フランス大統領はロシア海軍向けミストラル級の供給問題に関する最終決定を下す
- カテゴリ:フランスのミストラル級引き渡し保留問題

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2015年7月28日1時56分配信
【オランドは、今後数週間で「ミストラル」供給問題を解決する】
モスクワ、7月28日-ロシア通信社ノーボスチ
フランス大統領フランソワ・オランドは、今後数週間以内にロシアとの「ミストラル」供給契約に関する決定を下すと表明した。
『ブルームバーグ』は報じた。
この表明は、月曜日夕方のフランス大統領の記者団との会合において出された。
同紙(ブルームバーグ)が報じたように、更にオランドは、ヘリコプター空母の引き渡しを「推進させるのか」、或いはキャンセルするのかについての決定を下すつもりである事を指摘した。
2隻のヘリコプター空母の供給契約は2011年にフランスのDCNS/STXとロソボロネクスポルト(ロシア兵器輸出公社)との間で締結された。
フランスは、1番艦「ウラジオストク」を昨年11月に引き渡さなければならなかったが、実現には至らなかった。
ロシアはフランスからの艦の引き渡し、或いは返金を待っている。
『ブルームバーグ・ビジネス』より
2015年7月28日7時45分配信
【オランド:数週間以内に「ミストラル」の納品に関する決定を下す】
[フランスのミストラル級引き渡し保留問題]
[ヘリコプター揚陸ドック艦ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
ロシア海軍向けの「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の売買契約は、2011年6月に締結されました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2011年6月17日17時11分配信
【ロシアとフランスは、ヘリコプター空母「ミストラル」に関する契約を締結する】
「ミストラル」級の1番艦「ウラジオストク」は2014年11月に引き渡される予定でしたが、2014年2月以降のウクライナ情勢の悪化により、アメリカを初めとする西側諸国はフランスに対し、ロシアへの「ミストラル」級の引き渡しの中止を求め、当初はロシアへ艦を引き渡す意向を表明していたフランス大統領も、2014年11月末に「ウラジオストク」の引き渡しの延期を決定しました。
[フランスはロシアへのミストラル級ヘリ空母ウラジオストクの引き渡しを一時停止する]
[ロシアはミストラル級ヘリ空母購入の為にフランスへ約10億ユーロを支払っている]
2番艦「セヴァストーポリ」も2014年11月に進水し、今年3月から洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリ空母セヴァストーポリは2回目の洋上試験を行なう]
オランド大統領はは、再三に渡り、「ミストラル」級引き渡しの為の条件として、ウクライナ情勢の鎮静化(停戦合意の履行)を挙げています。
[ロシアへのミストラル級ヘリ空母引き渡しの為の条件は未だ成立していないとフランス大統領は言った]
このようなフランス側の態度に対し、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、2015年4月16日、「ロシアはミストラル級の供給の『挫折』に関し、フランスへ違約金を請求するつもりは無いが、ロシアが負担した費用は返してもらわなくてはならない」と公言しました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に関してフランスへ違約金を求めないが支払った代金の返却を望む]
4月19日、オランド氏は、4月24日にアルメニアでプーチン氏と会い、「ミストラル」級に関する問題で話し合うと確約する事になりました。
[フランス大統領はミストラル級ヘリ空母の問題についてロシア大統領と話し合う]
4月22日、オランド氏は、ウクライナ大統領との共同記者会見において、改めてロシアへの「ミストラル」級引き渡しの為の条件は形成されておらず、引き渡しは不可能であると表明しました。
更には、ロシアがフランスへ払った「ミストラル」級の代金の返還についても言及しました。
[フランスはロシアが支払ったミストラル級ヘリ空母の代金を返還する用意がある]
そして4月24日、アルメニアのエレバンでプーチン氏とオランド氏の会談が開かれました。
[フランス大統領とロシア大統領はアルメニアにおける首脳会談でミストラル級ヘリ空母の問題についても話し合った]
この会談では「ミストラル」級の問題についても話し合われたようですが、会談後、フランス大統領は「ロシアへのミストラル級の引き渡しは決まっていない」と述べ、一方、ロシア大統領報道官は「この件に関しては何の問題も無い」とだけ述べました。
4月27日、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏は、「ミストラル級ヘリ空母か、或いは前払い金(ロシアがフランスへ支払い済みの代金)をロシアへ戻す事で合意している」と述べました。
[フランスはロシアへミストラル級ヘリ空母を引き渡すか、或いは金を返す]
その後、両国の代表団は何度か交渉を行ないましたが、最終的には、「ミストラル」級をロシアへ引き渡すのではなく、ロシアが以前に支払った「ミストラル」級の代金を返還する方向で合意する事になりました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母の代金返還で合意する]
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に関する合意原案を用意している]
7月下旬からは詳細の部分に関する協議へ入り、先ず初めに、「ミストラル」級ヘリ空母へ設置されたロシア製機器の返却の問題について議論されました。
[ロシアとフランスはミストラル級ヘリ空母に設置されたロシア製通信システムの返却について話し合った]
その後、「ミストラル」級に設置済みのロシア製通信システムを取り外す為、ロシアの技術者がフランスへ渡る事になりました。
[ロシアはミストラル級ヘリ空母に設置された自国製機器を取り外す]
そして7月28日、フランス大統領フランソワ・オランドは、今後数週間以内に「ミストラル」級に関する最終決定を下すと発表しました。
むろん、この期に及んでフランスがロシアへ「ミストラル」級を引き渡すという決定を下す可能性はゼロでしょうが・・・
既にロシア海軍は「ミストラル」級ヘリ空母には見切りを付けており、新たな汎用揚陸艦の建造を計画しています。
新型汎用揚陸艦「プリボイ」級の建造は2016年から開始され、計8隻の調達が計画されています。
[ロシア海軍の為の新型汎用揚陸艦プリボイ級が建造される]
[ロシア海軍の新世代大型揚陸艦は2020年に就役する]
「プリボイ」級の後に、ロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦の建造も検討されています。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
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