ロシア海軍の新造艦に皇帝アレクサンドル3世の名が付けられる
- カテゴリ:ロシア海軍ニュース

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2014年8月14日18時09分配信
【プーチンは(ロシア)海軍の艦にアレクサンドル3世の名前を付ける事を提案した】
ヤルタ、8月14日-ロシア通信社ノーボスチ
ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、(ロシア)海軍の新造艦の1隻に「アレクサンドル3世」の名前を付ける事を提案した。
大統領と文化省の会議中、文化相ウラジーミル・メジンスキーは国家元首へ修復されたアンドレイ旗を手渡した。
それは、最後のロシア帝国海軍の艦から降ろされたものである。
文化相は、オーストラリアで保管されていたこの旗の返還は、ロシア連邦がクリミアを編入した後でのみ可能であった事を指摘した。
その後、プーチンは、艦の1隻に「アレクサンドル3世」の名前を付ける事を提案した。
プーチンは、海軍の更新が計画されている事を想起した。
「僕が思うに、今日、我々は、新たな艦の1隻にアレクサンドル3世の名前が付けられる事へ同意できるでしょう。
軍事上の決断がどう下されるのかは未だ分かりませんが。
そう、これは、我々の過去の歴史と、今後の年月を繋ぐものとなります。
僕は、これは良い出来事になると思いますね」
プーチンは話した。
更に国家元首は、聖(アンドレイ)旗の返還に努力したメジンスキーへ感謝の意を表した。

ロシア帝国海軍の改「ガングート」級(「女帝マリーヤ」級)戦列艦「皇帝アレクサンドル3世」は、1911年10月17日にニコラエフの「ルッスード」工場で起工され、1914年4月2日に進水しました。



[戦列艦「皇帝アレクサンドル3世」]
基準排水量:22600トン
全長:168.0m
幅:27.4m
吃水:8.4m
機関:ボイラー20基、蒸気タービン4基、4軸
出力:28960馬力
速力:21ノット
航続距離:12ノットで3000海里
乗員:1220名
兵装:52口径305㎜3連装砲4基
55口径130㎜砲18基
76㎜高射砲4基
457㎜魚雷発射管4門
1917年6月15日に竣工しました。


この間、1917年2月にはロシア2月革命が起こってロシア帝国は消滅しており、同艦は就役前の4月29日には「ヴォーリャ」と改名され、革命臨時政府の管轄下に置かれました。

1917年12月16日には赤色黒海艦隊へ移管され、1918年4月30日にはセヴァストーポリからノヴォロシースクへ移動しました。

6月19日にはセヴァストーポリへ戻り、その後、ドイツ軍に接収されました。
ドイツ帝国崩壊後の1918年11月24日、再びロシア海軍旗(聖アンドレイ旗)が掲げられましたが、今度はブリテンに接収され、1919年10月、ロシア白軍艦隊へ引き渡されて「ゲネラル・アレクセーエフ」と改名されました。

しかしロシア白軍は赤軍に敗れてロシア本国から追い出され、「ゲネラル・アレクセーエフ」は旧ロシア帝国残存艦隊を率いて1920年11月14日にはトルコのイスタンブールへ逃れ、その後、地中海へ出て、最終的にはフランス領チュニジアのビゼルトへ落ち延びました。




1924年11月30日、「ゲネラル・アレクセーエフ」を初めとする旧ロシア帝国艦隊は聖アンドレイ旗を降ろし、終焉を迎えました。
フランスは旧ロシア残存艦隊をソヴィエト連邦政府へ引き渡しました。
が、実際には各艦はソ連の手に渡る事は無く、現地で解体されました。

「ゲネラル・アレクセーエフ」の主砲(30.5㎝砲)はフィンランドに売却され、沿岸砲として使用されました。

最後のロシア帝国艦隊の乗員と、同行してきた家族は、ビゼルトに留まる者、他所へ移住する者に分かれ(この内のオーストラリアへ移住した士官が「アレクサンドル3世」の聖アンドレイ旗も持って行った)、その最後の生き証人でビゼルトに留まっていたアナスタシア・アレクサンドロヴナ・シリンスカヤ-マンシュタイン(ロシア残存艦隊の駆逐艦「ザルキー」艦長の娘)は、2009年12月21日に亡くなりました。

なお、アナスタシア・シリンスカヤ-マンシュタインが存命中の2007年12月25日にはロシア海軍北方艦隊の艦船がビゼルトを訪問しています。
[ロシア機動部隊の駆逐艦および補給艦、チュニジア訪問]
今回、ロシア帝国海軍最後の戦列艦「皇帝アレクサンドル3世」改め「ヴォーリャ」改め「ゲネラル・アレクセーエフ」から降ろされたロシア海軍旗がロシアへ返還された事を受け、プーチン大統領は、今後建造されるロシア海軍の新型艦に「アレクサンドル3世」の名前を付ける事を提案しました。

どの艦に命名されるのかは未だ決まっていませんが、有力候補は、プロジェクト955「ボレイ」級戦略原子力潜水艦でしょうか。


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