fc2ブログ

シエラI級原潜カルプの近代化改装を中止する決定は下されていない

15-0228a.jpg
『海軍産業』(フロートプロム)より
2015年2月27日19時08分配信
【広報サービスは原子力潜水艦「カルプ」の作業は公式には継続されていると表明したが、実際には、それは中断されたままである】


原子力潜水艦「カルプ」の修復作業が中断されたというメディアの報道に対し、「艦船修理センター・ズヴェズドーチカ」広報サービスは、この受注の元となった契約の状態は、公式には全て有効のままであると発表した。
にも関わらず、『海軍産業』(フロートプロム)の独自の情報提供者は、修理が中断しているという情報を確認している。


「ズヴェズドーチカは、2隻のプロジェクト945原子力潜水艦の修復の為の国家契約の履行者であります。
契約の状態は、有効です。
契約により提示される作業は、計画通りに遂行されています。
作業の発注者はロシア連邦国防省であり、その指示によってのみ、我々受注した作業を停止する事が出来ます」

『ズヴェズドーチカ』公式ブログには、こう書かれた。

以前、『海軍産業』が同社の情報提供者2名及び同社の下請会社の情報提供者より伝えられたように、プロジェクト945「バラクーダ」潜水艦のトップの全ての修復作業は、現在、縮小されている。
『ズヴェズドーチカ』広報サービスによる反論が出された後、下請会社の2名の情報提供者と、同社の3名の情報提供者へ、この情報の監修を依頼した所、修理は中断されている事が確認された。

『海軍産業』は、この数ヶ月間に受注下で実施された活動の詳細を知る事が出来た。
「(2014年)12月には、蒸気供給装置のメンテナンスは未だ実施されていました。
現在、指示書による修理は実行されていません。
受注は、一時停止されています」

工場の情報提供者はこう話し、その原因は資金の問題の可能性が有ると説明した。

修理の為の資金供給の終了が修理中断の理由の1つであるという件に関し、同社の対談者は、最初の報道記事を用意する為の『海軍産業』特派員のインタビューを受けた。

「資金の受け入れの業務に関し、我々はコメントする事は有りません。
何故ならば、内部事情によるものではないからです。
ですが、エカテリンブルクに関する作業の例を想い起して下さい。
それ(原潜エカテリンブルクの修理)は、資金無しで、契約無しで実行されたわけではありません。
有難い事に、この事実は、2014年に艦を復帰させるというドミトリー・オレゴヴィチ(ロゴージン)の約束を恥じる必要はありませんでした」

広報サービスは、資金問題に関してコメントした。

もう1人の対談者は『海軍産業』へ、『ズヴェズドーチカ』での作業に関し、工事が中断した日時を明らかにした。
「秘密の情報など何も有りません。2月25日、我々は赤信号を受けました」
船舶修理業者は伝えた。

3人目の情報提供者は、作業中断の原因に関し、別の選択肢を提示した。
彼の情報によると、「カルプ」は間もなく修理作業を続ける為に船台へ入渠するが、生産設備の近代化の継続に関連して『ズヴェズドーチカ』の発注した仕事量は、この操作を延期させるかもしれない。

この対談者が『海軍産業』へ伝えた所によると、他の受注作業は計画通りに続行されており、資金供給は停止されていない。

大変興味深い事に、「カルプ」の修理作業凍結は、『タス通信』でも報じられた。
その記事は、『ズヴェズドーチカ』広報サービスの反論の後に削除されたが、他のメディアが『タス通信』から引用した情報は、そのまま残されている。
「現在、国防省からは、この契約の運命を明確にする指示書は受け取っていませんが、資金供給は既に実行されておらず、このプロジェクトに関する作業は、現在、すべて中断されています。
予算が削減されたが故に、工事が再開される見込みは無さそうです」

『軍事評論』は引用して報じた。

記事は、「バラクーダ」近代化の費用は、新たな「ヤーセン」型潜水艦を建造する費用よりも安くは無いと指摘した。
『タス通信』の情報提供者によると
「1980年代初頭に建造された潜水艦に、ここまで費用を掛ける事など、無意味であると認識すべきです」

