デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理は2012年末に開始される
2011年12月29日16時20分(モスクワ時間)、ムルマンスク近郊ロスリャコヴォ村の浮きドックで修理中の原子力戦略任務水中巡洋艦K-84「エカテリンブルク」(プロジェクト667BDRM、デルタIV級)で火災が発生しました。
12月30日01時40分、火災は沈静化されました。
[ロシア海軍戦略原潜「エカテリンブルク」で火災]
[ロシア原潜「エカテリンブルク」火災事故・続報]
[戦略原潜「エカテリンブルク」は修理後に復帰する]

その「エカテリンブルク」の修理は、今年末から開始されるようです。
『アルムス-タス』より。
【火災で損傷した原子力潜水艦「エカテリンブルク」の修理は今年末に開始される】
モスクワ、4月13日(アルムス-タス)
2011年12月の火災により損傷した戦略用途ロケット水中巡洋艦「エカテリンブルク」の修理は、今年末から艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」(セヴェロドヴィンスク)で開始される。
「ズヴェズドーチカは、水中ロケット艦エカテリンブルクの修理及び就役期間を5-6年延長する為の近代化を待っています」
防衛産業企業体の情報提供者は、イタル-タス通信に伝えた。
「エカテリンブルクは、白海の結氷が溶けた後の夏季に同社への到着が計画されています。
同艦の修理(定期中規模修理、近代化、および火災による損傷の除去)は、工場が今後の作業量を推定し、国防省と防衛産業企業体との契約に署名した後、今年末までに行動を開始します」
情報提供者は語った。
「修理の完了及び同艦の海軍への引き渡しの時期は、2014年の夏から秋になるでしょう」
彼は付け加えた。
1月11日、ロシア防衛産業企業体の情報提供者は、非常事態の原因と状況を明らかにする省庁間委員会の作業結果について、水中ロケット艦「エカテリンブルグ」の火災により、同艦の水中音響探知複合体(水中音響アンテナドームおよびアンテナ自体)が深刻な被害を受け、船体外部のゴム被覆が破壊されたと報告した。
被害金額は1億ルーブルを超える。
彼によると、「エカテリンブルク」非常事態の原因は、同艦の問題点の一つを除去する為、艦上で溶接作業を行う際の安全条件に関する重大な違反である。
「私共は、ガジェーヴォ基地において、ロケット艦が戦闘哨戒へ出る前に桟橋で曳船と衝突した事により生じた原子力潜水艦の艦首船体の損傷を除去する件について申し上げています」
情報提供者は語った。
「エカテリンブルク」がロスリャコヴォ工場で船体の損傷を除去しようとした時に火災が生じた際、潜水艦には兵装が満載されていた事が確認された。
それは核弾頭を搭載する16基の海洋配置ミサイル「シネーワ」、魚雷、機雷といった常時装備である。火災が生じた際、艦首魚雷発射管には魚雷が装填されていた。
「水中ロケット艦が小規模修理の為に工場のドックへ入渠する際、核ミサイルを含む兵装は、必ずしも降ろされるわけではありません。
それは、ソヴィエト連邦時代から現在に至るまで同様です」
情報提供者は強調した。
副首相ドミトリー・ロゴージンは、原子力潜水艦「エカテリンブルグ」の火災発生時、同艦は本当に弾薬が搭載されたままであった事を間接的に認めた。
2月20日、コムソモリスク・ナ・アムーレにおいて彼は、修理中の潜水艦の戦略兵器の有無についての規則に違反するかどうかを理解する必要があると記者団に語った。
「これは、中規模修理ではありません。潜水艦が、幾つかの些細な問題により小規模修理を行う際、核兵器は必ず降ろされるわけではありません」
ロゴージンは述べた。
彼によると 「この種の修理では、兵器が降ろされる事は有りません」
「1986年の指令では、小規模な修理の際には兵装を降ろしません。
従いまして、兵器を降ろすのは、液体ロケットが、より大きな危険に晒される場合に限ります」
ロゴージンは説明した。
「必要な場合にのみ、兵器は降ろされます」彼は付け加えた。
その後、副首相は総括した。
「予想される原子力潜水艦エカテリンブルグの修理形態では、魚雷や弾道ミサイルの撤去が必要だったというのは結果論に過ぎません」
ムルマンスク地方ロスリャコヴォ村「第82艦船修理工場」の乾ドックで修理を実施中の原子力潜水艦「エカテリンブルク」で火災が発生したのは2011年12月29日であった。
公開情報によると、溶接作業の点火時に潜水艦周囲の木製の足場で発生した炎は、船体外部の絶縁部分に拡散した。
この非常事態の結果、11名が負傷した。
火災を発生させた犯罪者は、ロシア連邦刑法第347条「過失による軍事的財産の破壊あるいは損傷」により起訴される。
(2012年4月13日15時41分配信)

