ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った
- カテゴリ:フランスのミストラル級引き渡し保留問題

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年7月23日11時10分配信
【情報筋:ロシア連邦は「ミストラル」の通信システムの返却について議論した】
モスクワ、7月23日-ロシア通信社ノーボスチ
モスクワで今週初めに開催された「ミストラル」に関する協議の新ラウンドでは、来たる合意の詳細について議論された。
特に、ヘリコプター空母に設置された通信システムのロシアへの返却に関して。
木曜日、金曜日、軍事技術協力分野の情報提供者はロシア通信社ノーボスチへ伝えた。
先だって同じ情報提供者は、ロシア及びフランスの政府は文書への署名を実際を準備しており、違約金の額は12億ユーロ程度と定められたと話した。
従って、ロシアは、前もって支払った契約金を全て受け取る。
「今週のモスクワでの次のラウンドの協議で、双方は不可抗力の状況について議論しました。
既に艦へ取り付けられたロシア製機器の返却に関して」
対談者は話した。
彼によると、無論それは、バルト工場(サンクトペテルブルク)で建造され、既に「ミストラル」へと組み立てられた2隻の艦後部の返却についてでは無い。


「それは、具体的には、一度フランスへ送り届けられ、実質的に同じ形でロシアへ返却されなければならない通信システムについての話です」
情報提供者は話した。
以前、軍事技術協力担当ロシア連邦大統領補佐官ウラジーミル・コジンは、「ミストラル」に関する交渉は完了に近づいており、近い内にロシアへの代金返還に関する合意へ署名されるとロシア通信社ノーボスチへ伝えた。
7月初頭、フランス国防相ジャン・イヴ・ル・ドリアンは、ロシアとの契約不履行により、パリは12億ユーロの費用が掛かる事を公式に確認した。
契約は2011年6月に署名されたが、ウクライナでの出来事が故に履行されなかった。
最初の艦は2014年10月に、2隻目は2015年にロシア連邦へ引き渡される事になっていた。
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国はフランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]
2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、今年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]
オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げています。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]
このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]
4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアでプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]
4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアがフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]
そして4月24日、アルメニアのエレバンでプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]
この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領は「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官は「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。
4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]
その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級をロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]
そして7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
今回の議題に上がったのは、「ミストラル」級に設置済みのロシア製通信システムの返却についてです。
これは、ロシアの衛星通信システム「チェンタヴル」の事でしょう。
[ロシア海軍向けミストラル級にはフランス製衛星通信システムは搭載されない]
既にロシア海軍は「ミストラル」級ヘリ空母には見切りを付けており、新たな汎用揚陸艦の建造を計画しています。
[ロシア海軍の為の新型汎用揚陸艦プリボイ級が建造される]
[ロシア海軍の新世代大型揚陸艦は2020年に就役する]
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
- 関連記事
-
- フランス大統領はロシア海軍向けミストラル級の供給問題に関する最終決定を下す
- ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す
- ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った
- ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している
- ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する
スポンサーサイト