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ロシア連邦軍事産業委員会協議会副会長オレグ・ボチカリョフはミストラル級ヘリ空母に関する発言で副首相ドミトリー・ロゴージンから譴責を受けた

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『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年5月27日9時52分配信
【軍事産業委員会副会長は「ミストラル」に関する彼の声明について厳しい譴責を受けた】

軍事産業委員会協議会副会長オレグ・ボチカリョフは、軍艦「ミストラル」型の問題の最終決定についての公式声明の為、副首相ドミトリー・ロゴージンより厳しい譴責を受けた。

火曜日・5月26日、軍事産業員会副会長は、ロシア「ミストラル」艦を断念した事は、既に「既成の事実」であると表明し、ただ1つのみの問題が残されている事を強調した-「ロシア連邦へ返されるべき金額」

彼によると「今日か明日、モスクワでの議論の為、フランス国家安全保障・防衛担当総秘書官ルイ・ゴーチェを待っております」
「今後の困難な交渉を行ないます」

軍事産業員会副会長のこれらの発言は、大手報道機関により引用された。

フランスは、『コメルサント』の記述に関する回答を控えた。
DCNS社(艦の建造を担当)公式代理人エマニュエル・ゴーデは、契約終了時に返される資金の量を定める為の公式交渉開始前に、このテーマに関してコメントする事は禁じられていると表明した。
フランス国防省は、ヘリコプター空母の運命は、共和国大統領フランソワ・オランドに依ると伝えた。
エリゼ宮(大統領府)は、この件にコメントする事は無く、ルイ・ゴーチェ「防衛に関連する様々な問題を話し合う為」夜中にモスクワへ飛ぶとだけ話した。

「コメルサント」によると、既に昨夜、オレグ・ボチカリョフの声明に関し、サンクトペテルブルクバルト工場を訪問中に彼の部下の発言を知った軍事産業委員会協議会の会長である副首相ドミトリー・ロゴージンから直接に厳しい譴責を受けた。
譴責の理由は、公に表明した事のみならず、事実に基づいていない事による。

政府の高位の情報提供者によると、今週にゴーデが参加する「ミストラル」の交渉は計画されておらず、ボチカリョフは、軍事産業委員会協議会空挺軍及び陸軍の車輌供給問題に関する責任者であり、(ミストラル級の)交渉プロセスには全く関与していない。
ドミトリー・ロゴージンは、この件に関し、彼の部下は、協議会会長の個人的な許可を得てからのみコメントできるという報道との接触規制の作成を依頼した。

ゴーチェロゴージンとの間の交渉は、暫定的に6月中旬に計画されている。

フランス当局ロシアへの「ミストラル」引き渡しを凍結している。
双方は、契約破棄の条件についての議論を始めたと報じられた。
メディアは、艦を購入する可能性のある候補者について議論しており、最も可能性が高いのは中国であると述べている。
フランス海軍は、これらの艦を必要としていない事を表明している。


[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]

ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】

「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国フランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]

2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、今年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]

オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げています。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]

このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]

4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]

4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]

そして4月24日、アルメニアエレバンプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]

この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。

4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]

それから約1ヶ月後の5月26日、ロシア軍事産業委員会協議会議長代理オレグ・ボチカリョフ氏は、ロシアフランス「ミストラル」級の代金返還と補償額について交渉していると述べました。
[ロシアはフランスとミストラル級ヘリ空母に関する補償額について交渉している]

しかし、ボチカリョフ氏の発言には事実誤認も多く、そもそも、ボチカリョフ氏は「ミストラル」級には一切関与していない「部外者」だった事も有り、直属上司に当たるロシア副首相ドミトリー・ロゴージン氏より厳しい譴責を受ける事になりました。
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