記事中の原潜修理の際の兵装を降ろすか否かの件ですが、要するに、原潜がセヴェロドヴィンスク市の「ズヴェズドーチカ」修理工場で近代化などの大規模修理を行なう場合には兵装を全て降ろす義務が有るが、浮きドックでの小規模修理の場合には兵装を降ろす義務は無いという事です。
「エカテリンブルク」が兵装を搭載したままドックに居た事を「規則違反」だと書き立てている者が多いですが、今回のケースの場合は「規則違反」にはならないわけです。
北方艦隊の667BDRM戦略原潜6隻は、1990年代末以降より「ズヴェズドーチカ」で第1次近代化改装を行ない、寿命を延長しました。
K-51「ヴェルホトゥリエ」:1999年近代化完了
K-84「エカテリンブルク」:2003年近代化完了
K-114「トゥーラ」:2006年近代化完了
K-117「ブリャンスク」:2008年近代化完了
K-18「カレリア」:2010年近代化完了
K-407「ノヴォモスコフスク」:2012年近代化完了予定
一巡したので、また「ヴェルホトゥリエ」から第2次近代化に着手されています。
[デルタIV級戦略原潜ヴェルホトゥリエは造船台を出た]
当然、「ヴェルホトゥリエ」の次は「エカテリンブルク」の番になるので、火災の損傷修理と一緒に第2次近代化も合わせて行なおうというわけです。
「エカテリンブルク」は艦首の損傷が激しく、修理は難しいという見方もありますが、「ズヴェズドーチカ」は667BDRM戦略原潜の修理及び近代化工事の豊富な経験を有しております。

ロシア海軍の667BDRM戦略原潜6隻は、寿命を35年に延長し、2020年代まで現役に留まります。
[全てのデルタIV級戦略原潜は寿命を35年に延長する]
なお、火災の際に「エカテリンブルク」が入渠していたロスリャコヴォ村の大型浮きドックPD-50ですが、「エカテリンブルク」が出た後、2012年1月にはK-117「ブリャンスク」(667BDRM戦略原潜)、2月にはK-114「トゥーラ」(667BDRM戦略原潜)、3月にはBS-136「オレンブルク」(09876特務原潜)、3月末からK-266「オリョール」(949Aミサイル原潜)が入渠しています。
[大型浮きドックPD-50のオスカーII級原潜オリョール]
本来ならば、「エカテリンブルク」の修理も、同様に短期間で終わる筈だったのです。
火災事故が無ければ、「エカテリンブルク」は2012年1月中には修理を終えてドックから出渠していたでしょう。
12月30日01時40分、火災は沈静化されました。
[ロシア海軍戦略原潜「エカテリンブルク」で火災]
[ロシア原潜「エカテリンブルク」火災事故・続報]
[戦略原潜「エカテリンブルク」は修理後に復帰する]

その「エカテリンブルク」の修理は、今年末から開始されるようです。
『アルムス-タス』より。
【火災で損傷した原子力潜水艦「エカテリンブルク」の修理は今年末に開始される】
モスクワ、4月13日(アルムス-タス)
2011年12月の火災により損傷した戦略用途ロケット水中巡洋艦「エカテリンブルク」の修理は、今年末から艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」(セヴェロドヴィンスク)で開始される。
「ズヴェズドーチカは、水中ロケット艦エカテリンブルクの修理及び就役期間を5-6年延長する為の近代化を待っています」
防衛産業企業体の情報提供者は、イタル-タス通信に伝えた。
「エカテリンブルクは、白海の結氷が溶けた後の夏季に同社への到着が計画されています。
同艦の修理(定期中規模修理、近代化、および火災による損傷の除去)は、工場が今後の作業量を推定し、国防省と防衛産業企業体との契約に署名した後、今年末までに行動を開始します」
情報提供者は語った。
「修理の完了及び同艦の海軍への引き渡しの時期は、2014年の夏から秋になるでしょう」
彼は付け加えた。
1月11日、ロシア防衛産業企業体の情報提供者は、非常事態の原因と状況を明らかにする省庁間委員会の作業結果について、水中ロケット艦「エカテリンブルグ」の火災により、同艦の水中音響探知複合体(水中音響アンテナドームおよびアンテナ自体)が深刻な被害を受け、船体外部のゴム被覆が破壊されたと報告した。
被害金額は1億ルーブルを超える。
彼によると、「エカテリンブルク」非常事態の原因は、同艦の問題点の一つを除去する為、艦上で溶接作業を行う際の安全条件に関する重大な違反である。
「私共は、ガジェーヴォ基地において、ロケット艦が戦闘哨戒へ出る前に桟橋で曳船と衝突した事により生じた原子力潜水艦の艦首船体の損傷を除去する件について申し上げています」
情報提供者は語った。
「エカテリンブルク」がロスリャコヴォ工場で船体の損傷を除去しようとした時に火災が生じた際、潜水艦には兵装が満載されていた事が確認された。
それは核弾頭を搭載する16基の海洋配置ミサイル「シネーワ」、魚雷、機雷といった常時装備である。火災が生じた際、艦首魚雷発射管には魚雷が装填されていた。
「水中ロケット艦が小規模修理の為に工場のドックへ入渠する際、核ミサイルを含む兵装は、必ずしも降ろされるわけではありません。
それは、ソヴィエト連邦時代から現在に至るまで同様です」
情報提供者は強調した。
副首相ドミトリー・ロゴージンは、原子力潜水艦「エカテリンブルグ」の火災発生時、同艦は本当に弾薬が搭載されたままであった事を間接的に認めた。
2月20日、コムソモリスク・ナ・アムーレにおいて彼は、修理中の潜水艦の戦略兵器の有無についての規則に違反するかどうかを理解する必要があると記者団に語った。
「これは、中規模修理ではありません。潜水艦が、幾つかの些細な問題により小規模修理を行う際、核兵器は必ず降ろされるわけではありません」
ロゴージンは述べた。
彼によると 「この種の修理では、兵器が降ろされる事は有りません」
「1986年の指令では、小規模な修理の際には兵装を降ろしません。
従いまして、兵器を降ろすのは、液体ロケットが、より大きな危険に晒される場合に限ります」
ロゴージンは説明した。
「必要な場合にのみ、兵器は降ろされます」彼は付け加えた。
その後、副首相は総括した。
「予想される原子力潜水艦エカテリンブルグの修理形態では、魚雷や弾道ミサイルの撤去が必要だったというのは結果論に過ぎません」
ムルマンスク地方ロスリャコヴォ村「第82艦船修理工場」の乾ドックで修理を実施中の原子力潜水艦「エカテリンブルク」で火災が発生したのは2011年12月29日であった。
公開情報によると、溶接作業の点火時に潜水艦周囲の木製の足場で発生した炎は、船体外部の絶縁部分に拡散した。
この非常事態の結果、11名が負傷した。
火災を発生させた犯罪者は、ロシア連邦刑法第347条「過失による軍事的財産の破壊あるいは損傷」により起訴される。
(2012年4月13日15時41分配信)

