ロシアはガスタービンエンジン供給中止に関してウクライナを訴える
- カテゴリ:ガスタービンエンジン代替問題


『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年6月8日12時44分配信
【統合造船業営団は、法廷でウクライナ製エンジン供給について追及すると表明した】
統合造船業営団は、ロシア艦建造の為のガスタービンエンジン供給をウクライナが拒否した事に関連し、裁判を起こすつもりである。
「統合造船業営団は、ガスタービンエンジン供給契約下で既にウクライナ側へ支払いを実行した件についての請求を裁判所へ求めるつもりです」
統合造船業営団の声明では、こう述べられた。
同時に、ウクライナ製エンジンをロシア製に代替する為の作業も進められている。
「2017年末~2018年初頭に、科学生産合同サトゥルンは、統合造船業営団の造船所で建造されるロシア海軍の艦艇用ガスタービンエンジンの供給を開始します。
輸入代替プログラムの枠組みにおける動力装置を有するフリゲートの海軍への引き渡しは、2020年から始まる予定です」
統合造船業営団は発表した。
輸入代替プログラムにおいては、所属する国営企業に対し完全な資金供給が保障される。
統合造船業営団は、ロシアへの軍需製品の供給を停止したウクライナの行動が故に、プロジェクト11356及びプロジェクト22350フリゲートの建造が「一時的に困難となる」事を認めた。
同時に、プロジェクト11356艦の最初の3隻とプロジェクト22350艦の最初の2隻は、ウクライナで製造されたエンジンを装備する事が出来た。
「これに続く双方のプロジェクトのフリゲートには、ロシア製製造された動力装置が装備されます。
それはウクライナの同類よりも優れた特性を有します」
統合造船業営団は表明した。
「このタイプのロシア製エンジンの最初のものは、2017年末-2018年初頭に出荷される予定です。
ガスタービンエンジンの推進装置の為の減速装置の生産についての具体的な解決策として、サンクトペテルブルクの工場ズヴェズダーの生産設備があります」
統合造船業営団は付け加えた。
現在、ロシア海軍向けの新世代フリゲートとして、プロジェクト22350大型警備艦とプロジェクト11356R警備艦が建造されています。
[ロシア海軍の為の新たなフリゲート~プロジェクト11356R(アドミラル・グリゴロヴィチ型)とプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)]
この両タイプの機関であるガスタービンは、ウクライナで最終組立が行なわれておりました。
もともとソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ-マシプロイェクト」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ-マシプロイェクト」で行なわれていました。
しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化し、ガスタービンエンジンに関する「分業体制」も瓦解しました。
(ロシアの企業からパーツを送らなければ、ウクライナで最終組立を行なう事も出来ない)
当然、11356Rと22350も、この影響を受ける事になりました。
[ロシア海軍の新型フリゲートの建造は停滞する]
プロジェクト22350フリゲートに関しては、1番艦と2番艦のガスタービン機関は供給されましたが、3番艦以降の分の供給は途絶えました。
プロジェクト22350のガスタービンM90FRは、ロシアとウクライナの共同開発であり、主な部品はロシアで製造していますが、ガスタービンエンジンの最終組立はウクライナで行なわれていました。
(22350自体はオールガスタービンでは無く、巡航時にディーゼルエンジンを使用し、高速航行時にガスタービンを併用するCODAG)
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
この体制が昨年からのウクライナ危機により瓦解した為、M90FRの最終組立もロシア国内で行なう事になり、現在、その為の生産体制を構築中です。
M90FRの生産が軌道に乗るのは2018年以降になります。
[ロシアは2018年から艦艇用ガスタービンを量産する]
プロジェクト11356R(こちらはオールガスタービン)のガスタービンは、1番艦から3番艦までの分は供給されましたが、4番艦以降の分の供給は途絶えました。
こちらも、ロシア製ガスタービンで代替する事になります。
[ロシア海軍の為のプロジェクト11356Rフリゲートはウクライナ製の代わりにロシア製ガスタービンを装備する]
更に今回、ロシア造船業の総元締である「統合造船業営団」は、ガスタービンエンジンの供給中止に関し、ウクライナを訴えると発表しました。
[ロシアは水上艦用のエンジン供給を拒否したドイツとウクライナの企業を訴える]
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