1959年就役)時代も含めれば現時点(2013年)で艦齢54年になります。

「ヴィラート」は最長で2020年頃まで現役に留まる可能性も有ります。
(つまり最長で約60年)
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