NATOがフランスからロシア海軍向けミストラル級を購入できたとしても、その金はロシアへ流れる事になるだろう
- カテゴリ:フランスのミストラル級引き渡し保留問題

『タス通信』より
2014年11月7日20時48分配信
【情報筋:NATOはロシアの為に意図されているミストラルをフランスから購入する事など出来ない】
ブリュッセル、11月7日/タス通信特派員デニス・ドゥブロヴィン
NATOはロシアの為に意図されているミストラルをフランスから購入する事など出来ない。
タス通信はブリュッセルの軍事情報筋より伝えられた。
彼は、ヘリコプター空母をロシアへ引き渡さない為に購入するという提案が含まれたNATO宛てのアメリカ議員の手紙についてコメントした。
(NATO)本部は、同盟が受け取った手紙について認めたが、船の差し押さえに関する公式のコメントは無かった。
「当組織の総予算は、この艦を購入するのみならず、この契約下でのフランスへの制裁の罰金の半分を補填するのでさえ充分ではありません」
情報提供者は強調し、NATOの軍及び民間の予算は2014年に16億ドルが計上されているが、「ミストラル」が引き渡されない場合の罰金のみでも30億ドルに達する可能性が有る事を指摘した。
「それどころか、NATOは、この艦を取得できるような構造にはなっておりません。
同盟には、実質的には独自の軍事装備形態が無く、NATOは、資金が有ったとしても、ヘリコプター空母をどうする事も出来ないのです」
彼は続けた。
情報提供者は更にタス通信へ指摘した。
「理論上の話をすれば、幾つかのNATO加盟国は、資金をプールする為の信託積立金を設立し、艦を購入する為に使用する事は出来るでしょう。
ですが、そのようなプロジェクトなど、軍事的観点から見れば非合理的であります」
「このタイプの艦は、同盟の内の2、3ヶ国にとっては、本当に重宝するかもしれません。
それどころか、艦はロシア基準の下での発注により建造されており、NATO軍による技術的使用は非常に問題が有り、追加の、そして高く付く改修が必要となるでしょう」
彼は続けた。
「言い換えますと、艦を購入するというアイデアは、専ら政治的なプロジェクトであり、組織としてのNATOは、物理的には参加できません。
このような手順は、実質的には国民国家グループの論理であり、組織としてのNATOの論理ではありません。
しかし、この条件下でのみ、資金提供の大部分はアメリカ合衆国となり、他の国は、今日において、彼等の軍事予算上に、そのような資金は有しておりません。
そのようなものが有るのならば、軍人の給与、本当に必要な軍事機器の購入といった自国軍の整備に決定的に必要となるでしょう」
対談者は説明した。
しかし、彼によると「主に皮肉な状況として」複数のNATO加盟国が、この手順の為に必要な資金を集める事が出来るようになった場合、その金はフランスでは無く、未だ「ミストラルの問題を殆ど心配しているようには見えない」ロシアが受け取る事になるだろう。
「契約による支払いと買戻しの金は、おそらくは現在、この艦よりも金の方に大きな関心を有しているモスクワ(ロシア)へ行く事になるでしょうね」
情報提供者はタス通信へ話した。
「この全てのロジックがアメリカの議員には分かっていないという事実は、連合国(NATO諸国)からの失望のみならず、ロシアからの嘲笑をもたらす事になるでしょうね」
彼は締め括った。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア向けにフランスが建造し、現在は引き渡しが保留されてるヘリコプター空母「ミストラル」級に関し、アメリカ合衆国の議員は、NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグへ手紙を書き、ロシア向け「ミストラル」級をNATOが購入するように提案しました。
『タス通信』より
2014年11月6日21時08分配信
【メディア:アメリカ合衆国の議員はロシア連邦の為に意図されている「ミストラル」の購入をNATO事務総長へ提案した】
『ロシアの声』(日本語版)より
2014年11月8日3時41分配信
【米議員団、NATO事務局長に宛て書簡 ロシア向け「ミストラル」買い上げを提案】
今回の記事に登場する「ブリュッセル(NATO本部所在地)の軍事情報筋」(NATOの関係者)は、この提案には懐疑的な見方をしています。
まず、NATO自体には、それだけの資金が無い事。
そして、ロシア海軍での使用に特化された各種の改正が施されているロシア向けミストラル級は、そのままではNATO軍での使用に適さず、更に金を出して改修する必要が有る事。
加えて、仮に金を集めてフランスからミストラル級を購入できたとしても、フランスへ支払う代金が、最終的には何処へ行く事になるかという点について。
要するに「フランスからロシア向けミストラル級を買い取ったとしても、その代金は最終的には(違約金として)ロシアへ流れる事になる。そんな馬鹿げた事が出来るか」という事でしょう。
[もしもフランスがミストラル級ヘリ空母をロシアへ引き渡さなかった場合、ロシアは違約金を請求する]
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