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ロシア海軍将来駆逐艦リデル級は原子力推進となる

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『タス通信』より
2015年5月19日10時08分配信
【情報筋:駆逐艦「リデル」は、1つのヴァージョンが設計されている-核動力装置】
モスクワ、5月19日/タス通信

ロシア連邦国防省駆逐艦「リデル」型の開発の為の技術条件を変更した。
それは、ただ1つのみのヴァージョン~核動力装置が設計される。
タス通信は、防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「(ロシア)海軍総司令部は、ガスタービン動力装置を有するリデルの開発を断念しました。
国防省が承認した改正技術要件によると、駆逐艦の予備設計は、ただ1つのみのヴァージョン~核動力装置となります」

対談者は話した。
彼は、この決定は、遠海ゾーン艦は無制限の航続距離を有する必要が有る事に起因すると説明した。

「技術的設計は北方計画設計局により用意されており、それは2016年に完了する予定です」
情報提供者は明らかにした。

既に報じられているように、駆逐艦「リデル」プロジェクト956艦及びプロジェクト1155艦を代替する為に登場しなければならない。
ロシア海軍は、12隻の新たな駆逐艦を発注するつもりである~北方艦隊太平洋艦隊に6隻ずつ。

防衛産業の情報提供者がタス通信へ伝えたように、「防衛業界」は、新たな駆逐艦の為の原子炉を作成する用意がある。
しかしながら、核動力装置は、ガスタービンヴァージョンよりも多くの費用が掛かる。

「リデル」の兵装となる可能性が有るのは、有翼ミサイル「カリブル」型及び「オーニクス」型、或いは、その近代化型、更には、宇宙空間を含めた目標を破壊する事が可能な高射システムS-500である。
「防衛業界」の情報提供者がタス通信へ伝えたように、新世代駆逐艦のトップを海軍が受領できるのは、2023-2025年よりも前にはならないだろう。


[ロシア将来駆逐艦プロジェクト「リデル」]
[ロシア海軍将来駆逐艦概念設計案・プロジェクト23560E「シクヴァル」]

ロシア海軍は、2006年以降、新世代多用途駆逐艦(将来駆逐艦Перспективный Эсминец)の建造計画について何度も表明して来ました。
[ロシア海軍新世代原子力駆逐艦建造計画]
[ロシア海軍新世代駆逐艦の建造計画は現司令部に承認された]
[ロシアは「超駆逐艦」を建造する]

サンクトペテルブルク市「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」では、「リデル」の建造準備が進められています。
[サンクトペテルブルク造船所セーヴェルナヤ・ヴェルフィはロシア海軍将来駆逐艦の建造準備を進めている]

2014年10月下旬、「ロシア防衛業界の高位の情報提供者」は、「リデル」型の1番艦は2023-2025年よりも前にロシア海軍へ受領される事は無いと述べています。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデルの1番艦の就役は2023-2025年よりも前にはならないだろう]

ロシア海軍総司令官代理(軍備担当)ヴィクトール・ブルスク少将は、「リデル」の1番艦は2020年以降にロシア海軍へ受領されると述べました。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデルは2020年以降に就役する]
[ロシア海軍将来駆逐艦リデルの設計作業は続けられている]

将来駆逐艦「リデル」は、原子力推進通常動力(ガスタービン)の2タイプの設計が進められていました。
[ロシア新世代駆逐艦は通常動力と核動力の2種類が設計される]

しかし2015年2月20日、ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ提督は、「リデル」の機関が原子力推進にほぼ確定したと述べました。
[ロシア海軍の為の将来駆逐艦リデルは原子力推進となる]

同じ日、「ロシア防衛産業企業体の高位の代理人」は、「リデル」の1番艦は2017年末の起工が予定されており、その排水量が14000トンになる事を明らかにしました。
[ロシア海軍の為の新世代駆逐艦リデルの1番艦は2017年末に起工される]

ロシア海軍総司令官ヴィクトール・チルコフ提督は、「リデル」の排水量は、前のクラス(プロジェクト956駆逐艦、約8000トン)よりも遥かに大きくなり、その打撃力は巡洋艦に匹敵すると述べています。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデルは巡洋艦に匹敵する攻撃力を有する]

そして今回、ロシア防衛産業の(匿名の)情報提供者は、将来駆逐艦「リデル」の動力が原子力推進に決まった事を明らかにしました。
言い換えれば、ガスタービンエンジン装備の設計案は否決されました。

「リデル」の通常動力ヴァージョンへの搭載が予定されていたガスタービンエンジンは、おそらくはM90FRでしょう。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

M90FRは、元々はロシア・ウクライナ共同生産であり、主要パーツはロシアで製造し、最終組立はウクライナで行なうという体制を取っていました。
その体制が昨年(2014年)春以降に崩れたので、最終組立までを全てロシア国内で行なう事になり、現在は生産体制の再構築中です。
ロシア国内での生産体制が整うのは2016年末の予定です。
[ロシア海軍の艦艇には完全国産のガスタービンエンジンが提供される]
[ロシアのサトゥルン社は2017年までにウクライナ製ガスタービンを完全に代替する]

ロシア国内でのM90FRの生産体制が整ったとしても、このエンジンは、新世代フリゲート・プロジェクト22350(少なくとも15隻建造予定)へ優先的に供給される事になり、早ければ2017年から建造が開始され、最終的には12隻調達される「リデル」へ回す余裕は当分の間は無いでしょう。
[ロシア海軍の為の新たなフリゲート~プロジェクト11356R(アドミラル・グリゴロヴィチ型)とプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)]

今回の記事では触れられていませんが、「リデル」へのガスタービンエンジン装備が否決されたのには、こういった事情も有るのでしょう。
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