ミストラル級へのロシア製兵装のインテグレートには約1年を要する
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『イタルタス』より
2014年1月31日12時08分配信
【軍艦「ミストラル」型を(ロシア)国防省の基準に適合させるには1年を要する】
モスクワ、1月31日/イタルタス
統合造船業営団は、ロシアのヘリコプター揚陸ドック艦「ミストラル」型の1隻目-「ウラジオストク」をロシア連邦国防省の基準に適合させるのに約1年を要するだろう。
統合造船業営団副総裁イーゴリ・ポノマリョフは記者団に伝えた。
彼によると、最初の「ミストラル」がフランスから到着した時、「海外へ運び出すことは出来ないロシア製兵器」が設置される。
「ロシア製兵器はフランス(の艦)へインテグレートされます-この作業は十分な規模となります。
私共の計算によると、それには、約1年を要するでしょう
我々は、ロシア国防省の基準及び必要条件下において艦を導入します」
ポノマリョフは話した。
この問題を解決する為、「ウラジオストク」は、海へ出られるようにする為、おそらくはクロンシュタット造船所へ置かれる事になる。
「フランスは、1年間の保証を私共へ与えます。
艦は海へ出なければならず、失われる事など有ってはなりません。
この猶予期間中に、我々はインテグレートを実施します。
この目的の為、クロンシュタットに配置され、セーヴェルナヤ・ヴェルフィ及び北方地域全体の専門技術者の協力を仰ぎ、インテグレートを行ないます。
今の所は、こういう計画となっております」
サン・ナゼールで組み立てられた「ウラジオストク」のセクションの20パーセント(艦尾)の製造は、サンクトペテルブルクの造船所で昨年2月から実施された。
以前、イタルタスがロシア海軍総参謀部の情報提供者から伝えられたように、「ウラジオストク」は2014年秋までにフランスで完成し、その後、おおよそ10月末-11月初頭にはロシアへ到着する。
ロシア製兵器を艦上に設置する為に。
ロシア海軍の為に2隻の「ミストラル」型ヘリコプター母艦を建造する為の11億5000万ユーロの契約は、2011年6月にサンクトペテルブルクへ署名された。
契約により、フランスのサンナゼールのSTX造船所での最初の2隻の艦の建造が提供される。
最初の艦「ウラジオストク」は進水しており、2014年末にロシア海軍へ納入される予定であり、2隻目の艦「セヴァストーポリ」は2015年である。
軍艦「ミストラル」型の排水量は21,000トン、船体最大長210m、速力18ノット、航続距離は最大で20000海里。
乗組員は170名であり、更にヘリコプター母艦は450名を収容可能である。
航空隊は16機のヘリコプターから成り、同時に6機の飛行甲板からの発着が可能である。
艦の貨物デッキには、40輌の戦車或いは70台のトラックを収容できる。
「ミストラル」は、4つの任務を一度に行なえる。
それはヘリコプター搭載運用、兵員の地上への揚陸、指揮センター、浮揚病院である。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア海軍向け「ミストラル」級1番艦「ウラジオストク」は、2012年2月1日にフランスのサン-ナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けヘリ空母「ミストラル」型1番艦は起工される]
船体後部は、ロシア国内のサンクト-ペテルブルク市の「バルト工場」で2012年10月1日に起工されました。
[バルト工場はヘリ空母ウラジオストクの船体を起工した]
バルト工場で建造された「ウラジオストク」後部は2013年6月26日に進水し、7月8日にフランスのサンナゼールへ向けて出発しました。
[ロシアで建造されたミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの船体後部は進水した]
「ウラジオストク」後部は7月23日にサンナゼールへ到着しました。
[ミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの船体後部はサンナゼールへ到着した]
サンナゼール造船所における「ウラジオストク」の前半分と後ろ半分の接合は8月中に完了しました。
[ミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの船体接合は2013年8月に完了する]
10月15日に進水しました。
[ミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクは進水した]
「ウラジオストク」の乗組員は太平洋艦隊将兵で構成されます。
[ロシア太平洋艦隊はミストラル級2隻の乗組員を編成する]
「ウラジオストク」の乗組員はフランス海軍の同型艦で訓練を行ないます。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの乗組員はフランスで訓練を受ける]
「ウラジオストク」は、武装無しでロシアへ引き渡されます。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクは無武装でロシアへ引き渡される]
「ウラジオストク」の最初の航海試験は2014年3月に実施されます。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの最初の航海試験は2014年3月に実施される]
「ウラジオストク」は、2014年11月1日にロシア海軍へ引き渡される予定です。
[ヘリ空母ウラジオストクは2014年11月1日にロシア海軍へ納入される]
「ウラジオストク」には、フランス製の揚陸艇4隻が搭載されます。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクは4隻のフランス製揚陸艇を搭載する]
「ウラジオストク」はロシア太平洋艦隊へ配備され、艦名の元となったウラジオストク市に駐留する事になります。
[ヘリ空母ミストラル型はウラジオストク市へ配置される]
[フランスはヘリ空母ミストラルの為の極東の基地建設に協力する]
[太平洋艦隊はヘリ空母ミストラルの為の基地建設を準備する]
[カムチャツカ半島にミストラル級の為の基地が建設される]
[ウラジオストク艦船修理工場は2016年までにミストラル級の修理の準備が整う]

