ボレイ級戦略原潜の為、カムチャツカ半島に新たな設備が建設される
- カテゴリ:ロシア太平洋艦隊(2012-2015年)
『イズベスチヤ』紙によると、新世代戦略原子力潜水艦プロジェクト955「ボレイ」を太平洋艦隊に配備する為、カムチャツカの原潜基地に新たな設備が建設されます。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【メディア:「ボレイ」の為に、2基の新たな桟橋と原子力ステーションが建設される】
2012年3月14日
最新の「ブラヴァー」潜水艦が来る前に、ルイバチー半島のヴィリュチンスクに最新のインフラストラクチュアが登場するだろう。
『イズベスチヤ』紙は報じた。
「ボレイ」停泊の為の桟橋は、ルイバチー半島のヴィリュチンスクに登場する。
その右側の既存の桟橋には、「カリマール」、「シチューカ」、「パルトゥース」、「アンテイ」が駐留している。
クラシェニーンニコフ湾対岸に位置する第2桟橋は、ミサイル積載所である。
浮揚原子力ステーションは、潜水艦や基地の沿岸設備に電力を供給する。
「桟橋は、既存の技術を用いて建設され、根本的に新しい物は有りませんが、砂利を埋め込みます。
そして金属セクションを設置し、アンカーで固定します」
海軍の代理人は述べた。
彼によると、桟橋の役割は、潜水艦や乗組員に対する電力、燃料、新鮮な水の供給を確実に行なう事である。
「ボレイ」が駐留する為の新たな桟橋は、古いものとは根本的に異なるものではない。
ミサイル積載所は、波と特別に強い風から桟橋を保護する。
それは、ヴィリュチンスクの潜水艦乗組員が、弾薬を降ろしたり積んだりする際、天候により待機する必要がある現状を救済する。
「その待機時間は、最大で2週間になる事も有ります。
この(新しい)桟橋は、我が海軍将兵の長年の夢でした。
対照的に、吊り桟橋は、風と波の問題が常に存在します」
海軍はコメントした。
「ボレイ」の電力は、ヴィリュチンスクとペトロパブロフスク-カムチャツキーの発電所と発電設備には依存せず、出力70メガワット(ドニエプル発電所の出力の8.5パーセント)の浮揚原子力発電ステーションにより提供される計画である。
これは、原子力潜水艦の全基地と近隣の市や町の必要量を満たすのに充分である。
ヴィリュチンスクへ潜水艦が到着する前に、浮揚ステーションが完成するかどうかは明瞭ではない。
「バルチースキー・ザヴォート」で作られているステーションは、現在、遂行手順が不安定であり、完成が2013年末まで延期されると言われている。
「バルチースキー・ザヴォート」を含む統合造船業営団は、 『イズベスチヤ』に対して同工場の情況が不安定であり、 2013年末までに浮揚原子力発電ステーションを完成させる事は出来ない事を認めた。
統合造船業営団報道官アレクセイ・クラフチェンコによると、ロスアトムと共同で、ステーション完成の為の時間及び資金供給の問題に対処する。
浮揚原子力発電ステーション「ロスエネルゴアトム」総取締役セルゲイ・ザヴィアロフは、現在、明確な完成時期については何も言えないと語った。
「統合造船業営団の専門家の予備推算によると、 2014年までにステーションは完成するとの事ですが、私共は、この時期は容認できません」
同時にザヴィアロフは、「バルチースキー・ザヴォート」の利点は、原子力砕氷船、浮揚原子力発電ステーション、重原子力巡洋艦を建造する特異な能力にあると述べた。
従って、彼は、このプロジェクトを他の会社に移管する事は不可能であると考えていると『イズベスチヤ』は報じた。
以前も、『イズベスチヤ』紙は、近い内にボレイ級が配備されると言われるカムチャツカ半島の原潜基地は、同級を受け入れる準備が出来ていないと報じ、それに対し「現状でもボレイ級の受け入れには問題は無い」と反論する専門家も居ました。
[カムチャツカ半島の基地設備はボレイ級戦略原潜に適していない]
しかし今回の報道は、カムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地の現状では、新型のボレイ級原潜を常駐させるのに適していない事を示しています。
ヴィリュチンスク基地

