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ロシアはミストラル級のような艦を容易に設計できる

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『タス通信』より
2014年10月13日10時42分配信
【「ネフスキー計画設計局」総取締役:ロシアは容易に独自の「ミストラル」を設計できる】
モスクワ、10月13日/タス通信

ロシアは、容易に汎用揚陸艦「ミストラル」型に類似する艦を独自に設計できる。
タス通信のインタビューに対し、ロシアの揚陸艦を含めた作業に従事する「ネフスキー計画設計局」の総取締役セルゲイ・ウラソフは、こう述べた。

「ミストラルの購入に関し、新しい技術など有りません。
私が思うに、我々は、そのようなものは入手しておりません」
ウラソフ
は話した。
「ミストラルは、ごく普通の船体設計が採用されており、溶接も普通です。
購入される国内機器の供給者の問題は解決されています」


「ロシアは容易に同じような艦を自身で作る事が出来ますが、それは未だ有りません」
ウラソフ
は強調した。
「ネフスキー計画設計局は、このような艦のプロジェクトを作る事が出来ます。
以前、我が社は、そのような艦のモデルを作成しました。
それはミストラルよりも少し小さなサイズでした。
ですが、建造所の欠如に関連し、その製造は放棄されました」


設計局総取締役は、ロシア企業の能力は、ロシアの為の「ミストラル」の建造に成功裏に参加した事により、そのような艦の作成が可能である事を示した点に思いを馳せた。
バルト工場は、その為の2つの後部を製造し、フランスへ曳航された。

ウラソフは、更に「ミストラル」プロジェクト自身を批判した。
「私共が設計した全ての揚陸艦は、無防備の海岸への上陸を行なうことが出来ます。
沿岸への接岸の為の特定の傾斜、車両及び将兵の上陸の為の開放装置。
そしてミストラルは、海岸への進出は困難です」

彼は語った。

[引き渡しの遅延]
総金額11億2000万ユーロのロシアの為のヘリコプター空母の建造契約は2011年6月に署名された。
1番艦「ウラジオストク」は、2013年10月に進水した。

この秋にはロシア海軍へ引き渡さなければならなかったが、フランス大統領フランソワ・オランドは、契約は、ウクライナの停戦協定及び政治的プロセスが成功裏に進捗した場合に実行されると表明した。

2番艦「セヴァストーポリ」は2015年にロシアへ引き渡されなければならない。


[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】

既に1番艦「ウラジオストク」は洋上試験を実施しており、2番艦「セヴァストーポリ」の建造工事も進められています。

以前からロシア政府要人や造船業界のトップは、ロシア国内の造船所「ミストラル」級と同等の艦は独自に建造できると発言しています。
[ロシアは、「ミストラル」型と同クラスの艦を建造できる]
[ロシアの造船所はミストラル級のような艦を独自に建造できる]
[もしもフランスがミストラル級の引き渡しを拒否したとしても、ロシアは同クラスの艦を建造できる]


今回は、ソ連時代から揚陸艦の設計を一手に引き受けていた「ネフスキー計画設計局」のトップの発言です。

1980年代、ネフスキー計画設計局は、プロジェクト1174大型揚陸艦(イワン・ロゴフ型)の後継として全通甲板のヘリコプター揚陸艦を設計しました。
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[汎用揚陸艦プロジェクト11780]
基準排水量:25000t
全長:196m
幅:25m/飛行甲板最大幅35m
吃水:8m
主機:蒸気タービン4基
出力:180000馬力
速力:30ノット
航続距離:8000海里
兵装:AK-130 130mm連装砲1基
高射ミサイル複合体「キンジャール」6基
高射ミサイル砲複合体「コールチク」4基
搭載機:輸送戦闘ヘリコプターKa-29×12機或いは対潜ヘリコプターKa-27×25機
搭載艇:プロジェクト1176揚陸艇4隻或いはプロジェクト1206エアクッション揚陸艇2隻


1番艦は「ヘルソン」、2番艦は「クレメンチュグ」と命名される予定でした。

11780は、アメリカ「タラワ」級強襲揚陸艦に似ていた事から、非公式には「イワン・タラワ」と呼ばれていました。
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しかし、このような艦を建造できるのはウクライナ黒海造船工場しか無く、同工場は、当時、重航空巡洋艦の建造で手一杯だった為、幻と消えました。

従って、「ネフスキー計画設計局」にとって、「ミストラル」級のような汎用ヘリ空母(兼揚陸艦)を独自に設計する事は容易な作業であると言えます。

なお、今回、「ネフスキー計画設計局」のトップ、セルゲイ・ウラソフ氏は、フランスからの「ミストラル」購入により新たな技術は得られていないと発言していますが、「ネフスキー設計局」は、「ミストラル」導入には一切関知していません。

ロシア海軍向け「ミストラル」級は、ロシアで使用する為に改設計されていますが、それはフランスDCNS社により行なわれており、ネフスキー設計局は全く関わっていません。

つまり、ネフスキー設計局フランスからの「ミストラル」級導入では何も得ていないという事です。
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