そして今回の記事によると、ロシア海軍へ非武装状態で引き渡された「ウラジオストク」は、バルト海沿岸のクロンシュタットへ回航され、ここでロシア製兵器をインテグレートする最終艤装が行なわれます。

ロシア製兵装のインテグレートには約1年掛かるとの事です。
以前にフランスのDCNS社が公表した完成予想図では、設置される兵装は30mmガトリング砲AK-306と近接対空ミサイル「ギブカ」のみとなっておりました。
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]
しかし、30mm機銃と近接対空ミサイルだけのインテグレートに1年も掛かるでしょうか?
更には、ロシア製兵器のインテグレートの為、サンクトペテルブルクの造船所「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」の技術者が協力するとの事です。
これまで「ミストラル」級の建造には一切関わっていなかった「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」が。

更に付け加えれば、ロシアでミストラル級の後ろ半分を造ったバルト工場や、現在のロシアで唯一「ヘリコプターを搭載するドック型揚陸艦」の建造経験を有するカリーニングラードのヤンターリ造船所を差し置いて・・・
ヤンターリ造船所で建造された大型揚陸艦「イワン・ロゴフ」

目下の所、ロシア海軍向けの新世代水上戦闘艦(プロジェクト22350フリゲート、プロジェクト20380/20385コルベット)の建造で多忙を極めており(つまり、他所で建造される艦の艤装に手を貸す余裕など、本来は無い筈)、これまでに「揚陸艦」の建造の経験が全く無い「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」の協力を受けなければ出来ない程のインテグレートとは、一体何でしょうか?
30mm機銃と近接対空ミサイルだけならば、わざわざ「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」の協力を仰ぐ必要など有りません。
ここで考えられるのは、現在、「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」で建造されている艦にしか搭載されていないロシア製兵装が「ウラジオストク」に装備されるという可能性です。
それは何かと言えば、高射ミサイル「ポリメント-リドゥート」と、3R-14UKSK汎用ミサイル発射機(オーニクス/カリブル有翼ミサイル兼用発射機)です。
[新世代の艦対空ミサイルシステム3K96「リドゥート」]
[汎用ミサイル垂直発射機3R-14UKSK]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
現在の所、この両者は、「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」で建造されているプロジェクト22350フリゲートにしか搭載されていません。
(「カリブル」のみの発射機は、他の造船所で建造される水上艦にも搭載されていますが)
[新世代フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」型]
2012年2月下旬、具体名こそ出されなかったものの、そのような兵装がロシア海軍の「ミストラル」級に搭載されると報じられた事が想い起されます。
[ロシア海軍向け「ミストラル」型には巡航ミサイル、対空・対潜ミサイルなどが装備される]
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