ロシア海軍向けミストラル級の建造工事は当初の契約に沿って進められている
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『インタファクス』より
2014年4月24日10時22分配信
【ウクライナ危機はロシアの為の「ミストラル」建造に影響を及ぼしていない】
モスクワ、4月24日、インタファクス.RU
2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦-「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」の建造は、ウクライナ周辺の状況に関係なく計画通りに進んでいる。
木曜日、『インタファクス』は、STXフランス社より伝えられた。
対談者によると、今年春、将来の「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」乗組員を乗せたロシアの練習艦「スモーリヌイ」が造船所へ到着する予定である。
しかしながら、同艦がサンナゼールへ寄港する正確な日時は未だ分からない。
「スモーリヌイ」は、4月22日にクロンシュタットから地中海へと去った。
以前、海軍総参謀部の代理人は、軍艦「ミストラル」級の為のインフラストラクチュア整備のプロセスと、「ウラジオストク」の最初の乗組員の準備は、承認されたスケジュールに厳密に沿って実行されていると伝えた。
「艦の乗員チームが形成され、練習センターで訓練が行われています。
次の段階において、乗組員は、造船所で直接訓練を行なう見込みです」
海軍の代理人は通告した。
STXフランス代理人によると、軍艦「ウラジオストク」は、航海試験の枠組において、5月には4度目となる海洋への出航を行なう。
ロシアのヘリコプター母艦は、合計で6度の航海を計画している。
海上で同艦は機器試験を実施し、将来の乗組員の為の準備を行なった。
最初と3度目の出航には、何名かのロシア人船員が参加した。
ヘリコプター揚陸ドック艦「ウラジオストク」は、2013年10月15日に進水した。
同艦は今年秋にロシア海軍へ引き渡されなければならず、その後、ロシアの造船工場の何れかでヘリコプター母艦は一連の兵器システムを装備する。
2011年6月、連邦国営単一企業「ロソボロネクスポルト」(ロシア兵器輸出公社)とフランスのDCNS社は、最初の2隻のヘリコプター母艦の建造契約に署名した。
(ロシア)統合造船業営団は、この契約にサンナゼールのフランス造船所「STXフランス」の下請業者として関わっている。
今年3月、フランス外務省は、ウクライナ危機の悪化に関し、モスクワがキエフに対する政策を変更しなければ、パリは「ミストラル」の供給を拒否するかもしれないと表明した。
3月下旬、フランス国防相ジャン-イヴ・ル・ドリアンは、ロシア側へのヘリコプター母艦引き渡しの妥当性についての問題は10月に決定が下されると表明した。
フランスのメディアの見積もりによると、ロシアとの契約履行を完全に断念すれば、フランスの労働者600名が失業の危機に晒される。
加えて、DCNSの収入は大幅に減少する。
軍艦「ミストラル」型の船体全長は199メートル。幅32メートル、飛行甲板までの全高は27メートル、排水量22600トンでの吃水は6.42メートル
吃水6.42メートル、アジマスポッド出力100パーセント(3.5メガワット)での最大速力は18.5ノット。
乗組員177名、乗艦人員481名。
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシア海軍向け「ミストラル」級1番艦「ウラジオストク」は、2012年2月1日にフランスのサン-ナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けヘリ空母「ミストラル」型1番艦は起工される]
船体後部は、ロシア国内のサンクト-ペテルブルク市の「バルト工場」で2012年10月1日に起工されました。
[バルト工場はヘリ空母ウラジオストクの船体を起工した]
バルト工場で建造された「ウラジオストク」後部は2013年6月26日に進水し、7月8日にフランスのサンナゼールへ向けて出発しました。
[ロシアで建造されたミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの船体後部は進水した]
「ウラジオストク」後部は7月23日にサンナゼールへ到着しました。
[ミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの船体後部はサンナゼールへ到着した]
結合された「ウラジオストク」は2013年10月15日に進水しました。
[ミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクは進水した]
2014年3月5日、最初の洋上試験が実施されました。
[ロシア海軍向けミストラル級1番艦ウラジオストクは最初の洋上試験を行なった]
「ウラジオストク」は現在までに3回の洋上試験が実施されており、5月には4度目の洋上試験が予定されています。
「ウラジオストク」は今年11月にロシアへ納入される予定となっており、その後、ロシア本国へ回航され、ロシア製兵装などを設置する最終艤装が行なわれます。
[ミストラル級へのロシア製兵装のインテグレートには約1年を要する]
最終艤装は、クロンシュタット造船所で実施される事になるようです。

記事中で触れられていますが、ロシア海軍の練習艦「スモーリヌイ」は、4月22日にクロンシュタットを出航し、地中海へ向かいました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア西方軍管区(バルト艦隊)広報サービス発表
2014年4月22日18時29分配信
【1等練習艦「スモーリヌイ」は地中海への遠距離航海の為、クロンシュタットを去った】

「スモーリヌイ」には、太平洋艦隊の海軍士官候補生など300名以上の候補生が乗り込み、5月末まで洋上研修を行ないます。
ロシア海軍向け「ミストラル」級2番艦「セヴァストーポリ」(の前半部分)は、2013年6月18日にフランスのサンナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けミストラル級2番艦が起工された]
同艦の後半部分は、2013年7月4日にロシアのバルト工場(サンクトペテルブルク)で起工されました。
[ロシア海軍向けミストラル級2番艦の後部はバルト工場で起工された]

バルト工場で建造されている「セヴァストーポリ」後部は、2014年4月30日に進水する予定です。
[ロシア海軍向けミストラル級2番艦セヴァストーポリの船体後部は2014年4月末の進水を予定している]
その後、6月にはフランスのサンナゼール造船所へ回航されます。
「ウラジオストク」と2番艦「セヴァストーポリ」の乗組員は、ロシア太平洋艦隊から集められます。
[ロシア太平洋艦隊はミストラル級2隻の乗組員を編成する]
この2隻の為の埠頭の建設もウラジオストクで始まっています。
[ウラジオストクでミストラル級ヘリ空母の為の埠頭の建設が始まった]
2014年3月からのウクライナ危機に関連し、フランスはロシアとの軍事技術協力の「大部分」を停止しておりますが、既にロシアから金が支払われている「ミストラル」級の建造契約は、今回の記事の通り、「例外」として扱われています。
[フランスはロシアへのミストラル級輸出のキャンセルを考慮するかもしれないが、それを実行に移す事は多大なペナルティを伴う]
[フランスは今年10月にロシアへのミストラル級輸出の一時差し止めについて検討する]
ロシア海軍向け「ミストラル」級に関しては、NATO諸国が共同で購入して共同で運用するとか、中国へ転売されるなどという観測も飛び出していますが、これらは、全て「妄想」以外の何物でもありません。
『日本経済新聞』より
2014年4月25日0時34分配信
【ロシア、揚陸艦建造計画は予定通り 仏から購入契約 】
『インタファクス』の報道を紹介していますが、2番艦「セヴァストーポリ」は黒海艦隊へ配備されると書かれています。
しかし、この情報はロシア海軍から否定されています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母2番艦を黒海艦隊へ配備する計画は無い]
- 関連記事
スポンサーサイト