記事を読む限り、新たな桟橋が建設されるのは、この辺りのようです。

桟橋は2基建設されるとの事であり、1基でボレイ級2隻を両側に停泊させられますから、ヴィリュチンスク基地には最終的に4隻のボレイ級を配備する計画である事が伺えます。
ボレイ級戦略原潜は、「2011-2020年の国家兵器プログラム」において8隻の調達が計画されていますが、この内の半数を太平洋艦隊に配備する意向なのでしょう。
[ロシア国防省は、戦略原潜ボレイ級8隻と多用途原潜ヤーセン級8隻を2020年までに調達する]
記事中の「カリマール」、「シチューカ」、「パルトゥース」、「アンテイ」は、以下のタイプを指しています。
「カリマール」:プロジェクト667BDR戦略弾道ミサイル原子力潜水艦(デルタIII級)
「シチューカ」:プロジェクト971多用途原子力潜水艦(アクラ級)
「パルトゥース」:プロジェクト877通常動力潜水艦(キロ級)
「アンテイ」:プロジェクト949A巡航ミサイル原子力潜水艦(オスカーII級)
この記事によると、ボレイ級をヴィリュチンスク基地に常駐させる為、同地に「浮揚原子力発電ステーション」が設置されるとの事です。
浮揚原発は、サンクトペテルブルク市のバルチースキー・ザヴォートで建設されます。
バルチースキー・ザヴォート

【株式会社「バルチースキー・ザヴォート」公式サイト】
記事中でも触れられていますが、ソヴィエト連邦時代から各種の原子力水上艦船を建造した実績を有しています。
同社では、原子力砕氷船アルクチカ型、原子力巡洋艦キーロフ型、原子力偵察艦ウラルが建造されました。
この他、船体はフィンランドで建造し、原子炉等の取り付けは「バルチースキー・ザヴォート」で行なった原子力砕氷船タイミール型も有ります。
しかし、浮揚原子力発電ステーションの建設は遅れており、具体的な完成の目途は立っていないようです。
「バルチースキー・ザヴォート」の状況が不安定というのは、要するに、同社の経営状態が芳しくないという事です。
財団法人「高度情報科学技術研究機構」公式サイトより。
【世界の原子力発電開発の動向・CIS】
>原子力発電所の建設が困難な遠隔地向けには海上浮遊型原子力発電所(タグボートで曳航・繋留)で対応する予定で、
>1号機として原子力砕氷船用の舶用炉KLT-40S・2基・出力7万kWを搭載した海上プラントを、
>カムチャツカ半島のビルチンスクに設置する計画である。
これは、上の記事で触れられているボレイ級の為の「浮揚原子力発電ステーション」を指しています。
KLT-40Sは、原子力砕氷船タイミール型の原子炉と同系列です。
『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
【メディア:「ボレイ」の為に、2基の新たな桟橋と原子力ステーションが建設される】
2012年3月14日
最新の「ブラヴァー」潜水艦が来る前に、ルイバチー半島のヴィリュチンスクに最新のインフラストラクチュアが登場するだろう。
『イズベスチヤ』紙は報じた。
「ボレイ」停泊の為の桟橋は、ルイバチー半島のヴィリュチンスクに登場する。
その右側の既存の桟橋には、「カリマール」、「シチューカ」、「パルトゥース」、「アンテイ」が駐留している。
クラシェニーンニコフ湾対岸に位置する第2桟橋は、ミサイル積載所である。
浮揚原子力ステーションは、潜水艦や基地の沿岸設備に電力を供給する。
「桟橋は、既存の技術を用いて建設され、根本的に新しい物は有りませんが、砂利を埋め込みます。
そして金属セクションを設置し、アンカーで固定します」
海軍の代理人は述べた。
彼によると、桟橋の役割は、潜水艦や乗組員に対する電力、燃料、新鮮な水の供給を確実に行なう事である。
「ボレイ」が駐留する為の新たな桟橋は、古いものとは根本的に異なるものではない。
ミサイル積載所は、波と特別に強い風から桟橋を保護する。
それは、ヴィリュチンスクの潜水艦乗組員が、弾薬を降ろしたり積んだりする際、天候により待機する必要がある現状を救済する。
「その待機時間は、最大で2週間になる事も有ります。
この(新しい)桟橋は、我が海軍将兵の長年の夢でした。
対照的に、吊り桟橋は、風と波の問題が常に存在します」
海軍はコメントした。
「ボレイ」の電力は、ヴィリュチンスクとペトロパブロフスク-カムチャツキーの発電所と発電設備には依存せず、出力70メガワット(ドニエプル発電所の出力の8.5パーセント)の浮揚原子力発電ステーションにより提供される計画である。
これは、原子力潜水艦の全基地と近隣の市や町の必要量を満たすのに充分である。
ヴィリュチンスクへ潜水艦が到着する前に、浮揚ステーションが完成するかどうかは明瞭ではない。
「バルチースキー・ザヴォート」で作られているステーションは、現在、遂行手順が不安定であり、完成が2013年末まで延期されると言われている。
「バルチースキー・ザヴォート」を含む統合造船業営団は、 『イズベスチヤ』に対して同工場の情況が不安定であり、 2013年末までに浮揚原子力発電ステーションを完成させる事は出来ない事を認めた。
統合造船業営団報道官アレクセイ・クラフチェンコによると、ロスアトムと共同で、ステーション完成の為の時間及び資金供給の問題に対処する。
浮揚原子力発電ステーション「ロスエネルゴアトム」総取締役セルゲイ・ザヴィアロフは、現在、明確な完成時期については何も言えないと語った。
「統合造船業営団の専門家の予備推算によると、 2014年までにステーションは完成するとの事ですが、私共は、この時期は容認できません」
同時にザヴィアロフは、「バルチースキー・ザヴォート」の利点は、原子力砕氷船、浮揚原子力発電ステーション、重原子力巡洋艦を建造する特異な能力にあると述べた。
従って、彼は、このプロジェクトを他の会社に移管する事は不可能であると考えていると『イズベスチヤ』は報じた。
以前も、『イズベスチヤ』紙は、近い内にボレイ級が配備されると言われるカムチャツカ半島の原潜基地は、同級を受け入れる準備が出来ていないと報じ、それに対し「現状でもボレイ級の受け入れには問題は無い」と反論する専門家も居ました。
[カムチャツカ半島の基地設備はボレイ級戦略原潜に適していない]
しかし今回の報道は、カムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地の現状では、新型のボレイ級原潜を常駐させるのに適していない事を示しています。
ヴィリュチンスク基地

