空母アドミラル・クズネツォフの近代化は妨げられている

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2013年12月13日11時43分配信
【造船所はロシア唯一の航空母艦の修理が妨げられていると言う】
モスクワ、12月13日-ロシア通信社ノーボスチ
ロシア唯一の重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は速やかなる定期修理及び近代化を必要としているが、同艦が艦隊編制から外れれば、艦上航空隊の訓練が中断してしまうだろう。
艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」総取締役ウラジーミル・ニキーチンは意見を述べた。
「アドミラル・クズネツォフに関する作業は、非常に困難な特徴を有しております。
航空母艦は、既に20年以上に渡り運用されています。
その技術的条件は、本格的な定期修理のみならず、多くの機器ユニットの交換及び各システムの近代化を必要としております。
ですが、問題には別の側面が在ります」
ニキーチンはロシア通信社ノーボスチのインタビューに対し、こう話した。
唯一の航空艦が修理の為、3-4年に渡って(艦隊から)外れると
「事実上、艦上航空隊の戦闘訓練は凍結されてしまい、経験豊かな飛行士及び乗組員が失われ、ロシアの政治的・軍事的影響力は低下するでしょう」
「クズネツォフ」の戦闘準備状態の維持は、セヴェロドヴィンスク及びムルマンスクの造船所の最優先事項の1つであるが、目下の定期修理の課題が依然として残されている。
「極めて緊急に」
ニキーチンは話した。
彼によると、艦の多くのシステム、複合体及び機器は寿命に達しており、修理或いは交換を必要としている。
プロジェクト11435重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」は、このクラスとしては、ロシア連邦海軍の編制において唯一である。
ニコラエフの黒海造船工場で建造され、様々な時期に「ソヴィエツキー・ソユーズ」、「リガ」「レオニード・ブレジネフ」、「トビリシ」の名を有していた。
1985年12月4日に進水し、(その後)北方艦隊の編制へ加わった。
巡洋艦の航海時には航空機Su-25UTG及びSu-33が駐留する。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」は、2010年以降、近代化改装の話が何度も出ています。
2010年春には、2012年から2017年まで「セヴマシュ」において近代化改装を行なうと報じられました。
[空母アドミラル・クズネツォフ近代化計画]
最近では、2014年から2019年まで「セヴマシュ」において近代化改装を行なうと報じられています。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2014年から近代化改装を開始する]
双方に共通するのは、5年間かけて「高度な近代化」を実施するという事です。
しかし、「アドミラル・クズネツォフ」(プロジェクト11435)を設計した「ネフスキー計画設計局」のトップは、これを否定しました。
[空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装は計画されていない]
今回、セヴェロドヴィンスク市の艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」のトップが「アドミラル・クズネツォフ」について色々と述べていますが、これは、「アドミラル・クズネツォフ」の修理を担当しているムルマンスクの第35艦船修理工場「セヴモルプート」が「ズヴェズドーチカ」の傘下に入っている為です。


「アドミラル・クズネツォフ」はソ連邦時代の1990年12月に竣工しておりますが、ソ連/ロシアの艦船の寿命は、竣工から25年程度です。
つまり「アドミラル・クズネツォフ」は2015年以降には寿命に達する事になり、それ以上艦隊で使うのならば、寿命延長工事などの近代化を行なう必要が有ります。
現在、「アドミラル・クズネツォフ」は、ムルマンスクの第35艦船修理工場及びロスリャコヴォの第82艦船修理工場の大型浮きドックPD-50で定期的に修理が行なわれています。
普段は第35艦船修理工場でメンテナンスを行ない、数年に1度は大型浮きドックPD-50へ入渠しています。
(21世紀に入ってからは、2003年、2006年、2010年にPD-50へ入渠)
第35艦船修理工場

第82艦船修理工場

大型浮きドックPD-50で修理中の「アドミラル・クズネツォフ」(2010年7月末)

しかし「ズヴェズドーチカ」のトップは、これだけでは不充分であると考えているようです。
ロシア造船業界は「アドミラル・クズネツォフ」の近代化は速やかに実行へ移されるべきだと考えているようですが、「アドミラル・クズネツォフ」が近代化の為に造船所へ入れば、その間はロシア海軍に「航空母艦」が全く存在しない事になります。


そうなる事を恐れるが故に、ロシア国防省/海軍は、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化の実施に踏み切れないということでしょう。
一方、「アドミラル・クズネツォフ」の搭載機の近代化は進められており、今年から艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBの受領が開始されています。
[ロシア海軍は最初の艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBを受領した]
[新たな艦上戦闘機MiG-29K/KUBはロシア海軍現用艦載機と共に運用される]
なお、ロシアと同様に航空母艦を1隻しか保有していないフランスは、その唯一の航空母艦を2016年からドック入りさせ、大規模修理を実施します。

『アルムス-タス』より
2013年12月3日16時02分配信
【フランスの航空母艦「シャルル・ド・ゴール」は大規模修理を行なう】
フランス海軍の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」は、2016年9月から2018年2月まで大規模修理を実施するとの事です。
ロシアの「アドミラル・クズネツォフ」も、いずれは大規模修理を実施する事になるでしょう。
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