ロシア海軍のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の乗員団は解散した
- カテゴリ:ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル級

『中央海軍ポータル』(フロートコム)より
2015年7月17日12時23分配信
【「ミストラル」のロシア人乗員は解散した】
フランス側からロシアへ引き渡されなかった2隻の「ミストラル」型ヘリコプター空母の乗組員は解散した。
船員たちは、太平洋艦隊の他の艦で勤務を続ける。
『中央海軍ポータル』は、太平洋艦隊の情報提供者より伝えられた。
最近、ヘリコプター空母の乗員メンバーの一部は、2015年になってから2回目の60日間の休暇を終えた。
以前(の60日間休暇)は、ロシア人船員がフランスのサンナゼールから到着した後の1月から始まった。
彼等は、ロシア側への引き渡しが予定されていたヘリコプター空母の制御訓練を(フランスで)受けていた。
パリが「ミストラル」を引き渡すか、或いは引き渡しを断念するかの最終決定を下していなかった時、ロシアの為に建造された最初のヘリコプター空母「ウラジオストク」の乗組員はサンクトペテルブルクに居た。
不安定性と手当金の減少は、チームと船員の一部の士気に影響を与え、辞表或いは転属願を提出していると伝えられた。
今日、揚陸艦「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」を巡る状況は、解決に近づいている。
メディアの報道によると、モスクワとパリは、フランスの「ミストラル」引き渡し拒否に起因する資金問題の解決の為の合意草案を用意している。
最も可能性の高い選択肢と言われているのは、ロシア側が艦の金銭的補償を受け取る事である。
2011年6月に締結された12億ユーロの契約下で、フランスはロシアへ2隻の「ミストラル」型軍艦を引き渡さなければならなかった。
最初のヘリコプター揚陸ドック艦「ウラジオストク」の引き渡し時期は2014年11月に期限が切れた。
2番艦「セヴァストーポリ」をフランスは2015年11月1日までに顧客へ引き渡さなければならなかった。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
ロシア海軍向け「ミストラル」級2隻の乗組員は、ロシア太平洋艦隊から集められ、2013年11月に編成されました。
[ロシア太平洋艦隊はミストラル級2隻の乗組員を編成する]
その後、サンクトペテルブルクで研修(ミストラル級の操作説明)を行ない、2014年6月30日にフランスのサンナゼールへ到着しました。
[ロシア海軍向けミストラル級の乗員400名はフランスへ到着した]
[ロシア海軍向けミストラル級の艦載機搭乗員は研修の為にフランスへ到着した]
2014年8月初頭からはロシア海軍将兵による「ウラジオストク」の操作訓練が始まりました。
[ロシア海軍将兵は2014年8月初頭からミストラル級の実地操作訓練を開始する]
9月13日、「ウラジオストク」は、ロシア海軍将兵の手により初めて出航しました。
[ミストラル級ヘリ空母ウラジオストクはロシア海軍乗員の手でサンナゼールを出航した]
9月22日にサンナゼールへ帰港しました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター空母ウラジオストクはサンナゼールへ帰港した]
9月23日夜、「ウラジオストク」は、2番艦「セヴァストーポリ」の乗組員により再び出航しました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター空母ウラジオストクは再び出航した]
10月3日にサンナゼールへ帰港しました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター空母ウラジオストクはロシア人乗員による2度目の訓練航海を完了した]
10月17日、ロシア人乗員による3度目の出航が行なわれました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母ウラジオストクはロシア人乗員の手により三度出航した]
「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国はフランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]
2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、今年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]
オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げています。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]
このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]
その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級をロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]
一方、「ウラジオストク」が引き渡されなかったため、ロシア海軍の乗員達は2014年12月30日ににロシアへ戻りました。
[ヘリ空母ミストラル級乗員のロシア海軍将兵はクロンシュタットへ到着した]
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母の乗員は休暇後にサンクトペテルブルクへ戻った]
その後も「ウラジオストク」と「セヴァストーポリ」の乗員団は陸上で待機していましたが(実際には長期休暇を与えられ、殆ど軍務から外されていた)、最早、この2隻をロシア海軍が受領できる見込みは無く、乗員団の士気も低下して辞職や転属を希望する者も相次いだ為か、ついに解散する事になりました。
元乗員達は、古巣である太平洋艦隊の艦船へ戻る事になるようです。
既にロシア海軍は「ミストラル」級ヘリ空母には見切りを付けており、新たな汎用揚陸艦の建造を計画しています。
[ロシア海軍の為の新型汎用揚陸艦プリボイ級が建造される]
[ロシア海軍の新世代大型揚陸艦は2020年に就役する]
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
元「ミストラル」級乗組員の中には、近い将来に新たな汎用揚陸艦(プリボイ級)へ乗る者も居るでしょう。
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