記事を読む限り、新たな桟橋が建設されるのは、この辺りのようです。

桟橋は2基建設されるとの事であり、1基でボレイ級2隻を両側に停泊させられますから、ヴィリュチンスク基地には最終的に4隻のボレイ級を配備する計画である事が伺えます。
ボレイ級戦略原潜は、「2011-2020年の国家兵器プログラム」において8隻の調達が計画されていますが、この内の半数を太平洋艦隊に配備する意向なのでしょう。
[ロシア国防省は、戦略原潜ボレイ級8隻と多用途原潜ヤーセン級8隻を2020年までに調達する]
記事中の「カリマール」、「シチューカ」、「パルトゥース」、「アンテイ」は、以下のタイプを指しています。
「カリマール」:プロジェクト667BDR戦略弾道ミサイル原子力潜水艦(デルタIII級)
「シチューカ」:プロジェクト971多用途原子力潜水艦(アクラ級)
「パルトゥース」:プロジェクト877通常動力潜水艦(キロ級)
「アンテイ」:プロジェクト949A巡航ミサイル原子力潜水艦(オスカーII級)
この記事によると、ボレイ級をヴィリュチンスク基地に常駐させる為、同地に「浮揚原子力発電ステーション」が設置されるとの事です。
浮揚原発は、サンクトペテルブルク市のバルチースキー・ザヴォートで建設されます。
バルチースキー・ザヴォート

【株式会社「バルチースキー・ザヴォート」公式サイト】
記事中でも触れられていますが、ソヴィエト連邦時代から各種の原子力水上艦船を建造した実績を有しています。
同社では、原子力砕氷船アルクチカ型、原子力巡洋艦キーロフ型、原子力偵察艦ウラルが建造されました。
この他、船体はフィンランドで建造し、原子炉等の取り付けは「バルチースキー・ザヴォート」で行なった原子力砕氷船タイミール型も有ります。
しかし、浮揚原子力発電ステーションの建設は遅れており、具体的な完成の目途は立っていないようです。
「バルチースキー・ザヴォート」の状況が不安定というのは、要するに、同社の経営状態が芳しくないという事です。
財団法人「高度情報科学技術研究機構」公式サイトより。
【世界の原子力発電開発の動向・CIS】
>原子力発電所の建設が困難な遠隔地向けには海上浮遊型原子力発電所(タグボートで曳航・繋留)で対応する予定で、
>1号機として原子力砕氷船用の舶用炉KLT-40S・2基・出力7万kWを搭載した海上プラントを、
>カムチャツカ半島のビルチンスクに設置する計画である。
これは、上の記事で触れられているボレイ級の為の「浮揚原子力発電ステーション」を指しています。
KLT-40Sは、原子力砕氷船タイミール型の原子炉と同系列です。
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