fc2ブログ

ロシア海軍の将来駆逐艦リデルは将来正規空母の基礎となる

AV-EM
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年3月3日19時11分配信
【カサトノフ:駆逐艦プロジェクト「リデル」は正規空母の基礎となる】
モスクワ、3月3日-ロシア通信社ノーボスチ

駆逐艦プロジェクト「リデル」は、ロシア海軍将来正規空母の為の理論的基盤となる。
元ロシア連邦海軍総司令官第1代理イーゴリ・カサトノフ大将は述べた。

以前、ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフは、将来正規空母の概容の開発は現在も継続されており、それは海軍の要求に忠実に沿って進められていると表明した。

「まず初めに、駆逐艦リデルのような汎用艦を建造する必要が有ります。
これは非常に素晴らしい将来プロジェクトであり、我々が、この艦を何隻か建造できたのならば、それは正規空母建造の為の理論的基盤となるでしょう」
カサトノフ
は表明した。

彼は、ロシアの産業界には、このような艦(正規空母)の建造をマスターする力があり、現在、航空団の準備が進められているが、しかしながら、起工するのは2025年以降の方が望ましいと付け加えた。

彼によると、現時点で航空複合艦について大まかに話せば、それは適切な攻撃及び防衛能力を有し、より広範囲の課題を解決する事が出来る。

「それは、単なる艦、或いはシステムであってはなりません-対潜、対空などといったような。
この段階で、理論的研究は継続され、とても慎重に全ての兵器システムを観察する必要が有ります。
我々の、そして外国、つまり他の大国の今の評価を。
例えば、グローバルな排水量の正規空母は拒否されます。
これら全てのトレンドを考慮に入れなければなりません」

専門家は、こう考える。

以前、新世代駆逐艦(「リデル」型)の起工は2017年末に予定されており、その排水量は14000トンになると伝えられた。

現在、ロシア連邦海軍の戦闘編制には、1隻の航空巡洋艦-「アドミラル・クズネツォフ」が在籍している。
以前、ロシア連邦国防省は、正規空母の建造に関する問題は、5年後よりも前に決定される事は無いと発表した。
2020年までの国家軍備プログラムにおいて、正規空母の建造は意図されていない。


15-0304a.jpg
今回の記事に登場するイーゴリ・ウラジーミロヴィチ・カサトノフ退役海軍大将は1939年2月10日生まれで、現在76歳です。

1960年にセヴァストーポリP.S.ナヒーモフ黒海海軍高等学校を卒業し、主に黒海艦隊で勤務し、大型対潜艦「プロヴォールヌイ」、「オチャコフ」艦長を務めました。
1982年から1988年までは北方艦隊コラ異種戦力小艦隊司令官、1988年から1991年までは北方艦隊第1副司令官を務めました。
1991年9月に黒海艦隊司令官に就任し、ソ連邦解体後の1992年9月まで務めました。

彼の黒海艦隊司令官在任中にソ連邦は解体され、ロシアウクライナ黒海艦隊帰属・分割問題の渦中に置かれる事となりました。

1992年9月にロシア連邦海軍総司令官第1代理に任命され、60歳の定年を迎える1999年まで務めました。

この間、1995年12月~1996年3月まで重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を中核とするロシア海軍地中海遠征部隊の指揮官を務めました。
[空母クズネツォフ地中海遠征(1996年初頭)]

退役後は政界進出を目論みましたが資金不足で断念し、現在は、ロシア連邦軍参謀本部総長の顧問を務めながら、元海軍大将の軍事評論家として時々メディアに顔を出しています。

彼の甥のウラジーミル・カサトノフ中将は、現在、ロシア海軍太平洋艦隊副司令官第1代理兼参謀長を務めています。
[ウラジーミル・カサトノフ少将はロシア太平洋艦隊参謀長に就任した]


現在、ロシア海軍の為の将来正規空母Перспективный Авианосецの開発作業が進められています。
[ロシア海軍の為の将来空母の開発作業は継続されている]

将来正規空母の就役は2030年以降になりますが、これに先立ち、2010年代末からは将来駆逐艦「リデル」級の建造が始まります。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデルは巡洋艦に匹敵する攻撃力を有する]

将来駆逐艦「リデル」級は排水量14000トンの大型艦となり、機関は、ほぼ原子力に確定しています。


今回、元ロシア海軍総司令官第1代理イーゴリ・カサトノフ退役大将は、将来駆逐艦「リデル」級を、将来正規空母の「基礎」と言っています。

今回の記事では触れられていませんが、「リデル」級将来正規空母も、動力は原子力になる可能性が高くなっています。

ロシア海軍向けの原子力水上艦は、1998年に就役した重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が最後となっており、以後20年近いブランクが空いているので、まずは2010年代末に「リデル」級を建造して経験を蓄積し、その後、2020年代後半に正規空母を建造するという事でしょう。
関連記事
スポンサーサイト