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もしもフランスがミストラル級の売却を取り止めたのならば、ロシアは独自にミストラル級と同型の艦を建造するかもしれない

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『イズベスチヤ』より
2014年3月19日1時01分配信
【ロシアは「ミストラル」そのものを建造するかもしれない】

国内(ロシア)造船企業はフランスの揚陸艦の同型艦の作成へと進む。
それには、フランスの図面が役立てられる。

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ロシア造船企業は、もしもフランスが2隻の「ミストラル」艦を我が国へ供給する為の契約を解消した場合、独自にヘリコプター母艦を建造するかもしれない。
『イズベスチヤ』は、「統合造船業営団」の情報提供者より伝えられた。
彼は、ロシア側における同プロジェクトの調整役として動いていた。

フランス外相ローラン・ファビウスは、ロシアウクライナに対する政策を変更しない場合、2隻のヘリコプター母艦「ミストラル」の建造の為の2011年の契約を解消するかもしれないと表明した。
ロシア海軍の計画によると、艦は2015年に海軍の編制へ加入しなければならない。

バルト工場(サンクトペテルブルク)で作成された1隻目の艦の後部は、その他のコンポーネントを完成させる為、フランスDCNS社へ移送された。
2013年10月、艦は試験の為に進水し、2014年秋にはロシア海軍へ引き渡される予定となっている。
2隻目の艦の後部は、6月にフランスの造船所へ移送されなければならない。

「フランスのパートナーが断念した場合、我々は、自身で同類の艦を作成するでしょう-私達は、既にミストラルの文書の主要部分を彼らから受け取っていますから。
フランスが契約履行と資金の返却を拒んだ場合、彼等は、この文書に関する権利を失う事になります」

統合造船業営団の代理人は話した。
「もしもフランスのパートナーが艦の引き渡しを拒んだ場合、海軍の関心の保持の下で私共は独自に建造します」

代理人によると、国内造船業界の深刻な問題として、完成した図面が無ければ、同類の揚陸艦を作成することは出来ない。

「設計には、約2年は掛かるでしょう。ミストラルには、何も複雑なところは有りません-それはヘリコプター及び戦車の為の動力付き艀及びドックです。
軍事造船所にとって、これは簡単な仕事です。
ネフスキー計画設計局は、新たな艦を短期間で作る事が出来ます-同社は、ヘリコプター搭載航空艦を含む水上艦の豊富な経験を有しておりますから。
承認されたプロジェクトの存在下における建造は、約18ヶ月です」

統合造船業営団は話した。

2隻の「ミストラル」作成の契約額は12億ユーロである。
ロシアは既に半額以上を支払っている。

対談者は、軍用艦の作成費用の古典的な計算式は、排水量1000トンごとに約10億ルーブルであると説明した。
従って、排水量21000トンのヘリコプター母艦「ミストラル」の同類艦を、ロシアは約200億ルーブル(約4億ユーロ)で建造できる。
この費用の内の20-25パーセントは設計費である。

もしもフランスから未完成状態の艦1隻の入手に成功したのならば、ロシアは、それを完成させることが出来ると統合造船業営団は指摘した。

「ミストラルが如何なる状態であっても、私達は、それを完成させないなどという事はしません」
対談者は強調した。

しかしながら、(契約)履行者の交代という選択肢は、ウラジーミル・ザハロフ退役少将によると、何も良い事は無い。

「艦の契約者は、必ずそれを納入しなければなりません。
建造過程において、建造者を変更する事など出来ません。
"箱"には同意できません、その後、中身を満たさなければなりませんから。
船体の建造は容易ですが、1つの組織的な艦の作成は、最も難しい。
もしも彼らが完了を望まないのならば、契約は解除する必要が有り、彼等は違約金を支払わなければなりません-自身がやった事への」
ウラジーミル・ザハロフ
は話した。

「マラヒート」設計主任ラジー・シマコフは、国内造船業は、「ミストラル」のようなプロジェクトの為のポテンシャルを充分に有している事に同意する。

「このような艦の建造を、私達のエンジニアはやってのけられます。
サンクトペテルブルクの造船所-バルト造船工場、セーヴェルナヤ・ヴェルフィ、アドミラルティ造船所は、それが可能であり、ネフスキー計画設計局は設計が可能です」
ラジー・シマコフ
は、こう考える。

以前、バルト工場(彼等は「ミストラル」後部を組み立てた事を想い起して欲しい)は、国家間プロジェクトの主な目的は、外国の軍事技術の収集であると『イズベスチヤ』へ伝えた。
今、彼らは異なる意見を有する。

「ミストラルは、民間方式で建造された船であり、これは、ごくありふれた自動車輸送用フェリーです。
このような船の建造の為の新たな技術など、我が国にとっては、原子力航空母艦建造(の為の技術)に比べれば、大したものではありません。
我が国では、例えば、ネフスキー計画設計局は、戦後、同様の船の設計に従事しておりました」

工場の代理人は話した。


[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシア海軍向け「ミストラル」級1番艦「ウラジオストク」は、2014年3月5日に最初の航海試験を実施しています。
[ロシア海軍向けミストラル級1番艦ウラジオストクは最初の洋上試験を行なった]

2番艦「セヴァストーポリ」の建造も進められています。
[ロシア海軍向けミストラル級2番艦セヴァストーポリの後部の建造はスケジュール通りに進行している]

1、2番艦共に、船体後部はロシアの造船所(サンクトペテルブルク「バルト工場」)で建造されています。


最近のウクライナ情勢に関連し、フランスロシアへの「ミストラル」級売却契約をキャンセルする可能性について報じられていますが、実際には、そう簡単な事ではありません。
[フランスはロシアへのミストラル級輸出のキャンセルを考慮するかもしれないが、それを実行に移す事は多大なペナルティを伴う]
[フランスは今年10月にロシアへのミストラル級輸出の一時差し止めについて検討する]

現在の所、ロシア海軍向け「ミストラル」級は、決して「宙に浮いている」わけではありませんが、今回の記事によると、ロシア造船業界の一部には「もしもフランスが売るのを拒むのならば、我々は独自に同型艦を建造すべきだ」と考えている人が存在する事は確かなようです。

実行に移されるかどうかはさて置き・・・
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