「バルト工場-造船」はヘリ空母ミストラルの船体の一部を建造する
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『アルムス-タス』より。
【フランス企業はヘリコプター空母ミストラルの部分建造の為サンクト・ペテルブルク造船所の技術的適合を確認する】
サンクト・ペテルブルク、4月20日(アルムス-タス)
フランス企業「STXフランス」の主要専門家は、サンクト・ペテルブルクの企業「バルト工場-造船」がヘリコプター空母「ミストラル」型の部分建造を行なう為の技術的適合を確認する。
「統合造船業営団」管理部は、イタル-タス通信に伝えた。
サンクト・ペテルブルクへの専門家の訪問後、「バルト工場-造船」の生産能力についての調査が行なわれ、造船所が汎用揚陸艦(UDK)「ミストラル」型の船体浮揚部分を建造する為に必要な技術および製造レベル、職員の準備レベルを有している事を確認する。
フランス側は「バルト工場-造船」へ資材発注の最終目録を引き渡し、現在、工場への資材供給者を選択する為の入札を開始している。
「バルト工場-造船」への最初の作業文書の交付は6月1日、最初の「ミストラル」のプレートカット開始は2012年8月1日を予定している。
最初の艦の起工は、10月1日に予定されている。
最初の艦と同様の手順により、2隻目の「ミストラル」の為のプレートカットは2013年5月に行なわれる。
ロシア連邦国防省の要望による2隻の汎用揚陸艦「ミストラル」の納入契約は、「ロシア兵器輸出公社(ロソボロネクスポルト)」とフランスの造船会社「DCNS」との間で2011年6月に調印された。
今回、「統合造船業営団」は下請け業者として関係し、船体の40パーセントに当たる24の船体ブロック(双方の艦の艦尾部分)を建造する。
その後、ブロックはフランスへ送られ、サン・ナゼール造船所でヘリコプター空母の最終組立が行なわれる。
汎用揚陸艦「ミストラル」は、4つの任務を一度に行なえる。
それはヘリコプター搭載運用、兵員の地上への揚陸、指揮センター、水上病院である。
排水量は21,000トン、船体最大長210m、速力18ノット以上である。航続距離は最大で20000海里。
乗組員は160名であり、更にヘリコプターと450名を収容可能である。
航空隊は16機のヘリコプターから成り、同時に6機の飛行甲板からの発着が可能である。
艦の貨物デッキには、40輌の戦車或いは70台のトラックを収容できる。
「バルト工場-造船」は「統合造船業営団」の一部である。
同社は、元の所有者が破産した「バルト工場(バルチースキー・ザヴォート)」の労働者チームと生産能力を救うため、2011年末に設立された。
(2012年4月20日15時43分)
[ヘリ空母ミストラル型]
ロシア海軍向け「ミストラル」1番艦は今年2月1日にフランスのサン・ナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けヘリ空母「ミストラル」型1番艦は起工される]
サン・ナゼール造船所
艤装中の「ミストラル」級3番艦「ディズミュド」が居ます。

「バルト工場-造船」(バルチースキー・ザヴォード)が「ミストラル」型の船体の一部を製造する為の契約は、昨年12月に同社と「統合造船業営団」との間で締結されています。
[バルチースキー・ザヴォートは「ミストラル」型の船体を建造する]
バルト工場-造船

それでフランスの企業が「バルト工場・造船」を視察して生産能力を確認したというのが今回の記事です。
フランス海軍の「ミストラル」型は船体を幾つかのブロックに分けて複数の造船所で建造し、それを一ヶ所に集めて結合するという方法を採っていますが、ロシア海軍の「ミストラル」も同様の方法で建造されます。
この記事によると、担当するのは艦尾部分のようです。
「バルト工場-造船」"Балтийский завод - Судостроение" (БЗС)は、元の「バルト工場」(バルチースキー・ザヴォード)が破産して「統合造船業営団」に吸収されて成立した会社です。
ロシア海軍向けの「ミストラル」型は、オリジナルよりも武装が強化されます。
[ロシア海軍向け「ミストラル」型には巡航ミサイル、対空・対潜ミサイルなどが装備される]
[ロシア海軍向け「ミストラル」型はロシア製兵器を装備する]

「ミストラル」型は艦後部にヘリコプター格納庫が有りますから、各種ミサイルの垂直発射機を設置するとすれば、艦前部(艦橋の前)でしょうか。
(ロシア側の報道を読む限り、ヘリコプター搭載・運用能力を減らすつもりなど毛頭無いだろうし)
日本では「強襲揚陸艦」と呼ばれ、フランス海軍の正式分類は「指揮・戦力投射艦」となっている「ミストラル」型ですが、ロシアでは、「ヘリコプター空母」Вертолётоносецと呼ばれる事が多いです。
この他に「汎用揚陸艦」Универсальный Десантный Корабльや「ヘリコプター揚陸ドック艦」Десантный Вертолётный Корабль-Докと書かれる事も有ります。
ロシア側の報道、更にはロシア軍当局者の発言を見ても、「ヘリ空母」としての運用がメインとなっているようです。
フランス海軍の「ミストラル」は2009年11月末にサンクト・ペテルブルクを訪れ、ロシア軍ヘリコプター(Ka-27対潜ヘリ、Ka-29強襲ヘリ、Ka-52戦闘ヘリ)の適合試験を実施しています。
[ロシア製ヘリコプター、強襲揚陸艦「ミストラル」に初着艦]
[ロシア軍ヘリコプター、強襲揚陸艦「ミストラル」に初着艦(2009年11月27日)]
ロシア海軍向けの最初の「ミストラル」型2隻の艦名は「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」です。
[ロシア海軍向け「ミストラル」型の艦名は「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」になる]
旧ソ連海軍が建造した一連の航空機搭載艦(航空巡洋艦)には都市名が付けられていましたし、現在のロシア海軍の揚陸艦には人名が付けられています。
ロシア海軍向け「ミストラル」型の1番艦は太平洋艦隊へ配属される予定です。
配備基地は、沿海地方フォーキノ(ストレロク)となる可能性が高いでしょう。
ストレロク基地

フランス南部のトゥーロン軍港
「ミストラル」級が停泊しています。

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