[『海軍産業』参考資料]
プロジェクト945潜水艦B-239「カルプ」B-276「コストロマ」の修理及び近代化の為の契約は、セヴェロドヴィンスク艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」で2014年5月14日に署名された。

艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」は、潜水艦の問題点の洗い出しの実施、核燃料の撤去、全ての電気機器の交換、機械部品の修復を実施しなければならなかった。

「バラクーダ」の近代化において、新たな水中音響ステーション、戦闘情報管理システム、レーダー、GLONASS/GPS航海システム、兵器システムを受け取る事になっていた。

「カルプ」は、ロシア海軍へ2017年に復帰する計画だった。

潜水艦B-239「カルプ」は、K-239の名の下で1984年に勤務を開始した。
北方艦隊の常設即応部隊の一員に加わっていた。
1990年には、海軍で最高の艦であると認められた。
1992年、原子力大型潜水艦に再分類され、B-239に改名された。
1998年5月30日に海軍籍から除かれ、セヴェロドヴィンスクに係留された。

第2のプロジェクト945潜水艦「コストロマ」は1986年7月26日にゴーリキーの「クラースノエ・ソルモーヴォ」工場で起工され、1986年7月26日に進水し1987年12月30日に北方艦隊の一員として加わった。
原子力潜水艦「カルプ」の後に近代化が実施されることになっていた。

潜水艦プロジェクト945及び945A(B-336「プスコフ」B-534 「ニジニ・ノヴゴロド」)は、航空母艦及び他の潜水艦との戦闘の為に意図されている。
潜航深度は、それぞれ600メートルと550メートルである。
プロジェクト945A艦は、弾薬として36基の魚雷を有する6門の533mm魚雷発射管、945は2門の650mm魚雷発射管と4門の533mm魚雷発射管(弾数-魚雷40基)で武装している。


チタン製の船体を持つプロジェクト945/945A原子力潜水艦は、1980年代前半~1990年代前半に掛けて計4隻が就役しました。

ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト945「バラクーダ」(NATOコード名「シエラI」)】
B-239「カルプ」:1979年7月20日起工/1983年7月29日進水/1984年9月29日納入/1984年12月7日就役
B-276「コストロマ」:1984年4月21日起工/1986年7月26日進水/1987年10月27日納入/1987年11月4日就役


【プロジェクト945A「コンドル」(NATOコード名「シエラII」)】
B-534「ニジニ・ノヴゴロド」:1986年2月15日起工/1989年8月7日進水/1990年12月26日納入/1990年12月27日就役
B-336「プスコフ」:1989年7月29日起工/1992年7月28日進水/1993年12月14日納入/1993年12月17日就役


B-239は1994年から「ズヴェズドーチカ」に滞在していますが、予算不足により修理は実施されず、1998年5月には海軍の戦闘編制から除籍されました。

プロジェクト945/945Aの近代化改装の話は、2013年3月に出てきました。
[ロシア海軍はシエラ級原潜を復帰させる]
[近代化改装後のシエラ級原潜は第4世代原潜に匹敵する]

その後、ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ提督は、プロジェクト945原潜の近代化計画が有る事を認めました。
[ロシア海軍は2020年までに12隻の原子力潜水艦を近代化する]
[ロシア海軍は2020年までに10隻以上の近代化された原子力潜水艦を受け取る]

まず最初に、事実上退役しているB-239から近代化の作業に着手される事になり、まず最初に核燃料が撤去されました。
[シエラI級原潜の近代化改装が始まる]
[近代化改装されるシエラI級原潜カルプは核燃料を撤去する]

続いて「ズヴェズドーチカ」のドックへ入渠して各種改装工事が実施される予定でしたが、現在、「カルプ」に関する作業は中断されています。
[シエラI級原潜カルプの近代化改装作業は中断した]

この報道に対し、「ズヴェズドーチカ」は、「カルプ」の近代化改装は中止されていないと反論しました。

以前、「カルプ」が入渠する「ズヴェズドーチカ」の船台は修復作業が行なわれていると報じられました。
[セヴェロドヴィンスクの艦船修理企業はシエラI級原潜の近代化改装の為の船台修復を行なう]

この作業が未だ完了していないので、「カルプ」はドック入りする事が出来ず、修理作業は一時中断されているという事のようです。
関連記事
スポンサーサイト