ロシア海軍黒海艦隊の艦船の大部分はセヴァストーポリに駐留する
- カテゴリ:ロシア黒海艦隊(2012-2019年)


『イタルタス』より
2014年4月17日12時20分配信
【黒海艦隊の艦はノヴォロシースクからセヴァストーポリへ移転する】
モスクワ、4月17日/イタルタス
黒海艦隊の艦の大部分はノヴォロシースクからセヴァストーポリへ移転する。
ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは直通ラインにおいて表明した。
「我々には、艦隊の更新に関するウクライナとの明確な協定が有りましたが、残念な事に、これらの協定は、実行が不十分であるか、もしくは、殆ど実行されませんでした。
そして我々は、更新に関する大きな問題を抱えておりました」
彼は話した。
「ですが、今日において、そのような問題は存在しません。
最新の艦や支援船はノヴォロシースクからセヴァストーポリへ移転します」
国家元首は、艦船建造及び艦船修理の点において、クリミアには高いポテンシャルが有る事を強調した。
「従いまして、この事からも、かなりの量(の資金)がクリミアの造船所へ集束されます」
大統領は約束した。
彼によると、国防省は既に50億ルーブルの発注を造船所の1つに割り当てている。
「我々は、クリミアのこのポテンシャルを増加させていきます」
プーチンは指摘した。
[社会的プログラム]
ロシア連邦当局は、セヴァストーポリの黒海艦隊基地開発プログラム及び軍人の為の社会的プログラムの展開を採択する。
プーチンは直通ラインにおいて表明した。
「プログラムは、セヴァストーポリの黒海艦隊基地全体の開発の為に採択されます」
彼は話した。
「無論それは、個人及び勤務用の住宅の供給を含め、ロシア連邦軍で実行されている全ての社会的プログラムが展開します」
プーチンは表明した。
ロシアでは、軍人の為の住宅を供給する為の3つの主要方針が在る:国家住宅証明書、貯蓄-貸付システム、恒久住宅の直接供給。
2013-2015年には、軍人の為の恒久住宅を保障する為に320億ルーブルが、勤務用住宅には(2013-2014年に)150億ルーブルが供給される。
2013年には、20500名の軍人が恒久住宅を、21000名が勤務用宿舎を受け取った。
国家住宅証明書には2400名が選ばれた。
住居の為の貸付資金は30300名の軍人が取得した。
連邦国家財政機関「ロスヴォエニポテカ」のトップ、ウラジーミル・シュミリンによると、2014年4月1日には、288000名の軍人が貯蓄-貸付システムに関わった。
[ロシア連邦黒海艦隊に関するウクライナとの協定は廃止された]
4月2日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、ロシア連邦黒海艦隊に関する4つのロシア-ウクライナ協定を廃止する法令に署名した。
3月28日、大統領は国家院(下院)に対し、これらの合意を廃止する為の法案を提議した。
3月31日、それは満場一致で採択された。
4月1日には連邦院(上院)で承認された。
以前、ロシア連邦外務次官グリゴリー・カラシンが説明したように、現在、黒海艦隊に関するロシア-ウクライナ協定を遵守した行動を続ける理由など存在しない。
「クリミア共和国及びセヴァストーポリ連邦特別市の領域は、今後はロシア連邦の不可欠な部分となり、憲法第4条に沿ってロシア連邦の主権が及びます。
従いまして、今日、ウクライナとのロシア連邦黒海艦隊の施設や要員配置の権利関係を継続する為の如何なる土台も存在しておりません。
ロシア側への債務と、ウクライナ側が支払うべき代償あるいは補償を含めて」
彼は強調した。
ウクライナ大統領ヴィクトール・ヤヌコーヴィチが署名した「ハリコフ合意」を廃止する必要性について、ドミトリー・メドベージェフ首相は、3月21日のロシア連邦安全保障協議会の会合で初めて表明した。
2010年4月に署名されたこれらの文書によると、ロシア黒海艦隊のクリミアへの滞在は25年間で合意され、それと引き換えにロシアはガスの価格を30パーセント削減し、1000立方メートルにつき100ドルを超えない。
1997年5月28日、ロシアとウクライナは旧ソ連黒海艦隊の分割協定を結びました。
『ロシア黒海艦隊公式サイト』より
【ロシア連邦及びウクライナによる黒海艦隊の分割パラメータに関する合意(キエフ、1997年5月28日)】
この時には、ロシア黒海艦隊は2017年までセヴァストーポリ(クリミア)に駐留できる事になっていました。
その後、ウクライナには親ロシア派政権が誕生し、2010年4月21日に締結されたハリコフ合意により、黒海艦隊の駐留期間は25年延長されました(2042年までの駐留が可能となった)。
しかし、2014年2月、その親ロシア派政権が瓦解し、ウクライナは、極右勢力を含む反ロシア派に乗っ取られました。
この為、ロシア連邦は2014年3月にクリミア共和国とセヴァストーポリ市を自国に編入し、黒海艦隊に関するウクライナとの協定は存在意義を失いました。
2014年4月2日、ロシア-ウクライナ間の黒海艦隊協定は廃止されました。
[ロシア-ウクライナ間の黒海艦隊協定は廃止された]
黒海艦隊協定が廃止された事により、クリミア共和国及びセヴァストーポリ連邦市へのロシア連邦軍駐留に関する制限は全て無くなります。
今後、黒海艦隊へ補充される6隻の新造フリゲート及び6隻の新造潜水艦は、以前にはノヴォロシースクへ配備される予定でした。
[アドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲート]

[プロジェクト06363潜水艦]

しかし、今回のプーチン大統領の発言を見る限り、これらの新造艦もセヴァストーポリ配備になりそうです。

ノヴォロシースクでは海軍基地の拡張工事が進められてきましたが、こちらの方も大幅に縮小される事になるでしょう。

更にプーチン大統領は、クリミアの造船所(艦船修理工場)にも言及しています。
現在、セヴァストーポリには、ロシア黒海艦隊直営の第13艦船修理工場と、ウクライナの艦船修理工場「セヴァストーポリ海洋工場」が在ります。
第13艦船修理工場

[セヴァストーポリ船舶修理工廠「セヴモルザヴォート」]
【公開株式会社「セヴァストーポリ海洋工場」公式サイト】


今回、プーチン大統領が述べている「高いポテンシャルを有する造船所」というのは、おそらく「セヴァストーポリ海洋工場」の事でしょう。
将来的には、ここで艦船の新規建造を行なう事まで考えているのかもしれません。
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