ロシアは将来空母用の電磁カタパルトの開発を始めている
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦


『中央海軍ポータル(フロートコム)』より
2014年4月22日11時44分配信
【ロシアは航空母艦の為の電磁カタパルトの開発を始めた】
ロシアの専門技術者は、航空母艦の為の電磁航空射出装置(電磁カタパルト)の開発を始めている。
公開株式会社「ネフスキー計画設計局」総取締役セルゲイ・ウラソフは述べた。
「今日、ロシアに存在する組織-電磁カタパルトの作成に従事する-について、その名前を挙げる事は時期尚早であります。
既に、然るべき開発作業は始まっております」
ウラソフの談話をイタルタスは転載した。
同時に、「ネフスキー計画設計局」総取締役は、我が国において、然るべき開発の実施に費やす時間は不明であると指摘した。
「この課題に、アメリカ人は10年以上に渡って取り組んでおります。
彼等の最初の電磁カタパルトは、2016年に新たな航空母艦ジェラルド・フォード(CVN-78)に設置されます」
ウラソフは付け加えた。
公開情報によると、蒸気カタパルトの信頼性は、電磁カタパルトに比べ、ほぼ2倍である。
新たなメカニズムによる射出回数に占める故障回数は、依然として非常に多いと断定できる事を彼は強調した。
蒸気カタパルトは、現在、ロシアでは稼働していない。
「それを稼働させる為には、自前の原子力発電装置が必要です。
アメリカの同業者は、電磁カタパルトは軽く、コンパクトで、スムーズに航空機を加速させ、様々な重量の飛行装置を調整する事が出来ると言っております」
ウラソフは話した。
彼によると、カタパルトの試験は、現在ロシアにあるエイスクか、或いは、クリミアにあるニートカといった艦上航空隊地上訓練場の何れかで実施される可能性が高い。
「そうなった場合には、(カタパルト)が受け入れられ、そこへ展開します」
ウラソフは説明した。
彼は、今、クリミアのニートカが、そのような状態に有るとは言えないと指摘した。
「検査を行なう必要が有る事は明白ですが、解決策は有りそうに無いですね。
ニートカは、ネフスキー計画設計局の設計の下で作成され、プロジェクトの採掘、舗装作業は、海軍特別機関により行なわれました」
ウラソフは付け加え、エイスク訓練場への入札が実施され、モスクワ設計局「コンパス」が勝利し、「プロレタリア工場」、「ネフスキー計画設計局」、「ヴィボルグ造船工場」は既に採用されていた事を想起した。
「各企業は、その担当作業を行なっております。
我々は、離陸部分、全ての照明器具、画像システムの設計を担当しました。
エイスク訓練場の作業は、私が知る限り、未だ終わってはいません。
トランポリン台からの離陸テストは実行されましたが、航空機着陸箇所の作業は未だ進行中です。
納入時期は国防省により設定されます」
ウラソフは付け加えた。
航空母艦の航空機射出装置(カタパルト)は、電波位置特定巡視航空機の加速の為に必要であり、その推力重量比は、トランポリン台(航空母艦の艦首)からの離艦には不充分である。
蒸気カタパルトは、高圧蒸気の供給により射出が行なわれるメカニズムである。
甲板下には特殊な溝が作られ、それは往復移動し、脚部の前面に引っ掛けられ、航空機を牽引する。
カタパルトは、航空機離艦の為に必要な速度を提供します。
電磁カタパルトは、蒸気往復に代わり、リニア誘導モータで航空機を加速させる機構である。
その原理は、モノレール道路で使用されている。
蒸気カタパルトを作成する作業は、ソヴィエト連邦で実施された。
新たな機構は、ニコラエフ工場(ウクライナ)で建造されるソヴィエトの第7の重航空母艦「ウリヤノフスク」へ設置される筈だった。

この艦の作成は1992年に停止され、その後、切断されてスクラップになった。

[ロシア将来航空母艦]
【公開株式会社『ネフスキー計画設計局』公式サイト】
「ネフスキー計画設計局」総取締役セルゲイ・ウラソフ氏は、今年(2014年)2月、ロシア将来航空母艦Перспективный Авианосецについて色々と語っています。

[ロシア将来空母の費用は1000-2500億ルーブルになる]
[ロシア将来空母の作成には10年掛かる]
[ロシアは3種類の将来航空母艦を設計している]
ロシア将来航空母艦には、3タイプの設計案が存在します。
[重航空母艦]
満載排水量80000-85000t、搭載機70機、原子力推進
[中航空母艦]
満載排水量55000-65000t、搭載機50-55機、通常動力
[軽航空母艦]
満載排水量40000t(?)、搭載機30機(?)、通常動力
ウラソフ氏は、今年2月にはカタパルトに関しては曖昧な事しか述べておりませんでしたが、今回は、ロシアでも電磁カタパルトの開発が始まっている事を初めて明言しました。
電磁カタパルトの試作品は、クラスノダール地方のエイスク市に建設された「第859艦上航空隊地上訓練複合体」(新ニートカ)に設置される事になるようです。

「第859艦上航空隊地上訓練複合体」では、既にロシア海軍の艦上戦闘機部隊の訓練が始まっています。
[エイスクの新ニートカへ艦上戦闘機Su-33が到着した]
この他、クリミア半島のサキに在る艦上航空隊地上訓練複合体「ニートカ」は、ソ連邦解体後、ウクライナに接収されましたが、2014年3月にクリミア共和国がウクライナから分離し、ロシア連邦へ編入された事により、ロシアへ所有権が移りました。
[ウクライナの訓練複合体ニートカ要員はクリミアへ忠誠を誓う]
ウラソフ氏は、クリミアの「ニートカ」に電磁カタパルトが設置される可能性にも言及していますが、実現する可能性は殆ど無いでしょう。
記事中でも触れられていますが、ソヴィエト連邦時代には蒸気カタパルトが製造されており、プロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」に搭載される予定でしたが、ソヴィエト連邦解体により同艦は未完成に終わり、蒸気カタパルトも幻と消えました。
蒸気カタパルト「マヤーク」

「マヤーク」の試作品はクリミア半島に在る艦上航空隊地上訓練複合体「ニートカ」に設置されました。

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