fc2ブログ

ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」

14-0209b.jpg
15-0517a.jpg
『IHSジェーンズ·ディフェンス·ウィークリー』より
2015年5月14日配信
【ロシアは超空母シトルムを開発している】
ニコライ・ノヴィチコフ、IHSジェーンズ·ディフェンス·ウィークリー

ロシアクルイロフ国立科学センターは、プロジェクト23000E或いはシトルム(ストーム)と呼ばれる新たな多目的重航空母艦の設計を開発した。

艦のスケールモデルは、7月1日から5日までサンクトペテルブルク国際海洋防衛ショー-2015(IMDS-2015)で初めて展示されるとクルイロフ国立科学センター取締役代理ワレーリー・ポリャコフIHSジェーンズへ伝えた。

「プロジェクト23000E多目的空母は、遠隔地及び大洋エリアにおいて作戦を行ない、陸上及び海上の敵目標との交戦、海軍の作戦安定性の確保、上陸部隊の保護、そして対空防衛の提供の為に設計されています」
ポリャコフ
は言った。

この設計は90,000-100,000トンの排水量を有しており、全長330メートル、幅40メートル、吃水は11メートルである。
それは最高速力30ノット、巡航速力20ノット、自立行動期間は120日間、乗組員は4,000-5,000名、海況(風浪階級)6-7に耐えられるように設計されている。
現在、これは通常動力の下に設計されているが、潜在カスタマーの要望に応じ、原子力へ換える事も可能である。

艦は、様々な戦闘任務の為、80-90機の艦上航空機から成る有力な航空グループを搭載する。
このモデルの航空グループには、T-50 PAK FA海軍型及びMiG-29K、並びにジェットエンジンの艦載早期警戒機、そして艦上ヘリコプターKa-27が含まれる。
15-0517c.jpg
15-0517d.jpg

航空母艦の飛行甲板は2重設計となっており、斜め飛行甲板、4ヶ所の発艦ポジション:2ヶ所のスキージャンプ台、そして2基の電磁カタパルトを備えている。
1組の着艦ワイヤーが設計に含まれる。
この設計では、2つのアイランド(艦橋構造物)が備わっている:これは以前には連合王国(グレートブリテン)の最新デザインにのみ見られていた。
uk1.jpg
uk2.jpg

航空脅威に対する保護として、4基の対空ミサイルシステム戦闘モジュールが提供される。
対魚雷兵装一式も使用可能である。

電子支援複合体には、多機能フェーズドアレイレーダー、電子戦システム、そして通信機器が組み込まれた統合センサーが含まれる。

ポリャコフは、艦の設計及び開発作業の各段階において、これらの仕様は変更、改訂、修正する場合も有り、潜在的カスタマーからの要望が有れば、兵装パッケージや設備を変更される事を指摘した。


[ロシア将来航空母艦]

ロシア将来正規空母Перспективный Авианосецは、現在の所、3種類のヴァリエーションが検討されています。
[ロシアは3種類の将来航空母艦を設計している]
[ロシア国防省は3つの将来原子力空母設計案を検討している]
「3つの設計案」は、重航空母艦(80000-85000t級)、中航空母艦(55000-65000t級)、軽航空母艦(50000t未満)を指しています。

搭載機は、ロシア第5世代戦闘機PAK FA(T-50)艦上戦闘機ヴァージョン無人航空機などになります。
[ロシア第5世代戦闘機T-50(PAK FA)の艦上戦闘機型が開発される]

既に正規空母用の電磁カタパルトの開発も始まっています。
[ロシアは将来空母用の電磁カタパルトの開発を始めている]

2014年10月、ロシア海軍総司令官代理(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク少将は、将来正規空母の1番艦は2030年以降に就役する予定である事を明らかにしました。
[ロシア海軍の将来空母は2030年以降に就役する]
就役が2030年以降ですから、建造が開始されるのは2020年代(初頭?)になるでしょう。

将来正規空母の艦載機は、数年後に配備予定のロシア空軍第5世代重戦闘機PAK FA(T-50)の艦上機型となり、この他に無人機も搭載されます。
[ロシア第5世代戦闘機T-50(PAK FA)の艦上戦闘機型が開発される]

2015年2月、ロシア海軍航空隊司令官イーゴリ・コジン少将は、将来正規空母の1番艦の建造には8-10年間掛かると述べました。
[ロシア海軍将来空母の1番艦の建造には8-10年掛かるだろう]

同様の事は、将来正規空母の設計を担当するネヴァ川計画設計局のトップ、セルゲイ・ウラソフ氏も述べています。
[ロシア将来空母の作成には約10年掛かり、費用は1000-3000億ルーブルになる]
[ロシア将来空母の作成には10年掛かる]

2015年3月、ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ大将は、ロシア将来正規空母の開発作業は中止されること無く継続されていると述べました。
[ロシア海軍の為の将来正規空母の開発作業は継続されている]


そして今回、ロシア将来空母の「たたき台」:クルイロフ国立科学センターによる概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」の概要が明らかにされました。

このモデルは、2013年7月初頭にサンクトペテルブルクで開催された国際海洋防衛ショー(IMDS-2013)で初公開されました。
[ロシア将来海洋航空複合体の総費用は4000億ルーブルになるだろう]
[ロシア将来空母のモデルが公開された]
記事の最初で触れられていますが、今年7月初頭にサンクトペテルブルクで開催されるIMDS-2015にも出展されます。

あくまでも「たたき台」ですから、このモデルが実際に建造されるわけではありません。
(そもそも、クルイロフ国立科学センターは艦船の形状などの研究を専門に行う機関であり、艦船設計局では無い)


この概念設計案「シトルム」を基にして、ネヴァ川計画設計局が実際にロシア海軍向けとして建造される空母の設計案(上記の重空母、中空母、軽空母)を作成しています。


[多目的重空母プロジェクト23000E「シトルム」]
満載排水量:90000-10000トン
全長:330m
船体幅:40m
吃水:11m
機関:通常動力
速力:30ノット
巡航速力:20ノット
自立行動期間:120日
乗員:4000-5000名
搭載機:80-90機(T-50 PAK FA艦載型、MiG-29K、ジェットエンジンの早期警戒機、Ka-27ヘリコプター)
発着艦設備:スキージャンプ2ヶ所、電磁カタパルト2基、着艦フック1式
兵装:対空ミサイルモジュール(リドゥート?)4基、対魚雷兵装(パケート-NK?)
関連記事
スポンサーサイト