クリミア共和国ケルチ市のザリフ造船所はロシア海軍将来空母の建造へ参加できる
- カテゴリ:ロシアの造船業


テレビ局『ズヴェズダー』より
2014年11月17日12時02分配信
【ケルチ造船所はロシア空母の建造に着手する】
ケルチ造船工場「ザリフ」は、将来的にロシアの航空母艦建造プログラムへの参加を期待する。
タス通信はクリミアのトップ、セルゲイ・アクショーノフの談話を引用して伝えた。
「我々には、ソヴィエト連邦で最大のドックが有ります。
航空母艦建造プログラムが実行に移されるのならば、その建造はケルチで行なう事も可能でしょう。
それ(航空母艦の建造)に適応する唯一のドックが有りますからね。
プログラムとコンセプトは、ロシア連邦国防省が立案します」
アクショーノフは指摘した。
クリミアのトップによると、タタルスタンの「ゼレノドリスク工場」と合同で、間もなく2隻の新たな艦がケルチ造船工場で起工される。
加えて、タタルスタン企業(ゼレノドリスク工場)の幹部は、ケルチでの大規模な社会プログラムの実行を表明した。
これは、ケルチ造船所を復活させる構想として初めてでは無い事は注目される。
9月上旬、クリミアのケルチの「ザリフ」工場では、各々150席を有する2隻の客船プロジェクトSPM-150の建造が開始された。
これらの船は、クリミアの海上輸送の為に使用される事が想定されている。
アクショーノフは、現在、ケルチの工場では、タタルスタン(ゼレノドリスク工場)から来た約130名の専門技術者が作業を行なっていると述べた。
彼等は、システムを調整し、労働者を教育し、工場の技術を近年のものへと取り戻す。
ケルチの企業の労働者数は、クリミアのトップによれば、既に1700名に増加され、3年後には3000名になる。
8月25日、「ザリフ」工場の労働集団を主導する企業の幹部は交代し、ウクライナのオリガルヒ(新興財閥)コンスタンチン・ジェヴァゴの管理下に置かれる事になった。
企業の経営陣は、マーケティングディレクターのワレリー・ベロゼロフを含め、郷土防衛隊のメンバーが工場へ留まる事は認められなかった。
今後数日以内に、「ザリフ」は新たな指導者が任命される。
ケルチ造船工場「ザリフ」は、クリミアで最大の造船所である。
ソヴィエト時代には、大型商船(排水量15万トンのタンカーや原子力艀輸送船「セヴモルプート」を含む)、更には、プロジェクト1135艦を建造した。
しかし、航空母艦のようなサイズの戦闘艦の建造を工場は行なった事は無い。
【造船工場「ザリフ」公式サイト】
ボリス・ブートマ記念ケルチ造船工場「ザリフ」は、ソヴィエト連邦成立後の1938年に創立されました。
記事中で触れられているように、ソ連の造船所でも最大規模の乾ドック(全長360メートル、幅60メートル)を有しております。
『造船工場「ザリフ」公式サイト』より
【乾ドックと造船台】
ザリフ造船所では、主に大型の民間船(タンカーなど)が建造され、海軍の戦闘艦の建造経験はフリゲートクラス(排水量3000トン級)に留まっています。
1971年から1981年に掛けては、ソ連海軍向けにプロジェクト1135警備艦(クリヴァクI級)を7隻建造しました。
現在、ロシア黒海艦隊に在籍している警備艦「ラードヌイ」もザリフ造船所で建造されました。
(1980年12月29日竣工)

旧ソ連/ロシア境界線警備隊向けに建造されたプロジェクト11351境界線上警備艦(クリヴァクIII級)は、全てザリフ造船所で建造されました。

1988年には、原子力コンテナ艀輸送船「セヴモルプート」(排水量61880トン、全長260メートル)を竣工させています。

ソヴィエト連邦解体後はウクライナの造船所となりましたが、2014年3月にクリミア共和国がロシア連邦へ編入された為、ロシアの造船所になりました。
ロシア連邦政府はクリミアの造船所の有効活用を考えており、当然ながら、原子力水上船の建造経験も有するザリフ造船所を放置する筈が有りません。
将来的には、ここでロシア黒海艦隊向けの各種艦艇の建造が行なわれる事になり、既に2隻の新型艦の起工が決定しています。
更に、クリミア共和国首相セルゲイ・アクショーノフ氏は、ロシア海軍の将来航空母艦の建造への参画も視野に入れている事を表明しました。

[ロシア将来航空母艦]
ロシア将来航空母艦は、早ければ2020年代には1番艦の建造が開始されますが(就役は2030年以降)、具体的に何処の造船所で建造するのかは未だ決まっておりません。
今の所は、ロシア海軍向け「ミストラル」級ヘリコプター空母のように、サンクトペテルブルクのバルト工場とセヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所で分割建造し、セヴマシュで最終組立を行なうという案が最有力ですが。
ザリフ造船所でロシア将来航空母艦を丸ごと全て建造する可能性は低いでしょうが、船体ブロックの一部を製造するなどの方法で建造に参画するという事は有り得るでしょう。
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