ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される
- カテゴリ:ガスタービンエンジン代替問題

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2014年7月16日14時44分配信
【統合機関製造営団:ロシア海軍の艦は輸入代替問題に左右されない】
モスクワ、7月16日-ロシア通信社ノーボスチ
既存及び将来のロシア戦闘艦並び戦闘艇には、国産エンジンが提供される。
水曜日(7月16日)、ロシア通信社ノーボスチは「統合機関製造営団」の代理人より伝えられた。
6月中旬、ウクライナ大統領ピョートル・ポロシェンコは、ロシアとのあらゆる軍事技術協力を禁止した。
先のこの禁止は、2重用途の製品、例えば軍用及び民間用として使用できるヘリコプターのエンジンには影響を及ぼさない。
ロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージンは、ロシアが既にウクライナ製の軍用製品の輸入代替プランを有していると答えた。
「海洋ガスタービンエンジンの分野において、我々は輸入代替プログラムを作動させなければなりません。
具体的には、既に最大出力7000馬力のM75RUエンジンと最大出力14000馬力のM70FRUエンジンを作成しており、これらは非常に経済的な第4世代自動化船舶用ガスタービンエンジンです」
統合機関製造営団の代理人は話した。
彼は、これら(のガスタービン機関)が、様々な組み合わせにより、海軍及び連邦保安庁境界線警備隊の艦及び艇の装備のニーズが完全に提供される事を強調した。
統合機関製造営団の代理人は、「ゾーリャ-マシプロイェクト」(ニコラーエフ、ウクライナ)がロシア連邦海軍の為のエンジン製造の協同作業に関わっていた事を想い起した。
実際には、ロシア-ウクライナ合同企業・非公開株式会社「トゥルボルス」は、ロシア連邦海軍の為の海洋ガスタービンエンジンの開発、供給、修理、そしてアフターサービスに従事していた。
特に、プロジェクト22350フリゲートの為の最大出力27500馬力のガスタービンエンジンM90FR、更には、ディーゼル-ガスタービン集合体M55Rが在る。
(ウクライナの)「ゾーリャ-マシプロイェクト」はガス発生器と減速機を、ロシアの科学生産合同「サトゥルン」はパワータービンを生産する。
自動管理システムは(ロシアの)科学生産合同「アヴローラ」が造る。
「更に、ルイビンスクでは海洋ガスタービンエンジンの為の試験台の建造が全力全開で進められております。
これは、海軍用のフルサイズの試験集合体の為のロシア領内の特殊な基盤となります」
統合機関製造営団の代理人は話した。
【公開株式会社『統合機関製造営団』公式サイト】
ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ-マシプロイェクト」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ-マシプロイェクト」で行なわれていました。
【科学生産合同「サトゥルン」公式サイト】

【『科学製造合同アヴローラ』公式サイト】

【国営企業ガスタービン製造科学工業複合体「ゾーリャ-マシプロイェクト」公式サイト】

なお、ロシアのカルーガ市に在る非公開株式会社「科学製造国内企業トゥルボコン」は、公式サイトを持っていません。

ソヴィエト連邦時代、ガスタービン搭載艦は、ニコラーエフ市の61コムーナ造船所、カリーニングラード州のヤンターリ造船所、ゼレノドリスクのゴーリキー造船所などで建造されていました。

特に、ウクライナの61コムーナ造船所では大型のガスタービン推進艦が建造されていました。

プロジェクト61大型対潜艦/警備艦(1962-1973年に15隻建造、他にレニングラードで5隻建造)

プロジェクト1134B大型対潜艦(1971-1979年に7隻建造)

プロジェクト1164ロケット巡洋艦(1982-1989年に3隻建造、1隻未完成)

ですから、ニコラーエフ市にガスタービンエンジンの最終組立工場が在った方が輸送などの面で都合が良かったわけです。

しかし、1991年末のソ連邦解体後、ガスタービン機関の部品を製造する会社と最終組立を行なう会社が別々の国に分かれてしまう事になり、何かと不都合が生じました。
そこで1993年、旧ソ連のガスタービン製造に関わっていた「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、「ゾーリャ-マシプロイェクト」が集まり、合同企業「トゥルボルス」が設立されました。
【非公開株式会社『トゥルボルス』公式サイト】
ロシア海軍の新世代水上艦の為のガスタービン(M90FR)も、ロシアとウクライナの企業の共同開発でした。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化しました。
2014年3月末には、「ゾーリャ・マシプロイェクト」社はロシアへのガスタービン機関供給を継続していましたが、その後、供給は途絶えました。
[ウクライナ防衛産業は依然としてロシアとの契約を忠実に履行している]
この為、ガスタービンの生産を全面的にロシア国内へと切り替える事になりました。
[ロシアは艦艇用ガスタービンの製造を全面的に国内へと切り替える]
[ロシアのサトゥルン社は2017年までにウクライナ製ガスタービンを完全に代替する]
記事中で触れられていますが、既に「完全なロシア製」(つまりゾーリャ-マシプロイェクトが関わっていない)の艦艇用ガスタービンは「サトゥルン」社により開発・生産されています。
【ガスタービンエンジンM75RU/M70FRU】
これに続き、以前はウクライナで最終組立が行なわれていた新世代ガスタービンエンジンM90FRや、既存のガスタービンエンジンも、完全にロシア国内での製造へ移行します。
【ガスタービンエンジンM90FR】
記事末尾で名前が出ているルイビンスク市には「サトゥルン」社、「トゥルボルス」社が在り、ここが艦艇用ガスタービンエンジン製造の中核となります。

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