空母アドミラル・クズネツォフは遠距離航海の準備を終えた

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2013年12月2日11時50分配信
【北方艦隊の艦船グループは大西洋への遠距離航海を準備する】
ムルマンスク、12月2日-ロシア通信社ノーボスチ
新年度からの北方艦隊艦船の遠距離航海のシリーズは、重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」率いる航空艦船グループの航海で幕を開ける。
北方艦隊司令官ウラジーミル・コリョローフ大将は記者会見で述べた。
艦隊の新年度は12月1日から始まった。
遠距離航海の時期については伝えなかった。
コリョローフは強調した。
「現在、航空艦船グループの構成へ加わる艦船の乗組員は、既に訓練サイクルを完了しております」
「前年度は、大型対潜艦セヴェロモルスク及びヴィツェ-アドミラル・クラーコフの異なる最大継続期間と様々な課題の解決を含め、北方艦隊船員の為の様々な海洋航海で満ち足りておりました」
コリョローフは指摘した。
現在、祖国の沿岸から遠く離れて地中海のロシア海軍艦船作戦連合部隊の一員として、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、救助曳船「アルタイ」の乗組員は、任務を滞りなく遂行している。
重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、大西洋及び地中海エリアへ6度の遠距離航海を行なっている。
現在、同艦の乗組員は、艦の飛行甲板上からの艦上戦闘機の訓練飛行実施を含めた訓練サイクルを完了している。
航空巡洋艦の6度目の大洋航海は2012年2月に完了した。

[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
「アドミラル・クズネツォフ」は、今年9月以降、何度も洋上訓練を実施しています。
9月初頭にはバレンツ海で戦闘訓練を行ないました。
[空母アドミラル・クズネツォフはバレンツ海で戦闘訓練を行なった]
9月19日には北方艦隊の大規模演習へ参加する為にセヴェロモルスクを抜錨しました。
[空母アドミラル・クズネツォフはロシア北方艦隊の大規模演習に参加する]
その後、敵の空中攻撃から味方艦隊を守るという想定で演習を実施しました。
[空母アドミラル・クズネツォフは艦隊防空演習を行なった]
10月初頭にはバレンツ海で艦載機(Su-33、Su-25UTG、Ka-27)の発着訓練を行ないました。
[空母アドミラル・クズネツォフで艦載機の発着訓練が始まった]
その後はムルマンスク郊外の第35艦船修理工場岸壁へ戻っていました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近影]
11月19日、バレンツ海で各種訓練を行なう為、再び出航しました。
[空母アドミラル・クズネツォフは訓練の為にバレンツ海へ出航した]
[空母アドミラル・クズネツォフで艦上戦闘機Su-33の飛行訓練が行われた]
11月下旬の一連の訓練は、遠距離航海の為の準備だったようです。
これまでに「アドミラル・クズネツォフ」は、2回の大西洋への遠距離航海と4回の地中海への遠距離航海を行なっています。
[第1次地中海遠征(1995年12月8日出港、1996年3月22日帰港)]
[北方艦隊]
重航空巡洋艦「ソ連邦海軍元帥クズネツォフ」、駆逐艦「ベッストラーシヌイ」、給油船「ドニエプル」、救助曳船SB-406、原子力潜水艦「ヴォルク」
[バルト艦隊]
警備艦「プイルキー」、給油船「オレクマ」
[黒海艦隊]
救助曳船「シャフテル」、給油船「イワン・ブブノフ」
[第2次地中海遠征(2007年12月5日出港、2008年2月3日帰港)]
[北方艦隊]
重航空巡洋艦「ソ連邦海軍元帥クズネツォフ」、大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」、「アドミラル・チャバネンコ」、給油船「セルゲイ・オシポフ」、救助曳船「ニコライ・チケル」
[黒海艦隊]
親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」、給油船「イワン・ブブノフ」
[第3次地中海遠征(2008年12月5日出港、2009年3月2日帰港)]
[北方艦隊]
重航空巡洋艦「ソ連邦海軍元帥クズネツォフ」、大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」(途中で大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」と交代)、給油船「セルゲイ・オシポフ」、救助曳船「ニコライ・チケル」
[第4次地中海遠征(2011年12月6日出港、2012年2月16日帰港)]
[北方艦隊]
重航空巡洋艦「ソ連邦海軍元帥クズネツォフ」、大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、救助曳船「ニコライ・チケル」、給油船「セルゲイ・オシポフ」、「ヴャージマ」、「カーマ」
[バルト艦隊]
警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」、給油船「レナ」
[黒海艦隊]
警備艦「ラードヌイ」
この他、2004年9月20日から11月1日まで北東大西洋への遠距離航海を行ないました。
[クズネツォフ復帰まで~1990年代末~2004年~]
この時の随伴艦は、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、ロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」、駆逐艦「アドミラル・ウシャコーフ」、大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」、大洋救助曳船「ニコライ・チケル」などで構成されていました。
翌2005年8月にも北東大西洋への遠距離航海を行なっております。
そして2013年12月、「アドミラル・クズネツォフ」は遠距離航海へ出発します。
今回の記事に登場する北方艦隊司令官ウラジーミル・コリョローフ大将は、2013年5月末にも「アドミラル・クズネツォフ」が2013年-2014年に遠海ゾーンで任務を遂行する(つまり遠距離航海を行なう)と述べています。
[空母アドミラル・クズネツォフは2013-2014年に遠距離航海を行なう]
6月初頭には、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ大将が「アドミラル・クズネツォフ」は2013年末に遠距離航海を実施すると述べています。
[空母アドミラル・クズネツォフは年末に地中海へ行く]
今回の「アドミラル・クズネツォフ」の遠距離航海の随伴艦は今のところは公表されていませんが、北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」は、11月26日にセヴェロドヴィンスクの艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」のドックへ入渠し、10日間で修理を完了させ、戦闘任務へ復帰する予定です。
[大型対潜艦アドミラル・レフチェンコはセヴェロドヴィンスクで修理される]
「アドミラル・クズネツォフ」の遠距離航海へ毎回同行している北方艦隊の大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」は、2013年10月下旬にムルマンスク近郊ロスリャコヴォの大型浮きドックPD-50で整備を行なっています。

記事中で触れられていますが、現在、北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型揚陸艦「ゲオルギー・ポべドノーセッツ」、救助曳船「アルタイ」の3隻が地中海へ派遣されています。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはロシア海軍地中海作戦連合部隊を率いる]
[ロシア北方艦隊の大型揚陸艦は地中海へ行く]
因みに、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が遠距離航海へ出発した当初は、地中海へ行くとは発表されていませんでした。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは大西洋へ向かった]
- 関連記事
-
- 空母アドミラル・クズネツォフは地中海遠征へ出発した
- 北方艦隊司令官は空母アドミラル・クズネツォフを査察した
- 空母アドミラル・クズネツォフは遠距離航海の準備を終えた
- 空母アドミラル・クズネツォフは地中海へ行かない?
- 空母アドミラル・クズネツォフはシリア情勢とは関係なく2013年12月に地中海遠征へ出発する
スポンサーサイト