ロシア海軍艦艇のガスタービンエンジンの修理はクロンシュタットで行なわれる
- カテゴリ:ガスタービンエンジン代替問題

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年6月22日21時06分配信
【ウクライナ製ガスタービンエンジンの修理はクロンシュタットの専門家により実行される】
ロシア海軍の艦に設置されているウクライナ製ガスタービンエンジンの修理は「クロンシュタット海洋工場」の専門家により実行される。
以前、これらのエンジンのメンテナンスに従事していた「ゾーリャ-マシプロイェクト」社は、ドンバス紛争の悪化を背景にロシア連邦への協力を停止した。
「ウクライナの状況により、この(ガスタービンの)エンジンの製造者であるゾーリャ-マシプロイェクト社(ニコラエフ市)の姿勢も変わりました。
エンジンの大規模及び中規模修理も彼らが行なっていました。
メンテナンスは、小規模チーム、艦隊自身や小企業の力により、艦の駐留地域で直接実施され、分解する事無く、直接に艦の機器の調整や整備に従事しております。
ウクライナ製エンジンの修理が出来ないが故、これらの問題はクロンシュタット海洋工場が解決します。
我々は、現在、主として第2世代-第3世代ガスタービンエンジンを修理しています」
「クロンシュタット海洋工場」総取締役アナトーリー・ベロエフは話した。
同社の指導者は、「ゾーリャ-マシプロイェクト」が製造し、プロジェクト11356及び22350フリゲートに設置された新たなエンジンの修理は、これらの書類が不足しているが故に実施しない事を指摘した。
「専門家は、既存のものとの違いの度合いが大きい構造(のガスタービン)でも作業を行なう事は可能ですが、我々は必要な文書を持っておりませんし、他の技術的附属品が必要です」
アナトーリー・ベロエフは強調した。
「クロンシュタット海洋工場」のガスタービン作業所は1967年に設立された。
過去10年間の受注の大半は、「ガスプロム」のガス汲み上げステーションで使用される船舶用ガスタービンエンジンの修理契約から成る。
「ゾーリャ-マシプロイェクト」とロシアの協力が挫折した後、クロンシュタットでは太平洋艦隊の大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」と北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」のエンジンの修理が行なわれた。
2014年5月5日、ロシア連邦産業貿易相デニス・マントゥロフは、ロシア防衛産業の為のウクライナからの機器の供給が遅延していると発表した事が想い起される。
その後、ロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージンは、ガスタービンエンジンの生産をルイビンスクに位置する科学生産合同「サトゥルン」へ移転すると発表した。
既に前払い済みのエンジンを受け取るか、或いは返金の必要を求める為、ロシアは「ゾーリャ-マシプロイェクト」への訴訟を準備している。
[ガスタービンエンジン代替問題]
ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ-マシプロイェクト」が関わっており、エンジンの最終組立は「ゾーリャ-マシプロイェクト」で行なわれていました。
しかし、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化し、ガスタービンエンジンに関する「分業体制」も瓦解しました。
この為、ガスタービンエンジンの生産は全てロシア国内で行なう事になり、現在、その為の体制を再構築中です。
[ロシアは2018年から艦艇用ガスタービンを量産する]
一方、ロシア海軍現用艦のガスタービンエンジンの修理も、これまではウクライナ(「ゾーリャ・マシプロイェクト」社)に依存していましたが、当然ながら、こちらの方も御破算となりました。
この為、ガスタービンの修理もロシア国内で行なう事になりました。
一例を挙げると、警備艦「ネウストラシムイ」のガスタービンはサマーラの航空機工場(「クズネツォフ」社)で修理されます。
[ロシア海軍のフリゲート"ネウストラシムイ"のガスタービン機関はサマーラで修理される]
しかし、修理のたびに彼方此方の航空機工場へガスタービンを送っていたのでは何かと不便なので、以前から民間用ガスタービンエンジンの修理を行なっていたクロンシュタット海洋工場が、ロシア海軍現用艦艇のガスタービンエンジンの修理やメンテナンスなども一手に引き受ける事になりました。
ただし、ロシア海軍の新型フリゲート~プロジェクト22350とプロジェクト11356Rのガスタービンエンジンに関しては、未だ取扱いできないようですが。
今回の記事では、具体的な例として大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」と「アドミラル・トリブツ」が挙げられています。
北方艦隊の大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」は、現在ムルマンスクの工場でオーバーホールが行なわれています。
[ロシア海軍の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコはオーバーホールの第1段階を終えた]

太平洋艦隊の大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」も、ウラジオストクの工場でオーバーホール中です。



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