ロシア原潜は地中海に居る?

『独立軍事評論』より
2014年2月14日0時01分00秒配信
【アンドレイ旗の示威】
『独立軍事評論』解説員ウラジーミル・グンダロフ
バルト艦隊の大型揚陸艦「ミンスク」と黒海艦隊の大型揚陸艦「ヤマル」はノヴォロシースクで物資を補充した後、2月11日夕方にボスポラス海峡を通過し、ロシア海軍地中海常設作戦連合部隊の作戦指揮下に入った。
『インタファクス-AVN』は海軍総参謀部から得られた情報を引用して伝えた。
従って、オレグ・ペシクロフ1等海佐が指揮する連合部隊は、現在、16隻の艦船を擁している。
それは、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」、大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」、大型揚陸艦「アゾフ」、「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「オレネゴルスキー・ゴルニャク」、「カリーニングラード」、そして(新たに)加わった「ミンスク」と「ヤマル」、更には偵察艦「アドミラル・フョードル・ゴロヴィン」である。
彼等の活動を支援するのは、曳船「アルタイ」、「ニコライ・チケル」、給油船「セルゲイ・オシポフ」、「イマン」、「カーマ」である。
シリアのタルトゥース港には浮揚工場PM-56が滞在している。
今日、地中海作戦連合部隊には、核兵器搭載艦を含め、(ロシア)海軍の最強の打撃戦力が集束されている。
特に注目されるのは、1月15日にジブラルタル海峡を海軍の3隻の戦闘艦及び2隻の支援船から成る2つの戦術グループが通過した事である。
巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」率いる最初の戦術グループが通過する際、そのカバーの下で北方艦隊の原子力ロケット潜水艦が地中海へ入った可能性は除外されない。
記事冒頭で触れられているように、今年2月中旬、2隻の大型揚陸艦がロシア海軍地中海作戦連合部隊へ加わりました。
[ロシア海軍地中海作戦連合部隊へ2隻の大型揚陸艦が加わる]
これでロシア海軍地中海作戦連合部隊に参加している艦船は合計16隻となり、同部隊が創設(2013年6月1日)されて以来、最大規模となっております。
[ロシア連邦海軍地中海作戦連合部隊]司令官オレグ・ペシクロフ1等海佐
重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」(北方艦隊、作戦連合部隊旗艦)
重航空巡洋艦「アドミラル-フロータ-ソヴィエツカヴァ-ソユーザ・クズネツォフ」(北方艦隊)
大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」(北方艦隊)
大型揚陸艦「アゾフ」(黒海艦隊)
大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」(北方艦隊)
大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」(北方艦隊)
大型揚陸艦「カリーニングラード」(バルト艦隊)
大型揚陸艦「ミンスク」(バルト艦隊)
大型揚陸艦「ヤマル」(黒海艦隊)
偵察艦「アドミラル・フョードル・ゴロヴィン」(バルト艦隊)
救助曳船「アルタイ」(北方艦隊)
救助曳船「ニコライ・チケル」(北方艦隊)
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」(北方艦隊)
中型海洋給油船「イマン」(黒海艦隊)
中型海洋給油船「カーマ」(北方艦隊)
浮揚工場PM-56(黒海艦隊、タルトゥースに駐留)
今回の記事では「(ロシア)海軍の最強の打撃戦力の集束」と書かれていますが、これは、ロシア連邦海軍の最有力水上艦である重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が共に作戦連合部隊へ参加している事を指しています。

[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキー地中海遠征(2013年10月-)]

[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-)]
更に、この記事の執筆者であるウラジーミル・グンダロフ氏は、これ以外にも北方艦隊の「原子力ロケット潜水艦」が参加しているのではないかと見ています。
2014年1月15日、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とする北方艦隊航空艦グループは、二手に分かれてジブラルタル海峡を通過しました。
[空母アドミラル・クズネツォフは地中海へ入った]
「アドミラル・クズネツォフ」は先に海峡を通過したのですが、グンダロフ氏は、この時、原子力ロケット潜水艦も一緒に地中海へ入ったかもしれないと推察しています。
「原子力ロケット潜水艦」は、おそらくは有翼ミサイル搭載のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)を指しています。

949Aは、「ピョートル・ヴェリキー」や「アドミラル・クズネツォフ」と同様に長距離打撃有翼ミサイル「グラニート」を装備しています。
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
ロシア海軍の潜水艦の行動は原則非公開であり、例えば「ピョートル・ヴェリキー」や「アドミラル・クズネツォフ」のように、遠距離航海へ出発しても広報部から発表される事は有りません。
2013年5月、ロシア海軍総司令官ヴィクトル・チルコフ提督は、地中海作戦連合部隊に原子力潜水艦が加わる事も有り得ると発言しています。
[ロシア海軍地中海作戦部隊には潜水艦も加わる]
従いまして、それ(ロシア原潜の地中海展開)が嘘であるとは断定できません。
(本当であるとも断定できませんが)
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト949A「アンテイ」(NATOコード名「オスカーII」)】
北方艦隊所属艦は、K-119「ヴォロネジ」、K-410「スモレンスク」の2隻が稼働状態に在ります。
「ヴォロネジ」は2011年11月末、「スモレンスク」は2013年12月末に寿命延長近代化改修を終えています。
[オスカーII級ミサイル原潜「ヴォロネジ」は近代化改装を終えた]
[オスカーII級原潜スモレンスクは修理を終えて基地へ戻った]
なお、「ヴォロネジ」は1996年2月-3月に地中海で戦闘勤務に就いています。

同じ時期、「アドミラル・クズネツォフ」は最初の地中海遠征(1995年12月-1996年3月)を行ないました。
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