記事中の原潜修理の際の兵装を降ろすか否かの件ですが、要するに、原潜がセヴェロドヴィンスク市の「ズヴェズドーチカ」修理工場で近代化などの大規模修理を行なう場合には兵装を全て降ろす義務が有るが、浮きドックでの小規模修理の場合には兵装を降ろす義務は無いという事です。
「エカテリンブルク」が兵装を搭載したままドックに居た事を「規則違反」だと書き立てている者が多いですが、今回のケースの場合は「規則違反」にはならないわけです。
北方艦隊の667BDRM戦略原潜6隻は、1990年代末以降より「ズヴェズドーチカ」で第1次近代化改装を行ない、寿命を延長しました。
K-51「ヴェルホトゥリエ」:1999年近代化完了
K-84「エカテリンブルク」:2003年近代化完了
K-114「トゥーラ」:2006年近代化完了
K-117「ブリャンスク」:2008年近代化完了
K-18「カレリア」:2010年近代化完了
K-407「ノヴォモスコフスク」:2012年近代化完了予定
一巡したので、また「ヴェルホトゥリエ」から第2次近代化に着手されています。
[デルタIV級戦略原潜ヴェルホトゥリエは造船台を出た]
当然、「ヴェルホトゥリエ」の次は「エカテリンブルク」の番になるので、火災の損傷修理と一緒に第2次近代化も合わせて行なおうというわけです。
「エカテリンブルク」は艦首の損傷が激しく、修理は難しいという見方もありますが、「ズヴェズドーチカ」は667BDRM戦略原潜の修理及び近代化工事の豊富な経験を有しております。

ロシア海軍の667BDRM戦略原潜6隻は、寿命を35年に延長し、2020年代まで現役に留まります。
[全てのデルタIV級戦略原潜は寿命を35年に延長する]
なお、火災の際に「エカテリンブルク」が入渠していたロスリャコヴォ村の大型浮きドックPD-50ですが、「エカテリンブルク」が出た後、2012年1月にはK-117「ブリャンスク」(667BDRM戦略原潜)、2月にはK-114「トゥーラ」(667BDRM戦略原潜)、3月にはBS-136「オレンブルク」(09876特務原潜)、3月末からK-266「オリョール」(949Aミサイル原潜)が入渠しています。
[大型浮きドックPD-50のオスカーII級原潜オリョール]
本来ならば、「エカテリンブルク」の修理も、同様に短期間で終わる筈だったのです。
火災事故が無ければ、「エカテリンブルク」は2012年1月中には修理を終えてドックから出渠していたでしょう。
- 関連記事
-
- デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクは修理の為、セヴェロドヴィンスクへ到着した
- デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理費用は減少する
- デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理は2012年末に開始される
- 全てのデルタIV級戦略原潜は寿命を35年に延長する
- デルタIV級戦略原潜ヴェルホトゥリエは造船台を出た
スポンサーサイト